説明

噴霧用組成物および該組成物からなる噴霧製品

【課題】本発明は、噴霧用組成物を温度変化する環境下で長時間静置しても分離しにくく安定であり、噴霧用組成物を圧縮ガスの加圧力やポンプを用いて噴霧すると、噴霧の拡がりが大きく、さらに噴霧の勢いが弱いソフトなミストにすることができる噴霧用組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】油性成分、比重調整剤、乳化剤、水溶性基剤を含有する水分散成分を水に配合した噴霧用組成物であって、水分散成分の配合量が0.01〜2重量%である噴霧用組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴霧用組成物に関する。詳細には、圧縮ガスの加圧力やポンプを用いて噴霧した際に、噴霧の拡がりが大きく、さらに噴霧の勢いが弱いソフトなミストとすることができる噴霧用組成物に関する。また、該組成物からなる噴霧製品に関する。
【背景技術】
【0002】
保湿剤や殺菌剤などの有効成分を水に配合した水性原液を、窒素ガスなどの圧縮ガスやポンプを用いて噴霧する噴霧製品が化粧水などに多く用いられている。しかし、これら噴霧製品は噴霧の勢いが強いため、使用感に優れているとは言えないものであった。特に圧縮ガスを用いて噴霧する噴霧製品の場合は、噴霧により水性原液の量が少なくなると、水性原液を充填している容器内の空間が大きくなって内部圧力が低下し、ミスト状に噴霧しにくくなるものであった。そのため、水性原液が少なくなっても噴霧できるように、初期圧力が0.6〜0.8MPaとなるように圧縮ガスを充填しており、圧力が高い状態では噴霧の勢いが強すぎるという問題があった。
【0003】
前記問題を解決するために、噴霧の勢いを弱くし、ソフトなミスト状に噴霧できる噴霧用組成物が種々検討されている。たとえば、水に特定量の界面活性剤を配合してミセルを形成させ、視感透過率を80%以下に調整した噴霧用組成物(例えば、特許文献1参照)、また、脂肪酸の炭素数が9〜24であり、水に配合すると懸濁する油分を用いて、透過度を3〜99.5%に調整した噴霧用組成物(例えば、特許文献2参照)が知られている。これらの組成物は、噴霧の勢いが弱くソフトな噴霧状態が可能となるものであるが、長時間静置すると分離しやすく、組成物中で濃度勾配が生じ、均一な組成で噴霧できないという問題があった。
【0004】
また、水に特定の界面活性剤(脂肪酸エステル)を配合した噴霧用組成物であって、透過度が80〜99%と高く、長時間静置しても分離しにくく、さらにフィルターでろ過しても除去されにくい特徴を有する噴霧用組成物(例えば、特許文献3参照)が知られている。該組成物は、特許文献1および2の組成物と比較すると分離はしにくいものの、温度変化する環境下で長期間静置すると界面活性剤が分離しやすくなる場合があり、充分なものではなかった。
【0005】
したがって、噴霧用組成物を温度変化する環境下で長時間静置しても分離しにくく安定であり、噴霧用組成物を圧縮ガスの加圧力やポンプを用いて噴霧すると、噴霧の拡がりが大きく、さらに噴霧の勢いが弱いソフトなミストにすることができる噴霧用組成物は未だないのが現状である。
【0006】
【特許文献1】特開平11−236306号公報
【特許文献2】特開2003−226616号公報
【特許文献3】特開2005−194196号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、噴霧用組成物を温度変化する環境下で長時間静置しても分離しにくく安定であり、噴霧用組成物を圧縮ガスの加圧力やポンプを用いて噴霧すると、噴霧の拡がりが大きく、さらに噴霧の勢いが弱いソフトなミストにすることができる噴霧用組成物および該組成物からなる噴霧製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、油性成分、比重調整剤、乳化剤、水溶性基剤を含有する水分散成分および水からなる噴霧用組成物であって、水分散成分の配合量が0.01〜2重量%である噴霧用組成物に関する。
【0009】
油性成分が、トリグリセリド、ジグリセリドおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる1種以上の油脂であることが好ましい。
【0010】
油性成分の配合量が、水分散成分中5〜50重量%であることが好ましい。
【0011】
比重調整剤が、ショ糖酢酸イソ酪酸エステルであることが好ましい。
【0012】
