吸着塔
【課題】塔内のガス流路がチューブの長手方向と交差していても塔内の温度分布がばらつかない吸着塔を提供することを課題とする。
【解決手段】ガスに含まれる特定の成分を吸着する吸着塔50であって、吸着剤59が内部に充填されるシェル51と、吸着剤59と熱交換を行う熱媒が流れる複数のチューブ56と、シェル51を上下に貫通するように設けられ、ガスの流通と吸着剤59の充填および回収とを可能にする開口部と、を備え、複数のチューブ56は、シェル51の内部を横断するように配設されており、シェル51の内部は、ガスが上または下へ流れると共に、ガスの流路の大きさが上から下まで略一定である。
【解決手段】ガスに含まれる特定の成分を吸着する吸着塔50であって、吸着剤59が内部に充填されるシェル51と、吸着剤59と熱交換を行う熱媒が流れる複数のチューブ56と、シェル51を上下に貫通するように設けられ、ガスの流通と吸着剤59の充填および回収とを可能にする開口部と、を備え、複数のチューブ56は、シェル51の内部を横断するように配設されており、シェル51の内部は、ガスが上または下へ流れると共に、ガスの流路の大きさが上から下まで略一定である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着塔に関する。
【背景技術】
【0002】
排ガスから二酸化炭素を回収する方法の一つに溶液吸収法がある。溶液吸収法は、CO2を化学的に吸収できる熱炭酸カリウム水溶液やアミン水溶液を吸収塔と再生塔との間で循環させ、吸収塔内部に充填されたラシヒリングやポールリング等の充填物の表面を介して、塔頂からの溶液と塔底部からのガスを常温で直接接触させ、溶液内にガス中のCO2を選択的に化学吸収させる。そして、そのCO2吸収液を再生塔の塔頂から下部に向けて落下させ、吸収塔と同様に、内部に充填された充填物の表面を介して、塔底より熱源を受けて上昇する100〜120℃の水蒸気と直接接触させ、CO2を分離し、塔頂から取り出し、冷却して回収する。CO2を分離した溶液は、再び吸収溶液として吸収塔へ再循環される。このような溶液吸収法は、比較的高効率で、圧力を問わず適用できる事等を特長とするが、湿式であるため、製品ガス中に水分や溶液成分の一部など、不純物の混入が懸念される。また熱炭酸カリウムは強い腐食性を有するため、材質面で、ステンレス材を選定するか、或いは炭素鋼にV2O5等のコーティング材を施工して使用する必要がある。
【0003】
溶液吸収法以外の方法として、化学吸着によるTSA(Thermal Swing Adsorption)法またはPSA(Pressure Swing Adsorption)法がある。これらの方法は、活性炭や多孔質樹脂等の担体に、炭酸カリウムやアミン等の化学吸着成分を担持させた吸着剤を使用し、吸着剤の温度や圧力による化学的吸着能力の差を利用して、CO2を吸脱着させ回収するもので、通常2〜4系統の吸着塔を吸着工程と脱着工程に交互に切り替えて、連続的に分離回収する仕組みになっている。圧力差に比べて、温度差に対する吸着能力が大きく変化するので、TSA方式単独又はPSA方式との組み合わせ方式が一般的である。TSA方式の場合は、低圧での操作が可能であるほか、ガス中に含まれる水分の影響が少ないので、前処理が不要で、再生ガスとして蒸気を直接導入することも可能である。従ってシステムが簡易なため、回収コストの面からは比較的有利であるが、回収CO2ガスに水分やアミン等吸着剤成分の混入が懸念される。
【0004】
その他の方法として、物理吸着によるTSA法又はPSA法がある。これらの方法は、合成ゼオライト、活性アルミナ、セラミックス、多孔質ガラス、多孔質樹脂等の物理吸着剤(モレキュラシーブス)を使用し、吸着剤の温度や圧力に対する吸着能力の差を利用して、CO2を吸脱着させ回収する方法で、通常2〜4系統の吸着塔を吸着工程と脱着工程に交互に切り替えて、連続的に分離回収する仕組みになっている。圧力差に比べて、温度差に対する吸着能力が大きく変化するので、TSA方式単独またはPSA方式との組み合わせが一般的である。製品ガス中への不純物混入の心配は少ないが、吸着剤のCO2に対する吸着特性が水と競合するため、事前に脱水処理を行う必要がある(例えば、特許文献1を参照)。また、吸着塔における吸脱着熱を与えるための伝熱面積を確保し、操作温度を保持する必要がある。
【0005】
なお、吸着剤を内蔵した熱交換器としては、例えば特許文献2に挙げられるような、伝熱管を内包する状態で成形された吸着剤を用いたものがある。また、熱交換器としては、例えば特許文献3に挙げられるような、方形のシェルで構成されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−225610号公報
【特許文献2】特開平4−148194号公報
【特許文献3】特開2006−90687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
排ガス中の二酸化炭素を溶液吸収法や化学吸着法で回収すると、回収物に不純物が混入しやすい。このため、排ガス中の二酸化炭素を回収して製品とする場合、品質を保つ観点に鑑みれば、物理吸着法による回収が望まれる。ここで、物理吸着法による吸脱着においては、吸着時には発熱し、再生時には吸熱するため、特にTSA方式による吸脱着の際には吸着剤の温度分布が略均等になるように配慮する必要がある。このため、吸着塔を設計する際は、塔内を流れるガスの流速を一定にするために、水が流れるチューブの長手方向に沿ってガスが流れるように塔内の形状や構造を決定するのが一般的である。しかしながら、要求される仕様によっては、このような形状や構造を採ることが出来ない場合がある。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、塔内のガス流路がチューブの長手方向と交差していても塔内の温度分布がばらつかない吸着塔を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明では、熱交換用のチューブが内部を横断する吸着塔の内部を、上下に設けられた開口を介して流通するガスの流路が上から下まで一定となるように形成することにした。
【0010】
詳細には、ガスに含まれる特定の成分を吸着する吸着塔であって、前記特定の成分を吸着する吸着剤が内部に充填されるシェルと、前記シェルの内部に設けられ、前記吸着剤と熱交換を行う熱媒が流れる複数のチューブと、前記シェルを上下に貫通するように設けられ、該シェル内に前記ガスを流通させると共に前記吸着剤の充填および回収を可能にする開口部と、を備え、前記複数のチューブは、前記シェルの内部を横断するように配設されており、前記シェルの内部は、前記開口を介して流通する前記ガスが上または下へ流れると共に、該ガスの流路の大きさが上から下まで略一定である。
【0011】
上記のように構成される吸着塔の内部では、次のようなことが行なわれる。すなわち、吸着中の吸着塔においては、シェルの内部を流れるガスの流路が上から下まで略一定の大きさなので、吸着剤の中を通過するガスの流速が一定となる。このため、吸着剤の発熱が略均一となり、ホットスポットが発生しない。また、加熱したガスを再生用の熱源として吸着塔内に導入する場合も、吸着剤の中を加熱ガスが略均一に流れるのでコールドスポットが発生しない。従って、塔内のガス流路がチューブの長手方向と交差していても、塔内の温度分布を略均一にすることができることとなる。
【0012】
なお、上記シェルの内部は、ガスの流路の大きさが上から下まで略一定であればよく、外形の如何は問わないが、例えば、シェルを方形の筐体で構成すれば、ガスの流路の大きさを上から下まで略一定とすることができる。また、シェルの内部を複数の部屋に区画しておき、開口部を、シェル内の部屋毎にシェルを上下に貫通するように設け、シェル内の各部屋にガスを流通させると共に吸着剤の部屋毎の充填および回収を可能となるようにしておけば、吸着剤の充填や回収が容易となり、特定の部屋の吸着剤の充填や回収も可能となる。
【0013】
また、本発明は、ガスに含まれる特定の成分を吸着する吸着塔であって、前記特定の成分を吸着する吸着剤が充填されるシェルと、前記シェルの両端に設けられた管板部分に接
合されて、該シェルの内部に配設される複数のチューブと、前記シェルの前記管板部分に設けられる、前記ガスが流通する開口部と、を備え、前記複数のチューブは、前記シェルの外側で各チューブの端部に連結された管路を介して供給される冷媒が通液されるものであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
塔内のガス流路がチューブの長手方向と交差していても塔内の温度分布を略均一にできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】二酸化炭素分離回収システムの構成図である。
【図2】二酸化炭素分離回収システムにおけるガスの流れを示す図である。
【図3】脱水設備の構成図である。
【図4】CO2分離回収設備の構成図である。
【図5】精製設備の構成図である。
【図6】吸着塔の外観斜視図である。
【図7】吸着塔の内部構造図である。
【図8】吸着塔内のガスや水の流れを示す図である。
【図9】吸着塔内のガスの流れを示す図である。
【図10】別態様の吸着塔内のガスの流れを示す図である。
【図11】別態様の吸着塔の外観斜視図である。
