説明

回収ボイラなどの制御

炉を有する回収ボイラまたはその他のボイラの動作を制御する方法およびシステムであって、動作が監視センサによって監視され、前記センサは取得した電磁放射線を電気信号に変換し、この電気信号は、センサからのデータに基づいてチャー・ベッドおよび/または炉壁上のチャーおよび/または化学物質、および/またはボイラ表面上の堆積物といった対象物の画像を形成する画像処理へ伝送され、チャー・ベッドの燃焼および/または炉壁上でのチャーおよび/または化学物質の形成、および/またはボイラ表面上での堆積物の形成といった動作が画像を使って制御され、センサ6a〜6cが、3D(3次元)画像化用のセンサ信号を生成するように配置され、センサ信号が画像処理ユニット14に伝送されて、ベッドおよび/またはチャーおよび/または化学物質の画像などの3D画像、および/またはその形を記述する導関数、および/またはベッド表面14の温度図を形成し、画像処理は、炉内の高温の気体、液体および/または粒子の熱放射放出を避けるために、センサ信号または3D画像をフィルタリングするフィルタリング段階をさらに含み、センサ信号または3D画像が、信号/画像を複数の比較的狭い帯域(BAND1〜BANDn)にフィルタリングするフィルタ・ユニット13に伝送され、選択された異なる周波数帯域からのセンサ信号または3D画像の比較分析によって最終的な3D画像が得られる方法およびシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炉を有する回収ボイラまたは他のボイラの動作を制御する方法およびシステムであって、動作が監視センサによって監視されており、前記センサは、取得した電磁放射線を電気信号に変換し、電気信号は、対象物の画像を形成する画像処理ユニットに伝送される方法およびシステムに関する。
【0002】
本発明は特に、回収ボイラ内のチャー・ベッドを制御する方法であって、チャー・ベッドが監視センサによって監視されており、前記センサは、取得した電磁放射線を電気信号に変換し、電気信号は、センサからのデータに基づいてチャー・ベッドの画像を形成する画像処理ユニットに伝送され、この画像処理ユニットで形成された画像を使ってチャー・ベッドを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
クラフト・パルプの製造工程では、最も一般的には木材チップである繊維材料が、加圧された蒸解釜の中で、蒸気加熱された白液と呼ばれる水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムの水溶液中でパルプに分解される。蒸解釜での蒸解後、黒液と呼ばれる残留液からパルプが分離される。黒液は木材リグニン、他の有機物質、および蒸解工程中に蒸解釜内で酸化された無機化合物を含む水溶液である。それを蒸発設備で55〜85%の乾燥固体濃度まで乾燥させ(濃縮し)、次いで黒液2を回収ボイラの炉1内へ噴霧し(3)、(回収ボイラ内で)燃焼させて蒸解用の化学物質を回収し(図1)、また蒸気を発生させて、それをパルプ工場での発電、パルプの蒸解および乾燥、黒液の乾燥、ならびに他のエネルギーの要求のために使用する。
【0004】
黒液中の無機物質は、蒸解工程で再利用するために回収ボイラで回収される。この回収には、下部炉における特別な還元雰囲気が必要である。これは通常、炉の床10の上にチャー・ベッド4を作製することによって得られる。チャー・ベッドの形および大きさはボイラの設計に依存するが、スメルトのオーバーフロー高さ15から計算すると、最高点で1〜2メートルの高さとすることができる。無機物は回収ボイラの炉から溶融スメルト16aおよび16bとして取り出され、スメルト中の主な化合物は通常、Na2CO3およびNa2Sであり、カリウム・ベースの化合物はより少量である。より少量の非プロセス元素も、炉からスメルト内へ流出する。
【0005】
