説明

回折光学素子の製造方法,回折光学素子用基板の形成方法

【課題】回折光学素子の製造方法であって,回折面で切った断面形状が任意の非対称ブレーズド形状の回折光学素子を製造する方法において,とりわけシャープな非対称鋸歯形状の回折光学素子を製造する方法,望ましくはアスペクト比が1〜1.5程度であって,直角三角形ブレーズド形状の回折光学素子とするため方法を提供すること。
【解決手段】回折格子状のマスクが形成されてなる基板を,反応性イオンエッチングによって非対称形状の回折格子に形成してなる回折光学素子の製造方法において,基板上に回折格子状に形成されてなるマスクを2以上の異なるエッチングレートを具備した領域よりなるマスクとすること,或いは反応性イオンエッチングのイオン束流れ方向を基板法線方向に対して斜め方向からとすることによって,異方性エッチング特性を任意に制御することが可能となり,任意の非対称ブレーズド形状の回折光学素子が製造可能となる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,回折面で切った断面形状が任意角度に傾斜した非対称形状の回折光学素子の製造方法,とりわけ直角三角形を成す鋸歯状の回折光学素子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】携帯電話,PDA等の携帯情報端末では,視認性および低消費電力等を考慮して,明るい場所では太陽光などの外光を用いて照明し,暗い場所では内蔵した光源を用いて照明を行なう反射型表示部を用いている場合が多い。このような反射型表示部に設けられる照明部材である導光板の一形態として,上記表示部と対向する側の面に回折光学素子を設けることにより,環境光を透過させて表示部に導く一方,該導光板の端部より入射する光源部からの照明光を回折光学素子によって回折することにより表示部に導き,表示部によって変調,反射された光を透過させて使用者に導く構造を有するものがある。例えば,特願2000−376169号公報においては,入射した入射光の進路に沿う方向,すなわち回折面の方向について入射光の波長以下の周期を有し,回折面で切った断面形状が直角三角形状を成す鋸歯状である回折光学素子(以下略して直角三角形ブレーズド形状の回折光学素子と称す)とすることにより,質の高い映像を提供することが可能であることが開示されている。このような直角三角形ブレーズ形状の回折光学素子は,回折面で切った断面形状が任意角度に傾斜した非対称ブレーズド形状の回折光学素子の一典型例である。また,回折効率の面からは,上記鋸歯状である回折光学素子のアスペクト比(回折光学素子の高さと底辺長さの比)が1〜1.5程度のシャープな鋸歯形状の回折光学素子であることが望ましい。ここで,回折光学素子の製造方法としては,PRODUCTION OF BLAZED HOLOGRAMS,VOL.12,NO.9,APPLIEDPHYSICS LETTERS.が知られており,この従来技術においてはホログラフィによる方法が開示されている。また,特開昭52−75341号公報においてはエッチングによる方法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし,前述のいずれの方法でも任意角度傾斜した非対称ブレーズド形状の回折光学素子を得るには不向きであり,また上記公報(特願2000−376169号公報)において開示されている直角三角形ブレーズド形状,特にシャープな鋸歯形状の回折光学素子を製造することは不可能である。まず,上記ホログラフィ法においては,レーザーなどの光源からの光を分岐し,再度これらの光波を干渉させた時に発生する干渉縞により,フォトレジストを露光し,該フォトレジストを現像処理することにより凹凸形状を得る方法である。更にこの方法では,干渉縞に対してフォトレジスト基板を傾けることにより,前述の非対称ブレーズド形状を得る。しかしながらこの方法では,形成される凹部の角度が略直角となるため,回折光学素子を直角三角形ブレーズド形状,特にシャープな非対称形状に形成することはできない。一方,エッチングとは,基板上に形成されてなるレジストをマスクとして,反応性イオンエッチングにより選択的に加工することにより,イオン束の流れ方向に対して平行な面と,流れ方向に略直行する面とを形成する方法である。この場合は,イオン束の流れ方向に対して基板を傾けることにより,非対称の鋸歯状回折面形状を得ようとするものである。そのため,この方法においても任意角度に傾いた非対称のブレーズド形状,特にシャープな非対称形状の回折光学素子を形成することはできない。また,上記以外の製造手段として,バイトを用いた機械切削加工も考えられる。しかし,ブレーズド形状を決定するバイトの刃先形状は,耐久性の確保のために50度以上となるため,切削される回折格子はアスペクト比が1未満となってしまい,シャープな非対称ブレーズド形状の回折光学素子を形成することはできない。そこで,本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,第一に任意の非対称ブレーズド形状の回折光学素子を製造しうる方法を提供することである。