説明

商品認証システム及び商品認証方法

【課題】電子商取引において、商品購入者が、商品購入時に商品が偽造品又は盗難品であるか否かを、また商品受領時に受領商品が購入商品と同一であるか否かを、自ら直接確認する商品認証システム及び商品認証方法を提供することを課題とする。
【解決手段】商取引管理企業が、商品提供者から受領した商品のデータを自らのサイトで販売すべき商品のデータとして登録する前提として、認証局に対し、商品に付された電子タグに記憶されたタグID(個々の商品に一対一に対応)をキーとして商品の流通履歴を検索させ、商品の画像データに認証IDを埋め込ませる。商品購入者は、商品購入時に、画像データに埋め込まれた認証IDをキーとして、流通履歴をチェックして商品を購入する。また、商品購入者は、商品受領時には、受領商品に付された電子タグから読み取ったタグIDと商品購入時に取得した画像データから読み取ったタグIDを突き合わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子商取引における商品認証システム及び商品認証方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インターネットを介した電子商取引において、商品購入者は、商取引管理企業が運営するショッピングサイトの商品情報を参照して、商品を購入する。商品購入時には、その商品情報が信用に値するか否かを確認する手段はなく、結果的に、偽造品、盗難品を購入するという不合理が生じうる。
特許文献1に記載の物品認証システムでは、製造メーカ所属の生産者個人を特定するDNAデータを抽出し登録する。製造メーカは、DNAデータの記載された2次元バーコードラベル又はRFID(Radio Frequency Identifier)タグを添付したうえで、製品を流通させる。商品購入者から真贋鑑定の問い合わせがあった場合に、商品提供者は、商品に添付された2次元バーコードラベル又はRFIDタグから読取ったデータと、登録されたDNAデータとを比較した上で、その結果を商品購入者へ通知することにより偽造品の購入を防止する。
【特許文献1】特開2002−157570号公報(段落0004〜0007、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特許文献1に記載の発明によれば、偽造品であるか否かの判断はできるが、流通過程において盗難された商品であるか否かの判断はできない。
また、商品購入者は、商品購入前に真贋鑑定の問い合わせをし得るが、購入後、商品受領時に、似たような商品が送付されてきても、これが偽造品又は盗難品であるか否かの判断はできない。そしてこれらの判断は、商品提供者を介してなされるものであり、商品購入者が直接判断したという信頼性に乏しい。
更に、登録されるデータは、商品データと、生産者個人を特定するDNAデータであり、同一の生産者が多くの商品を生産する場合は、データに一意性がなく、真贋鑑定時のデータ処理に時間がかかる可能性がある。
本発明は、これらの課題に鑑み、電子商取引における取引の信頼性を向上させる商品認証システム及び商品認証方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、以下の構成を有することにより、前記課題を解決している。
商取引管理企業が、商品提供者から受領した商品のデータを自らのサイトで販売すべき商品のデータとして登録する前提として、認証局に対し、商品に付された電子タグに記憶されたタグID(個々の商品に一対一に対応)をキーとして商品の流通履歴を検索させ、電子透かし技術を用いて商品の画像データに認証IDを埋め込ませる。商品購入者は、商品購入時に、画像データに埋め込まれた認証IDをキーとして、流通履歴を確認して商品を購入する。また、商品購入者は、商品受領時には、受領商品に付された電子タグから読み取ったタグIDと商品購入時に取得した画像データから読み取ったタグIDを突き合わせて購入商品と受領商品との同一性を確認する。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、電子商取引における取引の信頼性を向上させる商品認証システム及び商品認証方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下「本実施形態」という)を、図面とフローチャートを用いて詳細に説明する。
なお、本実施形態は、一例に過ぎず、これにより本発明が限定されるものではない。