比重調整剤の配合量が、水分散成分中3〜45重量%であることが好ましい。
【0013】
乳化剤が、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン誘導体およびこれらの混合物からなる群から選ばれる1種以上の乳化剤であることが好ましい。
【0014】
乳化剤の配合量が、水分散成分中1〜20重量%であることが好ましい。
【0015】
水溶性基剤が、2〜3価のアルコールであることが好ましい。
【0016】
水溶性基剤の配合量が、水分散成分中40〜85重量%であることが好ましい。
【0017】
また、本発明は、前記噴霧用組成物を圧縮ガスの加圧力により噴霧する噴霧製品、および、前記噴霧用組成物をポンプにより噴霧する噴霧製品に関する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の噴霧用組成物は、油性成分、比重調整剤、乳化剤、水溶性基剤を含有する水分散成分の配合量を0.01〜2重量%とすることで、温度変化する環境下で長時間静置しても分離しにくく安定であり、圧縮ガスの加圧力やポンプを用いて噴霧すると、噴霧の拡がりが大きく、さらに噴霧の勢いが弱いソフトなミストにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、油性成分、比重調整剤、乳化剤、水溶性基剤を含有する水分散成分および水からなる噴霧用組成物であって、水分散成分の配合量が0.01〜2重量%である噴霧用組成物に関する。
【0020】
本発明の噴霧用組成物は、特定の成分を配合した水分散成分が水に均一に分散しており、温度変化する環境下で長期間静置しても分離しないものであり、さらに、本発明の噴霧用組成物を圧縮ガスやポンプを用いて噴霧すると、噴霧の拡がりが大きく、かつ、噴霧の勢いが弱く、ふんわりとしたミストとすることができる。
【0021】
油性成分、比重調整剤は、乳化剤とともに水溶性基剤に配合されて水分散成分を構成し、水に添加されると乳化剤とともに均一に分散する。油性成分により、噴霧用組成物を噴霧したときの拡がりが大きくなり、噴霧方向への勢いも弱くなってソフトなミストにすることができる。
【0022】
本発明に使用される油性成分は、通常化粧品に利用できる、常温で(ここで常温とは15〜25℃の範囲を示す)液状および/またはペースト状の油剤を主成分とするものである。ここで、主成分とは、油性成分中80重量%以上含むことを言う。
【0023】
前記油剤としては、天然動植物油脂類および半合成油脂、炭化水素油、エステル油、グリセライド油、シリコーン油、脂溶性ビタミン、高級脂肪酸、高級アルコール、動植物や合成の精油成分等があげられる。
【0024】
具体的に天然動植物油脂類および半合成油脂としては、アボガド油、アマニ油アーモンド油、オリーブ油、小麦胚芽油、ゴマ油、米胚芽油、米糠油、サフラワー油、大豆油、月見草油、トウモロコシ油、菜種油、馬脂、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ヤシ油、硬化ヤシ油、落花生油、ラノリン等があげられる。
【0025】
炭化水素油としては、スクワラン、スクワレン、流動パラフィン、ワセリン等、エステル油としては、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、イソステアリン酸イソステアリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、2−エチルヘキサン酸セチル、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、コハク酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、乳酸セチル、乳酸テトラデシル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸フィトステリル、リンゴ酸ジイソステアリル、パラメトキシケイ皮酸エステル、テトラロジン酸ペンタエリスリット等があげられる。
【0026】
