説明

含水物乾燥装置

【課題】含水物を連続的に装置内に供給しながら乾燥物を連続的に装置外に排出する連続処理方式を採用した含水物乾燥装置において、含水率が十分に低くなるまで含水物を乾燥させることを可能にする手段を提供する。
【解決手段】本発明に係る含水物乾燥装置は、減圧された状態の内部に含水物が供給され、該含水物を加熱しながら一定方向に搬送する乾燥機本体部13と、該乾燥機本体部13の含水物搬送方向に沿って下流側にその内部を乾燥機本体部13の内部と連通させて設けられるとともに、含水物を排出する排出口3を気密に閉塞可能であって且つ開放可能な開閉機構を有する貯留ホッパ部14と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分を含んだ含水物を減圧環境下で加熱することで乾燥させる含水物乾燥装置に関し、特に、含水物の連続した供給と乾燥後の乾燥物の連続した排出が可能な含水物乾燥装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種バイオマスや廃棄物等の含水物を減圧環境下で加熱することで乾燥させる手段として、含水物乾燥装置が従来用いられている。この含水物乾燥装置は、密閉された装置内を減圧することによって沸点を下げ、その装置内に供給した含水物を低温で乾燥させるものである。ここで、含水物乾燥装置における被処理物としての含水物の処理方式の一種として、バッチ処理方式が挙げられる。このバッチ処理方式とは、所定量の含水物を装置内に供給した後、乾燥処理が完了するまで含水物を装置外に取り出さず、含水物を撹拌して均一な状態に保ちながら乾燥させる方式である。
【0003】
しかし、このバッチ処理方式では、乾燥処理の後半には水分の蒸発によって含水物の容量が大幅に減量化されるため、装置内に無駄な空間が生じ、熱放散が増加していわゆる空焚き状態になる。従ってバッチ処理方式は熱効率が悪く、乾燥処理に長時間を要するという問題がある。また、バッチ処理方式によれば、乾燥処理の初期において含水物からの水分の蒸発速度が最大となる状態を基準として、含水物乾燥装置を構成するボイラやコンデンサや冷却機器等を設計する必要がある。従って、これらの機器が過剰仕様となり、高価で大型な機器を購入することによって、コストアップ及び装置の大型化を招くという問題がある。更に、バッチ処理方式では、前述のように乾燥処理の間に含水物を撹拌するため、乾燥処理の終期には含水率が低下した乾燥物が粉塵化して装置内に飛散し、この乾燥物を装置外に排出する際に周囲を汚染するという問題もある。
【0004】
このようなバッチ処理方式の問題点を解決すべく、含水物の他の処理方式として連続処理方式が従来用いられている(例えば、特許文献1参照)。この連続処理方式とは、含水物を連続的に装置内に供給し、この含水物を一定方向に搬送しながら加熱することによって乾燥処理を行い、乾燥処理後の乾燥物を連続的に装置外に排出する方式である。そして、この連続処理方式によれば、含水物が連続的に装置内を搬送されるので、含水物の容量が乾燥に伴って減量化されても、バッチ処理方式のように装置内に無駄な空間が生じることがない。従って、連続処理方式による含水物乾燥装置では熱効率が悪化することがなく、また乾燥処理に長時間を要することもない。更に、連続処理方式では、乾燥処理の間、含水物からの水分の蒸発速度がバッチ処理方式ほど大きく変化はしない。従って、含水物乾燥装置を構成する各種機器の設計に際しては、平均的な蒸発速度を基準とすることができ、バッチ処理方式のように機器が過剰仕様となってコストアップや装置の大型化を招くこともない。更に、連続処理方式では装置内で含水物を撹拌しないので、バッチ処理方式のように乾燥物が粉塵化して装置内に飛散することもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−153376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、連続処理方式による従来の含水物乾燥装置では、含水率が十分に低くなるまで含水物を乾燥させることができないという問題がある。より詳細に説明すると、連続処理方式では、装置内を密閉した状態に保持したまま含水物を連続的に装置内に供給及び排出するために、含水物を供給及び排出するために含水物乾燥装置に設けられた供給口及び排出口の両方に、いわゆるマテリアルシールが用いられる。このマテリアルシールは、含水物や乾燥物それ自体で供給口や排出口を密閉するものである。そのため、供給口において含水物は気体を透過しない程度まで圧密された状態で供給口から供給される。また、排出口において、乾燥物もその含水率が低下し過ぎると気体を透過可能な状態となってしまいマテリアルシールを実現できないため、適度な含水率を有している必要がある。このため、含水率が60質量%以上となる範囲までしか含水物を乾燥させることができないのが通常である(特許文献1の段落[0055]参照)。