吻合用部材
【課題】管状の生体組織を簡易な作業で、より確実に安定した接合状態に吻合する。
【解決手段】一対の管状の生体組織2,3の端部2a,3a開口に挿入可能な外形寸法の筒状に形成され、外側から半径方向に加えられる外力により、内部開口を閉塞し内面を密着させるまで潰れることができる柔軟性と、コラーゲンの融点より高い温度に対する耐熱性と、加熱後外力が解放されることで、閉塞されていた内部開口を開通させることができる弾性と、導電性とを備える生体親和性材料からなる吻合用部材1を提供する。
【解決手段】一対の管状の生体組織2,3の端部2a,3a開口に挿入可能な外形寸法の筒状に形成され、外側から半径方向に加えられる外力により、内部開口を閉塞し内面を密着させるまで潰れることができる柔軟性と、コラーゲンの融点より高い温度に対する耐熱性と、加熱後外力が解放されることで、閉塞されていた内部開口を開通させることができる弾性と、導電性とを備える生体親和性材料からなる吻合用部材1を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の管状の生体組織を吻合するための吻合用部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、腸管や血管等の管状の生体組織を吻合するには、2つの生体組織の端部開口どうしを接合させて、接合部を縫合していた。しかしながら、接合部の縫合作業は繁雑であり、特に、内視鏡的に行うことは困難である。
【0003】
このような煩雑な縫合作業を行うことなく生体組織を吻合する技術として、冠状動脈の壁面に内胸動脈を接合する場合に、接合部に超音波エネルギを付与することにより、接合部を溶着する吻合技術も知られている(例えば、特許文献1参照。)。さらに、2つの血管の突き合わせ部の半径方向外方に配置され、加熱により収縮させることで、血管の外周面に密着させ、その摩擦力によって血管を接合状態に維持する吻合用形状記憶材料が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】特許第3766520号明細書
【特許文献2】特許第3503045号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の吻合技術では、管状の生体組織どうしを重ね合わせた状態で挟み込むことができる用途には適用できるものの、1回に吻合できる範囲は周方向の一部に限られるので、管状の生体組織の端部開口をつきあわせた状態で全周にわたって接合することには、周方向に接合部をずらしながら複数回にわたって作業を行うことが必要となって煩雑である。
また、特許文献2の吻合用形状記憶材料では、加熱により収縮させるだけで、突き合わせ状態の血管の外周面に密着させられて全周にわたって一度に接合することができるので簡易ではあるものの、摩擦のみに頼っているため、接合力が弱く、安定した接合状態を維持することが困難であるという不都合がある。
【0006】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、管状の生体組織を簡易な作業で、より確実に安定した接合状態に吻合することができる吻合用部材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、一対の管状の生体組織の端部開口に挿入可能な外形寸法の筒状に形成され、外側から半径方向に加えられる外力により、内部開口を閉塞し内面を密着させるまで潰れることができる柔軟性と、コラーゲンの融点より高い温度に対する耐熱性と、加熱後外力が解放されることで、閉塞されていた内部開口を開通させることができる弾性と、導電性とを備える生体親和性材料からなる吻合用部材を提供する。
【0008】
本発明に係る吻合用部材を用いて一対の管状の生体組織を吻合するには、まず、一対の管状の生体組織の端部開口にそれぞれ部分的に挿入して、生体組織の端部開口を突き合わせ、あるいは端部どうしを半径方向に重ね合わせる。次に、この状態で、その接合予定部の近傍に半径方向に外力を加えて生体組織および吻合用部材を、その内部開口が閉塞されて内面が密着するまで平板状に押し潰す。本発明に係る吻合用部材は、柔軟性を有しているので、平板状に押し潰されても破断することなくその形態を維持することができる。
【0009】
そして、この状態で、厚さ方向に通電する。本発明に係る吻合用部材は、導電性を有しているので、生体組織および吻合用部材の厚さ方向に電流が流れ、その電流値の大きさと生体組織の抵抗値の大きさとに応じた大きさで発熱する。生体組織で発生する発熱量を予めコラーゲンの融点近くに設定しておくことにより、コラーゲンを溶融させながら、生体組織の炭化を防止することができる。
【0010】
本発明の吻合用部材は、コラーゲンの融点より高い温度に対する耐熱性を有しているので、加熱によっても変性することなくその性状を維持することができる。これにより、コラーゲンの融点まで加熱し、生体組織に含有されているコラーゲンを溶融させ、吻合用部材と生体組織との間に染み出させることにより吻合用部材の外周面と生体組織の内面とを接着する。
【0011】
この後に、通電を停止し、加えていた外力を解放する。本発明の吻合用部材は、弾性を有しているので、平坦に潰していた外力が解放されると、吻合部材の弾性によって管状の生体組織が押し広げられ、閉塞されていた内部開口が開通する。これにより、一対の管状の生体組織が吻合用部材を介して吻合され、連通した管状の生体組織として一体化させることができる。
