説明

向上した表面特性を有するポリオキシメチレンブレンド基材とその上の少なくとも1つの層とを有する層状物品、およびその製造方法

本発明は、(a)99.5〜40重量%のポリオキシメチレンポリマーと、0.5〜60重量%の少なくとも1種の非アセタール熱可塑性ポリマーとを含む基材と、(b)その上に堆積された少なくとも1つの追加層とを含む層状物品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの不連続または共連続(co−continuous)の層が上に接着されたポリオキシメチレンブレンド基材を含む層状物品に関し、この基材は、向上した表面接着性が得られる組成物のブレンドを含み、それによって、たとえば、塗料、熱可塑性エラストマー、接着剤などのコーティングまたはオーバーモールディングなどの少なくとも1つの層の適用が可能となる。
【背景技術】
【0002】
ポリオキシメチレン組成物は、それらの有する良好な物理的性質のためエンジニアリング樹脂として有用であり、そのためポリオキシメチレンは種々の最終用途に好ましい材料である。ポリオキシメチレン組成物から製造された物品は、典型的には、高い剛性、高い強度、および耐溶剤性などの非常に望ましい物理的性質を有する。しかしそれらの高い結晶性表面のために、このような物品は低い接着も有し、このような表面上への塗装、接着、または印刷、このような物品への熱可塑性ポリマーのオーバーモールド、またはある別の種類の層の基材表面への接着は、不可能でない場合でも容易ではない。
【0003】
ポリオキシメチレン組成物は、ホルムアルデヒドのホモポリマー、またはトリオキサンなどのホルムアルデヒド環状オリゴマーのホモポリマーであって、末端基がエステル化またはエーテル化によってエンドキャップされているホモポリマー、ならびに、ホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド環状オリゴマーと、主鎖に少なくとも2つの隣接する炭素原子を有するオキシアルキレン基とのコポリマーであって、末端基がヒドロキシル末端を有することができるし、あるいはエステル化またはエーテル化によってエンドキャップすることもできるコポリマーを主成分とする組成物を含むものと一般に理解されている。コモノマーの比率は、最大20重量%とすることができる。比較的高分子量、たとえば20,000〜100,000のポリオキシメチレンを主成分とする組成物は、熱可塑性材料とともに一般に使用されるあらゆる技術、たとえば、圧縮成形、射出成形、押出成形、ブロー成形、スタンピング、および熱成形などによる半完成および完成物品の製造に有用である。
【0004】
【特許文献1】米国特許3,070,563号明細書
【特許文献2】米国特許4,410,661号明細書
【特許文献3】米国特許4,861,828号明細書
【特許文献4】米国特許第4,187,358号明細書
【特許文献5】米国特許第3,884,990号明細書
【特許文献6】米国特許第3,946,091号明細書
【特許文献7】米国特許第4,052,481号明細書
【特許文献8】米国特許第4,485,230号明細書
【特許文献9】米国特許4,246,374号明細書
【特許文献10】英国特許第2101139B号明細書
【特許文献11】米国特許第4,874,817号明細書
【非特許文献1】エンジニアリング・プラスチックス(Engineering Plastics)、第2巻、オハイオ州メタルズ・パークのASMインターナショナル出版(ASM INTERNATIONAL,Metals Park,Ohio)(1988)、214〜216ページ
【非特許文献2】エンジニアリング・プラスチックス(Engineering Plastics)、第2巻、オハイオ州メタルズ・パークのASMインターナショナル出版(ASM INTERNATIONAL,Metals Park,Ohio)(1988)、109〜114ページ
【非特許文献3】エンジニアリング・プラスチックス(Engineering Plastics)、第2巻、オハイオ州メタルズ・パークのASMインターナショナル出版(ASM INTERNATIONAL,Metals Park,Ohio)(1988)、149〜150ページ
【非特許文献4】エンジニアリング・プラスチックス(Engineering Plastics)、第2巻、オハイオ州メタルズ・パークのASMインターナショナル出版(ASM INTERNATIONAL,Metals Park,Ohio)(1988)、183〜185ページ
【非特許文献5】エンジニアリング・プラスチックス(Engineering Plastics)、第2巻、オハイオ州メタルズ・パークのASMインターナショナル出版(ASM INTERNATIONAL,Metals Park,Ohio)(1988)、194〜199ページ
【非特許文献6】エンジニアリング・プラスチックス(Engineering Plastics)、第2巻、オハイオ州メタルズ・パークのASMインターナショナル出版(ASM INTERNATIONAL,Metals Park,Ohio)(1988)、103〜108ページ
【非特許文献7】エンジニアリング・プラスチックス(Engineering Plastics)、第2巻、オハイオ州メタルズ・パークのASMインターナショナル出版(ASM INTERNATIONAL,Metals Park,Ohio)(1988)、217〜221ページ
【非特許文献8】エンジニアリング・プラスチックス(Engineering Plastics)、第2巻、オハイオ州メタルズ・パークのASMインターナショナル出版(ASM INTERNATIONAL,Metals Park,Ohio)(1988)、200〜202ページ
【非特許文献9】ゴム技術(Rubber Technology)、第2版、モーリス・モートン(Maurice Morton)編著(1973)、第17章、ウレタンエラストマー(Urethane Erastomers)、D.A.メイヤー(Meyer)、特に453〜6ページ
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
a)99.5〜40重量%のポリオキシメチレンポリマーと、0.5〜60重量%の少なくとも1種の非アセタール熱可塑性ポリマーとを含む基材と、
b)前記基材に接着された少なくとも1つの層とを含む物品であって、
上記の所与の重量%はa)およびb)の全重量を基準としている物品に関する。
【0006】
本発明は、
(i)99.5〜40重量%のポリオキシメチレンポリマーと0.5〜60重量%の少なくとも1種の熱可塑性ポリマーとを含むマトリックスを混合するステップと、
(ii)前記マトリックスを基材に成形するステップと、
(iii)少なくとも1つの層を前記基材に接着するステップとを含む前述の物品の製造方法にさらに関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、(a)基材であって、99.5〜40重量%のポリオキシメチレンポリマーと、0.5〜60重量%の少なくとも1種の熱可塑性ポリマーとを含み、接着を促進するために前記熱可塑性ポリマーが前記基材の表面上または表面付近にあるものである基材を含み、この基材が(b)その表面に接着された少なくとも1つの不連続または共連続の層を有する物品に関する。
【0008】
典型的には、ポリオキシメチレン系基材は、それらの表面で接着性が低く、そのため、たとえば、自動車産業における「装飾」部品、たとえば、限定するものではないが、ソフトタッチボタンおよびスイッチ;家庭用品;消費者製品、たとえば、限定するものではないが、塗装されたスキーの締め具および香水瓶のクロムめっきされたキャップ;構造部品;家具、ファッション;および工業用途、たとえば、限定するものではないが、高摩擦コンベヤおよび封止用クリップ;などの商業用途の層状物品の製造は困難である。
【0009】
さらに、たとえば、エッチング、炎イオン化(flaming ionization)、サンダー仕上(sanding)、表面清浄化、UV曝露などの前処理または表面改質技術を使用すると、基材と少なくとも1つの追加層との間の接着性がさらに増加する。前処理によって改善された接着性により、限定するものではないが、ナイフの刃による擦傷、塗装部分の老化などの過酷な試験の一部においてよりよい試験評価を得ることができる。
【0010】
本明細書で使用される用語「層」または「層状」またはそれらの派生語は、基材に接着されるオーバーモールディング層および/または塗料または接着剤の層などを意味する。
【0011】
本明細書で使用される場合、用語「接着される」、「接着」、およびそれらの派生語は、表面間に存在し、機械的接着としても知られる連結力によって接着剤が接着物を固定する接着を意味するものとする。接着、機械的結合、または連結の程度は、剥離試験またはクロスハッチ試験、あるいは接着物の種類およびその最終用途に適切なその他の試験のいずれかによって求めることができる。剥離試験によると、接着されたエラストマーまたは他のオーバーモールディングが、少なくとも2ポンド/直線インチの値を有する必要がある。クロスハッチ試験によると、接着された塗料または他の印刷/装飾層が、2以上の値を有する必要があるが、商業的実用性の最低限度がこれよりも高くなる場合がある。
【0012】
本明細書で使用される場合、用語「不連続」とは、基材の表面領域上で不連続または部分的に基材と接着する層(本明細書で定義される)を意味する。たとえば、限定するものではないがストライプ、ポルカドット、格子などの連続ではない、および/または基材全体を覆わないパターンでの印刷、塗装、オーバーモールディングなどが不連続層である。不連続層は、「共連続」として分類できないあらゆる層である。
【0013】
本明細書で使用される場合、用語「共連続」とは、基材の表面領域上をとぎれずにまたは連続して基材(すなわち基材が「層」と共連続である)と接着する層(本明細書で定義される)を意味する。たとえば、基材の表面領域の浸漬コーティング、塗装、またはクロムめっきなどが、基材と共連続の層を形成する。共連続の層は、基材の表面領域と接着し、層中に破壊が存在しない(すなわち層が、ただ1つの単位で存在する)。
【0014】
本明細書で使用される場合、用語「半結晶質」とは、DSCで加熱した場合に、Tgではなく融点が得られるポリマー材料を意味するものとする。
【0015】
(ポリオキシメチレン成分)