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、含水物を連続的に装置内に供給しながら乾燥物を連続的に装置外に排出する連続処理方式を採用した含水物乾燥装置において、含水率が十分に低くなるまで含水物を乾燥させることを可能にする含水物乾燥装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る含水物乾燥装置は、減圧された状態の内部に含水物が供給され、該含水物を加熱しながら一定方向に搬送する乾燥機本体部と、該乾燥機本体部の含水物搬送方向に沿って下流側にその内部を前記乾燥機本体部の内部と連通させて設けられるとともに、前記含水物を排出する排出口を気密に閉塞可能であって且つ開放可能な開閉機構を有する貯留ホッパ部と、を備えることを特徴とする。この構成によれば、貯留ホッパ部に設けられた開閉機構で排出口を閉塞した状態とすれば、貯留ホッパ部の内部を乾燥機本体部の内部と同程度に減圧させることができる。一方、開閉機構で排出口を開放すれば、貯留ホッパ部に貯留された乾燥物を装置外部へ排出することができる。
【0009】
また、本発明に係る含水物乾燥装置は、前記開閉機構は、前記排出口を閉塞する位置と、前記乾燥機本体部の含水物搬送方向に沿って下流側の端部開口を閉塞する位置へと移動可能に設けられた蓋部材を有することを特徴とする。このような構成によれば、乾燥機本体部の端部開口を閉塞する位置へと蓋部材を移動させれば、貯留ホッパ部の排出口が開放されるとともに、乾燥機本体部の内部が密閉に保たれる。従って、乾燥物を貯留ホッパ部から装置外部へ排出する際に、蓋部材によって乾燥機本体の内部が減圧された状態のまま密閉に保たれるので、次回の乾燥処理を開始するべく蓋部材を移動させて貯留ホッパ部の排出口を閉塞すると、互いに連通した貯留ホッパ部の内部と乾燥機本体の内部とは、ある程度減圧された状態となる。これにより、乾燥処理の開始に先立って乾燥機本体部と貯留ホッパ部とを減圧するのに要する時間を短縮することができ、乾燥処理の終了から次の乾燥処理の開始までの時間を短縮することができる。
【0010】
また、本発明に係る含水物乾燥装置は、前記乾燥機本体部は、含水物搬送方向に沿って設けられて回転駆動される駆動軸の周面に所定ピッチで羽根部材が突出されてなる搬送機構を有するものである。このような構成によれば、駆動軸が回転すると、含水物が羽根部材によって乾燥機本体部の内部を一定方向に搬送される。従って、含水物が含水物搬送方向に逆流して後続の含水物と混合することがないので、より確実且つ高速な含水物の搬送及び乾燥処理が可能となる。
【0011】
また、本発明に係る含水物乾燥装置は、前記羽根部材は、含水物搬送方向の位置によってピッチが異なるものである。このような構成によれば、搬送機構による含水物の搬送力が、含水物搬送方向の位置によって異なる大きさとなる。従って、含水物が例えば所定の含水率に達した時に高粘性となる特性を有する場合にも、それに応じて搬送機構の搬送力を変化させることで対応することができる。尚、本発明において「含水物の搬送力」とは、搬送機構を構成する駆動軸が含水物の粘性に逆らって回転する回転力のことを意味する。
【0012】
また、本発明に係る含水物乾燥装置は、前記乾燥機本体部を構成するケーシングと前記羽根部材の先端との間のクリアランスが、含水物搬送方向への位置によって異なるものである。このような構成によれば、搬送機構による含水物の搬送力が、含水物搬送方向の位置によって異なる大きさとなる。従って、含水物が例えば所定の含水率に達した時に高粘性となる特性を有する場合にも、それに応じて搬送機構の搬送力を変化させることで対応することができる。
【0013】
また、本発明に係る含水物乾燥装置は、前記乾燥機本体部が複数の前記搬送機構を有し、隣り合う前記搬送機構は、前記羽根部材が互いに噛み合うようにして設けられたものである。このような構成によれば、ある搬送機構の羽根部材に付着した含水物が、他の搬送機構の羽根部材によって強制的に剥離されて含水物搬送方向へと搬送される。従って、含水物が化学物質や高糖分含有物質等の高粘性物質である場合や、含水物が所定の含水率に達した時に高粘性となる特性を有する場合や、含水物が繊維質等の種々の異物を含む場合でも、搬送機構によって含水物をより確実に搬送することができる。
【0014】
また、本発明に係る含水物乾燥装置は、前記搬送機構は、前記駆動軸の回転数を任意に変更可能であるものである。このような構成によれば、駆動軸の回転数を変化させることにより、搬送機構による含水物の搬送速度を任意に調節することができる。従って、含水物が乾燥機本体部の内部に滞留する平均時間を変化させることによって、乾燥物の含水率を任意に調節することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る含水物乾燥装置によれば、貯留ホッパ部の内部を乾燥機本体の内部と同程度に減圧させた状態で乾燥処理を行えば、含水率が十分に低くなるまで含水物を乾燥させた後、乾燥機本体部から連続的に排出される乾燥物を貯留ホッパの内部に貯留することができる。そして、所定時間に渡って乾燥処理を行った後、排出口を開放すれば、貯留ホッパ部内の乾燥物を装置外部へ排出することができる。このように、連続的に含水物を供給し且つ連続的に乾燥物を排出しながら、含水率が十分に低くなるまで含水物を乾燥させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る含水物乾燥装置1の構成を示す模式図である。