また,第二の目的はシャープな非対称鋸歯形状の回折光学素子を製造する方法,望ましくはアスペクト比が1〜1.5程度である回折光学素子を製造しうる方法を提供することである。更に,本発明の第3の目的は,直角三角形ブレーズド形状の回折光学素子を製造するための方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明は,回折格子状のマスクが形成されてなる基板を,エッチングによって非対称形状の回折格子に形成してなる回折光学素子の製造方法において,異方性エッチングを用いることを特徴とする回折光学素子の製造方法として構成されている。このように構成されることによって,イオン束流れに対して水平な方向への加工量と,イオン束流れに対して垂直な方向への加工量との比(以下略して異方性エッチング特性と称す)を反応ガスのプラズマ生成状態により任意に制御することが可能となる。従って,回折格子状のマスクが形成されてなる基板を,エッチングによって非対称形状の回折格子に形成してなる回折光学素子の製造方法において,異方性エッチングを用いることにより,任意のアスペクト比の回折格子を形成することが可能となる。
【0005】また,基板がイオン束流れ方向に対して斜めに設置されても良い。このように構成されることによって,イオン束流れ方向が基板の法線方向に対して傾斜することになり,異方性エッチングにおけるイオン束流れ方向に対して水平な方向への加工成分と,垂直な方向への加工成分とが基板の法線方向に対して傾斜することになる。また,上記基板を斜めに設置する治具の材質としてはガラス等の非導電性材質が望ましい。従って,基板上に回折格子状に形成されてなるマスクに,反応性イオンエッチングを用いて回折格子を形成する回折光学素子の製造方法において,基板をイオン束流れ方向に対して任意角度斜めに設置することにより,基板法線方向に対して任意角度に傾斜した非対称ブレーズド形状の回折光学素子を製造可能となる。その時の基板の設置治具を非導電性材質とすることで,イオン束の流れに乱れが生じることが防止される。
【0006】また,イオン束流れ方向の基板に対する投影成分が,上記回折格子と略垂直となる様に基板を設置しても良い。上記斜め方向からの反応性イオンエッチングとすることによって,形成される回折格子を一様に基板法線方向に対して傾斜させることが可能となる。従って,イオン束流れ方向の上記基板に対しての投影成分が,回折格子と略垂直となる方向からの反応性イオンエッチングを行なうことによって,基板法線方向に対して任意角度に傾斜したブレーズド形状の回折光学素子が製造可能となる。
【0007】また,上記マスクが2以上の異なるエッチングレートを具備した領域よりなるものであっても良い。このように構成されることによって,マスクの一方の領域における異方性エッチング特性と,他方の領域における異方性エッチング特性とを独立して設定することが可能となる。すなわち,異方性エッチングによる加工量が左右非対称となるため,形成される回折格子が基板法線方向に対して非対称な鋸歯状となる。従って,基板上に回折格子状に形成されてなるマスクに,反応性イオンエッチングを用いて回折格子を形成する回折光学素子の製造方法において,マスクが2以上の異なるエッチングレートを具備した領域よりなるものであることにより,基板法線方向に対して任意角度に傾斜した非対称ブレーズド形状の回折光学素子を製造可能となる。
【0008】また,上述の2以上の異なるエッチングレートを具備した領域よりなるものであるマスクの一例として,該マスクが2以上の異なる材質により区割された領域よりなるものであっても良い。この様に構成されることによって,上述同様にマスクの一方の領域における異方性エッチング特性と,他方の領域における異方性エッチング特性とを独立して設定することが可能となり,上述の通り基板法線方向に対して任意角度に傾斜した非対称ブレーズド形状の回折光学素子を製造可能となる。
【0009】また,上述の2以上の異なるエッチングレートを具備した領域よりなるものであるマスクの一例として,該マスクが2以上の異なるマスク厚みを具備した領域よりなるものであっても良い。この様に構成されることによっても,上述同様にマスクの一方の領域における異方性エッチング特性と,他方の領域における異方性エッチング特性とを独立して設定することが可能となり,上述の通り基板法線方向に対して任意角度に傾斜した非対称ブレーズド形状の回折光学素子を製造可能となる。
【0010】また,マスクに用いられる材料が金属であっても良い。このように構成されることによって,レジストを用いた場合と比較して異方性エッチング特性の制御性が向上する。加えて,レジストを用いた場合には,エッチングによる加工速度が金属に比べて大きいため,任意のブレーズド形状の回折光学素子を得ることは難しい。
【0011】また,マスクに用いられる金属が,クロム,アルミであって,基板に用いられる材料が,シリコン,石英またはガラスであっても良い。反応性イオンエッチングでは,マスク材質と,基板材質と,反応ガスとを選定し,各要素を変更,調整することにより,基板と,マスク部分とに対して選択的な加工を行なうことが可能である。マスクの材料としてクロム,アルミを,基板の材料としてシリコン,石英,あるいはガラスを用いる場合,反応ガスにはC4F8と,CH2F2との混合ガスを用いることにより,高アスペクト比の異方性エッチングが実現可能となる。
