説明

吸水性ポリマー粒子の製造方法

スクリューコンベアー(1)を用いてポリマーゲルに固形の添加物質を添加することを含む吸水性ポリマー粒子の製造方法において、固形の添加物質及びガス体積流をスクリューコンベアー(1)に添加チャネル(2)を用いて供給する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、スクリューコンベアー(1)を用いてポリマーゲルに固形の添加物質を添加することを含む吸水性ポリマー粒子の製造方法において、固形の添加物質及びガス体積流をスクリューコンベアー(1)に添加チャネル(2)を用いて供給する製造方法に関する。
【0002】
吸水性ポリマー粒子の製造は、モノグラフィー"Modern Superabsorbent Polymer Technology",F.L.Buchholz及びA.T.Graham,Wiley−VCH,1998,第71頁〜第103頁の中で記載される。
【0003】
吸水性ポリマーは、おむつ、タンポン、ナプキン及びその他の衛生物品を製造するために使用されるが、農業園芸における保水剤としても使用される。
【0004】
WO2001/38402A1及びWO2003/22896A1には、少なくとも2の軸平行なシャフトを有するニーダー反応器中での吸水性ポリマー粒子の連続的製造方法が開示され、その際反応混合物は軸方向でニーダー反応器を通じて輸送される。
【0005】
WO2007/003619A1は、固形の、粘性のある液状の又は溶媒中で分散した添加物質を、吸水性ポリマー粒子の製造のための反応器の反応器内室中に添加するための装置を開示する。この供給された添加物質と共に酸素が反応室中で導入されることを回避するために、この装置を不活性ガスでフラッシすることができる。
【0006】
本発明の課題は、吸水性ポリマー粒子を製造するための改善された方法の提供であった。
【0007】
前記課題は、
a)少なくとも1種のエチレン性不飽和の酸基含有モノマー、これは少なくとも部分的に中和されていることができる、
b)少なくとも1種の架橋剤、
c)場合により1種又は複数種の、a)で挙げたモノマーと共重合可能なエチレン性及び/又はアリル性不飽和モノマー、及び
d)場合により1種又は複数種の水溶性ポリマー
を含有する
水性のモノマー溶液又はモノマー懸濁液の重合による、
i)重合反応器中での溶液重合工程、その際重合反応器中ではポリマーゲルが産生される、
ii)少なくとも1のスクリューコンベアー(1)を用いたポリマーゲルへの溶液重合の間及び/又は後の少なくとも1の固形の添加物質の添加工程、その際この固形の添加物質はスクリューコンベアー(1)に添加チャネル(2)を用いて供給される、及び
iii)固形の添加物質のポリマーゲル中への混入工程
を含む吸水性ポリマー粒子を製造する方法において、
添加チャネル(2)を介して更にガス体積流がスクリューコンベアー(1)に供給され、この結果ガス体積流のガス速度が添加チャネル(2)中でスクリューコンベアー(1)の方向で少なくとも0.05m/sであり、かつ、このガス体積流の露点がスクリューコンベアー(1)及び添加チャネル(2)の最低内壁温度を少なくとも20℃下回ることを特徴とする製造方法により解決された。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、添加チャネル(2)を有するスクリューコンベアー(1)を示す。
【0009】
ガス体積流のガス速度は有利には0.1〜1m/s、特に有利には0.12〜0.5m/s、特にとりわけ有利には0.15〜0.25m/sである。
【0010】
ガス体積流の露点は有利には少なくとも30℃、特に有利には少なくとも40℃、特にとりわけ有利には少なくとも50℃、スクリューコンベアー(1)及び添加チャネル(2)の最低内壁温度を下回り、すなわち、このガス体積流は可能な限り乾燥していることが望ましい。この露点は、水蒸気分圧が水の沸騰線と交差する温度である。
【0011】
使用すべきガス量は、添加チャネル(2)の断面により決定される。例えば、添加チャネル(2)中のガス速度は150mmの断面及び10〜15m3/hのガス量の際に0.16〜0.23m/sである。
【0012】
この固形の添加物質は混入に適した重合反応器中でもまた同様に別個の装置、例えば押出機中でも計量供給でき、ポリマーゲル中に混入されることができる。本発明の有利な一実施態様において、ニーダー反応器は重合反応器として使用され、この固形の添加物質はスクリューコンベアーを用いてニーダー反応器中に計量供給される。
【0013】