【0007】
図1は、本実施形態における、システム構成を示すブロック図である。
商取引管理企業100は、インターネット上のショッピングサイト、オークションサイト等の主催者であり、後記する商品提供者130に対しては、商品販売の場を提供し、後記する商品購入者140に対しては、商品購入の場を提供する者である。
認証局110は、他の当事者からは独立した第三者であり、販売に出される商品の画像データが、正当な流通履歴を有する商品についてのものであることを認証する。
製造メーカ等120は、取引対象たる商品の製造者又は流通業者である。
商品提供者130は、商品を製造メーカ等120から仕入れ、その商品を、インターネット上のショッピングサイト等で、販売しようとする者である。
商品購入者140は、インターネット上のショッピングサイト等にアクセスして商品を購入せんとする者である。
【0008】
商取引管理企業100の管理装置101はネットワーク160と接続されている。そして、管理装置101は、電子商取引データベース102を有している。電子商取引データベース102には、商品管理データテーブル103及び認証データテーブル104が記憶されている。
認証局110の管理装置111はネットワーク160と接続されている。そして、管理装置111は、認証データベース112を有している。認証データベース112には、流通履歴データ113が記憶されている。
製造メーカ等120の管理装置121はネットワーク160と接続されている。そして、管理装置121は、トレースデータベース122を有している。トレースデータベース122には、流通履歴データ123(既述の流通履歴データ113と同一のもの)が記憶されている。
商品提供者130の情報端末131はネットワーク160と接続されている。そして、情報端末131は、画像撮影装置132、タグ読取り装置133及び記憶装置を有している。当該記憶装置には、画像データテーブル136、商品データテーブル137、及び出荷指示データテーブル138が記憶されている。
情報端末131は、パソコンに画像撮影装置132及びタグ読取り装置133を接続した構成としてもよいし、画像撮影機能とタグ読取り機能を一体として組み込んだ携帯電話端末等としてもよい。
商品購入者140の情報端末141はネットワーク160と接続されている。そして、情報端末141は、タグ読取り装置142を有している。情報端末141は、パソコンにタグ読取り装置142を接続した構成としてもよいし、タグ読取り機能を一体として組み込んだ携帯電話端末等としてもよい。
商品134、143は、製造メーカ等120により電子タグ135、144が付されており、その状態で、商品提供者130から、商品購入者140へ販売される。
電子タグには、個々の商品に対し一対一に対応したタグID(電子タグに固有の識別子)が埋め込まれており、このタグIDは、RFID技術により読取り可能である。
ちなみに、本願出願人のミューチップ(登録商標)は、小型・低コスト・読取りが確実であること等から、電子タグ135、144として好適に用いることができる。
【0009】
図2は、本実施形態における、ハードウエア構成図である。
商取引管理企業100の管理装置101、認証局110の管理装置111、製造メーカ等120の管理装置122、商品提供者130の情報端末131及び商品購入者140の情報端末141のハードウエア構成を、既述説明と一部重複するが簡単に説明する。
管理装置101、111、121及び情報端末131、141はいずれも、CPU201、主記憶装置202、通信回路インターフェース203、補助記憶装置204及び入出力装置205から構成される。これらは相互にバス206で接続されている。CPU201は、管理装置又は情報端末の動作全体を統括制御する。既述の各種データベース等は補助記憶装置204に記憶され、処理手順に従って主記憶装置202にロードされる。通信回路インターフェース203は、ネットワークとの接続を行う。入出力装置205は、キーボード、表示装置等であり、情報端末131、141、における画像読取り装置132及びタグ読取り装置133、142も含む。
【0010】
図3〜図8は、各種データ及びデータテーブルである。以下、図1を参照しつつ、図3〜図8に沿って各種データ及びデータテーブルを説明する。
【0011】
図3は、商品提供者130の情報端末131の記憶装置が記憶する、画像データテーブル136の一例である。