ポートと呼ばれる複数の位置3から、液が炉内へ噴霧される。ポートは通常、液供給高さと呼ばれる所定の高さに配置されるが、特別な要求に合わせるためにより多くの高さ位置が存在してもよい。液が炉内に噴霧されると、それは高温の雰囲気によって加熱され、その結果、乾燥および熱分解される。熱分解の段階で黒液の有機構造物は分解され、物質の一部は熱分解ガスとなって炉内雰囲気に入り、また物質の一部はチャーとしてさらに先へ進む。どちらの物質の流れも、有機物質が消費されるまで発火および燃焼する。最新の回収ボイラでは、黒液中の元の有機物質のごく一部のみが未燃物として炉を出る。元の液滴の大きさに応じて、チャーは飛散中に完全に燃焼するか、あるいはチャー・ベッド4の中および炉壁の上に至る。最新の回収ボイラでは、炉壁上での乾燥、熱分解および燃焼を最小限に抑えるべきである。チャー・ベッドは、燃焼している液滴12、燃焼しているチャー、および無機物質で形成され、その中で硫黄化合物が反応して酸化状態から還元状態になる。この還元には炭素の存在が必要であり、したがって適切な還元効率を得るためにはチャー・ベッドの制御がきわめて重要である。還元効率とは、炉から流出するスメルト16a、16b中のすべての硫黄のうちどの程度の割合が還元状態、すなわちNa2S+K2Sとして存在しているかを表す。通常、これは90%超である。還元が適切であると、還元効率は95〜96%を上回る。
【0006】
液の噴霧中には小さい液滴も生成され、こうした液滴13は、乾燥、熱分解し、飛散中に燃焼する。最終的に炉の床領域に入る液滴は、上部炉内の燃焼雰囲気によって酸化された硫黄を含む傾向がある。その場合もやはり、硫黄の還元のために炭素が必要である。全体を適切に還元するには、床全体にわたって適切な炭素がいきわたっている必要がある。炭素と酸化された硫黄(そのうち最も重要なものはNa2SO4である)との反応は強い温度依存性があり、エネルギーを必要とする。したがってチャー・ベッド4の表面上の比較的薄い表面層14のみが活性であり、これはチャー・ベッドを高くする必要がないことを意味している。実際には、還元特性と共に、液噴霧の可能性および特性、ならびに様々な燃焼用空気の供給を制御することによって、チャー・ベッドの形が決まる。ベッドが大きくなりすぎた場合、ベッドが空気ポート(通常は主要な空気ポート)内に落ちる危険、およびスメルトがスメルトの放出口を通って1または複数の溶解タンク内へ漏出する危険がある。
【0007】
効率的な燃焼工程には、チャー・ベッドを確実に制御できることが求められる。したがって長年にわたり、クラフト回収システムにおいてチャー・ベッドの大きさおよび形を監視、ならびに制御することの必要性が認められているが、今のところチャー・ベッドを自動的に制御するための信頼性のある技術は得られていない。
【0008】
炉内の気体の温度は通常、流入する空気および液の温度である100〜200℃から、例えば3次空気が炉内に供給される領域または最終的な燃焼が行われる領域である炉の最高温領域における1200〜1400℃までの範囲である。チャー・ベッドの表面では、温度は通常900〜1200℃である。炉を出るスメルトの温度は、通常800〜900℃である。炉の清浄な壁8の温度は、ボイラの圧力、および管または管より高い温度を有する管同士の間のフィンなどの観測点によって250〜400℃である(管の内部では水流を蒸発させ、炉壁を冷却し、且つ過熱器で過熱するための蒸気の主要部分が発生される)。通常、堆積が炉壁上で生じ、そのため堆積物の表面温度は、ガス相およびチャー・ベッドの温度により近い温度まで上昇する。
【0009】
すべての表面が熱放射を放出する。この放射は基本的に連続的であるが、放射率などの放射特性が温度の関数として変化するため、放射強度分布はプランクの法則に従わない。もちろん、温度および組成の関数として放射特性の依存性が分かると、複数の波長で測定された強度を適合させるように適切な補正係数を生成して、放射面の表面温度を推定することが可能になる。
【0010】
炉内ガス雰囲気中の気体、液体および固体も放射を行うが、この放射は少なくとも一部がスペクトルに集束される。また、放射または吸収の弱い波長の領域が存在する可能性がある。こうした領域によって、チャー・ベッドを画像化できる可能性がある。炉内の小さい粒子は放射を行い、また入射する電磁放射を散乱させ、システムを複雑にする。したがって、炉内の電磁放射現象はきわめて複雑である。蒸気および粒子を至る所に有する高温ガス雰囲気からチャー・ベッドの画像化を可能にするために重要な要素は、周囲の雰囲気による影響をあまり受けていない、チャー・ベッドから電磁放射の情報を受け取ることである。
【0011】
ベッドを監視するために、特別なポートまたは吸気ポート内に取り付けられたTVカメラを用いることが知られており、すなわち、TVカメラがベッドからの電磁情報を絶えず調べ、TVセットによって画像が制御室に提供され、それによってオペレータがこの画像を用いて炉を制御できる。このタイプのカメラの検出器は、今日では一般に1.7マイクロメートルの波長付近で動作する。
【0012】