【図12】別態様の吸着塔の内部構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本願発明に係る吸着塔の実施形態について説明する。図1は、本願発明に係る吸着塔を適用した二酸化炭素分離回収システム1の構成図である。二酸化炭素分離回収システム1は、図1に示すように、昇圧脱水部門2とCO2分離回収部門3、及び昇圧精製部門4を備える。昇圧脱水部門2は、工場等から排出される排ガスを昇圧したのちに脱水する。CO2分離回収部門3は、昇圧脱水部門2で昇圧されて脱水された原料排ガスに含まれる二酸化炭素を回収する。昇圧精製部門4は、CO2分離回収部門3に回収されている二酸化炭素を取り出して精製し、製品CO2ガスとして送り出す。製品CO2ガスの用途としては、溶接用や食品添加用が挙げられる。
【0017】
工場等から排出される排ガスの成分は、例えば、窒素(N2)が81%、酸素(O2)が11%、二酸化炭素(CO2)が8%、大気圧、温度63℃、相対湿度18%の排ガスである。この二酸化炭素分離回収システム1は、この原料排ガスから、純度が90%以上で露点温度が−10℃以下の製品CO2ガスを1000Nm3/hで生産する。
【0018】
図2は、二酸化炭素分離回収システム1におけるガスの流れを示す図である。二酸化炭素分離回収システム1では、図2に示すように、工場等の設備から排出されて排ガス冷却器5で約40℃に冷却された原料排ガスが原料ガスブロワ21により下流の各プロセスで必要とする圧力である約0.03MPaまで昇圧された後、脱水設備20へ送られる。脱水設備20で水分を除去された原料排ガスは脱湿ガス冷却器6を経てCO2分離回収設備30へ送られ、原料排ガス中の二酸化炭素が回収される。CO2分離回収設備30で二酸化炭素を取り除かれた原料排ガス(以下、使用済み脱CO2ガスという)は、脱湿ガス冷却器6で熱交換により予熱され、脱水設備20の再生ガスとして利用された後に系外へ排出され或いは再び工場等の設備へ戻る。この二酸化炭素分離回収システム1では、脱湿ガス冷却器6で概ね84,000kcal/h(351,120kJ/h)の熱が交換されるように設計されている。一方、CO2分離回収設備30に回収されている二酸化炭素は、回収ガスブロワ7によって取り出されて精製設備40へ送り込まれ、精製された後に製品CO2ガスとして出荷
される。なお、脱湿ガス冷却器6は、熱交換器であり、CO2分離回収設備30から出る使用済み脱CO2ガスと脱水設備20から出る脱水済の原料排ガスとの間で熱交換を行う。この二酸化炭素分離回収システム1は、低圧、低温プロセスを基調としており、全てのプロセスにおいて0.05MPa以下、0〜65℃、より好ましくは10〜40℃である。
【0019】
図3は、脱水設備20の構成図である。脱水設備20は、図3に示すように、水吸着塔ユニット22A,B、循環水回路23、及び弁類で構成される。水吸着塔ユニット22A,Bは、それぞれ、合成ゼオライト、活性アルミナ、セラミックス、多孔質ガラス、多孔質樹脂等の物理吸着剤(モレキュラシーブス)を内包しており、伝熱管を内蔵した並列に接続される図示しない一基あるいは複数基の吸着塔で構成されており、塔内を通過する原料排ガスから水分を連続的に除去する。脱水設備20は、A系の水吸着塔ユニット22AとB系の水吸着塔ユニット22Bとが交互に吸着工程と再生工程とを約30分毎に繰り返しながら、原料排ガス中の水分を連続的に吸着除去するように制御される。
【0020】
再生工程は、CO2分離回収設備30からの使用済み脱CO2ガスを再生用ガスとして利用し、主としてガス中の水分分圧に対する吸着能力の差を利用して吸脱着操作を行うドライガスパージ方式により再生する。脱水プロセスが物理吸着法によるため、2次的な脱水処理が不要であり、プロセスに起因する製品CO2ガス中への不純物の混入の心配もない。
【0021】
図3では、水吸着塔ユニット22Aが吸着工程にあり、水吸着塔ユニット22Bが再生工程にある場合の脱水設備20を例示している。図3に示すように、吸着工程にある水吸着塔ユニット22Aでは、原料ガスブロワ21から水吸着塔ユニット22Aへ繋がる配管の経路を開閉可能な弁V1A、及び水吸着塔ユニット22Aから脱湿ガス冷却器6を介してCO2分離回収設備30へ繋がる配管の経路を開閉可能な弁V2Aが開いていることにより、原料ガスブロワ21から送られる原料排ガスが通気される。一方、再生工程にある水吸着塔ユニット22Bでは、弁1B及び弁2Bが閉じており、CO2分離回収設備30から脱湿ガス冷却器6を介して水吸着塔ユニット22Bへ繋がる配管の経路を開閉可能な弁3B、及び水吸着塔ユニット22Bから系外または工場等の設備へ繋がる配管の経路を開閉可能な弁4Bが開いていることにより、CO2分離回収部門3から排出される使用済み脱CO2ガスが通気される。
【0022】
ここで、水吸着塔ユニット22A,Bの再生に使用する使用済み脱CO2ガスは、脱水設備20で脱水処理された後、CO2分離回収設備30で二酸化炭素を分離回収されたガスであり、ガス中の水分は、ほぼドライ状態にある。水吸着塔ユニット22A,Bの吸着剤の吸着能力は、その時の温度とガス中の分圧によって決まるので、脱水プロセスにおける脱着再生工程中の吸着塔(図3の例であれば水吸着塔ユニット22B)を通過する際、水分を吸着した状態の吸着剤は、その温度に対する吸着特性に従って水分を分離放出し、それに伴いガス中の水分分圧を上昇させ、やがて平衡状態に達する。吸着中の水吸着塔の操作温度と再生中の水吸着塔の操作温度とは、概ね同一温度領域にあるので、脱水プロセスにおける吸脱着操作は、主としてガス中の水分分圧の差によって行われる。
【0023】
ここで、水吸着塔ユニット22A,Bを構成する各塔の吸着剤は、水分を吸着する際に発熱を伴い、一方、水分を脱着して再生される際には吸熱を伴う。この二酸化炭素分離回収システム1では、各水吸着塔ユニット22A,Bで水を吸脱着する際の吸発熱量が概ね366,085kcal/h(1,532,724kJ/h)となるように設計されている。このため、吸脱着特性を維持するためには、吸着塔を冷却又は加熱して、一定の温度に保持する必要がある。そのため、脱水設備20には、吸着工程にある水吸着装置と再生工程にある水吸着装置との間を循環する循環水回路23が備えられており、吸着剤が水を吸着する際に生ずる吸着熱と
吸着剤が水を脱着して再生される際に要する再生熱とが全量交換されて、各系の水吸着装置の吸着塔の温度が約40℃前後に保持されるように設計されている。吸着中の水吸着塔ユニット22Aと再生中の水吸着塔ユニット22Bとの間に配される循環水回路23は、吸着工程にある水吸着塔ユニット22Aの発熱と再生工程にある水吸着塔ユニット22Bの吸熱とを、水吸着塔ユニット22A,Bに内置される伝熱管内を流れる循環水で間接的に熱交換させる。なお、循環水は、循環ポンプ24によって循環水ライン内を強制的に循環される。これにより、水吸着塔ユニット22Aと水吸着塔ユニット22Bとが互いに同一温度領域に保持される。設計上、吸着中の吸着塔と再生中の吸着塔の温度は概ね同一温度であればよく、循環ポンプ24による入熱により再生中の水吸着塔の温度が少しでも高くなるように考慮する他は、特段の制御を行っていない。すなわち、循環水回路23は、吸着中の水吸着塔と再生中の水吸着塔とが切り替わっても、循環ポンプ24を出た循環水が再生中の水吸着塔を通過したのちに循環水クーラ25を通過し、吸着中の水吸着塔を通過して再び循環ポンプ24に戻る経路が形成されるように、三方弁5A,5B,6A,6Bが設けられている。各弁の開閉状態を下記の表1に示す。
【表1】
【0024】
表1に示されるパターンに沿って各弁が制御されることにより、水吸着塔ユニット22Aが吸着中で水吸着塔ユニット22Bが再生中の時は、循環ポンプ24を出た循環水が水吸着塔ユニット22Bを通過したのちに循環水クーラ25を通過し、水吸着塔ユニット22Aを通過して再び循環ポンプ24に戻る経路が形成される。また、水吸着塔ユニット22Bが吸着中で水吸着塔ユニット22Aが再生中の時は、循環ポンプ24を出た循環水が水吸着塔ユニット22Aを通過したのちに循環水クーラ25を通過し、水吸着塔ユニット22Bを通過して再び循環ポンプ24に戻る経路が形成される。なお、これらの経路の切り替えは、ヒートロスを軽減するため、循環する水温に応じて切り替え時間を適宜調整す
る。これらの制御は、脱水設備20に設けられた図示しない制御盤のシーケンサによって執り行われる。
【0025】
ところで、原料ガス中の水分量によっては、再生用ドライガスの量が不足する場合もあり得る。その場合は、他のドライガスを補うか、循環水ラインに加熱器や冷却器を配して、再生中の水吸着塔の温度を高くしてやることで補うこともできる。
【0026】
脱水設備20が上記のように動作することにより、吸着中および再生中の各吸着塔の温度領域は、外気温や冷却水温度等の影響を受けつつも、概ね0〜45℃の範囲となる。このように、再生用ドライガスとしてCO2分離回収設備30で二酸化炭素が分離回収された使用済み脱CO2ガスを導入し、更に循環ラインの設置により吸着中の水吸着塔と再生中の水吸着塔との間で熱交換しているので、水蒸気等の外部からの熱源を要しない。
【0027】
図4は、CO2分離回収設備30の構成図である。CO2分離回収設備30は、図4に示すように、CO2吸着塔ユニット31A,B、ヒートポンプシステム32、及び弁類で構成される。CO2分離回収設備30は、二酸化炭素の吸脱着に必要な接触時間を十分に確保することが求められる。また、目的の吸着量を確保するための吸着剤充填量を確保することが求められる。更に、吸脱着熱を冷却又は加熱して温度を保持するための伝熱面積を確保することが求められる。
【0028】