図3に示すように、画像データテーブル136は、商品に固有の識別子である商品IDが記憶される商品ID欄301、商品の外観等を撮影した画像データ(画像データのファイル名)が記憶(登録)される画像データ欄302、電子タグに固有の識別子であるタグIDが記憶されるタグID欄303、タグID欄に記憶されているタグIDを読み取ったタグ読取り装置133に固有の識別子であるリーダIDが記憶されるリーダID欄304、及びタグIDの読み取り日時が記憶される読取り日時欄305を有している。
ちなみに、この画像データテーブル136の第1行目(1番目のレコード)は、商品IDが“00001”の商品の画像データが“aaaaa.jpg”であり、その商品に付された電子タグのタグIDが“1000001”であり、当該タグIDを読み取ったタグ読取り装置133のリーダIDが“2000001”であり、読取り日時が“2007.03.26 10:00”であることを示している。
【0012】
図4は、商品提供者130の情報端末131の記憶装置が記憶する、商品データテーブル137の一例である。
図4に示すように、商品データテーブル137は、商品に固有の識別子である商品IDが記憶される商品ID欄311、商品名が記憶される商品名欄312、及び商品の価格が記憶される価格欄313を有している。ちなみに、この商品データテーブル137の1行目は、商品IDが“00001”の商品の商品名が“○○TV25V”であり、価格が“100000円”であることを示している。
【0013】
図5は、製造メーカ等120の管理装置121のトレースデータベース122が記憶する、流通履歴データ123の一例である。
図5に示すように、流通履歴データ123は、電子タグに固有の識別子であるタグIDが記憶されるタグID欄321、商品の入出荷情報や販売状況等の状態を示すステータスが記憶されるステータス欄322、ステータスの状態が変化したときの日時が記憶される登録日時欄323、ステータスと関連付けられた場所が記憶される場所欄324、及び場所欄324に記憶された場所を所有するもの(登録者)の名前が記憶される登録者欄325を有する。
ちなみに、この流通履歴データ123の1行目は、タグIDが“1000001”の電子タグが付された商品が、“2007.03.01 10:00”に“(株)○○製作所”の“○○工場”から“工場出荷”されたことを示している。また、詳細は後記するが、この流通履歴データ123の第1行〜第3行では、同一の商品についての情報が記憶されており、これらの記憶内容は、タグIDが“1000001”の電子タグが付された商品が、“○○工場”から出荷されて“××店”に入荷され、同店で販売されたことを示している。
なお、本実施形態では、管理装置111の認証データベース112の流通履歴データ113は、このトレースデータベース122の流通履歴データベース123と同じ内容のものになる(図1の破線矢印参照)。
【0014】
図6は、商取引管理企業100の管理装置101の電子商取引データベース102が記憶する、商品管理データテーブル103の一例である。
図6に示すように、商品管理データテーブル103は、商取引管理企業100において自動採番される商品管理IDが記憶される商品管理ID欄331、認証局110によって認証された画像データ(画像データのファイル名)が記憶(登録)される画像データ欄332、電子タグに固有の識別子であるタグIDが記憶されるタグID欄333、商品名が記憶される商品名欄334、商品の価格が記憶される価格欄335、電子商取引データベース102に当該レコードが記憶された日時が記憶される登録日時欄336、及び当該商品が購入された場合には“1”、未購入の場合には“0”の状態フラグが記憶される在庫フラグ欄337を有する。
ちなみに、この商品管理データテーブル103の第1行目は、商品管理IDが“3000001”の商品は画像データが“aaaaa_ok.jpg”であり、その商品に付された電子タグのタグIDが“1000001”であり、商品名が“○○TV25V”であり、価格が”100000円”であり、商取引データベース102に当該レコードが記憶された日時が“2007.03.27 9:00”であり、既に購入されていることを示している。
【0015】
図7は、商取引管理企業100の管理装置101の電子商取引データベース102が記憶する、認証データテーブル104の一例である。
