説明

吸収性樹脂粒子、これを含有してなる吸収体及び吸収性物品

【課題】
従来の含水率を調整する技術では、吸収性樹脂粒子の表面近傍の壊れを防止するには不十分であり、従来の吸収性樹脂粒子では、吸収性物品の製造過程において表面近傍が壊れたりする結果、表面近傍の改質によって向上させていた吸収性樹脂粒子の吸収性能が損なわれる。
【解決手段】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)並びに架橋剤(b)を必須構成単位としてなる架橋重合体(A)と、壊れ防止剤(c)とを含んでなる吸収性樹脂粒子であって、水分率が3〜20%である吸収性樹脂粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性樹脂粒子、これを含有してなる吸収体及び吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性樹脂粒子として、例えば、含水率が3〜9%であり、粒子の破断応力が30N/m以上である粒子脆さの改質された吸収性樹脂粒子が知られている(特許文献1参照)。
また、非晶質シリカ粒子を添加し、含水率が10〜20%であり、粒子衝突試験前後における粒子径保持率が90%以上である吸収性樹脂が知られている。(特許文献2参照)。
一方で、吸収性樹脂の吸収特性を改良する目的で、吸収性樹脂粒子の表面近傍をアクリル酸及び/又はアクリル酸塩と反応しうる官能基を2個以上有する架橋剤で加熱架橋された吸収性樹脂や表面に無機や有機粉末を付着した吸収性樹脂がある。
ところで、吸収性樹脂粒子を吸収性物品に使用する場合、例えばスクリューコンベアーやスプリングコンベアー等による機械的な粉体輸送あるいは空気圧による粉体輸送、スクリューフィーダー等による粉体散布や供給、空気圧によるスプレー散布などの工程を経て吸収性物品は製造されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−124879号公報
【特許文献2】再公表2008/015980号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記吸収性物品の製造過程において、粒子同士の衝突、機械や設備の壁面への粒子の衝突、機械的摩擦などによって吸収性樹脂粒子の表面が壊れたり、表面に付着した無機や有機粉末が剥がれ落ちることが発生する。この結果、表面架橋や無機・有機粉末の付着の効果が損なわれ、吸収性樹脂の吸収性能が低下し、吸収性物品の耐カブレ性や耐モレ性等の性能低下が問題となっている。
すなわち、従来の含水率を調整する技術では、吸収性樹脂粒子の表面近傍の壊れを防止するには不十分であり、従来の吸収性樹脂粒子では、吸収性物品の製造過程において表面近傍が壊れたりする結果、表面近傍の改質によって向上させていた吸収性樹脂粒子の吸収性能が損なわれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の吸収性樹脂粒子は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)並びに架橋剤(b)を必須構成単位としてなる架橋重合体(A)と、壊れ防止剤(c)とを含んでなる吸収性樹脂粒子であって、含水率が3〜20%である点を要旨とする。
本発明の吸収体は、上記吸収性樹脂粒子と繊維状物とを含有してなる点を要旨とする。
本発明の吸収性物品は、上記吸収体を用いる点を要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の吸収性樹脂粒子は、機械的な衝撃を受けた後でも表面近傍の壊れが少なく、高い吸収性能を保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】膨潤容積測定法による吸収量を測定するための装置全体を模式的に示した正面断面図。
【図2】膨潤容積測定法による吸収量を測定するための底付円筒1および円盤2を模式的に示した側面投影図。
【図3】膨潤容積測定法による吸収量を測定するための円盤2を模式的に示した上面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
水溶性ビニルモノマー(a1)としては特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、特開2005−95759号公報}のビニルモノマー等が使用できる。
【0009】
加水分解性ビニルモノマー(a2)は、加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマーを意味し、特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、特開2005−95759号公報}のビニルモノマー等が使用できる。なお、水溶性ビニルモノマーとは、25℃の水100gに少なくとも100g溶解する性質を持つビニルモノマーを意味する。また、加水分解性とは、50℃の水及び必要により触媒(酸又は塩基等)の作用により加水分解され水溶性になる性質を意味する。加水分解性ビニルモノマーの加水分解は、重合中、重合後及びこれらの両方のいずれでもよいが、得られる吸収性樹脂粒子の分子量の観点等から重合後が好ましい。
【0010】
これらのうち、吸収特性の観点等から、水溶性ビニルモノマー(a1)が好ましく、さらに好ましくはアニオン性ビニルモノマー、次に好ましくはカルボキシ(塩)基、スルホ(塩)基、アミノ基、カルバモイル基、アンモニオ基又はモノ−、ジ−若しくはトリ−アルキルアンモニオ基を有するビニルモノマー、次に好ましくはカルボキシ(塩)基又はカルバモイル基を有するビニルモノマー、特に好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)及び(メタ)アクリルアミド、次に特に好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)、最も好ましくはアクリル酸(塩)である。
【0011】
なお、「カルボキシ(塩)基」は「カルボキシ基」又は「カルボキシレート基」を意味し、「スルホ(塩)基」は「スルホ基」又は「スルホネート基」を意味する。また、(メタ)アクリル酸(塩)はアクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩を意味し、(メタ)アクリルアミドはアクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。また、塩としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩、アルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)塩又はアンモニウム(NH)塩等が含まれる。これらの塩のうち、吸収特性の観点等から、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、さらに好ましくはアルカリ金属塩、特に好ましくはナトリウム塩である。
【0012】
水溶性ビニルモノマー(a1)又は加水分解性ビニルモノマー(a2)のいずれかを構成単位とする場合、それぞれ単独で構成単位としてもよく、また、必要により2種以上を構成単位としてもよい。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合も同様である。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合、これらの含有モル比(a1/a2)は、75/25〜99/1が好ましく、さらに好ましくは85/15〜95/5、特に好ましくは90/10〜93/7、最も好ましくは91/9〜92/8である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0013】
吸収性樹脂粒子の構成単位として、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の他に、これらと共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)を構成単位とすることができる。
【0014】
共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)としては特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、特開2005−95759号公報}の疎水性ビニルモノマー等が使用でき、下記の(i)〜(iii)のビニルモノマー等が使用できる。
