説明

含水有機廃棄物の乾燥及び造粒システム

【課題】含水有機廃棄物を効率よく乾燥及び造粒させ、ハンドリング性の良好な乾燥処理物を安価に、かつ容易に得ることができるシステムを提供すること。
【解決手段】含水有機廃棄物を貯蔵する貯蔵タンク2と、過熱水蒸気を発生させる過熱水蒸気発生装置3と、前記貯蔵タンクから供給された含水有機廃棄物Wと前記過熱水蒸気発生装置から供給された過熱水蒸気Sとを直接接触させながら含水有機廃棄物を破砕乾燥する破砕気流乾燥機4と、前記破砕気流乾燥機により破砕乾燥された有機廃棄物を造粒する造粒機9とを備える含水有機廃棄物の乾燥及び造粒システム1とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含水有機廃棄物、特に下水汚泥、製紙スラッジ、食品汚泥等の含水有機汚泥を乾繰及び造粒させるシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下水汚泥、製紙スラッジ、食品汚泥等の含水有機汚泥の大部分は、そのまま埋め立てたり、焼却後に埋め立てたりしていた。しかし、埋め立て処理は簡単ではあるが、埋立地の環境破壊に繋がる虞があるため好ましくなく、しかも、埋立地が年々少なくなっているのが現状である。そこで、含水有機汚泥等の含水有機廃棄物を乾燥させ、燃料として再利用する試みがなされ、種々のシステムが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、外気に対して気密保持された空間で泥状物を回転する受け皿の中に落下させる工程と、受け皿に溜まった泥状物を受け皿と一体的に回転させて周囲に飛散させ、受け皿を包囲する障壁に衝突付着させる工程と、飛散する泥状物及び障壁に付着した泥状物に過熱水蒸気と燃焼排ガスの混合ガスを吹き付け、泥状物を膨化及び乾燥させる工程と、障壁に付着した乾燥物を受け皿の下に配置したすり鉢型のスクレパーで掻き取り、掻き取った乾燥物をスクレパーの底部に設けた孔から下に落下させる工程とを備える泥状物の乾燥システムが提案されている。
【0004】
また、特許文献2には、乾燥熱源として過熱水蒸気のみを用い、内部に複数の乾燥床面を備え、各々の乾燥床面に回転するレーキを配置し、上部の供給部から供給された汚泥等の被乾燥物が、回転レーキで混合攪拌されながら、上段から下段へと移動し、循環する過熱水蒸気と直接接触しながら乾燥した後、下部の排出口から排出させる過熱水蒸気循環型の乾燥システムが提案されている。
【0005】
さらに、特許文献3には、含水有機性汚泥を脱水処理して有機性脱水ケーキとし、これを、二軸ミキサーにより混合造粒した後、該造粒物を熱風並流式回転乾燥ドラムにより乾燥するシステムが提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開2005−114327号公報
【特許文献2】特開2006−308162号公報
【特許文献3】特開平11−217576号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、先ず上記特許文献1において提案された泥状物の乾燥方法では、泥状物を乾燥させるにあたって、過熱水蒸気と燃焼排ガスとの混合ガスを利用しているため、泥状物を乾燥した後の処理ガス量が大量となり、処理コストが高騰するとともに、燃焼排ガスに含まれる酸素によって乾燥装置等が爆発する懸念もあった。また、乾燥処理物はわた状の嵩だかいものとなり、輸送、保管等のハンドリング性において問題を有するものであった。
【0008】
また、特許文献2において提案された技術においては、過熱水蒸気のみを用いるため、乾燥後の処理ガス量が低下し、ガス処理に要するコストを低減することができるとともに、乾燥用熱ガスに酸素が含まれないため、乾燥装置等の爆発の虞もないものとはなるが、該技術においては、被乾燥物が、乾燥床面に載置された状態で回転するレーキによって混合攪拌されながら、乾燥床面の上段から下段へと移動して乾燥するものであるため、被乾燥物と過熱水蒸気との接触面積が比較的小さく、乾燥効率が必ずしも高いとは言えず、装置が大掛かりなものとなり、装置コスト及び運転コスチが高騰するという問題があった。また、上記特許文献1の技術と同様に、乾燥処理物は嵩だかいものとなるため、輸送、保管等のハンドリング性において問題を有するものであった。