【図2】第1実施形態に係る減圧乾燥機6の構成を示す概略縦断面図である。
【図3】図2において貯留ホッパ部12の周辺を拡大した部分拡大縦断面図である。
【図4】第2実施形態に係る乾燥機本体部40の一部を拡大した部分拡大図である。
【図5】第3実施形態に係る乾燥機本体部50の一部を拡大した部分拡大図である。
【図6】第4実施形態に係る乾燥機本体部60の一部を拡大した部分拡大図である。
【図7】第5実施形態に係る乾燥機本体部70の一部を拡大した部分拡大図である。
【図8】第6実施形態に係る乾燥機本体部80の一部を拡大した部分拡大図である。
【図9】第7実施形態に係る乾燥機本体部90の一部を拡大した部分拡大図である。
【図10】第8実施形態に係る乾燥機本体部100の一部を拡大した部分拡大図である。
【図11】第9実施形態に係る乾燥機本体部110の一部を拡大した部分拡大図である。
【図12】第10実施形態に係る乾燥機本体部120の一部を拡大した部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。まず、第1実施形態に係る含水物乾燥装置の構成について説明する。図1は、第1実施形態に係る含水物乾燥装置1の構成を示す模式図である。含水物乾燥装置1は、含水物Gを供給するための供給口2、乾燥物Kを排出するための排出口3、含水物Gから発生した蒸気を外部に排出するための複数の排気口4、加熱用の蒸気を内部に導入するための複数の蒸気導入口5、加熱用の蒸気を外部に排出するための複数の蒸気排出口6、が設けられた減圧乾燥機7と、前記供給口2に接続された供給器8と、前記排出口3に接続された乾燥物回収器9と、前記各排気口4に接続された排気減圧ユニット10と、前記蒸気導入口5に接続された加熱器11と、この加熱器11に接続された蒸気ドレン回収器12と、を備えるものである。尚、本発明において「含水物G」とは、所定量の水分を含んだ各種バイオマスや廃棄物のことをいい、廃棄物としては下水汚泥,工場排水汚泥,食品廃棄物,生ゴミ,し尿汚泥,家畜糞尿,植物搾汁粕等が挙げられる。
【0018】
前記減圧乾燥機7は、被処理物としての含水物Gを減圧条件下で加熱することによって乾燥処理するためのものである。図2は、減圧乾燥機7の構成を示す概略縦断面図である。尚、図2では説明の便宜上、図1を反転させた状態で図示している。減圧乾燥機7は、内部で含水物Gが乾燥処理される乾燥機本体部13と、乾燥物Kすなわち乾燥処理を経て含水物Gの含水率が低下した物質が一時的に貯留される貯留ホッパ部14と、を有している。
【0019】
乾燥機本体部13は、図2に示すように、略円筒形状を有するケーシング15の内部に、図に矢印で示す含水物搬送方向に含水物Gを搬送する2個の搬送機構16が収容されてなるものである。尚、図2では1個の搬送機構16しか図示されていないが、紙面奥側にもう1個の搬送機構16が収容されている。ケーシング15には、含水物搬送方向に沿って上流側(以下、単に「上流側」と略す)の端部に前記供給口2が設けられるとともに、この供給口2より含水物搬送方向に沿って下流側(以下、単に「下流側」と略す)の位置に所定間隔で3個の前記排気口4がそれぞれ設けられている。この3個の排気口4のうち、含水物搬送方向に沿って最も上流側に位置する第1排気口4Aと、真ん中に位置する第2排気口4Bは、最も下流側に位置する第3排気口4Cと比較して大径に形成されている。そして、各排気口4には配管17がそれぞれ接続され、第1排気口4Aに接続された第1配管17Aと第2排気口4Bに接続された第2配管17Bとが連結用配管18によって互いに接続されるとともに、第3排気口4Cに接続された第3配管17Cが第2配管17Bに接続されている。これにより、3個の排気口4から延びる各配管17はすべて連通した状態となっている。更に、ケーシング15には、含水物搬送方向に沿って所定間隔で複数の蒸気排出口6が設けられている。
【0020】
一方、図2に示す2個の搬送機構16それぞれは、複数の軸受け19によって回転可能に支持されてモータ(不図示)によって回転駆動される駆動軸20と、この駆動軸20に接続されてその周面に羽根部材21が突出して設けられた中空軸22とを有している。ここで、本実施形態では、羽根部材21はいわゆるスクリュー型の形状を有しており、そのピッチPは含水物搬送方向に沿って一定の大きさとなっている。また、駆動軸20は内部が中空に形成されており、その一端側には前記蒸気導入口5と蒸気排出口6とがそれぞれ設けられている。一方、図2に詳細は示さないが、羽根部材21も内部が中空に形成されており、駆動軸20の内部と連通している。このように構成される各搬送機構16は、各駆動軸20が互いに平行するようにして、且つ、各羽根部材21が互いに噛み合うようにして、ケーシング15の内部にそれぞれ設置されている。
【0021】
