説明

嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子のモジュレーターを調製するためのプロセス

本発明は、化合物1形態A、化合物1形態A−HCl、化合物1形態Bおよび化合物1形態B−HClを含むN−(4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキサミドの固体状態形態を調製するプロセス、これらの形態の任意の組合せ、その医薬組成物、ならびにそれらを用いる治療方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願への相互参照
本願は、2009年10月23日に出願された米国仮特許出願第61/254,634号の優先権を主張する。米国仮特許出願第61/254,634号の内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(「CFTR」)のモジュレーターを作製するプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
嚢胞性線維症(CF)は、米国においておよそ30,000人の小児および成人、ならびに欧州においておよそ30,000人の小児および成人が冒されている劣性遺伝病である。CFの治療は進歩しているにもかかわらず、治癒法はない。
【0004】
CFは、種々の組織における塩および水の吸収および分泌の制御の補助を司る上皮クロライドイオンチャネルをコードする嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)遺伝子における変異によって引き起こされる。CFTRチャネル開口の確率を増大させる増強物質として公知である低分子薬物は、CFを治療するための1つの潜在的治療戦略を表す。
【0005】
具体的には、CFTRはcAMP/ATP媒介性アニオンチャネルであり、これは、吸収細胞および分泌上皮細胞を包含する様々な細胞型において発現され、ここで、膜を横断するアニオンフラックス、ならびに他のイオンチャネルおよびタンパク質の活性を制御する。上皮細胞において、CFTRの正常機能は、呼吸および消化組織を包含する体全体にわたる電解質輸送の維持のために重大である。CFTRは、6つの膜貫通ヘリックスと1つのヌクレオチド結合ドメインとをそれぞれ含有する膜貫通ドメインの縦列反復でできているタンパク質をコードする、およそ1480個のアミノ酸から構成される。2つの膜貫通ドメインは、チャネル活性および細胞トラフィッキングを制御する多数のリン酸化部位を持つ大きな極性制御(R)−ドメインによって連結されている。
【0006】
CFTRをコードする遺伝子が同定され配列決定されている(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3を参照)。この遺伝子における欠損は、CFTRにおける変異を引き起こし、ヒトの最も一般的な致死的遺伝病である嚢胞性線維症(「CF」)をもたらす。米国では、およそ2,500人に1人の乳幼児が嚢胞性線維症に冒されている。米国の総人口のうち、最大1,000万人が、明白な病的影響なしに、欠陥遺伝子の単一コピーを有している。対照的に、CF関連遺伝子の2つのコピーを持つ個体は、慢性肺疾患を包含する、CFの衰弱性の影響および致死的影響を被っている。
【0007】
CF患者において、呼吸上皮中に内因的に発現したCFTRにおける変異は、イオンおよび流体輸送における不均衡を引き起こす頂端アニオン分泌の低減につながる。結果として生じるアニオン輸送の減少は、肺における粘液貯留の強化および付随する微生物感染に寄与し、これが最終的にCF患者の死を引き起こす。CF患者は、呼吸器疾患に加えて、典型的に、胃腸の問題および治療しないまま放置すると死をもたらす膵機能不全に罹患する。加えて、嚢胞性線維症の男性の大多数は不妊であり、嚢胞性線維症の女性の間では受胎能が低下する。CF関連遺伝子の2つのコピーの深刻な影響とは対照的に、CF関連遺伝子の単一コピーを持つ個体は、コレラに対して、および下痢によって生じる脱水症に対して、抵抗性の増大を示す。おそらくこれにより、集団内の比較的高度数のCF遺伝子の説明がつくであろう。
【0008】
CF染色体のCFTR遺伝子の配列分析は、変異を引き起こす様々な疾患を明らかにした(非特許文献4;非特許文献5;および非特許文献6;非特許文献7)。これまでに、CF遺伝子において変異を引き起こす1000を超える疾患が同定されている(http://www.genet.sickkids.on.ca/cftr/app)。最もよく見られる変異は、CFTRアミノ酸配列の508位におけるフェニルアラニンの欠失であり、一般にΔF508−CFTRと称される。この変異は、嚢胞性線維症の症例のおよそ70%に生じ、重症疾患に関連する。
【0009】
ΔF508−CFTRにおける残基508の欠失は、新生タンパク質の正しいフォールディングを妨げる。この結果、変異タンパク質はERから出ることができず、原形質膜へ出入りすることができなくなる。結果として、膜中に存在するチャネル数は、野生型CFTRを発現している細胞において観察されるものよりもはるかに少ない。変異は、トラフィッキング障害(impaired trafficking)に加えて、チャネルゲーティングの欠陥をもたらす。それと同時に、膜中のチャネル数の低減およびゲーティングの欠陥は、上皮を横断するアニオン輸送の低減を招き、イオンおよび流体輸送の欠陥につながる(非特許文献8)。しかしながら、研究は、膜中のΔF508−CFTR数の低減が、野生型CFTRに満たないとはいえ機能的であることを示した(非特許文献9;Denningら、上記を参照;非特許文献10)。ΔF508−CFTRに加えて、トラフィッキング、合成および/またはチャネルゲーティングの欠陥をもたらすCFTRにおける変異を引き起こす他の疾患を上方または下方制御して、アニオン分泌を変化させ、疾患の進行および/または重症度を変更することができる場合がある。
【0010】
CFTRはアニオンに加えて様々な分子を輸送するが、この役割(アニオンの輸送)が、上皮を横断してイオンおよび水を輸送する重要な機序における1つの要素を表すことは明瞭である。他の要素は、細胞へのクロライドの取込みを司る、上皮Naチャネル、ENaC、Na/2Cl/K共輸送体、Na−K−ATPアーゼポンプおよび側底膜Kチャネルを包含する。
【0011】
これらの要素が協働して、細胞内におけるそれらの選択的発現および局在により、上皮を横断する指向性輸送を達成する。クロライドの吸収は、頂端膜上に存在するENaCおよびCFTRならびに細胞の側底面上で発現されるNa−K−ATPアーゼポンプおよびClイオンチャネルの協調活性によって起こる。腔側からのクロライドの二次能動輸送は、細胞内クロライドの蓄積を招き、次いでこれがClチャネルを介して細胞から受動的に離れ、ベクトル輸送をもたらし得る。側底面上のNa/2Cl/K共輸送体、Na−K−ATPアーゼポンプおよび側底膜Kチャネルならびに腔側のCFTRの配置は、腔側のCFTRを介するクロライドの分泌を加減する。おそらく水自体が能動的に輸送されることはないため、上皮を横断するその流量は、ナトリウムおよびクロライドのバルク流によって生成される極めて小さな経上皮浸透圧勾配によって決まる。
【0012】
上で論じた通り、ΔF508−CFTRにおける残基508の欠失は、新生タンパク質が正しくフォールディングするのを妨げ、この変異タンパク質のERからの退出不能および原形質膜への出入り不能をもたらすと考えられている。結果として、不十分な量の成熟タンパク質が原形質膜に存在し、上皮組織内におけるクロライド輸送は有意に低減される。実際に、このER機構によるABC輸送体のERプロセシングの欠陥の細胞現象は、CF疾患だけでなく、広範な他の孤立性および遺伝性疾患の基礎となることが示された。
【0013】
したがって、ヒトCFTRの野生型および変異型形態の、強力かつ選択的なCFTR増強物質が必要である。これらの変異型CFTR形態は、ΔF508del、G551D、R117H、2789+5G→Aを包含するがこれらに限定されない。
【0014】
哺乳動物の細胞膜におけるCFTRの活性を調節するために使用され得る、CFTR活性のモジュレーターおよびその組成物も必要である。
【0015】
そのようなCFTR活性のモジュレーターを使用して、CFTRにおける変異によって引き起こされる疾患を治療する方法が必要である。
【0016】
哺乳動物のエクスビボ細胞膜におけるCFTR活性を調節する方法が必要である。
【0017】
加えて、治療薬として使用するのに適切な医薬組成物において容易に使用され得る、前記化合物の安定な固体形態が必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】Gregory, R. J.ら(1990年)、Nature、347巻:382〜386頁
【非特許文献2】Rich, D. P.ら(1990年)、Nature、347巻:358〜362頁
【非特許文献3】Riordan, J. R.ら(1989年)、Science、245巻:1066〜1073頁
【非特許文献4】Cutting, G. R.ら(1990年)、Nature、346巻:366〜369頁
【非特許文献5】Dean, M.ら(1990年)、Cell、61巻:863号:870頁
【非特許文献6】Kerem, B−S.ら(1989年)、Science、245巻:1073〜1080頁
【非特許文献7】Kerem, B−S.ら(1990年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、87巻:8447〜8451頁
【非特許文献8】Quinton, P. M.(1990年)、FASEB J.、4巻:2709〜2727頁
【非特許文献9】Dalmansら(1991年)、Nature Lond.、354巻:526〜528頁
【非特許文献10】PasykおよびFoskett(1995年)、J. Cell. Biochem.、270巻:12347〜50頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、CFTRのモジュレーターとして有用な化合物の合成のためのプロセスに関する。
【0020】
一態様において、本発明は、化合物1の結晶性の形態:
【0021】
【化1】

を作製するためのプロセスであって、
(a)カップリング剤の存在下で、化合物2を化合物3と反応させるステップ
【0022】
【化2】

を含み、
カップリング剤が、2−クロロ−1,3−ジメチル−2−イミダゾリウムテトラフルオロボレート、HBTU、HCTU、2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン、HATU、HOBT/EDCおよびT3P(登録商標)からなる群から選択される、プロセスを提供する。
【0023】
式Iの化合物および薬学的に許容されるその組成物は、嚢胞性線維症、喘息、喫煙誘発性COPD、慢性気管支炎、鼻副鼻腔炎、便秘、膵炎、膵機能不全、精管の先天性両側欠損(CBAVD)によって引き起こされる男性不妊、軽度肺疾患、特発性膵炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、肝疾患、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、プロテインC欠乏症等の凝固−繊維素溶解(coagulation−fibrinolysis)欠乏症、1型遺伝性血管浮腫、家族性高コレステロール血症等の脂質プロセシング欠乏症、1型乳び血症、無βリポタンパク質血症、I細胞疾患/偽性ハーラー症候群等のリソソーム蓄積症、ムコ多糖症、サンドホフ/テイ・サックス病、クリグラー・ナジャーII型、多腺性内分泌障害/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカノーシス(Glycanosis)CDG1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、ニューロフィシン性(neurophyseal)DI、腎性DI、シャルコー・マリー・トゥース症候群、ペリツェーウス‐メルツバッハー病、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上麻痺、ピック病等の神経変性疾患、ハンチントン病、脊髄小脳失調I型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体および筋強直性ジストロフィー等の数種のポリグルタミン神経障害、ならびに遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオンタンパク質プロセシング欠損による)等の海綿状脳症、ファブリー病、シュトロイスラー‐シャインカー症候群、COPD、ドライアイ疾患、またはシェーグレン病、骨粗しょう症、骨減少症、骨折治癒機転および骨成長(骨修復、骨再生、骨吸収を低減させることおよび骨沈着を増大させることを包含する)、ゴーラム病、先天性筋強直症(トムゼン型およびベッカー型)等のクロライドチャネル病、バーター症候群III型、デント病、驚愕過剰症、てんかん、びっくり病、脂肪蓄積症、アンジェルマン症候群、ならびに、逆位を伴うPCD(カルタゲナー症候群としても公知である)、逆位および線毛形成不全を伴わないPCDを包含する線毛の構造および/または機能の遺伝障害を表す用語である先天性線毛運動不全症(PCD)を包含するがこれらに限定されない様々な疾患、障害または状態を治療するまたはその重症度を下げるのに有用である。
【0024】
一態様において、化合物1は、形態Aと称される結晶性形態である。
【0025】
別の態様において、化合物1は、形態Bと称される結晶性形態である。
【0026】
さらなる態様において、化合物1は、形態A−HClと称される結晶性形態である。
【0027】
追加の態様において、化合物1は、形態B−HClと称される結晶性形態である。
【0028】
本明細書において記述されるプロセスを使用して、形態A、形態A−HCl、形態B、形態B−HCl、またはこれらの形態の任意の組合せを含む本発明の組成物を調製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、化合物1形態Aの代表的試料のX線粉末回折パターンである。
【図2】図2は、化合物1形態Aの代表的試料のFTIRスペクトルである。
【図3】図3は、単一X線分析に基づく化合物1形態Aの立体配座構造の例示である。
【図4】図4は、化合物1形態A−HClの例示的試料のX線粉末回折パターンである。
【図5】図5は、化合物1形態A−HClの代表的試料についてのDSC曲線である。
【図6】図6は、試料重量を温度の関数として提示する、化合物1形態A−HClの代表的試料の熱重量分析によって生成される曲線である。
【図7】図7は、化合物1形態A−HClの代表的試料のFTIRスペクトルである。
【図8】図8は、化合物1形態A−HClの代表的試料の固相13C NMRスペクトルである。
【図9】図9は、化合物1形態A−HClの代表的試料の固相19F NMRスペクトルである。
【図10A】図10Aは、機器1を用いて記録された、化合物1形態Bの代表的試料についてのX線粉末回折パターンである。
【図10B】図10Bは、機器2を用いて記録された、化合物1形態Bの代表的試料についてのX線粉末回折パターンである。
【図11】図11は、化合物1形態Bの代表的試料についてのDSC曲線である。
【図12】図12は、試料重量を温度の関数として提示する、化合物1形態Bの代表的試料の熱重量分析によって生成される曲線である。
【図13】図13は、化合物1形態Bの代表的試料のFTIRスペクトルである。
【図14】図14は、化合物1形態Bの代表的試料の固相13C NMRスペクトルである。
【図15】図15は、化合物1形態Bの代表的試料の固相19F NMRスペクトルである。
【図16】図16は、化合物1形態B−HClのX線粉末回折パターンである。
【図17】図17は、化合物1形態B−HClの代表的試料についてのDSC曲線である。
【図18】図18は、試料重量を温度の関数として提示する、化合物1形態B−HClの代表的試料の熱重量分析によって生成される曲線である。
【図19】図19は、化合物1形態B−HClの代表的試料のFTIRスペクトルである。
【図20】図20は、化合物1形態B−HClの代表的試料の固相13C NMRスペクトルである。
【図21】図21は、化合物1形態B−HClの代表的試料の固相19F NMRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
発明の詳細な説明
定義
本明細書において使用される場合、別段の指示がない限り、下記の定義が当てはまるものとする。
【0031】
用語「ABC輸送体」は、本明細書において使用される場合、少なくとも1つの結合ドメインを含むABC輸送体タンパク質またはその断片を意味し、ここで、前記タンパク質またはその断片は、インビボまたはインビトロで存在する。用語「結合ドメイン」は、本明細書において使用される場合、モジュレーターと結合することができるABC輸送体上のドメインを意味する。例えば、Hwang, T. C.ら、J. Gen. Physiol.(1998年):111巻(3号)、477〜90頁を参照されたい。
【0032】
用語「CFTR」は、本明細書において使用される場合、ΔF508 CFTR、R117H CFTRおよびG551D CFTRを包含するがこれらに限定されない、制御因子活性の能力がある嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子またはその変異を意味する(例えば、CFTR変異については、http://www.genet.sickkids.on.ca/cftr/appを参照されたい)。
【0033】
用語「調節すること」は、本明細書において使用される場合、測定可能な量だけ増大または減少させることを意味する。
【0034】
用語「正常なCFTR」または「正常なCFTR機能」は、本明細書において使用される場合、喫煙、汚染、または肺において炎症を生じさせる何か等の環境要因によるいかなる機能障害もない、野生型様CFTRを意味する。
【0035】
用語「CFTRの低減」または「CFTR機能の低減」は、本明細書において使用される場合、正常未満のCFTRまたは正常未満のCFTR機能を意味する。
【0036】
用語「結晶性」は、構造単位が固定された幾何パターンまたは格子状に配置されているため、結晶性固体が厳格な長距離秩序を有する化合物または組成物を指す。結晶構造を構成している構造単位は、原子、分子またはイオンであってよい。結晶性固体は、一定の融点を示す。
【0037】
用語「実質的に結晶性」は、厳格な長距離秩序を有する固定された幾何パターンまたは格子状に主に配置されている固体材料を指す。例えば、実質的に結晶性の材料は、約85%超の結晶化度(例えば、約90%超の結晶化度、約95%超の結晶化度、または約99%超の結晶化度)を有する。用語「実質的に結晶性」は、前項において定義されている記述子「結晶性」を包含することにも留意されたい。
【0038】
本発明の目的のために、化学元素は、Periodic Table of the Elements、CAS版、Handbook of Chemistry and Physics、第75版に従って定義されている。加えて、有機化学の一般原理は、「Organic Chemistry」、Thomas Sorrell、University Science Books、Sausalito:1999年、ならびに「March’s Advanced Organic Chemistry」、第5版、Smith, M.B.およびMarch, J.編、John Wiley & Sons、New York:2001年において記述されており、それらの全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
用語「安定な」は、本明細書において使用される場合、化合物の生成、検出、ならびに好ましくは、本明細書において開示されている目的の1つまたは複数のためのそれらの回収、精製および使用を可能にする条件に供された際に、実質的に変化しない化合物を指す。いくつかの実施形態において、安定な化合物または化学的に実現可能な化合物は、水分が存在しない場合および他の化学反応条件でもない場合、少なくとも1週間40℃以下の温度に保った際に、実質的に変化しないものである。
【0040】
本発明において使用され得る適切な溶媒の例は、水、メタノール、ジクロロメタン(DCM)、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、酢酸メチル(MeOAc)、酢酸エチル(EtOAc)、酢酸イソプロピル(IPAc)、酢酸t−ブチル(t−BuOAc)、イソプロピルアルコール(IPA)、テトラヒドロフラン(THF)、メチルエチルケトン(MEK)、t−ブタノール、ジエチルエーテル(EtO)、メチル−t−ブチルエーテル(MTBE)、1,4−ジオキサンおよびN−メチルピロリドン(NMP)であるがこれらに限定されない。
【0041】
本発明において使用され得る適切なカップリング剤の例は、1−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(EDCI)、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)、2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、2−クロロ−1,3−ジメチル−2−イミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−H−ベンゾトリアゾリウム−1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−5−クロロヘキサフルオロホスフェート(HCTU)、2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジンおよび2−プロパンホスホン酸無水物(T3P(登録商標))であるがこれらに限定されない。
【0042】
本発明において使用され得る適切な塩基の例は、炭酸カリウム(KCO)、N−メチルモルホリン(NMM)、トリエチルアミン(EtN;TEA)、ジイソプロピル−エチルアミン(i−PrEtN;DIEA)、ピリジン、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)およびナトリウムメトキシド(NaOMe;NaOCH)であるがこれらに限定されない。
【0043】
加えて、別段の規定がない限り、本明細書において描写されている構造は、1種または複数種の同位体富化された原子が存在するという点でのみ異なる化合物を包含するようにも意味付けられている。例えば、重水素もしくは三重水素による水素の置換、または13Cもしくは14Cによる炭素の置換を除いて本構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。そのような化合物は、例えば、生物学的アッセイにおける分析ツールまたはプローブとして有用である。
【0044】
本発明のプロセス
概して、本発明は、CFTRのモジュレーターとして有用な化合物の合成のためのプロセスを提供する。
【0045】
化合物1の調製
一態様において、本発明は、化合物1の結晶性の形態:
【0046】
【化3】