【0009】
また、特許文献3に開示されたシステムにおいては、被乾燥物を造粒した後に乾燥させるものであるため、乾燥時における粉塵爆発が生じ難く、また、乾燥処理物は造粒された粒状のものであるため、ハンドリング性の良好なものが得られるシステムではあるが、造粒物の乾燥は、水分が造粒物中に閉じ込められた状態となるために効率が悪く、大掛かりな乾燥装置が必要となるため、やはり装置コスト及び運転コスチが高騰するという問題があった。
【0010】
本発明は、上述した背景技術が有する種々の問題点に鑑みて成されたものであって、その目的は、含水有機廃棄物を効率よく乾燥及び造粒させ、ハンドリング性の良好な乾燥処理物を安価に、かつ容易に得ることができる含水有機廃棄物の乾燥及び造粒システムを提供することにある。
【0011】
上記した目的を達成するため、本発明は、次の〔1〕〜〔4〕に記載の含水有機廃棄物の乾燥及び造粒システムとした。
〔1〕 含水有機廃棄物を貯蔵する貯蔵タンクと、過熱水蒸気を発生させる過熱水蒸気発生装置と、前記貯蔵タンクから供給された含水有機廃棄物と前記過熱水蒸気発生装置から供給された過熱水蒸気とを直接接触させながら含水有機廃棄物を破砕乾燥する破砕気流乾燥機と、前記破砕気流乾燥機により破砕乾燥された有機廃棄物を造粒する造粒機とを備えることを特徴とする、含水有機廃棄物の乾燥及び造粒システム。
〔2〕 上記含水有機廃棄物が、下水汚泥、製紙スラッジ、食品汚泥等の含水有意汚泥であることを特徴とする、上記〔1〕に記載の含水有機廃棄物の乾燥及び造粒システム。
〔3〕 上記破砕気流乾燥機が、鎖打撃式、棒打撃式等の打撃方式の破砕気流乾燥機であることを特徴とする、上記〔1〕又は〔2〕に記載の含水有機廃棄物の乾燥及び造粒システム。
〔4〕 上記造粒機が、攪拌造粒式の二軸ミキサーであることを特徴とする、上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の含水有機廃棄物の乾燥及び造粒システム。
【0012】
上記した本発明によれば、破砕気流乾燥機によって含水有機廃棄物と単位体積当たりの保有熱量の大きな過熱水蒸気とを直接接触させ、含水有機廃棄物を破砕しながら乾燥させるため、含水有機廃棄物と過熱水蒸気との接触面積を大幅に増加させながら効率よく含水有機廃棄物を乾燥させることができ、また、破砕乾燥後の有機廃棄物を造粒機によって造粒するため、ハンドリング性の良好な有機廃棄物を得ることができる。
【0013】
ここで、上記本発明に係る含水有機廃棄物の乾燥及び造粒システムにおいて、上記破砕気流乾燥機から排出された過熱水蒸気を、循環ルートを設けることにより該破砕気流乾燥機に戻す構成とすることは、熱量の損失が少なく、さらに熱効率の高いシステムを構築できるために好ましい。また、上記循環ルートに余剰の水蒸気を排出する排出部を設け、該排出部から排出された水蒸気を処理する凝縮器或いは燃焼炉等を設けた構成とすれば、循環する水蒸気量を定量に保つことができるとともに、含水有機廃棄物から発生した揮発成分、臭気成分等の大気中への拡散を防ぐことができるために好ましい。
【発明の効果】
【0014】
上記した本発明によれば、含水有機廃棄物を効率よく乾燥及び造粒でき、ハンドリング性の良好な有機廃棄物を安価に、かつ容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る含水有機廃棄物の乾燥及び造粒システムの実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る含水有機廃棄物の乾燥及び造粒システムの一実施の形態を示したフロー図であって、この乾燥及び造粒システム1は、含水有機廃棄物を貯蔵する貯蔵タンク2と、過熱水蒸気を発生させる過熱水蒸気発生装置3と、前記含水有機廃棄物Wと過熱水蒸気Sとを直接接触させながら、含水有機廃棄物Wを破砕乾燥させる破砕気流乾燥機4と、含水有機廃棄物Wを前記破砕気流乾燥機4に供給する供給装置5と、過熱水蒸気Sを前記破砕気流乾燥機4に供給するブロワ6と、破砕気流乾燥機4の排気を固気分離するサイクロン7と、サイクロン7から排出される過熱水蒸気S’に含まれるダストを回収するバグフィルタ8と、サイクロン7及びバグフィルタ8から回収された乾燥有機廃棄物W’を造粒する造粒機9と、造粒された乾燥造粒有機廃棄物W”を貯蔵する貯蔵タンク10と、過熱水蒸気S’を循環させる循環ブロワ11とで主に構成されている。