ポリマーゲルの水含量は、固形の添加物質の混入の際に有利には20〜80質量%、特に有利には30〜70質量%、特にとりわけ有利には40〜60質量%である。この水含量は有利にはEDANA(European Disposables and Nonwovens Association)により推奨される試験方法Nr. WSP 230.2-05 "Moisture content"と同様に決定され、その際この質量損失は水含量と仮定される。高すぎる水含量は、引き続く乾燥の際に高められたエネルギー消費を生じる。少なすぎる水含量は混入の際の高すぎる機械的出力消費及び不十分な混合結果を生じる。
【0014】
このポリマーゲルは混入の際に有利には60〜110℃、特に有利には70〜100℃、特にとりわけ有利には80〜95℃の温度を有する。
【0015】
固形の添加物質として例えば粒子状の無機の又は有機の固形物質が考慮される。適した無機の固形物質は例えば二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム及び粘土鉱物である。適した有機の固形物質は例えばデンプン、変性デンプン、セルロース、変性セルロース及び吸水性ポリマー粒子自体である。
【0016】
したがって通常は、小さすぎる粒径を有する吸水性ポリマー粒子はこの製造の間に下側粒(Unterkorn)として分離され、この製造方法に返送される。この種の吸水性ポリマー粒子は後架橋又は他の様式で後処理されていることもできる。この下側粒は例えば300μm未満、250μm未満、180μm未満又は150μm未満の粒径を有する。
【0017】
このスクリューコンベアー(1)の取り付けの種類は本発明により制限を受けない。しかしながら有利にはスクリューコンベアー(1)は垂直に取り付けられる。
【0018】
ガス体積流の温度は有利には10〜100℃、特に有利には20〜80℃、特にとりわけ有利には30〜70℃である。
【0019】
本発明の有利な一実施態様において、不活性ガス流がガス体積流として使用される。不活性ガスは、モノマー溶液の成分と反応できないガスである。適した不活性ガスは例えば、窒素、二酸化炭素及びアルゴンである。
【0020】
不活性ガスとして有利には窒素、特に工業的品質にあるものが使用される。工業的窒素は通常は少なくとも99.8Vol.%の窒素及び0.0005Vol%未満の酸素を含有する。
【0021】
本発明の有利な一実施態様において、スクリューコンベアー(1)及び添加チャネル(2)は断熱及び/又は付随加熱(begleitheizen)されている。
【0022】
本発明による方法は、添加チャネル(2)を介したスクリューコンベアー(1)への固形の添加物質のより一様なかつ障害のない供給を可能にする。本発明によるガス添加は、スクリューコンベアー(1)中の乾燥した、脆い堆積物の発生を妨げる。この堆積物は、スクリューコンベアー(1)の静止状態を生じ、困難を伴ってのみ除去される。この堆積物の部分もまたスクリューコンベアー(1)の運転の間に壊れ、クリーム色の斑点としてポリマーゲル中に到達することができる。
【0023】
重合反応器として使用されるニーダー反応器が、ガス、有利には不活性ガスを用いて不満足にしか洗浄されないデッドスペースを有する場合にポリマーゲル中の変色した汚染物質が生じることができることも確認されている。したがって、このデッドスペースの回避ひいてはポリマーゲル中のこの汚染物質の回避のためには、このガスを少なくとも2つの異なる部位でニーダー反応器中に計量供給することが有利である。
【0024】
少なくとも2の添加部位を介したガスの計量供給は、ニーダー反応器の、ガス充填された全ての体積要素(Volumenelement)中で十分に高い流速の調節を可能にする。ニーダー反応器中でのガスの添加は有利には、このガスの流速がニーダー反応器の体積要素中で0.05m/sを下回らないように調節される。特に有利にはこの最低流速は0.1m/sである。特にとりわけ有利にはこの最低流速は0.12m/s、とりわけ0.15m/sである。
【0025】
モノマーa)は、好ましくは水溶性である。すなわち、23℃での水中での溶解度は、一般に少なくとも1g/100g水、好ましくは少なくとも5g/100g水、特に有利には少なくとも25g/100g水、殊に有利には少なくとも50g/100g水である。理想的にはモノマーa)は水と全ての比において混合可能である。
【0026】
適したモノマーa)は例えば、エチレン性不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸である。特に有利なモノマーは、アクリル酸及びメタクリル酸である。アクリル酸が特にとりわけ有利である。
【0027】
更なる適したモノマーa)は例えばエチレン性不飽和スルホン酸、例えばスチレンスルホン酸及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0028】
モノマーa)の全量におけるアクリル酸及び/又はその塩の割合は、有利に少なくとも50モル%、特に有利に少なくとも90モル%、とりわけ有利に少なくとも95モル%である。