(i)炭素数8〜30の芳香族エチレン性モノマー
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン及びヒドロキシスチレン等のスチレン、並びにビニルナフタレン及びジクロルスチレン等のスチレンのハロゲン置換体等。
(ii)炭素数2〜20の脂肪族エチレンモノマー
アルケン[エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン及びオクタデセン等];並びにアルカジエン[ブタジエン及びイソプレン等]等。
(iii)炭素数5〜15の脂環式エチレンモノマー
モノエチレン性不飽和モノマー[ピネン、リモネン及びインデン等];並びにポリエチレン性ビニル重合性モノマー[シクロペンタジエン、ビシクロペンタジエン及びエチリデンノルボルネン等]等。
【0015】
その他のビニルモノマー(a3)を構成単位とする場合、その他のビニルモノマー(a3)単位の含有量(モル%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位のモル数に基づいて、0.01〜5が好ましく、さらに好ましくは0.05〜3、次に好ましくは0.08〜2、特に好ましくは0.1〜1.5である。なお、吸収特性の観点等から、その他のビニルモノマー(a3)単位の含有量が0モル%であることが最も好ましい。
【0016】
架橋剤(b)としては特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、特開2005−95759号公報}の架橋剤等が使用できる。
これらのうち、吸収特性の観点等から、エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤が好ましく、さらに好ましくは炭素数2〜10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテル、特に好ましくはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル、最も好ましくはペンタエリスリトールトリアリルエーテルである。
【0017】
架橋剤(b)単位の含有量(モル%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位のモル数に基づいて、0.001〜5が好ましく、さらに好ましくは0.005〜3、特に好ましくは0.01〜1である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。
【0018】
架橋重合体(A)は1種でもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
【0019】
架橋重合体(A)は、公知の水溶液重合{断熱重合、薄膜重合及び噴霧重合法等;特開昭55−133413号公報等}や、公知の逆相懸濁重合{特公昭54−30710号公報、特開昭56−26909号公報及び特開平1−5808号公報等}と同様にして製造することができる。重合方法のうち、好ましくは溶液重合法であり、有機溶媒等を使用する必要がなく生産コスト面で有利なことから、特に好ましくは水溶液重合法である。
【0020】
重合によって得られる含水ゲル{架橋重合体と水とからなる。}は、必要に応じて細断することができる。細断後のゲルの大きさ(最長径)は50μm〜10cmが好ましく、さらに好ましくは100μm〜2cm、特に好ましくは1mm〜1cmである。この範囲であると、乾燥工程での乾燥性がさらに良好となる。
【0021】
細断は、公知の方法で行うことができ、通常の細断装置{たとえば、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機及びロール式粉砕機}等を使用して細断できる。
【0022】
重合に溶媒(有機溶媒、水等)を使用する場合、重合後に溶媒を留去することが好ましい。溶媒に有機溶媒を含む場合、留去後の有機溶媒の含有量(重量%)は、吸収性樹脂粒子の重量に基づいて、0〜10が好ましく、さらに好ましくは0〜5、特に好ましくは0〜3、最も好ましくは0〜1である。である。この範囲であると、吸収性樹脂粒子の吸収性能(特に保水量)がさらに良好となる。
【0023】
溶媒に水を含む場合、留去後の含水率(重量%)は、架橋重合体の重量に基づいて、3〜20が好ましく、さらに好ましくは3.5〜10、特に好ましくは4〜9、最も好ましくは4.5〜8である。この範囲であると、吸収性能及び乾燥後の吸収性樹脂粒子の壊れ性がさらに良好となる。
【0024】
なお、有機溶媒の含有量及び含水率は、赤外水分測定器{(株)KETT社製JE400等:120±5℃、30分、加熱前の雰囲気湿度50±10%RH、ランプ仕様100V、40W}により加熱したときの加熱前後の測定試料の重量減量から求められる。
【0025】
溶媒(水を含む)を留去する方法としては、80〜230℃の温度の熱風で留去(乾燥)する方法、100〜230℃に加熱されたドラムドライヤー等による薄膜乾燥法、(加熱)減圧乾燥法、凍結乾燥法、赤外線による乾燥法、デカンテーション及び濾過等が適用できる。
【0026】
架橋重合体は、乾燥後に粉砕することができる。粉砕方法については、特に限定はなく、通常の粉砕装置{たとえば、ハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、ロール式粉砕機及びシェット気流式粉砕機}等が使用できる。粉砕された架橋重合体は、必要によりふるい分け等により粒度調整できる。
【0027】
必要によりふるい分けした場合の架橋重合体(A)の重量平均粒子径(μm)は、100〜800が好ましく、さらに好ましくは200〜700、次に好ましくは250〜600、特に好ましくは300〜500、最も好ましくは350〜450である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0028】
なお、重量平均粒子径は、ロータップ試験篩振とう機及び標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いて、ペリーズ・ケミカル・エンジニアーズ・ハンドブック第6版(マックグローヒル・ブック・カンバニー、1984、21頁)に記載の方法で測定される。すなわち、JIS標準ふるいを、上から1000μm、850μm、710μm、500μm、425μm、355μm、250μm、150μm、125μm、75μm及び45μm、並びに受け皿の順等に組み合わせる。最上段のふるいに測定粒子の約50gを入れ、ロータップ試験篩振とう機で5分間振とうさせる。各ふるい及び受け皿上の測定粒子の重量を秤量し、その合計を100重量%として各ふるい上の粒子の重量分率を求め、この値を対数確率紙{横軸がふるいの目開き(粒子径)、縦軸が重量分率}にプロットした後、各点を結ぶ線を引き、重量分率が50重量%に対応する粒子径を求め、これを重量平均粒子径とする。
【0029】
また、微粒子の含有量は少ない方が吸収性能が良好となるため、全粒子に占める106μm以下(好ましくは150μm以下)の微粒子の含有量は3重量%以下が好ましく、さらに好ましくは1重量%以下である。微粒子の含有量は、上記の重量平均粒径を求める際に作成するプロットを用いて求めることができる。
【0030】
架橋重合体(A)の見掛け密度(g/ml)は、0.54〜0.70が好ましく、さらに好ましくは0.56〜0.65、特に好ましくは0.58〜0.60である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。なお、見掛け密度は、JIS K7365:1999に準拠して、25℃で測定される。
【0031】
架橋重合体(A)の形状については特に限定はなく、不定形破砕状、リン片状、パール状及び米粒状等が挙げられる。これらのうち、紙おむつ用途等での繊維状物とのからみが良く、繊維状物からの脱落の心配がないという観点から、不定形破砕状が好ましい。
【0032】
