説明

噴射ボタン装置

【課題】カバー体及び噴射ボタンを簡単かつ安価に製造することができるようにする。
【解決手段】カバー体は、噴射ボタンの押圧操作により、内容物を噴射ボタンから噴射させる噴射可能状態と、噴射ステムから内容物を噴射させる状態に保持する内容物排出状態とに、容器本体に対して選択的に装着可能とされた噴射ボタン装置において、
噴射ボタンは、カバー体と一体成形可能となるように、連結片を介してカバー体に連結され、カバー体を容器本体に噴射可能状態に装着したときに、噴射ボタンの押圧操作により噴射ボタンがカバー体に対して噴射ステム側に移動して内容物が噴射可能になるように、前記連結片が弾性変形可能とされ、カバー体を容器本体に内容物排出状態に装着したとき、前記連結片の弾性変形を制限して噴射ボタンの噴射ステムへの押し付けを解除する方向への移動を規制するように、カバー体と噴射ボタンとの間にストッパー機構が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴射ボタンの押圧操作によって、液化ガス、ヘアスプレー、殺虫剤スプレー等の容器本体の内容物を、噴射ボタンの噴射口から噴射させるようにした噴射ボタン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液化ガス、ヘアスプレー、殺虫剤スプレー等のエアゾール容器には、容器本体の上端部に、肩部を介して口部が設けられ、口部に該口部の開口を塞ぐようにマウンテンキャップが嵌着され、このマウンテンキャップの中央部に、容器本体内の内容物を外部に噴射する噴射ステムが上方突設され、噴射ステムを押圧操作するための噴射ボタンが、噴射ステムに外嵌装着され、噴射ボタンの押圧操作によって、噴射ステムから噴射された内容物を、その噴射方向を変えて噴射ボタンの噴射口から横方向外方に噴射させるようにしたものがあり、この種の容器の噴射ボタン装置には、容器本体に突設された噴射ステムに装着される噴射ボタンと、噴射ボタンの外周を取り囲むカバー体とを備え、カバー体は、噴射ボタンを噴射ステムに装着させて、噴射ボタンの押圧操作により、噴射ステムから噴射された内容物を噴射ボタンの噴射口から噴射させる噴射可能状態と、噴射ボタンを噴射ステムに押し付けて、噴射ステムから内容物を噴射させる状態に保持する内容物排出状態とに、容器本体に対して選択的に装着可能とされたものがある(例えば特許文献1)。
【0003】
この種の噴射ボタン装置では、カバー体を容器本体に噴射可能状態に装着して、噴射ボタンの押圧操作により、噴射ステムから噴射された内容物を噴射ボタンの噴射口から噴射させる場合、噴射ボタンの押圧操作により、噴射ボタンをカバー体に対して噴射ステム側に移動する必要があり、また、カバー体を容器本体に内容物排出状態に装着して、噴射ボタンを噴射ステムに押し付けて、噴射ステムから内容物を噴射させる状態に保持する場合、噴射ボタンをカバー体に対して噴射ボタンの噴射ステムへの押し付けを解除する方向への移動を規制する必要があった。このため、従来では、噴射ボタンとカバー体とを互いに別体に形成して、噴射ボタンをカバー体に対して一定範囲内で移動自在に組み込むようにしていた(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−293388号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、従来の場合、噴射ボタンとカバー体とを互いに別々に成形する必要があるし、また、カバー体に対して別体に構成した噴射ボタンを一定範囲内で移動自在に組み込むための構造が複雑になり、カバー体及び噴射ボタンの製造や噴射ボタンのカバー体への組み込み作業が面倒で、製造コストが高く付いた。
本発明は、上記問題点に鑑み、カバー体及び噴射ボタンを簡単かつ安価に製造することができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この技術的課題を解決する本発明の技術的手段は、容器本体に突設された噴射ステムに装着される噴射ボタンと、噴射ボタンの外周を取り囲むカバー体とを備え、カバー体は、噴射ボタンを噴射ステムに装着させて、噴射ボタンの押圧操作により、噴射ステムから噴射された内容物を噴射ボタンから噴射させる噴射可能状態と、噴射ボタンを噴射ステムに押し付けて、噴射ステムから内容物を噴射させる状態に保持する内容物排出状態とに、容器本体に対して選択的に装着可能とされた噴射ボタン装置において、
