説明

吸排気弁装置

【課題】大吸排気口と小吸排気口とを備えた吸排気弁装置について、小吸排気口を開閉する小弁体の弁機能を良好に維持できるようにする。
【解決手段】ケーシング2の頂端を覆う蓋体3に大吸排気口30が設けられて上下可動に収納された大弁体6の動作で大吸排気口30を下から開閉し、大弁体6に小吸排気口61が設けられて浮子7の動作に連動して小弁体で64で小吸排気口61を下から開閉するものとし、その大弁体6を、有底円筒状の部材が開口側を下にして配置され内側部分に小弁体64を収装した弁室30を形成し、弁室60頂壁側で小吸排気口61が開口して小弁座63とされ、小弁座63が弁室60の下部開口端位置から所定高さ以上の位置に配置されているとともに大弁体6が弁室60内に所定量以上の空気を溜めて所定レベル以上の浮力を発揮することで、弁室60内に入った水の水位が小弁座63の高さまで達しないものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸気・排気を一つの装置で行う吸排気弁装置に関し、殊に給水・排水等における配管の負圧破壊及び空気排出を行うために配管頂部に設けられる吸排気弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高層集合住宅などの給水システムにおいて、受水槽を使用しない増圧直結システムを採用した場合、配管設備の保護や給水の安定化を図るために立て配管の頂部に吸気弁や排気弁を設置することが必要となる。吸気弁は一時的な断水やポンプ事故などにより配管内圧力が低下し、立て配管上部が負圧になって逆サイホン現象を発生することを防止する目的で空気を吸入させるものであり、排気弁は配管に経時的に溜まった空気や初期通水時に内部に存在する空気を排出するものである。
【0003】
この吸気弁と排気弁を一体品としてコンパクトに纏めたものとして、例えば特開2002−22043号公報に記載されているように、配管頂部に接続されるケーシングの上端側に大吸排気口と小吸排気口を有するとともに、ケーシング内に遊動弁体と重比重の浮子弁体及び軽比重の浮子とを上下に配して、浮子下降位置で大吸排気口と小吸排気口がともに開かれ、浮子が上昇すると先ず遊動弁体が大吸排気口を閉じ、次いで浮子弁体が遊動弁体に設けた小吸排気口を閉じるものとし、また空気が溜まると小吸排気口が開き、負圧発生時には大吸排気口・小吸排気口がともに開くものとした吸排気弁装置が知られている。
【0004】
しかし、このように吸気弁と排気弁を一体化したものにあっては、閉弁不良などを原因として水が流出した場合の対策が充分に考慮されていない。そこで、この問題に対し、流出水の処理と吸排気能力の確保とを両立させながらメンテナンス性も改善した吸排気弁装置が、特開2004―176836号公報に提案されている。
【0005】
この吸排気弁装置では、ケーシング頂端を覆う蓋体に開口した吸排気口を覆うようにカバー部材が設けられ、このカバー部材にその吸排気口上端面とほぼ同一高さ位置とした流出水を誘導する導管を接続する接続口と、この吸排気口の接続口を除いた上方の外周領域に亘って設けられ吸排気口上端面よりも上方へ突出させた立上り縁を有して吸排気口を大気に開放させた吸排気用の開口とが設けられており、流出水の処理を的確に行うとともに高い吸排気能力を発揮するものとなっている。
【0006】
ところが、この吸排気弁装置を含め、大吸排気口を開閉する大弁体と大弁体に設けられた小吸排気口を開閉する小弁体をケーシング内に備えたものにあっては、大弁体において下端側又は内部頂壁側に開口した小吸排気口の小弁座と、小弁体を開閉動作させる浮子の上面とが比較的近い位置に配置されており、大弁体の浮力が浮子の浮力よりも格段に小さいこと等を原因として、ケーシング内に入った水の水面が小吸排気口の小弁座位置まで達しやすくなっており、水に含まれる塵芥が小弁体と小弁座の間に噛み込んで小吸排気口を開閉する小弁体の弁機能不良を招く畏れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−22043号公報