尚、本実施形態では乾燥機本体部13を構成するケーシング15を略円筒形状としたが、ケーシング15の形状はこれに限られず、含水物搬送方向に一定の長さを有していれば、縦断面の外形を四角形や多角形等にしてもよい。また、本実施形態では羽根部材21をスクリュー型の形状としたが、その他の形状、例えばいわゆるネジ型やパドル型やスタティックミキサー型としてもよい。但し、本実施形態のようにスクリュー型とすれば、他の形状と比較して含水物Gとの接触面積が広くなるので、後述するように搬送機構16による含水物Gの加熱を効率良く行うことができるという利点がある。更に、本実施形態では搬送機構16を2個設けたが、搬送機構16の数は1個でもよく、更には3個以上の複数であってもよい。しかし、本実施形態のように2個の搬送機構16を設ければ、一方の搬送機構16の羽根部材21に付着した含水物Gが他方の搬送機構16の羽根部材21によって強制的に剥離される。従って、1個の搬送機構16を設ける場合と比較すると、含水物Gが化学物質や高糖分含有物質等の高粘性物質である場合や、含水物Gが所定の含水率に達した時に高粘性となる特性を有する場合や、含水物Gが繊維質等の種々の異物を含む場合でも、含水物Gをより確実に搬送できるという利点がある。また、3個以上の搬送機構16を設ける場合のようにコストアップや装置の大型化を招くこともない。
【0022】
図3は、図2において貯留ホッパ部14の周辺を拡大した部分拡大図である。貯留ホッパ部14は、縦断面で略円形の外形を有しており中空に形成されたホッパ本体23、及びこのホッパ本体23の周面に沿ってスライド可能に設けられた蓋部材24を有している。ホッパ本体23は、内部に乾燥物Kを貯留するための容器としての役割を果たすものである。このホッパ本体23には、その頂部に、蒸気を外部に排出するための第4排気口4Dが形成される一方、その底部に、乾燥物Kを外部に排出するための前記排出口3が形成されている。そして、第4排気口4Dには第4配管17Dが接続され、この第4配管17Dは前記第3配管17Cに接続されている。これにより、第4配管17Dも第1〜第3配管17A,17B,17Cと連通した状態となっている。このように構成される貯留ホッパ部14は、乾燥機本体部13の下流側端部に、その内部を乾燥機本体部13の内部と連通させるようにして設けられている。
【0023】
一方、蓋部材24は、ホッパ本体23の排出口3を閉塞または開放する役割を果たすものであって、排出口3を気密に閉塞する閉塞位置P1(図2に記載)から、排出口3を外部に開放する開放位置P2(図3に記載)へとスライド可能となっている。また、蓋部材24は、開放位置P2に位置した状態で、前述のように排出口3を開放すると同時に、乾燥機本体部13を構成するケーシング15の下流側の端部開口25を閉塞するようになっている。
【0024】
尚、ホッパ本体23の形状は、縦断面で略円形に限られず、任意の形状に設計変更が可能である。また、蓋部材24は、開放位置に位置した状態で少なくとも排出口3を開放すれば足り、必ずしもケーシング15の端部開口25を閉塞する必要はない。
【0025】
図1に示す前記供給器8は、減圧乾燥機7の内部に含水物Gを供給するためのものである。この供給器8は、含水物Gを圧密した状態で送出可能ないわゆる一軸偏心ネジポンプであって、供給管26を介して減圧乾燥機7の供給口2に対して接続されている。これにより、含水物Gの供給に際しては圧密された含水物Gによって供給口2が密閉されることにより、前記マテリアルシールが実現される。尚、減圧乾燥機7の内部を密閉状態に保持したままで含水物Gを供給可能であれば、必ずしもマテリアルシールに限らず、他の手段によって含水物Gを減圧乾燥機7に供給してもよい。具体的には、例えば排出側の貯留ホッパ部14と同様の構成としてもよい。また、供給器8としては、含水物Gを送出可能なその他の種別のポンプ、例えばピストンポンプ等の容積ポンプを用いてもよい。
【0026】
図1に示す前記乾燥物回収器9は、減圧乾燥機7から排出されて落下する乾燥物Kを下方で受けて回収する容器としての役割を果たすものである。この乾燥物回収器9は、減圧乾燥機7を構成する貯留ホッパ部14の直下に、その容器開口を貯留ホッパ部14の排出口3の側に向けて配置されている。尚、図に詳細は示さないが、貯留ホッパ部14の排出口3と乾燥物回収器9とを配管で接続し、ポンプ等を用いて排出口3から乾燥物回収器9に向かって含水物Gを送出してもよい。
【0027】
図1に示す前記排気減圧ユニット10は、減圧乾燥機7の内部から蒸気を排気するとともに、その内部を減圧させる役割を果たすものである。この排気減圧ユニット10は、前記連結用配管18に一端が接続された第1排気管27Aの他端に接続されたダスター28と、このダスター28に一端が接続された第2排気管27Bの他端に接続されたコンデンサ29と、このコンデンサ29に一端が接続された第3排気管27Cの他端に接続されたエゼクタ30と、を有している。ここで、ダスター28は、減圧乾燥機7から回収した蒸気から埃等の飛散物を除去するためのものである。このダスター28には、飛散物の捕集に使用する水を循環させるためのダスター循環ポンプ31が接続されている。また、コンデンサ29は、回収した蒸気を冷却して水分を凝集するためのものである。このコンデンサ29には、蒸気を冷却するための冷媒を循環させるために、冷媒を冷却する冷却塔32、冷却した冷媒を貯留する冷媒貯留水槽33、貯留した冷媒をコンデンサ29に向けて送出するコンデンサ循環ポンプ34がそれぞれ接続されている。また、エゼクタ30は、減圧乾燥機7から蒸気を吸引することによってその内部を減圧するためのものである。このエゼクタ30には、エゼクタ30の内部で水を高圧噴射するためのエゼクタ循環ポンプ35、エゼクタ30から回収した水を貯留する水貯留水槽36がそれぞれ接続されている。
