説明

唾液分泌減退を緩和し口腔の快適性を提供するための組成物および方法

唾液分泌減退または口内乾燥症に関連する1種またはそれより多くの症状を緩和するための様々な組成物および方法を提供する。好ましい組成物および方法は、1種またはそれより多くの植物抽出物および/またはプロアントシアニジンを、上記症状を低減させる、または、上記症状をなくすのに有効な濃度で用いる。特に好ましい抽出物は、果実および/または種(例えば、ブドウ、クランベリー、ブルーベリー、ブラックベリーなど)から単離された抽出物であり、第二の抽出物が存在する場合、このような抽出物は、好ましくは、柑橘系果物(例えば、レモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツ、タンジェリン、マンダリンオレンジ、ウグリなど)から単離された抽出物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2008年11月13日付けで出願された我々の同時係属中の米国仮出願第61/114359号の優先権を主張する(その全体を参照により本明細書に包含させる)。
【0002】
[0001]発明の分野は、唾液分泌減退に関連する症状を緩和または治療する、および/または、口腔の快適性を提供するための組成物および方法である。
【背景技術】
【0003】
[0002]唾液分泌減退および口内乾燥症(一般的には、「ドライマウス」と称される)は、様々な人々で比較的よく見られるものであり、特に、様々な薬物療法剤(例えば、化学療法剤、抗ヒスタミン剤、抗うつ薬、利尿薬など)を摂取している高齢患者、および、コーヒーまたはアルコール摂取が多い個体によく見られる。また口内乾燥症は、内分泌障害、栄養不足、顔、頚部および頭への神経損傷を有する患者に見出されることも多く、さらにはストレスを有する患者にも見出される。最も典型的には、例えばシェーグレン症候群患者などの口内乾燥症と診断される患者は、唾液流量と体積が著しく減少し、一般的にはそれに伴い唾液中で化学的変化も起こるようであり、これらはいずれも、例えば口臭、濃く糸を引くような唾液、味覚の変化、さらに場合によっては発話または嚥下の困難さなどの様々な症状において観察されることが多い。より重度のケースでは、口内乾燥症は、経口感染、ただれ、または、口角に沿った組織の亀裂も併発する。
【0004】
[0003]シェーグレンではない患者またはリウマチ様疾患/炎症性疾患の患者は、顕著な唾液減少に伴う断続的な不快感を感じる可能性が高い。唾液分泌減退の全症例の80パーセントは、中枢神経系と相互作用することがわかっている処方薬または市販の医薬品の使用に直接的な原因がある。しかしながら、それ以外にも、健康な個体でさえ唾液分泌減退時期を経験し、これは典型的には高いストレス、肉体疲労またはホルモンの日ごとの作用に関連して起こる。例えば睡眠中は咀嚼や唾液腺への一般的な刺激が減少するために、多くの個体が睡眠中に唾液分泌減退期間を経験する。ほとんどの個体にとって一過性の唾液分泌減退は気にならないが、可能であればこれを回避することが好ましい。総合的な口腔の快適性は、潤った感覚、潤滑、軟部組織の水分補給、および、不快感なく舌を動かして話す、嚥下する、および噛む能力を形成するのに十分な唾液が存在することに関連する。健康な成人の場合の平均流速は、一般的に、約1.5ml/分と認識されている。個体の唾液生産がそれらの正常な流量(flow)の約50%に落ちると、その個体は唾液分泌減退およびその口腔の快適性に対する作用を自覚する可能性がより高くなる。
【0005】
[0004]口内乾燥症を治療することがわかっている多くの組成物および方法がある。例えば米国特許第4,980,177号は、親水性化合物をさらに含むチューインガムを用いた機械的な刺激を教示している。同様に、米国特許第4,997,654号は、唾液分泌を促進するために比較的高いキシリトール含量を有するチューインガム製剤を教示しており、さらに米国特許第6,656,920号は、口内乾燥症を治療するための組成物中に二糖類を使用することを教示している。あるいは、米国特許第4,820,506号で説明されているように、唾液の生産および/または流量を促進するために、有機化合物の酸味料および甘味料が用いられる。同様に、WO89/09594は、徐放性チューインガム製剤における有機酸の使用を教示しており、米国特許出願第2006/0204551号は、唾液分泌を促進するための、食物の酸の相乗的な組み合わせおよび刺痛を教示している。このような組成物によって患者に少なくともある程度の軽減が提供される傾向があるが、それにもかかわらずいくつかの不利益が残る。例えばチューインガムを一晩使用することは一般的には推奨されないため、昼間の使用に限定されることが多い。さらに、特に酸が用いられる場合、長期に渡る曝露による少なくとも部分的に歯の脱灰が生じる可能性がある。
【0006】
[0005]これらの問題を少なくともある程度回避するために、米国特許出願第2007/0128284号で説明されているように、栄養面で許容でき、且つ化学的に定義される化合物を投与してもよく、ここにおいてN−アセチルシステインのような硫黄を含む抗酸化剤が高分子の塩基と組み合わされており、または、米国特許出願第2004/0076695号では、様々な組成物でオメガ−3脂肪酸が用いられている。さらなる既知の組成物において、米国特許出願第2006/0078620号で教示されているように、口内乾燥症を緩和するために過酸化脂質(典型的には植物油)およびシリカが用いられている。さらにその他の既知の方法において、米国特許出願第2009/0263467号A1で述べられているように、ドライマウス状態を改善するためにグリセロールが用いられる可能性がある。さらにその他の既知の組成物としては、米国特許第4,938,963号(イエルバ・サンタ(Yerba Santa)抽出物)、および6,746,697号(ヘリオプシス・ロンギペス(Heliopsis Longipes)抽出物)で説明されているように、口内乾燥症を治療するための組成物を配合するのに所定の植物抽出物を用いた組成物が挙げられる。さらにその他の既知の組成物および方法が、WO2007/092811で説明されている。