【特許文献2】特開2004―176836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような問題を解決しようとするものであり、大吸排気口を開閉する大弁体と大弁体に設けられた小吸排気口を浮子の上下動で開閉する小弁体とをケーシング内に備えた吸排気弁装置について、小吸排気口を開閉する小弁体の弁機能を良好に維持できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明は、配管頂部に接続されるケーシングに収装した浮子とケーシングに空気を導入またはケーシングに溜まった空気を排出する吸排気口とを有し、その吸排気口は大排気口と小吸排気口の2つからなり、ケーシングの頂端を覆う蓋体に大吸排気口が設けられてケーシング内で上下可動に収納された大弁体の動作でこの大吸排気口を下から開閉し、この大弁体を上下に貫通して小吸排気口が設けられて大弁体下方で上下可動に配置された浮子の動作に連動して動作する小弁体でその小吸排気口を下から開閉する吸排気弁装置において、その大弁体は、有底円筒状の部材が開口側を下にして配置されるとともに内側部分に小弁体を収装した弁室を形成し、この弁室の頂壁側で小吸排気口が開口して小弁体が近接・離間する小弁座とされ、この小弁座が弁室の下部開口端位置から所定高さ以上の位置に配置されているとともに大弁体が弁室内に所定量以上の空気を溜めて全体として所定レベル以上の浮力を発揮することにより、ケーシング内に侵入して弁室内に入った水の水位が小弁座の高さまで達しないものとされている、ことを特徴とするものとした。
【0010】
このように、大弁体を有底円筒状の部材が下向きに配置されたものとしながら内部に小弁体を有した弁室を形成して頂壁側に小吸排気口が開口した小弁座を配置したものとして、その弁室を上下方向に長くする等してその小弁座の位置が弁室下部開口端位置から所定高さ以上になるように配置しながら大弁体が所定レベル以上の浮力を有するように設計して、侵入した水の水位があらゆる状況においても小弁座の位置まで達しないように弁室内の空気層部分を大きく確保することにより、水に含まれる塵芥等が小吸排気口の開閉弁部分に噛み込むことを回避して、小弁体の弁機能を良好に維持しながら小吸排気口を介して水や空気が漏れることによるトラブルの発生を有効に防止できるものとなる。
【0011】
また、この場合、その大弁体は、弁室の下部開口端まで空気を充填した状態で弁室を含んだ体積による比重が水よりも小さいことを特徴としたものとすれば、ケーシング内部に水が侵入して大弁体の周囲に水が浸入した場合に、弁室内部の空気層部分を大きく確保しやすいものとなる。
【0012】
さらに、上述した吸排気弁装置において、その小弁体と浮子の連動はレバー部材により連結されて行われ、そのレバー部材は両端側の水平部分から屈曲して斜め縦向きに延びた中間部分で小弁体と浮子の高低差に対応して連結させていることを特徴としたものとすれば、弁室の高さを充分に確保しやすいものとなる。
【0013】
さらにまた、上述した吸排気弁装置において、その蓋体には、その頂面に形成した取付縁に嵌め合わせた下向き環状の連結縁及び大吸排気口の上方領域を覆った上覆板とからなるカバー部材が設けられており、このカバー部材の連結縁に大吸排気口の上方一側から外側方に向けて突出させた底面を大吸排気口の上端面とほぼ同一高さ位置とした流出水を所定箇所に誘導する導管を接続する接続口と、吸排気口の接続口を除いた上方の外周領域に亘って設けられた大吸排気口の上端面よりも上方へ突出させた立上り縁を有する吸排気口を大気に開放させた吸排気用の開口を有している、ことを特徴としたものとすれば、流出水の処理が的確に行えるものとなる。
【発明の効果】
【0014】
小吸排気口下部の小弁座を弁室下部開口位置から所定高さ以上の位置に配置しながら大
弁体が所定レベル以上の浮力を有したものとして、侵入した水の水位が小弁座位置まで達しないものとした本発明によると、小吸排気口を開閉する小弁体の弁機能を良好に維持することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明における実施の形態の縦断面図である。
【図2】図1の吸排気弁装置の取付け状況を示す配置図である。
【図3】(A),(B),(C),(D)は図1の吸排気弁装置の動作を説明するための縦断面図である。