【0012】
すなわち、本発明によれば、一対の管状の生体組織の接合部に挿入し、半径方向に外力を加えて潰した状態で通電した後に外力を解放するだけで、一つの管状の生体組織を極めて簡易に吻合することができる。吻合された生体組織は、摩擦力のみによるのではなく、コラーゲンを用いて吻合用部材に接着されるので、より安定した状態に吻合することができる。
【0013】
上記発明においては、生体親和性ポリマーに電気活性ポリマーを複合し、あるいは電気活性物質をドーピングした材料により構成されていることとしてもよい。
このようにすることで、必要な柔軟性、耐熱性、弾性および導電性を併せ持つ吻合用部材を簡易に構成することができる。
【0014】
また、上記発明においては、吻合される生体組織より高い導電性を有することが好ましい。このようにすることで、通電による発熱を生体組織において多く発生させることができ、少ない電力でより容易に吻合することができる。
【0015】
また、上記発明においては、生分解性材料からなることが好ましい。
このようにすることで、経時的に生体に吸収されて消滅するので、体内に異物を残すことなく、吻合部分を修復することができる。
【0016】
また、上記発明においては、外周面の少なくとも一部にコラーゲンが塗布されていることとしてもよい。
このようにすることで、生体組織内におけるコラーゲン含有量が少ない場合においても、外周面に塗布されているコラーゲンにより補われて、生体組織と吻合用部材の外周面とをより確実に接着させることができる。この場合に、コラーゲンは、外力がかけられて通電される領域に塗布されていれば足り、外周面全面に塗布されている必要はない。
【0017】
また、上記発明においては、外周面の少なくとも一部にエラスチンが塗布されていることとしてもよい。
このようにすることで、生体組織内におけるエラスチン含有量が少ない場合においても、外周面に塗布されているエラスチンにより補われて、加熱後における生体組織の柔軟性をより高く維持し、吻合用部材の内部開口の開通を補助することができる。この場合に、エラスチンは、外力がかけられて通電される領域に塗布されていれば足り、外周面全面に塗布されている必要はない。
【0018】
また、上記発明においては、外周面の長さ方向の途中位置に全周にわたって形成された段差を備えることとしてもよい。
このようにすることで、外周面に設けられた段差の位置において、一対の生体組織の接合端部を半径方向に容易に重ね合わせることができる。すなわち、段差における半径方向内側に配される部分に一方の生体組織の接合端部を配置し、半径方向外側に配される側から他方の生体組織の接合端部を軸方向に移動させることにより、2つの管状の生体組織の接合端部どうしを容易に半径方向に重ね合わせることができる。
【0019】
また、上記発明においては、内周面が、抗血栓性材料により被覆されていることとしてもよい。
このようにすることで、血管に適用しても、吻合部に血栓を生じ難くすることができる。抗血栓性材料としては、コラーゲンやエラスチンのような細胞外基質を挙げることができる。
【0020】
また、上記発明においては、光の照射により径寸法を収縮させる形状記憶ポリマーからなることとしてもよい。
このようにすることで、光を照射して径寸法を管状の生体組織の内径より小さく収縮させた状態で、生体組織の端部開口に挿入し、その後、光を遮断することで、径方向に膨張させることにより、吻合用部材を生体組織の内壁に密着させることができる。そして、加圧、通電および解放することにより、吻合用部材と生体組織とを全周にわたって接着し、管状の生体組織どうしを吻合することができる。したがって、生体組織の挿入作業を容易にすることができる。また、吻合用部材を拡大させることで、管状の生体組織の内面において吻合用部材によって発生する段差を低減するので、血管に適用しても血栓の発生を抑えることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る吻合用部材によれば、管状の生体組織を簡易な作業で、より確実に安定した接合状態に吻合することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の一実施形態に係る吻合用部材1について、図1〜図9を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る吻合用部材1は、図1に示されるように、筒状部材であって、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンを複合し、あるいはカーボン粒子をドーピングしたポリ乳酸系ポリマーにより構成されている。
【0023】
このように構成された本実施形態に係る吻合用部材1は、ポリ乳酸系ポリマーにより構成されることによって、図2(a),(b)に示されるように、外力により半径方向に潰されて、その内部開口を閉塞し内面を密着させても破断しない柔軟性を有している。また、本実施形態に係る吻合用部材1は、ポリ乳酸系ポリマーにより構成されることにより、コラーゲンの融点より高い温度に加熱されても変性しない耐熱性を有している。
【0024】
また、本実施形態に係る吻合用部材1は、ポリ乳酸系ポリマーにより構成されることにより、外力により潰れた状態でコラーゲンの融点より高い温度に加熱された後に外力を解放すると、閉塞していた内部開口を開通させるように復元することができる弾性を有している。