炉の動作パラメータを制御してベッドを必要な高さおよび、および/または形に維持するために、TVカメラを用いてベッドの高さおよび形を監視し、ベッドがあらかじめ設定された高さおよび/または形から逸脱して制限を超えると、自動的に反応する能力を有するそのような手段が、カナダ特許第1166842号明細書に開示されている。回収ボイラは、TVカメラを取り付けるためのポートを備えており、あるいは選択された空気ポート内にカメラを取り付けることができる。こうしたカメラからの信号は、回線を介して、それぞれのカメラによって撮映されたベッドの画像を制御室内の監視スクリーンに視覚的に表示するテレビ・モニタへと伝送される。信号はビデオ画像処理装置にも伝送され、ビデオ画像処理装置は、それぞれのカメラによって感知された画像をデジタル化し、暗度またはグレー度または輝度に基づいてそれぞれのフレームの各点をコード化して、画像処理装置に組み込まれた分析装置が様々な暗度を区別し、それによってチャー・ベッドと周囲の雰囲気との間のインターフェアレンス(干渉)を得ることを可能にする。こうして、境界面の位置、したがってベッドの外形が決定される。
【0013】
可視放射に応答するカメラを用いることもできるが、可視領域では煙霧粒子および気体の放射が問題を引き起こし、処理領域からの赤外放射の強度がスペクトルの可視部における放射より大きくなる。さらに、処理環境に関連する環境要素が、赤外放射とは可視放射ほど干渉しない可能性がある。こうした理由のため、例えば米国特許第5219226号明細書に開示されるような赤外カメラを用いて、受け取った赤外放射の強度を表すビデオ画像を生成することができる。
【0014】
従来型のTVまたはIR(赤外)カメラを用いた従来技術の解決策の欠点は、チャー・ベッドの平面(2D)図しか形成できないことであり、これは制御目的に対して信頼性のある画像を提供することができない。
【0015】
より信頼性のあるチャー・ベッドの画像を得るために、いくつかの試みが行われている。特開昭61−130725号明細書は、チャー・ベッドをとらえ、画像信号によってチャー・ベッドの3次元画像を形成するために、TVカメラおよび画像処理装置が設けられたチャー・ベッド監視装置を開示している。しかし、この公開公報では、TVカメラは従来型の2D画像信号を生成し、3D画像は、後で平面図の情報を使って画像データ処理を行うことによって得られる。これには多大なデータ処理能力が必要であり、制御目的でチャー・ベッドの3D画像を形成するのに適したシステムではない。
【0016】
従来技術の解決策の他の欠点は、それらがある特定の波長範囲でしか動作しないことである。したがって従来技術のシステムは光学フィルタを用いて、画像化されるベッドから送られる電磁放射の波長を、通常は1マイクロメートルより大きい波長に制限している。例えば米国再発行特許第33857号明細書に開示されるように、フィルタは通常、送られる光線を狭帯域に制限する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって本発明の目的は、従来技術の欠点をなくし、回収ボイラまたは他のボイラの動作を制御する改善された方法およびシステムを提供することである。
【0018】
本発明の目的はさらに、画像情報を用いて黒液の噴霧および燃焼用空気の供給を制御することによって、チャー・ベッドを自動的に制御する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は3Dセンサ装置を用いたシステムに基づいており、それによってチャー・ベッドのリアル・タイム3D画像を制御目的で取得し、処理することができる。さらに本発明は、チャー(スメルト)・ベッドの画像化などの画像化について、複数の波長範囲の使用に基づいている。本発明を、炉壁へのチャーまたは化学物質の堆積構造を画像化するのに用いることができる。
【0020】
本発明の特徴的な構成は、添付の特許請求の範囲に詳しく示される。
【0021】
本発明の利点は、以下のとおりである。画像化工程において異なる波長からの2Dまたは/および3D画像を比較し、相関関係を見つけることによって、インターフェアレンスとチャー・ベッドを簡単に区別することができる。さらに、信頼性のあるチャー・ベッドの画像を得ることができる。またさらに、複数の波長について測定された放射強度をプランクの放射強度分布曲線に適合させることによって、チャー・ベッド表面の温度図を作ることができる。さらに、静的な黒液燃焼工程を、より短い制御応答時間によって動的に制御される工程になるように変更することができる。