【0017】
含水有機廃棄物の貯蔵タンク2は、受け入れた含水有機廃棄物Wを貯蔵するために設けられる。含水有機廃棄物Wとしては、例えば40質量%以上の水分を含む高含水の下水汚泥、製紙スラッジ、食品汚泥等の含水有機汚泥が対象となる。この貯蔵タンク2には、下部に含水有機廃棄物Wを破砕気流乾燥機4に供給するためのスクリューフィーダ等の供給装置5が付設されている。
【0018】
過熱水蒸気発生装置3は、本実施の形態においては、運転初期において過熱水蒸気Soを発生させるボイラー3aと、該過熱水蒸気S0及び循環する過熱水蒸気S’を所望の温度に加熱する熱交換器3bとから構成されている。ボイラー3aとしては、例えばセメント焼成設備からの廃熱を利用して過熱水蒸気Soを発生させる廃熱ボイラーを利用することができる。また、熱交換器3bとしては、同じくセメント焼成設備からの廃熱を利用したプレート式熱交換器が好適に使用できる。ブロワ6は、上記過熱水蒸気発生装置3の水蒸気排出側に設けられ、過熱水蒸気Sを破砕気流乾燥機4に供給する。なお、過熱水蒸気Sを循環使用しない場合は、過熱水蒸気発生装置3としては、ボイラー3aのみであっても良い。
【0019】
破砕気流乾燥機4は、上記貯蔵タンク2から供給された含水有機廃棄物Wを、破砕しながら上記過熱水蒸気発生装置3から供給される過熱水蒸気Sによって乾燥させるために備えられる。この破砕気流乾燥機4としては、例えば鎖打撃式の破砕気流乾燥機が使用される。鎖打撃式の破砕気流乾燥機4は、上部に含水有機廃棄物Wの供給口4aと、下部に過熱水蒸気発生装置3からの過熱水蒸気Sの供給口4bとを備え、含水有機廃棄物Wと過熱水蒸気Sとを向流で直接接触させる。また、内部には、回転軸4cと、この回転軸4cに固定され、回転軸4cの回転とともに遠心力によって水平方向に延伸して回転し、含水有機廃棄物Wを破砕する複数の打撃チェーン4dを備える。なお、鎖(打撃チェーン)の代わりに丸棒等を回転軸に水平に取付けた棒打撃式の破砕気流乾燥機もある。
【0020】
破砕気流乾燥機には、上記鎖打撃式、棒打撃式等の打撃方式の破砕気流乾燥機の他、ケージミル式又は旋回式の破砕気流乾操機がある。ケージミル式の破砕気流乾燥機は、互いに反転する破砕ケージを備えた乾燥機であり、旋回式の破砕気流乾燥機は、施回気流を用いた破砕気流乾燥機である。しかし、これらの方式の破砕気流乾操機に比して、上記した鎖打撃式、棒打撃式等の打撃方式の破砕気流乾燥機は、効果的に含水有機廃棄物Wを破砕しながら乾燥できるため、本発明において特に好適に使用することができる。
【0021】
サイクロン7は、上記破砕気流乾燥機4における破砕乾燥によって得られた乾燥有機廃棄物W’を回収するために備えられ、バグフィルタ8は、サイクロン7の排出ガス中のダストを回収するために備えられる。なお、サイクロン7は、図示のような1段に限定されず、多段とすることも可能であり、その場合には、後段でより細かなダストを捕集するため、後のサイクロン程サイクロン径を小さくするのが普通である。但し、そのように構成した場合には、風量を十分に確保することができない虞もあるので、マルチサイクロンを採用することもできる。また、サイクロン7出口の徴粉ダストが悪影響を及ぼすことがない程度に低濃度であれば、バグフィルタ8は省略可能であるが、その場合にも、余剰水蒸気S”を排出するのであれば、後述する余剰水蒸気排出部13の下流側にバグフィルタが必要となる。
【0022】
造粒機9は、上記サイクロン7及びバグフィルタ8から回収された乾燥有機廃棄物W’をハンドリング性が良好な粒径まで造粒するために備えられる。造粒機9として、例えば攪拌造粒式の二軸ミキサーが使用される。この攪拌造粒式の二軸ミキサーは、原料が供給される処理槽9aと、この処理槽9a内に互いに平行に配設され且つ逆方向に回転する2本の回転軸9bと、これらの回転軸9bに各々固定された複数のバドル9cとを備えている。そして、処理槽内に供給された原料は、互いに逆方向に回転する2本の回転軸に設けられたバドル9cの作用により、満遍なく確実に混練されることとなり、次第に粒状化され、所定時間経過後に造粒物として底部の排出口から排出される。