を作製するためのプロセスであって、
(a)カップリング剤の存在下で、化合物2を化合物3と反応させるステップ
【0047】
【化4】

を含み、
カップリング剤が、2−クロロ−1,3−ジメチル−2−イミダゾリウムテトラフルオロボレート、HBTU、HCTU、2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン、HATU、HOBT/EDCおよびT3P(登録商標)からなる群から選択される、プロセスを提供する。
【0048】
この実施形態の別の態様において、化合物3はHCl塩であってよい。
【0049】
この実施形態の一態様において、化合物2と化合物3とのカップリングは、KCO、EtN、N−メチルモルホリン(NMM)、ピリジンまたはジイソプロピルエチルアミン(DIEA)等の塩基の存在下で実施される。
【0050】
この実施形態の別の態様において、化合物2と化合物3とのカップリングは、ピリジンまたはDIEAの存在下で実施される。
【0051】
この実施形態の別の態様において、化合物2と化合物3とのカップリングは、ピリジンの存在下で実施される。
【0052】
この実施形態の別の態様において、化合物2と化合物3とのカップリングは、溶媒の存在下で実施される。一態様において、溶媒は極性非プロトン性溶媒である。例えば、溶媒は、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミドまたは2−メチルテトラヒドロフランからなる群から選択される。より詳細には、溶媒は2−メチルテトラヒドロフランである。
【0053】
この実施形態の別の態様において、化合物2と化合物3とのカップリングは、30℃から80℃の間に維持される反応温度で実施される。さらなる態様において、化合物2と式3のアニリンとのカップリングは、30℃から80℃の間(例えば、約40℃から78℃の間、約45℃から75℃の間、約50℃から70℃の間、約62℃から68℃の間、または約65℃)に維持される反応温度で実施される。例えば、化合物2と化合物3とのカップリングは、約65℃に維持される反応温度で実施される。
【0054】
この実施形態の別の態様において、化合物1は固体形態Aである。
【0055】
別の実施形態において、本発明は、前項において記述されているプロセスによって調製される化合物1を提供する。
【0056】
【化5】

化合物1形態Aの調製
別の実施形態において、本発明は、固体形態Aを有する化合物1:
【0057】
【化6】

を生成するためのプロセスであって、
カップリング剤の存在下で、化合物2を化合物3と反応させるステップ
【0058】
【化7】

を含み、
カップリング剤が、2−クロロ−1,3−ジメチル−2−イミダゾリウムテトラフルオロボレート、HBTU、HCTU、2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン、HATU、HOBT/EDCおよびT3P(登録商標)からなる群から選択される、プロセスを提供する。
【0059】
この実施形態の別のいくつかの態様において、化合物3はHCl塩であってよい。
【0060】
この実施形態の一態様において、化合物2と化合物3とのカップリングは、KCO、EtN、N−メチルモルホリン(NMM)、ピリジンまたはジイソプロピルエチルアミン(DIEA)等の塩基の存在下で実施される。
【0061】
この実施形態の別の態様において、化合物2と化合物3とは、ピリジンまたはDIEAの存在下で実施される。
【0062】
この実施形態の別の態様において、化合物2と化合物3とのカップリングは、ピリジンの存在下で実施される。
【0063】
この実施形態の別の態様において、化合物2と化合物3とのカップリングは、極性非プロトン性溶媒の存在下で実施される。例えば、極性非プロトン性溶媒は、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミドまたは2−メチルテトラヒドロフランからなる群から選択される。より詳細には、化合物2と化合物3とのカップリングは、2−メチルテトラヒドロフランの存在下で実施される。
【0064】
この実施形態の別の態様において、化合物2と化合物3とのカップリングは、30℃から80℃の間に維持される反応温度で実施される。さらなる態様において、化合物2と式3のアニリンとのカップリングは、30℃から80℃の間(例えば、約40℃から78℃の間、約45℃から75℃の間、約50℃から70℃の間、約62℃から68℃の間、または約65℃)に維持される反応温度で実施される。例えば、化合物2と化合物3とのカップリングは、約65℃に維持される反応温度で実施される。
【0065】
別の実施形態において、本発明は、前述の項において記述されているプロセスによって調製される化合物1形態Aを提供する。
【0066】
【化8】

一実施形態において、本発明は、化合物1形態Aを調製するためのプロセスであって、化合物2を化合物3と、T3P(登録商標)およびピリジンの存在下、約65℃の温度で、溶媒2−MeTHF中、約10時間にわたって反応させるステップを含むプロセスを提供する。
【0067】
【化9】

化合物1形態Bの調製
別の実施形態において、本発明は、固体形態の形態Bを有する化合物1:
【0068】
【化10】

を生成するためのプロセスであって、
(a)化合物2を化合物3の塩酸塩(3−HCl)と、2−クロロ−1,3−ジメチル−2−イミダゾリウムテトラフルオロボレート、HBTU、HCTU、2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン、HATU、HOBT/EDCおよびT3P(登録商標)からなる群から選択されるカップリング剤の存在下で反応させるステップ
【0069】
【化11】

を含むプロセスを提供する。
【0070】
この実施形態の一態様において、化合物2と塩酸塩3−HClとのカップリングは、KCO、EtN、N−メチルモルホリン(NMM)、ピリジンまたはDIEA等の塩基の存在下で実施される。
【0071】
この実施形態の別のいくつかの態様において、塩酸塩3−HClは化合物3であってよい。
【0072】
この実施形態の別の態様において、化合物2と塩酸塩3−HClとのカップリングは、ピリジンまたはDIEAの存在下で実施される。
【0073】
この実施形態の別の態様において、化合物2と塩酸塩3−HClとのカップリングは、ピリジンの存在下で実施される。
【0074】
この実施形態の別の態様において、化合物2と塩酸塩3−HClとのカップリングは、EtOAc、IPAc、THF、MEK、NMP、アセトニトリル、DMFまたは2−メチルテトラヒドロフラン等の溶媒の存在下で実施される。より詳細には、化合物2と塩酸塩3−HClとのカップリングは、2−メチルテトラヒドロフランの存在下で実施される。
【0075】
この実施形態の別の態様において、化合物2と塩酸塩3−HClとのカップリングは、15℃から70℃の間に維持される反応温度で実施される。さらなる態様において、化合物2と塩酸塩3−HClとのカップリングは、15℃から70℃の間(例えば、約20℃から65℃の間、約25℃から60℃の間、約30℃から55℃の間、約35℃から50℃の間、または約45℃)に維持される反応温度で実施される。この実施形態の好ましい態様において、化合物2と化合物3のHCl塩とのカップリングは、約45℃に維持される反応温度で実施される。
【0076】
別の態様において、カップリング反応物は、約1.5時間から約10時間までの継続期間にわたって撹拌される。さらなる態様において、カップリング反応物は、約1.5時間から約10時間まで(例えば、約2時間から約7時間まで、約3時間から約6時間まで、約4時間から約5.5時間まで、または約5時間)の継続期間にわたって撹拌される。
【0077】
別の実施形態において、本発明は、前述の項において記述されているプロセスによって調製される化合物1形態Bを提供する。
【0078】
【化12】

一実施形態において、本発明は、化合物1形態Bを調製するためのプロセスであって、化合物2を化合物3−HClと、T3P(登録商標)およびピリジンの存在下、約45℃の温度で、溶媒2−MeTHF中、約5〜6時間にわたって反応させるステップを含むプロセスを提供する。
【0079】
【化13】

化合物1形態A−HClの調製
別の実施形態において、本発明は、固体形態A−HClを有する化合物1の塩酸塩:
【0080】
【化14】

を生成するためのプロセスであって、
(a)化合物2を化合物3の塩酸塩(3−HCl)と、2−クロロ−1,3−ジメチル−2−イミダゾリウムテトラフルオロボレート、HBTU、HCTU、2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン、HATU、HOBT/EDCおよびT3P(登録商標)からなる群から選択されるカップリング剤の存在下で反応させるステップ
【0081】
【化15】

と、
(b)ステップ(a)の生成物の混合物をHClで処理するステップと
を含むプロセスを提供する。
【0082】
この実施形態の一態様において、ステップ(a)は、KCO、EtN、N−メチルモルホリン(NMM)、ピリジンまたはジイソプロピルエチルアミン(DIEA)等の塩基の存在下で実施される。
【0083】
この実施形態の別の態様において、ステップ(a)は、ピリジンまたはDIEAの存在下で実施される。
【0084】
この実施形態の別の態様において、ステップ(a)は、ピリジンの存在下で実施される。
【0085】
この実施形態の別の態様において、ステップ(a)は、極性非プロトン性溶媒の存在下で実施される。例えば、極性非プロトン性溶媒は、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミドまたは2−メチルテトラヒドロフランからなる群から選択される。より詳細には、化合物2と3−HClとのカップリングは、2−メチルテトラヒドロフランの存在下で実施される。
【0086】
この実施形態の別の態様において、ステップ(a)は、10℃から80℃の間に維持される反応温度で実施される。この実施形態の別の態様において、ステップ(a)は、15℃から70℃の間に維持される反応温度で実施される。さらなる態様において、化合物2と化合物3のHCl塩とのカップリングは、15℃から70℃の間(例えば、約20℃から65℃の間、約25℃から60℃の間、約30℃から55℃の間、約35℃から50℃の間、または約45℃)に維持される反応温度で実施される。例えば、化合物2と3−HClとのカップリングは、約45℃に維持される反応温度で実施される。
【0087】
この実施形態の別の態様において、ステップ(a)の時間は、約1.5時間から約72時間までである。さらなる態様において、カップリング反応物は、約1.5時間から約72時間以上の時間まで(例えば、約2時間から約48時間まで、約3時間から約24時間まで、約5時間から約20時間まで、または約12時間から約15時間まで)の継続期間にわたって撹拌される。
【0088】
この実施形態のさらなる態様において、ステップ(a)におけるカップリング生成物は、ステップ(b)において塩化水素(HCl)で処理される。例えば、HClガスを、ステップ(a)のカップリング反応の生成物と2−メチルテトラヒドロフラン等の非極性(apolar)非プロトン性溶媒とを含む混合物中に吹き込んで泡立たせる。
【0089】
典型的には、少なくとも約1当量のHClガス、かつ最大約50当量のHClガスを混合物中に吹き込んで泡立たせる。より典型的には、約2当量(eq.)から約20当量まで(約5当量から約15当量まで、約8当量から約12当量まで、または約10当量)のHClガスを、ステップ(a)のカップリング生成物を含む反応混合物中に吹き込んで泡立たせる。
【0090】
典型的には、HClガスを、ステップ(a)の生成物と非プロトン性溶媒等の溶媒との混合物中に、約0.5時間から約5時間までの期間にわたって、より典型的には、約0.5時間から約5時間まで(例えば、約0.75時間から約3時間まで、または約2時間)の期間にわたって吹き込んで泡立たせる。
【0091】
別の実施形態において、本発明は、前述の項において記述されているプロセスによって調製される化合物1形態A−HClを提供する。
【0092】
【化16】

一実施形態において、本発明は、化合物1形態A−HClを調製するためのプロセスであって、化合物2を化合物3−HClと、T3P(登録商標)およびピリジンの存在下、約45℃の温度で、溶媒2−MeTHF中、約12〜15時間にわたって反応させ、続いてガス状HClで処理するステップを含むプロセスを提供する。
【0093】
【化17】

化合物1形態B−HClの調製
別の態様において、本発明は、固体形態の形態B−HClを有する化合物1の塩酸塩:
【0094】
【化18】

を生成するためのプロセスであって、
(a)本明細書において記述されている通りの化合物1形態A−HClの塩酸塩を、有機溶媒および水と混合して、混合物を生成するステップ:
【0095】
【化19】

と、
(b)該混合物を加熱するステップと
を含むプロセスを提供する。
【0096】
この実施形態の一態様において、有機溶媒は、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、ヘキサメチルホスホロトリアミド、テトラヒドロフラン、EtOAc、IPAc、THF、MEK、NMP、アセトニトリル、DMF、EtOH、MeOH、イソプロピルアルコールまたは2−メチルテトラヒドロフランを含む。より詳細には、非プロトン性溶媒は2−メチルテトラヒドロフランを含む。
【0097】
別の態様において、ステップ(a)における混合に続いて、ステップ(b)で、混合物を約30℃から約80℃まで(例えば、約40℃から約70℃まで、約50℃から約65℃まで、または約60℃)の温度に維持する。該混合物が、約12時間から約72時間までの期間にわたって、30℃から約80℃の温度に維持される、請求項40から43に記載のプロセス。
【0098】
別の態様において、ステップ(b)における加熱後、混合物を濾過してフィルターケーキを生成する。
【0099】
別の態様において、濾過するステップの後、フィルターケーキを2−メチルテトラヒドロフラン等の非プロトン性溶媒で洗浄するステップが続く。
【0100】
別の実施形態において、本発明は、前述の項において記述されているプロセスによって調製される化合物1形態B−HClを提供する。
【0101】
【化20】

一実施形態において、本発明は、化合物1形態B−HClを調製するためのプロセスであって、化合物1形態A−HClを、2−MeTHFおよび水の混合物中、60℃の温度で48時間加熱するステップと;室温に冷却し、沈殿した生成物を濾過するステップと;産生物を60℃の温度で真空乾燥するステップとを含むプロセスを提供する。
【0102】
【化21】

別の実施形態において、本発明は、化合物1形態B−HClを調製するためのプロセスであって、化合物1形態A−HClを、EtOHおよび水の混合物中、還流温度に加熱するステップと;20℃に冷却し、3時間撹拌するステップと;沈殿した生成物を濾過するステップと;産生物を45℃の温度で真空乾燥するステップとを含むプロセスを提供する。
【0103】
【化22】

化合物2、3および3−HClの調製
別の実施形態において、本発明は、化合物2:
【0104】
【化23】

を調製するための方法であって、
(a)化合物4をジエチル2−(エトキシメチレン)マロネート5と反応させて、エステル6Aを生成するステップ
【0105】
【化24】

と、
(b)エステル6Aを、別個のステップにおいて、触媒および塩基の存在下、水素ガスまたはホルメート等の原子状水素源で処理して、化合物2を生成するステップと
【0106】
【化25】

を含む方法を提供する。
【0107】
一態様において、化合物6Aを、触媒の存在下、水素ガスまたはホルメート等の原子状水素源で処理して化合物6C
【0108】
【化26】

を生成し、次いでこれを塩基で処理して、化合物2を生成する。
【0109】
別の態様において、化合物6Aを塩基で処理して化合物6D
【0110】
【化27】

を生成し、次いでこれを、触媒の存在下、水素ガスまたはホルメート等の原子状水素源で処理して、化合物2を生成する。
【0111】
いくつかの態様において、水素源は水素ガスである。他の態様において、水素源はホルメートである。
【0112】
いくつかの態様において、触媒はパラジウム触媒である。
【0113】
いくつかの態様において、塩基は水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液である。例えば、塩基は水酸化ナトリウム水溶液である。
【0114】
一実施形態において、本発明は、化合物2を調製するためのプロセスであって、
a)化合物4を化合物5と、トルエン中、還流温度にてディーン・スターク装置内で反応させて、化合物6Bを形成するステップと、
b)化合物6Bを、Dowtherm中、約260℃の温度で加熱して、環化生成物である化合物6Aを生成するステップと、
c)化合物6Aを、EtOH中、Pd/Cを触媒として使用し、水素ガスおよびトリエチルアミンの存在下で水素化して、化合物6Cを生成するステップと、
d)化合物6Cを、5MのNaOHを使用して加水分解して、化合物2を生成するステップ
【0115】
【化28】

を含むプロセスを提供する。
【0116】
一実施形態において、本発明は、化合物2を調製するためのプロセスであって、
a)化合物4を化合物5と、トルエン中、還流温度にてディーン・スターク装置内で反応させて、化合物6Bを形成するステップと、
b)化合物6Bを、Dowtherm中、約260℃の温度で加熱して、環化生成物である化合物6Aを生成するステップと、
c)化合物6Aを、イソプロパノールおよび水の混合物中、NaOHを使用して加水分解して、化合物6Dを生成するステップと、
d)化合物6Dを、EtOH中、Pd/Cを触媒として使用し、ホルメート、ナトリウムメトキシドおよびメタノールの存在下で水素化するステップと、
e)該溶液を酢酸で酸性化して、化合物2を生成するステップ
【0117】
【化29】

を含むプロセスを提供する。
【0118】
別の実施形態において、本発明は、化合物3
【0119】
【化30】

を調製するための方法であって、
(a)化合物7[式中、Halは、F、Cl、BrまたはIである]を7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン8またはその塩と反応させて、化合物9を生成するステップ
【0120】
【化31】

と、
(b)化合物9中のニトロ部分を還元して、アニリン3を提供するステップ
【0121】
【化32】

を含む方法を提供する。
【0122】
この実施形態の一態様において、ステップ(a)は、極性非プロトン性溶媒中、塩基の存在下で実施される。例えば、塩基は、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン等の第三級アミン塩基等であり、溶媒はアセトニトリル等である。
【0123】
この実施形態の別の態様において、ステップ(b)は、アルコール溶媒中、水素ガスおよび遷移金属触媒を使用して実施される。例えば、触媒は、Pt、PdまたはNiに由来する9族または10族遷移金属触媒を含む。より詳細には、触媒はPdを含む。アルコール溶媒は、イソプロパノール、エタノール、メタノール等のアルコールを含む。例えば、該溶媒はエタノールを含む。
【0124】
別の実施形態において、本発明は、化合物3:
【0125】
【化33】

を調製するための方法であって、
(a)化合物7[式中、Halは、F、Cl、BrまたはIである]を7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタンの塩酸塩(8−HCl)と反応させて、化合物9を生成するステップ
【0126】
【化34】

と、
(b)化合物9中のニトロ部分を還元して、化合物3を提供するステップ
【0127】
【化35】

を含む方法を提供する。
【0128】
この実施形態の一態様において、ステップ(a)は、炭酸ナトリウム等の無機炭酸塩塩基およびDMSO等の極性非プロトン性溶媒の存在下で実施される。
【0129】
この実施形態の別の態様において、ステップ(b)は、アルコール溶媒中、水素ガスおよび遷移金属触媒を使用して実施される。例えば、触媒は、Pt、PdまたはNiに由来する9族または10族遷移金属触媒を含む。より詳細には、触媒はPdを含む。アルコール溶媒は、イソプロパノール、エタノール、メタノール等のアルコールを含む。例えば、該溶媒はエタノールを含む。
【0130】
別の実施形態において、本発明は、塩酸塩3−HCl:
【0131】
【化36】

を調製するための方法であって、
(a)化合物7[式中、Halは、F、Cl、BrまたはIである]を7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン塩酸塩8−HClと反応させて、化合物9を生成するステップ
【0132】
【化37】

と、
(b)化合物9中のニトロ部分を還元して、アニリン3を提供するステップ
【0133】
【化38】

と、
(c)ステップ(c)の生成物をHClガスで処理して、3−HClを提供するステップ
を含む方法を提供する。
【0134】
この実施形態の一態様において、ステップ(a)は、炭酸ナトリウム等の無機炭酸塩塩基およびDMSO等の極性非プロトン性溶媒の存在下で実施される。
【0135】
この実施形態の別の態様において、ステップ(b)は、アルコール溶媒中、水素ガスおよび遷移金属触媒を使用して実施される。例えば、触媒は、Pt、PdまたはNiに由来する9族または10族遷移金属触媒を含む。より詳細には、触媒はPdを含む。アルコール溶媒は、イソプロパノール、エタノール、メタノール等のアルコールを含む。例えば、該溶媒はエタノールを含む。
【0136】
別の実施形態において、本発明は、化合物8
【0137】
【化39】