【0007】
[0006]少なくともこれらの組成物うちいくつかは患者に一時的な軽減を与えると予想されるが、それにもかかわらずいくつかの不利益が残る。例えば、これらの化合物のうちいくつか(さらには、植物抽出物のうちいくつかも)の化学的安定性に問題がある可能性がある。その上、ある種の配合によっては、得られた作用が比較的弱いため繰り返しの投与および/または高濃度の活性成分を必要とするが、これは味または溶解性の悪さから使用されない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,980,177号
【特許文献2】米国特許第4,997,654号
【特許文献3】米国特許第6,656,920号
【特許文献4】米国特許第4,820,506号
【特許文献5】WO89/09594
【特許文献6】米国特許出願第2006/0204551号
【特許文献7】米国特許出願第2007/0128284号
【特許文献8】米国特許出願第2004/0076695号
【特許文献9】米国特許出願第2006/0078620号
【特許文献10】米国特許出願第2009/0263467号
【特許文献11】米国特許第4,938,963号
【特許文献12】米国特許第6,746,697号
【特許文献13】WO2007/092811
【発明の概要】
【0009】
[0007]それゆえに、当業界で口内乾燥症の症状を減少させる多数の組成物および方法がよく知られているが、それでもなお、一般的な集団において口内乾燥症に関連する症状を緩和し、全体的な口腔の快適性/感覚を促進する改善された組成物および方法を提供する必要がある。
【0010】
発明の概要
[0008]本発明によれば、唾液分泌減退または口内乾燥症(これらは、薬物誘発性であるか、シェーグレン症候群、年齢またはその他の条件に起因する可能性がある)に関連する症状の1またはそれより多くを減少させるか、または、さらに除去する組成物および方法が提供され、ここで特に好ましい組成物および方法は、1種、および、最も好ましくは少なくとも2種の植物抽出物を用いたものであると予想される。このような抽出物の一種は、最も好ましくは、果実および/または種(例えば、ブドウ、クランベリー、ブルーベリー、ブラックベリーなど)から単離されたものであり、および、その他の例は、柑橘系果物(例えば、レモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツ、タンジェリン、マンダリンオレンジ、ウグリなど)から単離されたものである。さらなる特に好ましい形態において、2種の抽出物は、抽出物の相乗的な組み合わせ(例えば、グレープシード抽出物とレモン抽出物)である。
【0011】
[0009]その他の観点から見ると、本発明の主題に係る組成物は、(好ましくは天然に存在する)プロアントシアニジンを唾液分泌減退または口内乾燥症に関連する症状の少なくとも1つを減少させるのに有効な濃度で含むことが考えられる。
【0012】
[0010]それゆえに、本発明の主題の一形態は、唾液分泌減退に関連する1またはそれより多くの症状(例えば、ドライマウス、口臭、唾液の増粘、味覚の変化、発話または嚥下の困難)の軽減を提供する方法であり、本方法において、1つの工程で経口投与のための局所用組成物を製剤化し、ここで本組成物は、プロアントシアニジンおよび/またはグレープシード抽出物を症状の軽減を提供するのに有効な濃度で含む。他の工程で、プロアントシアニジンおよび/またはグレープシード抽出物が症状の軽減を提供することを示す試験結果を得て、および、さらにその他の工程で、消費者に本組成物を試験結果と共に提供する。
【0013】
[0011]最も好ましい形態において、局所用製剤は、マウスリンス、練り歯磨き、溶解性ストリップ、または、ロゼンジであり、および/または、プロアントシアニジンは、植物抽出物の一部として(典型的には、ビルベリー抽出物、クランベリー抽出物、クロフサスグリ抽出物、紅茶抽出物、および/または、チョークベリー(choke berry)抽出物の一部として)局所用製剤に包含される。様々な濃度のプロアントシアニジンおよび/またはグレープシード抽出物が考えられるが、特に適切な濃度は比較的低く、典型的には局所用組成物の1質量%またはそれ未満と予想される。
【0014】
[0012]さらに一般的に好ましくは、本局所用組成物は、有機酸または柑橘系果物からの抽出物(例えばレモン抽出物)をさらに含み、最も好ましくは、これらは相乗的な量で存在する。試験結果に関して言えば、試験結果は、プロアントシアニジンおよび/またはグレープシード抽出物のM3受容体アゴニスト活性をインビトロで実証するものであるか、または、試験結果は、ヒトにおける唾液流量の増加をインビボで実証するものであることが好ましい。
【0015】
[0013]それゆえに、異なる観点から見ると、発明者等はまた、唾液分泌減退の症状(例えば、ドライマウス、口臭、唾液の増粘、味覚の変化、および、発話または嚥下の困難)に罹っている人に、口腔の快適性を提供するための口腔ケア製品も考えられる。最も好ましくは、このような製品は、唾液分泌を促進する活性成分として、プロアントシアニジン、グレープシード抽出物、および/または、M3受容体アゴニスト活性を有することが実証されている植物抽出物を、唾液分泌減退に関連する症状を緩和するのに有効な濃度で含む組成物を含む。好ましくは、本組成物は、経口で局所投与するために製剤化される。
【0016】