【0022】
本発明の前述の、ならびにその他の目的、特徴および利点は、添付図面と共に取り上げる本発明の好ましい実施例についての以下の詳細な記述から、より明確に理解されよう。
【実施例】
【0023】
図1は、クラフト・パルプ製造工程で黒液を燃焼させるための回収ボイラの炉1を示している。蒸解工程で排出される黒液2は、炉1内に配置された噴射ノズル3を通してボイラ内に噴射される。それによって炉1の底部の床10全体にチャー・ベッド4が形成され、また異なる高さに配置された吸気開口5a、5bおよび5c(第1の開口5a、下部の第2の開口5b、および炉1の中央部の第3の開口5c、ならびに低NOx燃焼の場合には炉1の上部にも第3の開口)を通してボイラの炉に燃焼用空気を導入することによって、ベッドを燃焼させる。
【0024】
例えば図1に見られるように、ボイラのまわりに配置された3つのセンサ6a〜6cを用いた3D画像化により、チャー・ベッドが監視される。これらのセンサからの信号は、回線7を介して画像処理用の制御ユニット8に伝送される。制御ユニットは信号を処理し、チャー・ベッドの3D画像を作成し、それを制御室内の監視スクリーン9に視覚的に表示することができる。オペレータはこの画像を用いて、炉を(したがってチャー・ベッドの大きさおよび形を)手動で制御することができる。
【0025】
図2は本発明のブロック図を示している。画像センサ6a〜6cは、2つの隣接するセンサ・ヘッド11および12からなる3Dセンサであり、このセンサは、チャー・ベッドの表面上の各点から外れた位置を決定するためにチャー・ベッドの立体画像を形成することが可能であり、したがって制御ユニットにおける画像処理用の3D画像信号を発生させることが可能である。実際、チャー・ベッド4の表面14が複数の要素に分割され、その数はセンサ内のセルの数に依存する。例えば15メートル×14メートルの断面を有する炉の場合、理想的な条件下では、0.1m×0.1mの要素サイズで21000個のセルが必要になる。さらに、センサ・ヘッド11、12は、例えば米国再発行特許第33857号明細書の図2に示されるように、複数のスペクトル窓を含む広い範囲から画像信号を得ることができる広範囲の波長センサであり、それによれば、前述の分析によって同定されるチャー・ベッドの画像化に一般に適したスペクトル窓には、1.57〜1.73マイクロメートル、2.23〜2.43マイクロメートル、3.25〜4.05マイクロメートル、4.80〜5.30マイクロメートル、6.90〜7.20マイクロメートル、7.60〜7.80マイクロメートル、7.90〜13.90マイクロメートル、また13.90マイクロメートル超からミリメートルまたはサブミリメートルの波長範囲までの他の窓が含まれる。スペクトル窓は、紫外および可視の波長範囲も含むこともできる。物理的には、センサ・ヘッドを、使用する波長すべてについて一体化することも、複数の領域に分割することもできる。領域を物理的に分割することも可能であり、すなわち、画像化用のシステムで使用する異なる波長ではセンサ・ヘッドが別になる。
【0026】
センサ・ヘッド11、12内のセンサは、ある特定の波長の信号に敏感であるように構成され、その波長は、炉内の燃焼工程および炉内のチャー・ベッドとセンサとの間の雰囲気がチャー・ベッドから生じる信号をできるだけ妨げないように選択される。一実施例は、超伝導アンテナに結合されたマイクロ・ボロメータまたは量子井戸である。異なる波長で受け取った信号を画像処理制御ユニット14に伝送して、ベッドの3D画像を形成し、次いでそれをスクリーンに表示することができるが、画像をボイラ制御システム16内の自動ベッド制御ユニット15に伝送することもできる。
【0027】
他の可能性は、センサ・ヘッド11および12の後、信号をセンサから、やはり炉1内の高温の気体、液体および粒子の熱放射放出による妨害を防止する、複数の比較的狭い帯域(窓、上記参照)BAND1〜BANDnに信号をフィルタリングするフィルタ・ユニット13へ伝送することである。フィルタリングは、機械的、光学的、材料関連の、または電気的装置、あるいはこれらの組み合わせである装置によって行うことができる。フィルタリング後、信号を画像処理制御ユニット14へ伝送してベッドの3D画像を形成し、次いでそれをスクリーンに表示することができるが、画像をボイラ制御システム16内の自動ベッド制御ユニット15に伝送することもできる。
【0028】
