説明

味付け油揚げ用包装容器

【課題】ふっくらとした状態が維持され、全体にわたって調味液が十分に染み込んでいる状態が維持できる味付け油揚げ用包装容器を提供すること。
【解決手段】保形性を有する容器本体2とこれの開放部を塞ぐべく接着されるカバー3とから成り、前記容器本体2とカバー3により形成される空間を仕切り部20で区切って複数列の味付け油揚げの収納部21を構成すると共に、前記収納部21の高さを複数枚積層した状態の味付け油揚げ群9の厚みに略一致させてある。仕切り部20は、その高さを味付け油揚げ群9の厚みに略一致させてあると共に、カバー3に対して非接着である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主に、いなり寿司やうどんに使用される業務用の味付け油揚げを包装するための味付け油揚げ用包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の味付け油揚げは、油揚げを複数枚積層したものを方形のざるに並べてから、調味液(醤油、砂糖及び化学調味料を主成分とする)を満たした釜で煮て味付けし、積層した状態のまま取り出して袋詰めして真空包装するようにしている(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかしながら、この方法による袋詰めでは、味付け油揚げに対して厚み方向に挟圧力が作用することから、油揚げのふっくらとした状態を保てない上、染み込んでいた調味液が油揚げの外に出てしまって味が落ちてしまうという問題があった。
【0004】
したがって、味付け油揚げを取り扱う業界では、ふっくらとした状態が維持され、全体にわたって調味液が十分に染み込んでいる状態が維持できる味付け油揚げ用包装容器ができないものかと模索しているが、未だ完成には至っていない。
【特許文献1】特開平6−189705号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明では、ふっくらとした状態が維持され、全体にわたって調味液が十分に染み込んでいる状態が維持できる味付け油揚げ用包装容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(請求項1記載の発明)
この発明の味付け油揚げ用包装容器は、保形性を有する容器本体とこれの開放部を塞ぐべく接着されるカバーとから成り、前記容器本体とカバーにより形成される空間を仕切り部で区切って複数列の味付け油揚げの収納部を構成すると共に、前記収納部の高さを複数枚積層した状態の味付け油揚げ群の厚みに略一致させてあるものとしている。
(請求項2記載の発明)
この発明の味付け油揚げ用包装容器は、上記請求項1記載の発明に関し、仕切り部は、その高さを味付け油揚げ群の厚みに略一致させてあると共に、カバーに対して非接着である。
(請求項3記載の発明)
この発明の味付け油揚げ用包装容器は、上記請求項1又は2の発明に関し、容器本体とカバーが形成する空間の高さは、味付け油揚げを2〜6枚程度の厚みと略一致するように設定してある。
(請求項4記載の発明)
この発明の味付け油揚げ用包装容器は、上記請求項1乃至3のいずれかに記載の発明に関し、収納部の数は、2〜5個である。
(請求項5記載の発明)
この発明の味付け油揚げ用包装容器は、上記請求項1乃至3のいずれかに記載の発明に関し、各収納部の長さは半切り又は一枚ものの味付け油揚げ群を2〜6個収容できるようになっている。
【発明の効果】
【0007】
この発明は上述のような構成であり、次の効果を有する。
【0008】
この発明の味付け油揚げ用包装容器であると、ふっくらとした状態が維持され、全体にわたって調味液が十分に染み込んでいる状態が維持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下にこの発明における味付け油揚げ用包装容器を実施するための最良の形態として実施例について詳しく説明する。
【実施例1】
【0010】
図1はこの発明の実施例1における味付け油揚げ用包装容器1及びその内部に収容された半切りの味付け油揚げ90の斜視図、図2は前記味付け油揚げ用包装容器1等の分解斜視図、図3は図1のX−X断面図、図4は味付け油揚げ用包装容器1を仕切り部20で折り曲げた状態を示す断面図を示している。