さらに、本実施形態に係る吻合用部材1は、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンを複合し、あるいはカーボン粒子をドーピングすることにより、導電性を有している。本実施形態においては、例えば、吻合しようとする生体組織よりも十分に低い抵抗値となるように十分に高い導電性を有している。
【0025】
このように構成された本実施形態に係る吻合用部材1の作用について、以下に説明する。
本実施形態に係る吻合用部材1を用いて、管状の生体組織、例えば、腸管2,3を吻合する場合について説明する。
【0026】
図3に示されるように、吻合すべき一対の腸管2,3の接合端部2a,3aの開口に、本実施形態に係る吻合用部材1を挿入し、図4に示されるように、一対の腸管2,3の接合端部2a,3aを突き合わせた状態とする。この状態で、図4に示されるように、接合端部2a,3a近傍の半径方向外方に、加圧用の一対の電極4を近接させ、図5に示されるように外力Fで腸管2,3および吻合用部材1を半径方向に挟み込む。
【0027】
吻合用部材1は、柔軟性を有しているので、図5に示されるように、外力Fによってその内部開口が閉塞され内面が密着するまで潰れることができる。この状態で、図6に示されるように、電極4間に電圧を加えることにより通電する。吻合用部材1は導電性を有しているので、電極4間には、腸管2,3および吻合用部材1を貫通して電流Iが流れ、腸管2,3の抵抗値の大きさと電流Iの大きさの2乗との積に比例した発熱量で発熱するようになる。
【0028】
この場合において、本実施形態に係る吻合用部材1は、腸管2,3の抵抗値よりも十分に小さい抵抗値となるように高い導電性を有しているので、通電により吻合用部材1において発生する熱量は小さく、エネルギが無駄に浪費されることがない。また、本実施形態に係る吻合用部材1は、コラーゲンの溶融温度より高い耐熱性を有しているので、コラーゲンが溶融する温度まで加熱させられても変性せずにその性質を維持することができる。
【0029】
そして、このとき、腸管2,3における発熱により、コラーゲンの溶融温度より若干高い温度となるように、電極4間に加える電圧を調節しておくことにより、腸管2,3内に含有されている細胞外基質であるコラーゲンを溶融させて流動し易くすることができる。そして、発熱により流動するコラーゲンは、腸管2,3と吻合用部材1との隙間に浸透するようになる。この現象は、図7に示されるように、吻合用部材1の全周にわたって発生するので、流動するコラーゲンが吻合用部材1の外周面全周に浸透する。
【0030】
この状態から、電極4に加えていた電圧を停止し、図8に示されるように、電極4に加えていた外力Fを解除する。吻合用部材1は弾性を有しているので、外力Fが解除されると、半径方向外方に広がるように復元し、閉塞されていた内部開口が開通する。
【0031】
すなわち、吻合用部材1の外周面においては、腸管2,3と吻合用部材1との間には、コラーゲンが浸透しているので、それが接着剤となって腸管2,3と吻合用部材1とが接着されている。一方、吻合用部材1の内面においては、接着剤となるコラーゲンは存在していないので、密着していた内面どうしは接着されず、外力Fが解除されると吻合用部材1の弾性によって離間し、開口するようになる。
【0032】
これにより、図9に示されるように、電極4により挟まれていた、腸管2,3の接合端部近傍の領域Aと、その半径方向内方に配置されている吻合用部材1とが全周にわたって接着された状態で、一対の腸管2,3の接合端部2a,3aが突き合わせ状態に接合され、一体化させられる。
すなわち、本実施形態に係る吻合用部材1によれば、一対の電極4によって所定の外力Fにより挟みつつ電圧を加えるだけで、一対の管状の生体組織である腸管2,3を、一度に簡単に吻合することができる。
【0033】
その結果、縫合による従来の吻合や、周方向に複数回にわたって超音波を加えることによる吻合と比較して、その作業を大幅に簡易化することができるという利点がある。特に、エネルギ治療器を取り回すための空間の少ない内視鏡的手術において、腸管2,3を半径方向に1回挟むだけのスペースを確保すれば足りるので、その吻合作業の繁雑さを大幅に低減することができるという利点がある。
【0034】
また、本実施形態に係る吻合用部材1によれば、腸管2,3の内壁にコラーゲンによって接着されるので、摩擦のみによって固定していた従来の吻合用部材と比較して、その吻合状態を安定して維持することができるという利点がある。さらに、本実施形態に係る吻合用部材1によれば、生体分解性の高いポリ乳酸系ポリマーにより構成されているので、吻合手術後は、経時的に分解されて消滅するようになる。すなわち、吻合された領域Aが相互に接合して治癒する頃には、本実施形態に係る吻合用部材1が消滅することにより、体内に異物を残さなくて済むという利点もある。
【0035】
なお、本実施形態に係る吻合用部材1においては、図10に示されるように、外周面の少なくとも一部にコラーゲンBが塗布されていることとしてもよい。このようにすることで、吻合しようとする生体組織内に含有されているコラーゲンが少ない場合においても、生体組織内面と吻合用部材1の外周面とをより確実に接着することができる。なお、コラーゲンに代えて、あるいは、コラーゲンとともにエラスチンを塗布しておくことにしてもよい。このようにすることで、生体組織内に含有されているエラスチンが少ない場合においても、生体組織にエラスチンを供給して柔軟性を維持することができる。
