説明

含フッ素アダマンタン誘導体

【課題】硬化物にしたときに耐熱性、低屈折率及び機械物性に優れる新規な含フッ素アダマンタン誘導体及びそれを含む樹脂組成物を提供する。
【解決手段】下記式の化合物で代表される含フッ素アダマンタン誘導体及びそれを含む樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含フッ素アダマンタン誘導体及びその製造方法、含フッ素アダマンタン誘導体を含有する樹脂組成物、及びそれから得られる硬化物及び反射防止膜に関する。
【背景技術】
【0002】
アダマンタンは、シクロヘキサン環が4個、カゴ形に縮合した構造を有し、対称性が高く、安定な化合物であり、その誘導体は、特異な機能を示すことから、医薬品原料や高機能性工業材料の原料等として有用であることが知られている。例えば光学特性や耐熱性等を有することから、光ディスク基板、光ファイバーあるいはレンズ等に用いることが試みられている(特許文献1,2)。
また、アダマンタンエステル類を、その酸感応性、ドライエッチング耐性、紫外線透過性等を利用して、フォトレジスト用樹脂原料として、使用することが試みられている(特許文献3)。
【0003】
近年、液晶や有機EL等を用いたフラットパネルディスプレイの高精細化、高視野角化、高画質化、電子回路の高周波数化や光を用いた回路・通信等、光学・電子部品の高性能化・改良検討が進められている。
【0004】
その中で、ディスプレイ用反射防止膜の低屈折率層や通信用の光ファイバー、光導波路等にフッ素系有機材料が使用されており、それらフッ素系材料の改良が行われている。
【0005】
一般にフッ素原子を有する化合物は低屈折率を示し、低屈折率樹脂材料を液晶や有機ELディスプレイ用等の反射防止膜、フルネルレンズ、レンチキュラーレンズ、マイクロレンズアレイ等のレンズ類、光ファイバーや光導波路へ適用する検討が行われている。
例えば、反射防止膜は低屈折率層と高屈折率層を交互に積層して反射を防止しているが、その低屈折率層の樹脂として直鎖状の含フッ素アクリレート類の重合物が使用されている。しかし、これらは十分な表面硬度が得られず、耐擦傷性等が不十分である(特許文献4〜6)。
【0006】
また、光ファイバーや光導波路では、有機化合物のC−H結合が光損失の原因となることはよく知られているが、その対策としてC−H結合をC−F結合に置換した材料が使用されている。その1つに直鎖状の含フッ素アクリレート樹脂が用いられているが、通信時の発熱やはんだリフロー時に耐えうる耐熱性が十分ではない(特許文献7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−305044号公報
【特許文献2】特開平9−302077号公報
【特許文献3】特開平4−39665号公報
【特許文献4】特開平11−2702号公報
【特許文献5】特開2001−48943号公報
【特許文献6】特開2004−212619号公報
【特許文献7】特開2002−182046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、硬化物にしたときに耐熱性、低屈折率及び機械物性に優れる新規な含フッ素アダマンタン誘導体及びそれを含む樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、以下の化合物等が提供される。
1.下記式(I)で表される化合物。
【化1】

(式中、Xはそれぞれ単結合、カルボニル基、−(CF−(CH−、又は−(CF−CO−であり、Yはそれぞれ、水酸基、又は下記式(II)〜(IV)のいずれかで表される重合性基であり、Zは下記式(V)で表される二価の基である。Aはフッ素原子であるか、又は2つのAがオキソ基を形成する。Aは水素原子又はフッ素原子である。nは0〜4の整数、mは1〜2の整数である。)
【化2】

(式中、Rは水素原子、フッ素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基であり、Rは炭素数1〜5の炭化水素基又はパーフルオロアルキル基であり、Rfはエーテル結合を含んでいてもよい炭素数2〜20のフッ素含有炭化水素基であり、pはそれぞれ0〜4の整数である。ただし、Rfはパーフルオロアダマンタンジイル基を含まない。)
2.前記Xが単結合である1に記載の化合物。
3.下記式(I−2)で表わされる化合物と、下記式(II’)〜(IV’)のいずれかで表わされる重合性基を有する化合物を反応させる、下記式(I−1)で表わされる化合物の製造方法。
【化3】

(式中、Xはそれぞれ単結合、カルボニル基、−(CF−(CH−、又は−(CF−CO−であり、Zは下記式(V)で表される二価の基である。Aはフッ素原子であるか、又は2つのAがオキソ基を形成する。Aは水素原子又はフッ素原子である。nは0〜4の整数、mは1〜2の整数である。)
【化4】

(式中、Rfはエーテル結合を含んでいてもよい炭素数2〜20のフッ素含有炭化水素基であり、pはそれぞれ0〜4の整数である。ただし、Rfはパーフルオロアダマンタンジイル基を含まない。)
【化5】

(式中、Rは水素原子、フッ素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基であり、Rは炭素数1〜5の炭化水素基又はパーフルオロアルキル基であり、Lは水酸基、ハロゲン原子、又は(メタ)アクリロイルオキシ基であり、Qはハロゲン原子であり、Qはハロゲン原子、又は脱離基である。)
【化6】

(式中、X、Z、A及びAは上記と同じである。Yはそれぞれ、下記式(II)〜(IV)のいずれかで表される重合性基である。)
【化7】

(式中、R、R、Rf及びpは上記と同じである。)
4.下記式(VII)で表される化合物と、下記式(VIII)で表される含フッ素アダマンタン化合物とを反応させる、下記式(I−2)で表される化合物の製造方法。
【化8】

(式中、Zは下記式(V)で表される二価の基であり、Xは単結合、カルボニル基、−(CF−(CH−、又は−(CF−CO−である。Aはフッ素原子であるか、又は2つのAがオキソ基を形成する。Aは水素原子又はフッ素原子である。Lは、水素原子又は金属イオンである。nは0〜4の整数、mは1〜2の整数である。
【化9】

(式中、Rfはエーテル結合を含んでいてもよい炭素数2〜20のフッ素含有炭化水素基であり、pはそれぞれ0〜4の整数である。ただし、Rfはパーフルオロアダマンタンジイル基を含まない。))
【化10】