噴射ボタンは、カバー体と一体成形可能となるように、連結片を介してカバー体に連結され、カバー体を容器本体に噴射可能状態に装着したときに、噴射ボタンの押圧操作により噴射ボタンがカバー体に対して噴射ステム側に移動して内容物が噴射可能になるように、前記連結片が弾性変形可能とされ、カバー体を容器本体に内容物排出状態に装着したとき、前記連結片の弾性変形を制限して噴射ボタンの噴射ステムへの押し付けを解除する方向への移動を規制するように、カバー体と噴射ボタンとの間にストッパー機構が設けられている点にある。
【0006】
また、本発明の他の技術的手段は、前記ストッパー機構は、カバー体を容器本体に内容物排出状態に装着したとき、噴射ボタンがカバー体に接当することにより、噴射ボタンの噴射ステムへの押し付けを解除する方向への移動を規制するように構成されている点にある。
また、本発明の他の技術的手段は、前記ストッパー機構は、噴射ボタンに突設した係合突起を備え、カバー体を容器本体に内容物排出状態に装着したとき、係合突起がカバー体に係合して、噴射ボタンの噴射ステムへの押し付けを解除する方向への移動を規制するように構成されている点にある。
【0007】
また、本発明の他の技術的手段は、前記ストッパー機構は、噴射ボタンに設けた係止凹部と、カバー体に設けた係合突部とを備え、カバー体を容器本体に内容物排出状態に装着したとき、カバー体の係合突部が噴射ボタンの係止凹部に係合して、噴射ボタンの噴射ステムへの押し付けを解除する方向への移動を規制するように構成されている点にある。
また、本発明の他の技術的手段は、前記噴射ボタンに、カバー体を容器本体に内容物排出状態に装着する際に、噴射ステムが摺動するステムガイド部が設けられている点にある。
【0008】
また、本発明の他の技術的手段は、前記噴射ボタンの噴射ステムへの押し付け部分に、噴射ステムから噴射された内容物を逃がすための排出溝が設けられている点にある。
また、本発明の他の技術的手段は、前記噴射ボタンに、噴射ステムから噴射された内容物を噴射ボタン内に逃がすための排出孔が設けられている点にある。
また、本発明の他の技術的手段は、前記カバー体に、第1嵌着部と第2嵌着部とが設けられ、カバー体を第1嵌着部で容器本体に装着したとき、前記噴射可能状態となり、カバー体を第2嵌着部で容器本体に装着したとき、前記内容物排出状態になるようにした点にある。
【0009】
また、本発明の他の技術的手段は、カバー体は、下部側に、円筒状の第1嵌着部と第1嵌着部の外周に位置する円筒状の外壁部とを備えると共に、第1嵌着部と外壁部との上端を連結しかつ中央部に開口を有する環状の天壁部を備え、上部側に、噴射ボタンの横方向外方を塞ぐ一対のカバー壁を備え、一対のカバー壁間の前側に、噴射窓が形成され、カバー壁間の後側に、噴射ボタンを指で押圧操作するための操作窓が形成され、噴射ボタンは、前記一対のカバー壁間であって天壁部の開口に挿通するように配置され、噴射ボタンの外周の一部が連結片を介して天壁部の開口の開口縁部に連結され、一対のカバー壁に、第2嵌着部が設けられている点にある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、噴射ボタンは連結片を介してカバー体に連結されているので、噴射ボタンとカバー体とを互いに別体に形成する必要がなくなり、噴射ボタンとカバー体とを一体に成形することにより、噴射ボタン及びカバー体の製造が簡単になる。また、カバー体に対して別体に構成した噴射ボタンを一定範囲内で移動自在に組み込むための複雑な構造が不要になるし、噴射ボタンをカバー体に組み込む作業も不要になり、カバー体及び噴射ボタンを簡単でかつ安上がりに製造することができる。