基材のポリオキシメチレン成分としては、ホルムアルデヒドのホモポリマー、またはホルムアルデヒド環状オリゴマーのホモポリマーであって、末端基がエステル化またはエーテル化によってエンドキャップされているホモポリマー、ならびに、ホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド環状オリゴマーと、主鎖に少なくとも2つの隣接する炭素原子を有するオキシアルキレン基が得られる他のモノマーとのコポリマーであって、末端基がヒドロキシル末端を有することができるし、あるいはエステル化またはエーテル化によってエンドキャップすることもできるコポリマーが挙げられる。
【0016】
典型的には、本発明による基材は、約99.5〜40重量%のポリオキシメチレンポリマーを含むが、約99.5〜55重量%のポリオキシメチレンポリマーが好ましい。
【0017】
本発明の基材中に使用されるポリオキシメチレンは、分枝状または線状であってよく、一般に約10,000〜100,000の範囲、好ましくは約20,000〜約90,000の範囲、より好ましくは約25,000〜約70,000の範囲の数平均分子量を有する。分子量は、公称孔径が60および100Aである本願特許出願人のPSMバイモーダルカラムキットを使用してm−クレゾール中160℃におけるゲル浸透クロマトグラフィーによって測定することができる。一般に、高分子量ポリオキシメチレンは第2の相の材料から分離して、多くの部分が非ポリオキシメチレン成分に移動し、これらによって接着性が高まる場合がある。望まれる物理的性質および加工上の性質に依存して、より高いまたはより低い平均分子量を有するポリオキシメチレンを使用することもでき、前述のポリオキシメチレンの重量平均は、表面接着性と、高い剛性、高い強度、および耐溶剤性などの他の物理的性質とのバランスを最適にするために好ましい。
【0018】
数平均分子量によるポリオキシメチレンの特性づけの代案として、そのメルトフローレートによって特徴づけることもできる。本発明のブレンド中に使用すると好適なポリオキシメチレンは、あるメルトフローレート(ASTM−D−1238、手順A、条件G(ASTM−D−1238,Procedure A,Condition G)に従い、直径1.0mm(0.0413)のオリフィスを使用して測定して0.1〜40g/10分)を有する。好ましくは、本発明のブレンド中に使用されるポリオキシメチレンのメルトフローレートは約0.5〜35g/10分である。最も好ましいポリオキシメチレンはメルトフローレートが約1〜20g/10分である。
【0019】
前述したように、本発明の基材中に使用されるポリオキシメチレンは、ホモポリマー、コポリマー、またはそれらの混合物のいずれであってもよい。コポリマーは、ポリオキシメチレン組成物の調製に一般に使用されるような1種または複数のコモノマーを含むことができる。より一般的に使用されるコモノマーとしては、2〜12個の炭素原子のアルキレンオキシド、およびそれらのホルムアルデヒドとの環状付加生成物が挙げられる。コモノマー量は、20重量%以下であり、好ましくは15重量%以下であり、最も好ましくは約2重量%である。最も好ましいコモノマーはエチレンオキシドである。一般に、ポリオキシメチレンホモポリマーの方が剛性および強度が高いため、コポリマーよりも好ましい。好ましいポリオキシメチレンホモポリマーとしては、末端ヒドロキシル基が化学反応によってエンドキャップされてエステル基またはエーテル基、それぞれ好ましくはアセテート基またはメトキシ基を形成しているポリオキシメチレンホモポリマーが挙げられる。
【0020】
ポリオキシメチレンは、成形、老化、耐熱性などの改善のためにポリオキシメチレン組成物に加えられることが知られている添加剤、成分、および改質剤を含むこともできる。
【0021】
(熱可塑性ポリマー成分)
少なくとも1種の非アセタール熱可塑性ポリマーは、押出成形および射出成形方法において一般に単独、または他のものと組み合わせて使用される熱可塑性ポリマーから選択することができる。これらのポリマーは、押出成形および射出成形グレードの樹脂として当業者には公知であり、ポリマー組成物中の少量成分(すなわち、加工助剤、衝撃改質剤、安定剤)としての使用が知られている樹脂とは異なる。
【0022】
一般に、本発明による基材は、約0.5〜60重量%の少なくとも1種の非アセタール熱可塑性ポリマーを含むが、約5〜20重量%の少なくとも1種の非アセタール熱可塑性ポリマーが好ましい。本発明のポリオキシメチレン/熱可塑性ポリマーブレンド基材は、基材の表面上または表面付近に、接着を促進するための非アセタールポリマーが通常存在する領域を含む。不混和性の流体の混合物の流れのなかで、最低粘度の液体は最も剪断の大きな領域に移動する傾向があるため、熱可塑性ポリマーがこの特定の領域に存在する。たとえば、射出成形の場合、型キャビティの壁が高剪断領域であり、したがって、部品の表面上または表面付近で低粘度ポリマー溶融物の濃度がある程度高くなる。
【0023】
半結晶質ポリアミド、ポリエステル、およびポリオレフィンも、それぞれをポリオキシメチレンと混合することで接着を促進することができるように、単独、または互いの組み合わせで本発明に使用することができる。たとえば、比較的低融点のポリアミドは、ある程度の結晶性を有するが、低粘度、高極性、および水素結合のため本発明の目的で有用となる。ポリオレフィン、好ましくは極性コポリマーおよびターポリマー、たとえばエチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)およびエチレン酢酸ブチル一酸化炭素ターポリマー(EBACO)は、ポリオキシメチレン基材と種々の表面処理との間で表面接着性を得るために有用であることが分かっている。半結晶質ポリエステルは一般に、ポリアセタール、たとえば、ポリカプロラクトンまたはポリ乳酸の融点付近またはこれより低い融点を有する半結晶質ポリエステルを含む。
【0024】
非アセタール熱可塑性ポリマーは、1種の熱可塑性ポリマーとして、または2つ以上の熱可塑性ポリマーのブレンドとして組成物中に混入することができる。熱可塑性ポリマーのブレンドは、たとえば靭性、または主要樹脂とポリオキシメチレンの相溶性などの性質を調整するために使用することができる。熱可塑性ポリウレタンは典型的にはこの目的で使用される。しかし好ましくは、基材は、非晶質熱可塑性ポリマーまたは半結晶質ポリマーなどの1種の追加または代替のポリマーを含む。
【0025】
1種の熱可塑性ポリマーとして、または2つ以上のブレンドとして混入されるいずれの場合でも、組成物中の全非アセタール熱可塑性ポリマーの重量%は、前述の重量%の範囲を超えるべきではない。
【0026】
用語「熱可塑性」は、加熱するとポリマーが軟化して流動状態となり、圧力下で、加熱されたキャビティから冷却した型中にそのポリマーを押し出すまたは移動させることができ、型を冷却すると、そのポリマーが硬化して型の形状になることを意味する。熱可塑性ポリマーは、プラスチックおよびエラストマーハンドブック(Handbook of Plastics and Elastomers)(マグローヒル(McGraw−Hill)より出版)においてこのようにして定義されている。
【0027】
用語「非晶質」とは、そのポリマーが、明確な結晶融点を有さず、測定可能な融解熱も有さないことを意味する(しかし、溶融物を非常にゆっくりと冷却すると、または十分なアニーリングを行うと、ある程度の結晶性が生じる場合がある)。この融解熱は示差走査熱量計(DSC)で好都合に測定される。好適な熱量計は、本願特許出願人の990熱分析装置(990 thermal analyzer)、部品番号(Part Number)990000に、セルベースII(cell base II)、部品番号(Part Number)990315、およびDSCセル、部品番号(Part Number)900600を取り付けたものである。この装置を使用する場合、融解熱は20℃/分の加熱速度で測定することができる。予想される融点よりも高い温度への試料の加熱と、液体窒素を含む試料ジャケットで冷却することによる急速な冷却とを交互に行う。融解熱は、第1の加熱サイクル後のあらゆる加熱サイクルに対して求められ、実験誤差内の一定値となるべきである。本明細書では、非晶質ポリマーは、この方法による融解熱が1cal/g未満となることで定義される。参考のため、分子量が約17,000の半結晶質66ナイロンポリアミドは融解熱が約16cal/gである。
【0028】
本発明の組成物中で使用できる熱可塑性ポリマーは、ポリオキシメチレンが溶融加工される温度で溶融加工可能となるべきである。ポリオキシメチレンは、通常約170℃〜260℃、好ましくは185℃〜240℃、最も好ましくは200℃〜230℃の溶融温度で溶融加工される。
【0029】
用語「溶融加工可能な」とは、ポリオキシメチレンの特定の溶融加工温度で溶融配合可能となるように、その熱可塑性ポリマーが軟化するまたは十分な流動性を有する必要があることを意味する。
【0030】
ポリマーが少なくとも10の重合度を有し、さらに、ポリオキシメチレンが溶融加工される温度でそのポリマーが溶融加工可能(すなわち、圧力下で流動する)であれば、その熱可塑性ポリマーの最低分子量は、本発明のブレンドにおいて重要であるとは見なされない。熱可塑性ポリマーの最高分子量は、その熱可塑性ポリマー自体が標準的な既存の技術で射出成形できないほど高くなるべきではない。射出成形法に使用されるポリマーの最高分子量は、それぞれの個々の特定の熱可塑性ポリマーによって変動する。しかし、射出成形法で使用されるこの最高分子量は、当業者によって容易に明らかとなる。
【0031】
三元ブレンドの物理的性質を最適化するために、ポリオキシメチレンポリマーおよび非アセタール熱可塑性ポリマーは、温度および圧力の同じ条件下で溶融粘度値が一致することが推奨される。
【0032】