【0011】
(この実施例の味付け油揚げ用包装容器1の基本的構造について)
この味付け油揚げ用包装容器1は、図1や図2に示すように、容器本体2とこれの開放部を塞ぐべく融着されるカバー3とから成り、前記容器本体2とカバー3により形成される空間を仕切り部20で区切って2列の味付け油揚げの収納部21を構成すると共に、前記収納部21の高さを4枚積層した状態の味付け油揚げ群9(各半切り状態の味付け油揚げを符号90で示す)の厚みに略一致させたあるものとしている。尚、上記仕切り部20は、図3や図4に示すように、その高さを味付け油揚げ群9の厚みに略一致させてあると共に、カバー3に対しては非接着としてある。
【0012】
以下に、この実施例の味付け油揚げ用包装容器1等の各構成について詳述する。
【0013】
(味付け油揚げ群9について)
この実施例の味付け油揚げ用包装容器1に包装される味付け油揚げ群9は、油揚げを4枚積層したものを方形のざるに並べてから、調味液(醤油、砂糖及び化学調味料を主成分とする)を満たした釜で煮て味付けし、これを半切りしたものである。ここで、味付け油揚げ群9の具体的な寸法(一例)は、幅87mm×長さ65mm×厚み27mm(一枚の厚みは6.5〜6.8mm程度)である。
【0014】
(容器本体2の具体的構成について)
容器本体2は、例えばポリエステルにより構成されており、図1や図2に示すように、開放部外周部にはフランジ22を有するものとしてある。ここで、上記仕切り部20は、図3に示すように、中央下面を上方に向って凹ませるようにして形成されており、その最上壁上面はカバー3の下面と接触状態にしてある。また、各収納部21の長さは、図1や図2に示すように、半切りされた味付け油揚げ群9を4個収容できるようになっており、収納部21を構成する壁面に縦リブ部を小間隔で形成することにより保形性を高めるようにしてある。
【0015】
この実施例の容器本体2は以下に示すような寸法を採っている。
【0016】
「収納部21の寸法」:幅90mm×長さ270mm×深さ30mm
「仕切り部20の寸法」:幅10mm×長さ780mm×高さ30mm
「フランジ22の寸法」:幅10mm×厚み0.5mm
(カバー3の具体的構成について)
カバー3は、例えばポリプロピレンにより構成されており、図1に示すように、外周縁近傍部分が容器本体2のフランジ22に融着されている。
【0017】
この実施例のカバー3は以下に示すような寸法を採っている。
【0018】
「カバー3の寸法」:幅210mm×長さ800mm×厚み0.2mm
(味付け油揚げ用包装容器1による味付け油揚げ群9の包装状態について)
上記のようにして製造された半切り状態にある味付け油揚げ群9を、収納部21,21にそれぞれ図1や図2に示すように配列して収納し、その後(その前でも良い)上記調味液8を充填し、容器本体2の開放部を塞ぐべくカバー3を融着する。なお、容器本体2への調味液8の充填量は、味付け油揚げ群9が収納部21に収容された状態において液面位置が当該収容部21の深さの50〜70%まで至っていることが好ましい。
【0019】
(この実施例の味付け油揚げ用包装容器1を使用した場合の優れた効果について)
(1)4枚積層した味付け油揚げ群9を収納部21に収納すると、最上位の味付け油揚げ群9とカバー3との間には僅かながら空間が存在しており、味付け油揚げ群9には圧縮力が作用することがない。これは、容器本体2を、保形性を有するものとしたことに基づく。
【0020】
したがって、味付け油揚げ90のふっくらとした状態が保てる上、染み込んでいた調味液が油揚げの外に出てしまって味が落ちてしまうようなことはない。
(2)時間の経過とともに、調味液8に漬かっていない上部位置の味付け油揚げ90から調味液8が出て行き乾燥気味になり得るが、この味付け油揚げ用包装容器1によると、図3の状態から図4の状態に示すように、一方の収納部21を傾けると、仕切り部20とカバー3との隙間から一方の収納部2の調味液が他方の収納部2へと流れ込み、他方の収納部2は調味液で満杯になる。
【0021】
したがって、乾燥気味になっている上部位置の味付け油揚げ90を簡単な作業で調味液8が十分に染み込んだものにできる。