【0029】
このモノマーa)、特にアクリル酸は、好ましくは0.025質量%までのヒドロキノン半エーテルを含有する。有利なヒドロキノン半エーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)及び/又はトコフェロールである。
【0030】
トコフェロールとは、以下の式の化合物であると理解される:
【化1】

[式中、Rは、水素又はメチルを意味し、Rは、水素又はメチルを意味し、Rは、水素又はメチルを意味し、かつRは、水素、又は1〜20個の炭素原子を有する酸基を意味する]。
【0031】
4の有利な基は、アセチル、アスコルビル、スクシニル、ニコチニル及び生理学的に認容性の別のカルボン酸である。前記カルボン酸は、モノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸であってよい。
【0032】
1=R2=R3=メチルであるアルファ−トコフェロール、特にラセミのアルファ−トコフェロールが有利である。Rは、とりわけ有利には、水素又はアセチルである。特に有利に、RRR−アルファ−トコフェロールである。
【0033】
モノマー溶液は、それぞれアクリル酸に対して、有利には高くても130質量ppm、特に有利には高くても70質量ppm、好ましくは少なくとも10質量ppm、特に好ましくは少なくとも30質量ppm、特に約50質量ppmのヒドロキノン半エーテルを含有し、その際、アクリル酸塩は、アクリル酸としてともに考慮される。例えば、このモノマー溶液の製造のために、アクリル酸を相応する含有量のヒドロキノン半エーテルと一緒に使用することができる。
【0034】
架橋剤b)は、有利には、ポリマー網目にラジカル重合導入できる少なくとも2個の重合可能な基を有する化合物である。適した架橋剤b)は、例えばエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルアンモニウムクロリド、テトラアリルオキシエタン(例えばEP530438A1に記載)、ジアクリレート及びトリアクリレート(例えばEP547847A1、EP559476A1、EP632068A1、WO93/21237A1、WO2003/104299A1、WO2003/104300A1、WO2003/104301A1及びDE10331450A1に記載)、アクリレート基以外にさらに別のエチレン性不飽和基を含有する混合アクリレート(例えばDE10331456A1及びDE10355401A1に記載)、又は架橋剤混合物(例えばDE19543368A1、DE19646484A1、WO90/15830A1及びWO2002/32962A2に記載)である。
【0035】
適切な架橋剤b)は、特にN,N′−メチレンビスアクリルアミド及びN,N′−メチレンビスメタクリルアミド、不飽和モノカルボン酸又はポリカルボン酸とポリオールとのエステル、例えばジアクリラート又はトリアクリラート、例えばブタンジオールジアクリラート又はエチレングリコールジアクリラート、又はブタンジオールジメタクリラート又はエチレングリコールジメタクリラート並びにトリメチロールプロパントリアクリラート及びアリル化合物、例えばアリル(メタ)アクリラート、トリアリルシアヌラート、マレイン酸ジアリルエステル、ポリアリルエステル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン、テトラアリルエチレンジアミン、リン酸のアリルエステル並びにビニルホスホン酸誘導体(例えば、EP−A−0343427中に記載されている)である。更に好適な架橋剤b)は、ペンタエリトリトールジ−、ペンタエリトリトールトリ−及びペンタエリトリトールテトラアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、エチレングリコールジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル及びグリセリントリアリルエーテル、ソルビトールをベースとするポリアリルエーテル並びにそのエトキシル化された変型である。本発明による方法の場合に、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリラートが使用可能であり、その際、使用されたポリエチレングリコールは100〜1000の分子量を有し、例えばポリエチレングリコール−400−ジアクリレートである。
【0036】