(式中、X、Z、A及びAは上記と同じである。)
5.1又は2に記載の化合物を含有する樹脂組成物。
6.熱又は光重合開始剤を含有する5に記載の樹脂組成物。
7.5又は6に記載の樹脂組成物から得られる硬化物及び反射防止膜。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、硬化物にしたときに耐熱性、低屈折率及び機械物性に優れる新規な含フッ素アダマンタン誘導体及びそれを含む樹脂組成物が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の化合物は下記式(I)で表される。
【化11】

式中、Xはそれぞれ単結合、カルボニル基、−(CF−(CH−、又は−(CF−CO−であり、Yはそれぞれ、水酸基、又は下記式(II)〜(IV)のいずれかで表される重合性基であり、Zは下記式(V)で表される二価の基である。Aはフッ素原子であるか、又は2つのAがオキソ基を形成する。Aは水素原子又はフッ素原子である。nは0〜4の整数、mは1〜2の整数である。
【化12】

式中、Rは水素原子、フッ素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基であり、Rは炭素数1〜5の炭化水素基又はパーフルオロアルキル基であり、Rfはエーテル結合を含んでいてもよい炭素数2〜20のフッ素含有炭化水素基であり、pはそれぞれ0〜4の整数である。ただし、Rfはパーフルオロアダマンタンジイル基を含まない。
パーフルオロアダマンチル基を含むユニットを導入することにより、本発明の化合物から得られる硬化物は低屈折率かつ耐擦傷性に優れている。
【0012】
Xは、好ましくは単結合、メチレン基、カルボニル基、又は−CF−CH−であり、より好ましくは単結合である。
Yとして具体的には、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−トリフルオロメチルアクリロイルオキシ基、α−フルオロアクリロイルオキシ基、グリシジルオキシ基、(3−メチルオキセタン−3−イル)メチルオキシ基、(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルオキシ基、(3−プロピルオキセタン−3−イル)メチルオキシ基、(3−ブチルオキセタン−3−イル)メチルオキシ基等が挙げられる。
好ましくは、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、グリシジルオキシ基、又は(3−メチルオキセタン−3−イル)メチルオキシ基であり、特に好ましくはアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、又はグリシジルオキシ基である。
【0013】
Rfとして具体的には、パーフルオロブタン−1,4−ジイル基、パーフルオロペンタン−1,5−ジイル基、パーフルオロヘキサン−1,6−ジイル基、パーフルオロヘプタン−1,7−ジイル基、パーフルオロオクタン−1,8−ジイル基、パーフルオロノナン−1,9−ジイル基、パーフルオロデカン−1,10−ジイル基、パーフルオロ−2,5−ジオキサヘキサン−1,6−ジイル基、パーフルオロ−2,5,8−トリオキサノナン−1,9−ジイル基等を挙げることができる。
特に好ましくは、パーフルオロヘキサン−1,6−ジイル基、パーフルオロヘプタン−1,7−ジイル基、パーフルオロオクタン−1,8−ジイル基、パーフルオロノナン−1,9−ジイル基、又はパーフルオロデカン−1,10−ジイル基である。
pは、好ましくはそれぞれ0〜2の整数であり、より好ましくは1である。
【0014】
本発明の化合物の具体例を以下に示す:1,6−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,6H,6H−パーフルオロヘキサン、1,7−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,7H,7H−パーフルオロヘプタン、1,8−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,8H,8H−パーフルオロオクタン、1,10−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,10H,10H−パーフルオロデカン、1,11−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,11H,11H−パーフルオロウンデカン、1,12−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,12H,12H−パーフルオロドデカン、1,8−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,8H,8H−3,6−ジオキサパーフルオロオクタン、1,11−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,11H,11H−3,6,9−トリオキサパーフルオロウンデカン;
【0015】
1,6−ビス(3−(2H−2−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,6H,6H−パーフルオロヘキサン、1,7−ビス(3−(2H−2−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,7H,7H−パーフルオロヘプタン、1,8−ビス(3−(2H−2−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,8H,8H−パーフルオロオクタン、1,10−ビス(3−(2H−2−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,10H,10H−パーフルオロデカン、1,11−ビス(3−(2H−2−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,11H,11H−パーフルオロウンデカン、1,12−ビス(3−(2H−2−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,12H,12H−パーフルオロドデカン、1,8−ビス(3−(2H−2−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,8H,8H−3,6−ジオキサパーフルオロオクタン、1,11−ビス(3−(2H−2−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,11H,11H−3,6,9−トリオキサパーフルオロウンデカン;
【0016】
1,6−ビス(3−(4−オキソ−1−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,6H,6H−パーフルオロヘキサン、1,7−ビス(3−(4−オキソ−1−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,7H,7H−パーフルオロヘプタン、1,8−ビス(3−(4−オキソ−1−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,8H,8H−パーフルオロオクタン、1,10−ビス(3−(4−オキソ−1−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,10H,10H−パーフルオロデカン、1,11−ビス(3−(4−オキソ−1−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,11H,11H−パーフルオロウンデカン、1,12−ビス(3−(4−オキソ−1−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,12H,12H−パーフルオロドデカン、1,8−ビス(3−(4−オキソ−1−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,8H,8H−3,6−ジオキサパーフルオロオクタン、1,11−ビス(3−(4−オキソ−1−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,11H,11H−3,6,9−トリオキサパーフルオロウンデカン;
【0017】
1,6−ビス(3−(4−オキソ−2H−2−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,6H,6H−パーフルオロヘキサン、1,7−ビス(3−(4−オキソ−2H−2−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,7H,7H−パーフルオロヘプタン、1,8−ビス(3−(4−オキソ−2H−2−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,8H,8H−パーフルオロオクタン、1,10−ビス(3−(4−オキソ−2H−2−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,10H,10H−パーフルオロデカン、1,11−ビス(3−(4−オキソ−2H−2−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,11H,11H−パーフルオロウンデカン、1,12−ビス(3−(4−オキソ−2H−2−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,12H,12H−パーフルオロドデカン、1,8−ビス(3−(4−オキソ−2H−2−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,8H,8H−3,6−ジオキサパーフルオロオクタン、1,11−ビス(3−(4−オキソ−2H−2−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,11H,11H−3,6,9−トリオキサパーフルオロウンデカン;
【0018】
1,6−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルメチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,6H,6H−パーフルオロヘキサン、1,7−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルメチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,7H,7H−パーフルオロヘプタン、1,8−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルメチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,8H,8H−パーフルオロオクタン、1,10−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルメチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,10H,10H−パーフルオロデカン、1,11−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルメチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,11H,11H−パーフルオロウンデカン、1,12−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルメチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,12H,12H−パーフルオロドデカン、1,8−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルメチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,8H,8H−3,6−ジオキサパーフルオロオクタン、1,11−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルメチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,11H,11H−3,6,9−トリオキサパーフルオロウンデカン;