射出成形および押出成形グレードであり、本発明のブレンド中での使用に適している非晶質非アセタール熱可塑性ポリマーは当技術分野で周知であり、市販品から選択することができるし、または当技術分野で公知の方法で製造することもできる。このような好適な非晶質熱可塑性ポリマーの例としては、スチレンアクリロニトリルコポリマー(SAN)、通常は不飽和ゴム、たとえばアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂で強化されるか、または通常は飽和ゴム、たとえばアクリロニトリル−エチレン−プロピレン−スチレン樹脂(AES)で強化されるSANコポリマー、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアリーレート(polyarylates)、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンエーテル、耐衝撃性スチレン樹脂(HIPS)、アクリルポリマー、イミド化アクリル樹脂(imidized acrylic resins)、スチレン無水マレイン酸コポリマー、ポリスルホン、スチレンアクリロニトリル無水マレイン酸樹脂、およびスチレンアクリルコポリマー、およびそれらの誘導体、およびそれらのブレンドからなる群より選択されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましい非晶質熱可塑性ポリマーは、スチレンアクリロニトリルコポリマー(SAN)、通常は不飽和ゴム、たとえばアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂で強化されるか、または通常は飽和ゴム、たとえばアクリロニトリル−エチレン−プロピレン−スチレン樹脂(AES)で強化されるSANコポリマー、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンエーテル、耐衝撃性スチレン樹脂(HIPS)、アクリルポリマー、スチレン無水マレイン酸コポリマー、およびポリスルホン、およびそれらの誘導体、およびそれらのブレンドからなる群より選択される。より好ましい非晶質熱可塑性ポリマーは、SAN、ABS、AES、ポリカーボネート、ポリアミド、HIPS、およびアクリルポリマーからなる群より選択される。最も好ましい非晶質熱可塑性ポリマーは、SANコポリマー、ABS樹脂、AES樹脂、およびポリカーボネートである。
【0033】
本発明で有用な非晶質熱可塑性SANコポリマーは、当技術分野で周知である。SANコポリマーは、一般に、スチレンとアクリロニトリルの共重合によって生成されるランダムで非晶質の線状コポリマーである。好ましいSANコポリマーは、最低分子量が10,000であり、20〜40%のアクリロニトリル、60〜80%スチレンからなる。より好ましいSANコポリマーは、25〜35%アクリロニトリル、65〜75%スチレンからなる。SANコポリマーは市販されており、当業者に周知の技術によって容易に調製することもできる。非晶質熱可塑性SANコポリマーは、(非特許文献1)に詳細に記載されている。
【0034】
射出成形および押出成形グレード樹脂であり本発明に有用な非晶質熱可塑性ABS樹脂およびAES樹脂は当技術分野で周知である。ABS樹脂は、アクリロニトリルとスチレンとを、ブタジエンゴム、または大部分がブタジエンであるゴムの存在下で重合させることで生成される。好ましくは、ABS樹脂は50〜95%のSANマトリックスと、5〜50%のブタジエンゴムまたは大部分がブタジエンであるゴム、たとえばスチレンブタジエンゴム(SBR)で構成され、前記マトリックスは、20〜40%のアクリロニトリルと60〜80%のスチレンとで構成される。より好ましくは、60〜90%のSANマトリックスと、10〜40%のブタジエンゴムとで構成され、前記マトリックスはより好ましくは25〜35%のアクリロニトリルと65〜75%のスチレンとで構成される。AES樹脂は、アクリロニトリルとスチレンとを、大部分が飽和ゴムであるゴムの存在下で重合させることで生成される。好ましいおよびより好ましいAES樹脂は、ゴム成分の大部分が、ブタジエンゴム、または大部分がブタジエンであるゴムの代わりに、エチレン−プロピレンコポリマーで構成されることを除けば、好ましいおよびより好ましいABS樹脂と同じである。他のα−オレフィンおよび不飽和部分が、エチレン−プロピレンコポリマーゴム中に存在してもよい。ABSおよびAESのコポリマーはどちらも市販されており、当業者に周知の技術によって容易に調製することもできる。非晶質熱可塑性ABS樹脂は、(非特許文献2)に詳細に記載されている。
【0035】
本発明に有用な非晶質熱可塑性ポリカーボネートは当技術分野で周知であり、最も基本的には繰り返しのカーボネート基−O−C(CO)−O−を有するとして定義することができ、さらに通常はカーボネート基に結合するフェニレン部分を有する(米国特許公報(特許文献1)を参照されたい)。
【0036】
本発明では、ポリカプロラクトンおよびポリ乳酸の使用も考慮される。ポリカプロラクトンは環状エステルのポリマーである。好ましくは、好適なポリカプロラクトンは、数平均分子量が約43,000であり、80Cおよび44psiにおけるメルトフローが1.9g/10分であるポリカプロラクトンである。好ましいポリ乳酸は融点が約155Cであるポリ乳酸である。
【0037】
非晶質熱可塑性ポリカーボネートは、市販されており、当業者に周知の技術によって容易に調製することもできる。市販されていることと利用可能な技術情報とに基づいた最も好ましい芳香族ポリカーボネートは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパンポリカーボネートであり、ビスフェノールAポリカーボネートとして知られている。非晶質熱可塑性ポリカーボネートは、(非特許文献3)に詳細に記載されている。
【0038】
本発明に有用な非晶質または半結晶質の熱可塑性ポリアミドは当技術分野で周知である。それらは米国特許公報(特許文献2)に記載されている。特にこれらの非晶質または半結晶質の熱可塑性ポリアミドは、8〜18個の炭素原子を含有する少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸と、
(i)2〜12個の炭素のノルマル脂肪族直鎖ジアミン、
(ii)4〜18個の炭素の分枝状脂肪族ジアミン、および
(iii)少なくとも1つの脂環式部分、好ましくはシクロヘキシル部分を含有する8〜20個の炭素の脂環式ジアミンからなる種類より選択される少なくとも1種のジアミンとから得られ、場合により、最大50重量%のポリアミドは、4〜12個の炭素原子を含有するラクタムまたはω−アミノ酸から得られる単位、または4〜12個の炭素原子を含有する脂肪族ジカルボン酸と2〜12個の炭素原子を含有する脂肪族ジアミンとの重合塩から得られる単位からなってよい。
【0039】
用語「芳香族ジカルボン酸」とは、フェニレンナフタレンなどの芳香環にカルボキシ基が直接結合していることを意味する。
【0040】
用語「脂肪族ジアミン」とは、アルキレンなどの非芳香族含有鎖にアミン基が結合していることを意味する。
【0041】
用語「脂環式ジアミン」とは、3〜15個の炭素原子で構成される脂環式環にアミン基が結合していることを意味する。6または12個の炭素の脂環式環が好ましい。
【0042】
熱可塑性ポリアミドの好ましい例としては、ナイロン6、610、612などのコポリマーおよびターポリマーなどの、融点が約180C未満の熱可塑性ポリアミドが挙げられる。
【0043】
非晶質または半結晶質の熱可塑性ポリアミドは、剪断応力105ダイン/cmで測定した200℃における溶融粘度が50,000ポアズ未満であり、好ましくは20,000ポアズ未満である。非晶質または半結晶質ポリアミドは市販されているし、前述の組成比で公知のポリマー縮合方法によって調製することもできる。高分子量ポリマーを生成するためには、使用される二酸の総モル数が、使用されるジアミンの総モル数とほぼ等しくなるべきである。
【0044】
遊離のジカルボン酸以外に、塩化物などのそれらの誘導体を使用して熱可塑性ポリアミドを調製することもできる。
【0045】
非晶質または半結晶質の熱可塑性ポリアミドを調製するための重合は、溶融重合、溶液重合、および界面重合技術などの公知の重合技術により実施することができるが、溶融重合手順により重合を実施することが好ましい。この手順によって、高分子量を有するポリアミドが生成される。この重合では、ジアミン成分およびジカルボン酸成分の比が実質的に等モルとなる量でジアミンおよび酸または環状アミドが混合される。溶融重合では、得られるポリアミドの融点よりも高温でそれらの分解温度よりも低温に成分が加熱される。加熱温度は約170℃〜300℃の範囲である。圧力は真空から300psiまでの範囲とすることができる。出発モノマーの添加方法は重要ではない。たとえば、ジアミンと酸との組み合わせの塩を形成して混合することができる。ジアミン混合物を水中に分散させ、高温において規定量の酸混合物をこの分散体に加えて、ナイロン塩の混合物の溶液を形成し、その溶液で重合を行うことも可能である。
【0046】
希望するなら、一価のアミンまたは、好ましくは有機酸を、出発塩混合物またはその水溶液の粘度調整剤として加えることができる。
【0047】
本発明に有用な非晶質熱可塑性ポリアリーレートは当技術分野で周知であり、米国特許公報(特許文献3)に詳細に記載されている。特に、本発明の組成物中に使用される非晶質熱可塑性ポリアリーレートは、少なくとも1種の二価フェノールまたはその誘導体と、少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸またはその誘導体とから誘導される芳香族ポリエステルである。非晶質熱可塑性ポリアリーレートが誘導される各成分は、芳香環に直接結合する官能基または基、すなわち、ヒドロキシルまたはカルボキシルを有する。二価フェノールは、米国特許公報(特許文献4)に構造1:−HO−C(−X)−OHとして記載されるビスフェノールであってもよい。
【0048】
1〜5個の炭素原子を含有するXのアルキレン基の好適な例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、およびペンタメチレン基が挙げられる。2〜7個の炭素原子を含有するXのアルキリデン基の好適な例としては、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、イソブチリデン基、ペンチリデン基、シクロペンチリジン基、およびシクロヘキシリジン基が挙げられる。1〜5個の炭素原子を含有するR〜RおよびR1’〜R4’のアルキル基の好適な例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、およびネオペンチル基が挙げられる。
【0049】