【0036】
また、本実施形態においては、単なる円筒状の吻合用部材1に代えて、図11に示されるように、外周面の長さ方向の途中位置に全周にわたって段差5を備えることとしてもよい。図11に示される例では、段差5を長さ方向の中央に設け、一端側に向かって漸次先細になるテーパ面6を有している。
【0037】
このようにすることで、図11(a)に示されるように、吻合用部材1の両端から腸管2,3の接合端部2a,3aを近接させて挿入していくと、図11(b)に示されるように、一方の腸管3がテーパ面6によって径寸法を拡大させられつつ挿入されていき、段差5の下側に配置された他方の腸管2の半径方向外方に重なるように配置される。すなわち、吻合用部材1を腸管2,3に挿入する作業を行うだけで、両腸管2,3の接合端部2a,3aを半径方向に重ね合わせた状態に配置することができる。
【0038】
また、本実施形態においては、図12に示されるように、吻合用部材1の材料として形状記憶ポリマーを採用してもよい。例えば、図12(a)に示されるように、紫外光の照射により収縮する円筒状の形状記憶ポリマーを使用することで、図12(b)に示されるように、腸管内への挿入を容易にし、腸管内に挿入された後には紫外光の照射が停止されることにより、半径方向外方に拡大させて、その外面を腸管の内面に密着させることができる。図中、符号7は紫外光Cを出射する光ファイバ等の照明手段である。
この状態で、上述したような、加圧、通電および解放を行うことにより、吻合用部材1と腸管2,3とを接着し、さらに容易に吻合することができる。
【0039】
また、本実施形態においては、ポリ乳酸系ポリマーを採用することとしたが、これに代えて、上述した柔軟性、弾性、導電性および耐熱性を備える生体親和性材料であれば、任意の材料を使用することとしてもよい。また、体内に留置することが許容される部位には、生分解性材料を用いなくてもよい。
【0040】
さらに、吻合する管状の生体組織としては、腸管2,3に限定されるものではなく、他の消化管、血管あるいは尿管等の任意の管状の生体組織に適用することができる。特に、血管のように、吻合用部材1の表面における血栓の発生が懸念される部位に適用される場合には、表面全体あるいは血管内に露出する表面全体を抗血栓性の材料、例えば、コラーゲンやエラスチンによって被覆することとすればよい。また、抗血栓性の材料によって吻合用部材1を構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係る吻合用部材を示す斜視図である。
【図2】図1の吻合用部材の柔軟性を説明する図であって、(a)外力を加える前の形状、(b)外力を加えた後の形状をそれぞれ示す斜視図である。
【図3】図1の吻合用部材を用いた一対の腸管の吻合の手順を示す縦断面図である。
【図4】図3の状態から吻合用部材を腸管の端部開口に挿入し、腸管の接合端部どうしを突き当てた状態を示す縦断面図である。
【図5】図4の状態から腸管および吻合用部材を半径方向に電極により加圧した状態を示す縦断面図である。
【図6】図5の状態から電極により腸管および吻合用部材に通電した状態を示す縦断面図である。
【図7】図6の状態を吻合用部材の軸方向から見た横断面図である。
【図8】図7の状態から通電を停止し、加圧を解除した状態を示す横断面図である。
【図9】図1の吻合用部材により吻合されて一体化された一対の腸管を示す縦断面図である。
【図10】図1の吻合用部材の第1の変形例を示す斜視図である。
【図11】図1の吻合用部材の第2の変形例であって、(a)吻合用部材を腸管内へ挿入する前の状態、(b)吻合用部材を腸管内へ挿入した状態をそれぞれ示す縦断面図である。
【図12】図1の吻合用部材の第3の変形例であって、形状記憶ポリマーからなり、(a)腸管内への挿入前の状態、(b)挿入後の状態、(c)紫外光の遮断により半径方向外方に拡大した状態をそれぞれ示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0042】
B コラーゲン
1 吻合用部材
2,3 腸管(生体組織)
2a,3a 接合端部(端部)
5 段差
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の管状の生体組織を吻合するための吻合用部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、腸管や血管等の管状の生体組織を吻合するには、2つの生体組織の端部開口どうしを接合させて、接合部を縫合していた。しかしながら、接合部の縫合作業は繁雑であり、特に、内視鏡的に行うことは困難である。
【0003】
このような煩雑な縫合作業を行うことなく生体組織を吻合する技術として、冠状動脈の壁面に内胸動脈を接合する場合に、接合部に超音波エネルギを付与することにより、接合部を溶着する吻合技術も知られている(例えば、特許文献1参照。)。さらに、2つの血管の突き合わせ部の半径方向外方に配置され、加熱により収縮させることで、血管の外周面に密着させ、その摩擦力によって血管を接合状態に維持する吻合用形状記憶材料が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】特許第3766520号明細書