【0019】
1,6−ビス(3−(2−パーフルオロアダマンチルメチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,6H,6H−パーフルオロヘキサン、1,7−ビス(3−(2−パーフルオロアダマンチルメチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,7H,7H−パーフルオロヘプタン、1,8−ビス(3−(2−パーフルオロアダマンチルメチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,8H,8H−パーフルオロオクタン、1,10−ビス(3−(2−パーフルオロアダマンチルメチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,10H,10H−パーフルオロデカン、1,11−ビス(3−(2−パーフルオロアダマンチルメチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,11H,11H−パーフルオロウンデカン、1,12−ビス(3−(2−パーフルオロアダマンチルメチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,12H,12H−パーフルオロドデカン、1,8−ビス(3−(2−パーフルオロアダマンチルメチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,8H,8H−3,6−ジオキサパーフルオロオクタン、1,11−ビス(3−(2−パーフルオロアダマンチルメチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,11H,11H−3,6,9−トリオキサパーフルオロウンデカン;
【0020】
1,6−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルカルボニルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,6H,6H−パーフルオロヘキサン、1,7−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルカルボニルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,7H,7H−パーフルオロヘプタン、1,8−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルカルボニルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,8H,8H−パーフルオロオクタン、1,10−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルカルボニルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,10H,10H−パーフルオロデカン、1,11−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルカルボニルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,11H,11H−パーフルオロウンデカン、1,12−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルカルボニルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,12H,12H−パーフルオロドデカン、1,8−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルカルボニルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,8H,8H−3,6−ジオキサパーフルオロオクタン、1,11−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルカルボニルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,11H,11H−3,6,9−トリオキサパーフルオロウンデカン;
【0021】
1,6−ビス(3−(2−パーフルオロアダマンチルカルボニルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,6H,6H−パーフルオロヘキサン、1,7−ビス(3−(2−パーフルオロアダマンチルカルボニルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,7H,7H−パーフルオロヘプタン、1,8−ビス(3−(2−パーフルオロアダマンチルカルボニルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,8H,8H−パーフルオロオクタン、1,10−ビス(3−(2−パーフルオロアダマンチルカルボニルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,10H,10H−パーフルオロデカン、1,11−ビス(3−(2−パーフルオロアダマンチルカルボニルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,11H,11H−パーフルオロウンデカン、1,12−ビス(3−(2−パーフルオロアダマンチルカルボニルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,12H,12H−パーフルオロドデカン、1,8−ビス(3−(2−パーフルオロアダマンチルカルボニルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,8H,8H−3,6−ジオキサパーフルオロオクタン、1,11−ビス(3−(2−パーフルオロアダマンチルカルボニルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,11H,11H−3,6,9−トリオキサパーフルオロウンデカン;
【0022】
1,6−ビス(3−(2,2−ジフルオロ−2−(パーフルオロ1−アダマンチル)エチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,6H,6H−パーフルオロヘキサン、1,7−ビス(3−(2,2−ジフルオロ−2−(パーフルオロ1−アダマンチル)エチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,7H,7H−パーフルオロヘプタン、1,8−ビス(3−(2,2−ジフルオロ−2−(パーフルオロ1−アダマンチル)エチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,8H,8H−パーフルオロオクタン、1,10−ビス(3−(2,2−ジフルオロ−2−(パーフルオロ1−アダマンチル)エチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,10H,10H−パーフルオロデカン、1,11−ビス(3−(2,2−ジフルオロ−2−(パーフルオロ1−アダマンチル)エチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,11H,11H−パーフルオロウンデカン、1,12−ビス(3−(2,2−ジフルオロ−2−(パーフルオロ1−アダマンチル)エチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,12H,12H−パーフルオロドデカン、1,8−ビス(3−(2,2−ジフルオロ−2−(パーフルオロ1−アダマンチル)エチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,8H,8H−3,6−ジオキサパーフルオロオクタン、1,11−ビス(3−(2,2−ジフルオロ−2−(パーフルオロ1−アダマンチル)エチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,11H,11H−3,6,9−トリオキサパーフルオロウンデカン;
【0023】
1,6−ビス(3−(2,2−ジフルオロ−2−(パーフルオロ2−アダマンチル)エチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,6H,6H−パーフルオロヘキサン、1,7−ビス(3−(2,2−ジフルオロ−2−(パーフルオロ2−アダマンチル)エチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,7H,7H−パーフルオロヘプタン、1,8−ビス(3−(2,2−ジフルオロ−2−(パーフルオロ2−アダマンチル)エチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,8H,8H−パーフルオロオクタン、1,10−ビス(3−(2,2−ジフルオロ−2−(パーフルオロ2−アダマンチル)エチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,10H,10H−パーフルオロデカン、1,11−ビス(3−(2,2−ジフルオロ−2−(パーフルオロ2−アダマンチル)エチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,11H,11H−パーフルオロウンデカン、1,12−ビス(3−(2,2−ジフルオロ−2−(パーフルオロ2−アダマンチル)エチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,12H,12H−パーフルオロドデカン、1,8−ビス(3−(2,2−ジフルオロ−2−(パーフルオロ2−アダマンチル)エチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,8H,8H−3,6−ジオキサパーフルオロオクタン、1,11−ビス(3−(2,2−ジフルオロ−2−(パーフルオロ2−アダマンチル)エチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,11H,11H−3,6,9−トリオキサパーフルオロウンデカン
【0024】
上記例示化合物の中でも、1,8−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,8H,8H−パーフルオロオクタン、1,9−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,9H,9H−パーフルオロノナン、1,10−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,10H,10H−パーフルオロデカン、1,11−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,11H,11H−パーフルオロウンデカン、1,12−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,12H,12H−パーフルオロドデカンが好ましい。
【0025】
本発明の化合物のうち、以下のように、Yがそれぞれ上記式(II)〜(IV)のいずれかで表される重合性基であるものを式(I−1)、Yが水酸基であるものを式(I−2)とする。
【化13】