好適なビスフェノールの例は、4,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルエーテル、ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)−エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシ−フェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)−メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、3,3,3’,3’−テトラメチルスピロビス−1,1’−インダン−6,6’−ジオール、および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−ブタンである。ビスフェノールAである2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが最も好ましい。
【0050】
使用可能なビスフェノールの官能性誘導体の典型的な例は、1〜3個の炭素原子を含有する脂肪族モノカルボン酸とのアルカリ金属塩およびジエステルである。脂肪族モノカルボン酸の好適な例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などが挙げられる。ビスフェノール好ましい官能性誘導体は、ナトリウム塩、カリウム塩、およびジアセテートエステルである。
【0051】
ビスフェノールは、個別に使用することができるし、または2つ以上の混合物として使用することもできる。さらに、混合塩または混合カルボン酸エステルも使用することができる。
【0052】
好ましくは、60〜0モル%のテレフタル酸および/またはその官能性誘導体と、40〜100モル%のイソフタル酸および/またはその官能性誘導体との混合物を酸成分として使用して、ビスフェノールと反応させて、本発明の組成物中に使用されるポリアリーレートが調製される。より好ましくは、0〜50モル%のテレフタル酸および/またはその官能性誘導体と、100〜50モル%のイソフタル酸および/またはその官能性誘導体との混合物が使用される。ビスフェノールの、テレフタル酸単位およびイソフタル酸単位の合計に対するモル比は、実質的に等モルであり、たとえば、約1:0.95〜1.2であり、好ましくは約1:1であり、最も好ましくは1:1である。ヒドロキシ安息香酸またはヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシ酸および他のジカルボン酸(芳香族および脂肪族の両方)も、少量成分としてポリアリーレート構造中に組み込むことができる。
【0053】
本発明に使用することができるテレフタル酸またはイソフタル酸の官能性誘導体の例としては、酸ハロゲン化物およびジアリールエステルが挙げられる。酸ハロゲン化物の好ましい例としては、テレフタロイルジクロリド、イソフタロイルジクロリド、テレフタロイルジブロミド、およびイソフタロイルジブロミドが挙げられる。ジアリールエステルの好ましい例としては、ジフェニルテレフタレートおよびジフェニルイソフタレートが挙げられる。
【0054】
非晶質熱可塑性ポリアリーレートの調製においては、成形特性を改善するために、最大50モル%、好ましくは最大25モル%のジフェニルカーボネートなどのカーボネート結合を有する化合物、あるいはエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、またはネオペンチルグリコールなどの脂肪族グリコールを、これらと共重合させることができる。ポリアリーレートの反応性、および場合により安定性を変化させるために、一官能性成分をポリアリーレート中に混入して分子量を制限したり、反応性末端の比率を低下させたりすることができる。
【0055】
本発明の組成物中に有用な非晶質熱可塑性ポリアリーレートは市販されており、いくつかの公知の方法のいずれかによって調製することもできる。界面重合法は、水と非混和性の有機溶媒中の芳香族ジカルボン酸塩化物の溶液を、ビスフェノールのアルカリ水溶液と混合することを含む。溶液重合法は、ビスフェノールと二酸二塩化物とを有機溶媒中で加熱することを含む。溶融重合法の1つは、ジフェニルエステルまたは芳香族ジカルボン酸とビスフェノールとを加熱することを含む。別の溶融重合法は、芳香族ジカルボン酸とビスフェノールのジエステル(たとえばジアセテートエステル)とを加熱することを含む。これらの方法は、米国特許公報(特許文献5)、米国特許公報(特許文献6)、米国特許公報(特許文献7)、および米国特許公報(特許文献8)に詳細に記載されている。
【0056】
本発明に有用な非晶質熱可塑性ポリフェニレンエーテル(PPE)およびポリフェニレンオキシド(PPO)は当技術分野で公知である。PPEホモポリマーはPPOと呼ばれることが多い。このホモポリマーの化学組成は、ポリ(2,6−ジメチル−4,4−フェニレンエーテル)またはポリ(オキシ−(2−6−ジメチル−4,4−フェニレン)):−C(−CH−O−である。PPE化学組成はコポリマーである。PPEおよびPPOは、(非特許文献4)に詳細に記載されている。PPEおよびPPOはどちらも市販されており、当業者により公知の技術によって容易に調製することもできる。これらは、高い溶融粘度のために、典型的にはポリスチレンとのブレンドとして販売されている。
【0057】
本発明に有用な非晶質熱可塑性耐衝撃性スチレン(HIPS)樹脂は当技術分野で周知である。HIPSは、通常、20%未満のポリブタジエンゴムまたは他の不飽和ゴムをスチレンモノマー中に溶解した後に重合反応を開始することで生成される。ポリスチレンはポリマーの連続相を形成し、ゴム層は、吸蔵されたポリスチレンを有する分離した粒子として存在する。HIPS樹脂は、(非特許文献5)に詳細に記載されている。HIPS樹脂は市販されているし、当業者によって公知の技術で容易に調製することもできる。
【0058】
押出成形および射出成形グレードであり、本発明に有用なアクリルの非晶質熱可塑性ポリマーは当技術分野で周知である。非晶質熱可塑性アクリルポリマーには、主要モノマー成分がエステル−アクリレートおよびメタクリレートの2つの種類に属する多くの種類のポリマーが含まれる。非晶質熱可塑性アクリルポリマーは、(非特許文献6)に記載されている。標準的な既存の技術によって射出成形可能となるためには、アクリルの非晶質熱可塑性ポリマーの分子量は、200,000以下となるべきである。非晶質熱可塑性アクリルポリマーは市販されているし、当業者によって公知の技術で容易に調製することもできる。
【0059】
本発明に有用な非晶質熱可塑性イミド化アクリル樹脂は当技術分野で周知である。非晶質熱可塑性イミド化アクリル樹脂は、アンモニアまたは第1級アミンを、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリルポリマーと反応させて、イミド化アクリル樹脂(ポリグルタルイミドとも呼ばれる)を生成することによって調製される。
【0060】
イミド化アクリル樹脂は、少なくとも約10%のイミド基、好ましくは少なくとも約40%のイミド基を含有し、たとえば、米国特許公報(特許文献9)および(特許文献10)に記載されるように調製することができる。代表的なイミドポリマーとしては、イミド化ポリ(メタクリル酸メチル)またはポリ(アクリル酸メチル)、メタクリル酸メチルまたはアクリル酸メチルのいずれかと、ブタジエン、スチレン、エチレン、メタクリル酸などのコモノマーとのイミド化コポリマーが挙げられる。
【0061】
非晶質熱可塑性イミド化アクリル樹脂は、米国特許公報(特許文献11)にも記載されている。非晶質熱可塑性イミド化アクリルは市販されているし、当業者によって公知の技術で容易に調製することもできる。
【0062】
本発明に有用なスチレン無水マレイン酸の非晶質熱可塑性コポリマーは当技術分野で周知である。スチレン無水マレイン酸のコポリマーは、スチレンモノマーをより少ない量の無水マレイン酸と反応させることによって生成される。非晶質熱可塑性スチレン無水マレイン酸コポリマーは、(非特許文献7)に詳細に記載されている。これらは市販されているし、当業者によって公知の技術で容易に調製することもできる。
【0063】
本発明に有用な非晶質熱可塑性ポリスルホンは当技術分野で周知である。これは求核置換化学反応によってビスフェノールAと4,4’−ジクロロジフェニルスルホンとから生成される。これは、(非特許文献8)に詳細に記載されている。ポリスルホンは市販されているし、当業者によって公知の技術で容易に調製することもできる。
【0064】
本発明に有用な非晶質熱可塑性スチレンアクリロニトリル無水マレイン酸コポリマーおよびスチレンアクリルコポリマーは当技術分野で公知である。これらは市販されているし、当業者によって公知の技術で容易に調製することもできる。
【0065】
非晶質または半結晶質の熱可塑性ポリマーは、このようなポリマー中に通常含まれる追加の成分、改質剤、安定剤、および添加剤も含むことができる。
【0066】
本発明のブレンド中への使用に適している熱可塑性ポリウレタンは、市販品から選択することができるし、当技術分野で公知の方法によって製造することもできる(たとえば、(非特許文献9)を参照されたい)。熱可塑性ポリウレタンは、ポリエステルまたはポリエーテルポリオールをジイソシアネートと反応させ、場合によりこのような成分を、低分子量ポリオール、好ましくはジオールなどの鎖延長剤、または尿素結合を形成するためのジアミンとさらに反応させることで誘導される。熱可塑性ポリウレタンは一般に、ポリエーテルまたはポリエステルポリオールなどのソフトセグメントと、低分子量ジオールとジイソシアネートとの反応によって通常は誘導されるハードセグメントとで構成される。ハードセグメントを有さない熱可塑性ポリウレタンを使用することもできるが、最も有用な熱可塑性ポリウレタンはソフトセグメントとハードセグメントの両方を含有する。
【0067】
本発明のブレンドに有用な熱可塑性ポリウレタンの調製においては、少なくとも約500、好ましくは約550〜約5,000、最も好ましくは約1,000〜約3,000を有するポリマーソフトセグメント材料、たとえば二価のポリエステルまたはポリアルキレンエーテルジオールを、有機ジイソシアネートと、実質的に線状のポリウレタンポリマーが得られるような比率で反応させるが、一部に分枝が存在してもよい。分子量が約250未満のジオール鎖延長剤を混入することもできる。ポリマー中のイソシアネートのヒドロキシルに対するモル比は、好ましくは約0.95〜1.08であり、より好ましくは0.95〜1.05であり、最も好ましくは0.95〜1.00である。さらに、一官能性イソシアネートまたはアルコールを使用して、ポリウレタンの分子量を制御することができる。