図7に示すように、認証データテーブル104は、認証局110において自動採番される認証IDが記憶される認証ID欄341、商取引管理企業100において自動採番される商品管理IDが記憶される商品管理ID欄342、電子タグに固有の識別子であるタグIDが記憶されるタグID欄343、認証された画像データに埋め込まれたタグIDを復号するための復号キーが記憶される復号キー欄344、認証局110が認証した日時が記憶される認証日時欄345、最終ステータスが記憶されるステータス欄346、最終ステータスの状態となった日時が記憶される登録日時欄347、及びその商品が購入された日時が記憶される購入日時欄348を有する。
ちなみに、この認証データテーブル104の第1行目は、認証IDが“4000001”の商品は商品管理IDが“3000001”であり、その商品に付された電子タグのタグIDが“1000001”であり、復号キーが“123456”であり、認証日時が”2007.03.27 0:10”であり、最終ステータスが“小売店販売”であり、最終ステータスの状態になった登録日時が “2007.03.11 17:00”であり、商品購入日時が“2007.03.29 20:00”であることを示している。
【0016】
図8は、商品提供者130の情報端末131の記憶装置が記憶する、出荷指示データテーブル138の一例である。
図8に示すように、出荷指示データテーブル138は、商取引管理企業100において自動採番される商品管理IDが記憶される商品管理ID欄351、電子タグに固有の識別子であるタグIDが記憶されるタグID欄352、商品名が記憶される商品名欄353、商品の価格が記憶される価格欄353、及びその商品が購入された日時が記憶される購入日時欄354を有する。
ちなみに、この出荷指示データテーブル138の第1行目は、商品管理IDが“3000001”の商品はタグIDが“1000001”であり、商品名が“○○TV25V”であり、購入日時が“2007.03.29 20:00”であることを示している。
【0017】
以下、商品提供者130が出品を企図してから、最終的に商品購入者140が商品を受領するまでの流れを詳細に説明する。大きな流れとしては、以下の(1)〜(7)の流れとなる。
(1)商品提供者130が、販売したい商品の画像データやタグID等を商取引管理企業100に送付して、データの登録を求める。
(2)商取引管理企業100は、画像データの商品が、正当な流通履歴を有する商品であるか否かを、認証局110に確認させる。認証局110は、製造メーカ等120に対して流通履歴を問い合わせ、正当な流通履歴が確認できれば(“認証”できれば)、商取引管理企業100に対して、認証データを返信する。
(3)商取引管理企業100は、認証局110から認証データを受信し、商品販売の準備が完了する。
(4)商品購入者140は、商取引管理企業100の運営するサイトにアクセスし、商品の流通履歴等を確認した後に、商品を購入する。
(5)商取引管理企業100は、商品提供者130に対して販売指示を送信する。
(6)商品提供者130は、商品購入者140に対し商品を発送する。
(7)商品購入者140は、商品を受領した際、受領商品と購入商品との同一性を確認する。
【0018】
図9のフローチャートに沿って、商品提供者130における、商品登録請求時の処理手順を説明する。
商品提供者130の情報端末131は、画像撮影装置132を用いて商品134の画像を撮影する(S201)。
撮影された画像は一時的に画像撮影装置132のフラッシュメモリ(図示せず)に記憶されるものとする。次に、情報端末131は、タグ読取り装置133を用いて、商品134に付されている電子タグ135からタグIDを読取る(S202)。
情報端末131は、端末の画面(図示せず)上に、撮影した画像“aaaaa.jpg”の保存先パスと読取ったタグID“1000001”を表示させる。図示しない入力部を通じて確認ボタンが押下されれば、画像データ、タグID、リーダID及び読取り日時を、自動採番される商品IDに関連付けて、情報端末131内の画像データテーブル136(図3参照)の商品ID欄301、画像データ欄302、タグID欄303、リーダID欄304、読取り日時欄305に記憶する(S203)。
【0019】
情報端末131は、商品ID毎に商品名 “○○TV25V”及び価格“100000”等のデータを入力し、入力結果は、情報端末131内の商品データテーブル137(図4参照)の商品ID欄311、商品名欄312、価格欄313に記憶する(S204)。
情報端末131は、画像データテーブル136上に、画像データ302とタグID303が記憶されていることを確認する(S205)。
確認されれば(S205“Yes”)、商取引管理企業100の管理装置101へ、画像データ302及び関連データ(タグID303、商品名312、価格313等)をネットワーク経由で送信する(S206)。この際の商品数は、1件とは限らず複数件まとめて送信することもありうる。