しかも、カバー体を容器本体に噴射可能状態に装着したときに、連結片の弾性変形により、噴射ボタンの押圧操作によって内容物が噴射ボタンから噴射可能になるし、カバー体を容器本体に内容物排出状態に装着したとき、ストッパー機構によって、連結片の弾性変形を制限して噴射ボタンの噴射ステムへの押し付けを維持して、噴射ステムから内容物を噴射させる状態に保持することができ、内容物の噴射や排出に何ら支障を生じることもなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を図示の実施の形態に従って説明する。図1〜図5において、1は液化ガス、ヘアスプレー、殺虫剤スプレー等のエアゾール容器の容器本体で、アルミ、スチール、硝子等により構成されている。容器本体1は、円筒状に形成され、その上端部には上側に向けて徐々に小径となるように先窄まり状に傾斜した肩部2を介して小径の口部3が形成されている。口部3に該口部3の開口を塞ぐようにマウンテンキャップ4が嵌合固着されている。マウンテンキャップ4の中央部には凸部6を介して噴射ステム7が上方突設されている。噴射ステム7は下方に押圧操作されることにより、殺虫剤等の内溶物を上方に向けて噴射するようになっている。
【0012】
なお、マウンテンキャップ4は容器本体1と同様にアルミ、スチール、硝子等により構成されている。
5は噴射ステム7を押圧操作するための噴射ボタンで、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂により形成されている。噴射ボタン5は、筒軸部8と外壁部9とこれらを連結する天壁部10とを備え、筒軸部8と外壁部9との間に環状の空洞部11が形成され、筒軸部8側に、噴射ステム7に外嵌される嵌合凹部12と嵌合凹部12に連通する流路13とを有し、筒軸部8と外壁部9とに跨って噴射口14を有しており、噴射ボタン5は、嵌合凹部12を介して噴射ステム7に外嵌装着され、噴射ボタン5の押圧操作によって、噴射ステム7から上方に噴射された内容物を、その噴射方向を変えて噴射ボタン5の噴射口14から横方向(径方向、前後左右方向)外方(図例では前方)に噴射させるように構成されている。
【0013】
19は噴射ボタン5の外周を取り囲むカバー体で、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂により円筒状に形成され、容器本体1の上端部に外嵌固着されている。カバー体19は、下部側に、円筒状の第1嵌着部21と第1嵌着部21の外周に位置する円筒状の外壁部22とを備えると共に、第1嵌着部21と外壁部22との上端を連結しかつ中央部に開口20を有する環状の天壁部23を備え、上部側に、噴射ボタン5の横方向外方を塞ぐ左右一対のカバー壁24を備え、左右一対のカバー壁24間の前側に、噴射窓25が形成され、カバー壁24間の後側に、噴射ボタン5を指で押圧操作するための操作窓26が形成されている。噴射ボタン5は、前記一対のカバー壁24間であって天壁部23の開口20に挿通するように配置されている。従って、カバー体19は、噴射ボタン5の周囲を取り囲むように一対のカバー壁24と噴射窓25と操作窓26とを周方向に有している。
【0014】
カバー体19の第1嵌着部21はマウンテンキャップ4の外周部に着脱自在に外嵌され、その下端部には環状の係合突起28が設けられ、この係合突起28がマウンテンキャップ4の外周部の下端縁に下側から係合されている。これにより、カバー体19は容器本体1の上端部に不測に外れないように強固に嵌合固着される。外壁部22は第1嵌着部21の外周を取り囲み、外壁部22の下端は、容器本体1の肩部2に接当又は近接されている。
カバー体19の上端部、即ち左右一対のカバー壁24の上端部に、第2嵌着部31が設けられている。この第2嵌着部31は、一対のカバー壁24の上端部の内径を、マウンテンキャップ4の外周部の外径と略同一の大きさに形成すると共に、一対のカバー壁24の上端部内周に、マウンテンキャップ4の外周部に係脱自在に係合する環状の係合突起32を形成し、第2嵌着部31をマウンテンキャップ4の外周部に外嵌して係合突起32をマウンテンキャップ4の外周部に係合することによって、第2嵌着部31でカバー体19を容器本体1に強固に装着できるようにしたものである。
【0015】