または薬学的に許容されるその塩を調製するための方法であって、trans−4−アミノシクロヘキサノールをBoc無水物と接触させて、式Aの化合物
【0138】
【化40】

を生成するステップと、
式Aの化合物をメタンスルホン酸と接触させて、式Bの化合物
【0139】
【化41】

を生成するステップと、
式Bの化合物をトリフルオロ酢酸と接触させて、式Cの化合物
【0140】
【化42】

を生成するステップと、
式Cの化合物を水酸化物と接触させて、式8の化合物を生成するステップ
を含む方法を包含する。
【0141】
別の実施形態において、本発明は、式8−HClの化合物
【0142】
【化43】

を生成する方法であって、式8の化合物を塩酸と接触させるステップを含む方法を包含する。
【0143】
一実施形態において、本発明は、化合物3を生成するためのプロセスであって、
a)化合物7を化合物8−HClと、アセトニトリル中、トリエチルアミンの存在下、約80℃で約16時間反応させて、化合物9を生成するステップと、
b)化合物9を、エタノール中、Pd/Cを触媒として使用し、水素ガスの存在下で水素化するステップ
【0144】
【化44】

を含むプロセスを提供する。
【0145】
一実施形態において、本発明は、化合物3を生成するためのプロセスであって、
a)化合物7を化合物8−HClと、DMSO中、炭酸ナトリウムの存在下、約55℃で反応させて、化合物9を生成するステップと、
b)化合物9を、エタノール中、Pd/Cを触媒として使用し、水素ガスの存在下で水素化するステップ
【0146】
【化45】

を含むプロセスを提供する。
【0147】
一実施形態において、本発明は、化合物3を生成するためのプロセスであって、
a)化合物7を化合物8−HClと、ジクロロメタン中、水酸化ナトリウムおよびテトラブチルアンモニウムブロミドの存在下で反応させて、化合物9を生成するステップと、
b)化合物9を、エタノール中、Pd/Cを触媒として使用し、水素ガスの存在下で水素化するステップ
【0148】
【化46】

を含むプロセスを提供する。
【0149】
一実施形態において、本発明は、化合物3−HClを生成するためのプロセスであって、化合物9の塩酸塩を、2−MeTHF中、Pd/Cを触媒として使用し、水素ガスの存在下で水素化するステップ
【0150】
【化47】