画像データ302とタグID303の記憶が確認されない場合(S205“No”)は、S202に戻る。
【0020】
次に、図10のフローチャートに沿って、商取引管理企業100及び認証局110における、商品提供者130から商品登録の請求を受けた際の処理手順を説明する。
商取引管理企業100の管理装置101は、商品提供者130から、画像データ302及び関連データを受信する(S211)。この時点では、管理装置101は、とりあえず未認証フォルダ(図示せず)に当該データを保管するものとする。
管理装置101は、受信データのうち、画像データ302及びタグID303を認証局110の管理装置111へ、ネットワーク経由で送信する(S212)。
【0021】
続いて、認証局110の管理装置111は、受信したタグID303“1000001”を検索キーとして、製造メーカ等120のトレースデータベース122から、ネットワーク経由で、流通履歴データ123(図5参照。少なくとも、入出荷情報や販売状況などのステータス322や登録日時323を含む)を取得する(S213)。
【0022】
製造メーカ等120の管理装置121のトレースデータベース122においては、図5に示すごとく、自らが商品に付したタグID321に関連付けて、流通履歴データ123が記憶されている。
例えば、タグID“1000001”の電子タグが付された商品は、メーカである“(株)○○製作所”が、“2007.03.01 10:00”に“○○工場”から出荷し、続いて“2007.03.10 13:00”に、“××百貨店”の“××店”が入荷し、更に同店が、“2007.03.11 17:00”に販売した(その後の情報はない)ことが記憶されている(322、323、324、325)。
ちなみに、タグID“1000002”の電子タグが付された商品は、“(株)○○製作所”が、“2007.03.01 10:01”に“○○工場”から出荷し、続いて“2007.03.10 13:01”に、“××百貨店”の“△△店”が入荷し、その後のデータがないことから、“△△店”の在庫となっていることを示している(322、323、324、325)。
【0023】
管理装置111は、流通履歴データのなかから、例えば後記するような、偽造の判断材料となる製造メーカの出荷情報や、流通途中での盗難の判断材料となる販売情報などが読取れるか、すなわち、商品の流通履歴データは正当であるか否かを確認する(S214)。
確認の結果、流通履歴データは正当であると判断される場合(S214“Yes”)は、管理装置111は、認証データベース112に流通履歴データを記憶し(S215)、その後画像データ“aaaaa.jpg”に対して、自動採番される認証ID“4000001”、及びタグID“1000001”を電子透かしの技術により埋め込むことにより認証する(S216)。この際、タグIDについては暗号化して埋め込む。
S214において、流通履歴データが正当でないと判断されれば(S214“No”)、管理装置111は、商品登録不可データを生成し(S221)、商取引管理企業100の管理装置101に対し送信する(S222)。例えば、図5における、タグID“1000002”の電子タグが付された商品の場合のように、“××百貨店”に入荷された後、販売したという履歴がないので、盗難品であることがわかる場合が該当する。管理装置101は、商品提供者130に対し、タグID“1000002”の電子タグが付された商品は、電子商取引ができない旨通知する(S223)。
【0024】
認証局110の管理装置111は、S216の後、認証データ(認証IDの埋め込まれた画像データ“aaaaa_ok.jpg”、認証日時、画像データに埋め込まれたタグIDを復号するためのキー“123456”、タグID“1000001”及び最終ステータス“小売店販売”)を、商取引管理企業100の管理装置101に対しネットワーク経由で送信する(S217)。
【0025】
商取引管理企業100の管理装置101は、受信したタグID “1000001”をキーとして、事前に商品提供業者130から受信している商品情報(商品名334、価格335等)を検索し、受信した画像データのファイル名 “aaaaa_ok.jpg”及びタグID “1000001”と併せて、自動採番される商品管理ID “3000001”に関連付けて、電子商取引データベース102の商品管理データテーブル103(図6参照)に記憶する(S218)。これにより登録が完了したことになる。管理装置101は、実際の画像データ“aaaaa_ok.jpg”を、認証済フォルダ(図示せず)に格納し、認証局から送付されてきた復号キー “123456”、認証日時 “2007.03.11 0:10”及びステータス“小売店販売”を、電子商取引データベース102の認証データテーブル104(図7参照)に記憶する。
