説明

回折格子の製造方法

【課題】 X線タルボ干渉計を構成する位相型回折格子及び振幅型回折格子を安定的に供給可能な製造方法を提供する。
【解決手段】基板6に形成されているネガ型のX線感光性樹脂30に、X線透過部とX線吸収部とを備えるX線マスク31を用いてX線を照射する。そして、前記X線透過部を通過したX線、及び、前記X線吸収部を通過することによって通過前の1/50以上1/10以下となるように強度が低下したX線によって、X線感光性樹脂30を露光する(露光工程)。そして、非露光部分34を除去することによって、基板上に樹脂壁36を形成するとともに、隣り合う樹脂壁36の先端同士を接続する膜状の架橋部35を形成する(現像工程)。その後、前記架橋部35を除去するとともに(除去工程)、電鋳法により、前記樹脂壁と樹脂壁との間にX線吸収金属部11を形成する(電解メッキ工程)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線タルボ干渉計に用いられる回折格子(位相型回折格子及び/又は振幅型回折格子)の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
X線透視装置は例えば医療用画像診断技術に関して広く用いられているが、被写体によるX線吸収の大小によって画像のコントラストを形成する原理であるために、血液、血管壁やその周辺の軟組織についてはX線吸収係数が殆ど等しく、十分なコントラストを得難いという問題がある。高コントラストを実現するには、例えば撮像に長時間を掛けたり、ヨウ素などの造影物質を注射する方法が考えられるが、この場合は患者の負担や検査コストが増大してしまう。
【0003】
また、この種のX線透視装置としては、X線干渉計を利用し、いわゆる位相コントラスト法を用いる構成が知られている。この方法は、X線を波として把握し、被写体中を波が伝わる速さの違いをコントラスト形成に利用する。即ち、被写体を透過することによるX線の位相シフトを検出する手法である。この位相コントラスト法は、X線の吸収に頼る方法に比べて約1000倍の感度改善が実現でき、X線照射量を例えば1/100〜1/1000に軽減できるという利点がある。また、空間分解能を向上させるという観点からも、上記の感度の改善は極めて好ましい効果をもたらすといえる。
【0004】
本願の発明者は、X線干渉計を利用して画像診断を行うことの有用性を早くから見出している。例えば、特許文献1においては、マッハツェンダー型のX線干渉計を構成し、このX線ビームパス中に被検査部位を配置し、得られたX線干渉図形のモアレ像を解析することで、被写体による位相シフトの分布を示す画像を得ることができると提案している。このような構成によれば、X線を用いて、血管や血液分布を無造影で(又は、重元素を含まない物質を注入することで)容易に可視化することができる。
【特許文献1】特開2001−29340号公報
【0005】
また、本発明者は、例えば非特許文献1において、X線干渉計のX線供給源の大きさが大きいために生ずる2枚の回折格子を通過するX線の半影効果(Penambra effect)を改善する方法を提案している。しかし、この方法は構成が複雑になってしまい、実用化に課題が残る。この非特許文献1においては、直接プラズマエッチング法によってシリコン基板に溝部を作製し、その後、この溝部に金メッキあるいはスパッタ法によってX線吸収金属部を作るという手法が用いられている。この方法は、シリコン材料自体が導電体であるため、金メッキ法によってX線吸収金属部を作製するときに、シリコン材料に一度絶縁層を作製するとともに溝の底部に銅、チタンなどの金属シード層を作製することが必要になり、プロセスが非常に多く複雑になってしまっている。また、上記の方法では、X線吸収体である金の厚みを大きくすることが困難である。即ち、現状では、金の幅が2〜3μmの場合には厚みを15μm程度とするのが限界であり、感度向上のためには厚みをより大きくする必要がある。
【非特許文献1】F.Pfeiffer et al.,Nature Phys.2(2006)258
【0006】
また、特許文献2では、この回折格子の作製方法として、X線光あるいは紫外光による光学リソグラフィによってレジストからなる構造体を作製し、その後、金電気メッキ法によってX線吸収金属部を作製するという方法を用いている。この方法は、加工精度の点からレジスト材料の影響を大きく受け、精度の高いものを作ることが困難である。
【特許文献2】特開2006−259264号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで近年、高輝度X線が得られる大規模設備(例えば、わが国のSPring8等)の利用等、可干渉で高輝度なX線を得られる環境が整備されるにつれて、空間的に可干渉な光源と2枚の回折格子を用いて入射波面の勾配を検出する構成のタルボ干渉計をX線分野に適用することが研究されている。
【0008】
このタルボ干渉計は、簡素な光学系で実現できること等、種々の優位性が指摘されるところであるが、このX線タルボ干渉計を良好に機能させ得る上記2枚の回折格子を安定的に製造する方法については、加工上の特別な技術が必要になり、未だ確立されていないのが実情である。