架橋重合体(A)は必要に応じて表面架橋剤により表面架橋してもよく、表面架橋剤としては、特開昭59−189103号公報等に記載の多価グリシジル、特開昭58−180233号公報又は特開昭61−16903号公報等に記載の多価アルコール、多価アミン、多価アジリジン及び多価イソシアネート、特開昭61−211305号公報又は特開昭61−252212号公報等に記載のシランカップリング剤、並びに特開昭51−136588号公報又は特開昭61−257235号公報等に記載の多価金属等が挙げられる。これらの表面架橋剤のうち、吸収特性、吸収性樹脂粒子の壊れ性の観点から、多価グリシジル、多価アミン及びシランカップリング剤が好ましく、さらに好ましくは多価グリシジル及びシランカップリング剤、特に好ましくは多価グリシジルである。また、多価グリシジル中でも、好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテル及びグリセリンジグリシジルエーテル、特に好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテルである。
【0033】
表面架橋剤の含有量(重量%)は、吸収性能等の観点から、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.01〜0.10が好ましく、さらに好ましくは0.03〜0.8、特に好ましくは0.05〜0.06である。
【0034】
表面架橋を行う場合、表面架橋方法としては、公知の方法{たとえば、特開平13−2935号公報、特開2003−147005号公報、特開2003−165883号公報に開示された方法}で行うことができる。
【0035】
表面架橋は、以上の表面架橋を2回以上繰り返して行ってもよい。すなわち、表面架橋剤で表面架橋して得られる吸収性樹脂粒子を、同種又は異種の表面架橋剤で追加の表面架橋を施すことができる。追加の表面架橋剤の含有量、処理方法、処理温度、処理時間等は上記の場合と同様である。
【0036】
壊れ防止剤(c)としては、40℃において、液状のものが含まれる。壊れ防止剤(c)の40℃における粘度(mPa・s)は10〜4000が好ましく、さらに好ましくは100〜3000、特に好ましくは500〜2000である。この範囲であると、吸収性樹脂の壊れ防止性がさらに良好となる。
【0037】
壊れ防止剤(c)のSP値は、7〜18が好ましく、さらに好ましくは8〜17、特に好ましくは10〜16である。この範囲であると、吸収性樹脂の壊れ防止性がさらに良好となる。なお、SP値は化合物の極性を現すファクタ−として一般に用いられており本発明ではポリマ−ハンドブック第3版(WILEY INTERSCIENCE社発行)VII−527〜539に記載されている溶媒のSP値δ[(cal/cm1/2]の値を適用するものとし、この表に記載されていない物質に関しては同ハンドブックのVII−524のSmallの式にVII−525に記載されているHoyの凝集エネルギ−定数を代入して導いた値δ[(cal/cm1/2]を適用するものとする。
【0038】
壊れ防止剤(c)の沸点は、80〜400℃が好ましく、さらに好ましくは90〜350℃、特に好ましくは100〜300℃である。この範囲であると、吸収性樹脂の壊れ防止性がさらに良好となる。
【0039】
壊れ防止剤(c)としては、炭素数2〜10の多価(2〜6価)アルコール(c1)、オキシエチレン含有化合物(c2)、オキシプロピレン含有化合物(c3)及びエステル(c4)等が含まれる。
【0040】
炭素数2〜10の多価(2〜6価)アルコール(c1)としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジール、1,10−デカンジオール、ジグリセリン及びトリグリセリン等が挙げられる。
【0041】
オキシエチレン含有化合物(c2)としては、アルコールのエチレンオキシド1〜8モル付加物(c21)等が使用できる。
エチレンオキシドの付加数(モル)は、吸収性能の観点から、1分子中に、1〜8が好ましく、さらに好ましくは1〜6、特に好ましくは1〜4、次に好ましくは1〜3、最も好ましくは1又は2である。
アルコールとしては、炭素数6〜10の多価(2〜5価)アルコール、炭素数2〜5の多価(2〜6価)アルコール等が含まれる。
炭素数6〜10の多価(2〜5価)アルコールとしては、1,6−ヘキサンジール、1,10−デカンジオール、ジグリセリン及びトリグリセリン等が挙げられる。
炭素数2〜5の多価(2〜6価)アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール及び1,4−ブタンジオール等が挙げられる。
【0042】
オキシプロピレン含有化合物(c3)としては、アルコールのプロピレンオキシド1〜20モル付加物(c31)及び、上記のオキシエチレン含有化合物のプロピレンオキシド1〜20モル付加化合物(c32)等が使用できる。
プロピレンオキシドの付加数(モル)は、吸収性能の観点から、1分子中に、1〜20が好ましく、さらに好ましくは2〜18、特に好ましくは3〜17、次に好ましくは4〜16、最も好ましくは5〜15である。
アルコールとしては、上記のアルコールの他に、炭素数1〜9の一価アルコール等が含まれる。
炭素数1〜9の一価アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、n−ヘキサノール、n−ペンタノール、2−エチルヘキサノール及びn−オクタノール等が挙げられる。
【0043】
エステル(c4)としては、有機酸{一価カルボン酸、多価(2〜6価)カルボン酸等}又は無機酸{硫酸及びリン酸等}と、前述の一価アルコール、多価(2〜6価)アルコール、アルコールのエチレンオキシド付加物又はアルコールのプロピレンオキシド付加物とのエステル化合物等が使用できる。
(c4)の具体例としては、酢酸ブチル、エチレングリコール酢酸ジエステル等が挙げられる。
これらのエステル化合物は、エステル結合を少なくとも1個有していれば制限がなく、また、(c4)には、カルボキシレート基{対イオンとしてはアルカリ金属(ナトリウム及びカリウム等)イオン等}を含んでいてもよい。
【0044】
これらの壊れ防止剤(c)のうち、壊れ防止性の観点から、炭素数2〜10の多価(2〜6価)アルコール(c1)及びオキシエチレン含有化合物(c2)が好ましく、さらに好ましくは(c1)が好ましい。
【0045】
壊れ防止剤(c)の含有量は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.1〜1.0重量%が好ましく、さらに好ましくは0.15〜0.95、特に好ましくは0.2〜0.9、最も好ましくは0.3〜0.8である。この範囲であると、吸収性樹脂の壊れ防止性がさらに良好となる。
【0046】
壊れ防止剤(c)は、水及び/又は揮発性溶媒に、溶解及び/又は乳化した形態でも使用できる。揮発性溶媒としては、除去しやすさの観点等から、20℃での蒸気圧(Pa)が0.13〜5.3のものが好ましく、さらに好ましくは0.15〜4.5、特に好ましくは0.23〜3.8のものである。
【0047】
揮発性溶媒としては、炭素数1〜3のアルコール(メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコール等)、炭素数5〜8の炭化水素(ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン及びトルエン等)、炭素数2〜4のエーテル(ジメチルエーテル、ジエチルエーテル及びテトラヒドロフラン等)、炭素数3〜4のケトン(アセトン及びメチルエチルケトン等)及び炭素数3〜5のエステル(蟻酸エチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル及び炭酸ジエチル等)等が挙げられる。水及び/又は揮発性溶媒を使用する場合、乾燥性(揮発させやすさ)の観点から、これらの使用量(重量%)は、壊れ防止剤(c)の重量に基づいて、1〜900が好ましく、さらに好ましくは5〜700、特に好ましくは10〜400である。水及び揮発性溶媒を使用する場合、水の使用量(重量%)は、水及び揮発性溶媒の重量に基づいて、50〜98が好ましく、さらに好ましくは60〜95、特に好ましくは70〜90である。
【0048】
壊れ防止剤(c)を吸収性樹脂粒子に含有させる方法としては、壊れ防止性の観点から、(c)を架橋重合体(A)の表面の一部又は全部に付着させるのが好ましく、架橋重合体(A)に(c)を噴霧する方法や、(c)に架橋重合体(A)をディッピングする方法が挙げられる。
噴霧又はディッピングに適用できる混合装置としては、ナウターミキサー及びタービュライザ等が挙げられる。
【0049】
混合温度(℃)は、20〜100が好ましく、さらに好ましくは40〜90、特に好ましくは50〜80である。この範囲であると、(c)が均一に表面に含浸しやすくなり、吸収性樹脂の壊れ防止性がさらに良好となる。
【0050】