[0014]上述したように、一般的に好ましくは、口腔ケア製品は、マウスリンス、練り歯磨き、溶解性ストリップ、ゲル、トレイ中のゲル、スプレー、非溶解性ストリップ、パッチ、包帯、または、ロゼンジとして製剤化されること、および/または、プロアントシアニジンは、ビルベリー抽出物、クランベリー抽出物、クロフサスグリ抽出物、紅茶抽出物、および、チョークベリー抽出物からなる群より選択される抽出物の一部として本組成物に包含されることである。さらに好ましくは、プロアントシアニジンおよび/またはグレープシード抽出物は、源に関係なく、局所用組成物の1質量%に等しい、またはそれ未満の濃度で存在する。望ましい場合は、本組成物は、有機酸または柑橘系果物からの抽出物をさらに含んでいてもよい。
【0017】
[0015]本発明の様々な目的、特徴、形態および利点は、以下の本発明の好ましい実施態様の詳細な説明より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】[0016]図1は、インビボでの本発明の主題に従って選択された抽出物を局所適用する前および局所適用した後の唾液の生産を示すグラフである(質量で示す)。
【図2】[0017]図2は、インビボでの本発明の主題に従って選択された抽出物を局所適用する前および局所適用した後の唾液の生産を示すグラフである(体積で示す)。
【図3】[0018]図3は、インビボでの本発明の主題に従って選択された抽出物を局所適用する前および局所適用した後の唾液のpHを示すグラフである。
【図4】[0019]図4は、インビトロでの本発明の主題に従って選択された抽出物を用いたM3受容体の刺激に関する用量応答の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[0020]本発明者等は、個体に、具体的にはシェーグレン症候群、口内乾燥症または唾液分泌減退に関連する1またはそれより多くの症状に罹った個体に、グレープシード抽出物、プロアントシアニジン、および/または、唾液腺中でM3受容体を活性化する要素を含む植物抽出物を含む組成物を投与することによって、口腔の快適性を提供することができることを見出した。本発明の主題の好ましい形態において、プロアントシアニジンは植物抽出物の一部として提供され、さらに任意に、柑橘系果物の抽出物および/または有機酸が、本組成物に添加されてもよい。最も典型的には、本組成物は、経口で粘膜に局所投与するために製剤化される。
【0020】
[0021]注目すべきことに、本明細書で用いられる用語「唾液分泌減退」は、一般的に、健康な人における正常な唾液の生産、流量および/または体積と比較した、唾液の生産、流量および/または体積の減少を意味する。本明細書で用いられる用語「口内乾燥症」は、唾液分泌減退の1つの具体的な兆候を意味し、これは、様々な原因に起因する可能性がある。例えば口内乾燥症は、薬物療法、放射線治療または自己免疫疾患(例えばシェーグレン症候群)に起因する可能性がある。同様に当然のことながら、考察された組成物および方法は唾液分泌減退を治療するのに特に有利であるが、その他の健康な人々も、起きている時間中、加えて夜間中も、唾液流量の減少による不定期なドライマウスを経験する可能性がある。考察された方法および組成物を就寝前に使用することによって、このような個体群の睡眠をより改善し、より爽やかな口と息の感覚で起床できるようになるものと予想され、さらに、口腔の快適性を高めることも予想される。
【0021】
[0022]特に好ましい形態において、唾液分泌減退に関連する症状を軽減するための組成物は、グレープシード抽出物とレモン抽出物との組み合わせを含む。注目すべきことに、本明細書で用いられる用語「グレープシード抽出物」は、グレープシード油は含まないことを明示する。異なる観点から見ると、本明細書で用いられるグレープシード抽出物は、極性および/または親水性(水混和性であり、相分離を起こさない)溶媒を用いて抽出されたグレープシード分画を示す。それに対してグレープシード油は、グレープシードの実質的に水不混和性の脂質相であり、典型的にはリノール酸、オレイン酸、パルミチン酸およびステアリン酸で構成される。従ってグレープシード油とグレープシード抽出物とは、互いに相容れない。
【0022】
[0023]例えば、本発明の主題の特に好ましい一形態において、市販のグレープシード抽出物(N31)、および、レモン抽出物(N600)(いずれも、VDFフューチャーシューティカルズ(VDF Futureceuticals,819N.ディキシー・ハイウェイ,モメンス,イリノイ州60954)から入手した)を、以下の表1で指定された比率で含む局所用組成物(製剤中の割合(質量%)を示す数値も共に示す)を製造した。
【0023】
【表1】

【0024】
[0024]「製剤10」と名付けられた製剤を用いて、薬物によって誘発されたドライマウスに罹っていることがわかっている6人の被検者を以下のように処理した:綿織物のガーゼの単一層に1mgの粉末を塗り広げ、これを両方の頬の内部で耳下腺に対するように置き、5分間曝露させた。従って総曝露量は、合計で2マイクログラム(μg)のグレープシード抽出物を含む局所用製剤2mgであった。指標として、曝露の前後で残った唾液と組織(頬袋)の湿度の測定値を回収することによって結果を定量した。また事後の解析では、前後で残った唾液サンプルのpHおよび緩衝能力の測定も行った。
【0025】
[0025]珍しいことに、見たところ抽出物中の抽出物/プロアントシアニジンが少量であるにもかかわらず、唾液流量、唾液体積および唾液質量において見たところ一定の改善が達成され(それぞれ典型的には少なくとも10%、より典型的には少なくとも25%、さらにより典型的には少なくとも50%、および、最も典型的には少なくとも75%増加した)、これに伴い新しい唾液の生産を示すpH上昇も観察された。注目すべきことに、pH上昇は歯が脱灰する可能性を低減させるため、pHの上昇は特に有利である。被検者全員が改善された口内状態を記録し、証言したことから、被検者の試験に対する反応は速く好評であった。
【0026】