【0012】また,マスクが,直交する格子周期方向に形成されてなる2以上の回折格子状のマスクの1つであっても良い。このように構成されることによって,ある一つの領域には上述の通り基板法線方向に対して任意角度に傾斜した非対称ブレーズド形状の回折格子を形成し,他の領域には基板法線方向に対して左右対称な二等辺三角形状の回折格子を形成してなる回折光学素子を製造することが可能となる。
【0013】また,基板に回折格子状に形成されてなる2以上の異なるエッチングレートを具備した領域よりなるマスクを形成する回折光学素子用基板の形成方法であって,基板を金属の蒸着粒子流れ方向に対して斜めに設置して金属を蒸着する工程を含んでなることを特徴として構成されている。このように構成されることによって,垂直方向からの蒸着のみによって形成された場合と比較して,形成されうるマスクの任意性を向上させることが可能となる。
【0014】また,基板に回折格子状に形成されてなる2以上の異なるエッチングレートを具備した領域よりなるマスクを形成する回折光学素子用基板の形成方法であって,基板を第1の金属の蒸着粒子流れ方向に対して斜めに設置して第1の金属を蒸着する第1の工程と,基板を第2の金属の蒸着粒子流れ方向に対して略垂直に設置して第2の金属を蒸着する第2の工程とを含んでなることを特徴として構成されている。このように構成されることによって,垂直方向からの蒸着のみによって形成された場合と比較して,形成されうるマスクの任意性を向上させることが可能となる。
【0015】また,第1のマスク金属の蒸着粒子流れ方向の基板に対する投影成分が,回折格子と略垂直であっても良い。上記斜め方向からの金属蒸着とすることによって,形成されるマスクを基板法線方向に対して非対称とすることが可能となる。
【0016】また,基板に回折格子状に形成されてなる2以上の異なるエッチングレートを具備した領域よりなるマスクを形成する回折光学素子用基板をエッチングによって非対称形状の回折格子に形成してなる回折光学素子の製造方法において,異方性エッチングを用いることを特徴として構成されている。このように構成されることによって,上述の通りマスクの一方の領域における異方性エッチング特性と,他方の領域における異方性エッチング特性とを独立して設定することが可能となり,基板法線方向に対して任意角度に傾斜した非対称ブレーズド形状の回折光学素子を製造可能となる。
【0017】また,製造された回折光学素子を転写することで金型を作成し,この金型を用いて樹脂成形等により回折光学素子を製造しても良い。このように構成されることによって,同一形状の回折光学素子を効率的に量産することが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態及び実施例について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態及び実施例は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。ここで,図1は本発明の一実施の形態に係る,基板上に形成されてなる金属マスクに対する反応性イオンエッチングの概略説明図,図2は本発明の他の実施例となる基板上に形成されてなる金属マスクに対する斜め方向からの反応性イオンエッチングの概略説明図,図3は本発明の更に他の実施例である基板上に形成されてなる二種類の金属からなるマスクに対する反応性イオンエッチングの概略説明図,図4は本発明の更に別の実施例である基板上に形成されてなるマスク厚みの異なる金属からなるマスクに対する反応性イオンエッチングの概略説明図,図5は基板上に形成されてなる周期が非一様なマスクに対する反応性イオンエッチングの実施例図,図6はアスペクト比が一定且つ,複数の周期を有するブレーズド形状の回折光学素子の一例を示す図,図7は基板上に形成されてなる周期およびマスク厚みが非一様なマスクに対する反応性イオンエッチングの実施例図,図8は複数のアスペクト比および周期を有し,且つ高さが均一なブレーズド形状の回折光学素子の一例を示す図,図9は本発明の更に別の実施例に係る,周期方向の直行する二つの回折格子を有するブレーズド形状の回折光学素子の一例を示す図,図10は2以上の異なるエッチングレートを具備した領域よりなるマスクを形成する回折光学素子用基板の形成方法の手順例を示す図である。
【0019】反応性イオンエッチングは,マスク材質と,基板材質と,反応ガス種類とを選定することにより,マスク部分と非マスク部分(基板)に対して選択的な加工を行なう手法であり,マスクとしてアルミ,クロム等を,基板としてシリコン,石英,あるいはガラス等を用いる場合には,プラズマ反応性ガスとしてはC4F8と,CH2F2とを所定の割合で混合したものを用いると良い。ここで,本実施の形態では,基板:合成石英マスク:クロム(二種の場合にはクロムとアルミ)
ガス圧力:0.5Paアンテナパワー:1500Wバイアスパワー:450WC4F8:16sccmCH2F2:14sccmエッチング時間:60秒として行なった。勿論,本発明の回折光学素子の製造方法は上記エッチング条件だけに限定されて適用されるものではなく,本発明の回折光学素子の製造方法を採用することで同様の効果が得られるものであれば如何なる条件を適用しても良い。