【0009】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、X線タルボ干渉計に用いる回折格子を安定的に供給する製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0011】
本発明の第1の観点によれば、以下のような、X線タルボ干渉計に用いられる回折格子の製造方法が提供される。即ち、この製造方法は、露光工程と、現像工程と、架橋部除去工程と、を含む。前記露光工程では、基板に形成されているネガ型の感光性樹脂に、照射線透過部と照射線吸収部とを備えるマスク部を用いて照射線を照射する。そして、前記照射線透過部を通過した照射線、及び、前記照射線吸収部を通過することにより通過前の1/50以上1/10以下となるように強度が低下した照射線によって前記感光性樹脂を露光する。前記現像工程では、前記感光性樹脂の非露光部分を除去することによって、樹脂壁を形成するとともに、隣り合う前記樹脂壁の先端同士を接続する膜状の架橋部を形成する。前記架橋部除去工程では、前記架橋部を除去する。
【0012】
これにより、リソグラフィ法による現像工程において、樹脂壁同士を接続する架橋部が形成される。この架橋部により、樹脂壁の先端部同士の間隔が保たれ、樹脂壁が変形してスティッキングすることを防止できる。また、回折格子の製造工程においてスティッキングを防止できるので、回折格子の製造歩留りを高めることができ、回折格子の安定的な供給に寄与するとともに、製造コストを抑えることができる。
【0013】
前記の回折格子の製造方法においては、前記露光工程の後に、前記マスク部を取り除いた状態で前記感光性樹脂の表層部を照射線によって露光する表層露光工程を含むことが好ましい。
【0014】
これにより、感光性樹脂の表層部に架橋部を確実に形成し、スティッキングを防止することができる。
【0015】
前記の回折格子の製造方法においては、前記架橋部除去工程において、前記架橋部はO2アッシングによって除去されることが好ましい。
【0016】
これにより、前記現像工程において形成された膜状の架橋部をO2アッシングによって確実に取り除くことができる。また、現像後に残留した感光性樹脂の非露光部分をO2アッシングによって同時に除去できるので、精度に優れた回折格子を提供できるとともに、製造工程を簡素化することができる。
【0017】
前記の回折格子の製造方法においては、以下のようにすることが好ましい。即ち、この製造方法は、前記架橋部除去工程の後に、電解メッキ工程と、樹脂壁除去工程と、を含む。前記電解メッキ工程では、前記基板と前記感光性樹脂との間に介在される前記金属シード層に電圧を印加して、前記樹脂壁と樹脂壁との間にX線吸収金属部を電鋳法により形成する。前記樹脂壁除去工程では、前記樹脂壁を除去する。
【0018】
これにより、スティッキングの発生を防止した樹脂壁と樹脂壁の隙間にX線吸収金属部を析出させ、精度の高い回折格子を製造することができる。
【0019】
前記の回折格子の製造方法においては、以下のようにすることが好ましい。即ち、この製造方法は、前記樹脂壁除去工程の後に、樹脂形成工程と、選択露光工程と、表層露光工程と、現像工程と、架橋部除去工程と、X線吸収金属積層工程と、を含む。前記樹脂形成工程では、前記X線吸収金属部を覆うように感光性樹脂を形成する。前記選択露光工程では、前記X線吸収金属部が形成されている側とは反対の面から前記基板に照射線を照射し、当該基板を通過した照射線によって、前記X線吸収金属部をマスクとして用いて前記感光性樹脂を選択的に露光する。前記表層露光工程では、前記選択露光工程の場合と逆向きの照射線を前記感光性樹脂に照射し、前記感光性樹脂の表層部を露光する。前記現像工程では、前記感光性樹脂の非露光部分を除去することによって、樹脂壁を形成するとともに、隣り合う前記樹脂壁の先端同士を接続する膜状の架橋部を形成する。前記架橋部除去工程では、前記架橋部を除去する。前記X線吸収金属積層工程では、前記樹脂壁と樹脂壁との間の部分において、前記X線吸収金属部に連なるように更にX線吸収金属部を電鋳法によって形成する。そして、前記X線吸収金属部を、そのアスペクト比が1対5以上となるように形成する。
【0020】
これにより、アスペクト比の高いX線吸収金属部を備えた回折格子を製造することができる。
【0021】
前記の回折格子の製造方法においては、前記電解メッキ工程又は前記X線吸収金属積層工程の少なくとも何れか一方において、前記金属シード層又はX線吸収金属部への電圧の印加を中断して、前記樹脂壁と樹脂壁の間の部分からメッキ溶液を流出させるポンピング工程を複数回繰り返すことが好ましい。
【0022】
これにより、ヘルムホルツ電気二重層の発生を防ぎ、樹脂壁と樹脂壁の間のスリット形状の隙間にX線吸収金属部を正確に埋め込むことができる。
【0023】
前記の回折格子の製造方法においては、前記電解メッキ工程又は前記X線吸収金属積層工程の少なくとも何れか一方において、前記金属シード層又はX線吸収金属部に流れる電流を、極性反転を繰り返すパルス波形とすることが好ましい。