本発明の吸収性樹脂粒子は、さらに疎水性物質(d)を含有することが好ましい。疎水性物質(d)の含有量(重量%)は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.001〜10.0が好ましく、さらに好ましくは0.08〜5.0、特に好ましくは0.1〜1.0である。この範囲であると、吸収性物品の耐カブレ性に優れるため好ましい。
なお本発明において、壊れ防止剤(c)に該当する物質は壊れ防止剤として取り扱い、疎水性物質(d)には含まれない。
【0051】
疎水性物質(d)としては、炭化水素基を含有する疎水性物質(d1)、フッ素原子をもつ炭化水素基を含有する疎水性物質(d2)及びポリシロキサン構造をもつ疎水性物質(d3)等が含まれる。
【0052】
炭化水素基を含有する疎水性物質(d1)としては、ポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン樹脂誘導体、ポリスチレン樹脂、ポリスチレン樹脂誘導体、ワックス、疎水部及び親水部からなる化合物、及びこれらの2種以上の混合物等が含まれる。
【0053】
ポリオレフィン樹脂としては、炭素数2〜4のオレフィン{エチレン、プロピレン、イソブチレン及びイソプレン等}を必須構成単量体(オレフィンの含有量はポリオレフィン樹脂の重量に基づいて、少なくとも50重量%)としてなる重量平均分子量1000〜100万の重合体{たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ(エチレン−イソブチレン)及びイソプレン等}が挙げられる。
【0054】
ポリオレフィン樹脂誘導体としては、ポリオレフィン樹脂にカルボキシ基(−COOH)や1,3−オキソ−2−オキサプロピレン(−COOCO−)等を導入した重量平均分子量1000〜100万の重合体{たとえば、ポリエチレン熱減成体、ポリプロピレン熱減成体、マレイン酸変性ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、マレイン化ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−酢酸ビニル共重合体のマレイン化物等}が挙げられる。
【0055】
ポリスチレン樹脂としては、重量平均分子量1000〜100万の重合体等が使用できる。
【0056】
ポリスチレン樹脂誘導体としては、スチレンを必須構成単量体(スチレンの含有量は、ポリスチレン誘導体の重量に基づいて、少なくとも50重量%)としてなる重量平均分子量1000〜100万の重合体{たとえば、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体及びスチレン−イソブチレン共重合体等}が挙げられる。
【0057】
ワックスとしては、融点50〜200℃のワックス{たとえば、パラフィンワックス、ミツロウ、カルバナワックス及び牛脂等}が挙げられる。
【0058】
疎水部及び親水部からなる化合物としては、長鎖脂肪酸及びその塩、長鎖脂肪族アルコールが挙げられる。
【0059】
長鎖脂肪酸及びその塩としては、炭素数8〜30の脂肪酸{たとえば、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ダイマー酸及びベヘニン酸等}が挙げられ、その塩としては亜鉛、カルシウム、マグネシウム又はアルミニウム(以下、Zn、Ca、Mg、Alと略す)との塩{たとえば、パルミチン酸Ca、パルミチン酸Al、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Mg、ステアリン酸Al等}が挙げられる。吸収性物品の耐モレ性の観点等から、ステアリン酸Zn、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Mg、ステアリン酸Alが好ましく、さらに好ましくはステアリン酸Mgである。
【0060】
長鎖脂肪族アルコールとしては、炭素数10〜30の脂肪族アルコール{たとえば、ラウリルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等}が挙げられる。吸収性物品の耐モレ性の観点等から、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールが好ましく、さらに好ましくはステアリルアルコールである。
【0061】
疎水部及び親水部からなる化合物の融点は、好ましくは50〜300℃であり、さらに好ましくは60〜200℃であり、特に好ましくは80〜160℃である。
また、疎水部及び親水部からなる化合物の解離度は1×10-3〜1×10-20であることが好ましい。
【0062】
フッ素原子をもつ炭化水素基を含有する疎水性物質(d2)としては、パーフルオロアルカン、パーフルオロアルケン、パーフルオロアリール、パーフルオロアルキルエーテル、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルアルコール及びこれらの2種以上の混合物等が含まれる。
【0063】
パーフルオロアルカンとしては、フッ素原子数4〜42、炭素数1〜20のアルカン{たとえば、トリフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、ペンタフルオロプロパン、トリデカフルオロオクタン及びヘプタデカフルオロドデカン等}が挙げられる。
【0064】
パーフルオロアルケンとしては、フッ素原子数4〜42、炭素数2〜20のアルケン{たとえば、トリフルオロエチレン、ペンタフルオロプロペン、トリデカフルオロオクテン及びヘプタデカフルオロドデセン等}が挙げられる。
【0065】
パーフルオロアリールとしては、フッ素原子数4〜42、炭素数6〜20のアリール{たとえば、トリフルオロベンゼン、トリデカフルオロオクチルベンゼン及びヘプタデカフルオロドデシルベンゼン等}が挙げられる。
【0066】
パーフルオロアルキルエーテルとしては、フッ素原子数2〜82、炭素数2〜40のエーテル{たとえば、ジトリフルオロメチルエーテル、ジトリデカフルオロオクチルエーテル及びジヘプタデカフルオロドデシルエーテル等}が挙げられる。
【0067】
パーフルオロアルキルカルボン酸としては、フッ素原子数3〜41 、炭素数1〜21のカルボン酸{たとえば、ペンタフルオロエタン酸、トリデカフルオロオクタン酸、ヘプタデカフルオロドデカン酸及びこれらの金属(アルカリ金属及びアルカリ土類金属等)塩等}が挙げられる。
【0068】
パーフルオロアルキルアルコールとしては、フッ素原子数3〜41、炭素数1〜20のアルコール{たとえば、ペンタフルオロエタノール、ノナフルフルオロヘキサノール、トリデカフルオロオクタノール及びヘプタデカフルオロドデカノール等}及びこのアルコールのエチレンオキサイド(アルコール1モルに対して1〜20モル)付加体等が挙げられる。
【0069】
これらの2種以上の混合物としては、パーフルオロアルキルカルボン酸とパーフルオロアルキルアルコールとの混合物{たとえば、ペンタフルオロエタン酸とペンタフルオロエタノールとの混合物等}が挙げられる。
【0070】
ポリシロキサン構造をもつ疎水性物質(d3)としては、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン{ポリオキシエチレン変性ポリシロキサン及びポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)変性ポリシロキサン等}、カルボキシ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、アルコキシ変性ポリシロキサン等及びこれらの混合物等が含まれる。
【0071】
変性シリコーン{ポリエーテル変性ポリシロキサン、カルボキシ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン及びアミノ変性ポリシロキサン等}の有機基(変性基)の位置としては特に限定はしないが、ポリシロキサンの側鎖、ポリシロキサンの両末端、ポリシロキサンの片末端、ポリシロキサンの側鎖と両末端との両方のいずれでもよい。これらのうち、吸収特性の観点等から、ポリシロキサンの側鎖及びポリシロキサンの側鎖と両末端との両方が好ましく、さらに好ましくはポリシロキサンの側鎖と両末端との両方である。
【0072】