【特許文献2】特許第3503045号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の吻合技術では、管状の生体組織どうしを重ね合わせた状態で挟み込むことができる用途には適用できるものの、1回に吻合できる範囲は周方向の一部に限られるので、管状の生体組織の端部開口をつきあわせた状態で全周にわたって接合することには、周方向に接合部をずらしながら複数回にわたって作業を行うことが必要となって煩雑である。
また、特許文献2の吻合用形状記憶材料では、加熱により収縮させるだけで、突き合わせ状態の血管の外周面に密着させられて全周にわたって一度に接合することができるので簡易ではあるものの、摩擦のみに頼っているため、接合力が弱く、安定した接合状態を維持することが困難であるという不都合がある。
【0006】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、管状の生体組織を簡易な作業で、より確実に安定した接合状態に吻合することができる吻合用部材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、一対の管状の生体組織の端部開口に挿入可能な外形寸法の筒状に形成され、外側から半径方向に加えられる外力により、内部開口を閉塞し内面を密着させるまで潰れることができる柔軟性と、コラーゲンの融点より高い温度に対する耐熱性と、加熱後外力が解放されることで、閉塞されていた内部開口を開通させることができる弾性と、導電性とを備える生体親和性材料からなる吻合用部材を提供する。
【0008】
本発明に係る吻合用部材を用いて一対の管状の生体組織を吻合するには、まず、一対の管状の生体組織の端部開口にそれぞれ部分的に挿入して、生体組織の端部開口を突き合わせ、あるいは端部どうしを半径方向に重ね合わせる。次に、この状態で、その接合予定部の近傍に半径方向に外力を加えて生体組織および吻合用部材を、その内部開口が閉塞されて内面が密着するまで平板状に押し潰す。本発明に係る吻合用部材は、柔軟性を有しているので、平板状に押し潰されても破断することなくその形態を維持することができる。
【0009】
そして、この状態で、厚さ方向に通電する。本発明に係る吻合用部材は、導電性を有しているので、生体組織および吻合用部材の厚さ方向に電流が流れ、その電流値の大きさと生体組織の抵抗値の大きさとに応じた大きさで発熱する。生体組織で発生する発熱量を予めコラーゲンの融点近くに設定しておくことにより、コラーゲンを溶融させながら、生体組織の炭化を防止することができる。
【0010】
本発明の吻合用部材は、コラーゲンの融点より高い温度に対する耐熱性を有しているので、加熱によっても変性することなくその性状を維持することができる。これにより、コラーゲンの融点まで加熱し、生体組織に含有されているコラーゲンを溶融させ、吻合用部材と生体組織との間に染み出させることにより吻合用部材の外周面と生体組織の内面とを接着する。
【0011】
この後に、通電を停止し、加えていた外力を解放する。本発明の吻合用部材は、弾性を有しているので、平坦に潰していた外力が解放されると、吻合部材の弾性によって管状の生体組織が押し広げられ、閉塞されていた内部開口が開通する。これにより、一対の管状の生体組織が吻合用部材を介して吻合され、連通した管状の生体組織として一体化させることができる。
【0012】
すなわち、本発明によれば、一対の管状の生体組織の接合部に挿入し、半径方向に外力を加えて潰した状態で通電した後に外力を解放するだけで、一つの管状の生体組織を極めて簡易に吻合することができる。吻合された生体組織は、摩擦力のみによるのではなく、コラーゲンを用いて吻合用部材に接着されるので、より安定した状態に吻合することができる。
【0013】
上記発明においては、生体親和性ポリマーに電気活性ポリマーを複合し、あるいは電気活性物質をドーピングした材料により構成されていることとしてもよい。
このようにすることで、必要な柔軟性、耐熱性、弾性および導電性を併せ持つ吻合用部材を簡易に構成することができる。
【0014】
また、上記発明においては、吻合される生体組織より高い導電性を有することが好ましい。このようにすることで、通電による発熱を生体組織において多く発生させることができ、少ない電力でより容易に吻合することができる。
【0015】
また、上記発明においては、生分解性材料からなることが好ましい。
このようにすることで、経時的に生体に吸収されて消滅するので、体内に異物を残すことなく、吻合部分を修復することができる。
【0016】
また、上記発明においては、外周面の少なくとも一部にコラーゲンが塗布されていることとしてもよい。
このようにすることで、生体組織内におけるコラーゲン含有量が少ない場合においても、外周面に塗布されているコラーゲンにより補われて、生体組織と吻合用部材の外周面とをより確実に接着させることができる。この場合に、コラーゲンは、外力がかけられて通電される領域に塗布されていれば足り、外周面全面に塗布されている必要はない。
【0017】
また、上記発明においては、外周面の少なくとも一部にエラスチンが塗布されていることとしてもよい。
このようにすることで、生体組織内におけるエラスチン含有量が少ない場合においても、外周面に塗布されているエラスチンにより補われて、加熱後における生体組織の柔軟性をより高く維持し、吻合用部材の内部開口の開通を補助することができる。この場合に、エラスチンは、外力がかけられて通電される領域に塗布されていれば足り、外周面全面に塗布されている必要はない。
【0018】
また、上記発明においては、外周面の長さ方向の途中位置に全周にわたって形成された段差を備えることとしてもよい。