【0020】先ず,図1を用いて本発明の実施の形態に係る平行な格子状のマスクが形成されてなる基板を反応性イオンエッチングによって回折格子に形成する回折光学素子の製造方法について説明する。第一に,石英,ガラス等よりなる基板(エッチング前形状)5上に対して,リフトオフ等を用いることにより所定厚さの金属マスク2を平行格子状に形成する。第二に,上記金属マスク2が平行格子状に蒸着された基板(エッチング前形状)5を,不図示の反応性イオンエッチング装置内にセットし,反応性ガスを流して異方性エッチングを行なうことにより,回折格子を形成する。異方性エッチングにおいて,異方性エッチング特性(矢印4で示すマスクエッチング量(イオン束流れに水平の成分)と,矢印3で示すマスクエッチング量(イオン束流れに垂直の成分)との比)は反応ガスの混合比と,流量とで調整されるプラズマ生成状態を変えることで制御することが可能である。すなわち,上記プラズマ生成状態を変えることで異方性エッチング特性を任意に制御可能となり,任意のアスペクト比(回折格子の高さ10:回折格子の底辺長さ11)の三角形断面の回折格子を形成することが可能となる。ここで,ガス混合比は,一例としてC4F8:CH2F2=1〜9:1の範囲内で調整可能であり,CH2F2の割合が増加するにつれてアスペクト比の高いシャープな三角形断面の回折格子形状が得られる。また,ガス流量を減少させると,反応ガスに対するエネルギー供給が大きくなり,プラズマ生成が活性化されてイオン束流れの指向性が強まる。この結果,異方性エッチング特性が大きくなり,上述同様にアスペクト比の高いシャープな三角形断面の回折格子形状が得られる。従って,回折格子状の金属マスク2が形成されてなる基板(エッチング前形状)5に対して異方性エッチング用いた場合,プラズマ生成状態を変えることで異方性エッチング特性を任意に制御することが可能となり,最終的に形成される基板(エッチング後形状)6は任意のアスペクト比の左右対称な二等辺三角形状の回折光学素子となる。
【0021】次に,図2を用いて非対称ブレーズド形状を得るための方法の一つとして,本発明の一実施の形態に係る基板(エッチング前形状)5上に形成されてなる金属マスク2に対する斜め方向からの反応性イオンエッチングについて説明する。任意角度の斜め方向からの反応性イオンエッチングを用いることによって,イオン束流れ方向は,基板(エッチング前形状)5の法線方向に対して傾斜している。ここで,上述の通り異方性エッチングは,イオン束流れ方向に対して水平な方向と,垂直な方向に加工が進行することにより,最終的にはイオン束流れ方向に対して左右対称な二等辺三角形状の回折格子を形成する手法であるが,この実施形態では基板(エッチング前形状)5自身が,イオン束流れ方向に対して傾いているので,基板(エッチング前形状)5に形成される回折格子は,基板(エッチング前形状)5の法線方向に対して任意角度に傾斜した三角形状となる。そして,この場合,前記図1に示した異方性エッチングを用いることから,そのプラズマ生成状態を調整することで,任意のアスペクト比の三角形断面の回折格子を得ることができる。
【0022】上記実施形態では,基板に対してイオン束流れを相対的に傾けた場合について説明した。次に上記マスクが2以上の異なるエッチングレートを具備した領域よりなるものであることによって基板法線方向に対して傾斜した非対称ブレーズド形状の回折光学素子を形成する実施形態の手法について以下説明する。ここで,2以上の異なるエッチングレートを具備した領域よりなるものであるマスクを形成しうる条件としては,以下の2通りの場合が考えられる。一方は,マスクが異なるエッチングレートを具備してなる2以上の異材質の金属により形成される場合であり,他方は,マスクが2以上の異なるマスク厚みを具備してなる場合である。そこで,上記のそれぞれの場合について以下に実施形態を示す。
【0023】まず,図3を用いて非対称ブレーズド形状を得るための方法の一つとして,マスクが異なるエッチングレートを具備してなる2種類の金属により構成される場合を考える。マスクがエッチングレートの異なる2種の隣接する金属マスクにより構成されることによって,マスク左部(マスク2)と,右部(マスク2a)とにおけるエッチング異方性が異なることになる。ここで,上述の通り異方性エッチング特性はプラズマ生成状態により決定される特性であるため,プラズマ生成状態を調整することにより,マスク2における異方性エッチング特性(矢印4で示すマスクエッチング量(イオン束流れに平行の成分)と,矢印3で示すマスクエッチング量(イオン束流れに垂直の成分)との比)と,マスク2aにおける異方性エッチング特性(矢印4cで示すマスクエッチング量(イオン束流れに平行の成分)と,矢印3cで示すマスクエッチング量(イオン束流れに垂直の成分)との比)とを任意に設定することが可能である。仮に,マスク2aがマスク2に対して異方性エッチングが高い金属とすると,マスク2a側のイオン束流れに対して垂直な方向へのエッチング量は,マスク2側のイオン束流れに対して垂直な方向へのエッチング量に対して少なくなるため,エッチング後に最終的に形成される基板(エッチング後形状)6は,基板法線方向に対して非対称な鋸歯状の回折光学素子となる。