を含むプロセスを提供する。
【0151】
本発明の他の態様
一態様において、本発明は、化合物1形態A、化合物1形態A−HCl、化合物1形態B、化合物1形態B−HCl、またはそれらの任意の組合せと、薬学的に許容されるアジュバントまたは担体とを含む、医薬組成物を取り上げる。
【0152】
一態様において、本発明は、ヒトにおけるCFTR媒介性疾患を治療する方法であって、該ヒトに、有効量の化合物1形態A、化合物1形態A−HCl、化合物1形態B、化合物1形態B−HCl、またはそれらの任意の組合せを投与するステップを含む方法を取り上げる。
【0153】
いくつかの実施形態において、該方法は、追加の治療剤を投与するステップを含む。
【0154】
ある特定の実施形態において、CFTRをコードする遺伝子における変異または環境要因(例えば煙)によるCFTR機能の低減に関連する疾患を治療する方法を提供する。これらの疾患は、嚢胞性線維症、喘息、喫煙誘発性COPD、慢性気管支炎、鼻副鼻腔炎、便秘、膵炎、膵機能不全、精管の先天性両側欠損(CBAVD)によって引き起こされる男性不妊、軽度肺疾患、特発性膵炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、肝疾患、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、プロテインC欠乏症等の凝固−繊維素溶解欠乏症、1型遺伝性血管浮腫、家族性高コレステロール血症等の脂質プロセシング欠乏症、1型乳び血症、無βリポタンパク質血症、I細胞疾患/偽性ハーラー症候群等のリソソーム蓄積症、ムコ多糖症、サンドホフ/テイ・サックス病、クリグラー・ナジャーII型、多腺性内分泌障害/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカノーシスCDG1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、ニューロフィシン性DI、腎性DI、シャルコー・マリー・トゥース症候群、ペリツェーウス‐メルツバッハー病、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上麻痺、ピック病等の神経変性疾患、ハンチントン病、脊髄小脳失調I型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体および筋強直性ジストロフィー等の数種のポリグルタミン神経障害、ならびに遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオンタンパク質プロセシング欠損による)等の海綿状脳症、ファブリー病、シュトロイスラー‐シャインカー症候群、COPD、ドライアイ疾患、またはシェーグレン病、骨粗しょう症、骨減少症、骨折治癒機転および骨成長(骨修復、骨再生、骨吸収を低減させることおよび骨沈着を増大させることを包含する)、ゴーラム病、先天性筋強直症(トムゼン型およびベッカー型)等のクロライドチャネル病、バーター症候群III型、デント病、驚愕過剰症、てんかん、びっくり病、脂肪蓄積症、アンジェルマン症候群、ならびに、逆位を伴うPCD(カルタゲナー症候群としても公知である)、逆位および線毛形成不全を伴わないPCDを包含する線毛の構造および/または機能の遺伝障害を表す用語である先天性線毛運動不全症(PCD)を包含する。
【0155】
いくつかの実施形態において、方法は、患者に、本明細書において定義されている通りの組成物の1つを投与するステップを含む、前記患者における嚢胞性線維症を治療するまたはその重症度を下げることを包含する。ある特定の実施形態において、患者は、ヒトCFTRの変異型形態を保有する。他の実施形態において、患者は、ヒトCFTRの下記の変異ΔF508、R117HおよびG551Dの1つまたは複数を保有する。一実施形態において、方法は、ヒトCFTRのΔF508変異を保有する患者に、本明細書において定義されている通りの組成物の1つを投与するステップを含む、前記患者における嚢胞性線維症を治療するまたはその重症度を下げることを包含する。一実施形態において、方法は、ヒトCFTRのG551D変異を保有する患者に、本明細書において定義されている通りの組成物の1つを投与するステップを含む、前記患者における嚢胞性線維症を治療するまたはその重症度を下げることを包含する。一実施形態において、方法は、少なくとも一方の対立遺伝子上にヒトCFTRのΔF508変異を保有する患者に、本明細書において定義されている通りの組成物の1つを投与するステップを含む、前記患者における嚢胞性線維症を治療するまたはその重症度を下げることを包含する。一実施形態において、方法は、両方の対立遺伝子上にヒトCFTRのΔF508変異を保有する患者に、本明細書において定義されている通りの組成物の1つを投与するステップを含む、前記患者における嚢胞性線維症を治療するまたはその重症度を下げることを包含する。一実施形態において、方法は、少なくとも一方の対立遺伝子上にヒトCFTRのG551D変異を保有する患者に、本明細書において定義されている通りの組成物の1つを投与するステップを含む、前記患者における嚢胞性線維症を治療するまたはその重症度を下げることを包含する。一実施形態において、方法は、両方の対立遺伝子上にヒトCFTRのG551D変異を保有する患者に、本明細書において定義されている通りの組成物の1つを投与するステップを含む、前記患者における嚢胞性線維症を治療するまたはその重症度を下げることを包含する。
【0156】
いくつかの実施形態において、方法は、患者に、本明細書において定義されている通りの組成物の1つを投与するステップを含む、前記患者における嚢胞性線維症の重症度を下げることを包含する。ある特定の実施形態において、患者は、ヒトCFTRの変異型形態を保有する。他の実施形態において、患者は、ヒトCFTRの下記の変異ΔF508、R117HおよびG551Dの1つまたは複数を保有する。一実施形態において、方法は、ヒトCFTRのΔF508変異を保有する患者に、本明細書において定義されている通りの組成物の1つを投与するステップを含む、前記患者における嚢胞性線維症の重症度を下げることを包含する。一実施形態において、方法は、ヒトCFTRのG551D変異を保有する患者に、本明細書において定義されている通りの組成物の1つを投与するステップを含む、前記患者における嚢胞性線維症の重症度を下げることを包含する。一実施形態において、方法は、少なくとも一方の対立遺伝子上にヒトCFTRのΔF508変異を保有する患者に、本明細書において定義されている通りの組成物の1つを投与するステップを含む、前記患者における嚢胞性線維症の重症度を下げることを包含する。一実施形態において、方法は、両方の対立遺伝子上にヒトCFTRのΔF508変異を保有する患者に、本明細書において定義されている通りの組成物の1つを投与するステップを含む、前記患者における嚢胞性線維症の重症度を下げることを包含する。一実施形態において、方法は、少なくとも一方の対立遺伝子上にヒトCFTRのG551D変異を保有する患者に、本明細書において定義されている通りの組成物の1つを投与するステップを含む、前記患者における嚢胞性線維症の重症度を下げることを包含する。一実施形態において、方法は、両方の対立遺伝子上にヒトCFTRのG551D変異を保有する患者に、本明細書において定義されている通りの組成物の1つを投与するステップを含む、前記患者における嚢胞性線維症の重症度を下げることを包含する。
【0157】
いくつかの態様において、本発明は、患者における骨粗しょう症を治療するまたはその重症度を下げる方法であって、前記患者に、本明細書において記述されている通りの化合物1を投与するステップを含む方法を提供する。
【0158】
ある特定の実施形態において、患者における骨粗しょう症を治療するまたはその重症度を下げる方法は、前記患者に、本明細書において記述されている通りの医薬組成物を投与するステップを含む。
【0159】
いくつかの態様において、本発明は、患者における骨減少症を治療するまたはその重症度を下げる方法であって、前記患者に、本明細書において記述されている通りの化合物1を投与するステップを含む方法を提供する。
【0160】
ある特定の実施形態において、患者における骨減少症を治療するまたはその重症度を下げる方法は、前記患者に、本明細書において記述されている通りの医薬組成物を投与するステップを含む。
【0161】
いくつかの態様において、本発明は、患者における骨折治癒機転および/または骨修復の方法であって、前記患者に、本明細書において記述されている通りの化合物1を投与するステップを含む方法を提供する。
【0162】
ある特定の実施形態において、患者における骨折治癒機転および/または骨修復の方法は、前記患者に、本明細書において記述されている通りの医薬組成物を投与するステップを含む。
【0163】
いくつかの態様において、本発明は、患者における骨吸収を低減させる方法であって、前記患者に、本明細書において記述されている通りの化合物1を投与するステップを含む方法を提供する。
【0164】
ある特定の実施形態において、患者における骨吸収を低減させる方法は、前記患者に、本明細書において記述されている通りの医薬組成物を投与するステップを含む。
【0165】
いくつかの態様において、本発明は、患者における骨沈着を増大させる方法であって、前記患者に、本明細書において記述されている通りの化合物1を投与するステップを含む方法を提供する。
【0166】
ある特定の実施形態において、患者における骨沈着を増大させる方法は、前記患者に、本明細書において記述されている通りの医薬組成物を投与するステップを含む。
【0167】
いくつかの態様において、本発明は、患者におけるCOPDを治療するまたはその重症度を下げる方法であって、前記患者に、本明細書において記述されている通りの化合物1を投与するステップを含む方法を提供する。
【0168】
ある特定の実施形態において、患者におけるCOPDを治療するまたはその重症度を下げる方法は、前記患者に、本明細書において記述されている通りの医薬組成物を投与するステップを含む。
【0169】
いくつかの態様において、本発明は、患者における喫煙誘発性COPDを治療するまたはその重症度を下げる方法であって、前記患者に、本明細書において記述されている通りの化合物1を投与するステップを含む方法を提供する。
【0170】
ある特定の実施形態において、患者における喫煙誘発性COPDを治療するまたはその重症度を下げる方法は、前記患者に、本明細書において記述されている通りの医薬組成物を投与するステップを含む。
【0171】
いくつかの態様において、本発明は、患者における慢性気管支炎を治療するまたはその重症度を下げる方法であって、前記患者に、本明細書において記述されている通りの化合物1を投与するステップを含む方法を提供する。
【0172】
ある特定の実施形態において、患者における慢性気管支炎を治療するまたはその重症度を下げる方法は、前記患者に、本明細書において記述されている通りの医薬組成物を投与するステップを含む。
【0173】
一実施形態において、本発明は、ヒトにおける嚢胞性線維症を治療する方法であって、前記ヒトに、有効量の化合物1形態A、形態A−HCl、形態B、形態B−HCl、またはそれらの任意の組合せを投与するステップを含む方法を提供する。
【0174】
一態様において、本発明は、化合物1形態A、形態A−HCl、形態B、形態B−HCl、またはこれらの形態の任意の組合せと、薬学的に許容される担体とを含む、医薬パックまたはキットを取り上げる。
【0175】
一態様において、本発明は、三方晶系、R−3空間群、ならびに下記の単位格子寸法:a=19.1670(4)Å、b=19.1670(4)Å、c=33.6572(12)Å、α=90°、β=90°およびγ=120°を有する、N−(4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキサミドの結晶形態を取り上げる。
【0176】
一実施形態において、本発明は、単斜晶系、P21/c空間群、ならびに下記の単位格子寸法:a=13.5429(4)Å、b=13.4557(4)Å、c=12.0592(4)Å、α=90°、β=101.193°およびγ=90°を有する、形態BのN−(4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキサミドの結晶を提供する。
【0177】
使用、製剤および投与
本発明の一態様において、薬学的に許容される組成物が提供され、ここで、これらの組成物は、本明細書において記述されている通りの形態Aを含み、場合により、薬学的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルを含む。ある特定の実施形態において、これらの組成物は、場合により、1種または複数種の追加の治療剤をさらに含む。
【0178】
上述した通り、本発明の薬学的に許容される組成物は、薬学的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルを追加で含み、これは、本明細書において使用される場合、所望される特定の剤形に適するような、ありとあらゆる溶媒、賦形剤または他の液体ビヒクル、分散助剤または懸濁助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、保存剤、固体結合剤、滑沢剤等を包含する。Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、E. W. Martin(Mack Publishing Co.、Easton、Pa.、1980年)は、薬学的に許容される組成物を製剤化する際に使用される種々の担体およびその調製のための公知の技術を開示している。何らかの望ましくない生物学的効果を生じさせる、または、薬学的に許容される組成物の任意の他の成分(複数可)と有害性の様式で相互作用する等によって、任意の従来の担体媒質が本発明の化合物と配合禁忌でない限り、その使用は本発明の範囲内であることを企図されている。薬学的に許容される担体としての役割を果たすことができる材料のいくつかの例は、イオン交換体;アルミナ;ステアリン酸アルミニウム;レシチン;ヒト血清アルブミン等の血清タンパク質;ホスフェート、グリシン、ソルビン酸またはソルビン酸カリウム等の緩衝物質;植物性飽和脂肪酸の部分グリセリド混合物;水、塩、または、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩等の電解質;コロイド状シリカ;三ケイ酸マグネシウム;ポリビニルピロリドン;ポリアクリレート;蝋;ポリエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー;羊毛脂;ラクトース、グルコースおよびスクロース等の糖類;コーンスターチおよびジャガイモデンプン等のデンプン類;セルロース、ならびにカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース等のその誘導体;トラガカント末;麦芽;ゼラチン;タルク;ココアバターおよび坐剤蝋等の添加剤;ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油等の油;プロピレングリコールまたはポリエチレングリコール等のグリコール類;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル等のエステル類;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム等の緩衝剤;アルギン酸;発熱性物質を含まない水;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;およびリン酸緩衝液;ならびに、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム等の他の非毒性の適合する滑沢剤を包含するがこれらに限定されず、さらに、調合者の判断により、着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤および着香剤、保存剤、ならびに酸化防止剤が組成物中に存在してもよい。
【0179】
化合物および薬学的に許容される組成物の使用
また別の態様において、本発明は、CFTR変異が関与する状態、疾患または障害を治療するまたはその重症度を下げる方法を提供する。ある特定の実施形態において、本発明は、CFTR活性の欠損が関与する状態、疾患または障害を治療する方法であって、化合物1形態A、形態A−HCl、形態B、形態B−HCl、またはこれらの形態の任意の組合せを含む組成物を、それを必要としている被験体、好ましくは哺乳動物に投与するステップを含む方法を提供する。
【0180】
ある特定の実施形態において、本発明は、CFTRをコードする遺伝子における変異または環境要因(例えば煙)によるCFTR機能の低減に関連する疾患を治療する方法を提供する。これらの疾患は、嚢胞性線維症、慢性気管支炎、反復性気管支炎、急性気管支炎、精管の先天性両側欠損(CBAVD)によって引き起こされる男性不妊、子宮および膣の先天性欠損(CAUV)によって引き起こされる女性不妊、特発性慢性膵炎(ICP)、特発性再発性膵炎、特発性急性膵炎、慢性鼻副鼻腔炎、原発性硬化性胆管炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、糖尿病、ドライアイ、便秘、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、骨疾患(例えば骨粗しょう症)、ならびに喘息を包含する。
【0181】
ある特定の実施形態において、本発明は、正常なCFTR機能に関連する疾患を治療するための方法を提供する。これらの疾患は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、反復性気管支炎、急性気管支炎、鼻副鼻腔炎、便秘、慢性膵炎、再発性膵炎および急性膵炎を包含する膵炎、膵機能不全、精管の先天性両側欠損(CBAVD)によって引き起こされる男性不妊、軽度肺疾患、特発性膵炎、肝疾患、遺伝性肺気腫、胆石、胃食道(gasgtro)逆流性疾患、胃腸悪性腫瘍、炎症性腸疾患、便秘、糖尿病、関節炎、骨粗しょう症、ならびに骨減少症を包含する。
【0182】
ある特定の実施形態において、本発明は、遺伝性ヘモクロマトーシス、プロテインC欠乏症等の凝固−繊維素溶解欠乏症、1型遺伝性血管浮腫、家族性高コレステロール血症等の脂質プロセシング欠乏症、1型乳び血症、無βリポタンパク質血症、I細胞疾患/偽性ハーラー等のリソソーム蓄積症、ムコ多糖症、サンドホフ/テイ・サックス病、クリグラー・ナジャーII型、多腺性内分泌障害/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカノーシス(glycanosis)CDG1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、ニューロフィシン性(neurophyseal)DI、腎性(neprogenic)DI、シャルコー・マリー・トゥース症候群、ペリツェーウス‐メルツバッハー病、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上麻痺、ピック病等の神経変性疾患、ハンチントン病、脊髄小脳失調I型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体および筋強直性ジストロフィー等の数種のポリグルタミン神経障害、ならびに、遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオンタンパク質プロセシング欠損による)等の海綿状脳症、ファブリー病、シュトロイスラー‐シャインカー症候群、ゴーラム病、クロライドチャネル病、先天性筋強直症(トムゼン型およびベッカー型)、バーター症候群III型、デント病、驚愕過剰症、てんかん、びっくり病、脂肪蓄積症、アンジェルマン症候群、先天性線毛運動不全症(PCD)、逆位を伴うPCD(カルタゲナー症候群としても公知である)、逆位および線毛形成不全を伴わないPCD、またはシェーグレン病を包含する正常なCFTR機能に関連する疾患を治療するための方法であって、前記哺乳動物に、本明細書において記述されている化合物1形態A、化合物1形態A−HCl、化合物1形態B、化合物1形態B−HCl、またはこれらの形態の任意の組合せを含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0183】
代替的な好ましい実施形態によれば、本発明は、前記哺乳動物に組成物を投与するステップを含む嚢胞性線維症を治療する方法であって、前記哺乳動物に、本明細書において記述されている化合物1形態A、化合物1形態A−HCl、化合物1形態B、化合物1形態B−HCl、またはこれらの形態の任意の組合せを含む有効量の組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0184】
本発明によれば、化合物1形態A、化合物1形態A−HCl、化合物1形態B、化合物1形態B−HCl、これらの形態の任意の組合せ、または薬学的に許容されるその組成物の「有効量」は、上記で列挙した通りの疾患、障害または状態の1つまたは複数を治療するまたはその重症度を下げるために有効な量である。
【0185】
化合物1形態A、化合物1形態A−HCl、化合物1形態B、化合物1形態B−HClもしくはこれらの形態の任意の組合せ、または薬学的に許容されるその組成物は、上記で列挙した通りの疾患、障害または状態の1つまたは複数を治療するまたはその重症度を下げるために有効な任意の量および任意の投与経路を使用して投与され得る。
【0186】
ある特定の実施形態において、化合物1形態A、化合物1形態A−HCl、化合物1形態B、化合物1形態B−HCl、これらの形態の任意の組合せ、または薬学的に許容されるその組成物は、呼吸および非呼吸上皮の頂端膜中に残留CFTR活性を呈する患者における、嚢胞性線維症を治療するまたはその重症度を下げるのに有用である。上皮表面における残留CFTR活性の存在は、当技術分野において公知の方法、例えば、標準的な電気生理学的、生化学的または組織化学的技術を使用して容易に検出できる。そのような方法は、インビボもしくはエクスビボ電気生理学的技術、汗もしくは唾液Cl濃度の測定、またはエクスビボ生化学的もしくは組織化学的技術を使用してCFTR活性を同定し、細胞表面密度をモニターする。そのような方法を使用して、最も一般的な変異ΔF508が同型接合または異型接合の患者を包含する、様々な異なる変異が異型接合または同型接合の患者において、残留CFTR活性が容易に検出され得る。
【0187】
別の実施形態において、本明細書において記述されている化合物1形態A、化合物1形態A−HCl、化合物1形態B、化合物1形態B−HClもしくはこれらの形態の任意の組合せ、または薬学的に許容されるその組成物は、薬理学的方法または遺伝子療法を使用して、残留CFTR活性が誘発または増進された患者における、嚢胞性線維症を治療するまたはその重症度を下げるのに有用である。そのような方法は、細胞表面に存在するCFTRの量を増大させ、それにより、患者においてそれまで存在しなかったCFTR活性を誘発する、または患者において残留CFTR活性の既存レベルを増進させる。
【0188】
一実施形態において、本明細書において記述されている化合物1形態A、化合物1形態A−HCl、化合物1形態B、化合物1形態B−HClもしくはこれらの形態の任意の組合せ、または薬学的に許容されるその組成物は、残留CFTR活性を呈するある特定の遺伝子型、例えば、クラスIII変異(制御またはゲーティングの障害)、クラスIV変異(コンダクタンスの変化)またはクラスV変異(合成の低減)内の患者における、嚢胞性線維症を治療するまたはその重症度を下げるのに有用である(Lee R. Choo−Kang、Pamela L., Zeitlin、Type I, II, III, IV, and V cystic fibrosis Tansmembrane Conductance Regulator Defects and Opportunities of Therapy; Current Opinion in Pulmonary Medicine、6巻:521〜529頁、2000年)。残留CFTR活性を呈する他の患者遺伝子型は、これらのクラスの1つが同型接合の、または、クラスI変異、クラスII変異もしくは分類のない変異を包含する、任意の他のクラスの変異と異型接合の患者を包含する。
【0189】
一実施形態において、本明細書において記述されている化合物1形態A、化合物1形態A−HCl、化合物1形態B、化合物1形態B−HClもしくはこれらの形態の任意の組合せ、または薬学的に許容されるその組成物は、ある特定の臨床表現型、例えば、典型的には上皮の頂端膜中の残留CFTR活性の量と相関する中等度から軽度の臨床表現型内の患者における、嚢胞性線維症を治療するまたはその重症度を下げるのに有用である。そのような表現型は、膵機能不全を呈する患者、または、特発性膵炎および精管の先天性両側欠損、もしくは軽度肺疾患と診断された患者を包含する。
【0190】
要求される正確な量は、被験体の種、年齢および全身状態、感染の重症度、特定の作用物質、その投与様式等に応じ、被験体によって変わることになる。本発明の化合物は、好ましくは、投与の容易性および投薬量の均一性のために投薬量単位形態で製剤化される。表現「投薬量単位形態」は、本明細書において使用される場合、治療される患者に適した作用物質の物理的に不連続な単位を指す。しかしながら、本発明の化合物および組成物の1日の総使用量は、妥当な医学的判断の範囲内で、担当医によって決定されることも理解されよう。任意の特定の患者または有機体に対する特異的に有効な用量レベルは、治療されている障害および該障害の重症度;用いられている特定化合物の活性:用いられている特定組成物;患者の年齢、体重、全身の健康状態、性別および食生活;用いられている特定化合物の、投与時間、投与経路および排泄速度;治療の持続時間;用いられている特定化合物と組み合わせて、または同時に使用される薬物;ならびに、医療分野において周知である類似の要因を包含する、様々な要因によって決まることになる。用語「患者」は、本明細書において使用される場合、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。
【0191】
本発明の薬学的に許容される組成物は、治療されている感染の重症度に応じて、経口で、直腸内に、非経口で、槽内に、膣内に、腹腔内に、局所的に(散剤、軟膏剤、点滴剤またはパッチ剤によって等)、口腔内に、経口または鼻腔用スプレー等として、ヒトおよび他の動物に投与され得る。ある特定の実施形態において、本発明の化合物は、所望の治療効果を得るために、被験体の体重1kg当たり約0.01mgから約50mg、好ましくは約0.5mgから約25mgまでの投薬量レベルで、1日1回または複数回、経口でまたは非経口で投与され得る。
【0192】
経口投与用の液体剤形は、薬学的に許容される乳剤、マイクロ乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤を包含するがこれらに限定されない。液体剤形は、活性化合物に加えて、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤、ならびにエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル等の乳化剤、ならびにそれらの混合物等、当技術分野において一般に使用される不活性賦形剤を含有し得る。経口組成物は、不活性賦形剤のほかに、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤等のアジュバント、甘味剤、香味剤、ならびに着香剤も包含し得る。
【0193】
注射用調製物、例えば無菌注射用の水性または油性懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤と懸濁化剤とを使用する公知の技術によって製剤化され得る。無菌注射用調製物は、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液等、非毒性で非経口的に許容される賦形剤または溶媒中の無菌注射用の溶液、懸濁液またはエマルションであってもよい。許容されるビヒクルおよび溶媒のうち、用いられ得るのは、水、リンゲル液、U.S.P.および生理食塩液である。加えて、無菌固定油は、溶媒または懸濁媒として慣行的に用いられる。この目的のために、合成モノグリセリドまたは合成ジグリセリドを包含する任意の無刺激性固定油が用いられ得る。加えて、オレイン酸等の脂肪酸が注射剤の調製において使用される。
【0194】
注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通す濾過によって、または、使用前に、滅菌水もしくは他の無菌注射用媒体中に溶解もしくは分散され得る無菌の固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって、滅菌できる。
【0195】
本発明の化合物の効果を延長するためには、多くの場合、皮下または筋肉内注射からの化合物の吸収を遅らせることが望ましい。これは、難水溶性である結晶性または非結晶性材料の液体懸濁液を使用することによって実現され得る。その結果、化合物の吸収の速度はその溶解の速度に依存し、この速度は同様に、結晶サイズおよび結晶性形態に依存する場合がある。代替として、非経口投与された化合物形態の遅延吸収は、化合物を油ビヒクルに溶解または懸濁することによって実現される。注射用デポー形態は、ポリラクチド−ポリグリコリド等の生分解性ポリマー中に化合物のマイクロカプセル化マトリクスを形成することによって作製される。化合物とポリマーとの比率および用いられる特定のポリマーの性質に応じて、化合物放出の速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例は、ポリ(オルトエステル)およびポリ(酸無水物)を包含する。デポー注射用製剤は、生体組織に適合するリポソームまたはマイクロエマルションに化合物を封入することによっても調製される。
【0196】
直腸または膣内投与用の組成物は、好ましくは、本発明の化合物を、常温では固体だが体温では液体となり、したがって直腸または膣腔内で融解して活性化合物を放出する、ココアバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤蝋等の適切な非刺激性の添加剤または担体と混合することによって調製できる、坐剤である。
【0197】
経口投与用の固形剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤および顆粒剤を包含する。そのような固形剤形において、活性化合物は、少なくとも1種の、不活性で薬学的に許容される、クエン酸ナトリウムまたはリン酸カルシウム等の添加剤または担体、ならびに/あるいは、a)デンプン類、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸等の充填剤または増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルジネート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロースおよびアカシア等の結合剤、c)グリセロール等の保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定のシリケート、および炭酸ナトリウム等の崩壊剤、e)パラフィン等の溶液遅延剤、f)第四級アンモニウム化合物等の吸収加速剤、g)例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレート等の湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイト粘土等の吸収剤、ならびに、i)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物等の滑沢剤と混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤の事例において、剤形は緩衝剤も含み得る。
【0198】
同様の種類の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖等の添加剤、および高分子量ポリエチレングリコール等を使用して、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル内の充填剤として用いることもできる。錠剤、糖衣錠剤、カプセル剤、丸剤および顆粒剤の固形剤形は、腸溶性コーティングおよび医薬製剤分野において周知である他のコーティング等、コーティングおよび外殻(shell)を伴って調製され得る。それらは、不透明化剤を場合により含有してよく、消化管のある特定の部分において、場合により遅延様式で、有効成分(複数可)のみを、またはそれを優先的に放出する組成物のものであってもよい。使用され得る包埋組成物の例は、ポリマー性物質および蝋を包含する。同様の種類の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖等の添加剤、および高分子量ポリエチレングリコール等を使用して、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル内の充填剤として用いることもできる。
【0199】
活性化合物は、1種または複数種の上記した通りの添加剤を加えたマイクロカプセル化形態であってもよい。錠剤、糖衣錠剤、カプセル剤、丸剤および顆粒剤の固形剤形は、腸溶性コーティング、放出制御コーティング、および医薬製剤分野において周知である他のコーティング等、コーティングおよび外殻を伴って調製され得る。そのような固形剤形において、活性化合物は、スクロース、ラクトースまたはデンプン等、少なくとも1種の不活性賦形剤と混和され得る。そのような剤形は、通常の実務と同様に、不活性賦形剤以外の追加物質、例えば、錠剤化滑沢剤、ならびにステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロース等の他の錠剤化助剤も含み得る。カプセル剤、錠剤および丸剤の事例において、剤形は、緩衝剤も含み得る。それらは、不透明化剤を場合により含有してよく、消化管のある特定の部分において、場合により遅延様式で、有効成分(複数可)のみを、またはそれを優先的に放出する組成物のものであってもよい。使用され得る包埋組成物の例は、ポリマー性物質および蝋を包含する。
【0200】
本発明の化合物の局所または経皮投与用の剤形は、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、散剤、液剤、スプレー剤、吸入剤またはパッチ剤を包含する。活性成分は、無菌条件下で、薬学的に許容される担体および必要とされる任意の保存剤または緩衝剤と、要求され得る通りに混和される。眼科用製剤、点耳剤および点眼剤も本発明の範囲内であると企図されている。加えて、本発明は、体内への化合物の制御送達を提供するという付加的な利点を有する、経皮パッチ剤の使用を企図している。そのような剤形は、化合物を適正な媒質に溶解または分注することによって調製される。皮膚を横断する化合物のフラックスを増大させるために、吸収エンハンサーを使用してもよい。速度は、速度制御膜を提供すること、または化合物をポリマーマトリクスもしくはゲルに分散させることのいずれかによって制御できる。
【0201】
本明細書において記述されている形態A、形態A−HCl、形態B、形態B−HClもしくはそれらの任意の組合せ、または薬学的に許容されるその組成物を、併用療法において用いてよいこと、すなわち、本明細書において記述されている形態A、形態A−HCl、形態B、形態B−HClもしくはそれらの任意の組合せ、または薬学的に許容されるその組成物を、1種または複数種の他の所望の治療薬または医療処置と同時に、その前に、またはその後に投与してよいことも理解されよう。併用レジメンにおいて用いるための療法(治療薬または処置)の特定の組合せでは、所望の治療薬および/または処置と達成される所望の治療効果との適合性を考慮することになる。用いられる療法が、同じ障害について所望の効果を達成し得る(例えば、発明化合物を、同じ障害を治療するために使用される別の作用物質と同時に投与してよい)こと、または該療法が異なる効果を達成し得る(例えば、あらゆる副作用の制御)ことも理解されよう。本明細書において使用される場合、特定の疾患または状態を治療または予防するために通常投与される追加の治療剤は、「治療されている疾患または状態に適している」ことが公知である。
【0202】
一実施形態において、追加の作用物質は、粘液溶解剤、気管支拡張剤、抗生物質、抗感染剤、抗炎症剤、本発明の化合物以外のCFTRモジュレーター、または栄養剤から選択される。
【0203】
一実施形態において、追加の作用物質は抗生物質である。本明細書において有用である例示的な抗生物質は、トブラマイシン吸入パウダー(TIP)を包含するトブラマイシン、アジスロマイシン、エアゾール化形態のアズトレオナムを包含するアズトレオナム、アミカシンのリポソーム製剤を包含するアミカシン、吸入による投与に適切なシプロフロキサシンの製剤を包含するシプロフロキサシン、レボフロキサシンのエアゾール化製剤を包含するレボフロキサシン(levoflaxacin)、ならびに2種の抗生物質、例えばホスホマイシンおよびトブラマイシンの組合せを包含する。
【0204】
別の実施形態において、追加の作用物質は粘液溶解剤(mucolyte)である。本明細書において有用である例示的な粘液溶解剤は、Pulmozyme(登録商標)を包含する。
【0205】
別の実施形態において、追加の作用物質は気管支拡張剤である。例示的な気管支拡張剤は、アルブテロール、硫酸メタプロテレノール(metaprotenerol)、酢酸ピルブテロール、サルメテロールまたは硫酸テルブタリン(tetrabuline)を包含する。
【0206】
別の実施形態において、追加の作用物質は、肺気道表面の液体を修復する際に有効である。そのような作用物質は、細胞内外での塩の動きを改善し、肺気道中の粘液がより水和され、したがってより簡単に浄化されることを可能にする。例示的なそのような作用物質は、高張食塩水、デヌホソル四ナトリウム([[(3S,5R)−5−(4−アミノ−2−オキソピリミジン−1−イル)−3−ヒドロキシオキソラン−2−イル]メトキシ−ヒドロキシホスホリル][[[(2R,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソピリミジン−1−イル)−3,4−ジヒドロキシオキソラン−2−イル]メトキシ−ヒドロキシホスホリル]オキシ−ヒドロキシホスホリル]ハイドロジェンホスフェート)、またはブロンキトール(マンニトールの吸入製剤)を包含する。
【0207】
別の実施形態において、追加の作用物質は、抗炎症剤、すなわち、肺における炎症を低減させることができる作用物質である。本明細書において有用である例示的なそのような作用物質は、イブプロフェン、ドコサヘキサエン酸(DHA)、シルデナフィル、吸入グルタチオン、ピオグリタゾン、ヒドロキシクロロキンまたはシンバスタチンを包含する。
【0208】
別の実施形態において、追加の作用物質は、チャネルを遮断することによって直接的に、またはENaC活性の増大を招くプロテアーゼ(例えば、セリンプロテアーゼ、チャネル活性化プロテアーゼ)の調節によって間接的にのいずれかで、上皮型ナトリウムチャネル遮断薬(ENaC)の活性を低減させる。例示的なそのような作用物質は、カモスタット(トリプシン様プロテアーゼ阻害剤)、QAU145、552−02、GS−9411、INO−4995、エーロライト(Aerolytic)およびアミロライドを包含する。上皮型ナトリウムチャネル遮断薬(ENaC)の活性を低減させる追加の作用物質は、例えばPCT公開第WO2009/074575号において見られ、その全内容はその全体が本明細書に組み込まれる。
【0209】
本明細書において記述されている他の疾患の中で、本明細書において記述されているCFTRモジュレーター等のCFTRモジュレーターと、ENaCの活性を低減させる作用物質との組合せは、リドル症候群;嚢胞性線維症、先天性線毛運動不全症、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、喘息、呼吸器感染症、肺癌、口内乾燥および乾性角結膜炎(keratoconjunctivitis sire)、呼吸器感染症(急性および慢性;ウイルス性および細菌性)ならびに肺癌を包含する炎症性またはアレルギー性状態を治療するために使用される。
【0210】
形態B、本明細書において記述されているCFTRモジュレーター等のCFTRモジュレーターと、ENaCの活性を低減させる作用物質との組合せは、上皮の表面上の表面保護液の生理機能の異常をおそらく伴う、上皮全体にわたる体液調節の異常に関連する呼吸器疾患以外の疾患、例えば、口内乾燥(ドライマウス)または乾性角結膜炎(ドライアイ)も包含する、上皮型ナトリウムチャネルの遮断によって媒介される疾患を治療するのにも有用である。さらに、腎臓における上皮型ナトリウムチャネルの遮断を使用して利尿を促進し、それにより血圧低下作用を誘発することができる。
【0211】
喘息は、内因性(非アレルギー性)喘息および外因性(アレルギー性)喘息の両方、軽度喘息、中等度喘息、重度喘息、気管支炎喘息、運動誘発性喘息、職業性喘息および細菌感染後に誘発される喘息を包含する。喘息の治療はまた、例えば、4または5歳未満で、喘鳴症状を呈し、かつ、主要な医学的関心事である確立された患者カテゴリーであり、現在は多くの場合、初期型または早期喘息患者として同定されている、「喘鳴乳幼児」として診断されたまたは診断可能な被験体の治療を包括するものとして理解されている。(便宜上、この特定の喘息状態を「喘鳴乳幼児症候群」と称する。)喘息の治療における予防的効果は、症候性発作の、例えば急性喘息発作もしくは気管支収縮発作の頻度もしくは重症度の低減、肺機能の改善、または気道過敏性の改善によって証明されるであろう。該効果は、他の対症療法、すなわち、症候性発作が発生した際にそれを制限するまたは中断させるための、またはそのように意図された療法、例えば抗炎症(例えばコルチコステロイド)または気管支拡張の必要性が低減することによってさらに証明され得る。喘息における予防的利益は、特に、「モーニングディップ」を起こしやすい被験体において明白となり得る。「モーニングディップ」は、喘息患者のかなりの割合に共通しており、かつ、例えば、午前4時〜6時頃の間、すなわち、通常、先に施したいかなる喘息対症療法からも実質的に離れた時刻における喘息発作を特徴とする、認定された喘息症候群である。
【0212】
慢性閉塞性肺疾患は、慢性気管支炎またはそれに関連する呼吸困難、肺気腫、ならびに、他の薬物療法、特に他の吸入薬物療法の結果としての気道過敏性の増悪を包含する。いくつかの実施形態において、本明細書において記述されているCFTRモジュレーター等のCFTRモジュレーターと、ENaCの活性を低減させる作用物質との組合せは、例えば、急性、アラキジン酸性(arachidic)、カタル性、クループ性(croupus)、慢性または結核性気管支炎を包含する、種類または起源を問わない気管支炎の治療に有用である。
【0213】
別の実施形態において、追加の作用物質は、形態A、形態B、形態B−HClおよび形態A−HCl以外のCFTRモジュレーター、すなわち、CFTR活性を調節する効果を有する作用物質である。例示的なそのような作用物質は、アタルレン(「PTC124(登録商標)」;3−[5−(2−フルオロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]安息香酸)、シナプルチド、ランコブチド(lancovutide)、デペレスタット(ヒト組換え好中球エラスターゼ阻害剤)、コビプロストン(7−{(2R,4aR,5R,7aR)−2−[(3S)−1,1−ジフルオロ−3−メチルペンチル]−2−ヒドロキシ−6−オキソオクタヒドロシクロペンタ[b]ピラン−5−イル}ヘプタン酸)、または(3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸を包含する。別の実施形態において、追加の作用物質は、(3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)安息香酸である。
【0214】
別の実施形態において、追加の作用物質は栄養剤である。例示的なそのような作用物質は、Pancrease(登録商標)、Pancreacarb(登録商標)、Ultrase(登録商標)もしくはCreon(登録商標)を包含するパンクレリパーゼ(パンクレアチン(pancreating)酵素補充);Liprotomase(登録商標)(旧Trizytek(登録商標))、Aquadeks(登録商標)、またはグルタチオン吸入を包含する。一実施形態において、追加栄養剤はパンクレリパーゼである。
【0215】
一実施形態において、追加の作用物質は、本発明の化合物以外のCFTRモジュレーターである。
【0216】
本発明の組成物中に存在する追加の治療剤の量は、その治療剤を唯一の活性剤として含む組成物中で通常投与されるであろう量以下となる。好ましくは、現在開示されている組成物中における追加の治療剤の量は、その作用物質を唯一の治療活性剤として含む組成物中に通常存在する量の約50%から100%までの範囲となる。
【0217】
本明細書において記述されている化合物1形態A、形態A−HCl、形態B、形態B−HClもしくはそれらの任意の組合せ、または薬学的に許容されるその組成物は、プロテーゼ、人工弁、血管移植片、ステントおよびカテーテル等の移植可能な医療デバイスをコーティングするための組成物に組み込まれてもよい。したがって、本発明は、別の態様において、概して上述した通りの、ならびに本明細書におけるクラスおよびサブクラス内の本発明の化合物と、移植可能なデバイスをコーティングするのに適切な担体とを含む、前記移植可能なデバイスをコーティングするための組成物を包含する。さらに別の態様において、本発明は、概して上述した通りの、ならびに本明細書におけるクラスおよびサブクラス内の本発明の化合物と、移植可能なデバイスをコーティングするのに適切な担体とを含む組成物でコーティングされた、前記移植可能なデバイスを包含する。適切なコーティングおよびコーティングされた移植可能なデバイスの一般的調製は、米国特許第6,099,562号、同第5,886,026号および同第5,304,121号において記述されている。コーティングは、典型的には、ヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレン酢酸ビニル、およびそれらの混合物等の生体適合性ポリマー材料である。コーティングは、場合により、組成物において制御放出特徴を付与するために、フルオロシリコーン、多糖、ポリエチレングリコール、リン脂質またはそれらの組合せの適切なトップコートによってさらに被覆され得る。
【0218】
本発明の別の態様は、生物学的試料または患者におけるCFTR活性を(例えばインビトロまたはインビボで)調節することに関し、その方法は、本明細書において記述されている化合物20形態A、形態A−HCl、形態B、形態B−HClもしくはそれらの任意の組合せ、または薬学的に許容されるその組成物を、該患者に投与する、または前記生物学的試料と接触させるステップを含む。用語「生物学的試料」は、本明細書において使用される場合、細胞培養物またはその抽出物;哺乳動物から得た生検材料またはその抽出物;および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙もしくは他の体液、またはその抽出物を包含するがこれらに限定されない。
【0219】
生物学的試料におけるCFTRの調節は、当業者に公知である様々な目的で有用である。そのような目的の例は、生物学的および病理学的現象におけるCFTRの研究;ならびにCFTRの新たなモジュレーターの比較評価を包含するがこれらに限定されない。
【0220】
また別の実施形態において、アニオンチャネルの活性をインビトロまたはインビボで調節する方法であって、前記チャネルを、本明細書において記述されている化合物20形態A、形態A−HCl、形態B、形態B−HClもしくはそれらの任意の組合せ、または薬学的に許容されるその組成物と接触させるステップを含む方法が提供される。好ましい実施形態において、アニオンチャネルは、クロライドチャネルまたは重炭酸塩チャネルである。他の好ましい実施形態において、アニオンチャネルはクロライドチャネルである。
【0221】
代替的な実施形態によれば、本発明は、細胞の膜中の機能的CFTRの数を増大させる方法であって、前記細胞を、本明細書において記述されている化合物20形態A、形態A−HCl、形態B、形態B−HClもしくはそれらの任意の組合せ、または薬学的に許容されるその組成物と接触させるステップを含む方法を提供する。
【0222】
別の好ましい実施形態によれば、CFTRの活性は、膜貫通電位を測定することによって測定される。生物学的試料において膜を横断する電位を測定するための手段は、光学的膜電位アッセイまたは他の電気生理学的方法等、当技術分野において公知の方法のいずれかを用い得る。
【0223】
光学的膜電位アッセイでは、GonzalezおよびTsienによって記述されている電圧感受性FRETセンサー(Gonzalez, J. E.およびR. Y. Tsien(1995年)、「Voltage sensing by fluorescence resonance energy transfer in single cells.」、Biophys J、69巻(4号):1272〜80頁、ならびにGonzalez, J. E.およびR. Y. Tsien(1997年)、「Improved indicators of cell membrane potential that use fluorescence resonance energy transfer」、Chem Biol、4巻(4号):269〜77頁を参照)を、電圧/イオンプローブリーダー(VIPR)等の蛍光変化を測定するための機器使用(Gonzalez, J. E.、K. Oadesら(1999年)、「Cell−based assays and instrumentation for screening ion−channel targets」、Drug Discov Today、4巻(9号):431〜439頁を参照)と組み合わせて利用する。
【0224】
これらの電圧感受性アッセイは、膜可溶性の電圧感受性染料DiSBAC(3)と、原形質膜の外葉に付着しており、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)ドナーとして作用する蛍光リン脂質CC2−DMPEとの間のFRETにおける変化に基づく。膜電位(V)における変化は、負に帯電したDiSBAC(3)を原形質膜全体にわたって再分配させ、それに応じてCC2−DMPEからのエネルギー移動の量が変化する。蛍光発光における変化は、96または384ウェルマイクロタイタープレート中で細胞ベースのスクリーニングを行うように設計されて統合された液体ハンドラーおよび蛍光検出器であるVIPR(商標)IIを使用してモニターできる。
【0225】
別の態様において、本発明は、生物学的試料におけるCFTRまたはその断片の活性をインビトロまたはインビボで測定する際に使用するためのキットであって、(i)化合物20形態A、形態A−HCl、形態B、形態B−HClもしくはそれらの任意の組合せ、または上記実施形態のいずれかを含む組成物と、(ii)a)組成物を生物学的試料と接触させ、b)前記CFTRまたはその断片の活性を測定するための取扱説明書とを含むキットを提供する。一実施形態において、キットは、a)追加組成物を生物学的試料と接触させ、b)前記追加化合物の存在下で、前記CFTRまたはその断片の活性を測定し、c)追加化合物の存在下におけるCFTRの活性を、本明細書において記述されている形態A、形態A−HCl、形態B、形態B−HCl、またはそれらの任意の組合せの存在下でのCFTRの密度と比較するための取扱説明書をさらに含む。好ましい実施形態において、キットは、CFTRの密度を測定するために使用される。
【0226】
本明細書において記述されている発明をより完全に理解できるように、下記実施例を示す。これらの実施例は、例示のみを目的とし、本発明をいかようにも限定するものとして解釈されるべきではないことを理解すべきである。
【実施例】
【0227】
方法および材料
XRPD(X線粉末回折)
機器1
X線粉末回折(XRPD)データは、リガク/MSCミニフレックスデスクトップ粉末X線回折装置(Rigaku、The Woodlands、TX)を使用して、室温で記録する。X線は、Kβ抑制フィルターを用い、30kVおよび15mAで操作されるCu管を使用して生成する。発散スリットは、それぞれ4.2度およびスリット0.3mmに設定された散乱および受光スリットと共に可変である。スキャンモードは、0.02度の刻み幅および2.0秒のカウント時間を用いる固定時間(FT)である。参照標準物質:75%方ソーダ石(NaAlSi12Cl)および25%シリコン(Rigaku、カタログ番号2100/ALS)を使用して、粉末X線回折装置を較正する。ゼロバックグラウンド試料ホルダー(SH−LBSI511−RNDB)付きの6試料台を使用する。粉末試料を凹部に置き、スライドガラスで平らにする。
【0228】
機器2
代替として、粉末X線回折測定は、室温で銅放射線(1.54060A)を用いるPANalyticalのエキスパートプロ回折装置を使用して実施した。入射ビーム光学は、試料上および回折ビーム側における一定の照射長を確実にするための可変発散スリットで構成されたものであった。高速線形固体状態検出器は、スキャンモードにおいて測定された2.12度2θの有効長で使用した。粉末試料をゼロバックグラウンドシリコンホルダーの凹部上に詰め、回転を実施してより良好な統計を達成した。対称スキャンは、0.017度の刻みサイズおよび15.5秒のスキャンステップ時間を用い、4〜40度2θで測定した。
【0229】
機器3
代替として、高分解能データは、ビームラインID31(European Synchrotron Radiation Facility、Grenoble、フランス)にて室温で収集した。X線は、3つの11mmギャップ真空外アンジュレーター(ex−vacuum undulator)によって生じさせる。極低温に冷却した二結晶モノクロメーター(Si(111)結晶)によってビームを単色化する。水冷式スリットは、モノクロメーターへの入射ビームおよび試料に伝達される単色ビームのサイズを、0.5〜2.5mm(水平方向)×0.1〜1.5mm(垂直方向)の範囲内で限定する。実験に使用した波長は1.29984(3)Åであった。回折装置は、回折強度を2θの関数として測定するために垂直にスキャンされる9の検出器の列からなる。各検出器の前にSi(111)アナライザー結晶を置き、検出器チャネルはおよそ2°間隔とする。この回折装置は、ピーク幅が0.003°の狭さである極めて精密な高分解能回折パターンを生じさせることができ、ピーク位置の精度は0.0001°程度である。マテリアルズスタジオ(Materials Studio)(Reflex module)を使用して粉末回折データを処理し、インデックスを付けた。マテリアルズスタジオの粉末解析モジュールを使用して構造を解析した。得られた溶液を構造的実現可能性について評定し、その後、リートベルトの精密化手順を使用して精密化した。
【0230】
形態Aおよび形態Bについての実施例において記述されているXPRDスペクトルは、機器1(図10A)または機器2(図10B)を上述した設定で使用して記録した。形態B−HClおよび形態A−HClについての実施例において記述されているXPRDスペクトルは、機器2を上述した設定で使用して記録した。形態A−HClおよび形態B−HClについての結晶系、空間群および単位格子寸法は、機器3を使用して決定した。
【0231】
示差走査熱量測定(DSC)
示差走査熱量測定(DSC)は、TA DSC Q2000示差走査熱量計(TA Instruments,New Castle,DE)を使用して実施した。機器をインジウムで較正した。1つ穴の開いた蓋を使用して圧着された密封皿に、およそ2〜3mgの試料を秤量して入れた。DSC試料を、25℃から315℃まで、10℃/分の加熱速度でスキャンした。Thermal Advantage Q Series(商標)ソフトウェアによってデータを収集し、ユニバーサルアナリシスソフトウェア(TA Instruments、New Castle、DE)によって分析した。
【0232】
熱重量分析(TGA)
熱重量分析(TGA)データは、TA Q500熱重量分析器(TA Instruments,New Castle,DE)で収集した。およそ3〜5mgの重量を持つ試料を、25℃から350℃まで、10℃/分の加熱速度でスキャンした。Thermal Advantage Q Series(商標)ソフトウェアによってデータを収集し、ユニバーサルアナリシスソフトウェア(TA Instruments、New Castle、DE)によって分析した。
【0233】
FTIR分光法
FTIRスペクトルは、スマートオービットサンプリングコンパートメント(多重反射型減衰全反射アクセサリー)、45度のダイヤモンド窓を用いて、Thermo Scientific、ニコレット6700 FT−IR光度計から収集した。データ収集および分析に使用されるソフトウェアは、オムニック7.4である。収集設定は下記の通りであった:
検出器:DTGS KBr、
ビームスプリッター:Ge/KBr、
光源:エバーグローIR、
スキャン範囲:4000〜400cm−1
ゲイン:8.0、
光学的速度:0.6329cm/秒、
開口:100、
スキャン数:32、および
分解能:4cm−1
【0234】
粉末試料をダイヤモンド結晶に直接置き、圧力を加え、試料の表面をダイヤモンド結晶の表面と一致させた。バックグラウンドスペクトルを収集し、次いで、試料スペクトルを収集した。
【0235】
固体状態核磁気分光法
固体状態核磁気分光法(SSNMR)スペクトルは、Bruker400MHzプロトン周波数広口径分光計で得た。プロトン緩和縦緩和時間(H T)は、プロトン検出したプロトン飽和回復データを指数関数に当てはめることによって得た。これらの値を使用して、炭素交差分極マジック角回転実験の最適なリサイクル遅延(13C CPMAS)を設定し、典型的には、1.2×H Tから1.5×H Tの間に設定した。炭素スペクトルは、プロトンチャネル上の線形振幅ランプ(50%から100%まで)および100kHz TPPMデカップリングを使用し、2msの接触時間で得た。典型的なマジック角回転(MAS)スピードは15.0kHzであった。フッ素スペクトルは、プロトンデカップリングした直接分極MAS実験を使用して得た。100kHz TPPMデカップリングを使用した。リサイクル遅延は、≧5×19F Tに設定した。フッ素縦緩和時間(19F T)は、フッ素検出しプロトンデカップリングした飽和回復データを指数関数に当てはめることによって得た。29.5ppmに設定した固相アダマンタンの高磁場共鳴を使用して、炭素およびフッ素スペクトルを外部参照した。この手順を使用して、炭素スペクトルは0ppmのテトラメチルシランを間接的に参照し、フッ素スペクトルは0ppmのニトロメタンを間接的に参照した。
【0236】
合成実施例
調製実施例:7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン塩酸塩(8−HCl)
【0237】
【化48】