【0023】
造粒機には、上記した攪拌造粒式の造粒機の他、転動造粒式、圧縮造粒式、流動層造粒式等がある。転動造粒式は、回転ドラムなどの回転容器において原料粉体を転がしながら結合剤液を散布し、雪だるま式に凝集を進め造粒させるものである。圧縮造粒式は、回転する二つのロール間で、原料粉体を圧縮し成形するものである。流動層造粒式は、下から吹き上げる流体中に粉体を浮遊させ懸濁させながら結合材を噴霧して造粒するものである。上記のように多種の造粒法が知られている中で、本実施の形態において用いた上記攪拌造粒式の二軸ミキサーは、構造が簡単で処理量が大きく、乾燥有機廃棄物W’の造粒に適しているため、特に本発明において好適に用いられる。
【0024】
乾燥造粒有機廃棄物の貯蔵タンク10は、上記造粒機9により造粒された乾燥造粒有機廃棄物W”を貯蔵するために設けられる。また、循環ブロワ11及び循環ダクト12は、破砕気流乾燥機4から排出され、サイクロン7及びバグフィルタ8によって乾燥有機廃棄物W’から分離された過熱水蒸気S’を、過熱水蒸気発生装置3の熱交換器3bを介して再び破砕気流乾燥機4に戻すために設けられる。
【0025】
余剰水蒸気排出部13は、上記閉回路を構成する循環ダクト12に設けられ、余剰水蒸気S”を排出するために備えられ、余剰水蒸気排出部13の後段には、余剰水蒸気排出部13から排出された余剰水蒸気S”中の揮発成分、臭気成分等を処理するために水蒸気を凝縮し、液体に戻して回収する凝縮器(図示せず)が配置される。
【0026】
次に、上記構成を有する本発明に係る乾燥及び造粒システムの動作について、図1を参照しながら説明する。
【0027】
先ず、受け入れた含水有機廃棄物Wを貯蔵タンク2に一時的に貯蔵するとともに、セメント焼成設備の廃熱等を利用して運転されるボイラー3aによって過熱水蒸気Soを発生させ、該過熱水蒸気Soを熱交換器3bにより所望の温度まで加熱する。即ち、過熱水蒸気発生装置3によって過熱水蒸気Sを発生させる。
【0028】
続いて、破砕気流乾燥機4の上部供給口4aから、上記貯蔵タンク2からの含水有機廃棄物Wを供給装置5を介して供給するとともに、破砕気流乾燥機4の下部供給口4bから、上記過熱水蒸気発生装置3からの過熱水蒸気Sをブロワ6を介して導入する。この過熱水蒸気Sの温度は、200℃〜500℃程度であるため、単位体積当たりの保有熱量が大きく、含水有機廃棄物Wを乾燥させるのに十分な熱量を有する。また、破砕気流乾燥機4では、含水有機廃棄物Wと過熱水蒸気Sとが向流で直接接触するとともに、破砕気流乾換機4の内部に設けられた打撃チェーン4dによって含水有機廃棄物Wを破砕しながら乾燥させるため、含水有機廃棄物Wは、その比表面積を増加させながら表面から乾燥することとなる。そのため、比表面積の増加による乾燥効率の向上に加え、含水有機廃棄物Wの表面乾燥によって破砕効率も合わせて向上することとなり、従来に比較して全体的な乾燥効率が飛躍的に向上する。また、酸素を含まない過熱水蒸気Sを用いているため、破砕気流乾燥機4等の爆発の虞もない。
【0029】
次に、サイクロン7及びバグフィルタ8によって、破砕気流乾燥機4で破砕乾燥させた乾燥有機廃棄物W’を回収し、回収した乾燥有機廃棄物W’を造粒機9に投入して造粒する。造粒機9においては、互いに逆方向に回転する2本の回転軸9bにそれぞれ設けられたバドル9cの作用により、乾燥有機廃棄物W’は満遍なく確実に混練されることとなり、次第に粒状化され、所定時間経過後に造粒物として底部の排出口から排出される。造粒物の粒径は、使用目的によって種々の粒径に設定することができ、この際必要に応じて、液体のバインダーを適量造粒機9に投入してもよく、また、造粒の核となる含水有機廃棄物Wを、貯蔵タンク2から一部直接造粒機9に投入する構成としてもよい。
【0030】