【0024】次に,図4を用いて非対称ブレーズド形状を得るための方法の他の一つとして,マスクが2種類の異なるマスク厚みを具備してなる場合を考える。マスクが2種のマスク厚みにより構成されることによって,マスク左部(マスク薄部)と,右部(マスク厚部)とにおけるエッチング異方性が異なることになる。ここで,上述の通り異方性エッチング特性はプラズマ生成状態により決定される特性であるため,プラズマ生成状態を調整することにより,マスク薄部における異方性エッチング特性と,マスク厚部における異方性エッチング特性とを任意に設定することが可能である。マスク厚部はマスク薄部に対して異方性エッチングが高いと考えられるため,マスク厚部のイオン束流れに対して垂直な方向へのエッチング量は,マスク薄部のイオン束流れに対して垂直な方向へのエッチング量に対して少なくなる。そのため,上述同様エッチング後に最終的に形成される基板(エッチング後形状)6は,基板法線方向に対して非対称な鋸歯状の回折光学素子となる。
【0025】また,図3と,図4とにおいて,更に基板法線方向に対して斜め方向(イオン束流れ1a)からの反応性イオンエッチングを用いることにより,形状の任意性を向上させた実施形態も考えられる。この場合,上述同様にイオン束流れ方向が,基板法線方向に対して傾斜することになり,異方性エッチングにおけるイオン束流れ方向に水平な方向への加工成分と,垂直な方向への加工成分も基板法線方向に対して傾斜する。従って,基板(エッチング前形状)5上に回折格子状に形成された2以上の異なるエッチングレートを具備した領域よりなるものである金属マスクに対してイオン束流1aによって斜め方向から反応性イオンエッチングを行なった場合,図3や図4に示した基板法線方向がイオン束流れ方向(矢印1で示す)に対して傾斜していない場合と較べてエッチング後に最終的に形成される基板(エッチング後形状)6は,基板法線方向に対してより大きく傾いた非対称ブレーズド形状の回折光学素子を得ることができる。
【0026】次に,図9を用いて基板上に形成されてなる直行する回折格子状のマスク(領域8および領域9)の一方(領域9)に対して上述の製造方法を適用した場合について考える。ここで,領域9に形成されてなるマスクに対して斜め方向からのエッチングを適用する,あるいは領域9に形成されてなるマスクを2以上の異なるエッチングレートを具備した領域よりなるものとすることによって,上述の通り領域9に形成されてなるマスクに対する異方性エッチング特性を左右非対称とすることができる。しかし一方で,領域8に形成されてなるマスクに対するイオン束流れ方向は基板法線方向あるいは基板に形成されてなる回折格子に対して水平方向であるため,領域8に形成されてなるマスクに対する異方性エッチング特性は左右対称である。従って,基板上に形成されてなる直行する回折格子状のマスク(領域8および領域9)の一方(領域9)に対して上述の製造方法を適用することによって,一方の領域9には基板法線方向に対して非対称ブレーズド形状の回折格子を形成し,他方の領域8には基板法線方向に対して対称な二等辺三角形状の回折格子を形成してなる回折光学素子を製造することが可能となる。当然ながら,図2〜図4及び図9に示した手法を適宜組み合わせることによっても幅広く任意形状を持つ回折光学素子を形成することが可能である。
【0027】次に,図10を用いて2以上の異なるエッチングレートを具備した領域よりなるマスクを形成する回折光学素子用基板の形成方法について説明する。まず電子線描画した箇所を現像により除去処理することにより基板5上にピラー状の電子線レジスト12を形成する(図10(a))。勿論,電子線描画のほかレーザー描画,ステッパ,ホログラフィック法等でも同様の効果が得られるものを使っても良い。次に,基板5を第1の金属の蒸着粒子流れ方向(矢印13)に対して斜めに設置して第1の金属マスク15を蒸着する(図10(b))。続いて基板5にリフトオフを用いても良いし,さらに基板5を第2の金属の蒸着粒子流れ方向(矢印14)に対して略垂直に設置して第2の金属マスク16を蒸着した(図10(c))後の基板5にリフトオフを用いても良い。前者の場合,電子線レジスト12を全て除去することによって,2種類の異なるマスク厚みを具備した金属よりなるマスクが基板5上に形成された回折光学素子用基板を形成できる(図10(e))。後者の場合,電子線レジスト12を全て除去することによって,3種類の異なるエッチングレートを具備した金属よりなるマスクが基板5上に形成された回折光学素子用基板を形成できる(図10(d))。
【0028】最後に,2以上の異なるエッチングレートを具備した金属よりなるマスクが基板5上に形成された上記回折光学素子用基板に対して異方性エッチングを適用した場合を考える。図10(d)に示す通り,上記回折光学素子用基板に形成されてなるマスクは,第2の金属マスク16のみの領域と,第2の金属マスク16と薄く蒸着された第1の金属マスク15が重なった領域と,第2の金属マスク16と厚く蒸着された金属15マスクとが重なった領域とからなるため,異方性エッチング特性を更に細かく設定することが可能となる。従って,製造されうる回折光学素子形状の任意性を向上させることが可能となる。