【0068】
好適なポリエステルポリオールとしては、1種または複数の二価アルコールと、1種または複数のジカルボン酸とのポリエステル化生成物が挙げられる。好適なポリエステルポリオールとしては、ポリカーボネートポリオールも挙げられる。好適なジカルボン酸としては、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸、スベリン酸、メチルアジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、アゼライン酸、チオジプロピオン酸、およびシトラコン酸、およびそれらの混合物が挙げられ、少量の芳香族ジカルボン酸も含まれる。好適な二価アルコールとしては、エチレングリコール、1,3−または1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチルペンタンジオール−1,5、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,2−ドデカンジオール、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0069】
さらに、ε−カプロラクトンおよび3−ヒドロキシ酪酸などのヒドロキシカルボン酸、ラクトン、および環状カーボネートを、ポリエステルの調製に使用することができる。
【0070】
好ましいポリエステルとしては、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)、これらのアジペートの混合物、およびポリε−カプロラクトンが挙げられる。
【0071】
好適なポリエーテルポリオールとしては、1種または複数のアルキレンオキシドと、水、エチレングリコール、1,2−または1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、および1,5−ペンタンジオール、およびそれらの混合物などの活性水素含有基を有する少量の1種または複数の化合物との縮合生成物が挙げられる。好適なアルキレンオキシド縮合物としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、およびブチレンオキシド、およびそれらの混合物の縮合物が挙げられる。好適なポリアルキレンエーテルグリコールは、テトラヒドロフランから調製することもできる。さらに、好適なポリエーテルポリオールはコモノマーを含有することができ、特にランダムまたはブロックコモノマーとして、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、および/またはテトラヒドロフラン(THF)から誘導されるエーテルグリコールが挙げられる。あるいは、THFポリエーテルコポリマーと少量の3−メチルTHFとを使用することもできる。
【0072】
好ましいポリエーテルとしては、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMEG)、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、およびプロピレンオキシドとエチレンオキシドとのコポリマー、およびテトラヒドロフランとエチレンオキシドとのコポリマーが挙げられる。他の好適なポリマージオールとしては、主として炭化水素の性質を有するもの、たとえばポリブタジエンジオールが挙げられる。
【0073】
好適な有機ジイソシアネートとしては、1,4−ブチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロペンチレン−1,3−ジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロへキシレン−1,4−ジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−および2,6−トルエンジイソシアネートの異性体混合物、4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)、2,2−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、1,4−ナフチレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、アゾベンゼン−4,4’−ジイソシアネート、m−またはp−テトラメチルキシレンジイソシアネート、および1−クロロベンゼン−2,4−ジイソシアネートが挙げられる。4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、および2,4−トルエンジイソシアネートが好ましい。
【0074】
塩化アジピルおよびピペラジンから誘導されるものなどの第2のアミド結合、ならびにPTMEGおよび/またはブタンジオールのビス−クロロホルメートから誘導されるものなどの第2のウレタン結合も、ポリウレタン中に存在することができる。
【0075】
熱可塑性ポリウレタンの調製における鎖延長剤として使用すると好適な二価アルコールとしては、中断されないか、酸素または硫黄結合によって中断されるかのいずれかである炭素鎖を含有する二価アルコールが挙げられ、たとえば、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、イソプロピル−a−グリセリルエーテル、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、ジヒドロキシシクロペンタン、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、4,4’−シクロヘキサンジメチロール、チオジグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ヒドロキノンのジヒドロキシエチルエーテル、水素化ビスフェノールA、テレフタル酸ジヒドロキシエチル、およびジヒドロキシメチルベンゼン、およびそれらの混合物が挙げられる。1,4−ブタンジオールテレフタレートのヒドロキシル末端オリゴマーを使用することもでき、これによってポリエステル−ウレタン−ポリエステル繰り返し構造が形成される。ジアミンを鎖延長剤として使用することもでき、これによって尿素結合が形成される。1,4−ブタンジオール、1,2−エタンジオールおよび1,6−ヘキサンジオールが好ましい。
【0076】
熱可塑性ポリウレタンの調製においては、イソシアネートのヒドロキシルに対する比率はほぼ1となるべきであり、この反応は、1段階または2段階の反応であってよい。触媒を使用することができ、反応は未希釈または溶媒中で実施することができる。
【0077】
ブレンド、特に熱可塑性ポリウレタンの含水率は、得られる結果に影響しうる。水は、ポリウレタンと反応して、ポリウレタンを劣化させ、それによってポリウレタンの有効分子量を低下させ、ポリウレタンの固有粘度および溶融粘度を低下させることが知られている。したがって、乾燥が進んでいるほどよい。いずれにしても、ブレンド、およびブレンドの個々の成分の含水率は、特に、射出成形工程および溶融加工の他の技術の最中などの水を放出させる機会がない場合には、0.2重量%未満の水、好ましくは0.1%未満となるべきである。熱可塑性ポリウレタンは、熱可塑性ポリウレタンに加えられることが知られている添加剤、成分、および改質剤を含有することもできる。ここで、スチレンアクリロニトリルコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、アクリロニトリル−エチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー、およびポリカーボネートのいずれかをポリオキシメチレンに加えるだけで、ポリオキシメチレンの成形収縮が軽減されることに留意されたい。
【0078】
(追加層成分)
一般に、本発明の基材は、塗料でコーティングしたり、熱可塑性エラストマー、接着剤などでオーバーモールドしたりすることができ、これらが基材に接着された少なくとも1つの層となる。前述したように、少なくとも1種の非晶質または半結晶質の熱可塑性成分またはポリマーが、大部分がポリアセタールである基材の表面上または表面付近に存在し分散しているため、接着が促進される。
【0079】
オーバーモールディングに好適な材料の例としては、極性材料および非極性材料の両方が挙げられるが、これらに限定されるものではない。このような非極性材料としては、熱可塑性オレフィン(TPO)、クレイトン(Kraton)(登録商標)、熱可塑性エラストマー(TPE−S)、ポリエチレン、およびポリプロピレンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。このような極性材料としては、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、サーリン(Surlyn)(登録商標)、ハイトレル(Hytrel)(登録商標)、および極性オレフィンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0080】
印刷/塗装に好適な材料の例としては、溶剤(solvent)、水性ラテックス、エポキシ、ウレタン、粉末コーティングアクリル(powder coating acrylic)塗料またはインクなどを挙げることができる。
【0081】
接着に好適な材料の例としては、溶剤系接着剤(solvent−based glue)、ラテックス、エポキシ、強力接着剤(super glue)などが挙げられる。
【0082】
一般に、本発明の少なくとも1つの接着された層は、共連続の場合も不連続の場合もある。
【0083】
種々の従来方法を使用して、少なくとも1つの追加層を基材に接着することができ、たとえば、湿式塗装、粉末コーティング、2ショット成形、インサート成形、同時押出成形、接着、および金属化を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0084】
