説明

商業取引に基づく広告

クレジットまたはデビット・カード等のポータブル消費者デバイスの使用を必要とする消費者と商人との間の取引の取引記録に広告を掲載するための方法およびシステムが開示されている。広告主は、広告のターゲットが明確になるように基準を特定してよい。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
無し。
【背景技術】
【0002】
通常の支払取引において、消費者は、取引証明として領収書等の取引記録を受け取る。取引記録は、近年電子取引記録がますます普及するようになってきているが、ほとんどの場合物理的なプリント形式で提供される。
【0003】
広告をそのような取引記録に掲載するプラクティスが知られている。例えば、食料雑貨品店で使用される領収書の巻紙の裏側に広告および/またはクーポンをプリントし、各々の取引記録が広告を含むようにすることは長い間一般的であった。しかし、これらの広告は、本質的にランダムに発行されるので、消費者をあまりうまくターゲットとしていない。
【0004】
さらに、近年になると、取引記録にダイナミック広告を提供するプラクティスが増えてきた。例えば、食料雑貨品店は、より特定の消費者の関心をターゲットにした広告を伝えるために消費者の購買パターンに関する情報をますます使用し始めた。例えば、特定の消費者にペット用品を購入するという持続的パターンがあれば、その消費者の取引記録にペット食品の広告またはクーポンを含めるかもしれない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この最近のプラクティスは、特定の消費者に関心のある可能性がより大きい広告を伝えるという効果を有する。しかし、このプラクティスには限界がある。例えば、通常、広告は、取引記録を作成する商人が提供する製品に限られる。さらに、ターゲットに広告を合わせるために使用される情報は、その商人自身が収集したものに限られる。
【0006】
したがって、外部の広告主がこの広告媒体に、より多くアクセスできるようにするというニーズや、ターゲットをより絞った広告を提供するために特定の商人には利用できないかもしれない消費者に関する追加の個人情報を活用できるようにするというニーズが存在する。さらに、第三者の広告を、顧客に取引記録を介して伝えることを認める商人には、直接の商売敵からの広告、およびその商人が関連付けられたくない事業体からの広告をフィルタリングする手段が必要かもしれない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施態様は、これらおよびその他の課題を、総合的かつ個別的に解決する。
【0008】
本発明の実施態様は、広告主から明確に消費者をターゲットにする広告を受信し、これらの広告を、例えば、支払取引、送金等の取引の取引記録に掲載するためのシステムおよび方法である。広告は、消費者が使用する金融口座に関する情報を使用して選択することができる。これらの金融口座は、クレジット・カード等のポータブル消費者デバイス、インターネット上で使用される電子トークン等に関連してよい。
【0009】
本発明の実施態様では、ポータブル消費者デバイスの使用が好ましい。しかし、パスワード等の電子トークンその他の消費者に知られている情報も、本発明の実施態様で使用してよい。
【0010】
本発明の一つの実施態様は方法である。この方法は、広告と広告選択基準を広告主から受信するステップと、消費者の使用するポータブル消費者デバイスおよび商人に関連するアクセス・デバイスが必要な取引に関する情報を受信するステップとを含む。情報は、商人からポータブル消費者デバイスに関連する発行者に送信された認証要求メッセージから抽出される。情報が広告選択基準に合う場合には、広告をアクセス・デバイスに送信する。
【0011】
本発明の別の実施態様は方法である。この方法は、ポータブル消費者デバイスを使用して商人が提供する商品またはサービスを購入するためにアクセス・デバイスとインタラクト(interact)するステップを含む。その後、アクセス・デバイスは、認証要求メッセージをポータブル消費者デバイスの発行者に送信する。認証要求メッセージから抽出された情報(例えば、ポータブル消費者デバイスのタイプまたはポータブル消費者デバイスに関連するクレジット制限)が受信され、その情報が予め定められた広告選択基準に合う場合、予め定められた広告が選択され、認証応答メッセージと共にアクセス・デバイスに送信される。認証応答メッセージおよび広告は、アクセス・デバイスで受信される。
【0012】
本発明の別の実施態様は方法である。この方法は、取引中にポータブル消費者デバイスとインタラクトするステップと、認証要求メッセージをポータブル消費者デバイスの発行者に送信するステップとを含み、認証要求メッセージから抽出された情報が、予め定められた基準に基づいて広告を選択するために使用される。認証応答メッセージが発行者から受信され、その情報が予め定められた基準に合う場合、広告も受信される。次に、認証応答メッセージおよび広告は、消費者に提供される。