【図4】本発明の異なる実施の形態を示す縦断面部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。
【0017】
図1は本実施の形態の吸排気弁装置1の縦断面図を示している。下端に雄ねじ付き短管状の取付部22を突設した有底且つ上面開放の円筒状のケーシング2に、その上面を塞いだ蓋体3が気密且つネジ嵌合により取り外し可能に装着されており、この吸排気弁装置1は、図2に示すように水道水又は温水の給水配管15aの頂部に取付部22をねじ込み結合することにより、ケーシング2内部の吸排気室20と給水配管15a内部とを連通して給水・排水等における給水配管15aの負圧破壊及び空気排出を行うために配設されるものである。
【0018】
その蓋体3は、中心部に大径、一般にはケーシング2の径の二分の一程度の大きさの大吸排気口30が設けられており、この大吸排気口30は周縁に吸排気室20へ向かって突出した大弁座31及び反対の上方へ向かって突出した取付縁32を有している。
【0019】
また、蓋体3には、大吸排気口30の上方を覆ったカバー部材4が付設されている。このカバー部材4は、取付縁32に嵌め合わせた下向き環状の連結縁43及び大吸排気口30の上方領域を覆った上覆板44と、大吸排気口30の上方一側から外側方へ向けて突出させた雌ねじ付きの接続口42と、連結縁43と一体であって大吸排気口30の上端面よりも上方へ突出させた立上り縁40とを有している。
【0020】
接続口42の底面は、大吸排気口30の上端面とほぼ同一高さ位置とされており、それよりも上方へ突出した立上り縁40は、接続口42を除いた大吸排気口30の全周に亘って設けられている。上覆板44の外周線部分は、立上り縁40の側方領域に張り出して下方へ曲げられた側覆板(図中見えず)を一体に有しており、立上り縁40と側覆板との間の接続口42が設けられた箇所を除く環状下向きの部分は、大吸排気口30を大気に開放させる開口41を形成する。尚、この立上り縁40は、流出水を開口41から大気中へ放出させることなく接続口42に導くものである。
【0021】
以上のような本実施の形態に係る蓋体3によると、大吸排気口30を充分に形成できるとともに、その周囲のほぼ全周領域に亘って設けられる開口41も任意の大きさに形成できるため、大量の空気を短時間で吸排気させ、吸排気室20の圧力開放、負圧破壊を迅速且つ的確に行うことができ、また、開口41から漏出させることなく接続口42を介して導管側に水を排出することができる。尚、以上の構成は、上述した特開2004―176836号公報にも見られる周知の技術である。
【0022】
一方、ケーシング2の内部には、大吸排気口30を下から開閉するように上面側に大弁座31に当接・離間する環状の当たり面62が形成されて吸排気室20内で上下可動な状態に収納された大弁体6と、その下方で上下可動な状態で配置された円柱状の浮子7とを
備えている。また、ケーシング2内周面と平行且つ所定距離を有し縦向きの複数の案内板を周方向に連設してなるガイド部材5が固定されており、これで大弁体6と浮子7の上下動作をスムースに案内するようになっている。
【0023】
その大弁体6は、たとえば比較的軽量なポリプロピレン樹脂により有底円筒状(カップ状)に成形された部材を下向きに配置して内側部分に小弁体64を配置してなる弁室60を形成しており、弁室60の頂壁を上下に貫通して小吸排気口61が設けられて、この下端側開口部を小弁座63として小弁体64がこれに密着・離間可能な状態で頂壁から吊支されており、この小弁体64の下部と、大弁体6下方位置に配置された浮子7上面側とがレバー65で連結されており、浮子7の上下動により小弁体64で小吸排気口61を開閉するようになっている。
【0024】
そして、本発明において、この大弁体6に形成された弁室60における小弁座63が弁室60下部開口位置から所定高さ以上の位置に配置されているとともに自身の軽量素材によって大弁体6が吸排気室20内に侵入した水に対し全体として所定レベル以上の浮力を発揮するようになっており、吸排気室20に侵入して弁室60内に入った水の水位が小弁座63の高さまで達しないうちに大弁座31を閉じてしまうようにした点を特徴としている。
【0025】