式中、X、Z、A及びAは上記式(I)と同じである。Yは上記式(II)〜(IV)のいずれかで表される重合性基である。
【0026】
式(I−1)で表わされる化合物は、式(I−2)で表わされる化合物と、下記式(II’)〜(IV’)のいずれかで表わされる、重合性基を有する化合物を反応させて得ることができる。
【化14】

式中、R、Rは上記式(II),(IV)と同じである。
Lは水酸基、ハロゲン原子、又は(メタ)アクリロイルオキシ基であり、Qはハロゲン原子であり、Qはハロゲン原子、又はトルエンスルホニルオキシ基等の脱離基である。
【0027】
反応としては、式(II’)の化合物の場合、通常知られているエステル化等が挙げられ、式(III’)又は(IV’)の化合物の場合、グリシジルエーテル化、オキセタンエーテル化等が挙げられる。
【0028】
エステル化は、共沸脱水法、酸クロリド法、又は酸無水物法等を用いればよく、酸クロリド法が好ましい。
エステルを形成する重合性基の具体的化合物(式(II')で表わされる化合物)として、アクリル酸、メタクリル酸、α−トリフルオロメチルアクリル酸、α−フルオロアクリル酸、アクリル酸クロリド、メタクリル酸クロリド、α−トリフルオロメチルアクリル酸クロリド、α−フルオロアクリル酸クロリド等が挙げられる。
【0029】
共沸脱水法の場合、反応温度は通常50〜200℃であり、望ましくは100〜180℃である。温度が低すぎる場合、反応速度が低下して反応時間が長くなる恐れがある。温度が高すぎる場合、副反応が発生したり、着色が激しくなる恐れがある。
圧力は通常絶対圧力で0.01〜10MPaであり、望ましくは常圧〜1MPaである。圧力が高すぎる場合は、安全上問題があり特別な装置が必要となり、産業上有用でない。
【0030】
触媒は、一般的な酸触媒を用いることができる。例えば、硫酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等が挙げられる。触媒の量は、原料アルコール(式(I−2)で表わされる化合物)に対して通常0.01mol%〜20mol%、好ましくは0.05〜10mol%である。
【0031】
溶媒としては、含フッ素アダマンタン化合物(式(I−2)で表わされる化合物)の溶解度が0.5%以上、望ましくは5%以上の溶媒を用いる。溶媒量は、含フッ素アダマンタン化合物の濃度が0.5%以上、望ましくは5%以上となる量が好ましい。この時、含フッ素アダマンタン化合物が懸濁状態でもよいが、溶解していることが望ましい。
具体的には、ノナン、デカン、ウンデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、及びこれらの混合溶媒等が挙げられる。
【0032】
重合禁止剤として、必要によりヒドロキノン、メトキノン、フェノチアジン、メトキシフェノチアジン等を添加してもよい。重合禁止剤の使用量は、通常原料アルコールに対して、10〜10000wtppm、好ましくは50〜5000wtppmである。
【0033】
酸クロリド法の場合、反応温度は通常−50〜100℃であり、望ましくは0〜50℃である。温度が低すぎる場合、特別な装置が必要となり、産業上有用でない。温度が高すぎる場合、副反応が起きたり着色が激しくなる恐れがある。
圧力は、絶対圧力で通常0.01〜10MPaであり、望ましくは常圧〜1MPaである。圧力が高すぎる場合、安全上問題があり特別な装置が必要となり、産業上有用でない。
【0034】
反応により発生する酸の捕捉剤として、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン等の有機アミンや水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム等の無機塩基を使用することができる。
含フッ素アダマンタン化合物に対する塩基の使用割合は、通常、塩基/含フッ素アダマンタン化合物(モル比)が0.5〜20程度となる量であり、好ましくは1〜10となる量である。
【0035】
溶媒は、含フッ素アダマンタン化合物の溶解度が0.5%以上、望ましくは5%以上の溶媒を用いる。溶媒量は含フッ素アダマンタン化合物の濃度が0.5%以上、望ましくは5%以上となる量である。
この時、含フッ素アダマンタン化合物が懸濁状態でもよいが、溶解していることが望ましい。具体的には、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、DMF、NMP、DMAc、DMSO、ジエチルエーテル、THF、酢酸エチル、ジクロロメタン、クロロホルム等が挙げられる。
【0036】
重合禁止剤として、必要によりヒドロキノン、メトキノン、フェノチアジン、メトキシフェノチアジン等を添加してもよい。重合禁止剤の使用量は、原料アルコールに対して、通常10〜10000wtppm、好ましくは50〜5000wtppmである。
【0037】
生成したアクリレート類の精製方法としては蒸留、晶析、カラム分離等が可能であり、生成物の性状と不純物の種類により精製方法を選択できる。
【0038】
式(I−2)の化合物と式(III’)又は(IV’)の化合物の反応(環状エーテル基を導入する反応)の場合、式(I−2)の化合物と式(III’)又は(IV’)で表される環状エーテル化合物を塩基性触媒存在下で反応させ、環状エーテル基を導入したフッ素含有アダマンタン誘導体を合成する。
【0039】
式(III’)又は(IV’)の具体的化合物として、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、3−クロロメチル−3−メチルオキセタン、3−クロロメチル−3−エチルオキセタン等が挙げられる。
【0040】
上記反応の反応温度は通常0〜200℃であり、望ましくは50〜150℃である。温度が低すぎる場合、反応速度が低下し、反応時間が長くなる恐れがある。温度が高すぎる場合、着色が激しくなる恐れがある。
圧力は絶対圧力で通常0.01〜10MPaであり、望ましくは常圧〜1MPaである。圧力が高すぎる場合は、安全上、問題があり特別な装置が必要となり、産業上有用でない。
反応時間は通常1分〜24時間であり、望ましくは1時間〜10時間である。
【0041】
塩基性触媒としては、ナトリウムアミド,トリエチルアミン,トリブチルアミン,トリオクチルアミン,ピリジン,N,N−ジメチルアニリン,1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5(DBN),1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU),テトラメチルアンモニウムクロリド,テトラエチルアンモニウムクロリド,水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水素化ナトリウム,燐酸ナトリウム,燐酸カリウム,炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,酸化銀,ナトリウムメトキシド,カリウムt−ブトキシド等が挙げられる。
【0042】
溶媒は、含フッ素アダマンタン化合物の溶解度が通常0.5%以上、望ましくは5%以上の溶媒を用いる。溶媒量は含フッ素アダマンタン化合物の濃度が通常0.5%以上、望ましくは5%以上となる量である。
この時、含フッ素アダマンタン化合物が懸濁状態でもよいが、溶解していることが望ましい。溶媒として具体的には、ヘキサン,ヘプタン、トルエン、DMF、DMAc、DMSO、酢酸エチル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。ハロゲノアルキル基含有環状エーテル化合物を溶媒兼用として用いてもよい。
【0043】
生成物の精製方法は、蒸留、晶析、カラム分離等が可能であり、生成物の性状と不純物の種類により精製方法を選択できる。
【0044】
式(I−2)の化合物(含フッ素アダマンタン誘導体)は、式(VII)で表されるエポキシ化合物と、式(VIII)で表される含フッ素アダマンタン誘導体を反応させて得ることができる。
反応としては、通常知られているエポキシの開環反応化が好ましい。
【化15】