ポリエーテル変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としては、ポリオキシエチレン基又はポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)基を含有する基等が含まれる。ポリエーテル変性ポリシロキサンに含まれるオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基の含有量(個)は、ポリエーテル変性ポリシロキサン1分子あたり、2〜40が好ましく、さらに好ましくは5〜30、特に好ましくは7〜20、最も好ましくは10〜15である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。また、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を含む場合、オキシエチレン基の含有量(重量%)は、ポリシロキサンの重量に基づいて、1〜30が好ましく、さらに好ましくは3〜25、特に好ましくは5〜20である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。
【0073】
ポリエーテル変性ポリシロキサンは、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品{変性位置、オキシアルキレンの種類}が好ましく例示できる。
・信越化学工業株式会社製
KF−945{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、KF−6020{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、X−22−6266{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}
【0074】
・東レ・ダウコーニング株式会社製
FZ−2110{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ−2122{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ−2154{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ−2203{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}及びFZ−2207{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}
【0075】
カルボキシ変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としてはカルボキシ基を含有する基等が含まれ、エポキシ変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としてはエポキシ基を含有する基等が含まれ、アミノ変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としてはアミノ基(1、2,3級アミノ基)を含有する基等が含まれる。これらの変性シリコーン の有機基(変性基)の含有量(g/mol)は、カルボキシ当量、エポキシ当量又はアミノ当量として、200〜11000が好ましく、さらに好ましくは600〜8000、特に好ましくは1000〜4000である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。なお、カルボキシ当量は、JIS C2101:1999の「16.全酸価試験」に準拠して測定される。また、エポキシ当量は、JIS K7236:2001に準拠して求められる。また、アミノ当量は、JIS K2501:2003の「8.電位差滴定法(塩基価・塩酸法)」に準拠して測定される。
【0076】
カルボキシ変性ポリシロキサンは、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品{変性位置、カルボキシ当量(g/mol)}が好ましく例示できる。
・信越化学工業株式会社製
X−22−3701E{側鎖、4000}、X−22−162C{両末端、2300}、X−22−3710{片末端、1450}
【0077】
・東レ・ダウコーニング株式会社製
BY 16−880{側鎖、3500}、BY 16−750{両末端、750}、BY 16−840{側鎖、3500}、SF8418{側鎖、3500}
【0078】
エポキシ変性ポリシロキサンは、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品{変性位置、エポキシ当量}が好ましく例示できる。
・信越化学工業株式会社製
X−22−343{側鎖、525}、X−22−163C{両末端、2700}、X−22−169AS{両末端、500}、X−22−173DX{片末端、4500}、X−22−9002{側鎖・両末端、5000}
【0079】
・東レ・ダウコーニング株式会社製
FZ−3720{側鎖、1200}、FZ−3736{側鎖、5000}、BY 16−855D{側鎖、180}、BY 16−8{側鎖、3700}
【0080】
アミノ変性シリコーンは、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品{変性位置、アミノ当量}が好ましく例示できる。
・信越化学工業株式会社製
KF−865{側鎖、5000}、KF−857{側鎖、2200}、KF−8001{側鎖、1900}、KF−862{側鎖、1900}、X−22−919
2{側鎖、6500}
【0081】
・東レ・ダウコーニング株式会社製
FZ−3707{側鎖、1500}、BY 16−203{側鎖、1900}、BY 16−898{側鎖、2900}、BY 16−890{側鎖、1900}、BY 16−893{側鎖、4000}、FZ−3789{側鎖、1900}、BY 16−871{両末端、130}、BY 16−853C{両末端、360}、BY 16−853U{両末端、450}
【0082】
これらの混合物としては、ポリジメチルシロキサンとカルボキシル変性ポリシロキサンとの混合物、及びポリエーテル変性ポリシロキサンとアミノ変性ポリシロキサンとの混合物等が挙げられる。
【0083】
ポリシロキサン構造を持つ疎水性物質の粘度(mPa・s、25℃)は、10〜5000が好ましく、さらに好ましくは15〜3000、特に好ましくは20〜1500である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。なお、粘度は、JIS Z8803−1991「液体の粘度」9.円すい及び円すい−平板形回転粘度計による粘度測定法に準拠して測定される{たとえば、25.0±0.5℃に温度調節したE型粘度計(東機産業株式会社製RE80L、半径7mm、角度5.24×10−2radの円すい型コーン)を用いて測定される。}
【0084】
疎水性物質(d)のHLB値は、1〜10が好ましく、さらに好ましくは3〜8、特に好ましくは5〜7である。この範囲であると、吸収性物品の耐モレ性がさらに良好となる。なお、HLB値は、親水性−疎水性バランス(HLB)値を意味し、小田法(新・界面活性剤入門、197頁、藤本武彦、三洋化成工業株式会社発行、1981年発行)により求められる。
【0085】
これらの疎水性物質(d)のうち、吸収性物品の耐モレ性の観点等から、疎水部及び親水部からなる化合物が好ましく、さらに好ましくは長鎖脂肪酸及びその塩であり、特に好ましくはステアリン酸Mg、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Zn、ステアリン酸Alである。
【0086】
本発明の吸収性樹脂粒子は、吸収性樹脂粒子の内部に疎水性物質(d)の一部又は全部を含んでなる構造を有すれば、疎水性物質(d)は、どのように含まれていても構わないが、吸収性物品の耐モレ性の観点から疎水性物質(d)の一部が吸収性樹脂粒子の表面に存在しているのが好ましい。
【0087】
吸収性樹脂粒子がこの内部に疎水性物質(d)の一部又は全部を含んでなる構造は、吸収性樹脂粒子を、(1)疎水性物質(d)と架橋重合体(A)の含水ゲルと混合・混練する方法、または(2)疎水性物質(d)の存在下、構成単位を重合させて架橋重合体(A)の含水ゲルを得る方法により製造され得る。
【0088】