即ち、従来例においても大弁体の内部に小弁体を収装した弁室を有するものは存在するが、その弁室の下部開口端から頂壁までの高さが比較的低いため小弁座までの高さも低くなり、且つ、弁室内で空気を溜める空洞部分が小さいことで大弁体全体としての比重が大きく浮力が小さいものであることから、弁室に侵入した水の水位が小弁座の位置まで達しやすくなっており、水に含まれる塵芥等が小弁体との間に噛み込むことで弁機能を充分に発揮できずに種々のトラブルを招くことがあった。
【0026】
これに対し、本発明において弁室60の高さを充分に確保することで小弁座63の位置を弁室60下部開口端位置から充分に高く配置するものとし、且つ、弁室60を大きくしたことや素材を軽量化して大弁体6の浮力を増大させて吸排気室20に水が侵入した場合に浮きやすいものとし、弁室60内の空気層部分を大きく確保して小弁座63に水が触れないようにして、塵芥を噛み込むことによる弁機能の悪化を回避可能としたものである。
【0027】
尚、この場合、大弁体6を軽量樹脂で作成すること等により、弁室60を含んだ体積による比重が全体として水よりも小さくなるようにすれば、弁室60内の水位の上昇を一層抑えやすいものとなる。また、小弁体64を浮子7の上下動に連動させるために両者を渡して連結したレバー65を、両端側の水平部分から続く中間部分を各々水平部分から屈曲して斜め縦向きに延びたものとすることで、小弁体64と浮子7の高低差に容易に対応することができ、高低差を大きく設定しやすいものとなる。
【0028】
次に、図3を用いながら本実施の形態の動作を説明する。配管工事を終わった段階で図2に示した状態となるが、最初の通水を開始したとき、または断水により配管内水位が低下した状態から通水を再開したとき、図3(A)に示すように浮子7はケーシング2底部に乗り大弁体6も浮子7上面に乗っており、大吸排気口30は開放している。そのため、通水に伴って配管内の空気が開口41及び接続口42を通って大気中へ短時間で大量に排出される。
【0029】
吸排気室20内の水位が上昇すると、図3(B)に示すように浮子7が浮力により上昇するとともに浮子7が下端側に当接した大弁体6も自己の浮力と浮子7による上向きの付勢力で上昇して大吸排気口30を閉止する。尚、本実施の形態では浮子7の浮力が大弁体6の浮力に勝り、水が侵入した早い時期から弁室60内のレバー65で小弁体64を小弁
座63に押し付けて堅固な閉弁状態を維持しており、弁室60内の空気が小吸排気口61から流出することは殆どない。
【0030】
そして、この状態で吸排気室20上部と大弁体6の弁室60上部に空気が封入されて水が高水位の満水となった平行状態になる。この状態で空気や水の流出が防止され配管内の通水は正常に行われるが、斯かる高水位の状態では吸排気室20の大弁体6外周側の水位L1は弁室60の小弁座63の位置よりも上に位置しているが、弁室60内の水位L2は小弁座63の位置よりも下の位置で維持されており、水中に含まれる塵芥等が小弁座63と小弁体64の間に噛み込むことによる弁機能不良の発生を回避するようになっている。
【0031】
配管内の通水に混入した空気は、配管頂部に設置されている吸排気室20の上部に入るが、この空気が徐々に溜まって内圧が高くなると、図3(C)に示すように内部の水が下方に押し出されて水位を低下させ、これに伴って浮子7が下降して小吸排気口61を開放することにより、溜まった空気を小吸排気口61から大吸排気口30を通って大気中に少しずつ放出させる。
【0032】
この場合、大弁体6は内外圧力差に基づく不勢力で下降することなく大吸排気口30を閉止している。内圧が低下すると水位が再び上昇し、浮子7が上昇して小吸排気口61を閉止することにより、図3(B)の状態に戻り、(B)と(C)とが繰り返されて水を流出させることなく溜まった空気だけを排出することにより、配管に正常な通水を維持させることができる。
【0033】
断水等により配管内の水位が低下し、ケーシング2内の水が配管に戻ると負圧を発生するが、図3(D)に示すように吸排気室20が空になることで大弁体6が下降し、浮子7もケーシング2底部に乗って大吸排気口30を開放する。このため、開口41さらには接続口42から吸排気室20を通って配管に短時間で大量の空気が吸引導入され、負圧を破壊して逆サイホン現象の発生を防止する。通水が再開されると図3(A)の状態を経て図3(B)の状態に戻る。