[0026]さらなる実験を追加の組成物および組み合わせを用いて行い(ここでは選択されたデータのみを示す)、図1に唾液質量が増加したことを示す結果を示し、図2に、唾液体積が増加したことを示す結果を示した。図3に、処理前後における唾液のpHの差を示す。より具体的に言えば、図1〜3を参照すると、ゼロス(Xeros)1〜5と名付けられた5つの実験条件を試験した:ゼロス1では、2cm×2cmの1層の不織布スポンジを、前もって30mLの水で60秒間すすぎ、それに続いてDMRF10−粉末を適用した。ゼロス2では、2cm×2cmの1層の不織布スポンジを、前もって30mLの水で60秒間すすぎ、それに続いて製剤50(F−50)粉末を適用した;ゼロス3では、前もって30mLの水で60秒間すすぎ、それに続いて30mLの水中の製剤10(F−10)100mgを60秒適用した;ゼロス4では、前もって30mLの水で60秒間すすぎ、それに続いて水30mL中の製剤50(F−50)200mgを60秒適用した;ゼロス5では、前もって30mLの水で60秒間すすぎ(5分の回収時間)、それに続いて30mLの製剤50(F−50)で60秒リンスした(5分の回収時間)。全ての被験者が、試験された組成物は、味がよく、効きが早く、長期にわたる軽減を報告した。実際に、これらの治療がかなり期待を上回ったため、全ての被験者が自宅で治療を続けることに興味を示した。継続使用により、長期にわたる一般的な改善が提供されるようであった。
【0027】
[0027]唾液分泌減退に罹った個体は、その他の有益な作用のなかでも特にドライマウス、口臭、唾液の増粘、味覚の変化および/または発話または嚥下の困難が減少したことを報告し、また場合によっては全面的に解決されたことも報告された。さらに、加えて特に考察された製剤がより長い期間投与される場合、注目すべきことに、プロアントシアニジンは強い抗酸化性の特徴を有するため(特にポリフェノールプロアントシアニジン)、プラーク、歯肉炎、および、歯周疾患の減少などの様々な追加の利点が得られる可能性がある。
【0028】
[0028]さらに当然のことながら、数回の実験で、特に所定のインビトロでのM3刺激に対する実験で(データ示さず)、本発明者等は、グレープシード抽出物およびレモン抽出物が用いられる場合、M3受容体の相乗的な刺激を観察した。例えばグレープシード抽出物およびレモン抽出物が質量比で9:1の割合で用いられる場合、24%の活性化レベルが達成されたが、一方で抽出物単独での予想されるレベルの合計は18%(12+6%)であったと思われる。特筆すべきことに、レモン抽出物と緑茶抽出物とを同じ比率で組み合わせた場合、その作用は単に累積的であった(18%)。従って、特に好ましい組み合わせは、グレープシード抽出物とレモン抽出物とを組み合わせた場合であり、ここで抽出物の質量比は、25:1〜2:1であり、より好ましくは15:1〜4:1、最も好ましくは12:1〜5:1である。
【0029】
[0029]従って、唾液分泌減退に関連する症状軽減を提供する方法は、プロアントシアニジンおよびグレープシード抽出物の少なくとも一方を、症状の軽減を提供するのに有効な濃度で含む、経口投与のための(最も好ましくは局所用)組成物を製剤化する工程を含むことが考えられる。一般的に好ましくは、プロアントシアニジンおよび/またはグレープシード抽出物が症状の軽減を提供することを示す試験結果を得ることである。特に好ましい方法において、本組成物は、使用者または卸売り業者または小売業者に、試験結果(確認またはマーケティングのためのツールとして)と共に入手可能である。
【0030】
[0030]いかなる特定の理論または仮説に拘束されることは望まないが、本発明者等は、果実/種の抽出物/プロアントシアニジン、同様に柑橘類抽出物は、M3受容体(3型ムスカリン様アセチルコリン受容体)アゴニストとして相乗的に作用する可能性が最も高いと考える。従って当然のことながら、M3受容体を活性化するあらゆる植物抽出物が、独立した化合物、相乗的な添加剤および/またはアジュバントとして本明細書に記載の使用に適しているとみなされるものと予想される。
【0031】
[0031]異なる観点から見ると、1種またはそれより多くの唾液分泌減退の症状に罹っている人に、口腔の快適性を提供すると予想される口腔ケア製品が考えられる。特に考察されたケア製品は、唾液分泌を促進する活性成分として、グレープシード抽出物、プロアントシアニジン、および/または、M3受容体アゴニスト活性を有することが実証されている植物抽出物を、少なくとも1つの唾液分泌減退に関連する症状を緩和するのに有効な濃度で含む組成物を含み、ここで本組成物は、経口で局所投与するために製剤化される。注目すべきことに、用語「唾液分泌を促進する活性成分」は、グレープシード抽出物、プロアントシアニジンおよび/またはM3受容体アゴニスト活性を有することが実証されている植物抽出物と共に用いられる場合、グレープシード抽出物、プロアントシアニジンおよび/または植物抽出物が、唾液の生産および流量を高める活性成分であることを意味する。その上、組成物または製剤の「経口での局所投与」という用語は、口腔組織と本組成物または製剤とを、本組成物または製剤の摂取に関して典型的に観察される接触時間よりも顕著に長い期間にわたり接触させることを意味する。摂取された(嚥下された)組成物または製剤はいずれも少なくとも部分的に口腔組織と接触すると予想されるが、組成物または製剤を摂取することを目的とした組成物または製剤の経口投与は、本明細書で示された定義の範囲には含まれないことを明示する。異なる観点から見ると、経口による組成物または製剤の局所投与は、本組成物または製剤を摂取しなくても、口腔組織と接触することによって意図する目的(例えば、唾液の流量または体積の増加)を達成すると予想される。
【0032】