グリセライド油としては、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(2−エチルヘキサン酸)グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリテトラデカン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセリドなどがあげられる。シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、オクタメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロヘキサシロキサン、ステアロキシシリコーン等の高級アルコキシ変成シリコーン、アルキル変成シリコーン、高級脂肪酸エステル変性シリコーン、脂溶性ビタミンとしてはトコフェロールやその誘導体、レチノールやその誘導体等があげられる。これらの中でも安全性や水分散性の点からトリグリセリドやジグリセリド等のグリセリド油が好ましい。
【0027】
本発明に用いる油性成分は、前記具体例に限定されるものではない。また、固形状の油性成分であっても、液状を保持するのに影響がない程度であれば配合することができる。
【0028】
油性成分の配合量は、水分散成分中5〜50重量%であることが好ましく、10〜40重量%であることがより好ましい。油性成分の配合量が5重量%未満、または50重量%よりも多い場合は、水分散成分の水への分散性が低下しやすく、長期間静置すると分離する傾向がある。
【0029】
本発明に用いられる比重調整剤は、水分散成分の安定性を向上させる、さらには水分散成分を水に配合した噴霧用組成物の安定性を向上させるものであり、比重が1以上の有機化合物であることが好ましく、例えば、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、アビエチン酸があげられるが、噴霧用組成物の安定性が特に高くなる点からショ糖酢酸イソ酪酸エステルが好ましい。
【0030】
比重調整剤の配合量は、水分散成分中3〜45重量%であることが好ましく、5〜40重量%であることがより好ましい。比重調整剤の配合量が3重量%未満、または45重量%よりも多い場合は、水分散成分の水への分散性が低下しやすく、長期間静置すると分離する傾向がある。
【0031】
乳化剤は、前述の油性成分、比重調整剤とともに水溶性基剤に配合されて水分散成分を構成し、水に添加されると油性成分、比重調整剤とともに均一に分散する。乳化剤により、噴霧用組成物を噴霧したときの拡がりが大きくなり、噴霧方向への勢いも弱くなってソフトなミストにすることができる。
【0032】
乳化剤としては、たとえば、モノラウリン酸ペンタグリセリル、モノミリスチン酸ペンタグリセリル、トリミリスチン酸ペンタグリセリル、モノオレイン酸ペンタグリセリル、トリオレイン酸ペンタグリセリル、モノステアリン酸ペンタグリセリル、トリステアリン酸ペンタグリセリル、ヘキサステアリン酸ペンタグリセリル、モノイソステアリン酸ペンタグリセリル、ジイソステアリン酸ペンタグリセリル、モノカプリル酸ペンタグリセリルなどのペンタグリセリン脂肪酸エステル;モノカプリン酸デカグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、ペンタオレイン酸デカグリセリル、デカオレイン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、ジステアリン酸デカグリセリル、ペンタステアリン酸デカグリセリル、デカステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリルなどのデカグリセリン脂肪酸エステル;モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノステアリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、トリミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル、モノ・ジカプリン酸ヘキサグリセリルなどのヘキサグリセリン脂肪酸エステル;モノラウリン酸トリグリセリル、モノステアリン酸トリグリセリル、モノミリスチン酸トリグリセリル、モノオレイン酸トリグリセリルなどのトリグリセリン脂肪酸エステル;モノカプリン酸ジグリセリル、モノラウリン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ジグリセリルなどのジグリセリン脂肪酸エステルなどのポリグリセリン脂肪酸エステルや酵素分解レシチン、水素添加酵素分解レシチン、ヒドロキシレシチン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、アセチル化レシチンといったレシチン誘導体があげられ、これらを単独でまたは2種以上混合して用いることができる。これらの中でも、水への分散性に優れた水分散成分が得られやすい点から、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン誘導体が好ましく、ペンタグリセリン脂肪酸エステル、ヘキサグリセリン脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステル、酵素分解レシチン、水素添加酵素分解レシチンがより好ましい。