【0029】
【実施例】前記実施の形態では,一様な周期を有する回折格子状のマスクとして構成されているが,例えば図5に示す様に基板上に形成されてなるマスクが非一様な周期を有するマスクであっても良い。このように構成されたマスクに対して斜め方向からエッチングすることによって,図6に示す様にアスペクト比一定,且つ異なる周期を有する非対称ブレーズド形状の回折光学素子を製造することが可能となる。また,図7に示す様に基板上に形成されてなるマスクが非一様な周期を有し,且つ,厚みの異なるマスクであっても良い。このように構成されたマスクに対して斜め方向からエッチングすることによって,図8に示す様にアスペクト比不定,且つ異なる周期を有し,回折格子の高さが一定である非対称ブレーズド形状の回折光学素子を製造することが可能となる。なお,上述した方法により製作された回折光学素子を原型として公知の技術である電気鋳造法等を用いて金型を作成し,この金型を用いて樹脂成形等を行なうことで回折光学素子を効率的に量産することも可能である。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように,本発明によれば,回折格子状のマスクが形成されてなる基板を,エッチングによって非対称形状の回折格子に形成してなる回折光学素子の製造方法において,異方性エッチングを用いることを特徴とする回折光学素子の製造方法として構成されている。このように構成されるので,イオン束流れに対して水平な方向への加工量と,イオン束流れに対して垂直な方向への加工量との比(以下略して異方性エッチング特性と称す)を反応ガスのプラズマ生成状態により任意に制御することが可能となる。従って,回折格子状のマスクが形成されてなる基板を,エッチングによって非対称形状の回折格子に形成してなる回折光学素子の製造方法において,異方性エッチングを用いることにより,任意のアスペクト比の回折格子を形成することが可能となる。
【0031】また,基板がイオン束流れ方向に対して斜めに設置されても良い。このように構成されるので,イオン束流れ方向が基板の法線方向に対して傾斜することになり,異方性エッチングにおけるイオン束流れ方向に対して水平な方向への加工成分と,垂直な方向への加工成分とが基板の法線方向に対して傾斜することになる。また,上記基板を斜めに設置する治具の材質としてはガラス等の非導電性材質が望ましい。従って,基板上に回折格子状に形成されてなるマスクに,反応性イオンエッチングを用いて回折格子を形成する回折光学素子の製造方法において,基板をイオン束流れ方向に対して任意角度斜めに設置することにより,基板法線方向に対して任意角度に傾斜した非対称ブレーズド形状の回折光学素子を製造可能となる。その時の基板の設置治具を非導電性材質とすることで,イオン束の流れに乱れが生じることが防止される。
【0032】また,イオン束流れ方向の基板に対する投影成分が,上記回折格子と略垂直となる様に基板を設置しても良い。上記斜め方向からの反応性イオンエッチングされるので,形成される回折格子を一様に基板法線方向に対して傾斜させることが可能となる。従って,イオン束流れ方向の上記基板に対しての投影成分が,回折格子と略垂直となる方向からの反応性イオンエッチングを行なうことによって,基板法線方向に対して任意角度に傾斜したブレーズド形状の回折光学素子が製造可能となる。
【0033】また,上記マスクが2以上の異なるエッチングレートを具備した領域よりなるものであっても良い。このように構成されるので,マスクの一方の領域における異方性エッチング特性と,他方の領域における異方性エッチング特性とを独立して設定することが可能となる。すなわち,異方性エッチングによる加工量が左右非対称となるため,形成される回折格子が基板法線方向に対して非対称な鋸歯状となる。従って,基板上に回折格子状に形成されてなるマスクに,反応性イオンエッチングを用いて回折格子を形成する回折光学素子の製造方法において,マスクが2以上の異なるエッチングレートを具備した領域よりなるものであることにより,基板法線方向に対して任意角度に傾斜した非対称ブレーズド形状の回折光学素子を製造可能となる。
【0034】また,上述の2以上の異なるエッチングレートを具備した領域よりなるものであるマスクの一例として,該マスクが2以上の異なる材質により区割された領域よりなるものであっても良い。この様に構成されるので,上述同様にマスクの一方の領域における異方性エッチング特性と,他方の領域における異方性エッチング特性とを独立して設定することが可能となり,上述の通り基板法線方向に対して任意角度に傾斜した非対称ブレーズド形状の回折光学素子を製造可能となる。
【0035】また,上述の2以上の異なるエッチングレートを具備した領域よりなるものであるマスクの一例として,該マスクが2以上の異なるマスク厚みを具備した領域よりなるものであっても良い。この様に構成されるので,上述同様にマスクの一方の領域における異方性エッチング特性と,他方の領域における異方性エッチング特性とを独立して設定することが可能となり,上述の通り基板法線方向に対して任意角度に傾斜した非対称ブレーズド形状の回折光学素子を製造可能となる。