【0024】
これによっても、ヘルムホルツ電気二重層の発生を防ぎ、樹脂壁と樹脂壁の間のスリット形状の隙間にX線吸収金属部を正確に埋め込むことができる。
【0025】
前記の回折格子の製造方法においては、前記X線吸収金属部は、白金、金、銀、プラチナ、及びチタンから選択された1又は2以上の組合せよりなることが好ましい。
【0026】
このように、X線吸収金属部としてX線吸収性能の高いものを使用することにより、コンパクトで性能の良好な回折格子を提供できる。
【0027】
前記の回折格子の製造方法においては、前記X線吸収金属部を、隣り合うX線吸収金属部との間に幅が1μm以上10μm以下のスリット状の隙間を有するように形成することが好ましい。
【0028】
これにより、X線吸収金属部の周期をX線の可干渉距離より小さくでき、有用なX線回折格子を提供することができる。
【0029】
前記の回折格子の製造方法においては、前記金属シード層は、クロム、銅、金、アルミニウム、及びチタンから選択された1又は2以上の組合せよりなることが好ましい。
【0030】
これにより、樹脂壁と樹脂壁との間にX線吸収金属部を良好に形成することができる。
【0031】
前記の回折格子の製造方法においては、前記現像工程の後に超臨界乾燥条件下で乾燥する工程を含むことが好ましい。
【0032】
これにより、表面張力を有しない超臨界流体の状態で乾燥させることで、スティッキングをより効果的に防止することができる。
【0033】
前記の回折格子の製造方法においては、前記照射線は紫外線であり、前記照射線吸収部は紫外線吸収部であり、前記照射線透過部は紫外線透過部であることが好ましい。
【0034】
これにより、スループットが高く、一般的に多く用いられる光学リソグラフィ法において、樹脂壁のスティッキングを防止することができる。
【0035】
前記の回折格子の製造方法においては、前記紫外線透過部はガラス、石英ガラス、水晶の少なくとも何れかであることが好ましい。
【0036】
これにより、前記紫外線透過部において紫外線を良好に通過させることができ、高精度なパターニングを実現できる。
【0037】
前記の回折格子の製造方法においては、前記照射線はX線であり、前記照射線吸収部はX線吸収部であり、前記照射線透過部はX線透過部であることが好ましい。
【0038】
これにより、波長の短いX線を使用するX線リソグラフィ法を行うことで、微細なパターンを備えた回折格子を製造することができる。
【0039】
前記の回折格子の製造方法においては、前記X線吸収部は厚みが10μm以下となるように金で形成されており、照射されるX線の強度が8000ドーズ以上であることが好ましい。
【0040】
前記の回折格子の製造方法においては、前記X線吸収部は厚みが5μm以下であり、照射されるX線の強度が4000ドーズ以上であることが好ましい。
【0041】
これにより、架橋部を安定して形成し、スティッキングを確実に防止することができる。
【0042】
前記の回折格子の製造方法においては、前記X線透過部は、シリコン、ガラス、石英ガラス、アルミナの少なくとも何れかであることが好ましい。
【0043】
これにより、前記X線透過部においてX線を良好に通過させることができ、高精度なパターニングを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の回折格子が用いられるX線タルボ干渉計を示す概念図である。図2(a)はX線タルボ干渉計で得られるタルボ干渉像の例を示す図、図2(b)は縞走査法により得られる微分位相像を示す図、図2(c)は位相型X線CTの例を示す図である。図3は位相型回折格子の構造を示す模式図であり、図4は振幅型回折格子の構造を示す模式図である。
【0045】
図1を参照して、本発明の方法で製造される回折格子が使用されるX線タルボ干渉計の光学系について説明する。このX線タルボ干渉計は、X線供給源1及びスクリーン(画像検出部)3を備えるとともに、1枚目の回折格子(位相型回折格子)10と2枚目の回折格子(振幅型回折格子)20とを特定の距離だけ離して平行に配置した構成となっている。位相型回折格子10は、振幅型回折格子20よりもX線供給源1に近い側に配置される。観察したい試料2は位相型回折格子10よりもX線供給源1に近い側に配置され、スクリーン3は振幅型回折格子20よりもX線供給源1から遠い側に配置される。
【0046】
図3及び図4に示すように、位相型回折格子10及び振幅型回折格子20のそれぞれはX線吸収金属部11を備える。このX線吸収金属部11は、X線を吸収するy方向に細長く形成されるとともに、x方向に周期的に並べられて配置されている。
【0047】
位相型回折格子10及び振幅型回折格子20の周期が波長に比べて十分に大きいとき、位相型回折格子10を通過した後の光は、回折角が非常に小さくなるために、回折された多数の光が重なり合って干渉する。そして、各回折光の位相が揃う条件を満たすような距離だけ離れた位置において、位相型回折格子10の透過直後と同じパターン、即ち自己像が干渉の結果として現れる(タルボ効果)。
【0048】