噴射ボタン5の外壁部9の前端部が連結片35を介してカバー体19の前部(具体的には、天壁部23における開口20の開口縁部の前端部)に連結されている。これにより、噴射ボタン5は、カバー体19と一体成形可能となるように、連結片35を介してカバー体19に連結されている。また、噴射ボタン5は、カバー体19と一体に成形されて、噴射ボタン5は、噴射ボタン5の噴射口14の前方にカバー体19の噴射窓25を位置させるように、カバー体19内に配置され、噴射ボタン5がカバー体19と共に容器本体1から着脱可能になりかつカバー体19から不測に分離しないように構成されている。
【0016】
そして、第1嵌着部21をマウンテンキャップ4の外周部に外嵌することにより、カバー体19を容器本体1に装着したとき、噴射ボタン5が嵌合凹部12を介して噴射ステム7に嵌合装着され、噴射ボタン5の噴射口14の前方にカバー体19の噴射窓25を位置させて噴射口14を開放する噴射可能状態になるように、構成されている。
前記連結片35は上下方向に弾性変形可能とされ、カバー体19を容器本体1に噴射可能状態に装着したときに、連結片35の弾性変形により、噴射ボタン5の押圧操作によって噴射ボタン5がカバー体19に対して噴射ステム7側に移動して内容物が噴射可能になるように構成されている。
【0017】
また、第2嵌着部31をマウンテンキャップ4の外周部に外嵌することにより、カバー体19を容器本体1に装着したとき、噴射ボタン5の上面10aを噴射ステム7の上端に押圧して、噴射ボタン5を押圧操作した状態に保持する内容物排出状態となるように、構成されている。また、カバー体19と噴射ボタン5との間にストッパー機構37が設けられている。このストッパー機構37は、噴射ボタン5の外壁部9とカバー体19の天壁部23の開口縁部とから構成され、図5に示すように、カバー体19を容器本体1に内容物排出状態に装着したとき、噴射ボタン5がカバー体19に接当することにより、連結片35の弾性変形を制限して噴射ボタン5の噴射ステム7への押し付けを解除する方向への移動を規制するようになっている。
【0018】
従って、第1嵌着部21と第2嵌着部31とが、カバー体19の上下方向の互いに逆側に設けられ、カバー体19を第1嵌着部21で容器本体1に装着したとき、噴射可能状態となり、カバー体19を第2嵌着部31で容器本体1に装着したとき、前記内容物排出状態になり、これにより、カバー体19は、噴射可能状態と内容物排出状態とに、容器本体1に対して選択的に装着可能とされている。
上記実施の形態によれば、通常の使用時には、図1、図2、図4に示すように、第1嵌着部21をマウンテンキャップ4の外周部に外嵌することにより、カバー体19を容器本体1に装着しておけばよい。
【0019】
このとき、噴射ボタン5が嵌合凹部12を介して噴射ステムに嵌合装着され、噴射ボタン5の噴射口14の前方にカバー体19の噴射窓25を位置させて噴射口14を開放する噴射可能状態になる。従って、容器本体1内の内容物を噴射するには、指を操作窓26側から挿入して噴射ボタン5上に載せ、指で噴射ボタン5を押圧操作すればよく、噴射ボタン5の押圧操作によって、連結片35が図1に示す状態から図4に示す如く下方に弾性変形して、噴射ボタン5が後下がりに傾斜揺動して、噴射ステム7が下方に押され、噴射ステム7から上方に噴射された内容物を、その噴射方向を変えて噴射ボタン5の噴射口14からカバー体19の噴射窓25を通して横方向外方に噴射させることができる。
【0020】
なお、この噴射可能状態では、噴射ボタン5の横方向外方を塞ぐ左右一対のカバー壁24があるため、噴射ボタン5に外部のものが衝当して、噴射ボタン5が不測に噴射ステム7から外れたり、噴射ボタン5が誤って押圧操作されたりするおそれもなくなる。
次に、通常の使用後に、廃棄回収の際の爆発防止及び環境保護のために、残留内容物及び残留ガスを容器本体1から排出処理する場合、一旦、第1嵌着部21をマウンテンキャップ4の外周部から外して、カバー体19を容器本体1から取り外し、その後、図5に示すようにカバー体19をカバー壁24側を上にして設置し、このカバー体19に対して、容器本体1を上下逆さにして、容器本体1をカバー体19に対して下方に押し付けることにより、カバー体19の第2嵌着部31をマウンテンキャップ4の外周部に外嵌させて、カバー体19を容器本体1に装着すればよい。