しかしながら、特に有利な架橋剤b)は、3〜20箇所でエトキシル化されたグリセリン、3〜20箇所でエトキシル化されたトリメチロールプロパン、3〜20箇所でエトキシル化されたトリメチロールエタンのジアクリレート及びトリアクリレート、特に、2〜6箇所でエトキシル化されたグリセリン又はトリメチロールプロパンの、3箇所でプロポキシル化されたグリセリン又はトリメチロールプロパンの、並びに混合して3箇所でエトキシル化又はプロポキシル化されたグリセリン又はトリメチロールプロパンの、15箇所でエトキシル化されたグリセリン又はトリメチロールプロパンの、並びに少なくとも40箇所でエトキシル化されたグリセリンの、トリメチロールエタン又はトリメチロールプロパンのジアクリレート及びトリアクリレートである。
【0037】
極めて有利な架橋剤b)は、例えばWO2003/104301A1に記載されているような、ジアクリレート又はトリアクリレートを得るためにアクリル酸又はメタクリル酸とエステル化された多重エトキシル化及び/又はプロポキシル化されたグリセリンである。3〜10箇所でエトキシル化されたグリセリンのジ−及び/又はトリアクリレートが特に有利である。特にとりわけ有利には、1〜5箇所エトキシル化及び/又はプロポキシル化されたグリセリンのジアクリレート又はトリアクリラートである。3〜5箇所でエトキシル化及び/又はプロポキシル化されたグリセリンのトリアクリレートが最も有利である。
【0038】
架橋剤b)の量は、そのつどモノマーa)に対して、有利には0.05〜1.5質量%、特に有利には0.1〜1質量%、特にとりわけ有利には0.3〜0.6質量%である。
【0039】
エチレン性不飽和の酸基含有モノマーa)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーc)は、たとえばアクリルアミド、メタクリルアミド、クロトン酸アミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノブチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノネオペンチルアクリレート及びジメチルアミノネオペンチルメタクリレートである。
【0040】
水溶性ポリマーd)としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、ポリグリコール又はポリアクリル酸、好ましくはポリビニルアルコール及びデンプンを使用することができる。
【0041】
好ましい重合抑制剤は、最適な作用のために溶解された酸素を必要とする。従って、このモノマー溶液からは重合前に、不活性化、即ち不活性ガス、有利には窒素を用いた貫流により溶解した酸素が取り除かれることができる。有利には、モノマー溶液の重合前の酸素含有率は、1質量ppm未満に、特に有利には0.5質量ppm未満に低下される。
【0042】
適したポリマーの製造並びにさらに別の適した親水性エチレン性不飽和モノマーa)は、DE−A19941423A1、EP686650A1、WO2001/45758A1及びWO2003/104300A1に記載される。
【0043】
適した反応器は、ニーダー反応器又はベルト反応器である(Bandreaktor)。ニーダー中では、水性のモノマー溶液又はモノマー懸濁液の重合に際して発生するポリマーゲルが、WO2001/38402A1に記載されているように、例えば反転撹拌シャフト(gegenlaeufige Ruehrwelle)によって連続的に粉砕される。ベルト上での重合は、例えばDE3825366A1及びUS6,241,928に記載される。重合の際にベルト反応器中で、更なる方法工程で、例えば肉挽き機、押出機又はニーダー中で破砕されなくてはならないポリマーゲルが生じる。
【0044】
得られたヒドロゲルの酸基は、一般的には部分的に、好ましくは25〜95mol%、有利には50〜80mol%、特に好ましくは60〜75mol%中和されており、その際、慣用の中和剤、好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属炭酸水素塩並びにこれらの混合物を使用することができる。アルカリ金属塩の代わりに、アンモニウム塩を使用することもできる。ナトリウム及びカリウムは、アルカリ金属として特に好ましく、しかしながら殊に好ましいのは水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム並びにこれらの混合物である。
【0045】
この中和は、有利には、このモノマーの段階で実施される。通常中和は、中和剤を水溶液として、溶融物としてか又は好ましくは固形として混入することによって行われる。例えば、50質量%を顕著に下回る含水率を有する水酸化ナトリウムが、23℃を上回る融点を有する蝋状の塊として存在していてよい。この場合には、高めた温度でばら材(Stueckgut)又は溶融物として計量供給することが可能である。
【0046】