湿式塗装法では、水性塗料または溶剤系塗料のいずれかが使用され、吹き付け、はけ塗りなどの当技術分野で公知の方法により適用される。
【0085】
流動床または静電流動床中への浸漬、あるいは静電塗装などの当技術分野で周知の粉末コーティング法は、微粉砕された乾燥固体樹脂状粉末を使用し、これらは塗料または他のプラスチックであってよく、基材表面上に付着させ、続いて高温で硬化/溶融させることができる。
【0086】
2ショット成形法は当技術分野で周知であり、典型的には、2ショット射出成形機の第1のバレルからの基材材料をキャビティの一部に充填し、続いて型を開けて回転させるかまたはスライダーを開放してキャビティを変更して、型を再び閉じた後、この新しいキャビティに第2のバレルからの層材料を充填することで行われる。
【0087】
インサート成形法は当技術分野で周知であり、従来の成形機を使用することができ、成形された部品が、手作業または自動で別の型に挿入され、ここで層材料が基材の「表面」または周囲で成形される(この技術は、2つのステップの間で型から部品を取り出す必要があり、上記方法では、部品は2ショットの間で部品は取り出されない)。
【0088】
同時押出成形法は、当業者には周知であり、フィルム、シート、異形材、管材料、電線被覆、および押出コーティングの押出成形が可能である。
【0089】
接着は、手作業および/または機械的な方法などの当技術分野で公知のあらゆる方法で実施することができる。
【0090】
金属化法としては、当技術分野で周知の方法が挙げられ、たとえば、限定するものではないが、種々の層の堆積に化学的方法と電気化学的方法を組み合わせて使用するクロムめっきなどの電気めっきなどが挙げられる。
【0091】
(物品の製造方法)
本発明はさらに;
(i)99.55〜40重量%のポリオキシメチレンポリマーと、0.5〜60重量%の少なくとも1種の熱可塑性ポリマーとを含むマトリックスを混合するステップと、
(ii)前記マトリックスを基材に成形するステップと、
(iii)少なくとも1つの層を前記基材に接着するステップと、
を含む前述の物品の製造方法に関する。
【0092】
マトリックスは、従来公知のあらゆる装置を使用して混合することができる。しかし好ましくは、マトリックスは、同方向回転二軸スクリュー押出機を使用して混合される。
【0093】
基材は、たとえば、押出成形、同時押出成形、2ショット成形、インサート成形などの従来公知のあらゆる方法を使用して、当技術分野で公知の重点に従って成形することができる。
【0094】
少なくとも1つの追加層の基材への接着は、前述のようなあらゆる公知の方法によって行うことができる。
【実施例】
【0095】
以下の実施例において本発明をさらに規定するが、これらの中のすべての部およびパーセント値は重量を基準にしている。これらの実施例は、本発明の好ましい実施態様を示すものであるが、単に説明の目的で与えられているものと理解されたい。以上の議論およびこれらの実施例から、当業者であれば、本発明の本質的な性質を見極めることができ、本発明の意図および範囲から逸脱することなく、種々の使用および条件に適合させるために本発明の種々の変形および変更を行うことができる。
【0096】
一般に、接着性は、熱可塑性エラストマー層の場合には剥離試験を使用して測定し、塗料/印刷層の接着性の程度は、クロスハッチ塗料接着試験を使用して測定した。
【0097】
典型的には、「剥離」は、接着剤のボンドライン(材料が接着剤によって一体化しているライン)に対して垂直の方向への引張応力の付与である。さらに、「剥離強度」は、接着剤の強度を示しており、接合させた試験片を徐々に分離するのに必要な、ボンドラインに沿って測定した試験片の幅の単位長さ当たりの平均の力として定義され、ポンド/インチ幅(メートル法に換算するとニュートン/ミリメートルである)で表される。
【0098】
2ショット成形法またはインサート射出成形法のいずれかを使用して作製した本発明の種々の実施態様について、オーバーモールディングの剥離強度の評価試験を行った。これらの成形方法を使用して作製した試料について、インストロン(Instron)引張試験機などの従来の標準的な引張試験機でL型剥離試験(一般には90°剥離試験と呼ばれる)を使用して剥離試験を行った。典型的な試料は、長さ約6インチ、厚さ約1/8インチ、および幅約1インチの基材を含んだ。この基材に接着された追加層は、幅約1インチおよび厚さ約1/8インチであった。さらに、接着した層の、基材端部を超える距離まで延在するいずれかの長さの方向、または試料末端の一部を、引き上げることによって、層の一部を基材から接触しなくなるようにして、引張試験機に取り付けられるようにする。
【0099】
一般に、この方法は、基材および接着した層を、水平移動可能な試料ホルダー(たとえばそり、ホイール、またはローラー)上の固定位置に配置することを含む。接着した層の延在する端部を、引張試験機の上部トラバースに固定して、基材と剥離される追加層との間が90°になるようにする。このトラバースが上方に移動し、追加層を剥離し、剥離角を一定に維持するために、トラバースが垂直に移動するにつれて基材の試料ホルダーは水平方向に移動する。トラバースによって接着した層を材料から剥離し始めてから、接着因子が連続的に測定される。
【0100】
通常は、クロスハッチ接着試験(DIN EN ISO2409、およびASTM−D3359−83、方法Bの修正版)を実施し、そのために基材を作製し、続いて塗料をコーティングした。刃の付いた装置(たとえば、ガードコ・コーポレーション(Gardco Corporation)製造のガードコ(Gardco)(登録商標)モデルP−A−Tカッター・ブレード(Model P−A−T Cutter Blades))を使用して90°の角度で2回切ることによって、100個の小さな正方形(約1/16インチ×1/16インチ)を、接着した層に切り込んだ。切れ目の深さを注意深く監視し、接着した層のみを切れ目が貫通し、基材中に有意な深さまでは切れ目が届かないようにした。次に、パーマセル99テープ(Permacel 99 Tape)(ニュージャージー州ニューブランズウィックのパーマセル・コーポレーション(Permacel Corporation,New Brunswick,NJ)製造)などの好適なテープを、コーティングした基材上の正方形が切り込まれた領域の上に適用して、評価する全領域を覆った。次に、テープを除去し、テープの除去による塗料の剥離の程度を評価した。接着試験結果の分類において、ASTM D 3359試験の修正を行った。本発明による試験では、剥離が全く(すなわちカミソリの刃の切り口でさえ)起こらなかった試料を分類するために値「0」を使用し、したがってこれが最高レベルの接着を示しており、一方、65%を超える剥離が見られた場合に値「5」を割り当てており、したがってこの試験の他の点では修正しなかった。
【0101】
(実施例1−高ポリオキシメチレン含有率基材に接着した塗料)
表1は、実施例に使用した種々の基材の組成を示している。各基材は、塗料Iまたは塗料Kのいずれか1種類の塗料で塗装し、クロスハッチ試験を実施し、その結果を評価した。クロスハッチ試験結果も表1に示している。試料1は対照試料であり、試料2〜8は本発明の実施例である。
【0102】
対照基材は、100%ポリアセタールホモポリマー(MW=38,000)を含む基材(試料タイプ1)であった。この対照基材に塗料Iを塗装して、接着層を形成し、本明細書に記載のクロスハッチ試験に従って試験した。テープを適用し、続いて除去すると、2の値と評価され、これより中程度の接着が示された。試料タイプ1基材を使用する第2の試験および第3の試験のそれぞれは塗料Kで塗装し、本明細書に記載のクロスハッチ試験を再び実施すると、それぞれ2および3の値と評価された。
【0103】
試料タイプ2は、90%のポリアセタールホモポリマー(MW=38,000)と、エチレンアジペートソフトセグメントおよび4,4’メチレンビスフェニルイソシアネートを有する10%の熱可塑性ポリウレタンとを含む基材であった。基材に適用した接着層は塗料Kであり、これについてクロスハッチ試験に従って試験すると、接着レベル1の結果が得られた。
【0104】
試料タイプ3は、90%のポリアセタールホモポリマー(MW=38,000)と10%のポリカプロラクトン(MW=43,000)とを含む基材であった。基材に適用した接着層は塗料Kであり、これについてクロスハッチ試験に従って試験すると、接着レベル0の結果が得られ、これは剥離が起こらなかったことを意味する。
【0105】
試料タイプ4は、90%のポリアセタールホモポリマー(MW=38,000)と10%のポリ乳酸(融点155℃)とを含む基材であった。基材に適用した接着層は塗料Kであり、これについてクロスハッチ試験に従って試験すると、接着レベル1の結果が得られた。
【0106】
試料タイプ5は、90%のポリアセタールホモポリマー(MW=38,000)と、ブチレンアジペートソフトセグメントおよび4,4’メチレンビスフェニルイソシアネートを有する10%の熱可塑性ポリウレタンとを含む基材であった。基材に適用した接着層は塗料Kであり、これについてクロスハッチ試験に従って試験すると、接着レベル0の結果が得られた。試料タイプ5の組成を有する別の基材で第2の試験を行い、この場合、基材に適用した接着層は塗料Kであり、接着レベル2の結果が得られた。試料タイプ5の基材を使用して第3の試験を実施し、この場合は塗料Iを基材に接着しており、接着レベル1の結果が得られた。
【0107】
試料タイプ6は、ポリアセタールホモポリマー(MW=65,000)90%と、4.5%のエチレンオキシド基を有するポリアセタールコポリマー(Mn=22,000)1%と、ブチレンアジペートソフトセグメントおよび4,4’メチレンビスフェニルイソシアネートを有する熱可塑性ポリウレタン1%と、融点154℃のナイロン66/610/6(Mn=40,000)8%とを含む基材であった。基材に適用した接着層は塗料Kであり、これについてクロスハッチ試験に従って試験すると、接着レベル0の結果が得られた。試料タイプ6の組成の別の基材を使用して第2の試験を実施し、この場合も接着層は塗料Kであり、接着レベル0の結果が得られた。試料タイプ6の基材を使用して第3の試験を実施し、この場合は塗料Iを基材に接着すると、接着レベル4の結果が得られた。この試料、ならびに試料タイプ7および8において、塗料Iは、塗料Kと比較すると接着性の低下が見られる。これは塗料Iと、それぞれの実施例で使用した添加剤との相互作用が異なる結果であると考えられる。したがって、適用者はこのことを考慮に入れる必要がある。