【0021】
このとき、連結片35の上下方向への弾性変形により噴射ボタン5は後下がりに傾斜揺動した状態になるが、ストッパー機構37が働き、噴射ボタン5の外壁部9後端が、カバー体19の天壁部23の開口縁部に斜め上側から接当することにより、連結片35の弾性変形を制限して噴射ボタン5の噴射ステム7への押し付けを解除する方向への移動を規制するため、噴射ボタン5の上面10aを噴射ステム7の上端に押圧して、噴射ボタン5を押圧操作した状態に保持する内容物排出状態となり、容器本体1の内容物は、噴射ステム7から噴射ボタン5の上面10aに向けて噴射される。その結果、容器本体1の内容物であるガスは噴射ボタン5に衝当して、液状となって外方に排出される。
【0022】
従って、噴射ボタン5は連結片35を介してカバー体19に連結されているので、噴射ボタン5とカバー体19とを互いに別体に形成する必要がなくなり、噴射ボタン5とカバー体19とを一体に成形することにより、噴射ボタン5及びカバー体19の製造が簡単になる。また、カバー体19に対して別体に構成した噴射ボタン5を一定範囲内で移動自在に組み込むための複雑な構造が不要になるし、噴射ボタン5をカバー体19に組み込む作業も不要になり、カバー体19及び噴射ボタン5を簡単でかつ安上がりに製造することができる。しかも、カバー体19を容器本体1に噴射可能状態に装着したときに、連結片35の弾性変形により、噴射ボタン5の押圧操作によって内容物が噴射ボタン5から噴射可能になるし、カバー体19を容器本体1に内容物排出状態に装着したとき、ストッパー機構37によって、連結片35の弾性変形を制限して噴射ボタン5の噴射ステム7への押し付けを維持して、噴射ステム7から内容物を噴射させる状態に保持することができ、内容物の噴射や排出に何ら支障を生じることもなくなる。
【0023】
図6は他の実施形態を示し、図3に鎖線でも示すように、ストッパー機構37は、噴射ボタン5に突設した係合突起39を備え、カバー体19を容器本体1に内容物排出状態に装着したとき、係合突起39がカバー体19(天壁部23の開口縁部後端)に係合するようにし、これにより、連結片35の弾性変形を制限して噴射ボタン5の噴射ステム7への押し付けを解除する方向への移動を規制するようにしたものである。その他の点は前記実施の形態の場合と同様の構成である。
図7は他の実施形態を示し、ストッパー機構37は、噴射ボタン5(外壁部9の後端部)に設けたコの字状の係止凹部41と、カバー体19(天壁部23の開口縁部後端)に設けた係合突部42とを備え、カバー体19を容器本体1に内容物排出状態に装着したとき、カバー体19の係合突部42が噴射ボタン5の係止凹部41に係合するようにし、これにより、連結片35の弾性変形を制限して噴射ボタン5の噴射ステム7への押し付けを解除する方向への移動を規制するようにしたものである。その他の点は前記実施の形態の場合と同様の構成である。
【0024】
図8及び図9は他の実施形態を示し、噴射ボタン5にステムガイド部44が設けられている。このステムガイド部44は、天壁部10の上面10aに前側が次第に深くなるように傾斜した凹溝を形成してなり、カバー体19を容器本体1に内容物排出状態に装着する際に、噴射ステム7がステムガイド部44を摺動して、噴射ステム7を噴射ボタン5から外れないように案内する。その他の点は前記図1〜図5の実施形態の場合と同様の構成である。
図10は他の実施形態を示し、噴射ボタン5の噴射ステム7への押し付け部分に、噴射ステム7から噴射された内容物を逃がすための排出溝45が設けられている。この排出溝44は前記ステムガイド部44の底面に横方向に溝を形成してなり、噴射ステム7から噴射された内容物を横方向(左右方向)両側に逃がすようになっている。その他の点は前記図8及び図9の実施形態の場合と同様の構成である。
【0025】
図11は他の実施形態を示し、噴射ボタン5に、噴射ステム7から噴射された内容物を噴射ボタン5内に逃がすための排出孔47が設けられている。この排出孔47は、噴射ボタン5の天壁部10に前後方向に形成した大幅の第1溝48と小幅の第2溝49とから構成され、天壁部10の上面10a側が排出孔47によって噴射ボタン5の空洞部11内に連通させており、噴射ステム7から噴射された内容物を空洞部11内に逃がすようになっている。その他の点は前記図1〜図5の実施形態の場合と同様の構成である。