【0036】また,マスクに用いられる材料が金属であっても良い。このように構成されるので,レジストを用いた場合と比較して異方性エッチング特性の制御性が向上する。加えて,レジストを用いた場合には,エッチングによる加工速度が金属に比べて大きいため,任意のブレーズド形状の回折光学素子を得ることは難しい。
【0037】また,マスクに用いられる金属が,クロム,アルミであって,基板に用いられる材料が,シリコン,石英またはガラスであっても良い。反応性イオンエッチングでは,マスク材質と,基板材質と,反応ガスとを選定し,各要素を変更,調整することにより,基板と,マスク部分とに対して選択的な加工を行なうことが可能である。マスクの材料としてクロム,アルミを,基板の材料としてシリコン,石英,あるいはガラスを用いる場合,反応ガスにはC4F8と,CH2F2との混合ガスを用いることにより,高アスペクト比の異方性エッチングが実現可能となる。
【0038】また,マスクが,直交する格子周期方向に形成されてなる2以上の回折格子状のマスクの1つであっても良い。このように構成されるので,ある一つの領域には上述の通り基板法線方向に対して任意角度に傾斜した非対称ブレーズド形状の回折格子を形成し,他の領域には基板法線方向に対して左右対称な二等辺三角形状の回折格子を形成してなる回折光学素子を製造することが可能となる。
【0039】また,基板に回折格子状に形成されてなる2以上の異なるエッチングレートを具備した領域よりなるマスクを形成する回折光学素子用基板の形成方法であって,基板を金属の蒸着粒子流れ方向に対して斜めに設置して金属を蒸着する工程を含んでなることを特徴として構成されている。このように構成されるので,垂直方向からの蒸着のみによって形成された場合と比較して,形成されうるマスクの任意性を向上させることが可能となる。
【0040】また,基板に回折格子状に形成されてなる2以上の異なるエッチングレートを具備した領域よりなるマスクを形成する回折光学素子用基板の形成方法であって,基板を第1の金属の蒸着粒子流れ方向に対して斜めに設置して第1の金属を蒸着する第1の工程と,基板を第2の金属の蒸着粒子流れ方向に対して略垂直に設置して第2の金属を蒸着する第2の工程とを含んでなることを特徴として構成されている。このように構成されるので,垂直方向からの蒸着のみによって形成された場合と比較して,形成されうるマスクの任意性を向上させることが可能となる。
【0041】また,第1のマスク金属の蒸着粒子流れ方向の基板に対する投影成分が,回折格子と略垂直であっても良い。上記斜め方向からの金属蒸着されるので,形成されるマスクを基板法線方向に対して非対称とすることが可能となる。
【0042】また,基板に回折格子状に形成されてなる2以上の異なるエッチングレートを具備した領域よりなるマスクを形成する回折光学素子用基板をエッチングによって非対称形状の回折格子に形成してなる回折光学素子の製造方法において,異方性エッチングを用いることを特徴として構成されている。このように構成されるので,上述の通りマスクの一方の領域における異方性エッチング特性と,他方の領域における異方性エッチング特性とを独立して設定することが可能となり,基板法線方向に対して任意角度に傾斜した非対称ブレーズド形状の回折光学素子を製造可能となる。
【0043】また,製造された回折光学素子を転写することで金型を作成し,この金型を用いて樹脂成形等により回折光学素子を製造しても良い。このように構成されるので,同一形状の回折光学素子を効率的に量産することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】基板上に形成されてなる金属マスクに対する反応性イオンエッチングの概略説明図。
【図2】基板上に形成されてなる金属マスクに対する斜め方向からの反応性イオンエッチングの概略説明図。
【図3】基板上に形成されてなる二種類の金属からなるマスクに対する反応性イオンエッチングの概略説明図。
【図4】基板上に形成されてなる厚みが一様でない金属からなるマスクに対する反応性イオンエッチングの概略説明図。
【図5】基板上に形成されてなる周期が非一様なマスクに対する反応性イオンエッチングの実施例図。
【図6】アスペクト比が一定且つ,複数の周期を有するブレーズド形状の回折光学素子の一例を示す図。
【図7】基板上に形成されてなる周期およびマスク厚みが非一様なマスクに対する反応性イオンエッチングの実施例図。
【図8】複数のアスペクト比および周期有し,且つ高さが均一なブレーズド形状の回折光学素子の一例を示す図。
【図9】周期方向の直行する二つの回折格子を有するブレーズド形状の回折光学素子の一例を示す図。
【図10】2以上の異なるエッチングレートを具備した領域よりなるマスクの形成方法の手順例を示す図。
【符号の説明】
1…イオン束流れ
1a…斜め方向からのイオン束流れ
2…金属マスク
2a…異種金属マスク
3…マスクエッチング量(イオン束流れに垂直の成分)
3a…斜め方向からの反応性イオンエッチングにおけるマスクエッチング量1(イオン束流れに垂直の成分)
3b…斜め方向からの反応性イオンエッチングにおけるマスクエッチング量2(イオン束流れに垂直の成分)