次に、試料2を位相型回折格子10の前に配置したときの自己像に着目すると、干渉する各回折光は試料2の内部において僅かに異なる光路を通過しているため、そのときの位相差によって干渉縞の様子が変化する。従って、この変形した自己像の位置に前記の振幅型回折格子20を重ねることによって、いわゆるモアレ縞の画像(タルボ干渉像)5を取得でき、この画像5においては微分位相が等高線のように現れることになる(図2(a)を参照)。なお、図2(a)は、直径1.2mmのプラスチック球を試料2として採用した際のタルボ干渉像である。
【0049】
上記のタルボ干渉像5を観察するだけでは上記微分位相を定量的に取得することは困難であるが、縞の位相を人為的に変化させたときの干渉縞の変化を解析することによって、微分位相を決定することができる(縞走査法)。例えば、図1において2枚の回折格子10,20の相対位置関係をx方向にずらすことでモアレ縞の位相を変化させながら複数のタルボ干渉像5を取得して解析することにより、図2(b)に示すような定量的な微分位相像を得ることができる。また、この画像を単純に積分処理すれば、位相像そのものを得ることもできる。
【0050】
更に、試料2に対して多数の投影方向から前記の図2(b)に示すような微分位相像を取得し、これを積分することで位相像とし、多数の投影方向からの位相像を合成することで、図2(c)に示すように位相型X線CT(コンピュータ断層撮影)を行うことも可能である。図2(c)では、試料2としてのプラスチック球をコンピュータ上で仮想的に1/8だけ切り取った断面が示されており、試料2としてのプラスチック球の形成時に生じたと思われる内部の泡の様子も明確に観察することができる。
【0051】
X線タルボ干渉計は、図1のように試料2の背後に2枚の回折格子10,20を配置するだけという簡素な光学系であり、また、結晶のような繊細な光学素子を用いないため、精密な光学素子調整や高い安定性をそれほど必要としないという特徴を有している。また、モアレ縞として強度を検出するので、空間分解能の高い検出器を必ずしも必要としない点でも有利である。更には、タルボ干渉計は原理的に小さな光源を必要とするが単色性はそれほど必要でなく、球面波のような発散光も使用できるので、巨大な設備を必要とする前記シンクロトロン放射光以外のX線源を利用できる余地があり、装置の小型化に貢献して病院などでの実用化に道を拓くものとして期待されている。
【0052】
なお、上記のように有用性が指摘されるX線タルボ干渉計であるが、一般にX線は物質による吸収が非常に小さく、位相変化もそれほど大きくないため、上記の回折格子10,20は可視光領域のタルボ干渉計のそれよりも製造が困難である。また当然ながら、タルボ干渉計を機能させるには、2枚の回折格子10,20それぞれにおいてX線吸収金属部11の周期をX線の可干渉距離より小さくする必要があり、具体的には10μm以下、望ましくは5μm程度とする必要がある。
【0053】
また、いわゆる分数タルボ効果による自己像は、位相型回折格子10の位相シフト量がπ/2になるときに、最も高いコントラストが得られるという性質がある。そして、位相シフト量がπ/2を実現するのに必要な位相型回折格子10の厚さを本願の発明者が試算したところ、波長が0.7Å〜1.1Åの場合で、位相型回折格子10のX線吸収金属部11としてX線吸収能の高い金を材料として用いた場合、位相型回折格子10では1μm〜10μmとなった。
【0054】
一方、振幅型回折格子20については、タルボ干渉計で得られるモアレ縞の可視性の向上という観点からは振幅型回折格子20の強度透過率を小さくすることが重要であり、例えば強度透過率1%を実現できる程度のX線吸収を得ることができれば理想的である。この点、例えば強度透過率1%を実現するのに必要な振幅型回折格子20の厚さを本願の発明者が同様に試算したところ、金を材料として用いたとしても、波長が0.7Å〜1.1Åの場合で10μm〜100μmの厚みが必要になるとの結果が得られた。
【0055】
従って、X線タルボ干渉計を実現するにあたっては、そのような2枚の回折格子10,20、特に、極めて大きいアスペクト比(例えば、5以上)が要求される振幅型回折格子20を製造できるか否かが重要な鍵となっている。
【0056】
以上の課題を解決すべく、本願の発明者は鋭意研究を重ね、以下に説明するような位相型回折格子10及び振幅型回折格子20の製造方法を提案するに至ったものである。以下、それぞれについて詳細に説明する。
【0057】
先ず、図3及び図4を参照して、位相型回折格子10及び振幅型回折格子20の具体的な構成を説明する。図3に示す位相型回折格子10は、例えば厚さ約150μmの基板6の厚み方向一側の面に一体的に形成されている。この基板6は、例えばシリコン又はガラスにより製造されたものを用いることができる。この位相型回折格子10は、基板6上に等間隔で多数並べて設けられた細長い前記X線吸収金属部11を有している。X線吸収金属部11のそれぞれは、X線吸収能に優れた金を素材として構成されている。X線吸収金属部11が基板6から突出する厚みt1(位相型回折格子10の厚みに相当する)は、何れのX線吸収金属部11においても互いに等しくなっており、1μm以上5μm以下としている。X線吸収金属部11とX線吸収金属部11との間は、単なる空間になっている。