この中和を、重合後にこのヒドロゲルの段階で実施することも可能である。更に、重合前に酸基を40mol%まで、好ましくは10〜30mol%、特に好ましくは15〜25mol%、中和剤の一部をモノマー溶液に既に添加することにより中和すること、及び所望の最終中和度を重合の後にすぐにヒドロゲルの段階で調節することも可能である。前記ヒドロゲルを少なくとも部分的に重合の後に中和する場合、前記ヒドロゲルは有利に機械的に破砕し、例えばミンチャーを用いて機械的に破砕し、その際、中和剤を吹き付けるか、降りかけるか又は注ぎ込み、次いで入念に混合することができる。そのために、得られたゲル材料は、なお数回均質化のために粉砕することができる。
【0047】
このヒドロゲルを、次いで有利にはベルト乾燥器を用いて、残留湿分率が好ましくは15質量%未満、好ましくは10質量%未満になるまで乾燥させ、その際、この含水率は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)により推奨される試験法番号230.2−05「Moisture content」により測定する。しかしながら、選択的に、この乾燥のために、流動床乾燥機又は加熱されたプローシェアーミキサーを使用することもできる。特に白色の製品を得るために、このゲルの乾燥の際に蒸発された水の急速な搬出を保証することが有利である。このために、乾燥器温度を最適化すべく空気供給及び空気排出を制御して実施しなくてはならず、それぞれの場合に十分な通気を留意すべきである。当然の事ながら、乾燥は、ゲルの固形含有率が可能な限り高い場合には、それだけ一層簡単であり、かつ製品はそれだけ一層白い。従って、有利に、この乾燥前のゲルの固形含有率は25〜80質量%である。特に、前記乾燥機に窒素又は他の酸化しない不活性ガスを通気するのが有利である。しかしながら、選択的に、酸化による黄変現象を回避するために、乾燥の間の酸素分圧だけを簡単に下げることもできる。
【0048】
この後で、乾燥させたヒドロゲルを微粉砕し、そして分級し、その際、微粉砕のために通常、1段階又は多段階のロールミル、好ましくは2段階又は3段階のロールミル、ピンミル、ハンマーミル又はスイングミルを使用することができる。
【0049】
生成物画分として分離されたポリマー粒子の平均粒径は、好ましくは少なくとも200μm、とりわけ有利には250〜600μm、極めて有利には300〜500μmである。生成物画分の平均粒径は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)によって推奨された試験法Nr.WSP220.2−05"Partikel size distribution"に従って測定されることができ、その際、篩画分の質量割合が累積的にプロットされ、かつ平均粒径がグラフを用いて決定される。この場合、平均粒径は、累積して50質量%となる目開きの値である。
【0050】
有利には少なくとも150μm、特に有利には少なくとも200μm、特にとりわけ有利には少なくとも250μmの粒径を有する粒子の割合は、有利には少なくとも90質量%、特に有利には少なくとも95質量%、特にとりわけ有利には少なくとも98質量%である。
【0051】
有利には最高で850μm、特に有利には最高で700μm、特にとりわけ有利には最高で600μmの粒径を有する粒子の割合は、有利には少なくとも90質量%、特に有利には少なくとも95質量%、特にとりわけ有利には少なくとも98質量%である。
【0052】
ポリマー粒子は、特性の更なる改善のために後架橋されることができる。適した後架橋剤は、ポリマー粒子の少なくとも2個のカルボキシレート基と共有結合を形成しうる基を含有する化合物である。適した化合物は、例えばアルコキシシリル化合物、ポリアジリジン、ポリアミン、ポリアミドアミン、ジエポキシド又はポリエポキシド(例えばEP83022A2、EP543303A1及びEP937736A2に記載)、二官能性又は多官能性アルコール(例えばDE3314019A1、DE3523617A1及びEP450922A2に記載)、又はβ−ヒドロキシアルキルアミド(例えばDE10204938A1及びUS6,239,230に記載)である。
【0053】
加えて、DE4020780C1の中で環状カーボネートが、DE19807502A1の中で2−オキサゾリドン及びその誘導体、例えば2−ヒドロキシエチル−2−オキサゾリドンが、DE19807992C1の中でビス−及びポリ−2−オキサゾリジノンが、DE19854573A1の中で2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジン及びその誘導体が、DE19854574A1の中でN−アシル−2−オキサゾリドンが、DE10204937A1の中で環状尿素が、DE10334584A1の中で二環状アミドアセタールが、EP1199327A2の中でオキセタン及び環状尿素が、またWO2003/31482A1の中でモルホリン−2,3−ジオン及びその誘導体が適した後架橋剤として記載されている。
