説明

噴射ノズル

【課題】略長方形状に近似した内容物の噴射量を均等な噴霧パターンにして、均等に内容物の確実な噴射ができ、被噴射面に内容物のムラの生じることのないエアゾール容器用噴射ノズルを提供する。
【解決手段】噴射ノズル4に設けた内容物の流出路5の流出先端部6に、流出路と直角に交差する拡散割溝7を当該噴射ノズルの外面から形成し、この拡散割溝の溝幅を一端から他端まで均一に形成すると共に、拡散割溝の溝深さを中心部から側端部に向かって減少させるように形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡や飛び散りのない、長方形状に近似した均等な噴霧パターンによって、塗布目的部のみ均等に内容物の確実な噴射が可能な噴射ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
エアゾール容器用の噴射角を広狭調整可能な噴射ボタンとしては以下のものが知られている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
以下図1〜3を用いて上記特許文献1に記載の噴射ボタンについて説明する。
図1は、従来のエアゾール容器で内容物の噴射領域を略長方形に制限した場合の使用時の模式図である。
図1において、1は押釦で、エアゾール容器2の図示しないステムと接続し、このステムの押圧によりエアゾール内容物の噴射を可能としている。
この押釦1にはノズル体4を形成し、ステムの押圧時にエアゾール容器の内部とノズル体を連通可能としている。
【0004】
図2は図1で使用されるノズル体4の詳細な一部破断図である。
ノズル体4には、エアゾール内容物の流出路5を軸方向に形成し、この流出路5の直径を0.5mm〜2.0mmの範囲で形成すると共に流出路5の流出先端部6を円形に形成する。
この流出先端部6の円形は、半円球状であっても良いし半円柱状であってもよいが、三角、四角等の角形ではなく、円形に形成することにより、エアゾール内容物の噴出圧力が流出先端部6の一部に偏ったり、集中したりすることなく、均一に拡散出来るものとなる。
【0005】
また、この流出先端部6には、流出路5と直角に交差する拡散割溝7をノズル体4の外面から形成し、この拡散割溝7の溝深さ及び溝幅を一端から他端まで変化させることなく均一に形成している。
即ち、溝幅tと溝深さhが一端から他端まで均一に形成されている。
そして、拡散割溝7の溝深さは、0.2mm〜3.0mmで形成すると共に溝幅を、0.15mm〜0.5mmに形成する。
【0006】
また、拡散割溝7は、底部8を流出路5の流出先端部6に0.1mm〜流出先端部円形の半径の2分の1、切り込んで形成する。この切り込みにより、拡散割溝7と流出路5の流出先端部6とが連通し、噴出口9を形成する。
【0007】
上述の如く構成したものに於て、エアゾール内容物の噴霧を行うために、押釦1を押圧してエアゾール容器2のバルブ機構(図示せず)を、ステムを介して開弁すると、エアゾール内容物がノズル体4の流出路5に流入する。
この流入したエアゾール内容物が流出先端部6に到達すると、この流出先端部6は円形に形成してあるから、エアゾール内容物の噴出圧力は流出先端部6の内面で一部に偏ったり、集中したりすることなく、均一に拡散する。
【0008】
この拡散されたエアゾール内容物は、流出先端部6から外部に噴出するが、その噴出方向は、図1に示す如く、拡散割溝7によって両側を規制され、上下方向または左右方向にのみ拡散して、一定の厚みを有する扇形に噴射される。
この扇形の噴射角度は、図3に示すノズル体の先端部の拡大図に示す、拡散割溝7の底部8を流出路5の流出先端部6に切り込んで形成した開口幅、即ち、流出先端部6の円形の円心Oと、拡散割溝7との接触角度θによって決定される。
この接触角度θが大きければ、大きな噴射角を得られるし、小さければ小さな噴射角となる。
【0009】
また、拡散割溝7は、溝深さ及び溝幅を一端から他端まで変化させることなく均一に形成したものであるから、従来例の拡散割溝7に段部を設けたり、拡散割溝7を流出路5との連通部分から広くV字型に拡開したものとは異なり、ノズルから噴出したエアゾール内容物が段部に衝突したり、急激な拡開によって発泡や、目的部外への飛び散りを生じる事がない。
そのため、塗布目的部のみへの確実な噴射と、エアゾール内容物の均質な塗布を可能とする。
【特許文献1】特開2001−205145号公報 図2、3、6及び(0023)〜(0029)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記従来のエアゾール用ノズルでは、図1に示す如く、拡散割溝7によって両側を規制されて、上下方向または左右方向にのみ拡散して、一定の厚みを有する扇形に噴射されるものであるが、図1のa,b,c,dで形成される略長方形の被噴射面の上部のa−b近傍(または下部のc−d近傍)と中央部e−f近傍とでは、内容物の噴射量に差が生じて、上下の位置によって噴射量にムラができるという問題があった。
【0011】
本発明の課題(目的)は、略長方形状に近似した内容物の噴射量を均等な噴霧パターンにして、均等に内容物の確実な噴射ができ、被噴射面に内容物のムラの生じることのないエアゾール容器用噴射ノズルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、噴射ノズルに設けた内容物の流出路の流出先端部に、流出路と直角に交差する拡散割溝を当該噴射ノズルの外面から形成し、この拡散割溝の溝幅を一端から他端まで均一に形成すると共に、拡散割溝の溝深さを中心部から側端部に向かって減少させるように形成したことを特徴とする噴射ノズル。(請求項1)
【0013】
また、前記拡散割溝の溝深さは、内容物が流出先端部から割溝の先端部まで接する長さを内容物の流出角度に関係なくほぼ一定とするように形成されていることを特徴とする。(請求項2)
また、前記流出路の流出先端部は半円球状であることを特徴とする。(請求項3)