(1)の方法において、疎水性物質(d)としては、疎水性物質(d)をフィルムの粉砕物、ビーズ、棒状又は繊維状に加工したものを用いることができる。フィルムの粉砕物の体積平均粒径(μm)は5〜50が好ましく、さらに好ましくは7〜30、特に好ましくは10〜20である。ビーズの体積平均粒子径(μm)は、0.5〜100が好ましく、さらに好ましくは1〜30、特に好ましくは2〜20である。棒状の長さ(μm)は、5〜50が好ましく、さらに好ましくは7〜30、特に好ましくは10〜20であり、直径(μm)は、0.5〜50が好ましく、さらに好ましくは1〜30、特に好ましくは2〜15である。繊維状の長さ(μm)は、5〜50が好ましく、さらに好ましくは7〜30、特に好ましくは10〜20であり、直径(μm)は、0.5〜50が好ましく、さらに好ましくは1〜30、特に好ましくは2〜15である。これらの範囲であると、吸収性物品の耐モレ性がさらに良好となる。
【0089】
炭化水素基を含有する疎水性物質(d1)を使用する場合は、ステアリン酸Mgビーズ、ポリスチレンビーズ及びポリエチレンビーズ等のビーズ、並びにポリエチレンフイルム(例えば、タマポリ社製:SE625M、UB−1)及びポリスチレンフィルム(例えば旭化成社製:OPS等)等のフィルムの粉砕品(体積平均粒度20〜50μm)等が挙げられる。ポリシロキサンを含有する疎水性物質(d3)を使用する場合は、シリコーンビーズ{例えば、GE東芝シリコーン社製:トスパール240(不定形シリコーン樹脂微粉末、体積平均粒径4μm)、トスパール3120(真球状シリコーン樹脂微粉末、体積平均粒径12μm)、トスパール145(真球状シリコーン樹脂微粉末、体積平均粒径45μm)等}等が挙げられる。フッ素原子をもつ炭化水素基を含有する疎水性物質(d2)を使用する場合は、フッ素フィルム{例えば、旭ガラス社製:FLUON PTFE(ポリテトラフルオロエチレンフィルム)、FLUON PFA(四フッ化エチレンとパーフルオロエチレンとの共重合物のフィルム)、FLUON AFLAS(テトラフルオロエチレンとプロピレンとの共重合物のフィルム)等}の粉砕品(体積平均粒径20〜50μm)等が挙げられる。
これらのうち、吸収性物品の耐モレ性等の観点から、ビーズが好ましく、さらに好ましくはステアリン酸Mgビーズである。
【0090】
架橋重合体(A)と疎水性物質(d)との混合方法としては、疎水性物質(d)が架橋重合体(A)の内部に存在するように混合されれば制限がない。
しかし、疎水性物質(d)は、架橋重合体(A)の乾燥体ではなく、(A)の含水ゲル又は(A)の重合液と混合されることが好ましく、さらに好ましくは(A)の含水ゲルと混合されることである。なお、混合は、練り込むように均一混合することが好ましい。
水溶液重合法により架橋重合体(A)を得るとき、疎水性物質(d)と(A)とを混合・混練するタイミングとしては特に制限はないが、重合工程中、重合工程直後、含水ゲルの破砕(ミンチ)中及び含水ゲルの乾燥中等が挙げられる。これらのうち、吸収性物品の耐モレ性等の観点から、重合工程直後及び含水ゲルの破砕(ミンチ)工程中が好ましく、さらに好ましくは含水ゲルの破砕(ミンチ)工程中である。また、疎水性物質(d)が長鎖脂肪酸塩の場合、長鎖脂肪酸と金属の水酸化物を混合していれてもよいし、個別にいれてもよい。
【0091】
逆相懸濁重合法又は乳化重合により架橋重合体(A)を得るとき、疎水性物質(d)と(A)とを混合するタイミングとしては特に制限はないが、重合工程中{(d)の存在下で、(A)を製造する}、重合工程直後、脱水工程中(含水率10重量%前後まで脱水する工程中)、脱水工程直後、重合に用いた有機溶媒を分離留去する工程中、含水ゲルの乾燥中等が挙げられる。これらのうち、吸収性物品の耐モレ性等の観点から、重合工程中、重合工程直後、脱水工程中、脱水工程直後、重合に用いた有機溶媒を分離留去する工程中が好ましく、さらに好ましくは重合工程中、重合工程直後である。
【0092】
含水ゲルの乾燥中に混合する場合、混合装置としては、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機及びロール式粉砕機等の通常の装置が使用できる。重合液中で混合する場合、ホモミキサー、バイオミキサー等の比較的攪拌力の高い装置を使用できる。また、含水ゲルの乾燥中で混合する場合、SVミキサー等の混練装置も使用できる。
【0093】
混合温度(℃)は、20〜100が好ましく、さらに好ましくは40〜90、特に好ましくは50〜80である。この範囲であると、さらに均一混合しやすくなり、吸収特性がさらに良好となる。
【0094】
疎水性物質(d)の存在下で、架橋重合体(A)を製造する方法において、架橋重合体(A)の重合液に疎水性物質(d)を溶解又は乳化(分散)させておき、(A)の重合の進行と共に(d)を析出させながら行うことができる。疎水性物質(d)の存在下で重合を行うこと以外、重合方法は、架橋重合体(A)の場合と同様である。
【0095】
疎水性物質(d)は、水及び/又は揮発性溶媒に、溶解及び/又は乳化した形態でも使用できる(ただし、乳化剤は使用しない)。揮発性溶媒としては、除去しやすさの観点等から、20℃での蒸気圧(Pa)が0.13〜5.3のものが好ましく、さらに好ましくは0.15〜4.5、特に好ましくは0.23〜3.8のものである。
揮発性溶媒としては、炭素数1〜3のアルコール(メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコール等)、炭素数5〜8の炭化水素(ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン及びトルエン等)、炭素数2〜4のエーテル(ジメチルエーテル、ジエチルエーテル及びテトラヒドロフラン等)、炭素数3〜4のケトン(アセトン及びメチルエチルケトン等)、及び炭素数3〜5のエステル(蟻酸エチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル及び炭酸ジエチル等)等が挙げられる。水及び/又は揮発性溶媒を使用する場合、これらの使用量(重量%)は、疎水性物質(d)の重量に基づいて、1〜900が好ましく、さらに好ましくは5〜700、特に好ましくは10〜400である。水及び揮発性溶媒を使用する場合、水の使用量(重量%)は、水及び揮発性溶媒の重量に基づいて、50〜98が好ましく、さらに好ましくは60〜95、特に好ましくは70〜90である。
【0096】
疎水性物質(d)を含有する含水ゲルは、必要に応じて、この含水ゲルを細断することができる。細断後の含水ゲル粒子の大きさ(最長径)は50μm〜10cmが好ましく、さらに好ましくは100μm〜2cm、特に好ましくは1mm〜1cmである。この範囲であると、乾燥工程での乾燥性がさらに良好となる。
細断方法は、架橋重合体(A)の場合と同様の方法が採用できる。
【0097】
本発明の吸収性樹脂粒子はさらに表面に無機質粉末(e)を表面に含有することもできる。無機質粉末(e)としては、親水性無機物粒子(e1)及び疎水性無機粒子(e2)等が含まれる。
親水性無機物粒子(e1)としては、ガラス、シリカゲル、シリカ及びクレー等の粒子が挙げられる。
疎水性無機物粒子(e2)としては、炭素繊維、カオリン、タルク、マイカ、ベントナイト、セリサイト、アスベスト及びシラス等の粒子が挙げられる。
これらのうち、親水性無機粒子(e1)が好ましく、最も好ましいのはシリカである。
【0098】
親水性無機粒子(e1)及び疎水性無機粒子(e2)の形状としては、不定形(破砕状)、真球状、フィルム状、棒状及び繊維状等のいずれでもよいが、不定形(破砕状)又は真球状が好ましく、さらに好ましくは真球状である。
【0099】
無機質粉末(e)の含有量(重量%)は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.01〜3.0が好ましく、さらに好ましくは0.05〜1.0、次に好ましくは0.1〜0.8、特に好ましくは0.2〜0.7、最も好ましくは0.3〜0.6である。この範囲であると、吸収性物品の耐カブレ性がさらに良好となる。
【0100】
本発明の吸収性樹脂粒子には、必要により任意の段階{重合工程、乾燥工程、表面架橋工程及び/又はこれらの工程の前後}において、添加物を添加することができる。
添加物としては、公知(たとえば特開2003−225565号公報)の添加剤{防腐剤、防かび剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、消臭剤及び有機質繊維状物等}等が使用でき、これらの1種又は2種以上を併用してもよい。
【0101】
本発明の吸収性樹脂粒子1g当たりの生理食塩水に対する膨潤容積測定法において、膨潤容積が5mlに達するまでの時間(t1)と、膨潤容積が40mlに達するまで時間(t2)の比(t2/t1)は5〜20であり、好ましくは5〜15であり、最も好ましくは5〜10である。また、t1は20〜60秒であることが好ましく、さらに好ましくは20〜50秒であり、最も好ましくは30〜40秒である。