【0013】
本発明の別の実施態様は、商店が作成する取引記録に掲載することを望まない広告(またはその広告に関連する広告主)を識別するための基準を受信するための方法である。
【0014】
本発明のその他の実施態様は、このような方法を具体化するシステム、コンピュータ読み取り可能媒体、アクセス・デバイス等である。
【0015】
本発明のこれらおよびその他の実施態様は、以下に、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一つの実施例によるシステムを示すブロック図。
【図2】本発明の一つの実施例による方法を示すフロー・チャート。
【図3】本発明の別の実施例による方法を示すフロー・チャート。
【図4】広告付き取引記録の一例。
【図5】通常のコンピュータ装置のサブシステムを示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施例では、支払処理組織(例えばVisa)等の組織は、オンライン広告ディレクトリーをホスト(host)するか、第三者と連携してホストすることができる。広告主は、オンライン・ディレクトリーを使用して、広告キャンペーンのターゲットとする消費者の人口統計グループを選択することができる。広告主は、彼らの広告を消費者(例えばクレジットまたはデビット・カード保有者)に、消費者が実行する取引中に「ナローキャスト(narrowcast)」してもらうことに対して手数料を支払うこともある。同様に、広告主は、オンライン・ディレクトリーを使用して、広告キャンペーンのターゲットとする特定の商店を選択してもよい。このサービスは、ターゲットの商店から取引記録に広告を掲載する前に許可を得ることが必要かもしれない。
【0018】
広告には、広告主によって提供される商品またはサービスに関連するバナー、懸賞金、クーポン等が含まれる。広告は、広告主の名前も含んでもよい。特定の商店、消費者または消費者のクラスをターゲットとすることに加えて、広告は、時刻または地域的制約に基づいて選択されること(例えば、特定の時間帯のテレビ番組の広告)もある。
【0019】
通常の支払取引において、消費者は、商店からクレジット・カードその他の何らかのポータブル消費者デバイスを使用して商品を購入できる。チェックアウト時に、商店のPOS(販売時点管理:point of sales)端末または商店と通信しているオンライン端末は、取引の承認を要求する認証要求メッセージをクレジット・カードの発行者に送信することがある。その後すぐに、発行者は、その取引を承認するか否かを決定し、認証応答メッセージが発行者から送信され、商店により受信される。認証応答メッセージは、取引が承認されたか否かを示す。認証要求メッセージの送信および認証応答メッセージの受信は、取引認証プロセスの一部でよい。
【0020】
取引認証プロセス中、商店と発行者との間の通信を容易にする支払処理組織は、消費者向け広告をオンライン・ディレクトリーから選択するために得た基準を有する広告サーバを運用するかそこにアクセスするサーバ・コンピュータと通信するかまたはそれを運用することができる。例えば、広告サーバは、消費者が個人富裕層にのみ使用される「ゴールド」カードを使用していると決定してよい。次に、広告サーバは、高級品用の広告を選択し、商店に返信される認証応答メッセージを修正して選択された広告を含むようにしてよい。その後、POS端末またはオンライン端末は、取引記録を発行し、認証応答メッセージおよびダイナミックに消費者をターゲットとする広告(例えば「この取引は、メルセデス・ベンツTMから貴方に提供されました。」)を含めてよい。ダイナミックなターゲット選択は、広告主が支払って、オンライン・広告ディレクトリーから選択した基準に基づき行われる。好ましい実施例では、広告の結果は、広告主に報告してよい。
【0021】
本発明の実施例では、POS端末またはオンライン領収書のいずれかに、広告主からのイメージおよび/またはテキストを掲載することがある。POS端末は、広告付きカラー領収書をプリントできる高品質プリンタを有してよい。取引記録が電子的オンライン・ドキュメントの形式の場合には、オンライン広告は、広告主のウェッブ・サイトにリンクすることもある。
【0022】
消費者向けに作成された広告が、ある商店のビジネスに直接関係している場合もまたしていない場合もあるが(例えば、食料雑貨品店の領収書に高級自動車の広告をプリントしてもよい。)、その商店は、それでも本発明の実施例で利益を享受できる。例えば、商店の手数料計算サイクル中(すなわち、取引実行の手数料計算時)、広告売上を商店の取引費用から相殺する(例えば、商店の手数料1,000ドルから、商店のビジネス・スペース(business space)以外での消費者向け広告の掲載のための100ドルを相殺する)ことがある。オンライン・ディレクトリー、広告サーバその他の任意のコンポーネントは、販売取引が開始された商店では、商売敵の広告が掲載されないようにするためのロジックも含むことがある。
【0023】