そこで、CO2分離回収設備30は、吸着塔を複数に分割したり、適宜並列又は直列に接続したりして使用する。本実施形態に係る二酸化炭素分離回収システム1のCO2吸着塔ユニット31A,Bは、水吸着塔ユニット22A,Bと同様、合成ゼオライト、活性アルミナ、セラミックス、多孔質ガラス、多孔質樹脂等の物理吸着剤(モレキュラシーブス)を内包しており、伝熱管を内蔵した吸着塔で構成され、塔内を通過する脱水された原料排ガスから二酸化炭素を連続的に除去する。CO2分離回収設備30は、A系のCO2吸着塔ユニット31AとB系のCO2吸着塔ユニット31Bとが交互に吸着工程と脱着工程(再生工程ということもできる)とを約30分毎に繰り返しながら、原料排ガス中の二酸化炭素を連続的に分離回収するように設計されている。
【0029】
CO2吸着塔ユニット31A,Bは、主として吸着剤の温度に対する吸着能力の差を利用して吸脱着操作を行うTSA(Thermal Swing Adsorption)方式により、二酸化炭素の吸着及び脱着を行なう。CO2分離回収プロセスは物理吸着方式であるため、プロセスに起因する製品CO2ガス中への不純物の混入の心配もない。
【0030】
図4では、CO2吸着塔ユニット31Aが吸着工程にあり、CO2吸着塔ユニット31Bが脱着工程にある場合のCO2分離回収設備30を例示している。図4に示すように、吸着工程にあるCO2吸着塔ユニット31Aでは、昇圧脱水部門2から脱湿ガス冷却器6を介してCO2吸着塔ユニット31Aへ繋がる配管の経路を開閉可能な弁11A、及びCO2吸着塔ユニット31Aから脱湿ガス冷却器6を介して水吸着塔ユニット22Bへ繋がる配管の経路を開閉可能な弁7Aが開いていることにより、昇圧脱水部門2から送られる脱水された原料排ガスが通気される。一方、脱着工程にあるCO2吸着塔ユニット31Bでは、弁11B及び弁7Bが閉じており、昇圧精製部門4へ繋がる配管の経路を開閉可能な弁8Bが開いていることにより、CO2吸着塔ユニット31Bに吸着されていた二酸化炭素が脱着されて昇圧精製部門4へ流れる。
【0031】
ここで、CO2吸着塔ユニット31A,Bに使われている吸着剤は、二酸化炭素を吸着する際に発熱を伴い、一方、二酸化炭素を脱着して再生される際には吸熱を伴う。この二酸化炭素分離回収システム1では、各CO2吸着塔ユニット31A,Bで二酸化炭素を吸脱着する際の吸発熱量が概ね354,644kcal/h(1,486,591kJ/h)となるように設計されてい
る。このため、吸脱着特性を維持するためには、吸着塔を冷却又は加熱して、一定の温度に保持する必要がある。特に、CO2吸着塔ユニット31A,Bは、TSA(Thermal Swing Adsorption)方式を採用しているため、吸着工程における温度は0〜40℃、脱着工程における温度は20〜65℃となり、概ね吸着工程で約15℃、再生工程で約40℃となるように制御される。吸着剤が約40℃に加熱されることで、吸着されていた二酸化炭素が分離する。この動作温度から明らかなように、CO2分離回収プロセスでは脱水プロセスと異なり、発熱を伴う吸着工程におけるCO2吸着塔の温度と吸熱を伴う脱着工程におけるCO2吸着塔の温度とが大きく開いている。そこで、CO2分離回収設備30は、二酸化炭素を吸脱着する際の熱源を自給するためにヒートポンプシステム32を備えており、冷凍機36、凝縮器34、膨張弁37、蒸発器35などで構成されるヒートポンプユニット33を配することで、吸着中のCO2吸着塔の熱を脱着中のCO2吸着塔へ効率的に送ることが可能なようになっている。このヒートポンプユニット33の冷媒はフロン系のR−134aである。これにより、発熱を伴う吸着中のCO2吸着塔が冷却され、吸熱を伴う脱着中のCO2吸着塔が加熱されて、各々の動作温度が保たれる。
【0032】
より詳細には、例えば図4に示すように、吸着中のCO2吸着塔ユニット31Aとヒートポンプユニット33の蒸発器35との間で循環ポンプ38により冷水が循環する循環経路を、弁9A,10Aや配管類により構成する。また、脱着中のCO2吸着塔ユニット31Bとヒートポンプユニット33の凝縮器34との間で循環ポンプ39により温水が循環する循環経路を弁9B,10Bにより構成する。吸着中のCO2吸着塔ユニット31Aで生じた熱により蒸発した蒸発器35内の冷媒は、冷凍機36によって昇圧され、凝縮器34へ送られる。凝縮器34では、冷凍機36から送られた冷媒の熱が脱着中のCO2吸着塔ユニット31Bによって奪われ、凝縮器34内で冷媒が凝縮する。凝縮器34で凝縮した冷媒は膨張弁37を通って減圧され、過冷却状態になって再び蒸発器35へ送られる。ヒートポンプユニット33においてこのような冷凍サイクルが実現されることにより、吸着中のCO2吸着塔ユニット31Aと脱着中のCO2吸着塔ユニット31Bとの間の熱輸送が実現され、CO2吸着塔間の熱交換による熱源の自給が可能となる。
【0033】
なお、吸着中のCO2吸着塔ユニットと脱着中のCO2吸着ユニットとの間の熱交換は、循環水を介することなく、例えば、ヒートポンプユニット33内を循環する冷媒を各吸着塔に直接導入するようにしてもよい。この場合、ヒートポンプユニット33に設けられている凝縮器34や蒸発器35が不要となる。また、ヒートポンプユニット33のような圧縮式の冷凍サイクルではなく、吸収式のものであってもよい。更に、吸着中の吸着塔と再生中の吸着塔との切り替えや冷凍機36の発停等による循環水の温度の変動を抑制するため、循環ポンプ38,39や弁類で構成される冷水や温水の循環経路に中間タンクを設け、この中間タンクに循環水の温度の変動を吸収させるようにしてもよい。
【0034】
CO2分離回収設備30は、脱水設備20と同様、冷水や温水の循環ラインがCO2吸着塔の通気状態に応じて切り替えられる。各弁の開閉状態を下記の表2に示す。
【表2】
【0035】
表2に示されるパターンに沿って各弁が制御されることにより、CO2吸着塔ユニット31Aが吸着中でCO2吸着塔ユニット31Bが脱着中の時は、CO2吸着塔ユニット31Aと蒸発器35との間で冷水が循環し、CO2吸着塔ユニット31Bと凝縮器34との間で温水が循環して、CO2吸着塔ユニット31AからCO2吸着塔ユニット31Bへの熱輸送が実現される。また、CO2吸着塔ユニット31Bが吸着中でCO2吸着塔ユニット31Aが吸着中の時は、CO2吸着塔ユニット31Bと蒸発器35との間で冷水が循環し、CO2吸着塔ユニット31Aと凝縮器34との間で温水が循環して、CO2吸着塔ユニット31BからCO2吸着塔ユニット31Aへの熱輸送が実現される。なお、これらの経路の切り替えは、ヒートロスを軽減するため、循環する水温に応じて切り替え時間を適宜調整する。これらの制御は、CO2分離回収設備30に設けられた図示しない制御盤のシーケンサによって執り行われる。
【0036】
図5は、精製設備40の構成図である。精製設備40は、図5に示すように、精製塔41、製品ガス冷却器42、及び弁や配管類で構成される。精製塔41は、脱着工程にあるCO2吸着塔ユニットから出るガス中に含まれる硫化水素を、塔内に充填された触媒又は吸着剤により吸着除去する。精製塔41で硫化水素が除去されたガスは製品ガス冷却器42で冷却されたのち、純度が90%以上で露点温度が−10℃以下の製品CO2ガスとして送り出される。
【0037】
なお、上記二酸化炭素分離回収システム1は、精製設備40の下流側に液化炭酸ガスを製造する設備等を設ければ、更に高純度の製品を提供することも可能である。
【0038】
溶接や食品添加を用途とする製品CO2ガスを出荷する場合、製品CO2ガス中に許容される不純物量は、不純物質の毒性等種類にもよるが、少なくとも概ね0.5ppm以下
であるため、溶液吸収法や化学吸着法におけるカリやアミン等の吸収剤又は吸着剤成分の混入を許容値に制御することは、経済的要素を勘案すると困難である。一方、上記二酸化炭素分離回収システム1であれば、化学的分離法を使用せず、物理的な分離法を使用しているため、製品CO2ガス中の不純物を抑制し、食品添加用その他に対しても広く適用可能な品質を確保できる。
【0039】
また、製品CO2ガス中の水分も不純物として0.003vol%程度以下の濃度が求められる。また、このような水分の存在は、炭酸腐食により、他の不純物混入の大きな要因となり得る。ここで、溶液吸収法は湿式であるため、ガス中には飽和水分が含まれる。このため、結露により、容器や配管内に炭酸腐食を発生し、これに起因する不純物混入が懸念される。化学吸着法においても再生用に直接蒸気を導入する場合など、同様の問題が懸念される。しかし、上記二酸化炭素分離回収システム1では、脱水設備20で排ガス中の水分を事前に物理吸着させ、過冷却領域まで除去することにより、後段のCO2分離回収設備におけるCO2吸着特性の安定を図ることと合わせて、水分混入に起因する腐食発生や不純物混入を予防している。
【0040】
また、排ガスから二酸化炭素を回収する際のコストを上昇させる主たる要因は、建設コストと電力や蒸気などのユーティリティー消費量である。上記二酸化炭素分離回収システム1では、低温プロセスや前処理としての脱水処理を吸着法で実現しているため、ステンレス材や高級炭素鋼材の一切を要しない。また、低圧プロセスを採用しているので、回転機等の電力量を抑制できる。さらに、再生用に蒸気等を使用せず、吸着工程と脱着工程における等量の吸着熱と脱着熱を間接的に熱交換させることにより自己生産できるので、ヒートロスに関するものを除き、外部からの入熱を要しない。これらにより、建設コストを抑え、ユーティリティー使用量を抑制することにより、製品ガス量当たりの生産コストを大幅に低減できる。
【0041】
排ガス中のCO2を効率的に回収し、食品添加用などの需要と組み合わせることができれば、CO2排出量を削減し地球環境問題に直接的に資することが可能である。また、例えば将来的にH2源とのカップリング技術の進展によっては燃料化も期待され、CO2削減と再生可能エネルギーの生産が同時に可能となり、貴重なカーボン源として上記二酸化炭素分離回収システム1の付加価値は飛躍的に高まることが期待される。
【0042】