【0058】
複数のX線吸収金属部11の幅w1は互いに等しく構成されており、その幅w1は、2μm以上10μm以下とされている。また、X線吸収金属部11の周期d1も、2μm以上10μm以下とされている。
【0059】
一方、図4に示す振幅型回折格子20は、前記位相型回折格子10を厚み方向(X線の光軸方向)に引き伸ばしたものに相当する。具体的には、振幅型回折格子20のそれぞれのX線吸収金属部11は、小幅で細長くかつ大きな厚みを有する形状としており、これが幅方向に等間隔で多数並べて設けられている。X線吸収金属部11のそれぞれは、前記位相型回折格子10と同様にX線吸収能に優れた金を素材としており、その厚みt2(振幅型回折格子20の厚みに相当する)は20μm以上300μm以下としている。X線吸収金属部11とX線吸収金属部11との間には、樹脂部材22がサンドイッチ状に介在されている。言い換えれば、X線吸収金属部11と樹脂部材22とが交互に重ねられて接合された構成となっている。なお、隣り合うX線吸収金属部11,11の間には、樹脂部材22に代えて、酸化ケイ素からなる保持部材が介在されていても良い。
【0060】
そして、複数のX線吸収金属部11は幅w2が互いに等しく構成されており、その幅は、2μm以上10μm以下とされている。また、X線吸収金属部11の周期(幅)d2も、2μm以上10μm以下とされている。
【0061】
以上の構成により、図1のX線タルボ干渉計において、振幅型回折格子20の直後の位置で正確なモアレ縞のタルボ干渉像5を確実に得ることができる。更に、位相型回折格子10においては、それをX線が通過する際の位相シフト量をπ/2とするのに十分な厚みとできる。また、振幅型回折格子20では、モアレ縞の可視性が良好な低い透過強度率を実現するのに十分な厚みとできる。従って、鮮明なモアレ縞が得られ、信頼性及び精度の高いX線タルボ干渉計を実現できる。
【0062】
次に本発明の第1実施形態として、X線リソグラフィ法を用いた位相型回折格子及び振幅型回折格子の製造方法について説明する。図5及び図6は、基板から位相型回折格子を製造する工程を順に示した説明図である。また、図7(a)は従来の製造方法により作製された樹脂構造体において、樹脂壁にスティッキングが生じた様子を示す顕微鏡写真であり、図7(b)は本実施形態の製造方法により作製された樹脂構造体において、架橋部によって樹脂壁の先端同士が接続されている様子を示す顕微鏡写真である。また、図8は架橋部を取り除いた状態を示す顕微鏡写真である。
【0063】
図5(a)に示す基板6はシリコンで形成されており、この基板6の一側の面に、図5(b)に示すように、スパッタリング等によって金属シード層40を形成する。この金属シード層40は、本実施形態ではクロムにより形成されているが、これに限定されず、例えば、銅、金、アルミニウム、チタン等又はこれらの合金を用いて形成することができる。
【0064】
次に図5(c)に示すように、スピンコート法等で塗布することによってX線感光性樹脂30を金属シード層40の上に形成させる。このX線感光性樹脂30は、X線に露光されることによって現像液に不溶になるネガ型のものが用いられる。
【0065】
本実施形態においては、前記X線感光性樹脂30として、バインダポリマーとエポキシモノマーと光酸発生剤で構成された光カチオン重合系レジストの商品名SU−8(Microlithography Chemical Corp.製)が用いられる。そして図5(c)の工程の後、塗布したX線感光性樹脂30を固化するためのプリベークを、例えば65℃で1分間行う。なお、このプリベークの条件は適宜変更することができる。
【0066】
次に、X線リソグラフィマスク(X線マスク)31を用いてX線リソグラフィを行う。具体的には図5(d)に示すように、照射線としてのX線を、X線マスク31を介してX線感光性樹脂30に照射する。
【0067】
このX線マスク31は、適宜のガラス基板によって形成されたX線透過材37と、このX線透過材37の一側の面に薄膜状に形成されたX線吸収部材32と、を備えている。この構成のX線マスク31において、X線吸収部材32が形成された部分はX線吸収部(照射線吸収部)として機能し、残りの部分はX線透過部(照射線透過部)として機能する。前記X線吸収部材32は金(Au)により構成されるとともに、所定のパターンを有する薄膜状に形成されている。このX線吸収部材32のパターンは、前記X線吸収金属部11の形状に対応するパターンとなっている。
【0068】
このX線リソグラフィにおいて、X線の照射強度は、X線マスク31の前記X線吸収部材32の素材及び厚みを考慮して適宜決定される。例えば、X線吸収部材32が金を素材としており、その厚みが5μmである場合、電子エネルギー1GeV、蓄積電流値200mAとして4000ドーズ以上でX線を照射することが好ましい。また、X線吸収部材32が同様に金を素材としており、その厚みが10μmである場合、8000ドーズ以上でX線を照射することが好ましい。
【0069】