本発明の実施例は、多くの効果がある。例えば、従来のダイナミック広告掲載プロセスと比較して、支払処理組織等の事業体は、従来の商店がターゲット広告を選択するために使用しない消費者に関する情報を使用できる。そのような情報は、消費者が使用しているポータブル消費者デバイスおよび/またはそのポータブル消費者デバイスを用いて作成された認証要求メッセージから抽出してよい。そのような情報の例には、クレジット・カードを発行した銀行、消費者の収入レベル、消費者のクレジット制限等が含まれてよい。現在、そのような情報は、消費者向けの広告をダイナミックに選択するためには使用されていない。さらに、ダイナミックに掲載される広告は、クレジット・カード領収書等の取引記録に配置できる。通常、クレジット・カード領収書等の取引記録には、どのような広告もプリントされていない。
【0024】
また、本発明の実施例では、商店は、あるタイプの広告をフィルタリングする機会を有してもよい。例えば、ほとんどの商店は、直接の商売敵からの広告が彼らの顧客に示されないことを好むであろう。別の例では、商店は、特定の業界またはギャンブル広告等の所望しない主題の広告をフィルタリングしたいこともある。
【0025】
図1は、本発明の一つの実施例によるシステムを示すブロック図である。このシステムは、通信媒体106を介して管理ウェブ・サイト108を運用しているサーバ・コンピュータ110(a)と通信する一つ以上のクライアント・コンピュータ100(a),100(b)を備える。広告主102が広告キャンペーンを作成、管理、および監視できるように、管理ウェブ・サイト108は、オンライン広告ディレクトリーを備えてよい。
【0026】
第1クライアント・コンピュータ100(a)を使用して、広告主102は、管理ウェブ・サイト108にアクセスし、最終的に取引記録に掲載される広告イメージまたはテキストをアップロードおよび/または選択することができる。第1クライアント・コンピュータ100(a)を使用して、広告主102は、広告主の広告を見てもらいたい消費者または消費者のセットまたはタイプを識別するために使用できる基準を特定してもよい。
【0027】
第2クライアント・コンピュータ100(b)を使用して、商店104は、サーバ・コンピュータ110(a)上の管理ウェブ・サイト108と通信することができる。例えば、いくつかの実施例では、商店104は、その顧客に広告することをブロックしたい広告主を識別することを所望してもよい。
【0028】
第1および第2クライアント・コンピュータ100(a),100(b)は、適当な市販のウェブ・ブラウザを有する適当な市販のコンピュータ装置を備える。適当なクライアント・コンピュータには、Windows(登録商標)コンピュータが含まれる。
【0029】
商店104は、アクセス・デバイス104(a)を有しているかまたはそれに関連していてよい。適当なアクセス・デバイスには、販売時点管理(POS)デバイス、携帯電話、PDA,パソコン(PC)、タブレットPC、ハンドヘルド(handheld)の専用リーダ、セットトップ・ボックス、電子金銭登録機(ECR:electronic cash register)、現金自動預け払い機(ATM)、仮想金銭登録機(VCR:virtual cash register)、キオスク、セキュリティ・システム、アクセス・システム等が含まれる。アクセス・デバイス104(a)は、取引記録をプリントまたは表示するためのプリンタおよび/またはディスプレイ・デバイス等の一つ以上の出力デバイスを有する。アクセス・デバイス104(a)は、商店104から離れた位置に設置されることもある。例えば、アクセス・デバイス104(a)は、インターネットを介して商店104と通信している消費者122によって操作されるパソコンであることもある。
【0030】
サーバ・コンピュータ110(a)は、広告主が選択する広告キャンペーン用コードおよび/または広告主が彼ら自身の広告キャンペーンを作成できるようにするためのツール用コードを含む第1データ・ベース112(a)にアクセスしてよい。サーバ・コンピュータ110(a)は、支払処理組織その他の何らかの適当な事業体により運用されているかまたは提携関係にあってよい。
【0031】
通常、ここで使用されているように、「サーバ・コンピュータ」は、一台の高性能コンピュータ、またはコンピュータのクラスタ(cluster)である。例えば、サーバ・コンピュータは、巨大なメインフレーム、ミニコンピュータ・クラスタ、または一つのユニットとして機能するサーバのグループが考えられる。一つの例では、サーバ・コンピュータは、ウェブ・サーバに結合されたデータ・ベース・サーバでよい。サーバ・コンピュータは、一つ以上のクライアント・コンピュータからの要求に対して、または他のサーバ・コンピュータからの要求に対してもサービスする。
【0032】