[0032]具体的な成分および配合に関係なく、注目すべきことに、考察された組成物を用いた、唾液の生産、流量および/または体積の増加、ならびに/または、M3活性の増加は、当業界公知の多数の方式で検証することができる。例えばM3アゴニスト活性は、市販の試験サービス(例えば、MDSファーマ・サービス(MDS Pharma Sciences,2200ルネサンス・ブルバード(Renaissance Blvd.),スイート400,キングオブプロシア,ペンシルベニア州19406)の試験番号252810)を用いて測定してもよいし、または、組換え細胞、または、実質的にMol Pharmacol.1989 Apr;35(4):469−76、および、Luthin GRおよびWolfe BB.J Pharmacol Exp Ther.228(3):648,1984で説明されている試験プロトコールに従って哺乳動物から得られた細胞で測定してもよい。図4に、このような考察された化合物および組成物を用いた活性化の典型的な例を示す。ここで特筆すべきことに、考察された化合物および組成物の著しく低い濃度で、M3アゴニスト活性が観察された。例えばFC−03(緑茶抽出物,これはVDFフューチャーシューティカルズから市販されており、少なくとも95%のポリフェノール含量を含む)、FC−06(ビタベリー(Vitaberry)添加抽出物,これはVDFフューチャーシューティカルズから市販されており、野生のブルーベリー粉末、グレープシード抽出物粉末、ラズベリーの種の抽出物粉末、クランベリー粉末、プルーン粉末、タルトチェリー(tart cherry)粉末、野生のビルベリー粉末、および、二酸化ケイ素を含む)、および、FC−09(ビタグレープ(Vitagrape)抽出物,これはVDFフューチャーシューティカルズから市販されており、少なくとも合計90%のフェノール含量を含む)は、Sf9分析において、50ppm未満、より典型的には30ppm未満、最も典型的には20ppm未満の濃度で、コントロールと比較して少なくとも10%の活性化を示した。プロアントシアニジンを含む13種の追加の抽出物を試験したところ、試験された濃度で類似の活性を示した(データ示さず)。従って、当然のことながら、少なくともいくつかの本発明の主題の形態において、経口で局所投与すると、グレープシード抽出物、プロアントシアニジン、および/または、M3受容体アゴニスト活性を有することが実証されている植物抽出物が、口腔組織(および具体的には口腔粘膜組織)と接触する流体中で、100ppmに等しいまたはそれ未満、より典型的には50ppmに等しいまたはそれ未満、最も典型的には25ppmに等しいまたはそれ未満の濃度を達成するのに有効な濃度を有する様々な口腔ケア製剤を提供することができる。
【0033】
[0033]あるいは、唾液流量を測定する簡単なインビボでの試験を、よく知られた方法に従って行ってもよい(例えば、Ann Rheum Dis.1992 Apr;51(4):499−502)。従って、試験結果は、人間(またはその他の哺乳動物)の被検者から入手可能と予想され、加えて細胞培養からも入手可能と予想される。従って、試験結果は、(本組成物の供給者、または、契約した研究所などのその他の団体により)人間の被検者へのインビボ試験によって直接的に得てもよいし、または、インビトロ試験を用いたM3アゴニスト活性試験を行うことによって得てもよいし、または、契約した研究室、またはその他の方法で提携した研究室で試験して間接的に得てもよいし、さらには、独立したどこにも関連していない第三機関で試験を行い試験結果を公表することによって得てもよい。特に考察された試験結果は、哺乳動物(またはその他の動物)または細胞への本組成物の投与に応じて唾液流量および/またはM3活性化における増加が報告されている試験結果を含むと予想される。このような報告は、好ましくは、量に関する定性的な情報、および/または、用いられた組成物のタイプ、および/または、達成された唾液流量および/またはM3活性化における増加を提供する。あるいは、または、それに加えて、本組成物が、唾液流量および/または体積を増加させるのに有効であるか、または、唾液分泌減退に関連する症状を減少させるのに有効であることを一般的な方式で示す定性的な試験結果が提供されてもよい。最も典型的には(ただし必ずしもそうではないが)、試験結果に用いられる組成物は、販売されている組成物または別の方法で消費者で提供されている組成物と同じ成分を有するか、またはそれらと類似の成分を有する。
【0034】
[0034]従って、本発明の主題の特に好ましい形態において、本明細書において考察された組成物は、消費者(典型的には使用者)に、本組成物は唾液流量および/または体積、ならびに/またはM3活性を増加させるのに有効であることを知らせる、または、示すための試験結果と共に消費者に提供されると予想される。従って、用語「〜と共に」は、論理的に(および最も好ましくは物理的にも)本組成物と試験結果とを結びつける活動を含むことを意味する。例えばこのような論理的な結びつけは、試験結果の情報を提示する、印刷する、またはその他の方法で提供し、それと同時に本組成物について述べることを含む(例えば、試験結果と組成物とを提示する)。しかしながら、試験結果と本組成物とが物理的に結びつけられることがより好ましい。例えばこのような物理的な結びつけは、本組成物を内包する容器または包装に試験結果を印刷することによって行ってもよい。
【0035】
[0035]もちろん当然のことながら、上記で説明した典型的な製剤は、単にある特定の組成物を説明するのに示されたものであり、多数のその代わりの組成物も本明細書に記載された使用に適しているとみなされる。例えばプロアントシアニジンは、比較的純粋な単離された組成物として提供されてもよく(例えば、純度が50モル%より高い、より典型的には70モル%より高い、最も典型的には90モル%より高い)、これは、化学的に多様なポリフェノールの比較的複雑な混合物を含んでいてもよいし、または、1種またはそれより多くのポリフェノール化合物種の制御されたオリゴマー化および/または重合によって生産されてもよい。従って、考察されたプロアントシアニジン組成物は合成でもよいし、または、より好ましくは、1種またはそれより多くの植物材料(典型的には果実、種、樹皮または葉)から、および、特にビルベリー、クランベリー、クロフサスグリ、紅茶、および、チョークベリーから(例えば、水性またはアルコール性の抽出物として)単離したものでもよい。その結果として、注目すべきことに、果実/種の抽出物が、1種またはそれより多くの要素が程度の差はあるが高濃度化されている多成分を含む抽出物である場合もある。それゆえに、適切な抽出物は、1種またはそれより多くの溶媒を用いて製造された抽出物を含んでいてもよく、これはさらに、さらに1回またはそれより多くのクロマトグラフィー工程を用いて加工してもよい。