上記のようにX線吸収部材32との関係で照射線強度が設定されたX線は、図6(e)に示すように、X線マスクの前記X線透過部を通過してX線感光性樹脂30を感光させ、硬化させる。また、X線吸収部材32が配置された部分(X線吸収部)においては、照射されたX線の一部がX線吸収部材32を透過してX線感光性樹脂30に到達する。X線吸収部材32を通過したX線は、その強度が通過前の1/50以上1/10以下程度に低下しているため、X線感光性樹脂30の表層部を露光させるにとどまり、深部までは到達しない。これによって、X線感光性樹脂30には、X線露光によって感光硬化した露光部分33と、X線が透過しないで感光硬化しなかった非露光部分34とが形成される。
【0070】
次に現像工程が行われ、X線に露光されていない非露光部分34が現像液に溶解して取り除かれる。この結果、露光部分33が図6(f)に示すように残り、樹脂壁36と、隣り合う樹脂壁36の先端同士を接続する薄膜状の架橋部35とが形成される。そしてこの現像工程の後、現像後のリンス液を加熱処理するとともに基板との密着性を高めるためのポストベークを95℃で4分間行う。なお、このポストベークの温度及びベーク時間等の条件は、例えば95℃で3分間行う等、適宜変更することができる。
【0071】
次に、図6(g)に示すように、水洗処理を行った後、誘導結合型プラズマ装置(ICP装置)を用いたO2アッシングを行う。このO2アッシングによって、架橋部35を取り除く架橋部除去工程が実現される。なお、この架橋部除去工程では、現像時の水洗では除去しきれなかった非露光部分34の残留物も、酸化させて灰に置換することにより除去することができる。本実施形態のO2アッシング工程では、例えば、酸素プラズマ発生電力容量が500W、基板バイアスが50W、酸素流量が50sccmの条件でアッシングを行うことができる。また、30秒間のアッシングを3分間の休止を挟んで反復することにより、架橋部35及び前記残留物を良好に取り除くことができる。
【0072】
ここで一般に、幅が狭くかつ深いスリットを高密度で並べて配置した構造体を作製する場合、図7(a)に示すように、互いに隣り合う壁部が重なり合うように接触する現象が発生することがある(スティッキング)。しかしながら、本実施形態では上述のように、樹脂壁36の先端同士を接続する架橋部35を現像工程で形成することにより、樹脂壁36の間隔を架橋部35によって保持し、上記スティッキングを効果的に防止することができる。図7(b)の顕微鏡写真には、現像工程直後の状態が示されている。この顕微鏡写真では膜状の架橋部35で相互に接続された多数の樹脂壁36が示されており、樹脂壁36が整然と並んでいるのを観察することができる。
【0073】
そして、この図7(b)の状態からICP装置を用いたO2アッシング洗浄を行うことによって架橋部35が取り除かれた様子を図8に示す。この図8に示すように、本実施形態の製造方法によれば、スティッキングを生じさせることなく、回折格子の製造に好適な樹脂壁36を基板6上に形成することができる。なお、O2アッシングはICP装置を用いて行うものに限定されず、他の適宜の装置を用いる方法に変更することができる。
【0074】
また、前述のスティッキングは、現像工程(水洗処理を含む)等で用いられる水又は溶液の表面張力が樹脂壁36に作用することが一因として考えられる。そこで、現像工程後において乾燥工程を行うときに、図9に示す水の臨界点を超えた高温高圧の条件下における乾燥を行うことが効果的である。
【0075】
図9に図示する臨界点とは、水の分子間引力と運動エネルギーとが釣り合う点を意味する。物質の温度と圧力の両方を前記臨界点以上にすると、分子の運動エネルギーが分子間引力より大きくなり、物質は液体とも気体とも異なる特殊な状態をとる。
【0076】
この状態の流体を超臨界流体と称し、水や溶液等の流体が前記超臨界流体となるような条件(超臨界条件)で乾燥すると、流体が表面張力を持たない状態となるので、乾燥時のスティッキングを一層良好に防止することができる。
【0077】
本実施形態においては、具体的には例えば以下の乾燥方法を行うことができる。即ち、乾燥時のチャンバの温度を40℃に保つとともに、不燃性ガスの二酸化炭素を30分間50ml/分の条件でパージし、20分間で0ml/分までテーパオフする。その後、チャンバの内圧を12MPaの状態で30分間保持し、続いて20分間を掛けて8MPaまで減圧し、更に160分間を掛けて0MPaまで減圧させる。
【0078】
次に電解メッキ工程によるX線吸収金属部11の析出について説明する。図6(h)に示すように、金属シード層40を導体として電気メッキを行うことによって、互いに隣り合う樹脂壁36の間のスリット状の隙間にX線吸収金属部11を析出させる。その後、図6(i)に示すように、不要なX線感光性樹脂30、及び、このX線感光性樹脂30に対応する部分の金属シード層40を、公知の方法で適宜除去する。これによって位相型回折格子10を製造することができる。
【0079】
次に、図9及び図10を参照して、図6(h)の電解メッキ工程によるX線吸収金属部11の析出の際に発生するヘルムホルツ電気二重層の影響を防止する方法について説明する。
【0080】