このようにすることで、外周面に設けられた段差の位置において、一対の生体組織の接合端部を半径方向に容易に重ね合わせることができる。すなわち、段差における半径方向内側に配される部分に一方の生体組織の接合端部を配置し、半径方向外側に配される側から他方の生体組織の接合端部を軸方向に移動させることにより、2つの管状の生体組織の接合端部どうしを容易に半径方向に重ね合わせることができる。
【0019】
また、上記発明においては、内周面が、抗血栓性材料により被覆されていることとしてもよい。
このようにすることで、血管に適用しても、吻合部に血栓を生じ難くすることができる。抗血栓性材料としては、コラーゲンやエラスチンのような細胞外基質を挙げることができる。
【0020】
また、上記発明においては、光の照射により径寸法を収縮させる形状記憶ポリマーからなることとしてもよい。
このようにすることで、光を照射して径寸法を管状の生体組織の内径より小さく収縮させた状態で、生体組織の端部開口に挿入し、その後、光を遮断することで、径方向に膨張させることにより、吻合用部材を生体組織の内壁に密着させることができる。そして、加圧、通電および解放することにより、吻合用部材と生体組織とを全周にわたって接着し、管状の生体組織どうしを吻合することができる。したがって、生体組織の挿入作業を容易にすることができる。また、吻合用部材を拡大させることで、管状の生体組織の内面において吻合用部材によって発生する段差を低減するので、血管に適用しても血栓の発生を抑えることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る吻合用部材によれば、管状の生体組織を簡易な作業で、より確実に安定した接合状態に吻合することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の一実施形態に係る吻合用部材1について、図1〜図9を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る吻合用部材1は、図1に示されるように、筒状部材であって、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンを複合し、あるいはカーボン粒子をドーピングしたポリ乳酸系ポリマーにより構成されている。
【0023】
このように構成された本実施形態に係る吻合用部材1は、ポリ乳酸系ポリマーにより構成されることによって、図2(a),(b)に示されるように、外力により半径方向に潰されて、その内部開口を閉塞し内面を密着させても破断しない柔軟性を有している。また、本実施形態に係る吻合用部材1は、ポリ乳酸系ポリマーにより構成されることにより、コラーゲンの融点より高い温度に加熱されても変性しない耐熱性を有している。
【0024】
また、本実施形態に係る吻合用部材1は、ポリ乳酸系ポリマーにより構成されることにより、外力により潰れた状態でコラーゲンの融点より高い温度に加熱された後に外力を解放すると、閉塞していた内部開口を開通させるように復元することができる弾性を有している。
さらに、本実施形態に係る吻合用部材1は、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンを複合し、あるいはカーボン粒子をドーピングすることにより、導電性を有している。本実施形態においては、例えば、吻合しようとする生体組織よりも十分に低い抵抗値となるように十分に高い導電性を有している。
【0025】
このように構成された本実施形態に係る吻合用部材1の作用について、以下に説明する。
本実施形態に係る吻合用部材1を用いて、管状の生体組織、例えば、腸管2,3を吻合する場合について説明する。
【0026】
図3に示されるように、吻合すべき一対の腸管2,3の接合端部2a,3aの開口に、本実施形態に係る吻合用部材1を挿入し、図4に示されるように、一対の腸管2,3の接合端部2a,3aを突き合わせた状態とする。この状態で、図4に示されるように、接合端部2a,3a近傍の半径方向外方に、加圧用の一対の電極4を近接させ、図5に示されるように外力Fで腸管2,3および吻合用部材1を半径方向に挟み込む。
【0027】
吻合用部材1は、柔軟性を有しているので、図5に示されるように、外力Fによってその内部開口が閉塞され内面が密着するまで潰れることができる。この状態で、図6に示されるように、電極4間に電圧を加えることにより通電する。吻合用部材1は導電性を有しているので、電極4間には、腸管2,3および吻合用部材1を貫通して電流Iが流れ、腸管2,3の抵抗値の大きさと電流Iの大きさの2乗との積に比例した発熱量で発熱するようになる。
【0028】
この場合において、本実施形態に係る吻合用部材1は、腸管2,3の抵抗値よりも十分に小さい抵抗値となるように高い導電性を有しているので、通電により吻合用部材1において発生する熱量は小さく、エネルギが無駄に浪費されることがない。また、本実施形態に係る吻合用部材1は、コラーゲンの溶融温度より高い耐熱性を有しているので、コラーゲンが溶融する温度まで加熱させられても変性せずにその性質を維持することができる。
【0029】
そして、このとき、腸管2,3における発熱により、コラーゲンの溶融温度より若干高い温度となるように、電極4間に加える電圧を調節しておくことにより、腸管2,3内に含有されている細胞外基質であるコラーゲンを溶融させて流動し易くすることができる。そして、発熱により流動するコラーゲンは、腸管2,3と吻合用部材1との隙間に浸透するようになる。この現象は、図7に示されるように、吻合用部材1の全周にわたって発生するので、流動するコラーゲンが吻合用部材1の外周面全周に浸透する。