【0033】
乳化剤の配合量は、水分散成分中1〜20重量%であることが好ましく、特に2〜10重量%であることがより好ましい。乳化剤の配合量が1重量%未満である場合は、水分散成分の水への分散性が低下しやすく、長期間静置すると分離する傾向がある。乳化剤の配合量が20重量%よりも多い場合は、皮膚や頭髪に噴霧したときに乳化剤によるべたつき感が強くなる傾向がある。
【0034】
水溶性基剤は、水分散成分の状態では油性成分、比重調整剤、乳化剤の溶媒として作用し、水に添加されると水に溶解して油性成分、比重調整剤、乳化剤とが水に均一に分散して分離しにくくするものである。また、噴霧したときの乾燥性を調整し、使用感を向上させる効果がある。
【0035】
水溶性基剤としては、たとえば、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの炭素数が2〜6個の2または3価アルコール、エタノール、イソプロパノールなどの炭素数が2〜3個の1価アルコールなどがあげられ、これらを単独でまたは2種以上混合して用いることができる。これらの中でも、水への分散性に優れた水分散性成分が得られやすい点から、2または3価アルコールを用いることが好ましい。
【0036】
水溶性基剤の配合量は、水分散成分中40〜85重量%であることが好ましく、50〜80重量%であることがより好ましい。水溶性基剤の配合量が40重量%未満である、または85重量%よりも多い場合は、水分散成分自身の安定性が低下しやすく、さらに水に添加しても水への分散性が低下しやすく、長期間静置すると分離する傾向がある。
【0037】
水分散成分は、油性成分、比重調整剤、乳化剤を加温し、一方で水溶性基剤を加温し、油性成分、比重調整剤、乳化剤を水溶性基剤中に添加して分散(乳化)させることにより調製することができる。なお、水分散成分には、香料、防腐剤、殺菌剤などの有効成分を1〜20重量%配合しても良い。本発明で用いる水分散成分は、油性成分、比重調整剤、乳化剤が水溶性基剤中に均一に分散しており、長期間静置しても分離しないため、好ましい。
【0038】
本発明の噴霧用組成物は、前述の水分散成分を水に配合することで調製することができ、噴霧用組成物は油性成分、比重調整剤、乳化剤とが水中で均一に分散しており、温度変化する環境下で長期間静置しても分離しないものである。
【0039】
前記水分散成分の配合量は、噴霧用組成物中0.01〜2重量%であり、0.05〜1重量%であることが好ましい。水分散成分の配合量が0.01重量%未満である場合は噴霧したミストの拡がりが小さく、勢いが強くなる傾向がある。水分散成分の配合量が2重量%よりも多い場合は長期間静置すると分離しやすくなる傾向がある。
【0040】
前記水としては、たとえば、精製水、イオン交換水、生理食塩水、滅菌水などを用いることができ、特に限定されるものではない。
【0041】
水の配合量は噴霧用組成物中80〜99.99重量%であることが好ましく、85〜99.95重量%であることがより好ましい。
【0042】
なお噴霧用組成物には、水分散成分が分離しない範囲で、有効成分、1価アルコール、水溶性高分子、高級アルコールなどを配合しても良い。
【0043】
有効成分としては、たとえば、ラウリル酸メタクリレート、安息香酸メチル、フェニル酢酸メチル、ゲラニルクロトレート、ミリスチン酸アセトフェノン、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジルなどの消臭剤、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化クロルヘキシジン、感光素、パラクロルメタクレゾールなどの殺菌・防腐剤、l−メントール、カンフルなどの清涼剤、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、コラーゲン、キシリトール、ソルビトール、ヒアルロン酸、カロニン酸、乳酸ナトリウム、d,l−ピロリドンカルボン酸塩、ケラチン、カゼイン、レシチン、尿素などの保湿剤、