センサを複数のサブセンサに分割し、それによってサブセンサのそれぞれが波長範囲に関して自己選択的になるように、すなわち、それらがある特定の波長範囲の信号を選択的に受け取るようにされる。したがってセンサが異なる波長範囲に対して異なるセンサ・ヘッドを有するようになるため、必要な窓が得られる。通常のフィルタリングは不要になり、その代わりにフィルタリングは、時間について異なる2Dセンサ画像から相関関係を調べ、画像がいつ適切になるかを決定し、適切な3D画像を形成することによる、比較によるフィルタリングに基づくものになる。
【0029】
自動制御ユニット15は、例えばベッドの画像によって移動可能なノズル・アクチュエータ17の動きを操作し、それによってアクチュエータが制御ユニット15からの指示に従ってノズルを移動させるように、液の噴射ノズルの制御に使用可能なベッド制御信号CTRL16を生成する。制御ユニット15を、例えば黒液を炉内に噴霧する前にその温度を制御するために用いられる基本的な制御ユニットの場合と同様に、単純な規則に基づくものとすることが可能であり、あるいは制御ユニット15を、計算流体力学シミュレーションを用いて生成された炉の数値モデルに基づくものとすることも可能である。実施例として、制御ユニット15は、ニューロ法、ファジー理論またはベイズのアルゴリズムを利用することもできる。
【0030】
干渉とチャー・ベッドは、画像化工程において異なる波長領域からの3D画像を比較することによって区別され、異なる波長領域からの画像から関連性のある画像を選択することによって、相関関係を見出し、最終的な3D画像を形成する。
【0031】
先に述べたように、好ましくはプランクの放射則を考慮した、異なる周波数からの画像を互いに比較するフィルタリング段階は、画像材料上に3D画像を形成する前に行われる。ただし、3D画像形成後にフィルタリングを行うことも可能であり、それによってこの場合のフィルタリングは、例えば炉内の様々な気体成分の燃焼または放射によって生じた干渉(インターフェアレンス)を有する3D画像に対して行われる。少なくとも一部が比較によるものであることが好ましく、異なる周波数領域からの結果を比較するフィルタリングの結果、チャー・ベッドの最終的な3D画像が得られる。
【0032】
本発明の様々な実施例が前述の実施例に限定されず、それらを添付の特許請求の範囲の範囲内で変更することが可能であることが、当業者には明らかである。
【0033】
前述の複数の波長の下での電磁データの収集、収集されたデータのフィルタリングおよび比較を、先に述べたように電磁信号に対する妨害要素を除去し、2次元または3次元の画像を得るために、回収ボイラのチャー・ベッドよりも簡単な用途に適用することも可能であることが、当業者には明らかである。可能な用途には、例えば回収ボイラ、他のバイオマス燃焼ボイラ、石炭燃焼ボイラにおける熱伝達面、ならびにスート・ブローイング、ボイラの構成要素、アッシュ・ホッパ、燃料ビンなどに対するその必要性が含まれる。様々なタイプのキルンおよびオーブンでは、本発明を、追跡および制御、べた付きおよび堆積制御などを処理するために適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明による回収ボイラの概略的な断面図である。
【図2】本発明によるチャー・ベッド制御システムの詳細なブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉を有する回収ボイラまたはその他のボイラの動作を制御する方法であって、前記動作が監視センサによって監視され、
前記センサは取得した電磁放射線を電気信号に変換し、該電気信号は画像処理へ伝送され、該画像処理は、前記センサからのデータに基づいてチャー・ベッドおよび/または炉壁上のチャーおよび/または化学物質、および/またはボイラ表面上の堆積物といった対象物の画像を形成し、また
前記チャー・ベッドの燃焼および/または前記炉壁上でのチャーおよび/または化学物質の形成、および/またはボイラ表面上での堆積物の形成といった前記動作が前記画像を使って制御される方法において、
前記センサ(6a〜6c)が、3D(3次元)画像化用のセンサ信号を生成するように配置されていること、
前記センサ信号が、前記ベッドおよび/または前記チャーおよび/または前記化学物質の画像といった3D画像、および/またはその形を記述する導関数、および/またはベッド表面(14)の温度図を形成するために、画像処理ユニット(14)に伝送されること、および