なお、上記二酸化炭素分離回収システム1においては、CO2分離回収設備30に回収されている二酸化炭素を回収ガスブロワ7によって取り出し、精製設備40へ送り込んでいるが、吸着剤に吸着されている二酸化炭素が離脱しにくい場合には、回収ガスブロワ7に真空引きさせてもよいし或いは回収ガスブロワ7の排気の一部をCO2分離回収設備30の吸着塔の上流側に戻して回収ガスを循環させてもよい。
【0043】
ここで、上述した二酸化炭素分離回収システム1の水吸着塔ユニット22A,BやCO2吸着塔ユニット31A,Bは、以下のような吸着塔で構成されている。図6は、上述した水吸着塔ユニット22A,BやCO2吸着塔ユニット31A,Bを構成する、本願発明の実施形態に係る吸着塔50の外観斜視図である。吸着塔50は、図6に示すように、シェル部51とチャンネル部52,53で構成されている。チャンネル部52には吸着剤と熱交換を行う熱媒としての水を流すための配管を接続するフランジが設けられ、また、シェル部51にも原料排ガスを流すための配管を接続するフランジが設けられている。
【0044】
図7は、吸着塔50の内部構造図である。吸着塔50は、図7に示すように、胴側の流路である反応室54内をガスが流れ、管側の流路であるフィンチューブ56内や水室55内を水が流れる、いわゆるシェル&チューブ型の熱交換器であり、各反応室54や水室55は方形に形成されている。
【0045】
各反応室54には既述の合成ゼオライトや活性アルミナ、セラミックス、多孔質ガラス、多孔質樹脂等の物理吸着剤(モレキュラシーブス)が充填されることで、ここを通過する原料排ガス中の水あるいはCO2が吸着されるようになる。物理吸着剤の充填や回収はシェル部51の上側部分や下側部分に設けられたフランジから行なう。各反応室54は、フィンチューブ56を支持する支持板57によって仕切られているが、この支持板57は単にフィンチューブ56を支持する構造物であり、各反応室54同士を隔離する程の気密性は無い。
【0046】
水室55は、管板58によって反応室54と隔離されたチャンネル部52,53内に設けられる空間であり、水を各チューブへ分流したり各チューブを流れる水が合流したりする。
【0047】
図8は、吸着塔50内のガスや水の流れを示す図である。各反応室54に流入したガスは物理吸着剤59と接触して水あるいはCO2が除去された後に下側から流出する。また、水室55へ流入した水は、各フィンチューブ56へ流れる。
【0048】
ここで、この吸着塔50は方形になっているのでガスの吸着塔50内におけるガス流路の大きさは上から下まで略一定であり、各反応室54内のガスの流れは図9に示すようになる。すなわち、各反応室54内の流路方向に対する断面積が上部から下部まで略一定なので、ガスの流速は反応室に流入してから流出するまで概ね一定となり、流速が局部的に変化することが無い。このため、例えば図10に示すように、通常多く用いられる円筒状の熱交換器を吸着塔とした場合に比べると、ホットスポットやコールドスポットが生じにくくなり、水やCO2の吸脱着作用が部位毎にばらつくのを抑制できる。吸着剤を用いてガス中の特定成分を吸着する場合は、ガスの流速を一定値以下に制限することが求められるため、ガスの流速が部位毎にばらつくとこの制限を満たせない部分が生じやすいが、本実施形態のように方形の吸着塔とすればこのような流速のばらつきを抑えることができる。また、吸着能力を高めるには吸着塔の容積や伝熱面積を如何に多く確保するかが問題となるが、円筒状の熱交換器を用いると円筒という形状上、無駄な設置スペースが不可避的に生ずるのに対し、方形であれば設置スペースを最大限有効活用できる。
【0049】
このように、熱交換器と吸着塔とが一体化したことにより、吸着塔内を直接冷却あるいは加熱することができるので、再生の際の熱源を比較的低い温度領域にすることができる。また、熱交換器内に吸着剤を充填する構造を採用しているので吸着剤と伝熱管との間で熱交換がしやすく、ガス側の伝熱係数を上げることができる。よって、熱交換器を吸着塔の上流側に別途設ける場合に比べて伝熱面積を低減することが可能である。
【0050】
なお、PSA方式を採る場合、吸着塔には圧力容器としての高い耐圧性能が要求されるため、本実施形態のような方形の形状を採用することが難しくなる。しかしながら、上記二酸化炭素分離回収システム1のようにTSA方式を採る場合、吸着塔に求められる耐圧性能はPSA方式に比べて緩いため、本実施形態のような方形の形状を容易に採用する事ができる。もっとも、本実施形態に係る吸着塔50の製作にあたって高強度の板金を用い、PSA方式にも耐えるものとしてもよい。
【0051】
上記のように構成される吸着塔50で水吸着塔ユニット22A,BやCO2吸着塔ユニット31A,Bを構成すれば、例えば、次のようなことができる。すなわち、水吸着塔ユニット22A,BやCO2吸着塔ユニット31A,Bを方形の吸着塔50で構成すれば、吸着工程にある吸着塔と再生工程にある吸着塔とを面接触させることができ、吸着作用で生ずる熱を再生のために有効利用することができる。
【0052】
また、上記実施形態に係る吸着塔50であれば、原料排ガスや吸着剤を出し入れする開口と管板58とが別々の箇所に設けられているので、チューブ56の配置に制約がなく、容積当たりの伝熱面積を大きく取ることができる。更に、吸着塔50の外形が方形なので断熱材の取り付けも容易であり、保温性能を高めやすい。
【0053】
なお、上記実施形態に係る吸着塔50は、支持板57によって4つの反応室54に仕切られていたが、シェル部51の長さが短い場合には不要である。その場合、シェル部51に設けられる、原料排ガスを流すための配管を接続するフランジの数も減る。
【0054】
また、上記実施形態に係る吸着塔50は、原料排ガスを上から下へ向けて流し、水を下から上へ流すことで温度勾配が概ね一定となるように配慮していたが、例えば、原料排ガスを下から上へ向けて流し、水を上から下へ流すようにしてもよいし、場合によっては排ガスと水を並行流としてもよい。
【0055】
ところで、上記二酸化炭素分離回収システム1の水吸着塔ユニット22A,BやCO2吸着塔ユニット31A,Bは、小規模なシステム構成とする場合、以下に示すような吸着塔で構成することも可能である。図11は、上記二酸化炭素分離回収システム1を小規模なシステム構成とする場合に用いることが可能な吸着塔100の外観斜視図である。吸着塔100は、図11に示すように、上下方向に伸びる円筒状のシェル部101を備えており、その上下端面にはフランジ110やジョイント111が設けられている。
【0056】
図12は、吸着塔100の内部構造図である。吸着塔100は、図12に示すように、胴側の流路となる反応室104をガスが流れ、管側の流路となるフィンチューブ106内を水が流れる、いわゆるシェル&チューブ型の熱交換器と同様の構造を有しているが、この吸着塔100には既述した吸着塔50に用いられるようなチャンネル部52に相当する部分が存在しない。この吸着塔100は、ジョイント111同士をフレキシブルチューブ等で相互に連結することで各フィンチューブ106に水が流れるようにし、チャンネル部52を省略している。
【0057】
反応室54には既述の合成ゼオライトや活性アルミナ、セラミックス、多孔質ガラス、多孔質樹脂等の物理吸着剤(モレキュラシーブス)が充填されることで、ここを通過するガス中の水やCO2が吸着されるようになっており、物理吸着剤の充填や回収はシェル部101の上側部分や下側部分に設けられたフランジ110から行なう。
【0058】
このように構成される吸着塔100であれば、チャンネル部が設けられていないので水の保有量が少なくなり、吸着塔の工程を熱的にスムーズに切り替えることができる。なお、図11,12は吸着塔を縦に設置することを念頭においた場合を示したものであるが、吸着塔を横置きとし、排ガスを流す開口とは別に吸着剤充填口と取出口をシェルの上部と下部にそれぞれ配して、チューブ配置を密集させてもよい。
【符号の説明】
【0059】
50,100・・吸着塔
51,101・・シェル部
52,53・・チャンネル部
54,104・・反応室
55・・水室
56,106・・フィンチューブ
57・・支持板
58・・管板
59・・物理吸着剤
110・・フランジ
111・・ジョイント
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着塔に関する。
【背景技術】
【0002】
排ガスから二酸化炭素を回収する方法の一つに溶液吸収法がある。溶液吸収法は、CO2を化学的に吸収できる熱炭酸カリウム水溶液やアミン水溶液を吸収塔と再生塔との間で循環させ、吸収塔内部に充填されたラシヒリングやポールリング等の充填物の表面を介して、塔頂からの溶液と塔底部からのガスを常温で直接接触させ、溶液内にガス中のCO2を選択的に化学吸収させる。そして、そのCO2吸収液を再生塔の塔頂から下部に向けて落下させ、吸収塔と同様に、内部に充填された充填物の表面を介して、塔底より熱源を受けて上昇する100〜120℃の水蒸気と直接接触させ、CO2を分離し、塔頂から取り出し、冷却して回収する。CO2を分離した溶液は、再び吸収溶液として吸収塔へ再循環される。このような溶液吸収法は、比較的高効率で、圧力を問わず適用できる事等を特長とするが、湿式であるため、製品ガス中に水分や溶液成分の一部など、不純物の混入が懸念される。また熱炭酸カリウムは強い腐食性を有するため、材質面で、ステンレス材を選定するか、或いは炭素鋼にV2O5等のコーティング材を施工して使用する必要がある。
【0003】