即ち、図6(h)の電解メッキ工程では、例えば図10に示す電鋳装置100を用いて、電解メッキによる電鋳法でX線吸収金属部11を析出積層させる。この電鋳装置100は、電解液101が入った電解槽102と、電解液101に浸漬されたアノード電極111及びカソード電極112と、アノード電極111及びカソード電極112の間に電圧を印加する直流電源装置103と、を備えている。
【0081】
この電鋳装置100において、前記カソード電極112の部分に前記基板6の金属シード層40を配置して、直流電源装置103によって電圧を印加することにより、樹脂壁36と樹脂壁36の間にX線吸収金属部11を析出させることができる。しかしながら、この電解メッキにおいて、カソード電極112の近傍にはヘルムホルツ電気二重層が発生して電界が乱され、これによって電鋳のX線吸収金属が影響を受けることがある。
【0082】
この点、本実施形態では、X線吸収金属部11を形成する工程において、金属シード層40及びX線吸収金属部11への電圧の印加を一時的中断し、前記基板6を大気中に引き上げて、樹脂壁36と樹脂壁36の間のスリット状の隙間からメッキ溶液を流出させるようにしている(ポンピング)。このポンピングの手順を、前記電解メッキ工程において5分程度の時間間隔をあけて複数回繰り返すことにより、ヘルムホルツ電気二重層の影響を除去し、X線吸収金属部11を樹脂壁36と樹脂壁36の間に良好に形成することができる。
【0083】
ただし、前記金属シード層40に流れるメッキ電流を、図11のグラフに示すように、短時間の極性反転を繰り返すパルス波形とすることもできる。図11には、−5Aの電流を50ミリ秒間流した後、12.5Aの電流を2ミリ秒流すサイクルを反復するパルス波形の例が示されている。このようなパルス波形の電流を流すように前記直流電源装置103を制御する方法によっても、ヘルムホルツ電気二重層の発生を防ぎ、X線吸収金属部11を樹脂壁36と樹脂壁36の間の隙間に正確に埋め込むことができる。
【0084】
なお、図6(e)の露光工程と図6(f)の現像工程の間に、X線を感光性樹脂30の表面全面にわたって短時間だけ照射する工程(表層露光工程)を行うこともできる。この表層露光工程は、図12(j)に示すように、X線マスク31を除いた状態でX線感光樹脂に対してX線露光を行うものである。ただし、この表層露光工程におけるX線の照射時間はごく短いため、X線は感光性樹脂30の表層部を感光させるに留まる。そして、上述した製造方法と同様に、現像工程、O2アッシング、電鋳工程を経ることによって回折格子を製造する。なお、この製造された回折格子は、次に説明する高アスペクト比の振幅型回折格子20を製造するためにも用いることができる。
【0085】
次に図13及び図14の説明図を参照して、振幅型回折格子20の製造方法について説明する。
【0086】
図13(a)には、図5及び図6で説明した位相型回折格子の製造方法(ただし、上記の図12(j)の表層露光工程を含む)で製造された回折格子が示されている。前記振幅型回折格子20は、この半製品としての回折格子に対し、更に以下の工程を行うことによって製造される。
【0087】
具体的には、図13(b)に示すように、前記回折格子を構成する基板6の表面にネガ型のX線感光性樹脂を塗布し、前記X線吸収金属部11を覆うようにX線感光性樹脂50を形成する。
【0088】
次に図13(c)で示すように、前記基板6においてX線吸収金属部11が形成されている面と反対側の面に、X線を入射させる。これにより、X線吸収金属部11が形成されていない箇所のX線感光性樹脂50は、基板6を透過したX線によって露光され、硬化する。一方、X線吸収金属部11が形成されている部分においては、X線は吸収されるので、X線感光性樹脂50は硬化しない。このように、前記X線吸収金属部11をX線マスクとして使用したX線リソグラフィによって、X線感光性樹脂50を選択的に感光させ、硬化させることができる。
【0089】
続いて図13(d)に示すように、前記X線感光性樹脂50に対して、図13(c)の場合とは反対側から、X線感光性樹脂50の表面全面にわたって露光を行う。ただし、この露光は短時間だけ行われるので、X線はX線感光性樹脂50の表層部に到達するに留まる。
【0090】
その後、図14(e)に示すように現像工程を行い、非露光のX線感光性樹脂50を取り除く。これによって、X線感光性樹脂50には、複数の樹脂壁56と、この樹脂壁56の先端部同士を接続するように形成される膜状の架橋部55が形成される。そして、図14(f)に示すように、前述と同様のO2アッシングによって架橋部55を取り除く。
【0091】
更に、図14(g)に示すように、X線吸収金属部11に金属シード層40を介して電圧を印加する金メッキ工程(X線吸収金属積層工程)により、前記樹脂壁56と樹脂壁56との間の部分にX線吸収金属部11を更に積層させる。なおこのとき、前述の図6(h)の工程と同様に、前記ポンピング工程を適宜行ったり、メッキ電流をパルス波形とすることにより、X線吸収金属部11を円滑に析出させることができる。
【0092】