【0054】
さらに、DE3713601A1に記載されているような、付加的な重合可能なエチレン性不飽和基を含有する後架橋剤も使用することができる。
【0055】
後架橋剤の量は、そのつどポリマーに対して有利には0.001〜2質量%、特に有利には0.02〜1質量%、特にとりわけ有利には0.05〜0.2質量%である。
【0056】
本発明の有利な一実施態様においては、後架橋の前、間又は後に、後架橋剤の他に更に多価カチオンが粒子表面上に施与される。
【0057】
本発明による方法において使用することができる多価カチオンは例えば二価のカチオン、例えば亜鉛、マグネシウム、カルシウム、鉄及びストロンチウムのカチオン、三価のカチオン、例えばアルミニウム、鉄、クロム、希土類及びマンガンのカチオン、四価のカチオン、例えばチタン及びジルコニウムのカチオンである。対イオンとして、例えば塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン及びカルボン酸イオン、例えば酢酸イオン及び乳酸イオンが可能である。硫酸アルミニウムが有利である。金属塩以外に、多価カチオンとしてポリアミンも使用することができる。
【0058】
多価カチオンの使用量は、そのつどポリマーに対して、例えば0.001〜1.5質量%、好ましくは0.005〜1質量%、とりわけ有利には0.02〜0.8質量%である。
【0059】
この後架橋は、一般的には、後架橋剤の溶液をヒドロゲル又は乾燥させたポリマー粒子上に吹き付けることにより実施される。この噴霧に引続き、後架橋剤でコーティングしたポリマー粒子を加熱乾燥し、その際、後架橋反応は乾燥前でも乾燥中でも生じうる。
【0060】
架橋剤の溶液の噴霧は、好ましくは、可動式混合装置を有するミキサー、例えばスクリューミキサー、ディスクミキサー、プローシェアーミキサー及びブレードミキサー中で実施される。特に有利に、水平型ミキサー、例えばプローシェアーミキサー及びブレードミキサー、特にとりわけ有利には垂直型ミキサーである。適したミキサーは、例えばLoedigeミキサー、Bepexミキサー、Nautaミキサー、Processallミキサー及びSchugiミキサーである。
【0061】
この後架橋剤は典型的には水溶液として使用される。非水性溶媒に関する添加を介してポリマー粒子中への後架橋剤の侵入深さが調整されることができる。
【0062】
この加熱乾燥は、好ましくは接触乾燥器、特に好ましくはパドル型乾燥器、殊に好ましくはディスク型乾燥器中で実施する。適当な乾燥機は、例えばBepex乾燥機及びNara乾燥機である。さらに、流動床乾燥機も使用することができる。
【0063】
乾燥は、混合機それ自体中で、ジャケットの加熱又は熱風の吹き込みによって行なうことができる。後接続された乾燥機、例えば箱形乾燥機、回転管炉か又は加熱可能なスクリューは、同様に好適である。とりわけ好ましくは、流動層乾燥機中で混合及び乾燥される。
【0064】
有利な乾燥温度は、100〜250℃、有利には120〜220℃、特に有利には130〜210℃、特にとりわけ有利には150〜200℃の範囲内にある。反応ミキサー又は乾燥器中でのこの温度での有利な滞留時間は、有利には少なくとも10分間、特に有利には少なくとも20分間、とりわけ有利には少なくとも30分間であり、通常多くとも60分間である。
【0065】
引き続き、後架橋されたポリマーを、新たに分級してよい。
【0066】
この後架橋されたポリマー粒子は、特性のさらなる改善のためにコーティング又は後湿潤してよい。獲得挙動(Akquisitionsverhalten)並びに透過性(SFC)の改善のための適したコーティングは例えば無機の不活性物質、例えば水不溶性金属塩、有機ポリマー、カチオン性ポリマー並びに二価又は多価の金属カチオンである。粉塵結合のための適したコーティングは例えばポリオールである。ポリマー粒子の不所望な凝結傾向(Verbackungsneigung)に対する適したコーティングは、例えば熱分解シリカ、例えばAerosil(R) 200及び界面活性剤、例えばSpan(R) 20である。
【0067】
本発明による方法により得られる吸水性ポリマー粒子は、一般に少なくとも15g/g、好ましくは少なくとも20g/g、有利には少なくとも22g/g、特に有利には少なくとも24g/g、殊に有利には少なくとも26g/gの遠心保持容量(CRC)を有する。吸水性ポリマー粒子の遠心保持容量(CRC)は、通常は60g/g未満である。遠心保持容量は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)によって推奨された試験法Nr.241.2−05"Centrifuge retention capacity"に従って測定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1種のエチレン性不飽和の酸基含有モノマー、これは少なくとも部分的に中和されていることができる、