溶液吸収法以外の方法として、化学吸着によるTSA(Thermal Swing Adsorption)法またはPSA(Pressure Swing Adsorption)法がある。これらの方法は、活性炭や多孔質樹脂等の担体に、炭酸カリウムやアミン等の化学吸着成分を担持させた吸着剤を使用し、吸着剤の温度や圧力による化学的吸着能力の差を利用して、CO2を吸脱着させ回収するもので、通常2〜4系統の吸着塔を吸着工程と脱着工程に交互に切り替えて、連続的に分離回収する仕組みになっている。圧力差に比べて、温度差に対する吸着能力が大きく変化するので、TSA方式単独又はPSA方式との組み合わせ方式が一般的である。TSA方式の場合は、低圧での操作が可能であるほか、ガス中に含まれる水分の影響が少ないので、前処理が不要で、再生ガスとして蒸気を直接導入することも可能である。従ってシステムが簡易なため、回収コストの面からは比較的有利であるが、回収CO2ガスに水分やアミン等吸着剤成分の混入が懸念される。
【0004】
その他の方法として、物理吸着によるTSA法又はPSA法がある。これらの方法は、合成ゼオライト、活性アルミナ、セラミックス、多孔質ガラス、多孔質樹脂等の物理吸着剤(モレキュラシーブス)を使用し、吸着剤の温度や圧力に対する吸着能力の差を利用して、CO2を吸脱着させ回収する方法で、通常2〜4系統の吸着塔を吸着工程と脱着工程に交互に切り替えて、連続的に分離回収する仕組みになっている。圧力差に比べて、温度差に対する吸着能力が大きく変化するので、TSA方式単独またはPSA方式との組み合わせが一般的である。製品ガス中への不純物混入の心配は少ないが、吸着剤のCO2に対する吸着特性が水と競合するため、事前に脱水処理を行う必要がある(例えば、特許文献1を参照)。また、吸着塔における吸脱着熱を与えるための伝熱面積を確保し、操作温度を保持する必要がある。
【0005】
なお、吸着剤を内蔵した熱交換器としては、例えば特許文献2に挙げられるような、伝熱管を内包する状態で成形された吸着剤を用いたものがある。また、熱交換器としては、例えば特許文献3に挙げられるような、方形のシェルで構成されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−225610号公報
【特許文献2】特開平4−148194号公報
【特許文献3】特開2006−90687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
排ガス中の二酸化炭素を溶液吸収法や化学吸着法で回収すると、回収物に不純物が混入しやすい。このため、排ガス中の二酸化炭素を回収して製品とする場合、品質を保つ観点に鑑みれば、物理吸着法による回収が望まれる。ここで、物理吸着法による吸脱着においては、吸着時には発熱し、再生時には吸熱するため、特にTSA方式による吸脱着の際には吸着剤の温度分布が略均等になるように配慮する必要がある。このため、吸着塔を設計する際は、塔内を流れるガスの流速を一定にするために、水が流れるチューブの長手方向に沿ってガスが流れるように塔内の形状や構造を決定するのが一般的である。しかしながら、要求される仕様によっては、このような形状や構造を採ることが出来ない場合がある。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、塔内のガス流路がチューブの長手方向と交差していても塔内の温度分布がばらつかない吸着塔を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明では、熱交換用のチューブが内部を横断する吸着塔の内部を、上下に設けられた開口を介して流通するガスの流路が上から下まで一定となるように形成することにした。
【0010】
詳細には、ガスに含まれる特定の成分を吸着する吸着塔であって、前記特定の成分を吸着する吸着剤が内部に充填されるシェルと、前記シェルの内部に設けられ、前記吸着剤と熱交換を行う熱媒が流れる複数のチューブと、前記シェルを上下に貫通するように設けられ、該シェル内に前記ガスを流通させると共に前記吸着剤の充填および回収を可能にする開口部と、を備え、前記複数のチューブは、前記シェルの内部を横断するように配設されており、前記シェルの内部は、前記開口を介して流通する前記ガスが上または下へ流れると共に、該ガスの流路の大きさが上から下まで略一定である。
【0011】
上記のように構成される吸着塔の内部では、次のようなことが行なわれる。すなわち、吸着中の吸着塔においては、シェルの内部を流れるガスの流路が上から下まで略一定の大きさなので、吸着剤の中を通過するガスの流速が一定となる。このため、吸着剤の発熱が略均一となり、ホットスポットが発生しない。また、加熱したガスを再生用の熱源として吸着塔内に導入する場合も、吸着剤の中を加熱ガスが略均一に流れるのでコールドスポットが発生しない。従って、塔内のガス流路がチューブの長手方向と交差していても、塔内の温度分布を略均一にすることができることとなる。
【0012】
なお、上記シェルの内部は、ガスの流路の大きさが上から下まで略一定であればよく、外形の如何は問わないが、例えば、シェルを方形の筐体で構成すれば、ガスの流路の大きさを上から下まで略一定とすることができる。また、シェルの内部を複数の部屋に区画しておき、開口部を、シェル内の部屋毎にシェルを上下に貫通するように設け、シェル内の各部屋にガスを流通させると共に吸着剤の部屋毎の充填および回収を可能となるようにしておけば、吸着剤の充填や回収が容易となり、特定の部屋の吸着剤の充填や回収も可能となる。
【0013】
また、本発明は、ガスに含まれる特定の成分を吸着する吸着塔であって、前記特定の成分を吸着する吸着剤が充填されるシェルと、前記シェルの両端に設けられた管板部分に接
合されて、該シェルの内部に配設される複数のチューブと、前記シェルの前記管板部分に設けられる、前記ガスが流通する開口部と、を備え、前記複数のチューブは、前記シェルの外側で各チューブの端部に連結された管路を介して供給される冷媒が通液されるものであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
塔内のガス流路がチューブの長手方向と交差していても塔内の温度分布を略均一にできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】二酸化炭素分離回収システムの構成図である。
【図2】二酸化炭素分離回収システムにおけるガスの流れを示す図である。
【図3】脱水設備の構成図である。
【図4】CO2分離回収設備の構成図である。
【図5】精製設備の構成図である。
【図6】吸着塔の外観斜視図である。
【図7】吸着塔の内部構造図である。
【図8】吸着塔内のガスや水の流れを示す図である。
【図9】吸着塔内のガスの流れを示す図である。
【図10】別態様の吸着塔内のガスの流れを示す図である。
【図11】別態様の吸着塔の外観斜視図である。
【図12】別態様の吸着塔の内部構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本願発明に係る吸着塔の実施形態について説明する。図1は、本願発明に係る吸着塔を適用した二酸化炭素分離回収システム1の構成図である。二酸化炭素分離回収システム1は、図1に示すように、昇圧脱水部門2とCO2分離回収部門3、及び昇圧精製部門4を備える。昇圧脱水部門2は、工場等から排出される排ガスを昇圧したのちに脱水する。CO2分離回収部門3は、昇圧脱水部門2で昇圧されて脱水された原料排ガスに含まれる二酸化炭素を回収する。昇圧精製部門4は、CO2分離回収部門3に回収されている二酸化炭素を取り出して精製し、製品CO2ガスとして送り出す。製品CO2ガスの用途としては、溶接用や食品添加用が挙げられる。
【0017】
工場等から排出される排ガスの成分は、例えば、窒素(N2)が81%、酸素(O2)が11%、二酸化炭素(CO2)が8%、大気圧、温度63℃、相対湿度18%の排ガスである。この二酸化炭素分離回収システム1は、この原料排ガスから、純度が90%以上で露点温度が−10℃以下の製品CO2ガスを1000Nm3/hで生産する。
【0018】
図2は、二酸化炭素分離回収システム1におけるガスの流れを示す図である。二酸化炭素分離回収システム1では、図2に示すように、工場等の設備から排出されて排ガス冷却器5で約40℃に冷却された原料排ガスが原料ガスブロワ21により下流の各プロセスで必要とする圧力である約0.03MPaまで昇圧された後、脱水設備20へ送られる。脱水設備20で水分を除去された原料排ガスは脱湿ガス冷却器6を経てCO2分離回収設備30へ送られ、原料排ガス中の二酸化炭素が回収される。CO2分離回収設備30で二酸化炭素を取り除かれた原料排ガス(以下、使用済み脱CO2ガスという)は、脱湿ガス冷却器6で熱交換により予熱され、脱水設備20の再生ガスとして利用された後に系外へ排出され或いは再び工場等の設備へ戻る。この二酸化炭素分離回収システム1では、脱湿ガス冷却器6で概ね84,000kcal/h(351,120kJ/h)の熱が交換されるように設計されている。一方、CO2分離回収設備30に回収されている二酸化炭素は、回収ガスブロワ7によって取り出されて精製設備40へ送り込まれ、精製された後に製品CO2ガスとして出荷
される。なお、脱湿ガス冷却器6は、熱交換器であり、CO2分離回収設備30から出る使用済み脱CO2ガスと脱水設備20から出る脱水済の原料排ガスとの間で熱交換を行う。この二酸化炭素分離回収システム1は、低圧、低温プロセスを基調としており、全てのプロセスにおいて0.05MPa以下、0〜65℃、より好ましくは10〜40℃である。
【0019】