【0028】
図1に示す前記加熱器11は、図2に示す搬送機構16およびケーシング15を加熱するためのものである。本実施形態ではこの加熱器11としてボイラを使用し、図1及び図2に示すように、加熱器11に一端を接続した蒸気導入管37の他端を、搬送機構16を構成する駆動軸20の一端側に設けられた蒸気導入口5、及びケーシング15に設けられた複数の蒸気導入口5にそれぞれ接続している。これにより、加熱器11で生成された蒸気が、蒸気導入管37を介して供給されることによって、搬送機構16とケーシング15がそれぞれ加熱される。
【0029】
図1に示す前記蒸気ドレン回収器12は、蒸気ドレンすなわち加熱用の蒸気が液化したものを回収して再利用するためのものである。本実施形態では、図2に示すように、蒸気ドレン回収器12に一端を接続した蒸気回収管38の他端を、駆動軸20の一端に設けられた蒸気排出口6、及びケーシング15に設けられた複数の蒸気排出口6にそれぞれ接続している。これにより、搬送機構16とケーシング15を加熱して液化した蒸気ドレンが、蒸気回収管38を介して蒸気ドレン回収器12によって回収される。そして、蒸気ドレン回収器12は回収した蒸気ドレンを加熱器11に送り、加熱器11が蒸気ドレンから蒸気を生成する。このようにして、加熱用の蒸気が再利用される。
【0030】
次に、第1実施形態に係る含水物乾燥装置1を用いた含水物Gの乾燥処理の動作、及びその作用効果について説明する。乾燥処理の開始に際しては、まず減圧乾燥機7の内部が減圧される。具体的には、貯留ホッパ部14を構成する蓋部材24が排出口3を閉塞する閉塞位置P1に位置した状態で、図1に示すエゼクタ30が作動される。そうすると、エゼクタ30が第1〜第3排気管27A,27B,27Cを介して乾燥機本体部13から空気を吸引することにより、その内部が減圧される。この時、乾燥機本体部13の内部は貯留ホッパ部14の内部に連通しており、且つ、貯留ホッパ部14の排出口3は蓋部材24によって閉塞されているので、貯留ホッパ部14も乾燥機本体部13と同程度に減圧される。
【0031】
他方、減圧乾燥機7の減圧に伴って、搬送機構16及びケーシング15の加熱が行われる。具体的には、図1に示す加熱器11から発生した蒸気が、蒸気導入管37を介して蒸気導入口5から搬送機構16の内部に送り込まれ、この蒸気が中空軸22や羽根部材21の内部空洞を循環することによって搬送機構16の全体が加熱される。また、加熱器11から発生した蒸気は、蒸気導入管37を介して複数の蒸気導入口5からケーシング15の内部にも送り込まれ、この蒸気がケーシング15の内部空洞を循環することによってケーシング15の全体が加熱される。そして、搬送機構16及びケーシング15が十分に加熱されると、次に減圧乾燥機7の内部に含水物Gが供給される。具体的には、図1に示す供給器8が作動され、供給器8から送出される含水率60〜100質量%程度の含水物Gが、供給管26を介して供給口2から乾燥機本体部13の内部に送り込まれる。
【0032】
また、この含水物Gの供給開始に伴って、搬送機構16による含水物Gの搬送が開始される。具体的には、駆動軸20が不図示のモータによって回転駆動され、羽根部材21が含水物Gを含水物搬送方向に沿って上流側から下流側へ向かって搬送する。そして、搬送機構16による含水物Gの搬送が開始されると、前述のように加熱された搬送機構16やケーシング15に対して含水物Gが接触することにより、含水物Gが加熱される。これにより、含水物Gに含まれる水分が蒸発し、含水物Gは含水物搬送方向に沿って下流側に搬送されるに従ってその含水率が低下していく。そして、含水物Gは、乾燥機本体部13の最下流端に到達した時には、加熱器11によって与えられる時間当たりの熱量、或いは搬送機構16による乾燥機本体部13内での搬送時間等に応じて、その含水率が0〜60質量%程度の乾燥物Kへと変化している。
【0033】
その後、この乾燥物Kは乾燥機本体部13の下流側の端部開口25から順次排出され、貯留ホッパ部14のホッパ本体23の内部に貯留される。ここで、前述のようにエゼクタ30によって貯留ホッパ部14も乾燥機本体部13と同程度に減圧されているので、貯留ホッパ部14に貯留された乾燥物Kは、乾燥機本体部13の最下流端部に到達した時と同程度の含水率で保持される。このように、本発明の含水物乾燥装置1によれば、乾燥機本体部13に含水物Gを連続的に供給し、且つ乾燥機本体部13から乾燥物Kを連続的に排出しながら、含水率が十分に低くなるまで含水物Gを乾燥させることができる。
【0034】
そして、所定時間経過後に貯留ホッパ部14を空にする。すなわち、貯留ホッパ部14が乾燥物Kである程度一杯になったことを検知すると、減圧乾燥機7への含水物Gの供給を続けたまま、貯留ホッパ部14に貯留された乾燥物Kを装置外部へと排出する。具体的には、貯留ホッパ部14を構成する蓋部材24を図2に示す閉塞位置P1から図3に示す開放位置P2へとスライドさせることにより、ホッパ本体23の排出口3を開放する。これにより、ホッパ本体23の内部に貯留された乾燥物Kが排出口3から落下し、直下に配置された乾燥物回収器9の内部に回収される。尚、蓋部材24が開放位置P2に位置した状態では、貯留ホッパ部14の端部開口25は蓋部材24によって閉塞された状態になっている。従って、貯留ホッパ部14から乾燥物Kを排出している間は、貯留ホッパ部14の下流端まで搬送された乾燥物Kは端部開口25の付近に滞留した状態となっている。そして、貯留ホッパ部14が空になったことを検知すると、蓋部材24をスライドさせて開放位置P2から閉塞位置P1へと戻す。これにより、乾燥機本体部13から排出された乾燥物Kが、貯留ホッパ部14に順次貯留されるようになる。