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸モノグリセリンエステル、サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチルなどの紫外線吸収剤、グリシン、アラニン、ロイシン、セリン、トリプトファン、シスチン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニンなどのアミノ酸、ビタミンA油、レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸d,l−α−トコフェロール、ビタミンD2(エルゴカシフェロール)、d,l−α−トコフェロール、酢酸d,l−α−トコフェロール、パントテン酸、ビオチンなどのビタミン類、エラストラジオール、エチニルエストラジオールなどのホルモン類、アスコルビン酸、α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどの酸化防止剤、シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液などの抽出液、リドカイン、ジフェンヒドラミン、酢酸トコフェロール、グリチルリチン酸ジカリウムなどの鎮痒剤、酸化亜鉛、アラントインヒドロキシアルミニウム、タンニン酸、クエン酸、乳酸などの収斂剤、アラントイン、グリシルレチン酸、アズレンなどの抗炎症剤、塩酸ジブカイン、塩酸テトラカイン、塩酸リドカインなどの局所麻酔剤、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミンなどの抗ヒスタミン剤、N,N−ジエチルトルアミドなどの害虫忌避剤、香料などがあげられる。
【0044】
有効成分を配合する場合の配合量は、噴霧用組成物中0.01〜20重量%であることが好ましく、0.1〜15重量%であることがより好ましい。有効成分の配合量が0.01重量%未満であると、有効成分の濃度が少なく所望の効果を得るには多量に噴霧することが必要となる傾向があり、20重量%よりも多い場合は、有効成分濃度が高くなりすぎるため分離しやすくなる傾向がある。
【0045】
前記1価アルコールは、水に溶解しないまたは溶解しにくい有効成分などを配合する、などの目的で用いられ、エタノール、イソプロパノールなどがあげられる。
【0046】
1価アルコールを配合する場合の配合量は、噴霧用組成物中0.1〜10重量%であることが好ましく、0.5〜5重量%であることが好ましい。1価アルコールの配合量が0.1重量%未満であると前述の効果が得られにくい傾向があり、10重量%よりも多い場合は、水分散成分が溶解しやすくなって噴霧されたミストが拡がりにくく、勢いが強くなる傾向がある。
【0047】
前記水溶性高分子は、噴霧用組成物に粘性を付与して水分散成分の分散性を向上させるなどの目的で用いられ、キサンタンガム、グァーガム、カラギーナン、ゼラチン、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどがあげられる。
【0048】
前記水溶性高分子を配合する場合の配合量は、噴霧用組成物中0.001〜2重量%であることが好ましく、0.01〜1重量%であることがより好ましい。水溶性高分子の配合量が0.001重量%未満であると、前述の効果が得られにくい傾向があり、2重量%よりも多い場合は、噴霧用組成物の粘度が高くなりすぎ、ミスト状に噴霧できなくなる傾向がある。
【0049】
前記高級アルコールは、水に分散してよりソフトなミストにするなどの目的で用いられ、ホホバアルコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、ヘキサデシルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノールなどの炭素数が10〜22個の脂肪族アルコールがあげられる。
【0050】
前記高級アルコールを配合する場合の配合量は、噴霧用組成物中0.001〜5重量%であることが好ましく、0.01〜3重量%であることがより好ましい。配合量が0.001重量%未満であると、前述の効果が得られにくい傾向があり、5重量%よりも多い場合は、噴霧用組成物中で分離しやすくなる傾向がある。
【0051】
本発明の噴霧用組成物は、加圧剤と共にエアゾール容器に充填する、あるいはポンプ付きの噴霧容器に充填することによりミスト状に噴霧することができる。
【0052】