疎水性物質(d)の含有量、吸収性樹脂粒子の見掛け密度、吸収性樹脂粒子の重量平均粒径等を前記好ましい範囲に調整することで、膨潤容積測定法による吸収量を好ましい範囲に調整できる。
【0102】
なお、膨潤容積測定法は、25±2℃、湿度50±10%の室内で、図1に示す装置を用いて行う測定法である。なお、使用する生理食塩水の温度は25℃±2℃である。
図1に示した装置はアクリル製の底付円筒1とアクリル製の円盤2からなる。
底付円筒1は、内径81mm、長さ35mmの円筒の一方の開口部に底があり、残りの一方は開口している底付円筒である。
アクリル製の円盤2は、外径80.5mm、厚さ12mmの円盤である。円盤2は、直径70.5mm、深さ4mmの円形状のくぼみが円盤の中心と円の中心が一致する位置にある。そして円盤2には、円形状のくぼみ部分に、取手として、長さ13mm、外径15mmの円柱が、円盤2の中心と円柱の底面の中心が一致する位置にある。
さらに、円盤2は、直径2mmの穴64個が放射状にあいたものである(図5参照)。円盤2の穴について説明する。穴は、円盤の八等分線上に円盤の中心から10mmの位置から30mmの位置の間に直径2mmの穴が5個ずつ5mmの等間隔に存在する(計40個)。それに加え、上記の等分線から22.5°傾いた八等分線上に円盤の中心から20mmの位置から30mmの位置の間に直径2mmの穴が3個ずつ5mmの等間隔に存在する(計24個)。
そして、円盤2の重量は、60g±5gである。
【0103】
<膨潤容積の測定法>
垂直に立てた底板付円筒1内に150〜850μmの粒子径にふるい分けした測定試料2.50g(含水率は8.0%以下)を秤量し、底板付円筒1の底部にほぼ均一な厚みになるように投入し、円盤2を円柱の取手が上になるように載せ、厚み計(例えばMitutoyo社製デジマチックインジケータ ID−F150)を用いて円筒の底面から円盤の取手の上面までの距離を測定する。このとき、デジマチックインジケータの測定棒の重み(140g±10g)と取手付円盤2の重みにより吸収性樹脂粒子にかかる圧力は3.9±0.3g/cmとなる。次に、デジマッチクインジケーターの厚みの表示を0にする。引き続いて生理食塩水120mlを2秒以内に底付円筒1内に投入する。
この投入開始の時間を0とし、投入開始から時間経過により円盤2が上昇した距離H(cm)を連続データとして記録する。吸収性樹脂粒子1g当たりの膨潤容積(ml)を以下の式により計算することで、時間に対する膨潤容積変化のデータを得る。このデータから、膨潤容積が5mlに達するまでの時間(t1)と膨潤容積が40mlに達するまでの時間(t2)を求める。同じ測定を5回行い、その平均値を測定値とする。
【0104】
【数1】

【0105】
本発明の吸収性樹脂粒子の保水量(g/g)は、吸収性物品の耐カブレ性の観点から、28〜45が好ましく、さらに好ましくは32〜40、特に好ましくは34〜38である。なお、吸収性樹脂粒子の保水量は以下の方法により測定される。
【0106】
<吸収性樹脂粒子の保水量の測定法>
目開き63μm(JIS Z8801−1:2006)のナイロン網で作成したティーバッグ(縦20cm、横10cm)に測定試料1.00gを入れ、生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)1,000ml中に無撹拌下、1時間浸漬した後、15分間吊るして水切りした。その後、ティーバッグごと、遠心分離器にいれ、150Gで90秒間遠心脱水して余剰の生理食塩水を取り除き、ティーバックを含めた重量(h1)を測定し次式から保水量を求める。なお、使用した生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃とする。
測定試料を用いない以外は上記と同様にして、遠心脱水後のティーバックの重量を測定し(h2)とする。
【0107】
保水量(g/g)=(h1)−(h2)
【0108】
本発明の吸収性樹脂粒子の加圧吸収量(g/g)は、吸収性物品の耐モレ性の観点から、8〜35が好ましく、さらに好ましくは9〜25、特に好ましくは10〜20である。なお、吸収性樹脂粒子の加圧吸収量は以下の方法により測定される。
【0109】
<加圧吸収量>
250メッシュのナイロン網を底面に貼ったプラスチック製円筒(内径25mm、高さ30mm)内に吸収性樹脂0.160gを入れて均一に均し、この吸収性樹脂の上に外径25mmでスムーズに円筒内を上下する200gの分銅を乗せる。この時の荷重は約40g/cmに相当する。生理食塩水60mlの入ったシャーレー(直径12cm)の中に吸収性樹脂と分銅の入ったプラスチック円筒をナイロン網側を下面にして浸し、放置する。吸収性樹脂が生理食塩水を吸収して増加した質量を60分後に測定し、その値を吸収性樹脂1g当たりの値に換算して40g/cmにおける加圧吸収量とした。
【0110】
本発明の吸収性樹脂粒子は、繊維状物と共に吸収体とすることができる。吸収体の構造及び製造方法等は、公知のもの{特開2003−225565号公報、特開2006−131767号公報及び特開2005−097569号公報等}と同様である。また、この吸収体は吸収性物品{紙おむつや生理用ナプキン等}を構成することが好ましい。吸収性物品の製造方法等は、公知のもの{特開2003−225565号公報、特開2006−131767号公報及び特開2005−097569号公報等}と同様である。
【0111】
本発明の吸収性樹脂粒子を、繊維状物と共に吸収体とする場合、吸収性樹脂粒子と繊維の重量比率(吸収性樹脂粒子の重量/繊維の重量)40/60〜70/30が好ましく、さらに好ましくは50/50〜60/40である。
【実施例】
【0112】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に定めない限り、部は重量部、%は重量%を示す。なお、吸収性樹脂粒子の膨潤容積測定法による吸収量、保水量、加圧吸収量は前述した方法により測定した。
【0113】
<実施例1>
水溶性ビニルモノマーとしてアクリル酸(a1−1){三菱化学株式会社製、純度100%}155部(2.15モル部)、架橋剤としてペンタエリスリトールトリアリルエーテル(b1){ダイソ−株式会社製}0.6225部(0.0024モル部)及び脱イオン水340.27部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.62部、2%アスコルビン酸水溶液1.1625部及び2%の2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]水溶液2.325部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が90℃に達した後、90±2℃で約5時間重合することにより含水ゲルを得た。
次にこの含水ゲル502.27部をミンチ機(ROYAL社製12VR−400K)で細断しながら48.5%水酸化ナトリウム水溶液128.42部を添加して混合し、引き続き疎水性物質としてステアリン酸Mg(d1){体積平均粒径8μm}1.9部を添加して混合し、細断ゲルを得た。さらに細断ゲルを通気型バンド乾燥機{150℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、目開き150及び710μmのふるいを用いて150〜710μmの粒度に調整することにより、乾燥体粒子を得た。この乾燥体粒子100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の5部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、150℃で30分間静置して表面架橋することにより、吸収性樹脂粒子を得た。この吸収性樹脂粒子100部をさらに高速撹拌(細川ミクロン製高速撹拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、壊れ防止剤としてプロピレングリコール(c1)0.5部をスプレー噴霧しながら加えて表面に含浸することにより、本発明の吸収性樹脂粒子(1)を得た。この吸収性樹脂粒子(1)の重量平均粒子径は395μmであり、見掛け密度は0.58g/ml、含水率は6%であった。
【0114】
<実施例2>