式中、Z及びXは上記式(I−2)と同じである。Lは水素原子又は金属イオンである。
【0045】
式(VII)で表されるエポキシ化合物として、1,6−ジグリシジルオキシ−1H,1H,6H,6H−パーフルオロヘキサン、1,7−ジグリシジルオキシ−1H,1H,7H,7H−パーフルオロヘプタン、1,8−ジグリシジルオキシ−1H,1H,8H,8H−パーフルオロオクタン、1,9−ジグリシジルオキシ−1H,1H,9H,9H−パーフルオロノナン、1,10−ジグリシジルオキシ−1H,1H,10H,10H−パーフルオロデカン、1,11−ジグリシジルオキシ−1H,1H,11H,11H−パーフルオロウンデカン、1,12−ジグリシジルオキシ−1H,1H,12H,12H−パーフルオロドデカン、1,8−ジグリシジルオキシ−1H,1H,8H,8H−パーフルオロ−3,6−ジオキサオクタン、1,11−ジグリシジルオキシ−1H,1H,11H,11H−パーフルオロ−3,6,9−トリオキサウンデカン等を挙げることができる。
特に好ましくは、1,8−ジグリシジルオキシ−1H,1H,8H,8H−パーフルオロオクタン、1,9−ジグリシジルオキシ−1H,1H,9H,9H−パーフルオロノナン、1,10−ジグリシジルオキシ−1H,1H,10H,10H−パーフルオロデカン、1,11−ジグリシジルオキシ−1H,1H,11H,11H−パーフルオロウンデカン及び1,12−ジグリシジルオキシ−1H,1H,12H,12H−パーフルオロドデカンである。
【0046】
また、式(VIII)で表される含フッ素アダマンタン誘導体として、パーフルオロ−1−アダマンタノール、パーフルオロ−2−アダマンタノール、4−オキソ−パーフルオロ−1−アダマンタノール、4−オキソ−2H−パーフルオロ−2−アダマンタノール、パーフルオロ−1−アダマンチルメタノール、パーフルオロ−2−アダマンチルメタノール、パーフルオロ−1−アダマンタンカルボン酸、パーフルオロ−2−アダマンタンカルボン酸、2,2−ジフルオロ−2−パーフルオロ−1−アダマンチルエタノール、2,2−ジフルオロ−2−パーフルオロ−2−アダマンチルエタノール等が挙げられる。特に好ましくはパーフルオロ−1−アダマンタノールである。
【0047】
上記反応の反応温度は通常0〜200℃であり、望ましくは20〜150℃である。温度が低すぎる場合、反応速度が低下し、反応時間が長くなる恐れがある。温度が高すぎる場合、着色が激しくなる恐れがある。
圧力は通常、絶対圧力で0.01〜10MPaであり、望ましくは常圧〜1MPaである。圧力が高すぎる場合は、安全上、問題があり特別な装置が必要となり、産業上有用でない。
反応時間は通常1分〜24時間であり、望ましくは1時間〜15時間である。
【0048】
触媒としては、ナトリウムアミド,トリエチルアミン,トリブチルアミン,トリオクチルアミン,ピリジン,ルチジン、ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルアニリン,1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5(DBN),1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU),テトラメチルアンモニウムハライド,テトラエチルアンモニウムハライド,ナトリウム、カリウム、セシウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水素化ナトリウム,燐酸ナトリウム,燐酸カリウム,炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,炭酸セシウム、酸化銀,ナトリウムメトキシド,カリウムt−ブトキシド、テトラメチルクロライド、テトラエチルブロマイド等の4級アンモニウム塩等が上げられる。好ましくは、ジメチルアミノピリジン、DBN、DBU、テトラエチルブロマイド等が挙げられる。
【0049】
無溶媒又は式(VIII)の含フッ素アダマンタン誘導体の溶解度が0.5%以上、望ましくは10%以上の溶媒を用いる。溶媒量は式(VIII)の含フッ素アダマンタン誘導体の濃度が0.5%以上、望ましくは10%以上となる量である。この時、アダマンタン類が懸濁状態でもよいが、溶解していることが望ましい。
具体的には、ヘキサン,ヘプタン、トルエン、DMF、DMAc、DMSO、酢酸エチル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。これを単独又は組み合わせて使用してもよい。好ましくは、トルエン、DMF、DMSOがよい。
【0050】
精製方法は必要に応じて、蒸留、晶析、カラム分離等が可能であり、生成物の性状と不純物の種類により精製方法を選択できる。
【0051】
本発明の樹脂組成物は本発明の化合物を含み、好ましくは重合開始剤を含有する。重合開始剤としては、熱重合開始剤及び光重合開始剤が挙げられる。
【0052】
上記熱重合開始剤の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイト、メチルイソブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物やアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤が挙げられる。
【0053】
上記光重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ベンジル類、ベンゾインエーテル類、ベンジルジケタール類、チオキサントン類、アシルホスフィンオキサイド類、アシルホスフィン酸エステル類、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族ヨードシル塩、芳香族スルホキソニウム塩、メタロセン化合物等が挙げられる。
【0054】
本発明の組成物は、耐熱性や機械物性等に悪影響を与えない限りにおいて他の重合性モノマーを含んでもよい。そのような重合性モノマーの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エチレングリコール ジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオール ジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール ジ(メタ)アクリレート、アダマンタン−1,3−ジオール ジ(メタ)アクリレート、アダマンタン−1,3−ジメタノール ジ(メタ)アクリレート、アダマンタン−1,3−ジエタノール ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール テトラアクリレート、ジペンタエリスリトール ヘキサアクリレート等が挙げられる。
【0055】
本発明の組成物は、さらにバインダーポリマーを含んでいてもよい。バインダーポリマーとしては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。アルカリ現像性の見地からは、アクリル系樹脂が好ましい。これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0056】
バインダーポリマーは、例えば、重合性単量体をラジカル重合させることにより製造することができる。上記重合性単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン等の重合可能なスチレン誘導体、アクリルアミド、アクリロニトリル、ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエステル類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル、フマール酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0057】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、これらの構造異性体等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0058】
本発明の組成物には、さらに必要に応じて、従来から用いられている、例えば、硬化促進剤、劣化防止剤、変性剤、シランカップリング剤、脱泡剤、無機粉末、溶剤、レベリング剤、離型剤、染料、及び顔料等公知の各種添加剤を添加してもよい。
【0059】
上記硬化促進剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、トリス(2,4,6−ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン類、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−o,o−ジエチルホスホロジチオエート等のリン化合物、4級アンモニウム塩、有機金属塩類、及びこれらの誘導体等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、あるいは、併用してもよい。これら硬化促進剤の中では、3級アミン類、イミダゾール類及びリン化合物を用いることが好ましい。
【0060】
劣化防止剤としては、例えば、フェノール系化合物、アミン系化合物、有機硫黄系化合物及びリン系化合物等の、従来から公知の劣化防止剤が挙げられる。劣化防止剤を添加すると、本発明の組成物における耐熱性や透明性等の特性を保持することができる。
【0061】
変性剤としては、例えば、グリコール類、シリコーン類、アルコール類等の、従来から公知の変性剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、例えば、シラン系、チタネート系等の、従来から公知のシランカップリング剤が挙げられる。脱泡剤としては、例えば、シリコーン系等の、従来から公知の脱泡剤が挙げられる。無機粉末としては、用途に応じて粒径が数nm〜10μmのものが使用でき、例えば、ガラス粉末、シリカ粉末、チタニア、酸化亜鉛及びアルミナ等の公知の無機粉末が挙げられる。溶剤としては、樹脂成分が粉末の場合や、コーティングの希釈溶剤として、トルエンやキシレン等の芳香族系溶剤やメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤等を使用することができる。
【0062】
本発明の硬化物は、上記組成物を熱硬化又は光硬化することにより得ることができる。
熱硬化温度は通常30〜200℃程度、好ましくは50〜150℃である。30℃以上とすることにより硬化不良となることがなく、200℃以下とすることにより着色等を生じることがなくなる。硬化時間は使用するアダマンタン化合物や重合開始剤等によって異なるが、0.5〜6時間程度が好ましい。
【0063】
光硬化においては、例えば紫外線の照射により硬化物を得ることができる。紫外線の照射光量はアダマンタン化合物や重合開始剤の種類、硬化物の膜厚等の諸条件により異なるが、通常、100〜5000mJ/cm程度、好ましくは500〜4000mJ/cmである。紫外線照射後に後加熱を行ってもよく、70〜200℃程度で0.5〜12時間程度行うことが好ましい。
【0064】
また、本発明の硬化物は屈折率が低く、耐擦傷性、表面硬度等に優れるため、反射防止膜に好適に用いることができる。
【実施例】
【0065】
合成例1
パーフルオロアダマンタン−1−オールの合成
動力撹拌装置、窒素ガス導入管、フッ素ガス導入管がそれぞれ付いた10L反応器に1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン5Lを入れた。反応器を0〜10℃に保持し、窒素流量を2L/分、フッ素流量を500mL/分にセットした。2分後、予め用意していた酢酸アダマンタン−1−オール194g[FW(式量):194.27、1.0mol]の1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン溶液600mLを30mL/時の速度で加えた。
添加完了後(20時間)、窒素流量を1.2L/分、フッ素流量を300mL/分にそれぞれ下げ、さらに1時間継続した後、フッ素を停止した。窒素パージ後、水を加えて加水分解した。反応混合液は定法により処理し、晶析により目的のパーフルオロアダマンタン−1−オールを得た[FW:422.09、341g、0.808mol、単離収率80.8%]。
【化16】