【0034】
一方、閉弁不良などを原因として、水が吸排気室20から大吸排気口30を通って溢れ出た場合、この流出水は立上り縁40によって開口41から排出されることなく接続口42に誘導され、導管16(図2参照)を通って所定箇所に排出される。尚、図4に示すように、大気側に連通する開口41を閉鎖した構造のカバー体4Bに変更し、水及び空気を接続口42のみから排出する密閉方式とした場合でも、上述と同様に優れた吸排気弁機能を発揮することができる。
【0035】
以上、述べたように、大吸排気口を開閉する大弁体と大弁体に設けられた小吸排気口を浮子の上下動で開閉する小弁体とをケーシング内に備えた吸排気弁装置について、本発明により、小吸排気口を開閉する小弁体の弁機能を良好に維持できるようになった。
【符号の説明】
【0036】
1 吸排気弁装置、2 ケーシング、3 蓋体、4,4B カバー体、6 大弁体、7
浮子、15a 給水配管、16 導管、20 吸排気室、30 大吸排気口、31 大弁座、40 立上り縁、41 開口、42 接続口、60 弁室、61 小吸排気口、63 小弁座、64 小弁体、65 レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管頂部に接続されるケーシングに収装した浮子と前記ケーシングに空気を導入または前記ケーシングに溜まった空気を排出する吸排気口とを有し、前記吸排気口は大排気口と小吸排気口の2つからなり、前記ケーシングの頂端を覆う蓋体に前記大吸排気口が設けられて前記ケーシング内で上下可動に収納された大弁体の動作で前記大吸排気口を下から開閉し、前記大弁体を上下に貫通して前記小吸排気口が設けられて前記大弁体下方で上下可動に配置された浮子の動作に連動して動作する小弁体で前記小吸排気口を下から開閉する吸排気弁装置において、
前記大弁体は、有底円筒状の部材が開口側を下にして配置されるとともに内側部分に前記小弁体を収装した弁室を形成し、該弁室の頂壁側で前記小吸排気口が開口して前記小弁体が近接・離間する小弁座とされ、該小弁座が前記弁室の下部開口端位置から所定高さ以上の位置に配置されているとともに前記大弁体が前記弁室内に所定量以上の空気を溜めて全体として所定レベル以上の浮力を発揮することにより、前記ケーシング内に侵入して前記弁室内に入った水の水位が前記小弁座の高さまで達しないものとされていることを特徴とする吸排気弁装置。
【請求項2】
前記大弁体は、前記弁室の下部開口端まで空気を充填した状態で前記弁室を含む体積による比重が水よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載した吸排気弁装置。
【請求項3】
前記小弁体と前記浮子の連動はレバー部材により連結されて行われ、前記レバー部材は両端側の水平部分から屈曲して斜め縦向きに延びた中間部分で前記小弁体と前記浮子の高低差に対応して連結させていることを特徴とする請求項1または2に記載した吸排気弁装置。
【請求項4】
前記蓋体には、その頂面に形成した取付縁に嵌め合わせた下向き環状の連結縁及び前記大吸排気口の上方領域を覆った上覆板とからなるカバー部材が設けられており、該カバー部材の連結縁に前記大吸排気口の上方一側から外側方に向けて突出させた底面を前記大吸排気口の上端面とほぼ同一高さ位置とした流出水を所定箇所に誘導する導管を接続する接続口と、前記吸排気口の接続口を除いた上方の外周領域に亘って設けられた前記大吸排気口の上端面よりも上方へ突出させた立上り縁を有する前記吸排気口を大気に開放させた吸排気用の開口を有していることを特徴とする請求項1,2または3に記載した吸排気弁装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−167715(P2012−167715A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27735(P2011−27735)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000137018)株式会社ベン (21)
【Fターム(参考)】