サーバ・コンピュータ110(a)は、直接または間接的に発行者120、支払処理ネットワーク116、および取得者(acquirer)118とも通信する。通常、発行者120は、クレジットまたはデビット・カード等のポータブル消費者デバイスを消費者に発行する一つの企業体(例えば、銀行)である。消費者122は、発行者120に口座を有してよい。通常、取得者118は、商店104のために、ポータブル消費者デバイスの使用を必要とする金融取引を処理する一つの企業体(例えば銀行)である。商店104は、取得者118に口座を有してよい。企業体によっては、取得者と発行者を同時に兼ねてもよく、本発明の実施例は、そのような企業体も包含する。
【0033】
通信媒体106は、インターネットを含む任意の適当な有線または無線ネットワークを使用してよい。図1では、通信媒体106は、サーバ・コンピュータ110(a)と分離されて示されているが、代わりに、別の実施例では、サーバ・コンピュータ110(a)を含んでもよい。通信媒体106は、いくつかの実施例では、VisaNet(後述)等の支払処理ネットワーク116を備えてもよい。
【0034】
さらに、システムは、広告サーバ・コンピュータ110(b)上で動作する広告モジュール114を備える。広告サーバ・コンピュータ110(b)は、支払処理ネットワーク116およびサーバ・コンピュータ110(a)と通信してよい。これは、商店104に返信される認証応答メッセージと共にどの特定の広告を送信すべきかを決定するための基準を含む第2データ・ベース112(b)にアクセスしてよい。
【0035】
図1は、管理ウェブ・サイト108を動作させるサーバ・コンピュータ110(a)と分離され通信する広告サーバ・コンピュータ110(b)を図示しているが、代わりに、広告モジュール114は、同一サーバ・コンピュータ110(a)上で管理ウェブ・サイト108として動作することがあり、第1データ・ベース112(a)を使用してよい。そのような実施例では、サーバ・コンピュータ110(a)は、広告サーバ・コンピュータ110(b)の機能も実行してよい。
【0036】
広告サーバ・コンピュータ110(b)は、VisaNet等の支払処理ネットワーク116と通信する。適当な支払処理ネットワークは、普通のクレジットおよびデビット・カード取引を処理し、毎日、取引を清算および決済することができる。支払処理ネットワーク116は、発行者120および取得者118と通信する。
【0037】
システムは、消費者122が商店104との取引を開始するために使用するポータブル消費者デバイス124も備えてよい。通常、取引は、アクセス・デバイス104(a)とのインタラクトの後に開始され、最終的に消費者122向け広告を含む取引記録121を作成するであろう。取引記録121は、物理的に書かれた記録または電子記録を含む。
【0038】
ポータブル消費者デバイス124は、任意の適当な形式でよい。例えば、適当なポータブル消費者デバイスは、ハンドヘルドかつコンパクトで、消費者の財布および/またはポケットに入れることができる(例えば、ポケットサイズである)。これらは、スマート・カード、普通のクレジットまたはデビット・カード(磁気テープ付きマイクロプロセッサ無し)、キーチェイン(Keychain)・デバイス(例えばExxon−Mobil社から市販されているSpeedpassTM)等を含んでよい。ポータブル消費者デバイスのその他の例には、携帯電話、携帯情報端末(PDA:Personal digital asistant)、ポケットベル、ペイメント(payment)・カード、セキュリティ・カード、アクセス・カード、スマート・メディア、トランスポンダ等が含まれる。ポータブル消費者デバイスには、デビットまたはプリペイド・デバイス(例えば、デビット・カードまたはプリペイド・カード)、クレジット・デバイス(例えばクレジット・カード)、またはストアド・バリュー・デバイス(stored value device)(例えば、ギフト・カード)も含まれる。
【0039】
図1のブロック図が説明を簡単にするために簡略化されていることは明らかである。別の実施例では、図1に具体的に図示されているよりもコンポーネントが多かったり少なかったりしてよい。
【0040】
図2は、本発明の一つの実施例による方法を示すフロー・チャートである。この方法は、支払処理組織その他の何らかの適当な事業体により運用されているサーバ・コンピュータで実行できる。
【0041】
図1および図2を参照すると、広告は、広告サーバ・コンピュータ110(b)が広告主102から受信し、データ・ベース112(b)に格納される(ステップ196)。例えば、広告は、サーバ・コンピュータ110(a)で作成された後、広告サーバ・コンピュータ110(b)がサーバ・コンピュータ110(a)から受信してよい。代わりに、広告は、広告サーバ・コンピュータ110(b)を用いて作成することによって、サーバ・コンピュータ110(a)が受信することがある。特定の実施例では、広告は、広告主から支払処理組織に郵便、電子メールその他の任意の適当な通信方法で送信され、広告サーバ・コンピュータ110(b)にアップロードされてよい。
【0042】