【0066】
・核磁気共鳴分光法(NMR):(溶媒:クロロホルム−d) 日本電子株式会社製 JNM−ECA500
H−NMR:2.27(s,1H,OH)
19F−NMR:−221.99(s,3F),−120.76(s,12F)
・ガスクロマトグラフ−質量分析(GC−MS):EI(株式会社島津製作所製 GCMS−QP2010):422(M+,8.9%),403(19.9%),203(100%),131(44.3%),69(50.0%)
【0067】
合成例2
1,10−ジグリシジルオキシ−1H,1H,10H,10H−パーフルオロデカンの合成
還流冷却管、攪拌機、温度計を備え付けた1000mL4つ口フラスコに1H,1H,10H,10H−パーフルオロデカンジオール(米国エクスフルオラ社製)[MW:462.13,104.0g,225mmol]、エピクロロヒドリン[MW:92.52,333.07g,3600mmol]及びテトラエチルアンモニウムブロミド[MW:210.16,31.20g]を量りとり、攪拌しながらオイルバスにて40℃に昇温した。
ここに、水酸化ナトリウムを反応液の温度が45℃を越えないようにゆっくり添加した。添加後、40℃に保ちながら2時間加熱攪拌した。冷却後、反応液を2L分液ロートに移し替え、酢酸エチル1000mL,純水300mL,0.5N塩酸,飽和炭酸水素ナトリウム水,飽和食塩水の順で酢酸エチル層を洗浄した。
有機層を分取後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、酢酸エチルを留去することで、粗体を得た。これを蒸留精製することで目的の1,10−ジグリシジルオキシ−1H,1H,10H,10H−パーフルオロデカン[MW:574.25,91.20g,収率70.6%]を得た。
【0068】
合成例3
1,12−ジグリシジルオキシ−1H,1H,12H,12H−パーフルオロドデカンの合成
1H,1H,10H,10H−パーフルオロデカンジオールの代わりに、1H,1H,12H,12H−パーフルオロドデカンジオール(米国エクスフルオラ社製)[MW:562.14,126.48g,225mmol]を用いた以外は合成例2と同様に合成を行い、目的の1,12−ジグリシジルオキシ−1H,1H,12H,12H−パーフルオロデカン[MW:674.27,114.69g,収率75.6%]を得た。
【0069】
実施例1
1,10−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)1H,1H,10H,10H−パーフルオロデカンの合成
還流管を取り付けた500mLの4つ口ナスフラスコに、合成例1で得られたパーフルオロアダマンタン−1−オール105.52g[250mmol]、合成例2で得られた1,10−ジグリシジルオキシ−1H,1H,10H,10H−パーフルオロデカン71.78g[125mmol]、トルエン190mL、テトラエチルアンモニウムブロミド42.21gを加えた。
【0070】
撹拌開始後、オイルバスを130℃に加熱し、12時間反応を行なった。室温まで冷却した後、トルエン層をデカンテーション、残渣にトルエン190mLを加え、65℃で攪拌した後、室温まで冷却し、静置後再びトルエン層をデカンテーションした。残渣に酢酸エチル700mL加えた後、300mLの飽和食塩水で3回洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧留去することで目的の1,10−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)1H,1H,10H,10H−パーフルオロデカン176.73g[MW:1418.44,収率99.7%]を得た。
【化17】