【0030】
この状態から、電極4に加えていた電圧を停止し、図8に示されるように、電極4に加えていた外力Fを解除する。吻合用部材1は弾性を有しているので、外力Fが解除されると、半径方向外方に広がるように復元し、閉塞されていた内部開口が開通する。
【0031】
すなわち、吻合用部材1の外周面においては、腸管2,3と吻合用部材1との間には、コラーゲンが浸透しているので、それが接着剤となって腸管2,3と吻合用部材1とが接着されている。一方、吻合用部材1の内面においては、接着剤となるコラーゲンは存在していないので、密着していた内面どうしは接着されず、外力Fが解除されると吻合用部材1の弾性によって離間し、開口するようになる。
【0032】
これにより、図9に示されるように、電極4により挟まれていた、腸管2,3の接合端部近傍の領域Aと、その半径方向内方に配置されている吻合用部材1とが全周にわたって接着された状態で、一対の腸管2,3の接合端部2a,3aが突き合わせ状態に接合され、一体化させられる。
すなわち、本実施形態に係る吻合用部材1によれば、一対の電極4によって所定の外力Fにより挟みつつ電圧を加えるだけで、一対の管状の生体組織である腸管2,3を、一度に簡単に吻合することができる。
【0033】
その結果、縫合による従来の吻合や、周方向に複数回にわたって超音波を加えることによる吻合と比較して、その作業を大幅に簡易化することができるという利点がある。特に、エネルギ治療器を取り回すための空間の少ない内視鏡的手術において、腸管2,3を半径方向に1回挟むだけのスペースを確保すれば足りるので、その吻合作業の繁雑さを大幅に低減することができるという利点がある。
【0034】
また、本実施形態に係る吻合用部材1によれば、腸管2,3の内壁にコラーゲンによって接着されるので、摩擦のみによって固定していた従来の吻合用部材と比較して、その吻合状態を安定して維持することができるという利点がある。さらに、本実施形態に係る吻合用部材1によれば、生体分解性の高いポリ乳酸系ポリマーにより構成されているので、吻合手術後は、経時的に分解されて消滅するようになる。すなわち、吻合された領域Aが相互に接合して治癒する頃には、本実施形態に係る吻合用部材1が消滅することにより、体内に異物を残さなくて済むという利点もある。
【0035】
なお、本実施形態に係る吻合用部材1においては、図10に示されるように、外周面の少なくとも一部にコラーゲンBが塗布されていることとしてもよい。このようにすることで、吻合しようとする生体組織内に含有されているコラーゲンが少ない場合においても、生体組織内面と吻合用部材1の外周面とをより確実に接着することができる。なお、コラーゲンに代えて、あるいは、コラーゲンとともにエラスチンを塗布しておくことにしてもよい。このようにすることで、生体組織内に含有されているエラスチンが少ない場合においても、生体組織にエラスチンを供給して柔軟性を維持することができる。
【0036】
また、本実施形態においては、単なる円筒状の吻合用部材1に代えて、図11に示されるように、外周面の長さ方向の途中位置に全周にわたって段差5を備えることとしてもよい。図11に示される例では、段差5を長さ方向の中央に設け、一端側に向かって漸次先細になるテーパ面6を有している。
【0037】
このようにすることで、図11(a)に示されるように、吻合用部材1の両端から腸管2,3の接合端部2a,3aを近接させて挿入していくと、図11(b)に示されるように、一方の腸管3がテーパ面6によって径寸法を拡大させられつつ挿入されていき、段差5の下側に配置された他方の腸管2の半径方向外方に重なるように配置される。すなわち、吻合用部材1を腸管2,3に挿入する作業を行うだけで、両腸管2,3の接合端部2a,3aを半径方向に重ね合わせた状態に配置することができる。
【0038】
また、本実施形態においては、図12に示されるように、吻合用部材1の材料として形状記憶ポリマーを採用してもよい。例えば、図12(a)に示されるように、紫外光の照射により収縮する円筒状の形状記憶ポリマーを使用することで、図12(b)に示されるように、腸管内への挿入を容易にし、腸管内に挿入された後には紫外光の照射が停止されることにより、半径方向外方に拡大させて、その外面を腸管の内面に密着させることができる。図中、符号7は紫外光Cを出射する光ファイバ等の照明手段である。
この状態で、上述したような、加圧、通電および解放を行うことにより、吻合用部材1と腸管2,3とを接着し、さらに容易に吻合することができる。
【0039】
また、本実施形態においては、ポリ乳酸系ポリマーを採用することとしたが、これに代えて、上述した柔軟性、弾性、導電性および耐熱性を備える生体親和性材料であれば、任意の材料を使用することとしてもよい。また、体内に留置することが許容される部位には、生分解性材料を用いなくてもよい。
【0040】
さらに、吻合する管状の生体組織としては、腸管2,3に限定されるものではなく、他の消化管、血管あるいは尿管等の任意の管状の生体組織に適用することができる。特に、血管のように、吻合用部材1の表面における血栓の発生が懸念される部位に適用される場合には、表面全体あるいは血管内に露出する表面全体を抗血栓性の材料、例えば、コラーゲンやエラスチンによって被覆することとすればよい。また、抗血栓性の材料によって吻合用部材1を構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係る吻合用部材を示す斜視図である。