前記画像処理が、前記炉内の高温の気体、液体および/または粒子の熱放射放出を避けるために、前記センサ信号または前記3D画像をフィルタリングするフィルタリング段階をさらに含み、前記センサ信号または前記3D画像は、前記信号/画像を複数の比較的狭い帯域(BAND1〜BANDn)にフィルタリングするフィルタ・ユニット(13)に伝送され、
それによって最終的な3D画像が、選択された異なる周波数帯域からの前記センサ信号または前記3D画像の比較分析によって得られること
を特徴とする方法。
【請求項2】
前記センサ(6a〜6c)が、複数の波長範囲の放射データ、特に紫外、可視、IRおよびミリメートルの波長範囲の放射データを得ることが可能なさらにワイド・レンジなセンサであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フィルタリングは前記3D画像を形成した後に行われ、それによって前記フィルタリングは、例えば前記炉内の異なる気体成分の燃焼または放射によって生じたインターフェアレンスを有する画像に対して行われること、および前記フィルタリングの結果、前記チャー・ベッドの最終的な3D画像が得られることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記フィルタリングは前記3D画像を形成する前に行われ、それによって前記センサ信号は、前記センサからの該信号を複数の比較的狭い帯域(BAND1〜BANDn)にフィルタリングするフィルタ・ユニット(13)に伝送され、前記帯域のうち少なくとも2つの帯域が、高温ガス中のH2O、COおよびCO2の強い影響を及ぼす帯域での吸収と比べて、前記高温ガスおよび該ガス中の化合物の放射線(光)の吸収および放出を避けることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記3D画像、その導関数、および/または前記温度図が、その位置でのモデルとして示されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ベッドが、画像情報を用いて黒液の噴霧を制御することによって自動的に制御されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記画像は、移動可能なノズル・アクチュエータ(17)の動きを操作し、それによって前記アクチュエータが、制御ユニット(15)からの指示に従ってノズルを移動させることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記チャー・ベッドおよび/または前記炉壁上のチャーおよび/または化学物質が、前記画像情報を用いて様々な空気供給の速度および流れを制御することによって自動的に制御されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記センサが、波長に関して選択的なサブセンサに分割され、それによって、それらがある特定の波長範囲で信号を選択的に受け取ることを特徴とする請求項1に記載のチャー・ベッド(4)を制御する方法。
【請求項10】
炉を有する回収ボイラまたはその他のボイラの動作を制御するシステムであって、前記動作が監視センサによって監視され、
前記センサは取得した電磁放射線を電気信号に変換し、該電気信号は画像処理ユニットに伝送され、該画像処理ユニットは、前記センサからのデータに基づいてチャー・ベッドおよび/または炉壁上のチャーおよび/または化学物質、またはボイラ表面上の堆積物といった対象物の画像を形成し、また
前記チャー・ベッドの燃焼および/または前記炉壁上でのチャーおよび/または化学物質の形成、および/またはボイラ表面上での堆積物の形成といった前記動作が前記画像を使って制御されるシステムにおいて、
前記センサ(6a〜6c)が、3D(3次元)画像化用のセンサ信号を生成するように配置されていること、
前記センサ信号が、前記ベッドおよび/または前記チャーおよび/または前記化学物質の画像といった3D画像、および/またはその形を記述する導関数、および/またはベッド表面(14)の温度図を形成しるために、前記画像処理ユニット(14)に伝送されること、および
前記画像処理が、前記炉内の高温の気体、液体および/または粒子の熱放射放出を避けるために、前記センサ信号または前記3D画像をフィルタリングするフィルタリング段階をさらに含み、前記センサ信号または前記3D画像は、前記信号/画像を複数の比較的狭い帯域(BAND1〜BANDn)にフィルタリングするフィルタ・ユニット(13)に伝送され、