図3は、脱水設備20の構成図である。脱水設備20は、図3に示すように、水吸着塔ユニット22A,B、循環水回路23、及び弁類で構成される。水吸着塔ユニット22A,Bは、それぞれ、合成ゼオライト、活性アルミナ、セラミックス、多孔質ガラス、多孔質樹脂等の物理吸着剤(モレキュラシーブス)を内包しており、伝熱管を内蔵した並列に接続される図示しない一基あるいは複数基の吸着塔で構成されており、塔内を通過する原料排ガスから水分を連続的に除去する。脱水設備20は、A系の水吸着塔ユニット22AとB系の水吸着塔ユニット22Bとが交互に吸着工程と再生工程とを約30分毎に繰り返しながら、原料排ガス中の水分を連続的に吸着除去するように制御される。
【0020】
再生工程は、CO2分離回収設備30からの使用済み脱CO2ガスを再生用ガスとして利用し、主としてガス中の水分分圧に対する吸着能力の差を利用して吸脱着操作を行うドライガスパージ方式により再生する。脱水プロセスが物理吸着法によるため、2次的な脱水処理が不要であり、プロセスに起因する製品CO2ガス中への不純物の混入の心配もない。
【0021】
図3では、水吸着塔ユニット22Aが吸着工程にあり、水吸着塔ユニット22Bが再生工程にある場合の脱水設備20を例示している。図3に示すように、吸着工程にある水吸着塔ユニット22Aでは、原料ガスブロワ21から水吸着塔ユニット22Aへ繋がる配管の経路を開閉可能な弁V1A、及び水吸着塔ユニット22Aから脱湿ガス冷却器6を介してCO2分離回収設備30へ繋がる配管の経路を開閉可能な弁V2Aが開いていることにより、原料ガスブロワ21から送られる原料排ガスが通気される。一方、再生工程にある水吸着塔ユニット22Bでは、弁1B及び弁2Bが閉じており、CO2分離回収設備30から脱湿ガス冷却器6を介して水吸着塔ユニット22Bへ繋がる配管の経路を開閉可能な弁3B、及び水吸着塔ユニット22Bから系外または工場等の設備へ繋がる配管の経路を開閉可能な弁4Bが開いていることにより、CO2分離回収部門3から排出される使用済み脱CO2ガスが通気される。
【0022】
ここで、水吸着塔ユニット22A,Bの再生に使用する使用済み脱CO2ガスは、脱水設備20で脱水処理された後、CO2分離回収設備30で二酸化炭素を分離回収されたガスであり、ガス中の水分は、ほぼドライ状態にある。水吸着塔ユニット22A,Bの吸着剤の吸着能力は、その時の温度とガス中の分圧によって決まるので、脱水プロセスにおける脱着再生工程中の吸着塔(図3の例であれば水吸着塔ユニット22B)を通過する際、水分を吸着した状態の吸着剤は、その温度に対する吸着特性に従って水分を分離放出し、それに伴いガス中の水分分圧を上昇させ、やがて平衡状態に達する。吸着中の水吸着塔の操作温度と再生中の水吸着塔の操作温度とは、概ね同一温度領域にあるので、脱水プロセスにおける吸脱着操作は、主としてガス中の水分分圧の差によって行われる。
【0023】
ここで、水吸着塔ユニット22A,Bを構成する各塔の吸着剤は、水分を吸着する際に発熱を伴い、一方、水分を脱着して再生される際には吸熱を伴う。この二酸化炭素分離回収システム1では、各水吸着塔ユニット22A,Bで水を吸脱着する際の吸発熱量が概ね366,085kcal/h(1,532,724kJ/h)となるように設計されている。このため、吸脱着特性を維持するためには、吸着塔を冷却又は加熱して、一定の温度に保持する必要がある。そのため、脱水設備20には、吸着工程にある水吸着装置と再生工程にある水吸着装置との間を循環する循環水回路23が備えられており、吸着剤が水を吸着する際に生ずる吸着熱と
吸着剤が水を脱着して再生される際に要する再生熱とが全量交換されて、各系の水吸着装置の吸着塔の温度が約40℃前後に保持されるように設計されている。吸着中の水吸着塔ユニット22Aと再生中の水吸着塔ユニット22Bとの間に配される循環水回路23は、吸着工程にある水吸着塔ユニット22Aの発熱と再生工程にある水吸着塔ユニット22Bの吸熱とを、水吸着塔ユニット22A,Bに内置される伝熱管内を流れる循環水で間接的に熱交換させる。なお、循環水は、循環ポンプ24によって循環水ライン内を強制的に循環される。これにより、水吸着塔ユニット22Aと水吸着塔ユニット22Bとが互いに同一温度領域に保持される。設計上、吸着中の吸着塔と再生中の吸着塔の温度は概ね同一温度であればよく、循環ポンプ24による入熱により再生中の水吸着塔の温度が少しでも高くなるように考慮する他は、特段の制御を行っていない。すなわち、循環水回路23は、吸着中の水吸着塔と再生中の水吸着塔とが切り替わっても、循環ポンプ24を出た循環水が再生中の水吸着塔を通過したのちに循環水クーラ25を通過し、吸着中の水吸着塔を通過して再び循環ポンプ24に戻る経路が形成されるように、三方弁5A,5B,6A,6Bが設けられている。各弁の開閉状態を下記の表1に示す。
【表1】
【0024】
表1に示されるパターンに沿って各弁が制御されることにより、水吸着塔ユニット22Aが吸着中で水吸着塔ユニット22Bが再生中の時は、循環ポンプ24を出た循環水が水吸着塔ユニット22Bを通過したのちに循環水クーラ25を通過し、水吸着塔ユニット22Aを通過して再び循環ポンプ24に戻る経路が形成される。また、水吸着塔ユニット22Bが吸着中で水吸着塔ユニット22Aが再生中の時は、循環ポンプ24を出た循環水が水吸着塔ユニット22Aを通過したのちに循環水クーラ25を通過し、水吸着塔ユニット22Bを通過して再び循環ポンプ24に戻る経路が形成される。なお、これらの経路の切り替えは、ヒートロスを軽減するため、循環する水温に応じて切り替え時間を適宜調整す
る。これらの制御は、脱水設備20に設けられた図示しない制御盤のシーケンサによって執り行われる。
【0025】
ところで、原料ガス中の水分量によっては、再生用ドライガスの量が不足する場合もあり得る。その場合は、他のドライガスを補うか、循環水ラインに加熱器や冷却器を配して、再生中の水吸着塔の温度を高くしてやることで補うこともできる。
【0026】
脱水設備20が上記のように動作することにより、吸着中および再生中の各吸着塔の温度領域は、外気温や冷却水温度等の影響を受けつつも、概ね0〜45℃の範囲となる。このように、再生用ドライガスとしてCO2分離回収設備30で二酸化炭素が分離回収された使用済み脱CO2ガスを導入し、更に循環ラインの設置により吸着中の水吸着塔と再生中の水吸着塔との間で熱交換しているので、水蒸気等の外部からの熱源を要しない。
【0027】
図4は、CO2分離回収設備30の構成図である。CO2分離回収設備30は、図4に示すように、CO2吸着塔ユニット31A,B、ヒートポンプシステム32、及び弁類で構成される。CO2分離回収設備30は、二酸化炭素の吸脱着に必要な接触時間を十分に確保することが求められる。また、目的の吸着量を確保するための吸着剤充填量を確保することが求められる。更に、吸脱着熱を冷却又は加熱して温度を保持するための伝熱面積を確保することが求められる。
【0028】
そこで、CO2分離回収設備30は、吸着塔を複数に分割したり、適宜並列又は直列に接続したりして使用する。本実施形態に係る二酸化炭素分離回収システム1のCO2吸着塔ユニット31A,Bは、水吸着塔ユニット22A,Bと同様、合成ゼオライト、活性アルミナ、セラミックス、多孔質ガラス、多孔質樹脂等の物理吸着剤(モレキュラシーブス)を内包しており、伝熱管を内蔵した吸着塔で構成され、塔内を通過する脱水された原料排ガスから二酸化炭素を連続的に除去する。CO2分離回収設備30は、A系のCO2吸着塔ユニット31AとB系のCO2吸着塔ユニット31Bとが交互に吸着工程と脱着工程(再生工程ということもできる)とを約30分毎に繰り返しながら、原料排ガス中の二酸化炭素を連続的に分離回収するように設計されている。
【0029】
CO2吸着塔ユニット31A,Bは、主として吸着剤の温度に対する吸着能力の差を利用して吸脱着操作を行うTSA(Thermal Swing Adsorption)方式により、二酸化炭素の吸着及び脱着を行なう。CO2分離回収プロセスは物理吸着方式であるため、プロセスに起因する製品CO2ガス中への不純物の混入の心配もない。
【0030】
図4では、CO2吸着塔ユニット31Aが吸着工程にあり、CO2吸着塔ユニット31Bが脱着工程にある場合のCO2分離回収設備30を例示している。図4に示すように、吸着工程にあるCO2吸着塔ユニット31Aでは、昇圧脱水部門2から脱湿ガス冷却器6を介してCO2吸着塔ユニット31Aへ繋がる配管の経路を開閉可能な弁11A、及びCO2吸着塔ユニット31Aから脱湿ガス冷却器6を介して水吸着塔ユニット22Bへ繋がる配管の経路を開閉可能な弁7Aが開いていることにより、昇圧脱水部門2から送られる脱水された原料排ガスが通気される。一方、脱着工程にあるCO2吸着塔ユニット31Bでは、弁11B及び弁7Bが閉じており、昇圧精製部門4へ繋がる配管の経路を開閉可能な弁8Bが開いていることにより、CO2吸着塔ユニット31Bに吸着されていた二酸化炭素が脱着されて昇圧精製部門4へ流れる。
【0031】
ここで、CO2吸着塔ユニット31A,Bに使われている吸着剤は、二酸化炭素を吸着する際に発熱を伴い、一方、二酸化炭素を脱着して再生される際には吸熱を伴う。この二酸化炭素分離回収システム1では、各CO2吸着塔ユニット31A,Bで二酸化炭素を吸脱着する際の吸発熱量が概ね354,644kcal/h(1,486,591kJ/h)となるように設計されてい