【図2】図1の吻合用部材の柔軟性を説明する図であって、(a)外力を加える前の形状、(b)外力を加えた後の形状をそれぞれ示す斜視図である。
【図3】図1の吻合用部材を用いた一対の腸管の吻合の手順を示す縦断面図である。
【図4】図3の状態から吻合用部材を腸管の端部開口に挿入し、腸管の接合端部どうしを突き当てた状態を示す縦断面図である。
【図5】図4の状態から腸管および吻合用部材を半径方向に電極により加圧した状態を示す縦断面図である。
【図6】図5の状態から電極により腸管および吻合用部材に通電した状態を示す縦断面図である。
【図7】図6の状態を吻合用部材の軸方向から見た横断面図である。
【図8】図7の状態から通電を停止し、加圧を解除した状態を示す横断面図である。
【図9】図1の吻合用部材により吻合されて一体化された一対の腸管を示す縦断面図である。
【図10】図1の吻合用部材の第1の変形例を示す斜視図である。
【図11】図1の吻合用部材の第2の変形例であって、(a)吻合用部材を腸管内へ挿入する前の状態、(b)吻合用部材を腸管内へ挿入した状態をそれぞれ示す縦断面図である。
【図12】図1の吻合用部材の第3の変形例であって、形状記憶ポリマーからなり、(a)腸管内への挿入前の状態、(b)挿入後の状態、(c)紫外光の遮断により半径方向外方に拡大した状態をそれぞれ示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0042】
B コラーゲン
1 吻合用部材
2,3 腸管(生体組織)
2a,3a 接合端部(端部)
5 段差
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の管状の生体組織の端部開口に挿入可能な外形寸法の筒状に形成され、
外側から半径方向に加えられる外力により、内部開口を閉塞し内面を密着させるまで潰れることができる柔軟性と、コラーゲンの融点より高い温度に対する耐熱性と、加熱後外力が解放されることで、閉塞されていた内部開口を開通させることができる弾性と、導電性とを備える生体親和性材料からなる吻合用部材。
【請求項2】
生体親和性ポリマーに電気活性ポリマーを複合し、あるいは、電気活性物質をドーピングした材料により構成されている請求項1に記載の吻合用部材。
【請求項3】
吻合される生体組織より高い導電性を有する請求項1または請求項2に記載の吻合用部材。
【請求項4】
生分解性材料からなる請求項1から請求項3のいずれかに記載の吻合用部材。
【請求項5】
外周面の少なくとも一部にコラーゲンが塗布されている請求項1から請求項4のいずれかに記載の吻合用部材。
【請求項6】
外周面の少なくとも一部にエラスチンが塗布されている請求項1から請求項5のいずれかに記載の吻合用部材。
【請求項7】
外周面の長さ方向の途中位置に全周にわたって形成された段差を備える請求項1から請求項6のいずれかに記載の吻合用部材。
【請求項8】
内周面が、抗血栓性材料により被覆されている請求項1から請求項7のいずれかに記載の吻合用部材。
【請求項9】
光の照射により径寸法を収縮させる形状記憶ポリマーからなる請求項1から請求項8のいずれかに記載の吻合用部材。
【請求項1】
一対の管状の生体組織の端部開口に挿入可能な外形寸法の筒状に形成され、
外側から半径方向に加えられる外力により、内部開口を閉塞し内面を密着させるまで潰れることができる柔軟性と、コラーゲンの融点より高い温度に対する耐熱性と、加熱後外力が解放されることで、閉塞されていた内部開口を開通させることができる弾性と、導電性とを備える生体親和性材料からなる吻合用部材。
【請求項2】
生体親和性ポリマーに電気活性ポリマーを複合し、あるいは、電気活性物質をドーピングした材料により構成されている請求項1に記載の吻合用部材。
【請求項3】
吻合される生体組織より高い導電性を有する請求項1または請求項2に記載の吻合用部材。
【請求項4】
生分解性材料からなる請求項1から請求項3のいずれかに記載の吻合用部材。
【請求項5】
外周面の少なくとも一部にコラーゲンが塗布されている請求項1から請求項4のいずれかに記載の吻合用部材。
【請求項6】
外周面の少なくとも一部にエラスチンが塗布されている請求項1から請求項5のいずれかに記載の吻合用部材。
【請求項7】
外周面の長さ方向の途中位置に全周にわたって形成された段差を備える請求項1から請求項6のいずれかに記載の吻合用部材。
【請求項8】
内周面が、抗血栓性材料により被覆されている請求項1から請求項7のいずれかに記載の吻合用部材。
【請求項9】
光の照射により径寸法を収縮させる形状記憶ポリマーからなる請求項1から請求項8のいずれかに記載の吻合用部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−301954(P2008−301954A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−150683(P2007−150683)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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