上記のように、消費者122が受け取る取引記録121に最終的に掲載される広告は、任意の適当な形式でよい。紙の形式でもよいし、電子的形式でもよい。これには、テキスト、イメージまたは両者の組み合わせが含まれてよい。広告は、カラーや白黒でもよい。
【0043】
広告は、任意の適当な方法で商店104に送信されてよい。通常、選択された広告(すなわち、選択された広告のコード)は、将来、商店104に支払処理ネットワーク116を介して配信するために、広告モジュール114に中継されて格納されるであろう。代わりに、別の実施例では、広告に関連するイメージまたはテキストのコードは、アクセス・デバイス104(a)に事前に格納されてよい。そのような実施例では、広告モジュール114は、広告自体を商店104に送信するのではなく、アクセス・デバイス104(a)に事前に格納されている広告を識別するであろう。対照表その他の適当な識別メカニズムを用いて、アクセス・デバイス104(a)に格納されている広告と、認証応答メッセージと共に送信される広告識別子とがリンクされることがある。
【0044】
広告を提供する前後に、広告主102は、その広告を見てもらいたい消費者を識別するための基準を提供する(ステップ198)。この基準は、広告に関する上記のいずれかの方法で、広告サーバ・コンピュータ110(b)に供給されデータ・ベース112(b)に格納されることがある。そのような基準は、消費者122および/またはポータブル消費者デバイス124に関する情報を包含することができる。例えば、基準の例には、年収、地理的位置、購買パターン、信用度の範囲、ポータブル消費者デバイスのタイプ(例えば、「ゴールド」カード、「プラチナ・カード」または通常のカード)、消費者に関連する特定の銀行、消費者に関連する商店、購入した商品またはサービスのタイプ等が含まれるが、これらに限られない。これらの基準はどれでも、取引記録121に掲載される広告をダイナミックに選択するために、任意の適当な組み合わせで、本発明の実施例で使用してよい。
【0045】
ポータブル消費者デバイスのタイプ、地理的位置等の広告選択基準を使用することにより、広告を個別の消費者レベルでカスタマイズすることなく、あるクラスの消費者をターゲットにできることに注意されたい。例えば、ポータブル消費者デバイスを高所得者が使用する「ゴールド・カード」と識別することにより、広告を特定の消費者よりむしろ特定のクラスの消費者をターゲットにすることができる。これは、消費者のプライバシーが問題となるかもしれない場合、特に望ましい。
【0046】
また、広告主は、取引記録上のスペースを「争って得る」ために、支払処理組織その他の事業体に、より高額の手数料を支払うことに注意されたい。例えば、第1広告主は、第2広告主よりも高額の手数料を支払処理組織に支払ってよい。第1広告主の広告は、第2広告主の広告よりも多くまたは頻繁に取引記録に掲載されてよい。代わりに、第1広告主は、第2広告主よりも高額の手数料を支払ったことを理由に、第1広告主の広告が第2広告主の広告が取引記録に掲載される前に取引記録に掲載されてよい。
【0047】
次のステップ200において、広告基準および選択された広告は、データ・ベース112(b)に、この後の取引認証プロセスで使用するために格納される。
【0048】
取引認証プロセスの一つの例が図3を参照して説明される。図3は、本発明の一つの実施例による取引認証プロセスを説明するフロー・チャートを示す。
【0049】
通常の購入取引では、消費者122は、商店104に行き、消費者のポータブル消費者デバイス124(例えばクレジット・カード)で商品(例えば、ガソリン)を購入してよい。商店104で、消費者122は、彼のポータブル消費者デバイス124を使用して、商店104に設置されているアクセス・デバイス104(a)(例えば、商店のレジにあるPOS端末)、そうでなければ商店104と関連しているアクセス・デバイス104(a)(例えば、その上で商店のウェブ・サイトを動作させている携帯型コンピュータ)とインタラクトしてよい。例えば、ポータブル消費者デバイス124がクレジット・カードの場合には、消費者122または商店104のところで働いている店員は、そのクレジット・カードをアクセス・デバイス104(a)に通してよい。
【0050】
次に、アクセス・デバイス104(a)は、認証要求メッセージを発行者120に商店取得者118および支払処理ネットワーク116を介して送信し購入取引の承認を要求する(ステップ204)。認証要求メッセージは、購入量、商店ID、PAN(主要口座番号:primary account number)およびそれに関連する発行者BIN(銀行識別コード:bank account number)その他の情報を含んでよい。
【0051】