trans−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)シクロヘキサノール(A)の調製、方法1
炭酸ナトリウム(920.2g、8.682mol、2当量)を反応容器に添加し、続いて水(3.000L、6体積)を添加し、撹拌した。ジクロロメタン(DCM、4.000L、4体積)、続いてtrans−4−アミノシクロヘキサノール(500.0g、4.341mol)を添加して、二相反応混合物を生成し、これを室温で激しく撹拌した。次いで、DCM(2体積)中のBocO(947.4g、997.3mL、4.341mol、1当量)の溶液を容器に迅速に滴下添加し、得られた反応混合物を室温で終夜撹拌した。次いで、反応混合物を濾過し、フィルターケーキを水(2×8体積)で洗浄した。生成物が圧縮ケーキになるまで真空乾燥した。次いで、ケーキを真空オーブン中35℃で24時間乾燥させて、830gのtrans−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)シクロヘキサノール(A)を結晶性固体として得た。
【0238】
trans−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)シクロヘキサノール(A)の調製、方法2
2つの50L三つ口丸底フラスコは、それぞれ機械的撹拌器および熱電対を備えたものであった。フラスコを冷却槽に入れ、次いで、各フラスコに水(8.87L)およびtrans−4−アミノシクロヘキサノール(1479g)を入れた。約10から30分後、trans−4−アミノシクロヘキサノールが溶解し、炭酸カリウム(1774.6g)を各フラスコに加えた。約10から20分後、炭酸カリウムが溶解し、DCM(2.96L)を各フラスコに入れた。次いで、温度を20から30℃に維持するような速度で、DCM(1479mL)中のBoc無水物(3082.6g)を各フラスコに加えた。氷/水浴を使用して、発熱を制御し、添加を加速させ、これにはおよそ1から2時間を要した。添加中に懸濁液が形成され、反応混合物を室温に加温させ、Boc無水物の消失に基づいて反応が完了するまで終夜撹拌した。次いで、ヘプタン(6L)を各フラスコに入れ、混合物をおよそ0から5℃に冷却した。同じフィルターを使用する濾過によって各フラスコから固体を収集した。合わせた固体を、ヘプタン(6L)、続いて水(8L)で洗浄した。機械的撹拌器を備えた適正サイズの鉢に固体を入れた。水(12L)およびヘプタン(6L)を添加し、得られた懸濁液を30から60分間機械的に撹拌した。固体を濾過によって収集し、次いで、フィルター上、水(8L)およびヘプタン(8L)で洗浄し、フィルター上で3日間風乾させ、その後、30から35℃で一定重量に真空乾燥して、生成物を白色固体として得た。
【0239】
trans−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)シクロヘキシルメタンスルホネート(B)の調製、方法1
12Lフラスコは、窒素流および機械的撹拌器を備えたものであった。trans−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)シクロヘキサノール(750g、3.484mol)、続いてテトラヒドロフラン(THF、6.000L、8体積)を導入し、混合物を撹拌した。トリエチルアミン(370.2g、509.9mL、3.658mol、1.05当量)を添加し、混合物を0℃に冷却した。混合物の温度を5℃未満に保ちながら、塩化メタンスルホニル(419.0g、283.1mL、3.658mol、1.05当量)を慎重に滴下添加した。添加後、混合物を0℃で3時間撹拌し、次いで、次第に室温(17℃)に加温し、終夜(約15時間)撹拌した。混合物を水(6体積)でクエンチし、15分間撹拌した。酢酸エチル(EtOAc、9.000L、12体積)を添加し、撹拌を15分間続けた。撹拌を停止し、混合物を10分間静置させ、水相を除去した。1NのHCl(6体積、4.5L)を添加し、撹拌を15分間続けた。撹拌を停止し、水相を除去した。10%w/vのNaHCO(4.5L、6体積)を添加し、混合物を10分間撹拌した。撹拌を停止し、水相を除去した。水(6体積、4.5L)を添加し、混合物を10分間撹拌した。水層を除去し、有機層をポリッシュ濾過し、4体積に濃縮した。ヘプタン(5.5体積、4L)を添加し、混合物を再度濃縮乾固させて、988gのtrans−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)シクロヘキシルメタンスルホネートを結果として生じさせた。
【0240】
trans−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)シクロヘキシルメタンスルホネート(B)の調製、方法2
機械的撹拌器、添加漏斗、窒素入口、熱電対および乾燥管を備えた三つ口丸底フラスコを、冷却槽に入れた。trans−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)シクロヘキサノール(2599g、12.07mol、1.0当量)、テトラヒドロフラン(THF)(20.8L)およびトリエチルアミン(1466g、14.49mol、1.2当量)をフラスコに加えた。混合物を氷水浴で冷却し、撹拌した。塩化メタンスルホニル(1466g、12.80mol、1.06当量)を、添加漏斗により1時間かけて滴下添加した。添加が完了したら、冷却浴を除去し、出発材料が消費されたことをTLCが示すまで(約30分)反応混合物を撹拌した。次いで、反応混合物を、塩化水素酸水溶液(6.7Lの水中223mLのHCl)およびEtOAc(10.4L)でクエンチした。混合物を常温でおよそ10から20分間撹拌し、次いで、分液漏斗に移した。層を分離し、水層を廃棄した。有機層を、水(2×4.5L)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1×4.5L)で洗浄し、5から10分間撹拌しながら、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。混合物を濾過し、フィルターケーキをEtOAc(2×600mL)で洗浄した。合わせた洗浄液および濾液を減圧下40℃で濃縮すると、白色固体が残った。固体をヘプタン(3L)に溶かし、氷/メタノール冷却槽中で冷却した。さらなるヘプタン(5L)を添加し、混合物を0から5℃で1時間以上撹拌した。次いで、固体を濾過によって収集し、冷ヘプタン(0から5℃、2×1.3L)で洗浄し、40℃で一定重量に真空乾燥して、表題化合物を得た。
【0241】
注記:冷却槽および氷浴付きの丸底フラスコの代わりにジャケット型反応器を使用してよい。
【0242】
trans−4−アミノシクロヘキシルメタンスルホネート(C)の調製、方法1
trans−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)シクロヘキシルメタンスルホネート(985g、3.357mol)を、撹拌器を備えた三つ口12Lフラスコに、窒素雰囲気下で換気しながら導入した。DCM(1.970L、2体積)を室温で添加し、撹拌を開始した。トリフルオロ酢酸(TFA)(2.844kg、1.922L、24.94mol、2体積)を混合物に、各1Lの分量を2回ゆっくり添加した。1回目の添加後、混合物を30分間撹拌し、続いて2回目の添加をした。混合物を室温で終夜(15時間)撹拌して、透明溶液を結果として生じさせた。次いで、2−メチルテトラヒドロフラン(4体積)を反応混合物に添加し、これを1時間撹拌した。次いで、混合物をドラフト中で慎重に濾過し、真空乾燥して、1100gのtrans−4−アミノシクロヘキシルメタンスルホネートのTFA塩を過剰なTFAとともに得た。
【0243】
trans−4−アミノシクロヘキシルメタンスルホネート(C)の調製、方法2
50L三つ口丸底フラスコは、機械的撹拌器、添加漏斗および熱電対を備えたものであり、これを冷却槽に入れた。trans−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)シクロヘキシルメタンスルホネート(3474g、1.0当量)およびDCM(5.9L)をフラスコに加えた。得られた懸濁液を常温で5から10分間撹拌し、次いで、添加漏斗を介しトリフルオロ酢酸(TFA、5.9L)を2.5時間かけてゆっくり添加して、結果として生じる発熱およびガス発生速度を制御した。反応混合物を室温で終夜撹拌し、次いで、氷水浴を使用して15℃から20℃に冷却した。次いで、添加漏斗を介し、内部温度を25℃未満に維持する速度で(およそ1.5時間)、2−メチルテトラヒドロフラン(2−MeTHF、11.8L)を添加した。最初の4〜5Lの2−MeTHFの添加は発熱性であった。得られた懸濁液を1時間撹拌した。固体を濾過によって収集し、次いで、2−MeTHF(2×2.2L)で洗浄し、その後、常温で一定重量に真空乾燥して、表題化合物を白色固体として得た。
【0244】
7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン塩酸塩(8−HCl)の調製、方法1
trans−4−アミノシクロヘキシルメタンスルホネート(200g、650.9mmol)のTFA塩を、三つ口フラスコに導入し、続いて水(2.200L、11体積)を添加した。反応混合物の温度を25℃未満に保ちながらNaOH(78.11g、1.953mol、3当量)をゆっくり添加し、混合物を終夜撹拌した。次いで、DCM(1.4L、7体積)を添加し、混合物を撹拌し、有機層を分離した。次いで、水層を2回目のDCM(1.4L、7体積)で抽出し、DCM層を合わせた。次いで、HCl(108.5mL、12M、1.3020mol、2当量)を添加し、混合物を30分間撹拌し、その後、ロータリーエバポレーターで乾固するまで濃縮した。アセトニトリル(10体積)を添加し、混合物を濃縮した。微量の水がすべて共沸的に除去されるまでこれを3回繰り返して、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン塩酸塩を得た。粗生成物をアセトニトリル(10体積)から再結晶させて、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン塩酸塩8−HClを無色の結晶性固体として得た。HNMR (DMSO−d) ppm 8.02−8.04 (d); 7.23−7.31 (m); 4.59 (s); 3.31 (s); 2.51−3.3 (m); 1.63−1.75 (m); 1.45−1.62 (m).
注記として、抽出のためにDCMを添加する代わりに、粗生成物を約95℃から97℃で蒸留し、さらに再結晶させてもよい。
【0245】
7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン塩酸塩(8−HCl)の調製、方法2
50L三つ口丸底フラスコは、機械的撹拌器、添加漏斗および熱電対を備えたものであり、これを加熱マントルに入れた。水(30L)中のtrans−4−アミノシクロヘキシルメタンスルホネートトリフルオロ酢酸塩(3000g、1当量)をフラスコに加えた。この添加は弱発熱性であることから、混合物を撹拌しながら、温度を25℃未満に維持するような速度で、50%NaOH(2343g、29.29mol、3当量)を添加漏斗により添加した。NaOH添加が完了したら、反応混合物を室温で終夜撹拌した。ヘッド温度を95℃から98℃とし、還流温度(およそ100℃)での分別蒸留によって生成物を回収した。HClを添加することによって各画分のpHを2に調整し、減圧下55℃で濃縮すると、濃厚なペーストが残った。アセトニトリル(ACN1.5L)を添加し、得られた懸濁液を30分間撹拌し、次いで、0℃から5℃に1時間冷却した。固体を濾過によって収集し、冷(0から5℃)ACN(2×600mL)で洗浄し、50℃で一定重量に真空乾燥した。
【0246】
22L三つ口丸底フラスコは、機械的撹拌器、熱電対およびコンデンサーを備えたものであり、これを加熱マントルに入れた。収集した固体(2382g)、メタノール(4.7L)および2−MeTHF(4.7L)をフラスコに加えた。得られた懸濁液を撹拌し、加熱還流した(およそ65℃)。反応フラスコを冷却槽に移し、混合物を撹拌した。次いで、添加漏斗を介し2−MeTHF(4.7L)を30分間かけて添加した。得られた懸濁液を0から5℃に冷却し、この温度で30分間撹拌した。固体を濾過によって収集し、冷(0から5℃)2−MeTHF(2×600mL)で洗浄し、次いで、55℃で一定重量に真空乾燥した。
【0247】
機械的撹拌器、熱電対、窒素入口およびコンデンサーを備えた12L三つ口丸底フラスコを、加熱マントルに入れた。粗生成物(2079g)およびACN(6.2L)をフラスコに加えた。得られた懸濁液を撹拌し、30分間加熱還流した(およそ82℃)。フラスコを冷却槽に移し、懸濁液を0から5℃にゆっくり冷却し、この温度で1時間維持した。固体を濾過によって収集し、冷(0から5℃)ACN(3×600mL)で洗浄し、55℃で一定重量に真空乾燥して、表題生成物を得た。
【0248】
(実施例1A)
4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸(2)の調製
【0249】
【化49】