【0108】
試料タイプ7は、ポリアセタールホモポリマー(MW=65,000)90%と、4.5%のエチレンオキシド基を有するポリアセタールコポリマー(Mn=22,000)1%と、ブチレンアジペートソフトセグメントおよび4,4’メチレンビスフェニルイソシアネートを有する熱可塑性ポリウレタン1%と、および融点116℃のナイロン66/610/612/6(Mn=18,000)8%とを含む基材であった。基材に適用した接着層は塗料Kであり、これについて最初にクロスハッチ試験に従って試験すると、接着レベル0の結果が得られた。試料タイプ7の組成を有する別の基材で第2の試験を実施し、この場合接着層は塗料Kであり、接着レベル1の結果が得られた。試料タイプ7の基材を使用して第3の試験を行い、この場合は塗料Iを基材に接着すると、接着レベル3の結果が得られた。
【0109】
試料タイプ8は、ポリアセタールホモポリマー(MW=65,000)90%と、4.5%のエチレンオキシド基を有するポリアセタールコポリマー(Mn=22,000)1%と、ブチレンアジペートソフトセグメントおよび4,4’メチレンビスフェニルイソシアネートを有する熱可塑性ポリウレタン1%と、41%のPBTハードセグメント/59%のエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドソフトセグメントを含有する熱可塑性ポリエステルポリエーテルエラストマー8%とを含む基材であった。最初の試験で基材に接着した層は塗料Kであり、これについてクロスハッチ試験に従って試験すると、接着レベル1の結果が得られた。試料タイプ8の組成を有する別の基材で第2の試験を実施し、この場合も接着層は塗料Kであり、接着レベル0の結果が得られた。試料タイプ8の基材を使用して第3の試験を実施し、この場合は塗料Iを基材に接着すると、接着レベル4の結果が得られた。
【0110】
【表1】

【0111】
(実施例2−低ポリオキシメチレン含有基材に接着した塗料)
表2は、この実施例に使用した種々の基材の組成を示している。接着性に関するクロスハッチ試験の結果は表3に示している。使用した塗料の説明も下に示している。各基材は1種類のみの塗料で塗装し、したがって各基材は、基材に接着した1つの塗料層を有した。
【0112】
試料タイプ9は、100%ポリアセタールホモポリマー(MW=65,000)を含む基材を表している。試料タイプ9の2つの基材を使用し、この種類の基材で試験した接着層は塗料BおよびFであった。
【0113】
試料タイプ10は、100%ポリアセタールホモポリマー(MW=38,000)を含む基材を表している。このタイプの種々の基材について試験を行い、それぞれで接着した層は、塗料F、G、H、I、J、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、およびUの中の1つであった。
【0114】
試料タイプ11は、100%有核ポリアセタールホモポリマー(MW=38,000)を含む基材を表している。このタイプの1つの基材に塗料Bを塗装して接着層を形成した。
【0115】
試料タイプ12は、ポリアセタールホモポリマー(MW=65,000)60%と、ブチレンアジペートソフトセグメントおよび4,4’メチレンビスフェニルイソシアネートを有する熱可塑性ポリウレタン10%と、押出成形グレードABS(メルトフロー=3.9)10%と、スチレンアクリロニトリルコポリマー(3.8kgの重りを使用した445°Fにおけるメルトフロー=25g/10分)20%とを含む基材を表している。このタイプの2つの基材を塗装し、一方は塗料Bを使用して、他方は塗料Fを使用して接着層を形成した。
【0116】
試料タイプ13は、ポリアセタールホモポリマー(MW=38,000)55%と、ブチレンアジペートソフトセグメントおよび4,4’メチレンビスフェニルイソシアネートを有する熱可塑性ポリウレタン15%と、押出成形グレードABS(メルトフロー=3.9)30%とを含む基材を表している。このタイプの基材に接着した層は、塗料B、F、G、H、I、J、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、またはUの中の1つであった。
【0117】
試料タイプ14は、ポリアセタールホモポリマー(MW=38,000)55%と、エチレンアジペートソフトセグメントおよび4,4’メチレンビスフェニルイソシアネートを有する熱可塑性ポリウレタン15%と、押出成形グレードABS(メルトフロー=3.9)30%とを含む基材を表している。この実施例で基材に接着した層は塗料Fであった。
【0118】
試料タイプ15は、4.5%のエチレンオキシド基を有するポリアセタールコポリマー(Mn=22,000)55%と、ブチレンアジペートソフトセグメントおよび4.4’メチレンビスフェニルイソシアネートを有する熱可塑性ポリウレタン15%と、押出成形グレードABS(メルトフロー=3.9)30%とを含む基材を表している。このタイプの2つの基材について試験を行い、各基材に接着した層は塗料FまたはKのいずれかであった。
【0119】
試料タイプ16は、1.4%のエチレンオキシド基を有するポリアセタールコポリマー(Mn=20,800)55%と、ブチレンアジペートソフトセグメントおよび4.4’メチレンビスフェニルイソシアネートを有する熱可塑性ポリウレタン15%と、押出成形グレードABS(メルトフロー=3.9)30%とを含む基材を表している。塗料Kを接着した層として有する1つの基材を試験した。
【0120】
試料17は、ポリアセタールホモポリマー(MW=38,000)55%と、ブチレンアジペートソフトセグメントおよび4.4’メチレンビスフェニルイソシアネートを有する熱可塑性ポリウレタン5%と、粒径0.7μmの沈降CaCO3を10%と、2%ステアリン酸のコーティングと、押出成形グレードABS(メルトフロー=3.9)30%とを含む基材を表している。基材に接着した層は塗料Fであった。
【0121】
【表2】

【0122】
【表3】

【0123】
(塗料の凡例)
B=ラスト−オレウム・ハード・ハット(Rust−oleum Hard Hat)、スプレー、仕上ACABADOセイフティ・ブルーV2124(finish ACABADO safety blue V2124)。
F=エールボー−パシフィック・ラスト・プルーフィング・ペイント(Aervoe−Pacific Rust Proofing Paint)、スプレー、303グロス・セイフティ・ブルー(303 gloss safety blue)、キシレン、アセトン、ミネラルスピリット、エチルベンゼン。
G=スプレーエナメル(spray enamel)、パクトラ・レーシングフィニッシュ(pactra Racing Finish)、RC287明赤色、PC用(テスター・コーポレーション(Testor Corporation)製造)。
H=スプレーエナメル、1224グロスグリーン、石油蒸留物、液化石油噴射剤(テスター・コーポレーション(Testor Corporation)製造)。
I=スプレーエナメル、1244メタリックゴールド、アルコール、トルエン、石油噴射剤(テスター・コーポレーション(Testor Corporation)製造)。
J=スプレーエナメル、130030レファー・オレンジ(130030 Reffer Orange)、炭化水素噴射剤、石油ディスタラント(distallant)、ケトンおよびエステル溶剤(テスター・コーポレーション(Testor Corporation)製造)。
K=TS−5オリーブ・ドラブ(Olive Drab)(タミヤ・ヨーロッパ(Tamiya Europe GMBH)製造)。
L=プラスチ−コート・トリム・ブラック611(Plasti−kote Trim Black 611)、アセトン、キシレン。
M=プラスチ−コート・クラシック・ラッカー346(Plasti−kote Classic Lacquer 346)明赤色。
N=プラスチ−コート・フレキシブル・バンパー・アンド・トリム(Plasti−kote Flexible Bumper & Trim)、1892薄灰色プライマー、アセトン、ジレン(zylene)、トルエン。
【0124】
上記塗料のそれぞれはエアゾールスプレー塗料であった。しかし、これらの塗料は例として使用したのであり、エアゾールスプレー塗料の試料に本発明が限定されるものではない。
【0125】
(実施例3−接着剤)
対照試料18〜21では、長さ約6インチおよび厚さ約1/8インチのPVCの同一の引張試験片を、購入したPVCシートから打ち抜いた。1つのタブを切り落とし、狭い中央部分を、約1インチで試料が重なるように重ね剪断方法で互いに接着した。試料18〜21は、接着前にプライマーを使用しなかった。剥離した試料を除けば、すべての試料は、接着前に、光沢のある表面の光沢がなくなるまで目の細かいサンドペーパーで軽くやすりをかけた。接着後、Cクランプを使用してすべての試料を24時間固定した。
【0126】
ポリオキシメチレンをポリオキシメチレン、およびポリオキシメチレンをPVCと接着した対照試料では、接着力が弱いため試験を行えなかった。これらの試料は、接着力不足のため、インストロン(Instron)試験機中に固定する間に破壊した。
【0127】
試料22〜26は、ポリアセタールホモポリマー(MW=65,000)55%と、ブチレンアジペートソフトセグメントおよび4,4’メチレンビスフェニルイソシアネートを有する熱可塑性ポリウレタン15%と、押出グレードABS(メルトフロー=2.5)30%とを含む。これらの試料を試験する場合は、0.2インチ/分で引っ張り、引っ張っている間は緩いスリーブによってねじれないように束縛した。
【0128】
【表4】

【0129】
(接着剤)
タイプB−ハーベイ(Harvey)のMP−6、#01800、多目的−ABS、PVC、CPVC(ネブラスカ州オマハのウィリアム・H・ハーベイ・カンパニー(William H.Harvey Co.,Omaha NE)製造)。
タイプC−IPSウェルド−オンPVC700(IPS Weld−on PVC 700)、#10082(カリフォルニア州ガーディニアのIPSコーポレーション(IPS Corporation,Gardinia,CA)製造)。
タイプD−オーティ#31128CPVCセメント(Oaty #31128 CPVC Cement)(オハイオ州クリーブランドのオーティ・コーポレーション(Oaty Corporation,Cleveland,OH)製造)。