【0071】
・ガスクロマトグラフ−質量分析(GC−MS):EI(株式会社島津製作所製 GCMS−QP2010)
512(14.0%),501(44.0%),487(4.2%),477(4.5%),475(12.1%),472(9.7%),465(5.3%),449(4.2%),435(3.9%),420(2.0%),408(13.6%),95(6.5%),87(6.5%),81(5.4%),73(14.3%),69(16.3%),63(9.8%),59(6.3%),57(100%),51(5.7%),45(22.0%),43(68.0%)
・核磁気共鳴スペクトル(溶媒:クロロホルムーd)日本電子株式会社製 JNM−ECA500
H−NMR(500MHz):4.31(d,J=5.2Hz,2H),3.95−4.10(m,4H),3.77(d,J=4.6Hz,2H)
13C−NMR(125MHz):68.5,68.9,71.2,72.3
19F−NMR(465MHz、内標フルオロベンゼン:−113.0ppm):−222.2,−123.6,−122.1,−122.0,−121.0,−119.7,−117.5
【0072】
実施例2
1,12−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)1H,1H,12H,12H−パーフルオロドデカンの合成
1,10−ジグリシジルオキシ−1H,1H,10H,10H−パーフルオロデカンの代わりに合成例3で得られた1,12−ジグリシジルオキシ−1H,1H,12H,12H−パーフルオロドデカン84.28g[125mmol]を用いた他は、実施例1と同様の操作を行うことで、目的の1,12−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)1H,1H,12H,12H−パーフルオロドデカン180.13g[MW:1518.45,収率94.9%]を得た。
【化18】

【0073】
・核磁気共鳴スペクトル(溶媒:クロロホルムーd)日本電子株式会社製 JNM−ECA500
H−NMR(500MHz):4.31(d,J=5.2Hz,2H),3.95−4.10(m,4H),3.77(d,J=4.6Hz,2H)
13C−NMR(125MHz):68.6,68.9,71.2,72.2
19F−NMR(465MHz、内標フルオロベンゼン:−113.0ppm):−222.0,−123.4,−122.0,−121.8,−120.9,−119.5,−117.4
【0074】
実施例3
1,10−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,10H,10H−パーフルオロデカンの合成
攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートを取り付けた1000mL4つ口フラスコに実施例1で得られた1,10−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)1H,1H,10H,10H−パーフルオロデカン59.58g[42mmol]をとり、クロロホルム450mLとトリエチルアミン19.12g[MW:101.19,189mmol]に溶解させ、反応容器を氷浴に浸した。
次いでアクリル酸クロリド17.10g[MW:90.51,189mmol]を、反応系内の温度が10℃を超えないように滴下ロートよりフラスコ内に滴下した。滴下0.5時間後、さらにトリエチルアミン9.56gを加えた後、再びアクリル酸クロリド8.55gを反応系内の温度が10℃を超えないように滴下した。
【0075】
滴下終了後、氷浴化で1時間攪拌した。2L分液ロートに移し替えた後、クロロホルム500mL、純水500mL及び飽和食塩水200mLを加え、攪拌、静置した後、水層を分液した。その後、有機層をアンモニア水、希塩酸、炭酸水素ナトリウム水、飽和食塩水の順で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水、エバポレーターにて溶媒を留去することで、目的の1,10−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,10H,10H−パーフルオロデカン56.46g[MW:1526.53,収率88.1%]を得た。
【化19】