ジエチル2−((2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニルアミノ)メチレン)マロネート(6B)の調製
2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)アニリン4(200g、1.023mol)、ジエチル2−(エトキシメチレン)マロネート(5)(276g、1.3mol)およびトルエン(100mL)を、窒素雰囲気下、ディーンスタークコンデンサーを備えた三つ口1L丸底フラスコ中で合わせた。溶液を撹拌しながら140℃に加熱し、その温度を4時間維持した。反応混合物を70℃に冷却し、ヘキサン(600mL)をゆっくり添加した。得られたスラリーを撹拌し、室温に加温させた。固体を濾過によって収集し、ヘキサン中10%の酢酸エチル(2×400mL)で洗浄し、次いで、真空乾燥して、所望の縮合物ジエチル2−((2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニルアミノ)メチレン)マロネート(6B)として白色固体(350g、収率94%)を得た。H NMR (400 MHz, DMSO−d) δ 11.28 (d, J = 13.0 Hz, 1H), 8.63 (d, J = 13.0 Hz, 1H), 8.10 (s, 1H), 7.80 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.50 (dd, J = 1.5, 8.4 Hz, 1H), 4.24 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 4.17 (q, J = 7.1 Hz,2 H),1.27 (m, 6H).
エチル8−クロロ−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキシレート(6A)の調製、方法1
三つ口1Lフラスコに、Dowtherm(登録商標)(200mL、8mL/g)を入れ、200℃で1時間脱気した。溶媒を260℃に加熱し、ジエチル2−((2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニルアミノ)メチレン)マロネート(6B)(25g、0.07mol)とともに10分間かけて小分けにして入れた。得られた混合物を260℃で6.5時間(h)撹拌し、得られたエタノール副産物を蒸留によって除去した。混合物を80℃にゆっくり冷却させた。ヘキサン(150mL)を30分間(min)かけてゆっくり添加し、続いて追加で200mLのヘキサンを一度に添加した。スラリーが室温に達するまで撹拌した。固体を濾過し、ヘキサン(3×150mL)で洗浄し、次いで、真空乾燥して、エチル8−クロロ−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキシレート(6A)を黄褐色固体として得た。H NMR (400 MHz, DMSO−d) δ 11.91 (s, 1H), 8.39 (s, 1H), 8.06 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.81 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 4.24 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 1.29 (t, J = 7.1 Hz, 3H).
エチル8−クロロ−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキシレート(6A)の調製、方法2
化合物6B(2000g、5.468mol)を反応器に導入した。Dowtherm(4.000L)を反応器に入れ、窒素パージによって室温で終夜脱気した。次いでこれを撹拌し、260℃に加温した。生じたEtOHを留去した。反応をモニターし、5.5時間後に完了し、反応が実質的に完了した。熱源を除去し、反応混合物を80℃に冷却し、ヘプタン(2.000L)を入れた。混合物を30分間撹拌した。ヘプタン(6.000L)を撹拌混合物に入れ、撹拌を終夜続けた。固体を濾過除去し、ヘプタン(4.000L)で洗浄し、真空オーブン中50℃で乾燥させて、化合物6Aを得た。
【0250】
エチル4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1H−キノリン−3−カルボキシレート(6C)の調製
三つ口5Lフラスコに、エチル8−クロロ−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキシレート(6A)(100g、0.3mol)、エタノール(1250mL、12.5mL/g)およびトリエチルアミン(220mL、1.6mol)を入れた。次いで、容器に10gの10%Pd/C(50%湿式)を5℃で入れた。反応物を水素雰囲気下5℃で20時間激しく撹拌し、この時間の後、反応混合物をおよそ150mLの体積に濃縮した。生成物エチル4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1H−キノリン−3−カルボキシレート(6C)を、Pd/C入りスラリーとして次のステップに直接持ち込んだ。
【0251】
4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸(2)の調製
エチル4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1H−キノリン−3−カルボキシレート(6C)(58g、0.2mol、Pd/Cを含有する粗反応物スラリー)を、還流コンデンサー付きの1Lフラスコ中、NaOH(814mL、5M、4.1mol)に懸濁させ、80℃で18時間加熱し、続いて100℃で5時間さらに加熱した。反応物をパックセライトに通して温かいうちに濾過してPd/Cを除去し、セライトを1NのNaOHですすいだ。濾液をpH約1に酸性化して、濃厚な白色沈殿物を得た。沈殿物を濾過し、次いで、水および冷アセトニトリルですすいだ。次いで、固体を真空乾燥して、4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸(2)を白色固体として得た。H NMR (400.0 MHz, DMSO−d) δ 15.26 (s, 1H), 13.66 (s, 1H), 8.98 (s, 1H), 8.13 (dd, J = 1.6, 7.8 Hz, 1H), 8.06 − 7.99 (m, 2H).
(実施例1B)
4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸(2)の代替的調製
【0252】
【化50】

8−クロロ−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸(6D)の調製
エチル8−クロロ−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキシレート(6B)(1200g、3.754mol)を容器に入れ、続いて、2−プロパノール(1.200L)および水(7.200L)を添加し、撹拌した。NaOH(600.6g、7.508mol)および水(1.200L)を混合し、室温に冷却させた。得られたNaOH溶液を反応容器に入れた。反応混合物を、80℃に加熱して3.5時間撹拌し、暗色の均質混合物を得た。さらに1時間後、滴下漏斗を介し45分間かけて酢酸(9.599L、[20%w/v溶液]、31.97mol)を添加した。反応混合物を撹拌しながら、6℃/時の速度で22℃に冷却した。得られた固体を濾過し、水(3L)で洗浄して、湿ったケーキ(1436g)を得た。濾液を、真空オーブン中、窒素を抜きながらDrierite(登録商標)で乾燥させて、8−クロロ−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸を褐色固体として得た。8−クロロ−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸を、1.5Lのメタノール中でスラリー化し、6時間撹拌することによって精製した。次いでこれを濾過し、乾燥させて、968.8gの精製された8−クロロ−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸(6D)を得た。
【0253】
4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸(2)の調製
8−クロロ−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸(6D)(18.5g、1.00当量、限定試薬)を反応容器に入れ、MeOH(118mL、6.4体積)を不活性雰囲気下でかき混ぜながら添加した。NaOMe(3.53g、1.00当量)を10分間かけて少量ずつ反応器に添加した。すべての固体が溶液中にある状態になるまで(5〜10分)、混合物を撹拌した。次いで、パラジウム炭素(2.7g、0.03当量)を反応混合物に添加した。MeOH(67mL、3.6体積)に溶解させたギ酸カリウム(10.78g、2当量)を、反応混合物に30分間かけて添加し、常温で約4.5時間撹拌した。8−クロロ−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸が、4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸に対して1.0%以下となった際に、反応は完了したと判断した。反応が完了したら、混合物をセライトのパッド(37g[出発物質6Dの質量のおよそ2倍])に通して濾過して、固体を除去した。セライトケーキをMeOH(37mL、2体積)で洗浄した。濾液をきれいな反応容器に入れ、撹拌した。酢酸(7.22mL、2当量)を、撹拌溶液に少なくとも45分間かけて連続的に入れ、得られたスラリーを5〜16時間の間撹拌した。固体を濾過し、ケーキをMeOH(56mL、3体積)で洗浄し、減圧して乾燥させ、次いで真空乾燥して、表題カルボン酸2を得た。
【0254】
代替として、ギ酸カリウム試薬を水素ガスに置き換えてもよい。
【0255】
(実施例2A)
4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)アニリン(3)の調製
【0256】
【化51】

7−[4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン(9)の調製、方法1
窒素雰囲気下で得た7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン塩酸塩(8−HCl)(4.6g、34.43mmol)を含有するフラスコに、アセトニトリル(50mL)中の4−フルオロ−1−ニトロ−2−(トリフルオロメチル)ベンゼン(7)(6.0g、28.69mmol)およびトリエチルアミン(8.7g、12.00mL、86.07mmol)の溶液を添加した。反応フラスコを、窒素雰囲気下80℃で16時間加熱した。反応混合物を冷却させ、次いで水とジクロロメタンとに分配した。有機層を1MのHClで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、乾固するまで濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中0〜10%酢酸エチル)による精製により、7−[4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン(9)を黄色固体として得た。H NMR (400.0 MHz, DMSO−d) δ 8.03 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 7.31 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.25 (dd, J = 2.6, 9.1 Hz, 1H), 4.59 (s, 2H), 1.69 − 1.67 (m, 4H), 1.50 (d, J = 7.0 Hz, 4H).
7−[4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン(9)の調製、方法2
4−フルオロ−1−ニトロ−2−(トリフルオロメチル)ベンゼン(7)(901g、4.309mol)を、30Lジャケット型容器に、窒素雰囲気下、撹拌しながら、NaCO(959.1g、9.049mol)およびDMSO(5L、5.5体積)とともに導入した。次いで、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン塩酸塩(8−HCl)(633.4g、4.740mol)を小分けにして容器に添加した。温度を次第に55℃に上昇させた。反応が実質的に完了したら、混合物を10体積のEtOAcで希釈し、水(5.5体積)で3回、または水層中のDMSOが消失する(HPLC)まで洗浄した。すべてのEtOAcが除去されるまで、有機層を4体積に濃縮し、次いで溶媒をシクロヘキサンと交換し、フラスコ中の総体積を、シクロヘキサンを含めて約4体積とした。反応混合物を、ロータリーエバポレーターで30分間、60℃に加熱した。次いで、溶液を撹拌または回転させながら室温に3時間冷却した。すべての固体が結晶化したら、溶液を乾固するまで濃縮して、7−[4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン(9)を得た。
【0257】
7−[4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン(9)の調製、方法3
4−フルオロ−1−ニトロ−2−(トリフルオロメチル)ベンゼンを、3体積のDCMに溶解させた。テトラブチルアンモニウムブロミド(0.05当量)およびKOH(50wt%、3.6当量)を添加した。次いで、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン塩酸塩(8−HCl)を0〜5℃で添加した。反応物を常温に加温し、HPLCによってモニターした。反応が実質的に完了したら、層を分離し、有機層を1MのHClで洗浄した。層を分離し、水層を廃棄した。有機層を水で1回、ブラインで1回洗浄し、蒸発させた。得られた材料を、還流でシクロヘキサンから再結晶させた。固体を濾過し、シクロヘキサンで洗浄し、真空オーブン中、Nガスを抜きながら45℃で乾燥させて、7−[4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン(9)を得た。
【0258】
4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)アニリン(3)の調製
7−[4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン(26)(7.07g、24.70mmol)および10%Pd/C(0.71g、6.64mmol)で満たしたフラスコを排気し、次いで窒素を流した。エタノール(22mL)を添加し、反応フラスコに水素バルーンを装着した。12時間激しく撹拌後、反応混合物を窒素でパージし、Pd/Cを濾過によって除去した。濾液を減圧下で濃縮して暗色油とし、残基をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中0〜15%酢酸エチル)によって精製して、4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)アニリン(3)を紫色固体(5.76g、収率91%)として得た。H NMR (400.0 MHz, DMSO−d) δ 6.95 (dd, J = 2.3, 8.8 Hz, 1H), 6.79 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 6.72 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 4.89 (s, 2H), 4.09 (s, 2H), 1.61 − 1.59 (m, 4H)および1.35 (d, J = 6.8 Hz, 4H).
(実施例2B)
4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)アニリン(3−HCl)の塩酸塩の調製
【0259】
【化52】