造粒機9により造粒された乾燥造粒有機廃棄物W”は、貯蔵タンク10に一時的に貯蔵され、その後搬送されて、例えばセメント焼成設備の燃料として利用することができる。燃料としての利用に際しては、セメントキルンのメインバーナーより、微粉炭に代えて、或いは微粉炭と混合した状態で吹き込むことができる。この場合の乾燥造粒有機廃棄物W”は、2mm〜15mmに造粒されていれば、ハンドリング性及び吹き込み性において良好なものとなる。また、メインバーナー以外の場所からセメントキルン内に投入しても良く、また、造粒したものを再度粉砕してから投入しても良い。
【0031】
一方、サイクロン7及びバグフィルタ8によって乾燥有機廃棄物W’から分離された過熱水蒸気S’は、循環ブロワ11及び循環ダクト12によって、過熱水蒸気発生装置3の熱交換器3bに戻され,ここで加熱されて所望の高温度の過熱水蒸気Sとされた後、再び破砕気流乾燥機4に戻される。これによって、過熱水蒸気Sを循環させ、破砕気流乾燥機4内を流れる過熱水蒸気量を確保するとともに、熱量の損失を抑え、熱効率の高いシステムを構築している。
【0032】
また、循環ダクト12に滞留する余剰水蒸気S”は、余剰水蒸気排出部13を介して適宜外部に排出し、凝縮器(図示せず)によって液体に戻して回収する構成とすることにより、循環する水蒸気量を定量に保つことができるとともに、含水有機廃棄物Wから発生した揮発成分、臭気成分等の大気中への拡散を防ぐことができる。なお、余剰水蒸気S”は、燃焼炉等で加熱して脱臭処理を行うこともできる。
【0033】
以上、本発明に係る含水有機廃棄物の乾燥及び造粒システムの実施の形態について説明したが、本発明は、何ら既述の実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した本発明の技術的思想の範囲内において、種々の変形及び変更が可能であることは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明にかかる含水有機廃棄物の乾燥及び造粒システムの一実施の形態を示したフロー図である。
【符号の説明】
【0035】
1 乾燥及び造粒システム
2 含水有機廃棄物の貯蔵タンク
3 過熱水蒸気発生装置
3a ボイラー
3b 熱交換器
4 破砕気流乾燥機
5 供給装置
6 ブロワ
7 サイクロン
8 バグフィルタ
9 造粒機
10 乾燥造粒有機廃棄物の貯蔵タンク
11 循環ブロワ
12 循環ダクト
13 余剰水蒸気排出部
S 過熱水蒸気
W 含水有機廃棄物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
含水有機廃棄物を貯蔵する貯蔵タンクと、過熱水蒸気を発生させる過熱水蒸気発生装置と、前記貯蔵タンクから供給された含水有機廃棄物と前記過熱水蒸気発生装置から供給された過熱水蒸気とを直接接触させながら含水有機廃棄物を破砕乾燥する破砕気流乾燥機と、前記破砕気流乾燥機により破砕乾燥された有機廃棄物を造粒する造粒機とを備えることを特徴とする、含水有機廃棄物の乾燥及び造粒システム。
【請求項2】
上記含水有機廃棄物が、下水汚泥、製紙スラッジ、食品汚泥等の含水有機汚泥であることを特徴とする、請求項1に記載の含水有機廃棄物の乾燥及び造粒システム。
【請求項3】
上記破砕気流乾燥機が、鎖打撃式、棒打撃式等の打撃方式の破砕気流乾燥機であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の含水有機廃棄物の乾燥及び造粒システム。
【請求項4】
上記造粒機が、攪拌造粒式の二軸ミキサーであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の含水有機廃棄物の乾燥及び造粒システム。

【図1】
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【公開番号】特開2009−202078(P2009−202078A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45668(P2008−45668)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000000240)太平洋セメント株式会社 (1,449)
【Fターム(参考)】