【0130】
(プライマー)
タイプC−IPウェルド−オンC−65クリーナー(IP Weld−on C−65 Cleaner)−PVC、CPVC、ABS、スチレン#10204(カリフォルニア州ガーディニアのIPSコーポレーション(IPS Corporation,Gardinia,CA)製造)。
タイプP−ハーベイ(Harvey)のパープル・プライマー(Purple Primer)−PVC、CPVC(ネブラスカ州オマハのウィリアム・H・ハーベイ・カンパニー(William H.Harvey Co.,Omaha NE)製造)。
【0131】
(実施例4−オーバーモールディング)
試料タイプ28〜36は、プラーク型(1/8インチ×4インチ×6インチ)中で成形した基材であった。次にこれらの基材を、表5、6、および7に記載の熱可塑性エラストマーによってインサート成形される寸法と同じ長さおよび幅の深さ1/4インチの型に挿入した。接着された層を有する基材について、前述の剥離試験に従って試験した。続いて、これらのいくつかの基材について、異なる位置において異なる引っ張り試験機で2回目の試験を行った。最初の位置ではインストロン・モデル4202(Instron Model 4202)(ミネソタ州ニューアルムのインストロン・コーポレーション(Instron Corporation,New Ulm,MN))を使用し、第2の位置ではズウィック・モデルZ2.5(Zwick Model Z2.5)(ズウィック(Zwick GMBH))を使用した。
【0132】
試料タイプ28は、100%ポリアセタールホモポリマー(MW=38,000)を含む基材である。
【0133】
試料タイプ29は、ポリアセタールホモポリマー(MW=38,000)90%と、ブチレンアジペートソフトセグメントおよび4,4’メチレンビスフェニルイソシアネートを有する熱可塑性ポリウレタン10%とを含む基材である。
【0134】
試料タイプ30は、ポリアセタールホモポリマー(MW=65,000)70%と、ブチレンアジペートソフトセグメントおよび4,4’メチレンビスフェニルイソシアネートを有する熱可塑性ポリウレタン30%とを含む基材である。
【0135】
試料タイプ31は、有核ポリアセタールホモポリマー(MW=65,000)95%と、メルトインデックスが55のエチレン酢酸ビニルコポリマー(40%の酢酸ビニルを有する)5%とを含む基材である。
【0136】
試料タイプ32は、1.3%のエチレンオキシド基を有するポリアセタールコポリマー(Mn=28,300)90%と、フェノール−ホルムアルデヒド熱可塑性樹脂(Mn=1000およびTg=80℃)10%とを含む基材である。
【0137】
試料タイプ33は、ポリアセタールホモポリマー(MW=38,000)80%と、耐衝撃性ポリスチレン(5.0Kgの重りを使用した200℃におけるメルトフロー=3.5g/10分、ASTM D1238)20%とを含む基材である。
【0138】
試料タイプ34は、1.3%のエチレンオキシド基を有するポリアセタールコポリマー(Mn=28,300)90%と、および67%エチレン/24%アクリル酸n−ブチル/9%メタクリル酸の亜鉛アイオノマー(メルトインデックス=25)10%とを含む基材である。
【0139】
試料タイプ35は、ポリアセタールホモポリマー(MW=38,000)50%と、ブチレンアジペートソフトセグメントおよび4,4’メチレンビスフェニルイソシアネート20%と、スチレンアクリロニトリルコポリマー(3.8Kgの重りを使用した445℃におけるメルトフロー=25g/10分)30%とを含む基材である。
【0140】
試料タイプ36は、ポリアセタールホモポリマー(MW=38,000)55%と、ブチレンアジペートソフトセグメントおよび4,4’メチレンビスフェニルイソシアネートを有する熱可塑性ポリウレタン15%と、押出成形グレードABS(メルトフロー=2.5)30%とを含む基材である。
【0141】
すべてのオーバーモールディングの実施例では、前述の試料タイプの基材を使用したが、種々のオーバーモールディング材料を基材上に接着した後、剥離試験を行った。
【0142】
(実施例4(a)−ポリエステルポリエーテル熱可塑性エラストマーを使用したオーバーモールディング)
この実施例では、基材に接着したオーバーモールディング層が、36%のPBTハードセグメント/67%のPTMEGソフトセグメントを有し、融点が190℃であり、ショアD(Shore D)硬度が40Dのポリエステルポリエーテル熱可塑性エラストマーであった。剥離試験の結果を以下の表5に示す。
【0143】
【表5】

【0144】
(実施例4(b)−熱可塑性ポリウレタンを使用したオーバーモールディング)
【0145】
【表6】

【0146】
(実施例4(c)−スチレンブタジエンブロックコポリマーを使用したオーバーモールディング)
【0147】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)基材であって、99.5〜40重量%のポリオキシメチレンポリマーと、0.5〜60重量%の少なくとも1種の非アセタール熱可塑性ポリマーとを含み、接着を促進するために前記非アセタール熱可塑性ポリマーが前記基材の表面上または表面付近にあるものである基材と、
(b)前記基材に接着された少なくとも1つの層、
とを含むことを特徴とする物品。
【請求項2】
前記ポリオキシメチレンポリマーが分枝状または線状であることを特徴とする請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記ポリオキシメチレンポリマーが約10,000〜約100,000の範囲の数平均分子量を有することを特徴とする請求項2に記載の物品。
【請求項4】
前記ポリオキシメチレンポリマーが約25,000〜約70,000の範囲の数平均分子量を有することを特徴とする請求項3に記載の物品。
【請求項5】
前記基材が、約0.5〜約20重量%の少なくとも1種の追加の非アセタールポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の物品。
【請求項6】
前記少なくとも1種の非アセタールポリマーが、スチレンアクリロニトリルコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂で強化されたスチレンアクリロニトリルコポリマー、アクリロニトリル−エチレン−プロピレン−スチレン樹脂で強化されたスチレンアクリロニトリルコポリマー、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアリーレート(polyarylates)、ポリフェニレンオキシドおよびそれらのブレンド、ポリフェニレンエーテルおよびそれらのブレンド、耐衝撃性スチレン樹脂、アクリルポリマー、イミド化アクリル樹脂(imidized acrylic resins)、スチレン無水マレイン酸コポリマー、ポリスルホン、スチレンアクリロニトリル無水マレイン酸樹脂、およびスチレンアクリルコポリマー、およびそれらの誘導体からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の物品。
【請求項7】
前記少なくとも1種の非アセタールポリマーが、スチレンアクリロニトリルコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、アクリロニトリル−エチレン−プロピレン−スチレン樹脂、およびポリカーボネートからなる群より選択されることを特徴とする請求項6に記載の物品。
【請求項8】
前記少なくとも1種の非アセタールポリマーが、ポリアミド、ポリエステル、およびポリオレフィンからなる群より選択される半結晶質ポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の物品。
【請求項9】
前記少なくとも1つの層が前記基材と共連続(co−continuous)であることを特徴とする請求項1に記載の物品。
【請求項10】
前記少なくとも1つの層が前記基材と不連続であることを特徴とする請求項1に記載の物品。
【請求項11】
前記少なくとも1つの層が、熱可塑性エラストマー、熱可塑性オレフィン、熱可塑性ウレタン、ポリエチレン、およびポリプロピレンからなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の物品。
【請求項12】
前記少なくとも1つの層が、溶剤(solvent)、水性ラテックス、エポキシ、ウレタン、粉末コーティングアクリル(powder coating acrylic)からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の物品。
【請求項13】
前記少なくとも1つの層が、溶剤系接着剤(solvent−based glue)、ラテックス、エポキシ、および強力接着剤(super glue)からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の物品。
【請求項14】
前記基材が、エッチング、炎イオン化(flaming ionization)、サンダー仕上(sanding)、表面清浄化、およびUV曝露から選択される表面改質技術で前処理されることを特徴とする請求項1に記載の物品。
【請求項15】
(i)99.5〜40重量%のポリオキシメチレンポリマーと、0.5〜60重量%の少なくとも1種の非アセタール熱可塑性ポリマーとを含むマトリックスを混合するステップと、
(ii)前記マトリックスを基材に成形するステップと、
(iii)少なくとも1つの層を前記基材に接着するステップとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の物品の製造方法。

【公表番号】特表2006−511649(P2006−511649A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−563828(P2004−563828)
【出願日】平成15年12月17日(2003.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2003/040620
【国際公開番号】WO2004/058502
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】