【0076】
・核磁気共鳴スペクトル(溶媒:クロロホルム−d)日本電子株式会社製 JNM−ECA500
H−NMR(500MHz):6.45(dd,J=17.4,1.3Hz,1H),6.12(dd,17.4Hz,10.7Hz,1H),5.90(dd,J=10.7,1.3Hz,1H),5.25(m,1H),
4.45(m,2H),3.82−4.07(m,4H)
13C−NMR(125MHz):68.6,68.7,69.6,70.0,127.5,132.2,165.1
19F−NMR(465MHz、内標フルオロベンゼン:−113.0ppm):−223.7,−124.1,−122.7,−122.5,−121.6,−120.2,−118.1
・ガスクロマトグラフ−質量分析(GC−MS):EI(株式会社島津製作所製 GCMS−QP2010):977(0.1%),555(1.0%),533(3.2%),461(2.7%),448(1.3%),68(13.0%),55(100%)
【0077】
実施例4
1,12−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,12H,12H−パーフルオロドデカンの合成
1,10−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)1H,1H,10H,10H−パーフルオロデカンの代わりに、実施例2で得られた1,12−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)1H,1H,12H,12H−パーフルオロドデカン63.77g[42mmol]を用いた他は、実施例3と同様の操作を行い、目的の1,12−ビス(3−(1−パーフルオロアダマンチルオキシ)−2−アクリロイルオキシプロポキシ)1H,1H,12H,12H−パーフルオロドデカン54.72g[MW:1626.54,収率80.1%]を得た。
【化20】

【0078】
・核磁気共鳴スペクトル(溶媒:アセトニトリルーd)日本電子株式会社製 JNM−ECA500
H−NMR(500MHz):6.46(dd,J=17.2,4.0Hz,1H),6.13(dd,17.2Hz,10.9Hz,1H),5.91(dd,J=10.9,4.0Hz,1H),5.25(m,1H),4.46(m,2H),3.82−4.07(m,4H)
13C−NMR(125MHz):68.6,68.7,69.6,70.0,127.5,132.3,165.1
19F−NMR(465MHz、内標フルオロベンゼン:−113.0ppm):−223.7,−123.4,−122.0,−121.7,−121.3,−120.9,−119.4,−117.4
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の化合物は、液晶、有機EL等のディスプレイ用反射防止膜の低屈折率層、光ファイバー、光導波路、体積ホログラム、各種レンズ類に好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で表される化合物。
【化21】

(式中、Xはそれぞれ単結合、カルボニル基、−(CF−(CH−、又は−(CF−CO−であり、Yはそれぞれ、水酸基、又は下記式(II)〜(IV)のいずれかで表される重合性基であり、Zは下記式(V)で表される二価の基である。Aはフッ素原子であるか、又は2つのAがオキソ基を形成する。Aは水素原子又はフッ素原子である。nは0〜4の整数、mは1〜2の整数である。)
【化22】

(式中、Rは水素原子、フッ素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基であり、Rは炭素数1〜5の炭化水素基又はパーフルオロアルキル基であり、Rfはエーテル結合を含んでいてもよい炭素数2〜20のフッ素含有炭化水素基であり、pはそれぞれ0〜4の整数である。ただし、Rfはパーフルオロアダマンタンジイル基を含まない。)
【請求項2】
前記Xが単結合である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
下記式(I−2)で表わされる化合物と、下記式(II’)〜(IV’)のいずれかで表わされる重合性基を有する化合物を反応させる、下記式(I−1)で表わされる化合物の製造方法。
【化23】

(式中、Xはそれぞれ単結合、カルボニル基、−(CF−(CH−、又は−(CF−CO−であり、Zは下記式(V)で表される二価の基である。Aはフッ素原子であるか、又は2つのAがオキソ基を形成する。Aは水素原子又はフッ素原子である。nは0〜4の整数、mは1〜2の整数である。)
【化24】

(式中、Rfはエーテル結合を含んでいてもよい炭素数2〜20のフッ素含有炭化水素基であり、pはそれぞれ0〜4の整数である。ただし、Rfはパーフルオロアダマンタンジイル基を含まない。)
【化25】

(式中、Rは水素原子、フッ素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基であり、Rは炭素数1〜5の炭化水素基又はパーフルオロアルキル基であり、Lは水酸基、ハロゲン原子、又は(メタ)アクリロイルオキシ基であり、Qはハロゲン原子であり、Qはハロゲン原子、又は脱離基である。)
【化26】

(式中、X、Z、A及びAは上記と同じである。Yはそれぞれ、下記式(II)〜(IV)のいずれかで表される重合性基である。)
【化27】

(式中、R、R、Rf及びpは上記と同じである。)
【請求項4】
下記式(VII)で表される化合物と、下記式(VIII)で表される含フッ素アダマンタン化合物とを反応させる、下記式(I−2)で表される化合物の製造方法。
【化28】

(式中、Zは下記式(V)で表される二価の基であり、Xは単結合、カルボニル基、−(CF−(CH−、又は−(CF−CO−である。Aはフッ素原子であるか、又は2つのAがオキソ基を形成する。Aは水素原子又はフッ素原子である。Lは、水素原子又は金属イオンである。nは0〜4の整数、mは1〜2の整数である。
【化29】

(式中、Rfはエーテル結合を含んでいてもよい炭素数2〜20のフッ素含有炭化水素基であり、pはそれぞれ0〜4の整数である。ただし、Rfはパーフルオロアダマンタンジイル基を含まない。))
【化30】

(式中、X、Z、A及びAは上記と同じである。)
【請求項5】
請求項1又は2に記載の化合物を含有する樹脂組成物。
【請求項6】
熱又は光重合開始剤を含有する請求項5に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の樹脂組成物から得られる硬化物及び反射防止膜。

【公開番号】特開2012−171930(P2012−171930A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36300(P2011−36300)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】