なお、前記実施の形態では、第1嵌着部21及び第2嵌着部31を、容器本体1のマウンテンキャップ4の外周部に外嵌することによって、カバー体19を容器本体1に対して装着するようにしているが、カバー体19の容器本体1への装着は、このような方法に限定されず、例えば、第1嵌着部21又は第2嵌着部31を、マウンテンキャップ4に内嵌することによって、第1嵌着部21又は第2嵌着部31でカバー体19を容器本体1に装着するようにしてもよい。
【0026】
また、前記実施の形態では、噴射ボタン5の押圧操作によって、内容物を噴射ボタン5の噴射口14から斜め上方に噴射させるように構成されているが、噴射ボタン5からの内容物の噴射方向は斜め上方に限定されず、横方向外方(前方)又は上方或いは斜め下方に噴射するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施の形態を示す容器の側面断面図である。
【図2】同容器の平面図である。
【図3】同噴射ボタン及びカバー体の斜視図である。
【図4】同容器の通常使用状態の側面断面図である。
【図5】同容器の内容物排出状態を示す側面断面図である。
【図6】他の実施形態を示す容器の内容物排出状態の側面断面図である。
【図7】他の実施形態を示す容器の内容物排出状態の側面断面図である。
【図8】他の実施形態を示す容器を内容物排出状態にする直前の側面断面図である。
【図9】同容器の内容物排出状態の側面断面図である。
【図10】同他の実施形態を示す容器の内容物排出状態の側面断面図である。
【図11】同他の実施形態を示す容器の内容物排出状態の側面断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 容器本体
4 マウンテンキャップ
5 噴射ボタン
7 噴射ステム
19 カバー体
20 開口
21 第1嵌着部
22 外壁部
23 天壁部
24 カバー壁
25 噴射窓
26 操作窓
31 第2嵌着部
35 連結片
37 ストッパー機構
39 係合突起
41 係止凹部
42 係合突部
44 ステムガイド部
45 排出溝
47 排出孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体(1)に突設された噴射ステム(7)に装着される噴射ボタン(5)と、噴射ボタン(5)の外周を取り囲むカバー体(19)とを備え、カバー体(19)は、噴射ボタン(5)を噴射ステム(7)に装着させて、噴射ボタン(5)の押圧操作により、噴射ステム(7)から噴射された内容物を噴射ボタン(5)から噴射させる噴射可能状態と、噴射ボタン(5)を噴射ステム(7)に押し付けて、噴射ステム(7)から内容物を噴射させる状態に保持する内容物排出状態とに、容器本体(1)に対して選択的に装着可能とされた噴射ボタン装置において、
噴射ボタン(5)は、カバー体(19)と一体成形可能となるように、連結片(35)を介してカバー体(19)に連結され、カバー体(19)を容器本体(1)に噴射可能状態に装着したときに、噴射ボタン(5)の押圧操作により噴射ボタン(5)がカバー体(19)に対して噴射ステム(7)側に移動して内容物が噴射可能になるように、前記連結片(35)が弾性変形可能とされ、カバー体(19)を容器本体(1)に内容物排出状態に装着したとき、前記連結片(35)の弾性変形を制限して噴射ボタン(5)の噴射ステム(7)への押し付けを解除する方向への移動を規制するように、カバー体(19)と噴射ボタン(5)との間にストッパー機構(37)が設けられていることを特徴とする噴射ボタン装置。
【請求項2】
前記ストッパー機構(37)は、カバー体(19)を容器本体(1)に内容物排出状態に装着したとき、噴射ボタン(5)がカバー体(19)に接当することにより、噴射ボタン(5)の噴射ステム(7)への押し付けを解除する方向への移動を規制するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の噴射ボタン装置。