以上の手順が終了した段階で、流通履歴データが正当でない商品の出品は排除される。
【0026】
次に、図11のフローチャートに沿って、商品購入者140における商品購入時の処理手順を説明する。
商品購入者140の情報端末141は、商取引管理企業100の運営するショッピングサイト等を画面上に表示し、図示しない入力装置を介して会員ID及びパスワード(PW)を商取引管理企業100の管理装置101に送信する(S231)。
その後、情報端末141の画面は、商品データを参照する商品一覧表示画面に進む(S232)。続いて詳細画面に進む。
【0027】
情報端末141は、S233の詳細画面上で、商品画像を取得するか否かを問い(S233)、取得することが選択されると(S233“Yes”)、管理装置101の認証済フォルダ(図示せず)から、該当商品の画像データ“aaaaa_ok.jpg”を取得し(S234)、情報端末141内に記憶する)。さらに、情報端末141は、電子透かし検出ソフトを用いて、画像データから、認証ID“4000001”を検出する(S235)。
情報端末141は、認証IDを検索キーとして、電子商取引データベース102の認証データテーブル104に格納されている、ステータス346や認証日時345を画面上に表示する(S236)。画面表示にて商品が偽造品又は盗難品であるか否かを確認した後、商品購入手続きを行う場合は(S237“Yes”)購入画面に進み、購入手続きを行わない場合は(S237“No”)、商品一覧表示画面に戻る(S232へ戻る)。
このように、商品購入者140は、商品購入時に商品が偽造品又は盗難品であるか否かを確認した上で、商品を購入することができる。
【0028】
商品購入手続きを行うことを選択した場合に、情報端末141は、既に当該商品の画像データ “aaaaa_ok.jpg”を取得しているか否かを、商品管理データテーブル103の画像データ欄332を参照して確認する(S238)。詳細画面で画像データを取得せずに(画像を見ずに商品一覧のみを見て購入しようとして)通過したことにより(S233“No”)、画像データを未だ取得していない場合(S238“No”)、情報端末141は、自動的に画像データ “aaaaa_ok.jpg”を管理装置101の承認済フォルダから取得し(S239)、情報端末141内に記憶するものとする(S238へ戻る)。次に、情報端末141は、商品購入データ(購入商品を特定する画像データを含む、購入意思を伝えるデータ)を、商取引管理企業100の管理装置101に送信する(S240)。
【0029】
次に、図12のフローチャートに沿って、商取引管理企業100における、出荷指示の処理手順を説明する。
商品購入データを受信した管理装置101は、電子商取引データベース102の商品管理データテーブル103の在庫フラグ欄337の在庫フラグを、未購入“0”から購入“1”に変更し(S241)、認証データテーブル104の認証ID欄341の認証IDが該当するレコードの購入日時欄348に購入日時“2007.03.29 20:00”を記憶する(S242)。また同時に商品購入者140の情報端末141に対し、同じレコードの復号キー欄344に記憶されている復号キー“123456”を送信する(S243)。
【0030】
管理装置101は、商品が購入されたことを通知するために、出荷指示データを生成する(S244)。出荷指示データは、タグID、商品名及び購入日時等からなる。続いて、管理装置101は、生成された出荷指示データを商品提供者130の情報端末131に送信する(S245)。
【0031】
次に、図13のフローチャートに沿って、商品提供者130における、出荷指示を受信した際の処理手順を説明する。
商品提供者130の情報端末131は、商取引管理企業100の管理装置101から出荷指示データを受信し、情報端末131内の出荷指示データテーブル138(図8参照)に記憶する(S251)。情報端末131は、出荷指示のあった商品134に付された電子タグ135から、タグIDをタグ読取り装置133で読取り(S252)、情報端末131に格納されている出荷指示データテーブル138のタグID欄352に記憶されたタグIDと、読取ったタグIDとの間で突き合わせ(消し込み)処理する(S253)。商品提供者130は、商品購入者140に対して商品134の発送を行う(S254)。