【0035】
ところで、本実施形態では前述のように蓋部材24は開放位置P2に位置した状態で乾燥機本体部13の端部開口25を閉塞する。従って、排出口3の開放によって貯留ホッパ部14の内部は大気圧に等しくなるが、この時、蓋部材24によって密閉に保たれた乾燥機本体部13の内部は、減圧された状態のまま保持される。これにより、次回の乾燥処理を開始するべく蓋部材24を閉塞位置P1へと戻して排出口3を閉塞すると、互いに連通した貯留ホッパ部14の内部と乾燥機本体部13の内部とは、ある程度減圧された状態となる。これにより、乾燥処理の開始に先立って乾燥機本体部13と貯留ホッパ部14とをエゼクタ30で減圧するのに要する時間を短縮することができ、乾燥処理の終了から次の乾燥処理の開始までの時間を短縮することができる。
【0036】
次に、第2実施形態に係る含水物乾燥装置1の構成について説明する。本実施形態の含水物乾燥装置1は、第1実施形態の含水物乾燥装置1と比較すると、図1に示す減圧乾燥機40の構成が、より詳細には乾燥機本体部41を構成する2個の搬送機構42の構成が異なっている。それ以外の構成及びその作用効果については第1実施形態と同じであるため、第1実施形態と同じ符号を用い、ここでは説明を省略する。図4は、本実施形態における乾燥機本体部41の一部を拡大した部分拡大図である。2個の搬送機構42は、第1実施形態と同様に、駆動軸43と中空軸44と羽根部材45とをそれぞれ有するが、羽根部材45の構成が第1実施形態とは異なっている。すなわち、本実施形態の羽根部材45は、第1実施形態と同様にスクリュー型の形状を有するが、そのピッチPが上流側から下流側に向かって徐々に狭くなっている。
【0037】
このような構成によれば、含水物Gの容量が乾燥に伴って減量化されても、熱効率が悪化しないという利点がある。より詳細に説明すると、図2に示すように、第1実施形態の羽根部材21のように含水搬送方向にピッチPが一定の大きさであると、乾燥処理が進んで含水物Gの容量が減量化される下流側では、羽根部材45の隙間には含水物Gと接触しない領域が生じる。このような領域が生じると、容積効率が低くなり、その結果熱効率が悪く乾燥処理に長時間を要してしまう。この点、本実施形態の羽根部材45のように上流側から下流側に向かってピッチPが徐々に狭くなっていると、下流側でも羽根部材45の隙間は含水物Gで満たされて無駄な領域が生じないので、容積効率を高く維持することができ、熱効率が良く乾燥処理が短時間で済む。
【0038】
次に、第3実施形態に係る含水物乾燥装置1の構成について説明する。本実施形態の含水物乾燥装置1も、第1実施形態の含水物乾燥装置1と比較すると、図1に示す減圧乾燥機50の構成が、より詳細には乾燥機本体部51を構成する2個の搬送機構52の構成が異なっている。それ以外の構成及びその作用効果については第1実施形態と同じであるため、第1実施形態と同じ符号を用い、ここでは説明を省略する。図5は、本実施形態における乾燥機本体部51の一部を拡大した部分拡大図である。2個の搬送機構52は、第1実施形態と同様に、駆動軸53と中空軸54と羽根部材55とをそれぞれ有するが、羽根部材55の構成が第1実施形態とは異なっている。すなわち、本実施形態の羽根部材55は、第1実施形態と同様にスクリュー型の形状を有するが、第2実施形態とは逆に、そのピッチPが下流側から上流側に向かって徐々に狭くなっている。このような構成によれば、搬送機構52の上流部では羽根部材55が狭いピッチPで密集し、含水物Gとの接触面積が広いため、含水物Gからの水分の蒸発速度が速くなる。これにより、乾燥が進んで含水率が低下しても容量が大きく変化しないような含水物G、例えばコーヒー粕や茶滓の乾燥処理を行う場合に、乾燥初期で含水物Gの含水率がまだ高い領域である上流部において、より高速な乾燥処理を行うことができる。
【0039】
次に、第4実施形態に係る含水物乾燥装置1の構成について説明する。本実施形態の含水物乾燥装置1も、第1実施形態の含水物乾燥装置1と比較すると、図1に示す減圧乾燥機60の構成が、より詳細には乾燥機本体部61を構成する2個の搬送機構62の構成が異なっている。それ以外の構成及びその作用効果については第1実施形態と同じであるため、第1実施形態と同じ符号を用い、ここでは説明を省略する。図6は、本実施形態における乾燥機本体部61の一部を拡大した部分拡大図である。2個の搬送機構62は、第1実施形態と同様に、駆動軸63と中空軸64と羽根部材65とをそれぞれ有するが、羽根部材65の構成が第1実施形態とは異なっている。すなわち、本実施形態の羽根部材65は、第1実施形態と同様にスクリュー型の形状を有するが、含水物搬送方向に沿って中央部のピッチPが、上流部及び下流部のピッチPより狭くなっている。このような構成によれば、搬送機構62の搬送力はピッチPの狭い中央部において大きくなる。これにより、含水率50〜60%付近の塑性限界水域で高粘性となる特性を有する含水物G、例えば汚泥の乾燥処理を行う場合に、含水物Gが高粘性を有する搬送機構62の中央部において、より確実且つ高速な搬送を行うことができる。