認証要求メッセージは、支払処理ネットワーク116を通過するので、支払処理ネットワーク116と通信する広告サーバ・コンピュータ110(b)は、認証要求メッセージを分析してよい。例えば、認証要求メッセージから抽出された情報(例えば、ポータブル消費者デバイスのタイプ、商店の位置、取引金額、発行銀行)を使用して、支払処理ネットワーク116は、広告サーバ・コンピュータ110(b)にデータ・ベース112(b)の消費者データにアクセスさせ(ステップ206)、消費者データをデータ・ベース112(b)に格納されている広告基準と比較させ(ステップ208)、次にこの取引およびこの消費者122に適切な広告を選択させ(ステップ210)。広告を選択するために使用される情報は、認証要求メッセージから得られているもの、および/またはその消費者122によって実行された以前の取引から支払処理ネットワーク116によって事前に収集され、データ・ベース112(b)に格納されているものでよい。例えば、認証要求メッセージは、単にポータブル消費者デバイスに関する口座番号を識別してよい。口座番号を用いて、その他の事前に格納されている消費者に関する情報(例えば、年齢、身長、住所)を消費者向け広告を選択するために使用してよい。
【0052】
一例として、認証要求メッセージは、ポータブル消費者デバイス124が「ゴールド・カード」であり、クレジット制限が$20,000以上の消費者、および一般的に高額の収入を有する消費者に用意されてものであることを示してよい。この情報を用いて、広告サーバ・コンピュータ110(b)は、この消費者データをデータ・ベース112(b)に格納されている広告基準と比較してよい。広告基準の例には、例えば、使用されたポータブル消費者デバイスがクレジット制限$20,000以上の場合、取引記録にメルセデス・ベンツTM等の高級車広告を掲載するようなルールを含んでよい。この場合、メルセデス・ベンツTM広告が広告サーバ・コンピュータ110(b)で選択されてよい。
【0053】
広告が選択された後、認証応答メッセージは、支払処理ネットワーク116で受信され修正されてよい(ステップ212および214)。一つの実施例では、広告サーバ・コンピュータ110(b)が消費者122向けにどの広告を選択するかを決定する一方で、認証要求メッセージが承認を受けるために発行者120に送信されてよい。認証応答メッセージは、発行者120から送信され支払処理ネットワーク116で受信された後、その選択された広告を含むように修正される(すなわち、広告のコードまたは広告を識別するコードが認証応答メッセージに含まれる)。認証応答メッセージが修正されると、それは商店104に転送される(ステップ216)。広告選択プロセスとその取引を認証するか否かの決定が並行して行われるから、このプロセスは効率的である。
【0054】
別の実施例では、広告は、最初に広告サーバ・コンピュータ110(b)で選択され、発行者120に転送する認証要求メッセージを修正するために使用することができる。次に、修正された認証要求メッセージを発行者120に送信することができる。発行者120は、その取引を承認または承認しないことができ、認証応答と広告とを含む認証応答メッセージを、商店104に支払処理ネットワーク116および取得者118を介して転送することができる。
【0055】
さらに、別の実施例では、認証要求メッセージを商店104から発行者120に取得者118および支払処理ネットワーク116を介して送信することができる。次に、発行者120は、取引を認証しても認証しなくてもよい。次に、発行者120は、認証応答メッセージを商店104に取得者118および支払処理ネットワーク116を介して返信してよい。その後、広告サーバ・コンピュータ110(b)は、広告を選択し(上述のように)、商店104に送信される認証応答メッセージを修正して選択された広告をその認証応答メッセージに含めてよい。
【0056】
選択された広告と共に認証応答メッセージが商店104で受信されると、アクセス・デバイス104(a)は、その取引の承認または非承認および選択された広告を示す認証応答メッセージをプリントしてよい(ステップ218)。プリントされた取引記録121(例えば領収書)の一例が図4に示されている。図4では、参照番号121(a)は、ダイナミックに掲載された高級車用の広告の例を示す。
【0057】
上記例では、広告選択プロセスは、発行者120と取得者118との中間で実行されているが、代わりに、本発明の別の実施例では、広告選択プロセスは、発行者120においてまたは取得者118においても実行できることは明らかである。
【0058】
本発明のその他の実施例では、商店104は、その商店104が消費者に伝えることをブロックしたい広告を識別する基準を特定することができる。その基準は、広告主の基準と同様、種々の方法で伝えてよい。例えば、その基準は、商店の直接の商売敵、または商店が関係したくないビジネスからの全ての広告をブロックすることがある。例えば、子供用品店は、アルコール飲料メーカからの広告を受け取りたくないかもしれない。その基準により、容認可能および/または容認不可の特定のタイプの広告を識別することもある。例えば、おもちゃ屋は、食料雑貨品店の広告は認めるが、アルコール飲料の広告は認めないかもしれない。これらの機能を実行するために必要なロジックまたはコンピュータ・コードは、広告サーバ・コンピュータ110(b)その他の任意のシステム・コンポーネント中に存在してよい。
【0059】