【0032】
最後に、図14のフローチャートに沿って、商品購入者140における、商品受領時の処理手順を説明する。
商品購入者140は、商品143を受領する(S261)。受領した商品143が、購入した商品134と一致することの確認作業として、情報端末141は、まずタグ読取り装置142によって商品143に付された電子タグ144のタグID“1000001”を読取る(S262)。続いて情報端末141は、S234又はS239で取得した画像データに対して、商品購入時(S243)に受信した復号キー“123456”を用いて、タグID“1000001”を復号化し、S262で読取ったタグIDと突き合わせをする(S263)。このように、商品購入者140は、商品受領時点で、購入商品と受領商品との同一性を確認できる。
【0033】
商品購入者140は、購入商品と受領商品との一致を確認した後、更に、読取った商品の購入履歴を画面で確認する(S264)。
購入履歴を確認することが選択された場合(S264“Yes”)、情報端末141は、購入履歴確認画面を表示する。情報端末141は、S262にて取得したタグID”1000001“を検索キーとして、電子商取引データベース102の認証データテーブル104に登録された商品の購入日時348を情報端末141の画面上に表示する(S265)。
【0034】
情報端末141は、商品の受取画面を表示し、図示しない入力装置を介して受取完了ボタンが押下されると、受領確認として、タグID“1000001”とタグ読取日時“2007.03.31 12:00”を商取引管理企業100の管理装置101に送信する(S266)。管理装置101は、受信したデータに基づいて、電子商取引データベース102から該当する商品データを削除し(S267)重複購入等の防止を図る。
【0035】
本実施形態によれば、商品購入者は、商品購入前に、購入しようとする商品が偽造品又は盗難品であるか否かを、自ら直接確認できる。また、商品受領時に、受領商品が購入商品であるか否かを、自ら直接確認できる。
また、タグIDは、個々の商品に一対一に対応しているので、真贋鑑定時のデータ処理に時間を要しない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施形態における、システム構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態における、ハードウエア構成図である。
【図3】本実施形態における、画像データテーブルの一例である。
【図4】本実施形態における、商品データテーブルの一例である。
【図5】本実施形態における、流通履歴データの一例である。
【図6】本実施形態における、商品管理データテーブルの一例である。
【図7】本実施形態における、認証データテーブルの一例である。
【図8】本実施形態における、出荷指示データテーブルの一例である。
【図9】本実施形態における、商品提供者の商品登録請求時の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】本実施形態における、商取引管理企業及び認証局の、商品登録時の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】本実施形態における、商品購入者の商品購入時の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】本実施形態における、商取引管理企業の出荷指示の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】本実施形態における、商品提供者の出荷指示受信時の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】本実施形態における、商品購入者の商品受領時の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0037】
100 商取引管理企業
101 管理装置
102 電子商取引データベース
103 商品管理データテーブル
104 認証データテーブル
110 認証局
111 管理装置
112 認証データベース
113 流通履歴データ
120 製造メーカ等
121 管理装置
122 トレースデータベース