【0040】
次に、第5実施形態に係る含水物乾燥装置1の構成について説明する。本実施形態の含水物乾燥装置1も、第1実施形態の含水物乾燥装置1と比較すると、図1に示す減圧乾燥機70の構成が、より詳細には乾燥機本体部71を構成するケーシング72の形状が異なっている。それ以外の構成及びその作用効果については第1実施形態と同じであるため、第1実施形態と同じ符号を用い、ここでは説明を省略する。図7は、本実施形態における乾燥機本体部71の一部を拡大した部分拡大図である。乾燥機本体部71を構成するケーシング72は、その内径Dが含水物搬送方向に沿って上流側から下流側に向かって徐々に小さくなっている。
【0041】
このような構成によれば、第2実施形態と同様に、含水物Gの容量が乾燥に伴って減量化されても、熱効率が悪化しないという利点がある。すなわち、本実施形態のケーシング72のように上流側から下流側に向かって内径Dが徐々に小さくなっていると、搬送機構73を構成する羽根部材74の先端とケーシング72とのクリアランスCが、上流側から下流側に向かって徐々に狭くなる。従って、乾燥処理が進んで含水物Gの容量が減量化される下流側でも、羽根部材74とケーシング72との間は含水物Gで満たされて無駄な領域が生じない。これにより、容積効率を高く維持することができ、熱効率が良く乾燥処理が短時間で済む。
【0042】
次に、第6実施形態に係る含水物乾燥装置1の構成について説明する。本実施形態の含水物乾燥装置1も、第1実施形態の含水物乾燥装置1と比較すると、図1に示す減圧乾燥機80の構成が、より詳細には乾燥機本体部81を構成する2個の搬送機構82の構成が異なっている。それ以外の構成及びその作用効果については第1実施形態と同じであるため、第1実施形態と同じ符号を用い、ここでは説明を省略する。図8は、本実施形態における乾燥機本体部81の一部を拡大した部分拡大図である。2個の搬送機構82は、第1実施形態と同様に、駆動軸83と中空軸84と羽根部材85とをそれぞれ有するが、中空軸84の構成が第1実施形態とは異なっている。すなわち、本実施形態の各中空軸84は、その外径が上流側から下流側に向かって徐々に大きくなっている。
【0043】
このような構成によれば、第2実施形態と同様に、含水物Gの容量が乾燥に伴って減量化されても、熱効率が悪化しないという利点がある。すなわち、本実施形態の中空軸84のように上流側から下流側に向かって内径Dが徐々に大きくなっていると、第5実施形態と同様に、搬送機構82を構成する羽根部材85の先端とケーシング85とのクリアランスCが、上流側から下流側に向かって徐々に狭くなる。従って、乾燥処理が進んで含水物Gの容量が減量化される下流側でも、羽根部材85とケーシング86との間は含水物Gで満たされて無駄な領域が生じない。これにより、容積効率を高く維持することができ、熱効率が良く乾燥処理が短時間で済む。
【0044】
次に、第7実施形態に係る含水物乾燥装置1の構成について説明する。本実施形態の含水物乾燥装置1も、第1実施形態の含水物乾燥装置1と比較すると、図1に示す減圧乾燥機90の構成が、より詳細には乾燥機本体部91を構成するケーシング92の形状が異なっている。それ以外の構成及びその作用効果については第1実施形態と同じであるため、第1実施形態と同じ符号を用い、ここでは説明を省略する。図9は、本実施形態における乾燥機本体部91の一部を拡大した部分拡大図である。乾燥機本体部91を構成するケーシング92は、第5実施形態とは逆に、その内径Dが含水物搬送方向に沿って上流側から下流側に向かって徐々に大きくなっている。このような構成によれば、搬送機構93の上流部では羽根部材94の先端とケーシング92とのクリアランスCが狭く、熱伝導率が高くなるため、含水物Gからの水分の蒸発速度が速くなる。これにより、乾燥が進んで含水率が低下しても容量が大きく変化しないような含水物G、例えばコーヒー粕や茶滓の乾燥処理を行う場合に、乾燥初期で含水物Gの含水率がまだ高い領域である上流部において、より高速な乾燥処理を行うことができる。
【0045】
次に、第8実施形態に係る含水物乾燥装置1の構成について説明する。本実施形態の含水物乾燥装置1も、第1実施形態の含水物乾燥装置1と比較すると、図1に示す減圧乾燥機100の構成が、より詳細には乾燥機本体部101を構成する2個の搬送機構102の構成が異なっている。それ以外の構成及びその作用効果については第1実施形態と同じであるため、第1実施形態と同じ符号を用い、ここでは説明を省略する。図10は、本実施形態における乾燥機本体部101の一部を拡大した部分拡大図である。2個の搬送機構102は、第1実施形態と同様に、駆動軸103と中空軸104と羽根部材105とをそれぞれ有するが、中空軸104の構成が第1実施形態とは異なっている。すなわち、本実施形態の各中空軸104は、第6実施形態とは逆に、その外径Dが上流側から下流側に向かって徐々に小さくなっている。このような構成によれば、第7実施形態と同様に、搬送機構102の上流部では羽根部材105の先端とケーシング106とのクリアランスCが狭く、熱伝導率が高くなるため、含水物Gからの水分の蒸発速度が速くなる。これにより、第7実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0046】