図5は、コンピュータ装置の通常のコンポーネントまたはサブシステムを示す。そのようなコンポーネントまたはそのようなコンポーネントの任意のサブセットは、アクセス・デバイス104(a)、サーバ・コンピュータ110(a)、広告サーバ・コンピュータ110(b)、クライアント・コンピュータ100(a),100(b)、または任意のコンポーネントを含む図1に示す種々のコンポーネント中に存在してよい。図4に示すサブシステムは、システム・バス775を介して相互接続されている。プリンタ774、キーボード778、固定ディスク779、ディスプレイ・アダプタ782に結合されているモニタ776等の増設サブシステムその他のサブシステムが図示されている。周辺機器、およびI/Oコントローラ771に結合する入力/出力(I/O)デバイスは、コンピュータ・システムにシリアル・ポート777等の当業技術分野で知られている多くの手段で接続することができる。例えば、シリアル・ポート777または外部インタフェース781を使用して、コンピュータ装置をインターネット等の広域ネットワーク、マウス入力デバイスまたはスキャナーに接続することができる。システム・バス775を介した相互接続は、中央処理装置773が各サブシステムと通信しシステム・メモリ772または固定ディスク779からの命令の実行、およびサブシステム間の情報交換を制御することを可能にする。システム・メモリ772および/または固定ディスク779で、コンピュータ読み取り可能媒体を具体化してよい。
【0060】
上記の方法またはこのような方法のステップは、サーバ・コンピュータのプロセッサその他の任意の適当なデバイスの組合せで実行されるソフトウェア・コードであって、Java(登録商標)、C++またはPerl等の任意の適当なコンピュータ言語を使用し、例えば、従来技術またはオブジェクト指向技術を使用するものとして具体化してよい。ソフトウェア・コードは、一連の命令またはコマンドとしてコンピュータ読み取り可能媒体、例えばランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、ハードドライブまたはフロッピー(登録商標)・ディスク等の磁気媒体、またはCD−ROM等の光媒体に格納してよい。
【0061】
本発明が、ソフトウェア、ハードウェアまたはその両者の組合せを使用して、モジュール化または一体化した制御ロジックの形式で実現することができることは明らかである。ここに提示した開示および教えに基づき、当業者にとって、本発明を実現するその他のやり方および/または方法は明らかであろう。
【0062】
上記実施例および/またはその特徴はどれでも、本発明の範囲から逸脱することなく他の実施例および/または特徴のどれとも組合せてよい。
【0063】
上記の説明は、例示でありそれに限られない。本発明の多くの変形は、開示をレビューすれば当業者には説明を読むことにより明らかであろう。したがって、本発明の範囲は、上記の説明を参照して決定されるのではなく、添付の特許請求の範囲の全範囲または等価物を考慮して決定されるべきである。
【0064】
冠詞(“a”、“an”または“the”)は、明確に反対の指示のない限り「一つ以上」の意味であることを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広告および広告選択基準を広告主から受信するステップと、
消費者が使用するポータブル消費者デバイスまたは電子トークンおよび商人に関連するアクセス・デバイスを必要とする取引に関する情報を受信するステップであって、前記情報が、前記商人から前記ポータブル消費者デバイスまたは電子トークンに関連する発行者に送信された認証要求メッセージから抽出される前記ステップと、
前記情報が前記広告選択基準に合うかを決定するステップと、を含む方法において、
前記情報が前記広告選択基準に合う場合には、前記広告を前記アクセス・デバイスに送信する方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記広告主は、手数料を支払う多くの広告主の一人であり、その他の広告主より高額を前記広告のために支払う広告主である前記方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、前記選択基準は、商人のタイプ、発行銀行、使用されているポータブル消費者デバイスまたは電子トークンのタイプ、および前記消費者の収入レベルの少なくとも一つを含む前記方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、前記認証要求メッセージは、前記商人から前記発行者に、前記商人に関連する取得者および支払処理ネットワークを介して事前に送信される前記方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法は、さらに、
前記認証要求メッセージを受信するステップと、