4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)アニリンの塩酸塩(3−HCl)の調製、方法1
パラジウム炭素(150g、5%w/w)を、窒素雰囲気下、Buechi水素化装置(hydrogenator)(20L容量)に入れ、続いて、7−[4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン(9)の塩酸塩(1500g)、および2−メチルテトラヒドロフラン(10.5L、7体積)を添加した。水素ガスを、密閉容器に+0.5バール大気圧を上回る圧力で充填した。約2分間減圧にし、続いて、水素ガスを導入して0.5バールの圧力とした。この過程を2回繰り返した。次いで、水素ガスを、+0.5バールだけ大気圧を上回る圧力で連続的に充填した。容器ジャケットを冷却することにより、混合物を撹拌し、温度を18℃から23℃の間に維持した。反応において水素ガスがそれ以上消費されなくなり、さらなる発熱が起こらなくなったら、再び減圧にした。窒素ガスを0.5バールで容器に充填し、再び減圧にし、続いて0.5バールの窒素ガスの2回目の充填をした。反応が実質的に完了したら、窒素雰囲気下、セライトフィルターを使用する濾過漏斗を介して、反応混合物を受け入れフラスコ(receiving flask)に移した。セライトフィルターケーキを2−メチルテトラヒドロフラン(3L、2体積)で洗浄した。撹拌機構、温度制御および窒素雰囲気を備えた容器に、洗浄液および濾液を入れた。1,4−ジオキサン(1体積)中4MのHClを、20℃で1時間かけて連続的に容器中に添加した。混合物を追加で10時間(または終夜)撹拌し、濾過し、2−メチルテトラヒドロフラン(2体積)で洗浄し、乾燥させて、1519gの4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)アニリン塩酸塩(3−HCl)を白色結晶性固体として得た。
【0260】
この実施例において、代替的な溶媒を代わりに使用してもよい。例えば、2−MeTHFの代わりにMeOHおよび/またはEtOHが使用され得る。
【0261】
(実施例3A)
形態AとしてのN−(4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキサミド(化合物1形態A)の調製
【0262】
【化53】

2−メチルテトラヒドロフラン(91.00mL)中の4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1H−キノリン−3−カルボン酸(2)(9.1g、35.39mmol)および4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)アニリン(3)(9.2g、35.74mmol)の溶液に、プロピルホスホン酸環状無水物(酢酸エチル中50%溶液、52.68mL、88.48mmol)およびピリジン(5.6g、5.73mL、70.78mmol)を室温で添加した。反応フラスコを、窒素雰囲気下65℃で10時間加熱した。室温に冷却後、次いで反応混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和NaCO溶液(50mL)でクエンチした。層を分離し、水層を酢酸エチルで2回以上抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して黄褐色固体とした。粗固体生成物を、酢酸エチル/ジエチルエーテル中でスラリー化し(2:1)、減圧濾過によって収集し、酢酸エチル/ジエチルエーテルで2回以上洗浄して(2:1)、粗生成物を淡黄色結晶性粉末として得た。粉末を温酢酸エチルに溶解させ、セライトに吸着させた。シリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン中0〜50%酢酸エチル)による精製により、N−(4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキサミドの形態A(化合物1形態A)を白色結晶性固体として得た。LC/MS m/z 496.0[M+H]、保持時間1.48分(RP−C18、3分間かけて10〜99%CHCN/0.05%TFA)。H NMR (400.0 MHz, DMSO−d) δ 13.08 (s, 1H), 12.16 (s, 1H), 8.88 (s, 1H), 8.04 (dd, J = 2.1, 7.4 Hz, 1H), 7.95 − 7.88 (m, 3H), 7.22 (dd, 2.5, 8.9 Hz, 1H), 7.16 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 4.33 (s, 2H), 1.67 (d, J = 6.9 Hz, 4H), 1.44 (d, J = 6.9 Hz, 4H).
化合物1形態Aの粉末ディフラクトグラム(diffractogram)を図1に示す。
【0263】
表1は、化合物1形態Aの代表的なXRPDピークの一覧を提供するものである。
表1:化合物1形態Aの代表的なXPRDピーク
【0264】
【表1】

化合物1形態Aの代表的試料は、図2において提供されるFTIRスペクトルを示した。
【0265】
単一X線分析に基づく化合物1形態Aの立体配座画像を図3に示す。回折データは、シールド管CuK−アルファ源およびアペックスII CCD検出器を備えたBrukerアペックスII回折装置で得た。SHELXプログラムを使用して構造を解析し、精密化した(Sheldrick, G.M.、Acta Cryst.、A64巻、112〜122頁(2008年))。強度、統計および対称性に基づいて、三方晶系およびR−3空間群において構造を解析し、精密化した。化合物1形態Aは、下記の単位格子寸法:a=19.1670(4)Å、b=19.1670(4)Å、c=33.6572(12)Å、α=90°、β=90°およびγ=120°を有する。
【0266】
(実施例3B)
形態A−HClとしてのN−(4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキサミド(化合物1形態A−HCl)の調製
【0267】
【化54】

2−メチルテトラヒドロフラン(0.57L、1.0体積)を30Lジャケット型反応容器に入れ、続いて、4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)アニリン(3−HCl)の塩酸塩(791g、2.674mol)および4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸(2)(573g、2.2278mol)、ならびに追加で5.2L(9.0体積)の2−メチルテトラヒドロフランを添加した。撹拌を開始し、2−メチルテトラヒドロフラン中のT3P(2.836kg、4.456mol)を反応混合物に15分間かけて添加した。次いで、添加漏斗を介しピリジン(534.0g、546.0mL、6.684mol)を30分間かけて滴下添加した。混合物を約30分間かけて45℃に加温し、12〜15時間撹拌した。HPLC分析は、4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸が2%未満の量で存在することを示した。次いで、混合物を室温に冷却した。2−メチルテトラヒドロフラン(4体積、2.292L)、続いて水(6.9体積、4L)を添加し、その間、温度を30℃未満に維持した。水層を除去し、有機層をNaHCO飽和水溶液で慎重に2回洗浄した。次いで、有機層を10%w/wクエン酸(5体積)で、最後に水(7体積)で洗浄した。混合物をポリッシュ濾過し、別の乾燥した容器に移した。N−(4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキサミド塩酸塩の形態A−HClの種晶(化合物1形態A−HCl)(3.281g、5.570mmol)を添加した。HCl(g)(10当量)を吹き込んで2時間にわたって泡立たせ、混合物を終夜撹拌した。得られた懸濁液を濾過し、2−メチルテトラヒドロフラン(4体積)で洗浄し、一定重量まで真空乾燥させ、60℃でオーブン乾燥させて、化合物1形態A−HClとして得た。
【0268】
化合物1形態A−HClの粉末ディフラクトグラムを図4に示す。
【0269】
表2は、化合物1形態A−HClの代表的なXRPDピークを提供するものである。
表2.化合物1形態A−HClの代表的なXPRDピーク
【0270】
【表2−1】

【0271】
【表2−2】

化合物1形態A−HClの単結晶は、単斜晶系、P2/c空間群、ならびに下記の単位格子寸法:a=13.6175(4)Å、b=21.614(3)Å、c=8.3941(4)Å、α=90°、β=112.303°およびγ=90°を保有することが判明した。
【0272】
化合物1形態A−HClの試料を、顕微鏡も使用して評価した。
【0273】
化合物1形態A−HClの試料についてのDSC曲線を、図5において提供し、化合物1形態A−HClの代表的試料についてのTGA曲線を、図6において提供する。
【0274】
化合物1形態A−HClの代表的試料は、図7において提供されるFTIRスペクトルを示した。
【0275】
化合物1形態A−HClを、固体状態13Cおよび19F NMRも使用して分析した。それぞれのNMRスペクトルを図8および9において提供する。13C SSNMRおよび19F SSNMRスペクトルにおいて見られた数個のピークを、表3および4に記載する。
表3:化合物1形態A−HClの13C SSNMRピーク
【0276】
【表3】

表4:化合物1形態A−HClの19F SSNMRピーク
【0277】
【表4】

(実施例4A)
形態BとしてのN−(4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキサミド(化合物1形態B)の調製
【0278】
【化55】

2−メチルテトラヒドロフラン(1体積)を30Lジャケット型反応容器に入れ、続いて4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)アニリン(3−HCl)の塩酸塩(1.2当量)および4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸(2)(573g、2.228mol)を添加した。追加の2−メチルテトラヒドロフラン(9体積)を容器に入れ、撹拌を開始した。2−メチルテトラヒドロフラン中のT3P(2当量)を反応混合物に15分間かけて添加した。添加漏斗を使用し、ピリジン(3当量)を滴下して迅速に添加した。次いで、撹拌下で、混合物を約30分間かけて45℃に加熱し、この温度を約5時間維持した。混合物を室温に冷却した。2−メチルテトラヒドロフラン(4体積)を添加し、続いて水(6.9体積)をゆっくり添加し、反応物の温度を30℃未満に保った。水層を除去し、有機層をNaHCO飽和水溶液で2回洗浄した。次いで、有機層を10%w/wクエン酸(5体積)で慎重に洗浄し、水(7体積)で洗浄し、ポリッシュ濾過し、別の乾燥した容器に移した。2−メチルテトラヒドロフラン(10体積)を添加し、撹拌を開始した。ヘプタン(10体積)を撹拌しながら滴下して迅速に添加した。混合物を約12時間にわたって撹拌し、次いで減圧濾過した。固体フィルターケーキを別の容器に導入した。水(15体積)を容器に入れ、懸濁液を48時間激しく撹拌し、次いで濾過した。固体ケーキを水(5体積)で洗浄し、45℃で一定重量に乾燥させて、化合物1形態Bを得た。
【0279】
機器1および2を使用して記録した化合物1形態Bの粉末ディフラクトグラムを、それぞれ図10Aおよび10Bにおいて示す。
【0280】
表5は、化合物1形態Bの代表的なXRPDピークを含む。
表5.化合物1形態Bの代表的なXPRDピーク
【0281】
【表5】

化合物1形態Bの試料についてのDSC曲線を、図11において提供し、化合物1形態Bの代表的試料についてのTGA曲線を、図12において提供する。
【0282】
化合物1形態Bの代表的試料は、図13において提供されるFTIRスペクトルを示した。
【0283】
化合物1形態Bを、固体状態13Cおよび19F NMRも使用して分析した。それぞれのNMRスペクトルを図14および15において提供する。13C SSNMRおよび19F SSNMRスペクトルにおいて見られた数個のピークを、表6および7に記載する。
表6:化合物1形態Bの13C SSNMRピーク
【0284】
【表6】

表7:化合物1形態Bの19F SSNMRピーク
【0285】
【表7】

化合物1形態Bの単結晶をマイクロマウントループに載せ、密閉した銅X線管およびアペックスII CCD検出器を備えたBrokerアペックスII回折装置の中心に据えた。最初に、40フレームの3セットを収集して、予備的単位格子を決定した。その後、15スキャンおよび6084フレームからなる完全データセットを得た。データ収集は室温で実施した。データを統合し、Bruker AXS製のアペックスIIソフトウェアを使用して測った。統合およびスケーリングは、6176の反射をもたらし、このうちの2250が固有のものであった。SHELXTLソフトウェアを使用し、空間群P21/cにおける直接的方法によって構造を解析した。精密化は、同じくSHELXTLソフトウェアを使用するF2についての完全行列最小二乗法を用いて実施した。392の全部のパラメーターを精密化に使用して、5.74の対パラメーター反射比をもたらした。最終精密化指数は、wR2=0.0962およびRl=0.0682(I>2シグマ(I)である反射についてはwR2=0.0850およびRl=0.0412であった。
【0286】
化合物1形態BのN−(4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキサミドの単結晶は、単斜晶系、P21/c空間群、ならびに下記の単位格子寸法:a=13.5429(4)Å、b=13.4557(4)Å、c=12.0592(4)Å、α=90°、β=101.193°およびγ=90°を保有することが判明した。
【0287】
(実施例4B)
形態B−HClとしてのN−(4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキサミド(化合物1形態B−HCl)の調製
【0288】
【化56】

方法1
100mLの2−メチルテトラヒドロフランを、撹拌器を備えた窒素雰囲気を有する三つ口フラスコに入れた。化合物1形態A−HCl(55g、0.103mol)、続いて349mLの2−メチルテトラヒドロフランをフラスコに加え、撹拌を開始した。28mLの水をフラスコに加え、フラスコを60℃の内部温度に加温し、48時間撹拌した。フラスコを室温に冷却し、1時間撹拌した。フィルターケーキが乾燥するまで、反応混合物を減圧濾過した。固体フィルターケーキを2−メチルテトラヒドロフラン(4体積)で2回洗浄した。固体フィルターケーキを約30分間にわたって吸引して減圧にしたままにしておき、乾燥トレイに移した。フィルターケーキを60℃で一定重量に真空乾燥した。これにより、化合物1形態B−HClを白色結晶性固体として得た。
【0289】
方法2
化合物1形態A−HCl(14.638g、27.52mmol)を100mL丸底フラスコに入れた。EtOH(248.9mL)および水(27.82mL)を添加した。白色スラリーを加熱還流した。透明溶液が77℃で取得された。反応物を45℃に冷却し、30分間撹拌させ、次いで、20℃に冷却した。混合物を追加で3時間、20℃で撹拌させた。生成物を濾過し、ケーキをEtOHで洗浄した。固体を、真空オーブン中45℃で、窒素を抜きながら乾燥させて、化合物1形態B−HClを白色固体として得た。
【0290】
注記として、この例において記述されている通りのEtOH/HOの代わりに、MeOH/HOおよびIPA/HO等の他の溶媒組合せを使用してもよい。
【0291】
代替的な溶媒組合せの例を、表8において提供する。
表8.形態B−HClを作製するために使用され得る他の溶媒
【0292】
【表8】

化合物1形態B−HClの粉末ディフラクトグラムを、図16において示す。
表9:化合物1形態B−HClの代表的なXRPDピーク
【0293】
【表9−1】

【0294】
【表9−2】

化合物1形態B−HClの単結晶は、単斜晶系、P2/a空間群、ならびに下記の単位格子寸法:a=12.57334(5)Å、b=19.68634(5)Å、c=8.39399(5)Å、α=90°、β=90.0554°およびγ=90°を保有することが判明した。
【0295】
化合物形態B−HClの試料を、顕微鏡も使用して評価した。
【0296】
化合物1形態B−HClについてのDSC曲線を、図17において提供し、化合物1形態B−HClの代表的試料についてのTGA曲線を、図18において提供する。
【0297】
化合物1形態B−HClの代表的試料は、図19において提供されるFTIRスペクトルを示した。
【0298】
化合物1形態B−HClを、固体状態13Cおよび19F NMRも使用して分析した。それぞれのNMRスペクトルを図20および21において提供する。13C SSNMRおよび19F SSNMRスペクトルにおいて見られた数個のピークを、表10および11に記載する。
表9:化合物1形態B−HClの13C SSNMRピーク
【0299】
【表9−3】