る。このため、吸脱着特性を維持するためには、吸着塔を冷却又は加熱して、一定の温度に保持する必要がある。特に、CO2吸着塔ユニット31A,Bは、TSA(Thermal Swing Adsorption)方式を採用しているため、吸着工程における温度は0〜40℃、脱着工程における温度は20〜65℃となり、概ね吸着工程で約15℃、再生工程で約40℃となるように制御される。吸着剤が約40℃に加熱されることで、吸着されていた二酸化炭素が分離する。この動作温度から明らかなように、CO2分離回収プロセスでは脱水プロセスと異なり、発熱を伴う吸着工程におけるCO2吸着塔の温度と吸熱を伴う脱着工程におけるCO2吸着塔の温度とが大きく開いている。そこで、CO2分離回収設備30は、二酸化炭素を吸脱着する際の熱源を自給するためにヒートポンプシステム32を備えており、冷凍機36、凝縮器34、膨張弁37、蒸発器35などで構成されるヒートポンプユニット33を配することで、吸着中のCO2吸着塔の熱を脱着中のCO2吸着塔へ効率的に送ることが可能なようになっている。このヒートポンプユニット33の冷媒はフロン系のR−134aである。これにより、発熱を伴う吸着中のCO2吸着塔が冷却され、吸熱を伴う脱着中のCO2吸着塔が加熱されて、各々の動作温度が保たれる。
【0032】
より詳細には、例えば図4に示すように、吸着中のCO2吸着塔ユニット31Aとヒートポンプユニット33の蒸発器35との間で循環ポンプ38により冷水が循環する循環経路を、弁9A,10Aや配管類により構成する。また、脱着中のCO2吸着塔ユニット31Bとヒートポンプユニット33の凝縮器34との間で循環ポンプ39により温水が循環する循環経路を弁9B,10Bにより構成する。吸着中のCO2吸着塔ユニット31Aで生じた熱により蒸発した蒸発器35内の冷媒は、冷凍機36によって昇圧され、凝縮器34へ送られる。凝縮器34では、冷凍機36から送られた冷媒の熱が脱着中のCO2吸着塔ユニット31Bによって奪われ、凝縮器34内で冷媒が凝縮する。凝縮器34で凝縮した冷媒は膨張弁37を通って減圧され、過冷却状態になって再び蒸発器35へ送られる。ヒートポンプユニット33においてこのような冷凍サイクルが実現されることにより、吸着中のCO2吸着塔ユニット31Aと脱着中のCO2吸着塔ユニット31Bとの間の熱輸送が実現され、CO2吸着塔間の熱交換による熱源の自給が可能となる。
【0033】
なお、吸着中のCO2吸着塔ユニットと脱着中のCO2吸着ユニットとの間の熱交換は、循環水を介することなく、例えば、ヒートポンプユニット33内を循環する冷媒を各吸着塔に直接導入するようにしてもよい。この場合、ヒートポンプユニット33に設けられている凝縮器34や蒸発器35が不要となる。また、ヒートポンプユニット33のような圧縮式の冷凍サイクルではなく、吸収式のものであってもよい。更に、吸着中の吸着塔と再生中の吸着塔との切り替えや冷凍機36の発停等による循環水の温度の変動を抑制するため、循環ポンプ38,39や弁類で構成される冷水や温水の循環経路に中間タンクを設け、この中間タンクに循環水の温度の変動を吸収させるようにしてもよい。
【0034】
CO2分離回収設備30は、脱水設備20と同様、冷水や温水の循環ラインがCO2吸着塔の通気状態に応じて切り替えられる。各弁の開閉状態を下記の表2に示す。
【表2】
【0035】
表2に示されるパターンに沿って各弁が制御されることにより、CO2吸着塔ユニット31Aが吸着中でCO2吸着塔ユニット31Bが脱着中の時は、CO2吸着塔ユニット31Aと蒸発器35との間で冷水が循環し、CO2吸着塔ユニット31Bと凝縮器34との間で温水が循環して、CO2吸着塔ユニット31AからCO2吸着塔ユニット31Bへの熱輸送が実現される。また、CO2吸着塔ユニット31Bが吸着中でCO2吸着塔ユニット31Aが吸着中の時は、CO2吸着塔ユニット31Bと蒸発器35との間で冷水が循環し、CO2吸着塔ユニット31Aと凝縮器34との間で温水が循環して、CO2吸着塔ユニット31BからCO2吸着塔ユニット31Aへの熱輸送が実現される。なお、これらの経路の切り替えは、ヒートロスを軽減するため、循環する水温に応じて切り替え時間を適宜調整する。これらの制御は、CO2分離回収設備30に設けられた図示しない制御盤のシーケンサによって執り行われる。
【0036】
図5は、精製設備40の構成図である。精製設備40は、図5に示すように、精製塔41、製品ガス冷却器42、及び弁や配管類で構成される。精製塔41は、脱着工程にあるCO2吸着塔ユニットから出るガス中に含まれる硫化水素を、塔内に充填された触媒又は吸着剤により吸着除去する。精製塔41で硫化水素が除去されたガスは製品ガス冷却器42で冷却されたのち、純度が90%以上で露点温度が−10℃以下の製品CO2ガスとして送り出される。
【0037】
なお、上記二酸化炭素分離回収システム1は、精製設備40の下流側に液化炭酸ガスを製造する設備等を設ければ、更に高純度の製品を提供することも可能である。
【0038】
溶接や食品添加を用途とする製品CO2ガスを出荷する場合、製品CO2ガス中に許容される不純物量は、不純物質の毒性等種類にもよるが、少なくとも概ね0.5ppm以下
であるため、溶液吸収法や化学吸着法におけるカリやアミン等の吸収剤又は吸着剤成分の混入を許容値に制御することは、経済的要素を勘案すると困難である。一方、上記二酸化炭素分離回収システム1であれば、化学的分離法を使用せず、物理的な分離法を使用しているため、製品CO2ガス中の不純物を抑制し、食品添加用その他に対しても広く適用可能な品質を確保できる。
【0039】
また、製品CO2ガス中の水分も不純物として0.003vol%程度以下の濃度が求められる。また、このような水分の存在は、炭酸腐食により、他の不純物混入の大きな要因となり得る。ここで、溶液吸収法は湿式であるため、ガス中には飽和水分が含まれる。このため、結露により、容器や配管内に炭酸腐食を発生し、これに起因する不純物混入が懸念される。化学吸着法においても再生用に直接蒸気を導入する場合など、同様の問題が懸念される。しかし、上記二酸化炭素分離回収システム1では、脱水設備20で排ガス中の水分を事前に物理吸着させ、過冷却領域まで除去することにより、後段のCO2分離回収設備におけるCO2吸着特性の安定を図ることと合わせて、水分混入に起因する腐食発生や不純物混入を予防している。
【0040】
また、排ガスから二酸化炭素を回収する際のコストを上昇させる主たる要因は、建設コストと電力や蒸気などのユーティリティー消費量である。上記二酸化炭素分離回収システム1では、低温プロセスや前処理としての脱水処理を吸着法で実現しているため、ステンレス材や高級炭素鋼材の一切を要しない。また、低圧プロセスを採用しているので、回転機等の電力量を抑制できる。さらに、再生用に蒸気等を使用せず、吸着工程と脱着工程における等量の吸着熱と脱着熱を間接的に熱交換させることにより自己生産できるので、ヒートロスに関するものを除き、外部からの入熱を要しない。これらにより、建設コストを抑え、ユーティリティー使用量を抑制することにより、製品ガス量当たりの生産コストを大幅に低減できる。
【0041】
排ガス中のCO2を効率的に回収し、食品添加用などの需要と組み合わせることができれば、CO2排出量を削減し地球環境問題に直接的に資することが可能である。また、例えば将来的にH2源とのカップリング技術の進展によっては燃料化も期待され、CO2削減と再生可能エネルギーの生産が同時に可能となり、貴重なカーボン源として上記二酸化炭素分離回収システム1の付加価値は飛躍的に高まることが期待される。
【0042】
なお、上記二酸化炭素分離回収システム1においては、CO2分離回収設備30に回収されている二酸化炭素を回収ガスブロワ7によって取り出し、精製設備40へ送り込んでいるが、吸着剤に吸着されている二酸化炭素が離脱しにくい場合には、回収ガスブロワ7に真空引きさせてもよいし或いは回収ガスブロワ7の排気の一部をCO2分離回収設備30の吸着塔の上流側に戻して回収ガスを循環させてもよい。
【0043】
ここで、上述した二酸化炭素分離回収システム1の水吸着塔ユニット22A,BやCO2吸着塔ユニット31A,Bは、以下のような吸着塔で構成されている。図6は、上述した水吸着塔ユニット22A,BやCO2吸着塔ユニット31A,Bを構成する、本願発明の実施形態に係る吸着塔50の外観斜視図である。吸着塔50は、図6に示すように、シェル部51とチャンネル部52,53で構成されている。チャンネル部52には吸着剤と熱交換を行う熱媒としての水を流すための配管を接続するフランジが設けられ、また、シェル部51にも原料排ガスを流すための配管を接続するフランジが設けられている。
【0044】
図7は、吸着塔50の内部構造図である。吸着塔50は、図7に示すように、胴側の流路である反応室54内をガスが流れ、管側の流路であるフィンチューブ56内や水室55内を水が流れる、いわゆるシェル&チューブ型の熱交換器であり、各反応室54や水室55は方形に形成されている。
【0045】
各反応室54には既述の合成ゼオライトや活性アルミナ、セラミックス、多孔質ガラス、多孔質樹脂等の物理吸着剤(モレキュラシーブス)が充填されることで、ここを通過する原料排ガス中の水あるいはCO2が吸着されるようになる。物理吸着剤の充填や回収はシェル部51の上側部分や下側部分に設けられたフランジから行なう。各反応室54は、フィンチューブ56を支持する支持板57によって仕切られているが、この支持板57は単にフィンチューブ56を支持する構造物であり、各反応室54同士を隔離する程の気密性は無い。
【0046】
水室55は、管板58によって反応室54と隔離されたチャンネル部52,53内に設けられる空間であり、水を各チューブへ分流したり各チューブを流れる水が合流したりする。
【0047】
図8は、吸着塔50内のガスや水の流れを示す図である。各反応室54に流入したガスは物理吸着剤59と接触して水あるいはCO2が除去された後に下側から流出する。また、水室55へ流入した水は、各フィンチューブ56へ流れる。
【0048】