前記加圧剤としては、たとえば、窒素ガス、炭酸ガス、圧縮空気、亜酸化窒素などの圧縮ガスが用いられ、これらは単独で、または混合して用いることができる。また前記加圧剤により、35℃における圧力が0.2〜1.0MPa(ゲージ圧、以下同じ)、さらには0.3〜0.8MPaとなるように調整することが好ましい。圧力が0.2MPaよりも低い場合は容器内の噴霧用組成物が少なくなったとき圧力が低くなって噴霧し難くなり、1.0MPaよりも高い場合は噴霧の勢いが強くなり、ソフトな噴霧形態が得られない傾向がある。
【0053】
なお、噴霧用組成物を充填する容器としては、アルミやブリキなどの金属製容器、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂製容器、ガラス製容器などの耐圧性を有するものを用いることができる。
【0054】
また、本発明の噴霧用組成物は長期間静置しても分離しないため、容器内部に収縮可能な内袋を備えた二重エアゾール容器に充填することができる。この場合、内袋内部に噴霧用組成物を充填し、容器と内袋の間の空間に加圧剤を充填し、加圧剤の圧力により内袋を収縮させて噴霧用組成物を噴霧することができる。
【0055】
前記ポンプとしては特に限定がなく、たとえば、噴射部材を押し下げる、あるいはトリガー式のレバーを引くことにより容器内の噴霧用組成物をシリンダ内に吸い上げ、さらに吸い上げられた噴霧用組成物を加圧して噴霧する機構などを用いることができる。
【0056】
本発明の噴霧用組成物は、スタイリング剤、トリートメント剤、プロテクト剤などのヘアスプレー、消炎鎮痛剤、鎮痒剤、殺菌消毒剤、害虫忌避剤、制汗剤、清涼剤、化粧水、コロン、消臭剤などの人体用スプレーなどに用いることができる。
【実施例】
【0057】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0058】
評価方法を下記に示す。
【0059】
<噴霧用組成物の安定性>
(高温安定性)
実施例および比較例で得られた噴霧製品を50℃の恒温室内で1ヶ月静置したときの噴霧用組成物の外観を下記評価基準にて評価した。
○:噴霧用組成物全体に濃度勾配がなく、均一である。
△:噴霧用組成物の上部と下部とで濃度に差がある。
×:噴霧用組成物の上部で分離している。
【0060】
(低温安定性)
実施例および比較例で得られた噴霧製品を5℃の恒温室内で1ヶ月静置したときの噴霧用組成物の外観を下記評価基準にて評価した。
○:噴霧用組成物全体に濃度勾配がなく、均一である。
△:噴霧用組成物の上部と下部とで濃度に差がある。
×:噴霧用組成物の上部で分離している。
【0061】
(変温安定性)
実施例および比較例で得られた噴霧製品を12時間ごとに5℃と50℃で変化する試験装置内に1ヶ月静置したときの噴霧用組成物の外観を下記評価基準にて評価した。
○:噴霧用組成物全体に濃度勾配がなく、均一である。
△:噴霧用組成物の上部と下部とで濃度に差がある。
×:噴霧用組成物の上部で分離している。
【0062】
<噴霧角>
25℃に調整した噴霧製品を噴霧孔からの距離が10cmの位置に設置した濾紙に噴霧し、濾紙に付着し濡れている部分(略円形)の直径Rを測定し、次式により噴霧角(θ)を算出する。
噴霧角(θ)=2×tan−1(r/10)
r:半径(R/2)
○:50°より大きい
△:30〜50°
×:30°より小さい
【0063】
<到達距離>
25℃に調整した噴霧製品を噴霧孔が試験台からの高さ15cmの位置になるようセットし、試験台に対して水平な方向に噴霧し、試験台上に置いた濾紙に付着し濡れている部分の噴霧孔からの最大到達距離を測定した。
○:60cmより短い
△:60〜80cm
×:80cmより長い
【0064】
製造例1〜5
表1に示す成分を用いて水分散成分を調製した。
【0065】
【表1】

【0066】
実施例1−1
製造例1で得られた水分散成分0.1g(0.1重量%)を精製水99.9g(99.9重量%)に配合し、噴霧用組成物1を調製した。
【0067】
得られた噴霧用組成物1 60gを、透明なポリエチレンテレフタレート製耐圧容器(満注量100ml)に充填し、エアゾール用バルブを取り付けた後、容器内部の圧力が0.7MPaとなるように窒素ガスを充填した。さらに、バルブのステムに噴霧孔がφ0.3である噴霧ボタンを取り付け、噴霧製品を得た。評価結果を表2に示す。
【0068】
実施例1−2
製造例1で得られた水分散成分0.5g(0.5重量%)を、精製水を99.5g(99.5重量%)に配合し、噴霧用組成物2を調製した。噴霧用組成物2を用いた以外は実施例1−1と同様にして噴霧製品を得た。評価結果を表2に示す。