表10:化合物1形態B−HClの19F SSNMRピーク
【0300】
【表10】

注記として、実施例3A、3Bおよび4A〜4Cにおいて、2−MeTHFの代わりにEtOACが溶媒として使用され得る。
【0301】
化合物のΔF508−CFTR増強特性を検出および測定するためのアッセイ
化合物のΔF508−CFTR調節特性を評価するための膜電位光学法
アッセイでは、蛍光電圧感知染料を利用して、NIH 3T3細胞における機能的ΔF508−CFTRの増大の読み出しとして蛍光プレートリーダー(例えば、FLIPR III、Molecular Devices,Inc.)を使用し、膜電位の変化を測定する。応答のための駆動力は、細胞を先に化合物で処理し、その後電圧感知染料を充填した後の単一液体添加ステップによるチャネル活性化と連動する、クロライドイオン勾配の生成である。
【0302】
増強物質化合物の同定
ΔF508−CFTRの増強物質を同定するために、二重添加HTSアッセイフォーマットを開発した。このHTSアッセイでは、蛍光電圧感知染料を利用して、温度補正されたΔF508 CFTR NIH 3T3細胞中におけるΔF508 CFTRのゲーティング(コンダクタンス)の増大の測定として、膜電位の変化をFLIPR IIIで測定する。応答のための駆動力は、細胞を先に増強物質化合物(またはDMSOビヒクル対照)で処理し、その後再分布染料を加えた後の、FLIPR III等の蛍光プレートリーダーを使用する単一液体添加ステップ中のホルスコリンによるチャネル活性化と連動する、Clイオン勾配である。
【0303】
溶液
浴溶液番号1:(mM単位で)NaCl 160、KCl 4.5、CaCl 2、MgCl 1、HEPES 10、そしてNaOHでpH7.4にした。
【0304】
浴溶液番号1の代替物は、塩化物塩をグルコン酸塩で代用した浴溶液を包含する。
【0305】
細胞培養
ΔF508−CFTRを安定発現するNIH3T3マウス線維芽細胞を、膜電位の光学的測定に使用する。175cm培養フラスコ内、2mMのグルタミン、10%のウシ胎仔血清、1×NEAA、β−ME、1×ペニシリン/ストレプトマイシンおよび25mMのHEPESを補充したダルベッコ変法イーグル培地中、37℃、5%COおよび90%湿度で細胞を維持する。すべての光学的アッセイのために、細胞を384ウェルマトリゲルコーティングプレートに約20,000/ウェルで播種し、37℃で2時間培養した後、増強物質アッセイのために27℃で24時間培養した。補正アッセイのために、細胞を、27℃または37℃、化合物有りおよび無しで16〜24時間培養する。
【0306】
化合物のΔF508−CFTR調節特性を評価するための電気生理学的アッセイ
1.ウッシングチャンバーアッセイ
ΔF508−CFTRを発現している分極した気道上皮細胞についてウッシングチャンバー実験を実施して、光学的アッセイにおいて同定されたΔF508−CFTRモジュレーターをさらに特徴付けた。非CFおよびCF気道上皮を気管支組織から単離し、以前に記述されている通りに培養し(Galietta, L.J.V.、Lantero, S.、Gazzolo, A.、Sacco, O.、Romano, L.、Rossi, G.A.およびZegarra−Moran, O.、(1998年)、In Vitro Cell. Dev. Biol.、34巻、478〜481頁)、NIH3T3馴化培地でプレコーティングしたCostar(登録商標)Snapwell(商標)フィルターに平板培養した。4日後、頂端の培地を除去し、細胞を使用前に14日を超える期間、気液界面で成長させた。これは、気道上皮に特徴的な特色である、線毛のある完全に分化した円柱細胞の単層をもたらした。いかなる公知の肺疾患も有さない非喫煙者から、非CF HBEを単離した。ΔF508−CFTRが同型接合の患者から、CF−HBEを単離した。
【0307】
Costar(登録商標)Snapwell(商標)細胞培養インサート上で成長させたHBEを、ウッシングチャンバー(Physiologic Instruments,Inc.,San Diego,CA)内に載置し、電圧クランプシステム(Department of Bioengineering、University of Iowa、IA)を使用して、経上皮抵抗と基底外側から頂端のCl勾配の存在下での短絡回路電流(ISC)とを測定した。手短に述べると、HBEを電圧クランプ記録条件下(Vhold=0mV)37℃で検査した。基底外側溶液は、(mM単位で)145 NaCl、0.83 KHPO、3.3 KHPO、1.2 MgCl、1.2 CaCl、10 グルコース、10 HEPES(NaOHでpHを7.35に調整した)を含有しており、頂端溶液は、(mM単位で)145 Naグルコネート、1.2 MgCl、1.2 CaCl、10 グルコース、10 HEPES(NaOHでpHを7.35に調整した)を含有していた。
【0308】
増強物質化合物の同定
典型的なプロトコールでは、基底外側から頂端膜のCl濃度勾配を利用した。この勾配を準備するために、側底膜上では通常のリンゲル液を使用したのに対し、頂端NaClは等モル濃度のグルコン酸ナトリウム(NaOHで滴定してpH7.4にした)によって置き換えて、上皮を横断する大きなCl濃度勾配を得た。ホルスコリン(10μM)およびすべての試験化合物を、細胞培養インサートの頂端側に添加した。推定上のΔF508−CFTR増強物質の効果を、公知の増強物質であるゲニステインの効果と比較した。
【0309】
パッチクランプ記録
以前に記述されている通りの穿孔パッチ記録コンフィギュレーションを使用して、ΔF508−NIH3T3細胞における全Cl電流をモニターした(Rae, J.、Cooper, K.、Gates, P.およびWatsky, M.(1991年)、J. Neurosci. Methods、37巻、15〜26頁)。電圧クランプ記録は、アキソパッチ200Bパッチクランプ増幅器(Axon Instruments Inc.、Foster City、CA)を使用し、22℃で実施した。ピペット溶液は、(mM単位で)150 N−メチル−D−グルカミン(NMDG)−Cl、2 MgCl、2 CaCl、10 EGTA、10 HEPESおよび240μg/mLのアンホテリシン−B(HClでpHを7.35に調整した)を含有していた。細胞外培地は、(mM単位で)150 NMDG−Cl、2 MgCl、2 CaCl、10 HEPES(HClでpHを7.35に調整した)を含有していた。パルス発生、データ獲得および分析は、Clampex 8(Axon Instruments Inc.)と連動するDigidata 1320A/Dインターフェースを備えたPCを使用して実施した。ΔF508−CFTRを活性化するために、10μMのホルスコリンおよび20μMのゲニステインを浴に添加し、電流電圧関係を30秒毎にモニターした。
【0310】
増強物質化合物の同定
穿孔パッチ記録技術を使用して、ΔF508−CFTRを安定発現しているNIH3T3細胞において巨視的ΔF508−CFTR Cl電流(IΔF508)を増大させるΔF508−CFTR増強物質の能力も調査した。光学的アッセイにより同定された増強物質は、IΔF508の用量依存的な増大を誘起し、光学的アッセイで同様の効力および効果が観察された。検査したすべての細胞において、増強物質適用の前および最中の逆転電位は、算出されたECl(−28mV)である−30mV前後であった。
【0311】
細胞培養
ΔF508−CFTRを安定発現するNIH3T3マウス線維芽細胞を、ホールセル記録に使用する。175cm培養フラスコ内、2mMのグルタミン、10%のウシ胎仔血清、1×NEAA、β−ME、1×ペニシリン/ストレプトマイシンおよび25mMのHEPESを補充したダルベッコ変法イーグル培地中、37℃、5%COおよび90%湿度で細胞を維持する。ホールセル記録のために、2,500〜5,000細胞をポリ−L−リジンコーティングされたガラスカバースリップ上に播種し、増強物質の活性を試験するために、使用前に27℃で24〜28時間培養し、補正剤(corrector)の活性を測定するために、37℃、補正化合物(correction compound)有りおよび無しで培養した。
【0312】
単一チャネル記録
アキソパッチ200Bパッチクランプ増幅器(Axon Instruments Inc.)を使用する、以前に記述されている通りの切除された反転膜パッチ記録(excised inside−out membrane patch recordings)(Dalemans, W.、Barbry, P.、Champigny, G.、Jallat, S.、Dott, K.、Dreyer, D.、Crystal, R.G.、Pavirani, A.、Lecocq, J−P.、Lazdunski, M.(1991年)、Nature、354巻、526〜528頁)を使用して、NIH3T3細胞において発現された野生型CFTRおよび温度補正されたΔF508−CFTRのゲーティング活性を観察した。ピペットは、(mM単位で):150 NMDG、150 アスパラギン酸、5 CaCl、2 MgClおよび10 HEPES(トリス塩基でpHを7.35に調整した)を含有していた。浴は、(mM単位で):150 NMDG−Cl、2 MgCl、5 EGTA、10 TESおよび14 トリス塩基(HClでpHを7.35に調整した)を含有していた。切除後、1mMのMg−ATP、75nMのcAMP依存性タンパク質キナーゼ触媒サブユニット(PKA;Promega Corp.、Madison、WI)、および10mMのNaFを添加することにより、野生型およびΔF508−CFTR両方を活性化させてタンパク質ホスファターゼを阻害し、これによって電流消耗を防止した。ピペット電位は80mVに維持した。2つ以下の活性チャネルを含有する膜パッチによりチャネル活性を分析した。同時開口の最大数によって、実験経過中の活性チャネル数を決定した。単一チャネル電流振幅を決定するために、120秒のΔF508−CFTR活性から記録されたデータを100Hzで「オフライン」フィルター処理し、次いで全点振幅ヒストグラムを構築するために使用し、これを、バイオパッチ分析ソフトウェア(Bio−Logic Comp.、フランス)を使用して多重ガウス分布関数に当てはめた。総微視的電流および開確率(P)を、120秒のチャネル活性から決定した。Pは、バイオパッチソフトウェアを使用して、または関係式P=I/i(N)[ここで、I=平均電流、i=単一チャネル電流振幅、かつN=パッチ中の活性チャネル数である]から決定した。
【0313】
細胞培養
ΔF508−CFTRを安定発現するNIH3T3マウス線維芽細胞を、切除膜パッチクランプ記録に使用する。175cm培養フラスコ内、2mMのグルタミン、10%のウシ胎仔血清、1×NEAA、β−ME、1×ペニシリン/ストレプトマイシンおよび25mMのHEPESを補充したダルベッコ変法イーグル培地中、37℃、5%COおよび90%湿度で細胞を維持する。単一チャネル記録のために、2,500〜5,000細胞をポリ−L−リジンコーティングされたガラスカバースリップ上に播種し、使用前に27℃で24〜48時間培養した。
【0314】
化合物1は、ATP結合カセット輸送体のモジュレーターとして有用である。化合物1、形態AのEC50(μm)を測定すると、2.0μM未満であった。化合物1、形態Aの効果は、100%から25%までであることが算出された。100%効果は、4−メチル−2−(5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル)フェノールを用いて得られる最大応答であることに留意すべきである。
【0315】
他の実施形態
本開示において言及されるすべての刊行物および特許は、各個々の刊行物または特許出願が参照により組み込まれることを具体的かつ個別に指示されている場合と同程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる特許または刊行物のいずれかにおける用語の意味が、本開示において使用されている用語の意味と矛盾するようなことがあれば、本開示における用語の意味を優先するものとする。さらに、先述の考察は、本発明の例示的な実施形態を開示し記述しているに過ぎない。当業者であれば、そのような考察から、ならびに添付の図面および請求項から、下記の請求項において定義される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、種々の変更、修正および変形がその中で為され得ることを容易に認識するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物1の実質的に結晶性の形態:
【化57】

を作製するためのプロセスであって、
(a)カップリング剤の存在下で、化合物2を化合物3と反応させるステップ
【化58】

を含み、
前記カップリング剤が、2−クロロ−1,3−ジメチル−2−イミダゾリウムテトラフルオロボレート、HBTU、HCTU、2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン、HATU、HOBT/EDCおよびT3P(登録商標)からなる群から選択される、プロセス。
【請求項2】
化合物2と化合物3とのカップリングが、KCO、EtN、N−メチルモルホリン(NMM)、ピリジンまたはジイソプロピルエチルアニリン(DIEA)等の塩基の存在下で実施される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
化合物2と化合物3とのカップリングが、ピリジンまたはDIEAの存在下で実施される、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
化合物2と化合物3とのカップリングが、ピリジンの存在下で実施される、請求項1から3のいずれかに記載のプロセス。
【請求項5】
化合物2と化合物3とのカップリングが、極性非プロトン性溶媒の存在下で実施される、請求項1から4のいずれかに記載のプロセス。
【請求項6】
前記極性非プロトン性溶媒が、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミドまたは2−メチルテトラヒドロフランからなる群から選択される、請求項1から5のいずれかに記載のプロセス。
【請求項7】
化合物2と化合物3とのカップリングが、2−メチルテトラヒドロフランの存在下で実施される、請求項1から6のいずれかに記載のプロセス。
【請求項8】
化合物2と化合物3とのカップリングが、30℃から80℃の間に維持される反応温度で実施される、請求項1から7のいずれかに記載のプロセス。
【請求項9】
化合物1が固体形態Aである、請求項1から8のいずれかに記載のプロセス。
【請求項10】
化合物2と化合物3とのカップリングが、KCO、EtN、N−メチルモルホリン(NMM)、ピリジンまたはジイソプロピルエチルアニリン(DIEA)等の塩基の存在下で実施される、請求項1から9のいずれかに記載のプロセス。
【請求項11】
化合物2と化合物3とのカップリングが、ピリジンまたはDIEAの存在下で実施される、請求項1から10のいずれかに記載のプロセス。
【請求項12】
化合物2と化合物3とのカップリングが、ピリジンの存在下で実施される、請求項1から11のいずれかに記載のプロセス。
【請求項13】
化合物2と化合物3とのカップリングが、極性非プロトン性溶媒の存在下で実施される、請求項1から12のいずれかに記載のプロセス。
【請求項14】
前記極性非プロトン性溶媒が、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミドまたは2−メチルテトラヒドロフランからなる群から選択される、請求項1から13のいずれかに記載のプロセス。
【請求項15】
化合物2と化合物3とのカップリングが、2−メチルテトラヒドロフランの存在下で実施される、請求項1から14のいずれかに記載のプロセス。
【請求項16】
化合物2と化合物3とのカップリングが、30℃から80℃の間に維持される反応温度で実施される、請求項1から15のいずれかに記載のプロセス。
【請求項17】
化合物2:
【化59】

を調製するためのプロセスであって、
(a)化合物4をジエチル2−(エトキシメチレン)マロネート5と反応させて、エステル6Aを生成するステップ
【化60】

と、
(b)エステル6Aを塩基で処理して、化合物6D
【化61】

を生成するステップと、
(c)化合物6Dを、触媒の存在下、原子状水素源で処理して、化合物2
【化62】

を生成するステップと
を含むプロセス。
【請求項18】
前記原子状水素源が水素ガスを含む、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記原子状水素源がホルメートを含む、請求項17または18に記載のプロセス。
【請求項20】
前記触媒がパラジウム触媒を含む、請求項17から19のいずれかに記載のプロセス。
【請求項21】
前記塩基が水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液を含む、請求項17から20のいずれかに記載のプロセス。
【請求項22】
化合物3
【化63】

を調製するためのプロセスであって、
(a)化合物7[式中、Halは、F、Cl、BrまたはIである]を7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン8またはその塩と反応させて、化合物9を生成するステップ
【化64】

と、
(b)化合物9中のニトロ部分を還元して、アニリン3を提供するステップと
【化65】

を含むプロセス。
【請求項23】
ステップ(a)が、極性非プロトン性溶媒中、塩基の存在下で実施される、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
前記塩基がトリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンであり、前記溶媒がアセトニトリルである、請求項22または23に記載のプロセス。
【請求項25】
ステップ(b)が、アルコール溶媒中、水素ガスおよび遷移金属触媒を使用して実施される、請求項22から24のいずれかに記載のプロセス。
【請求項26】
前記触媒が、Pt、PdまたはNiから選択される9族または10族遷移金属を含む、請求項22から25のいずれかに記載のプロセス。
【請求項27】
前記触媒がPdを含む、請求項22から26のいずれかに記載のプロセス。
【請求項28】
前記溶媒が、イソプロパノール、エタノールまたはメタノールを含む、請求項22から27のいずれかに記載のプロセス。
【請求項29】
前記溶媒がエタノールを含む、請求項22から28のいずれかに記載のプロセス。
【請求項30】
化合物8が、塩形態である、化合物8−HCl:
【化66】

である、請求項22から29のいずれかに記載のプロセス。
【請求項31】
化合物3をHClと接触させて、塩酸塩3−HCl:
【化67】

を提供するステップをさらに含む、請求項22から30のいずれかに記載のプロセス。
【請求項32】
ステップ(a)が、炭酸ナトリウム等の無機炭酸塩塩基およびDMSO等の極性非プロトン性溶媒の存在下で実施される、請求項22から31のいずれかに記載のプロセス。
【請求項33】
ステップ(b)が、アルコール溶媒中、水素ガスおよび遷移金属触媒を使用して実施される、請求項22から32のいずれかに記載のプロセス。
【請求項34】
前記触媒が、Pt、PdまたはNiに由来する9族または10族遷移金属触媒を含み、前記溶媒が、イソプロパノール、エタノールまたはメタノールを含む、請求項22から33のいずれかに記載のプロセス。
【請求項35】
前記触媒がPdを含み、前記溶媒がエタノールを含む、請求項22から34のいずれかに記載のプロセス。
【請求項36】
固体形態Bを有する化合物1:
【化68】

を生成するためのプロセスであって、
(a)化合物2を化合物3の塩酸塩(3−HCl)と、2−クロロ−1,3−ジメチル−2−イミダゾリウムテトラフルオロボレート、HBTU、HCTU、2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン、HATU、HOBT/EDCおよびT3P(登録商標)からなる群から選択されるカップリング剤の存在下で反応させるステップ
【化69】

を含むプロセス。
【請求項37】
化合物2と塩酸塩3−HClとのカップリングが、KCO、EtN、N−メチルモルホリン(NMM)、ピリジンまたはDIEA等の塩基の存在下で実施される、請求項36に記載のプロセス。
【請求項38】
化合物2と塩酸塩3−HClとのカップリングが、ピリジンまたはDIEAの存在下で実施される、請求項36または37に記載のプロセス。
【請求項39】
化合物2と塩酸塩3−HClとのカップリングが、ピリジンの存在下で実施される、請求項36から38のいずれかに記載のプロセス。
【請求項40】
化合物2と塩酸塩3−HClとのカップリングが、EtOAc、IPAc、THF、MEK、NMP、アセトニトリル、DMFまたは2−メチルテトラヒドロフラン等の溶媒の存在下で実施される、請求項36から39のいずれかに記載のプロセス。
【請求項41】
化合物2と塩酸塩3−HClとのカップリングが、2−メチルテトラヒドロフランの存在下で実施される、請求項36から40のいずれかに記載のプロセス。
【請求項42】
化合物2と塩酸塩3−HClとのカップリングが、15℃から70℃の間に維持される反応温度で実施される、請求項36から41のいずれかに記載のプロセス。
【請求項43】
前記カップリング反応物が、約1.5時間から約10時間までの継続期間にわたって撹拌される、請求項36から42のいずれかに記載のプロセス。
【請求項44】
固体形態A−HClを有する化合物1の塩酸塩:
【化70】

を生成するためのプロセスであって、
(a)化合物2を式3の塩酸塩(3−HCl)と、2−クロロ−1,3−ジメチル−2−イミダゾリウムテトラフルオロボレート、HBTU、HCTU、2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン、HATU、HOBT/EDCおよびT3P(登録商標)からなる群から選択されるカップリング剤の存在下で反応させるステップ
【化71】

と、
(b)ステップ(a)の生成物の混合物をHClで処理するステップと
を含むプロセス。
【請求項45】
ステップ(a)が、KCO、EtN、N−メチルモルホリン(NMM)、ピリジンまたはジイソプロピルエチルアニリン(DIEA)等の塩基の存在下で実施される、請求項44に記載のプロセス。
【請求項46】
ステップ(a)が、ピリジンまたはDIEAの存在下で実施される、請求項44または45に記載のプロセス。
【請求項47】
ステップ(a)が、ピリジンの存在下で実施される、請求項44から46のいずれかに記載のプロセス。
【請求項48】
ステップ(a)が、極性非プロトン性溶媒の存在下で実施される、請求項44から47のいずれかに記載のプロセス。
【請求項49】
前記極性非プロトン性溶媒が、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミドまたは2−メチルテトラヒドロフランからなる群から選択される、請求項44から48のいずれかに記載のプロセス。
【請求項50】
化合物2と3−HClとのカップリングが、2−メチルテトラヒドロフランの存在下で実施される、請求項44から49のいずれかに記載のプロセス。
【請求項51】
ステップ(a)が、10℃から80℃の間に維持される反応温度で実施される、請求項44から50のいずれかに記載のプロセス。
【請求項52】
ステップ(a)が、15℃から70℃の間に維持される反応温度で実施される、請求項44から51のいずれかに記載のプロセス。
【請求項53】
ステップ(a)の時間が、約1.5時間から約72時間までである、請求項44から52のいずれかに記載のプロセス。
【請求項54】
HClガスがステップ(b)において使用される、請求項44から53のいずれかに記載のプロセス。
【請求項55】
HClガスを、ステップ(a)の生成物と極性非プロトン性溶媒とを含む混合物に吹き込んで泡立たせる、請求項44から54のいずれかに記載のプロセス。
【請求項56】
前記極性非プロトン性溶媒が2−メチルテトラヒドロフランである、請求項44から55のいずれかに記載のプロセス。
【請求項57】
HClガスを、ステップ(a)の生成物と極性非プロトン性溶媒との混合物に、約0.5時間から約5時間までの期間にわたって吹き込んで泡立たせる、請求項44から56のいずれかに記載のプロセス。
【請求項58】
固体形態B−HClを有する化合物1の塩酸塩
【化72】

を生成するためのプロセスであって、
(a)化合物1形態A−HClの塩酸塩を、有機溶媒および水と混合して、混合物を生成するステップ
【化73】

と、
(b)前記混合物を加熱するステップと
を含むプロセス。
【請求項59】
前記有機溶媒が、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、ヘキサメチルホスホロトリアミド、テトラヒドロフラン、EtOAc、IPAc、THF、MEK、NMP、アセトニトリル、DMF、EtOH、MeOH、イソプロピルアルコールまたは2−メチルテトラヒドロフランを含む、請求項58に記載のプロセス。
【請求項60】
前記非プロトン性溶媒が2−メチルテトラヒドロフランを含む、請求項58または59に記載のプロセス。
【請求項61】
前記温度が、約30℃から約80℃までに維持される、請求項58から60のいずれかに記載のプロセス。
【請求項62】
前記混合物が、約12時間から約72時間までの期間にわたって、約30℃から約80℃の温度に維持される、請求項58から61のいずれかに記載のプロセス。
【請求項63】
前記混合物を濾過してフィルターケーキを生成する、請求項58から62のいずれかに記載のプロセス。
【請求項64】
濾過するステップの後、前記フィルターケーキを非プロトン性溶媒で洗浄するステップが続く、請求項58から63のいずれかに記載のプロセス。
【請求項65】
請求項1に記載のプロセスによって調製される化合物1。
【化74】

【請求項66】
請求項9に記載のプロセスによって調製される化合物1形態A。
【化75】

【請求項67】
請求項36に記載のプロセスによって調製される化合物1形態B。
【化76】

【請求項68】
請求項44に記載のプロセスによって調製される化合物1形態A−HCl。
【化77】

【請求項69】
請求項58に記載のプロセスによって調製される化合物1形態B−HCl。
【化78】


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2013−508406(P2013−508406A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535392(P2012−535392)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/053628
【国際公開番号】WO2011/050215
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】