ここで、この吸着塔50は方形になっているのでガスの吸着塔50内におけるガス流路の大きさは上から下まで略一定であり、各反応室54内のガスの流れは図9に示すようになる。すなわち、各反応室54内の流路方向に対する断面積が上部から下部まで略一定なので、ガスの流速は反応室に流入してから流出するまで概ね一定となり、流速が局部的に変化することが無い。このため、例えば図10に示すように、通常多く用いられる円筒状の熱交換器を吸着塔とした場合に比べると、ホットスポットやコールドスポットが生じにくくなり、水やCO2の吸脱着作用が部位毎にばらつくのを抑制できる。吸着剤を用いてガス中の特定成分を吸着する場合は、ガスの流速を一定値以下に制限することが求められるため、ガスの流速が部位毎にばらつくとこの制限を満たせない部分が生じやすいが、本実施形態のように方形の吸着塔とすればこのような流速のばらつきを抑えることができる。また、吸着能力を高めるには吸着塔の容積や伝熱面積を如何に多く確保するかが問題となるが、円筒状の熱交換器を用いると円筒という形状上、無駄な設置スペースが不可避的に生ずるのに対し、方形であれば設置スペースを最大限有効活用できる。
【0049】
このように、熱交換器と吸着塔とが一体化したことにより、吸着塔内を直接冷却あるいは加熱することができるので、再生の際の熱源を比較的低い温度領域にすることができる。また、熱交換器内に吸着剤を充填する構造を採用しているので吸着剤と伝熱管との間で熱交換がしやすく、ガス側の伝熱係数を上げることができる。よって、熱交換器を吸着塔の上流側に別途設ける場合に比べて伝熱面積を低減することが可能である。
【0050】
なお、PSA方式を採る場合、吸着塔には圧力容器としての高い耐圧性能が要求されるため、本実施形態のような方形の形状を採用することが難しくなる。しかしながら、上記二酸化炭素分離回収システム1のようにTSA方式を採る場合、吸着塔に求められる耐圧性能はPSA方式に比べて緩いため、本実施形態のような方形の形状を容易に採用する事ができる。もっとも、本実施形態に係る吸着塔50の製作にあたって高強度の板金を用い、PSA方式にも耐えるものとしてもよい。
【0051】
上記のように構成される吸着塔50で水吸着塔ユニット22A,BやCO2吸着塔ユニット31A,Bを構成すれば、例えば、次のようなことができる。すなわち、水吸着塔ユニット22A,BやCO2吸着塔ユニット31A,Bを方形の吸着塔50で構成すれば、吸着工程にある吸着塔と再生工程にある吸着塔とを面接触させることができ、吸着作用で生ずる熱を再生のために有効利用することができる。
【0052】
また、上記実施形態に係る吸着塔50であれば、原料排ガスや吸着剤を出し入れする開口と管板58とが別々の箇所に設けられているので、チューブ56の配置に制約がなく、容積当たりの伝熱面積を大きく取ることができる。更に、吸着塔50の外形が方形なので断熱材の取り付けも容易であり、保温性能を高めやすい。
【0053】
なお、上記実施形態に係る吸着塔50は、支持板57によって4つの反応室54に仕切られていたが、シェル部51の長さが短い場合には不要である。その場合、シェル部51に設けられる、原料排ガスを流すための配管を接続するフランジの数も減る。
【0054】
また、上記実施形態に係る吸着塔50は、原料排ガスを上から下へ向けて流し、水を下から上へ流すことで温度勾配が概ね一定となるように配慮していたが、例えば、原料排ガスを下から上へ向けて流し、水を上から下へ流すようにしてもよいし、場合によっては排ガスと水を並行流としてもよい。
【0055】
ところで、上記二酸化炭素分離回収システム1の水吸着塔ユニット22A,BやCO2吸着塔ユニット31A,Bは、小規模なシステム構成とする場合、以下に示すような吸着塔で構成することも可能である。図11は、上記二酸化炭素分離回収システム1を小規模なシステム構成とする場合に用いることが可能な吸着塔100の外観斜視図である。吸着塔100は、図11に示すように、上下方向に伸びる円筒状のシェル部101を備えており、その上下端面にはフランジ110やジョイント111が設けられている。
【0056】
図12は、吸着塔100の内部構造図である。吸着塔100は、図12に示すように、胴側の流路となる反応室104をガスが流れ、管側の流路となるフィンチューブ106内を水が流れる、いわゆるシェル&チューブ型の熱交換器と同様の構造を有しているが、この吸着塔100には既述した吸着塔50に用いられるようなチャンネル部52に相当する部分が存在しない。この吸着塔100は、ジョイント111同士をフレキシブルチューブ等で相互に連結することで各フィンチューブ106に水が流れるようにし、チャンネル部52を省略している。
【0057】
反応室54には既述の合成ゼオライトや活性アルミナ、セラミックス、多孔質ガラス、多孔質樹脂等の物理吸着剤(モレキュラシーブス)が充填されることで、ここを通過するガス中の水やCO2が吸着されるようになっており、物理吸着剤の充填や回収はシェル部101の上側部分や下側部分に設けられたフランジ110から行なう。
【0058】
このように構成される吸着塔100であれば、チャンネル部が設けられていないので水の保有量が少なくなり、吸着塔の工程を熱的にスムーズに切り替えることができる。なお、図11,12は吸着塔を縦に設置することを念頭においた場合を示したものであるが、吸着塔を横置きとし、排ガスを流す開口とは別に吸着剤充填口と取出口をシェルの上部と下部にそれぞれ配して、チューブ配置を密集させてもよい。
【符号の説明】
【0059】
50,100・・吸着塔
51,101・・シェル部
52,53・・チャンネル部
54,104・・反応室
55・・水室
56,106・・フィンチューブ
57・・支持板
58・・管板
59・・物理吸着剤
110・・フランジ
111・・ジョイント
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスに含まれる特定の成分を吸着する吸着塔であって、
前記特定の成分を吸着する吸着剤が内部に充填されるシェルと、
前記シェルの内部に設けられ、前記吸着剤と熱交換を行う熱媒が流れる複数のチューブと、
前記シェルを上下に貫通するように設けられ、該シェル内に前記ガスを流通させると共に前記吸着剤の充填および回収を可能にする開口部と、を備え、
前記複数のチューブは、前記シェルの内部を横断するように配設されており、
前記シェルの内部は、前記開口を介して流通する前記ガスが上または下へ流れると共に、該ガスの流路の大きさが上から下まで略一定である、
吸着塔。
【請求項2】
前記シェルの内部は、該シェルが方形の筐体で構成されることにより、該ガスの流路の大きさが上から下まで略一定となる、
請求項1に記載の吸着塔。
【請求項3】
前記シェルの内部は、複数の部屋に区画されており、
前記開口部は、前記シェル内の部屋毎に該シェルを上下に貫通するように設けられ、該シェル内の各部屋に前記ガスを流通させると共に前記吸着剤の部屋毎の充填および回収を可能にする、
請求項1または2に記載の吸着塔。
【請求項4】
ガスに含まれる特定の成分を吸着する吸着塔であって、
前記特定の成分を吸着する吸着剤が充填されるシェルと、
前記シェルの両端に設けられた管板部分に接合されて、該シェルの内部に配設される複数のチューブと、
前記シェルの前記管板部分に設けられる、前記ガスが流通する開口部と、を備え、
前記複数のチューブは、前記シェルの外側で各チューブの端部に連結された管路を介して供給される冷媒が通液される、
吸着塔。
【請求項1】
ガスに含まれる特定の成分を吸着する吸着塔であって、
前記特定の成分を吸着する吸着剤が内部に充填されるシェルと、
前記シェルの内部に設けられ、前記吸着剤と熱交換を行う熱媒が流れる複数のチューブと、
前記シェルを上下に貫通するように設けられ、該シェル内に前記ガスを流通させると共に前記吸着剤の充填および回収を可能にする開口部と、を備え、
前記複数のチューブは、前記シェルの内部を横断するように配設されており、
前記シェルの内部は、前記開口を介して流通する前記ガスが上または下へ流れると共に、該ガスの流路の大きさが上から下まで略一定である、
吸着塔。
【請求項2】
前記シェルの内部は、該シェルが方形の筐体で構成されることにより、該ガスの流路の大きさが上から下まで略一定となる、
請求項1に記載の吸着塔。
【請求項3】
前記シェルの内部は、複数の部屋に区画されており、
前記開口部は、前記シェル内の部屋毎に該シェルを上下に貫通するように設けられ、該シェル内の各部屋に前記ガスを流通させると共に前記吸着剤の部屋毎の充填および回収を可能にする、
請求項1または2に記載の吸着塔。
【請求項4】
ガスに含まれる特定の成分を吸着する吸着塔であって、
前記特定の成分を吸着する吸着剤が充填されるシェルと、
前記シェルの両端に設けられた管板部分に接合されて、該シェルの内部に配設される複数のチューブと、
前記シェルの前記管板部分に設けられる、前記ガスが流通する開口部と、を備え、
前記複数のチューブは、前記シェルの外側で各チューブの端部に連結された管路を介して供給される冷媒が通液される、
吸着塔。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−104489(P2011−104489A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260564(P2009−260564)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(502056318)エネルギープロダクト 株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(502056318)エネルギープロダクト 株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
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