【請求項3】
前記ストッパー機構(37)は、噴射ボタン(5)に突設した係合突起(39)を備え、カバー体(19)を容器本体(1)に内容物排出状態に装着したとき、係合突起(39)がカバー体(19)に係合して、噴射ボタン(5)の噴射ステム(7)への押し付けを解除する方向への移動を規制するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の噴射ボタン装置。
【請求項4】
前記ストッパー機構(37)は、噴射ボタン(5)に設けた係止凹部(41)と、カバー体(19)に設けた係合突部(42)とを備え、カバー体(19)を容器本体(1)に内容物排出状態に装着したとき、カバー体(19)の係合突部(42)が噴射ボタン(5)の係止凹部(41)に係合して、噴射ボタン(5)の噴射ステム(7)への押し付けを解除する方向への移動を規制するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の噴射ボタン装置。
【請求項5】
前記噴射ボタン(5)に、カバー体(19)を容器本体(1)に内容物排出状態に装着する際に、噴射ステム(7)が摺動するステムガイド部(44)が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の噴射ボタン装置。
【請求項6】
前記噴射ボタン(5)の噴射ステム(7)への押し付け部分に、噴射ステム(7)から噴射された内容物を逃がすための排出溝(45)が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の噴射ボタン装置。
【請求項7】
前記噴射ボタン(5)に、噴射ステム(7)から噴射された内容物を噴射ボタン(5)内に逃がすための排出孔(47)が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の噴射ボタン装置。
【請求項8】
前記カバー体(19)に、第1嵌着部(21)と第2嵌着部(31)とが設けられ、カバー体(19)を第1嵌着部(21)で容器本体(1)に装着したとき、前記噴射可能状態となり、カバー体(19)を第2嵌着部(31)で容器本体(1)に装着したとき、前記内容物排出状態になるようにしたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の噴射ボタン装置。
【請求項9】
カバー体(19)は、下部側に、円筒状の第1嵌着部(21)と第1嵌着部(21)の外周に位置する円筒状の外壁部(22)とを備えると共に、第1嵌着部(21)と外壁部(22)との上端を連結しかつ中央部に開口(20)を有する環状の天壁部(23)を備え、上部側に、噴射ボタン(5)の横方向外方を塞ぐ一対のカバー壁(24)を備え、一対のカバー壁(24)間の前側に、噴射窓(25)が形成され、カバー壁(24)間の後側に、噴射ボタン(5)を指で押圧操作するための操作窓(26)が形成され、噴射ボタン(5)は、前記一対のカバー壁(24)間であって天壁部(23)の開口(20)に挿通するように配置され、噴射ボタン(5)の外周の一部が連結片(35)を介して天壁部(23)の開口(20)の開口縁部に連結され、一対のカバー壁(24)に、第2嵌着部(31)が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の噴射ボタン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−68890(P2008−68890A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−248404(P2006−248404)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【特許番号】特許第3929066号(P3929066)
【特許公報発行日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(000241625)エム・エフ・ヴィ株式会社 (22)
【Fターム(参考)】