次に、第9実施形態に係る含水物乾燥装置1の構成について説明する。本実施形態の含水物乾燥装置1も、第1実施形態の含水物乾燥装置1と比較すると、図1に示す減圧乾燥機110の構成が、より詳細には乾燥機本体部111を構成するケーシング112の形状が異なっている。それ以外の構成及びその作用効果については第1実施形態と同じであるため、第1実施形態と同じ符号を用い、ここでは説明を省略する。図11は、本実施形態における乾燥機本体部111の一部を拡大した部分拡大図である。乾燥機本体部111を構成するケーシング112は、含水物搬送方向に沿って中央部の内径Dが、上流部及び下流部の内径Dより小さくなっている。このような構成によれば、搬送機構113の搬送力は、ケーシング112の内径Dが小さい中央部で大きくなる。これにより、第4実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0047】
次に、第10実施形態に係る含水物乾燥装置1の構成について説明する。本実施形態の含水物乾燥装置1も、第1実施形態の含水物乾燥装置1と比較すると、図1に示す減圧乾燥機120の構成が、より詳細には乾燥機本体部121を構成する2個の搬送機構122の構成が異なっている。それ以外の構成及びその作用効果については第1実施形態と同じであるため、第1実施形態と同じ符号を用い、ここでは説明を省略する。図12は、本実施形態における乾燥機本体部121の一部を拡大した部分拡大図である。2個の搬送機構122は、第1実施形態と同様に、駆動軸123と中空軸124と羽根部材125とをそれぞれ有するが、中空軸124の構成が第1実施形態とは異なっている。すなわち、本実施形態の各中空軸124は、含水物搬送方向に沿って中央部の外径Dが、上流部及び下流部の外径Dより大きくなっている。このような構成によれば、搬送機構122の搬送力は、駆動軸123の外径Dが大きい中央部で大きくなる。これにより、第4実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0048】
尚、搬送機構を構成する羽根部材のピッチを含水物搬送方向によって変化させることと、乾燥機本体部を構成するケーシングの内径を含水物搬送方向によって変化させることとを適宜組み合わせることも可能である。また、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0049】
1…含水物乾燥装置
3…排出口
11…乾燥機本体部
12…貯留ホッパ部
G…含水物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
減圧された状態の内部に含水物が供給され、該含水物を加熱しながら一定方向に搬送する乾燥機本体部と、
該乾燥機本体部の含水物搬送方向に沿って下流側にその内部を前記乾燥機本体部の内部と連通させて設けられるとともに、前記含水物を排出する排出口を気密に閉塞可能であって且つ開放可能な開閉機構を有する貯留ホッパ部と、
を備えることを特徴とする含水物乾燥装置。
【請求項2】
前記開閉機構は、前記排出口を閉塞する位置と、前記乾燥機本体部の含水搬送方向に沿って下流側の端部開口を閉塞する位置とへ移動可能に設けられた蓋部材を有することを特徴とする請求項1に記載の含水物乾燥装置。
【請求項3】
前記乾燥機本体部は、含水物搬送方向に沿って設けられて回転駆動される駆動軸の周面に所定ピッチで羽根部材が突出されてなる搬送機構を有することを特徴とする請求項1または2に記載の含水物乾燥装置。
【請求項4】
前記羽根部材は、含水物搬送方向の位置によってピッチが異なることを特徴とする請求項3に記載の含水物乾燥装置。
【請求項5】
前記乾燥機本体部を構成するケーシングと前記羽根部材の先端との間のクリアランスが、含水物搬送方向への位置によって異なることを特徴とする請求項3または4に記載の含水物乾燥装置。
【請求項6】
前記乾燥機本体部が複数の前記搬送機構を有し、隣り合う前記搬送機構は、前記羽根部材が互いに噛み合うようにして設けられたことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載の含水物乾燥装置。
【請求項7】
前記搬送機構は、前記駆動軸の回転数を任意に変更可能であることを特徴とする請求項3乃至6のいずれか一項に記載の含水物乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−163602(P2011−163602A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24701(P2010−24701)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(501370370)三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社 (175)
【Fターム(参考)】