3c…異種金属マスクに対するマスクエッチング量(イオン束流れに垂直の成分)
3d…厚部金属マスクに対するマスクエッチング量(イオン束流れに垂直の成分)
4…マスクエッチング量(イオン束流れに水平の成分)
4a…斜め方向からの反応性イオンエッチングにおけるマスクエッチング量1(イオン束流れに水平の成分)
4b…斜め方向からの反応性イオンエッチングにおけるマスクエッチング量2(イオン束流れに水平の成分)
4c…異種金属マスクに対するマスクエッチング量(イオン束流れに水平の成分)
4d…厚部金属マスクに対するマスクエッチング量(イオン束流れに水平の成分)
5…基板(エッチング前形状)
6…基板(エッチング後形状)
8…二等辺三角形状の回折格子を形成する領域
9…非対称な鋸歯形状の回折格子を形成する領域
10…回折格子の高さ
11…回折格子の底辺長さ
12…電子線レジスト
13…第1の金属の蒸着粒子流れ
14…第2の金属の蒸着粒子流れ
15…第1の金属マスク
16…第2の金属マスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】回折格子状のマスクが形成されてなる基板を,エッチングによって非対称形状の回折格子に形成してなる回折光学素子の製造方法において,異方性エッチングを用いることを特徴とする回折光学素子の製造方法。
【請求項2】上記基板が,イオン束流れ方向に対して斜めに設置されてなる請求項1に記載の回折光学素子の製造方法。
【請求項3】上記イオン束流れ方向の上記基板に対する投影成分が,上記回折格子と略垂直である請求項2に記載の回折光学素子の製造方法。
【請求項4】上記マスクが,2以上の異なるエッチングレートを具備した領域よりなるものである請求項1〜3のいずれかに記載の回折光学素子の製造方法。
【請求項5】上記マスクが,2以上の異なる材質により区割された領域よりなるものである請求項4に記載の回折光学素子の製造方法。
【請求項6】上記マスクが,2以上の異なるマスク厚みを具備した領域よりなるものである請求項4に記載の回折光学素子の製造方法。
【請求項7】上記マスクに用いられる材料が,金属である請求項1〜6のいずれかに記載の回折光学素子の製造方法。
【請求項8】上記金属が,クロム,アルミである請求項7に記載の回折光学素子の製造方法。
【請求項9】上記基板に用いられる材料が,シリコン,石英またはガラスである請求項1〜8のいずれかに記載の回折光学素子の製造方法。
【請求項10】上記マスクが,直交する格子周期方向に形成されてなる2以上の回折格子状のマスクの1つである請求項1〜9のいずれかに記載の回折光学素子の製造方法。
【請求項11】上記基板をイオン束流れ方向に対して傾斜して設置するための治具が非導電性材質により構成されてなる請求項1〜10のいずれかに記載の回折光学素子の製造方法。
【請求項12】基板に回折格子状に形成されてなる2以上の異なるエッチングレートを具備した領域よりなるマスクを形成する回折光学素子用基板の形成方法であって,上記基板を金属の蒸着粒子流れ方向に対して斜めに設置して金属を蒸着する工程を含んでなることを特徴とする回折光学素子用基板の形成方法。
【請求項13】基板に回折格子状に形成されてなる2以上の異なるエッチングレートを具備した領域よりなるマスクを形成する回折光学素子用基板の形成方法であって,上記基板を第1の金属の蒸着粒子流れ方向に対して斜めに設置して第1の金属を蒸着する第1の工程と,上記基板を第2の金属の蒸着粒子流れ方向に対して略垂直に設置して第2の金属を蒸着する第2の工程と,を含んでなることを特徴とする回折光学素子用基板の形成方法。
【請求項14】上記第1のマスク金属の蒸着粒子流れ方向の上記基板に対する投影成分が,上記回折格子と略垂直である請求項12,あるいは13のいずれかに記載の回折光学素子用基板の形成方法。
【請求項15】上記基板に回折格子状に形成されてなる2以上の異なるエッチングレートを具備した領域よりなるマスクを形成する上記回折光学素子用基板をエッチングによって非対称形状の回折格子に形成してなる回折光学素子の製造方法において,異方性エッチングを用いることを特徴とする回折光学素子の製造方法。
【請求項16】請求項1〜11或いは15に記載の方法により製造された回折光学素子を転写することで金型を作成し,この金型を用いて樹脂成形等により回折光学素子を製造する回折光学素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2003−57423(P2003−57423A)
【公開日】平成15年2月26日(2003.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−249532(P2001−249532)
【出願日】平成13年8月20日(2001.8.20)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2001年3月28日 (社)応用物理学会発行の「2001年春季 第48回応用物理学関係連合講演会予稿集 第2分冊」に発表
【出願人】(396020800)科学技術振興事業団 (35)
【出願人】(500079975)
【Fターム(参考)】