b)少なくとも1種の架橋剤、
c)場合により1種又は複数種の、a)で挙げたモノマーと共重合可能なエチレン性及び/又はアリル性不飽和モノマー、及び
d)場合により1種又は複数種の水溶性ポリマー
を含有する
水性のモノマー溶液又はモノマー懸濁液の重合による、
i)重合反応器中での溶液重合工程、その際重合反応器中でポリマーゲルが産生される、
ii)少なくとも1のスクリューコンベアー(1)を用いたポリマーゲルへの溶液重合の間及び/又は後の少なくとも1種の固形の添加物質の添加工程、その際この固形の添加物質はスクリューコンベアー(1)に添加チャネル(2)を用いて供給される、及び
iii)固形の添加物質のポリマーゲル中への混入工程
を含む吸水性ポリマー粒子を製造する方法において、
添加チャネル(2)を介して更にガス体積流をスクリューコンベアー(1)に供給し、この結果ガス体積流のガス速度が添加チャネル(2)中でスクリューコンベアー(1)の方向で少なくとも0.05m/sであり、かつ、このガス体積流の露点がスクリューコンベアー(1)及び添加チャネル(2)の最低内壁温度を少なくとも20℃下回ることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
重合反応器がニーダー反応器であり、かつ固形の添加物質をニーダー反応器中でポリマーゲル中に混入することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
ポリマーゲルの水含量が混入の際に少なくとも20質量%であることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
ポリマーゲルが混入の際に少なくとも60℃の温度を有することを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
300μm未満の粒径を有する吸水性ポリマー粒子を固形の添加物質として使用することを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
スクリューコンベアー(1)が垂直に取り付けられていることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
ガスが不活性ガスであることを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
不活性ガスが窒素であることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
スクリューコンベアー(1)及び添加チャネル(2)が断熱されておりかつ/又は随伴加熱されていることを特徴とする請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
吸水性ポリマー粒子は、少なくとも15g/gの遠心保持容量を有することを特徴とする請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
a)少なくとも1種のエチレン性不飽和の酸基含有モノマー、これは少なくとも部分的に中和されていることができる、
b)少なくとも1種の架橋剤、
c)場合により1種又は複数種の、a)で挙げたモノマーと共重合可能なエチレン性及び/又はアリル性不飽和モノマー、及び
d)場合により1種又は複数種の水溶性ポリマー
を含有する
水性のモノマー溶液又はモノマー懸濁液の重合により吸水性ポリマー粒子をニーダー反応器中で製造する方法において、少なくとも2の添加箇所を介して不活性ガスをニーダー反応器中に計量供給することを特徴とする製造方法。
【請求項12】
不活性ガスの流速がニーダー反応器中で、ニーダー反応器のガス充填された体積要素中で0.05m/sを下回らないことを特徴とする請求項11記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−506695(P2011−506695A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538404(P2010−538404)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【国際出願番号】PCT/EP2008/010388
【国際公開番号】WO2009/077100
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】