「プロピレングリコール(c1)0.5部」を「プロピレングリコール(c1)0.2部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(2)を得た。吸収性樹脂粒子(2)の重量平均粒子径は390μmであり、見掛け密度は0.58g/ml、含水率は6%であった。
【0115】
<実施例3>
「プロピレングリコール(c1)0.5部」を「プロピレングリコール(c1)1.0部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(3)を得た。吸収性樹脂粒子(3)の重量平均粒子径は400μmであり、見掛け密度は0.58g/ml、含水率は6%であった。
【0116】
<実施例4>
「プロピレングリコール(c1)0.5部」を「エチレングリコールエチレンオキサイド2モル付加物(c2)0.5部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(4)を得た。吸収性樹脂粒子(4)の重量平均粒子径は395μmであり、見掛け密度は0.58g/ml、含水率は6%であった。
【0117】
<実施例5>
「プロピレングリコール(c1)0.5部」を「ブチルアルコールプロピレンオキサイド12モル付加物(c3)0.5部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(5)を得た。吸収性樹脂粒子(5)の重量平均粒子径は405μmであり、見掛け密度は0.60g/ml、含水率は6%であった。
【0118】
<実施例6>
実施例1の吸収性樹脂粒子(1)100部に親水性無機粒子としてアエロジル200PE(日本エアロジル社製品)(e1)0.6部を添加、混合し、本発明の吸収性樹脂粒子(6)を得た。吸収性樹脂粒子(6)の重量平均粒子径は390μmであり、見掛け密度は0.57g/ml、含水率は6%であった。
【0119】
<実施例7>
「疎水性物質としてステアリン酸Mg(d1)1.9部」を使用しなかったこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(7)を得た。吸収性樹脂粒子(7)の重量平均粒子径は405μmであり、見掛け密度は0.60g/ml、含水率は6%であった。
【0120】
<実施例8>
「プロピレングリコール(c1)0.5部」を「プロピレングリコール(c1)0.5部と{イオン交換水}5部の混合溶液」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(8)を得た。吸収性樹脂粒子(8)の重量平均粒子径は410μmであり、見掛け密度は0.60g/ml、含水率は10%であった。
【0121】
<比較例1>
「プロピレングリコール(c1)0.5部」を添加しなかったこと以外、実施例1と同様にして、比較の吸収性樹脂粒子(1)を得た。比較の吸収性樹脂粒子(1)の重量平均粒子径は390μmであり、見掛け密度は0.58g/ml、含水率は6%であった。
【0122】
<比較例2>
実施例1と同様にして、乾燥体粒子を得た。この乾燥体粒子100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の5部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、150℃で40分間静置して表面架橋することにより、比較の吸収性樹脂粒子を得た。この吸収性樹脂粒子100部をさらに高速撹拌(細川ミクロン製高速撹拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、壊れ防止剤としてプロピレングリコール(c1)0.5部をスプレー噴霧しながら加えて表面に含浸することにより、比較の吸収性樹脂粒子(2)を得た。比較の吸収性樹脂粒子(2)の重量平均粒子径は390μmであり、見掛け密度は0.58g/ml、含水率は1%であった。
【0123】
<比較例3>
「プロピレングリコール(c1)0.5部」を「プロピレングリコール(c1)0.5部と{イオン交換水}25部の混合溶液」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、比較の吸収性樹脂粒子(3)を得た。比較の吸収性樹脂粒子(3)の重量平均粒子径は390μmであり、見掛け密度は0.58g/ml、含水率は25%であった。
【0124】
<壊れ性試験方法>
吸収性樹脂粒子のサンプル100gをボールミル(ポール数5個)に入れ、毎分150回転で15分間回転させた。
このボールミルで処理した後の吸収性樹脂粒子について、膨潤体積測定法による吸収量、保水量、加圧吸収量を測定した。
【0125】
実施例1〜8及び比較例1〜3で得た吸収性樹脂粒子について、測定した物理的性質{重量平均粒子径、見掛け密度}及び性能評価結果{膨潤体積測定法による吸収量、保水量、加圧吸収量}を表1に示す。なお、%は架橋重合体(A)の重量に基づく、含有量(重量%)を示す。また壊れ性試験後の性能評価結果{膨潤体積測定法による吸収量、保水量、加圧吸収量}を表2に示す。
【0126】
【表1】

【0127】
【表2】

【0128】
表1および表2の結果から、実施例1〜8で得られた本発明の吸収性樹脂粒子(1)〜(8)は、比較例1〜3の比較の吸収性樹脂粒子(1)〜(3)と比較して、壊れ性試験前の性能に大きな差は見られないが、壊れ性試験後の吸収性能{膨潤体積測定法による吸収量、加圧吸収量}に大きな差が見られ、壊れ性に対する飛躍的な改善が認められる。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明の吸収性樹脂粒子は、吸収性樹脂粒子と繊維状物とを含有してなる吸収体に適用でき、この吸収体を備えてなる吸収性物品{紙おむつ、生理用ナプキン及び医療用保血剤等}に有用である。また、ペット尿吸収剤、携帯トイレ用尿ゲル化剤、青果物用鮮度保持剤、肉類・魚介類用ドリップ吸収剤、保冷剤、使い捨てカイロ、電池用ゲル化剤、植物・土壌用保水剤、結露防止剤、止水剤、パッキング剤及び人工雪等の種々の用途にも使用できる。
【符号の説明】
【0130】
1 底付円筒
2 円盤
3 吸収性樹脂粒子
4 デジマチックインジケーターの厚み測定用の棒
5 デジマチックインジケーターの厚み表示部
6 デジマチックインジケータの台


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)並びに架橋剤(b)を必須構成単位としてなる架橋重合体(A)と、壊れ防止剤(c)とを含んでなる吸収性樹脂粒子であって、含水率が3〜20%である吸収性樹脂粒子。
【請求項2】
壊れ防止剤(c)のSP値が7〜18、沸点が80〜400℃であり、かつ(c)が40℃で液状である請求項1に記載の吸収性樹脂粒子。
【請求項3】
壊れ防止剤(c)の含有量が、架橋重合体(A)の重量に基づき、0.1〜1.0重量%である請求項1又は2に記載の吸収性樹脂粒子。
【請求項4】
膨潤容積測定法において、吸収性樹脂粒子1g当たりの生理食塩水に対する、膨潤容積が5mlに達するまでの時間(t1)と、膨潤容積が40mlに達するまで時間(t2)との比(t2/t1)が5〜20である請求項1〜3のいずれかに記載の吸収性樹脂粒子。
【請求項5】
膨潤容積測定法において、膨潤容積が5mlに達するまでの時間(t1)が20〜60秒である請求項1〜4のいずれかに記載の吸収性樹脂粒子。
【請求項6】
さらに、疎水性物質(d)を架橋重合体(A)の重量に基づき、0.001〜10.0重量%含有してなる請求項1〜5のいずれかに記載の吸収性樹脂粒子。
【請求項7】
疎水性物質(d)の一部が吸収性樹脂粒子の表面に存在してなる請求項6に記載の吸収性樹脂粒子。
【請求項8】
さらに、無機質粉末(e)を架橋重合体(A)の重量に基づき表面に0.01〜3.0%含有してなる請求項1〜7のいずれかに記載の吸収性樹脂粒子。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載された吸収性樹脂粒子と繊維状物とを含有してなる吸収体。
【請求項10】
請求項9に記載された吸収体を用いた吸収性物品。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−12469(P2012−12469A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149445(P2010−149445)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(301023009)サンダイヤポリマー株式会社 (57)
【Fターム(参考)】