それによって最終的な3D画像が、選択された異なる周波数帯域からの前記センサ信号または前記3D画像の比較分析によって得られること
を特徴とするシステム。
【請求項11】
前記センサ(6a〜6c)が、複数の波長範囲の放射データ、特に紫外、可視、IRおよびミリメートルの波長範囲の放射データを得ることが可能なさらにワイド・レンジなセンサであることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
フィルタリング・システムは前記3D画像を形成した後に配置され、それによって前記フィルタリングは、例えば前記炉内の異なる気体成分の燃焼または放射によって生じたインターフェアレンスを有する画像に対して行われること、および前記フィルタリングの結果、前記チャー・ベッドの最終的な3D画像が得られることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記フィルタリング・ステムは前記3D画像を形成する前に配置され、それによって前記センサ信号は、前記センサからの該信号を複数の比較的狭い帯域(BAND1〜BANDn)にフィルタリングするフィルタ・ユニット(13)に伝送され、前記帯域のうち少なくとも2つの帯域が、高温ガス中のH2O、COおよびCO2の強い影響を及ぼす帯域での吸収と比べて、前記高温ガスおよび該ガス中の化合物による放射線(光)の吸収および放出を避けることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記3D画像、その導関数、および/または前記温度図が、その位置でのモデルとして示されることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記チャー・ベッドが、画像情報を用いて黒液の噴霧を制御することによって自動的に制御されることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記画像は、移動可能なノズル・アクチュエータ(17)の動きを操作し、それによって前記アクチュエータが、制御ユニット(15)からの指示に従ってノズルを移動させることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
前記画像は、移動可能なノズル・アクチュエータ(17)の動きを操作し、それによって前記アクチュエータが、制御ユニット(15)からの指示に従ってノズルを移動させることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項18】
請求項1に記載のチャーおよび/または化学物質による炉壁上へのチャー・ベッド(4)の形成を制御する方法であって、
該方法が、前記液体ガンより下の下部炉、および前記ボイラの天井まで及ぶ上部炉において、前記炉壁(11)に入り堆積する液滴の量を最小限に抑えるため、および制御するために用いられることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項10に記載のチャーおよび/または化学物質による炉壁上へのチャー・ベッド(4)の形成を制御するシステムであって、
前記システムが、前記液体ガンより下の下部炉、および前記ボイラの天井まで及ぶ上部炉において、前記炉壁(11)に入り堆積する液滴の量を最小限に抑えるため、および制御するために用いられることを特徴とするシステム。
【請求項20】
前記センサが、様々な波長範囲のセンサ・ヘッドを含むサブセンサに分割され、これらサブセンサは波長に関して選択的であり、それによって、それらがある特定の波長範囲で信号を選択的に受け取ることを特徴とする請求項10に記載のチャー・ベッド(4)を制御するシステム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−519231(P2008−519231A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538449(P2007−538449)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【国際出願番号】PCT/FI2005/000327
【国際公開番号】WO2006/048495
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(500403468)
【Fターム(参考)】