【0069】
比較例1−1
製造例1で得られた水分散成分0.005g(0.005重量%)を、精製水を99.995g(99.995重量%)に配合し、噴霧用組成物3を調製した。噴霧用組成物3を用いた以外は実施例1−1と同様にして噴霧製品を得た。評価結果を表2に示す。
【0070】
比較例1−2
製造例1で得られた水分散成分3.0g(3.0重量%)を、精製水を97.0g(97.0重量%)に配合し、噴霧用組成物4を調製した。噴霧用組成物4を用いた以外は実施例1−1と同様にして噴霧製品を得た。評価結果を表2に示す。
【0071】
実施例2
製造例2で得られた水分散成分0.5g(0.5重量%)を、精製水を99.5g(99.5重量%)に配合し、噴霧用組成物5を調製した。噴霧用組成物5を用いた以外は実施例1−1と同様にして噴霧製品を得た。評価結果を表2に示す。
【0072】
比較例2
製造例2で得られた水分散成分3.0g(3.0重量%)を、精製水を97.0g(97.0重量%)に配合し、噴霧用組成物6を調製した。噴霧用組成物6を用いた以外は実施例1−1と同様にして噴霧製品を得た。評価結果を表2に示す。
【0073】
比較例3
製造例3で得られた水分散成分0.1g(0.1重量%)を、精製水を99.9g(99.9重量%)に配合し、噴霧用組成物7を調製した。噴霧用組成物7を用いた以外は実施例1−1と同様にして噴霧製品を得た。評価結果を表2に示す。
【0074】
比較例4
製造例4で得られた水分散成分0.1g(0.1重量%)を、精製水を99.9g(99.9重量%)に配合し、噴霧用組成物8を調製した。噴霧用組成物8を用いた以外は実施例1−1と同様にして噴霧製品を得た。評価結果を表2に示す。
【0075】
比較例5
製造例5で得られた水分散成分0.1g(0.1重量%)を、精製水を99.9g(99.9重量%)に配合し、噴霧用組成物9を調製した。噴霧用組成物9を用いた以外は実施例1−1と同様にして噴霧製品を得た。評価結果を表2に示す。
【0076】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
油性成分、比重調整剤、乳化剤、水溶性基剤を含有する水分散成分および水からなる噴霧用組成物であって、水分散成分の配合量が0.01〜2重量%である噴霧用組成物。
【請求項2】
油性成分が、トリグリセリド、ジグリセリドおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる1種以上の油脂である請求項1記載の噴霧用組成物。
【請求項3】
油性成分の配合量が、水分散成分中5〜50重量%である請求項1または2記載の噴霧用組成物。
【請求項4】
比重調整剤が、ショ糖酢酸イソ酪酸エステルである請求項1〜3のいずれかに記載の噴霧用組成物。
【請求項5】
比重調整剤の配合量が、水分散成分中3〜45重量%である請求項1〜4のいずれかに記載の噴霧用組成物。
【請求項6】
乳化剤が、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン誘導体およびこれらの混合物からなる群から選ばれる1種以上の乳化剤である請求項1〜5のいずれかに記載の噴霧用組成物。
【請求項7】
乳化剤の配合量が、水分散成分中1〜20重量%である請求項1〜6のいずれかに記載の噴霧用組成物。
【請求項8】
水溶性基剤が、2〜3価のアルコールである請求項1〜7のいずれかに記載の噴霧用組成物。
【請求項9】
水溶性基剤の配合量が、水分散成分中40〜85重量%である請求項1〜8のいずれかに記載の噴霧用組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の噴霧用組成物を圧縮ガスの加圧力により噴霧する噴霧製品。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれかに記載の噴霧用組成物をポンプにより噴霧する噴霧製品。

【公開番号】特開2008−231054(P2008−231054A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−75096(P2007−75096)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000204181)太陽化学株式会社 (244)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【Fターム(参考)】