また、前記流出路の流出先端部は半円柱状であることを特徴とする。(請求項4)
【発明の効果】
【0014】
請求項1〜4に記載の発明は、拡散割溝の溝幅を一端から他端まで均一に形成すると共に、拡散割溝の溝深さを中心部から側端部に向かって減少させるように形成することによって、均等に内容物の確実な噴射ができ、被噴射面に内容物のムラの生じることのないエアゾール容器用噴射ノズルが実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のエアゾール容器用噴射ノズルの先端部の第1の実施例の拡大図を図4に示す。
図4の(a)は噴射ノズルの側面断面図であり、(b)は正面図であり、(c)は該正面図の一点波線部における断面図である。
図4の噴射ノズル4には、内容物の通る流出路5が形成され、その先端部8に割溝7が形成されている点では図3の従来のノズル体と同様である。
本発明の噴射ノズルの特徴は、図3の従来例では、拡散割溝7の溝深さ及び溝幅を一端から他端まで変化させることなく均一に形成しているのに対して、溝幅については一端から他端まで変化させることなく均一に形成しているが、溝深さについては均一ではなく、中心部から側端にかけてほぼ半円形に形成されている点にある。
【0016】
本発明の第1の実施例の噴射ノズルでは、割溝の深さを均一ではなく、中心部から側端にかけてほぼ半円形に形成することによって、内容物の流出先端部6から割溝の先端部までの長さを内容物の流出角度に関係なくほぼ一定とすることによって、内容物が割溝に接する距離を等しくして、割溝による抵抗を均一化できるので、割溝の上下の位置によって噴射量にムラができるという問題を解決することができる。
【0017】
本発明の噴射ノズルの先端部の第2の実施例の拡大図を図5に示す。
図5の(a)は噴射ノズルの側面断面図であり、(b)は正面図であり、(c)は該正面図の一点波線部における断面図である。
図5の噴射ノズル4には、内容物の通る流出路5が形成され、その先端部8に割溝7が形成されている点では図3の従来のノズル体と同様である。
本発明の第2の実施例では、図3の従来例では、拡散割溝7の溝深さ及び溝幅を一端から他端まで変化させることなく均一に形成しているのに対して、溝幅については一端から他端まで変化させることなく均一に形成しているが、溝深さについては均一ではなく、中心部から側端にかけてほぼ半円形に形成されている点では上記第1の実施例と同様であるが、第1の実施例との違いは、流出先端部の形状にある。
図4の第1の実施例の流出先端部が図示の如く半円状になっているのに対して、図5の第2の実施例では流出先端部が直線状になっている点で相違している。
【0018】
図5の第2の実施例の噴射ノズルでも、割溝の深さを均一ではなく、中心部から側端にかけてほぼ半円形に形成することによって、内容物の流出先端部6から割溝の先端部までの長さを内容物の流出角度に関係なくほぼ一定とすることによって、内容物が割溝に接する距離を等しくして、割溝による抵抗を均一化できるので、割溝の上下の位置によって噴射量にムラができるという問題を第1の実施例と同様に解決することができる。
【0019】
なお、図4及び図5の割溝の深さを変更することによって、内容物の拡がりのパターンを調整することができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
請求項1〜4に記載の発明では、拡散割溝の溝幅を一端から他端まで均一に形成すると共に、拡散割溝の溝深さを中心部から側端部に向かって減少させるように形成することによって、均等に内容物の確実な噴射ができ、被噴射面に内容物のムラの生じることのないエアゾール容器用噴射ノズルが実現できるので、産業上の利用可能性は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】従来のエアゾール容器で内容物の噴射領域を略長方形に制限した場合の使用時の模式図である。
【図2】従来のノズル体4の詳細な一部破断図である。
【図3】従来のノズル体の先端部の拡大図である。
【図4】本発明の噴射ノズルの先端部の第1の実施例の拡大図である。
【図5】本発明の噴射ノズルの先端部の第2の実施例の拡大図である。
【符号の説明】
【0022】
4 噴射ノズル(ノズル体)
5 流出路
6 流出先端部
7 拡散割溝
8 底部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴射ノズルに設けた内容物の流出路の流出先端部に、流出路と直角に交差する拡散割溝を当該噴射ノズルの外面から形成し、この拡散割溝の溝幅を一端から他端まで均一に形成すると共に、拡散割溝の溝深さを中心部から側端部に向かって減少させるように形成したことを特徴とする噴射ノズル。
【請求項2】
前記拡散割溝の溝深さは、内容物が流出先端部から割溝の先端部まで接する長さを内容物の流出角度に関係なくほぼ一定とするように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の噴射ノズル。
【請求項3】
前記流出路の流出先端部は半円球状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の噴射ノズル。
【請求項4】
前記流出路の流出先端部は半円柱状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の噴射ノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−320775(P2006−320775A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−143442(P2005−143442)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【出願人】(000141118)株式会社丸一 (47)
【Fターム(参考)】