123 流通履歴データ
130 商品提供者
131 情報端末
132 画像撮影装置
133 タグ読取り装置
134 商品
135 電子タグ
136 画像データテーブル
137 商品データテーブル
138 出荷指示データテーブル
140 商品購入者
141 情報端末
142 タグ読取り装置
143 商品
144 電子タグ
160 ネットワーク
201 CPU
202 主記憶装置
203 通信回路インターフェース
204 補助記憶装置
205 入出力装置(画像撮影装置、タグ読取り装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子商取引において、商品提供者の情報端末から入力された商品に関するデータを、商取引管理企業の管理装置に記憶しておき、商品購入者の商品購入時、前記商品に関するデータを前記商品購入者の情報端末から検索することによって前記商品の信頼性を判定する、商品認証システムであって、
前記商品に付された電子タグに記憶されており、個々の前記商品に一対一に対応しているタグIDを読取り、かつ、前記商品の画像データを取得した上で、前記タグID及び前記画像データを前記商取引管理企業の前記管理装置に対して送信する商品提供者の情報端末と、
前記商品に関するデータを登録するに際して、前記画像データに係る商品が、正当な流通履歴を有する商品であることを、前記タグIDを検索キーとして認証局の管理装置に認証させることを条件とし、当該条件が満たされた場合に、前記商品に関するデータを、認証データとして記憶する、商取引管理企業の管理装置と、
商品購入時、前記商取引管理企業の前記管理装置にアクセスし、前記画像データに対し前記認証局の前記管理装置が埋め込んだ認証IDを検索キーとして、前記商取引管理企業の前記管理装置に記憶されている認証データを確認する商品購入者の情報端末と、
を有することを特徴とする商品認証システム。
【請求項2】
前記商品購入者の前記情報端末が、
商品購入時において、前記画像データに暗号化され埋め込まれた前記タグIDを復号化するための復号化キーを取得し、
更に商品受領時において、受領商品に付された電子タグから読取ったタグIDと、前記復号化キーを用いて読取った、前記画像データに埋め込まれた前記タグIDとの同一性を確認する
ものであることを特徴とする請求項1に記載の商品認証システム。
【請求項3】
電子商取引において、商品提供者の情報端末から入力された商品に関するデータを、商取引管理企業の管理装置に記憶しておき、商品購入者の商品購入時、前記商品に関するデータを前記商品購入者の情報端末から検索することによって前記商品の信頼性を判定する、商品認証方法であって、
前記商品提供者の前記情報端末は、
前記商品に付された電子タグに記憶されており、個々の前記商品に一対一に対応しているタグIDを読取り、かつ、前記商品の画像データを取得した上で、前記タグID及び前記画像データを前記商取引管理企業の前記管理装置に対して送信し、
前記商取引管理企業の前記管理装置は、
前記商品に関するデータを登録するに際して、前記画像データに係る商品が、正当な流通履歴を有する商品であることを、前記タグIDを検索キーとして認証局の管理装置に認証させることを条件とし、当該条件が満たされた場合に、前記商品に関するデータを、認証データとして記憶し、
前記商品購入者の前記情報端末は、
商品購入時、前記商取引管理企業の前記管理装置にアクセスし、前記画像データに対し前記認証局の前記管理装置が埋め込んだ認証IDを検索キーとして、前記商取引管理企業の前記管理装置に記憶されている認証データを確認すること、
を特徴とする商品認証方法。
【請求項4】
前記商品購入者の前記情報端末が、
商品購入時において、前記画像データに暗号化され埋め込まれた前記タグIDを復号化するための復号化キーを取得し、
更に商品受領時において、受領商品に付された電子タグから読取ったタグIDと、前記復号化キーを用いて読取った、前記画像データに埋め込まれた前記タグIDとの同一性を確認する
ものであることを特徴とする請求項3に記載の商品認証方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−310510(P2008−310510A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−156596(P2007−156596)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】