(3)この実施例の味付け油揚げ用包装容器1では、一つの収納部21に4個の味付け油揚げ群9を収納してあり、味付け油揚げ群9,9,9,9間で調味液8は自由に行ききできるようになっている。また、最上位の味付け油揚げ90とカバー3との間の間隔は一枚の味付け油揚げ90の厚みよりもかなり小さく且つ味付け油揚げ90は凹凸が多いので、最上位の味付け油揚げ90が隣合う最上位の味付け油揚げ90に乗り上げるようなことはかなり抑制される。
(4)上記した内容からして、この実施例の味付け油揚げ用包装容器1によると、(イ)ふっくらとした状態が維持され、調味液8が強制的に染み出されるようなことはなく、(ロ)上部位置の味付け油揚げ90を乾燥気味になったとしても簡単な作業で調味液8が十分に染み込んだものにでき、(ハ)最上位の味付け油揚げ90が隣合う最上位の味付け油揚げ90に乗り上げるようなことはかなり抑制され、整列状態が維持できる、ことが明らかである。
【0022】
(他の実施の形態について)
上記実施例1にかえて、収納部21の高さを複数枚積層した状態の味付け油揚げ群9の厚みよりも極僅かに小さい状態か完全一致させた状態でもよい。
【0023】
上記実施例1にかえて、容器本体2とカバー3が形成する空間の高さは、味付け油揚げ90を2、3、5又は6枚の厚みと略一致するように設定してもよい。
【0024】
上記実施例1にかえて、収納部21の数は、3、4又は5個以上としてもとい。
【0025】
上記実施例1にかえて、各収納部21の長さは半切りされた(一枚ものでもよい)味付け油揚げ群9を2〜6個収容できるものとしてもよい。
【0026】
味付け油揚げ用包装容器1は、上記実施例1の寸法に限定されることなく、半切り又は一枚ものの味付け油揚げの平面視形状や味付け油揚げ群9の厚みに対応させて形成すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の実施例1における味付け油揚げ用包装容器及びその内部に収容された半切りの味付け油揚げの斜視図。
【図2】前記味付け油揚げ用包装容器等の分解斜視図。
【図3】図1のX−X断面図。
【図4】前記味付け油揚げ用包装容器を仕切り部で折り曲げた状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0028】
1 味付け油揚げ包装容器
2 容器本体
20 仕切り部
21 収納部
22 フランジ
3 カバー
8 調味液
9 味付け油揚げ群
90 味付け油揚げ
























【特許請求の範囲】
【請求項1】
保形性を有する容器本体とこれの開放部を塞ぐべく接着されるカバーとから成り、前記容器本体とカバーにより形成される空間を仕切り部で区切って複数列の味付け油揚げの収納部を構成すると共に、前記収納部の高さを複数枚積層した状態の味付け油揚げ群の厚みに略一致させてあることを特徴とする味付け油揚げ用包装容器。
【請求項2】
仕切り部は、その高さを味付け油揚げ群の厚みに略一致させてあると共に、カバーに対して非接着であることを特徴とする請求項1記載の味付け油揚げ用包装容器。
【請求項3】
容器本体とカバーが形成する空間の高さは、味付け油揚げを2〜6枚程度の厚みと略一致するように設定してあることを特徴とする請求項1又は2記載の味付け油揚げ用包装容器。
【請求項4】
収納部の数は、2〜5個であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の味付け油揚げ用包装容器。
【請求項5】
各収納部の長さは半切り又は一枚ものの味付け油揚げ群を2〜6個収容できるようになっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の味付け油揚げ用包装容器。




















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−150085(P2008−150085A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−341202(P2006−341202)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(395008045)松田食品工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】