【0036】
[0036]グレープシード抽出物に関して、一般的には、グレープシード抽出物は市販されているもの(例えば、VDFフューチャーシューティカルズ)が好ましいが、その他の抽出物が本明細書において説明されているように用いられる場合、唾液流量の増加を提供するのであれば、このような抽出物も適切であるとみなされる。例えば、適切な代替のグレープシード抽出物は水性抽出物であり、これもまた、共溶媒(例えば、アルコール、酢酸エチルなど)の使用を含む可能性がある。固体または粉末の抽出物を提供するために、溶媒は、少なくとも部分的に抽出物から除去することが一般的に好ましいが、適切な抽出物はまた少なくとも溶媒の一部を含んでいてもよく、従って、水性またはアルコール性の溶液であってもよい。
【0037】
[0037]一方で、プロアントシアニジンは、一般的には、多くの植物およびそれらの部分(例えば、リンゴの皮、マツの樹皮、桂皮の樹皮、グレープシード、ブドウの皮、ココアの種、ビルベリー、クランベリー、クロフサスグリ、チョークベリーなど)で見出されるため、考察された組成物は、プロアントシアニジンがこのような植物または植物の部分からの抽出物の一部である組成物を含んでいてもよい。上述したように、当業界でよく知られている植物抽出物のプロアントシアニジンを高濃度化するように製造する方法が多数あり、これらはいずれも本明細書に記載された使用に適しているとみなされる。さらに当然のことながら、プロアントシアニジンは、例えば赤ワイン、バックソーンオイル(buckthorn oil)などの加工済みの組成物中に存在している可能性がある。従って、全ての既知のプロアントシアニジン/柑橘類抽出物を含む調製物も、本明細書に記載された使用に適しているとみなされる。
【0038】
[0038]本明細書で用いられる用語「プロアントシアニジン」は、オリゴマーまたは高分子フラボノールを意味し、これは、典型的には様々な植物の果物、樹皮、葉および種に見出される。葉由来のプロアントシアニジンは一般的にあまり好ましくないことが知られており、ある種の形態においては排除される場合もある(例えば、カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)の葉)。最も典型的には、プロアントシアニジンは、化学的に多様なオリゴマーまたは高分子フラボノールが集まったものと予想される。さらにその上、レスベラトロールおよびそれらのオリゴマーの形態も本明細書においてプロアントシアニジンとみなされることが知られている。さらにその上、本明細書において考察された全てのプロアントシアニジンは、グリコシド部分(これは、ヘキソース、ペントースであってもよく、または、二糖類でもよい)に共有結合していてもよいことが認められると予想される。
【0039】
[0039]典型的には、プロアントシアニジンおよび/またはグレープシード抽出物の量は、投与される1回用量あたり少なくとも0.1〜1マイクログラム、より典型的には少なくとも10マイクログラム、および、最も典型的には少なくとも50マイクログラムと予想される。しかしながら、それより多い用量も考えられ、特にプロアントシアニジンが液体製剤または放出制御製剤中に含まれる場合である。それゆえに、考察された組成物は、0.01質量%(および場合によってはそれよりも少ない)〜10質量%(およびそれよりも高い)の1種またはそれより多くのプロアントシアニジンおよび/またはグレープシード/植物抽出物を含んでもよく、特に本組成物が液状またはペースト状である場合、より典型的には0.1質量%〜10質量%である。一方で、および、特に本組成物が固体組成物(例えば、粉末、溶解可能なストリップ、ロゼンジ)である場合、考察された組成物は、1質量%(および場合によってはそれよりも少ない)〜75質量%(およびそれよりも高い)の1種またはそれより多くのプロアントシアニジンおよび/またはグレープシード/植物抽出物を含んでもよい。
【0040】
[0040]しかしながら、注目すべきことに、本発明の主題の好ましい形態において、プロアントシアニジン(グレープシード抽出物または植物抽出物)は、比較的少量で(典型的には投与された組成物の1質量%未満)存在し、望ましい作用を達成することができる。特に当然のことながら、プロアントシアニジンおよびプロアントシアニジンを含む植物抽出物は苦味を有し、「乾燥した(drying)」、「粉っぽい(chalky)」または「ねばねばする(adhesive)」のように特徴付けられる渋味のある感覚を生じることがわかっており(例えば、Journal of the Science of Food and Agriculture,2003,Volume 83 Issue 6,Pages 564−573)、これらは本明細書で示された濃度で観察された作用と異なっているため、上記の発見は極めて予想外である。
従って、考察された化合物および組成物は、化合物および組成物が有益な作用(唾液の生産、流量および/またはpHにおける増加)を与えると予想される有効範囲を有し、それより低いと作用がないか不十分であることが観察され、それより高いと有益な作用が望ましくない作用になることが予想される。ほとんどの組成物および使用において、治療または予防的な範囲は、1回用量あたり0.1μg〜100μg、より典型的には1回用量あたり1μg〜50μg、および、最も典型的には1回用量あたり2μg〜20μgである。異なる観点から見ると、組成物における治療または予防的な範囲(プロアントシアニジンおよびプロアントシアニジンを含む植物抽出物の濃度に関して)は、0.01質量%〜5質量%、より典型的には0.1質量%〜1質量%、および、最も典型的には0.2質量%〜0.5質量%と予想される。