前記認証応答メッセージを前記アクセス・デバイスに返信するステップと、を含む前記方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、前記アクセス・デバイスは、販売時点管理端末である前記方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法を実行するためのコンピュータ・コードを含むコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項8】
請求項7記載のコンピュータ読み取り可能媒体を備えるサーバ・コンピュータ。
【請求項9】
ポータブル消費者デバイスまたは電子トークンを使用して、商人から提供される商品またはサービスを購入するために前記アクセス・デバイスとインタラクトするステップであって、アクセス・デバイスがその後認証要求メッセージを前記ポータブル消費者デバイスまたは電子トークンの発行者に送信し、前記認証要求メッセージから抽出された情報が受信され、前記情報が予め定められた広告選択基準に合う場合、予め定められた広告が選択され前記アクセス・デバイスに認証応答メッセージと共に送信される前記ステップと、
前記アクセス・デバイスで前記認証応答メッセージおよび前記広告を受信するステップと、を含む方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法において、前記アクセス・デバイスは、販売時点管理端末である前記方法。
【請求項11】
請求項9記載の方法において、前記取引は、支払取引であり、前記ポータブル消費者デバイスがペイメント・カードである前記方法。
【請求項12】
請求項9記載の方法において、前記基準は、商人のタイプ、発行銀行、使用されているポータブル消費者デバイスまたは電子トークンのタイプ、および前記消費者の収入レベルの少なくとも一つを含む前記方法。
【請求項13】
取引中にポータブル消費者デバイスまたは電子トークンとインタラクトするステップと、
認証要求メッセージを前記ポータブル消費者デバイスまたは電子トークンの発行者に送信するステップであって、前記認証要求メッセージから抽出された情報が予め定められた基準に基づいて広告を選択するために使用される前記ステップと、
認証応答メッセージを前記発行者から受信し、前記情報が前記予め定められた基準に合う場合、前記広告を受信するステップと、
前記認証応答メッセージおよび前記広告を前記消費者に提供するステップと、を含む方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、前記基準は、商人のタイプ、発行銀行、使用されているポータブル消費者デバイスまたは電子トークンのタイプ、および前記消費者の収入レベルの少なくとも一つを含む前記方法。
【請求項15】
請求項13記載の方法において、前記基準は、ポータブル消費者デバイスの特定のタイプを含む前記方法。
【請求項16】
請求項13記載の方法を実行するためのコードを含むコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項17】
請求項16記載のコンピュータ読み取り可能媒体を備えるPOS端末。
【請求項18】
広告および広告選択基準を広告主から受信する手段と、
消費者が使用するポータブル消費者デバイスまたは電子トークン、および商人に関連するアクセス・デバイスを必要とする取引に関する情報を受信する手段であって、前記情報が、前記商人から前記ポータブル消費者デバイスまたは電子トークンに関連する発行者に送信された認証要求メッセージから抽出される前記手段と、
前記情報が前記広告選択基準に合うかを決定する手段と、を備えるシステムにおいて、
前記情報が前記広告選択基準に合う場合には、前記広告を前記アクセス・デバイスに送信するシステム。
【請求項19】
取引中にポータブル消費者デバイスまたは電子トークンとインタラクトする手段と、
認証要求メッセージを前記ポータブル消費者デバイスまたは電子トークンの発行者に送信する手段であって、前記認証要求メッセージから抽出された情報が予め定められた基準に基づき広告を選択するために使用される前記手段と、
認証応答メッセージを前記発行者から受信し、前記情報が前記予め定められた基準に合う場合、前記広告を受信する手段と、
前記認証応答メッセージおよび前記広告を前記消費者に提供する手段と、を備えるシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−526376(P2010−526376A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506423(P2010−506423)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/061111
【国際公開番号】WO2008/134299
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(508168790)ビザ ユー.エス.エー.インコーポレイテッド (21)
【Fターム(参考)】