【0041】
[0041]さらなる好ましい形態において、考察された組成物は、有機酸、最も典型的には食物として許容できる酸、例えばフルーツ酸(例えば、クエン酸、リンゴ酸など)、および/または、果実の抽出物、具体的には柑橘系果物の抽出物も含むと予想される。特に適切な抽出物としては、レモンおよびライム抽出物が挙げられ、ここでこのような抽出物は、果実全体、果肉および/または外皮(例えば、フラベドおよび/またはアルベド)から製造することができる。原料となる果実のタイプに応じて、このような抽出物は、(例えば、果肉または圧搾された果汁を)脱水して粉末の形態に製造するか、または、様々なエッセンシャルオイル成分を含む蒸留物として製造する(例えば、外皮から)。最も好ましくは、プロアントシアニジン(またはグレープシード抽出物またはM3を活性化する植物抽出物)組成物、および、酸/果実抽出物は、質量%で1:100の比率であり、より典型的には1:5〜1:50の比率であり、および、最も典型的には1:10〜1:30の比率である。しかしながら、その他の比率も適切とみなされ、典型的には、具体的な製剤のタイプ、望ましい風味相乗剤の特徴などに依存すると予想される。加えて、または、その代わりに、有機フルーツ酸はまた、単離された化合物として、または、合成化合物として提供される可能性もある。
【0042】
[0042]望ましい場合、本明細書において考察された組成物に追加の化合物を添加してもよく、特に好ましい化合物としては、本組成物または製剤の味をよくする化合物が挙げられる。それゆえに、特に好ましい追加の化合物としては、甘味料(特に人工甘味料)、および、矯味矯臭剤(最も好ましくは、エッセンシャルオイル、または、人工風味相乗剤)が挙げられる。これらの追加の物質の具体的な量の決定は、十分に通常の技術者の能力の範囲内であるため、これ以上詳述はしない。
【0043】
[0043]考察された化合物および組成物を含む製剤に関して、本化合物および組成物は、経口での局所投与のために製剤化されることが一般的に好ましく、最も好ましくは、食物として許容される、または、医薬的に許容されるキャリアー中に製剤化されることであり、最も好ましくは病院の外来または家庭という設定で使用者が本組成物を投与できるようにする表示中に製剤化されることである。例えば、適切な製剤としては、固形製剤、例えば易流動性粉末(これは、フロス、綿棒(Q−tip)、および、チューインガムのようなキャリアーに含浸させてもよい)、溶解可能なストリップ、タブレット、ロゼンジなどが挙げられ、さらに、液体およびゲル製剤、例えばリンス、スプレー、練り歯磨き、軟膏、発泡体などが挙げられる。加えて適切な製剤は、口腔ケア製品業界で知られているような、付着および持続放出のためのポリマー、矯味矯臭剤、増粘剤、乳化剤、潤滑剤をさらに含んでいてもよい。さらなるその他の考察された適切な製剤はWO2007/092811で説明されている(参照により本明細書に包含させる)。最も好ましくは、考察された組成物は、即時的な作用が提供され、少なくとも60分間、より典型的には少なくとも4時間、最も典型的には少なくとも8時間にわたり作用が持続するように製剤化されると予想される。従って特に、本発明は、放出制御製剤を含む。例えば、望ましい場合、考察された製剤はまた、局所送達および/または全身送達用の持続放出製剤として、医薬配合物として、丸剤として、乾燥した/粘性の食物の飲食/嚥下をより簡単にする食品添加剤として、機能性飲料として、および、人工の唾液の増量剤などとして製造することができる。特に好ましいその代わりの形態において、考察された組成物は、ドライマウスを引き起こすことがわかっている薬物療法剤と組み合わせてもよい。このような組み合わせは、薬物療法剤の製剤とまとめて一つにしてもよいし、または、サプリメントとして製剤と併用してもよい。
【0044】
[0044]当業者であれば当然のことながら、本明細書に記載された発明概念から逸脱することなく、すでに説明したもの以外のより多くの改変が可能である。それゆえに、本発明の主題は、添付の請求項の本質の範囲内で制限されないこととする。さらに、明細書と請求項両方の解釈において、全ての用語は、考えられ得る最も広い方式で文脈にあわせて解釈されることとする。具体的に言えば、用語「〜を含む(comprises)」および「〜を含む(comprising)」は、要素、成分または工程について包括的に述べているものとして解釈されることとし、これはすなわち、述べられた要素、成分または工程が、明確に述べられていないその他の要素、成分または工程と共に存在する、または、利用される、または、それらと組み合わされる可能性があることを示す。本明細書の請求項において、A、B、C・・・およびNからなる群より選択される何々の少なくとも1つと述べられている場合、この言い回しは、その群から1つの要素のみが要求されていると解釈されることとし、AとNとの組み合わせ、または、BとNとの組み合わせのように解釈されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
唾液分泌減退に関連する症状の軽減を提供する方法であって、該方法は:
プロアントシアニジンおよびグレープシード抽出物の少なくとも一方を、症状の軽減を提供するのに有効な濃度で含む経口投与のための局所用組成物を製剤化すること;
プロアントシアニジンおよびグレープシード抽出物の少なくとも一方が症状の軽減を提供することを示す試験結果を得ること;および、
該組成物を該試験結果と共に提供すること、
を含む、上記方法。
【請求項2】
前記唾液分泌減退に関連する症状が、ドライマウス、口臭、唾液の増粘、味覚の変化、および、発話または嚥下の困難からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記局所用製剤が、チューインガム、溶解性ストリップ、タブレット、ロゼンジ、マウスリンス、スプレー、練り歯磨き、軟膏、発泡体、唾液の増量剤、および、粉末(任意にキャリアーに含浸させてもよい)からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記プロアントシアニジンが、ビルベリー抽出物、クランベリー抽出物、クロフサスグリ抽出物、紅茶抽出物、および、チョークベリー抽出物からなる群より選択される抽出物の一部として局所用製剤に包含される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記プロアントシアニジンおよびグレープシード抽出物の少なくとも一方が、局所用組成物の1質量%に等しい、またはそれ未満の濃度で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記プロアントシアニジンおよびグレープシード抽出物の少なくとも一方が、局所用組成物の0.1質量%に等しい、またはそれ未満の濃度で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記局所用組成物が、有機酸または柑橘系果物からの抽出物をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記柑橘系果物からの抽出物が柑橘類抽出物であり、該柑橘類抽出物とプロアントシアニジンおよびグレープシード抽出物の少なくとも一方とが任意に相乗的な組み合わせで存在していてもよい、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記試験結果が、プロアントシアニジンおよびグレープシード抽出物の少なくとも一方のM3受容体アゴニスト活性を実証するインビトロでの試験結果であるか、または、ヒトにおける唾液流量の増加を実証するインビボでの試験結果である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
唾液分泌減退の症状に罹っている人に口腔の快適性を提供する口腔ケア製品であって、該製品は、唾液分泌を促進する活性成分として、プロアントシアニジンおよびグレープシード抽出物の少なくとも一方を、唾液分泌減退に関連する症状を緩和するのに有効な濃度で含む組成物を含み、ここで該組成物は、経口で局所投与するために製剤化される、上記口腔ケア製品。
【請求項11】
前記唾液分泌減退に関連する症状が、ドライマウス、口臭、唾液の増粘、味覚の変化、および、発話または嚥下の困難からなる群より選択される、請求項10に記載の口腔ケア製品。
【請求項12】
前記局所用製剤が、チューインガム、溶解性ストリップ、タブレット、ロゼンジ、マウスリンス、スプレー、練り歯磨き、軟膏、発泡体、唾液の増量剤、および、粉末(任意にキャリアーに含浸させてもよい)からなる群より選択される、請求項10に記載の口腔ケア製品。
【請求項13】
前記プロアントシアニジンが、ビルベリー抽出物、クランベリー抽出物、クロフサスグリ抽出物、紅茶抽出物、および、チョークベリー抽出物からなる群より選択される抽出物の一部として前記組成物に包含される、請求項10に記載の口腔ケア製品。
【請求項14】
前記プロアントシアニジンおよびグレープシード抽出物の少なくとも一方が、局所用組成物の1質量%に等しい、またはそれ未満の濃度で存在する、請求項10に記載の口腔ケア製品。
【請求項15】
有機酸または柑橘系果物からの抽出物をさらに含む、請求項10に記載の口腔ケア製品。
【請求項16】
唾液分泌減退の症状に罹っている人に口腔の快適性を提供する口腔ケア製品であって、該製品は、唾液分泌を促進する活性成分として、M3受容体アゴニスト活性を有することが実証されている植物抽出物を、唾液分泌減退に関連する症状を緩和するのに有効な濃度で含み、ここで該組成物は、経口で局所投与するために製剤化される、上記製品。
【請求項17】
前記唾液分泌減退に関連する症状が、ドライマウス、口臭、唾液の増粘、味覚の変化、および、発話または嚥下の困難からなる群より選択される、請求項16に記載の口腔ケア製品。
【請求項18】
前記局所用製剤が、チューインガム、溶解性ストリップ、タブレット、ロゼンジ、マウスリンス、スプレー、練り歯磨き、軟膏、発泡体、唾液の増量剤、および、粉末(任意にキャリアーに含浸させてもよい)からなる群より選択される、請求項16に記載の口腔ケア製品。
【請求項19】
前記植物抽出物が、ビルベリー抽出物、クランベリー抽出物、クロフサスグリ抽出物、紅茶抽出物、および、チョークベリー抽出物からなる群より選択される、請求項16に記載の口腔ケア製品。
【請求項20】
有機酸または柑橘系果物からの抽出物をさらに含む、請求項16に記載の口腔ケア製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−508772(P2012−508772A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536533(P2011−536533)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/064453
【国際公開番号】WO2010/057034
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(511117129)ヴイディーエフ・フューチャーシューティカルズ,インコーポレーテッド (1)
【出願人】(511281051)ゼロス・ファーマシューティカルズ,エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】