X線吸収金属部11をX線リソグラフィマスクとして利用して上記の工程を繰り返すことで、X線吸収金属部11の金メッキを必要回数だけ析出積層させて、アスペクト比の高い振幅型回折格子を図14(h)に示すように製造することができる。
【0093】
以上に示すように、第1実施形態では、X線タルボ干渉計に用いられる回折格子を以下の方法によって製造している。即ち、この製造方法は、露光工程と、現像工程と、架橋部除去工程と、を含む。前記露光工程(図5(d)、図6(e))では、基板6に形成されているネガ型のX線感光性樹脂30に、X線吸収部とX線透過部とを備えるX線マスク31を用いてX線を照射する。そして、X線透過材37を通過したX線、及び、X線吸収部材32を通過することにより、通過前の1/50以上1/10以下となるように強度が低下したX線によって前記X線感光性樹脂30を露光する。前記現像工程(図6(f))では、非露光部分34を除去することによって、基板上に樹脂壁36を形成するとともに、隣り合う樹脂壁36の先端同士を接続する膜状の架橋部35を形成する。前記架橋部除去工程(図6(g))では、前記架橋部35を除去する。
【0094】
これにより、リソグラフィ法による製造工程において前記X線感光性樹脂30に樹脂壁36と架橋部35が形成される。そして、隣り合う樹脂壁36の間の間隔が架橋部35によって保持されるので、樹脂壁36が変形してスティッキングすることを防止できる。また、回折格子の製造工程においてスティッキングを防止できるので、回折格子の製造歩留りを高めることができ、回折格子の安定的な供給に寄与するとともに、製造コストを抑えることができる。
【0095】
また、第1実施形態の回折格子の製造方法は、前記露光工程の後に表層露光工程(図12(j))を行うこととしている。この表層露光工程では、X線マスク31を取り除いた状態で前記X線感光性樹脂30の表層部をX線によって露光する。
【0096】
これにより、後の現像工程において架橋部35を確実に形成することができる。
【0097】
また、第1実施形態の製造方法における前記架橋部除去工程(図6(g))では、前記架橋部35はO2アッシングによって除去される。
【0098】
これにより、前記現像工程において形成された架橋部35の膜部分を確実に取り除くことができる。また、現像後に残留したX線感光性樹脂30の非露光部分をO2アッシングによって同時に取り除くことができるので、精度に優れた回折格子を提供できるとともに、製造工程を簡素化することができる。
【0099】
また、第1実施形態の回折格子の製造方法は、前記架橋部除去工程(図6(f))の後に、電解メッキ工程と、樹脂壁除去工程と、を更に含む。そして、前記電解メッキ工程(図6(h))では、前記基板6と前記感光性樹脂30との間に介在される金属シード層40に電圧を印加して、電鋳法により樹脂壁36と樹脂壁36との間にX線吸収金属部11を形成する。樹脂壁除去工程(図6(i))では、樹脂壁36(及び、当該樹脂壁36に対応する金属シード層40)を除去する。
【0100】
この構成により、スティッキングの発生を防止した樹脂壁36と樹脂壁36の間にX線吸収金属部11を析出させることができる。従って、精度の良好な回折格子を提供することができる。
【0101】
また、第1実施形態の回折格子の製造方法は、前記樹脂壁除去工程の後に、樹脂形成工程と、選択露光工程と、表層露光工程と、現像工程と、架橋部除去工程と、X線吸収金属積層工程と、を更に含む。前記樹脂形成工程(図13(b))では、X線吸収金属部11を覆うようにX線感光性樹脂50を形成する。選択露光工程(図13(c))では、前記X線吸収金属部11が形成されている側と反対側の面から前記基板6に照射線を照射し、当該基板6を通過したX線によって、前記X線吸収金属部11をマスクとして用いてX線感光性樹脂50を選択的に露光する。表層露光工程(図13(d))では、前記選択露光工程の場合と逆向きのX線を前記X線感光性樹脂50に照射し、X線感光性樹脂50の表層部を露光する。現像工程(図14(e))では、前記X線感光性樹脂50の非露光部分を除去することによって、樹脂壁56を形成するとともに、隣り合う樹脂壁56の先端同士を接続する膜状の架橋部55を形成する。架橋部除去工程(図14(f))では、前記架橋部55を除去する。X線吸収金属積層工程(図14(g))では、前記樹脂壁56と樹脂壁56との間の部分において、前記X線吸収金属部11に連なるように更にX線吸収金属部11を形成する。そして、前記X線吸収金属部11を、そのアスペクト比が1対5以上となるように形成する。
【0102】
この構成により、アスペクト比の高いX線吸収金属部11を備えた回折格子を製造することができ、特に振幅型回折格子の製造に好適である。
【0103】
また、第1実施形態の回折格子の製造方法においては、電解メッキ工程(図6(h))又はX線吸収金属積層工程(図14(g))の際に、金属シード層40又はX線吸収金属部11への電圧の印加を一時的に中断して、前記樹脂壁56と樹脂壁56との間の部分からメッキ溶液を流出させるポンピング工程を複数回繰り返すようにすることができる。
【0104】
また、前記電解メッキ工程(図6(h))またはX線吸収金属積層工程(図14(g))の際に、金属シード層40又はX線吸収金属部11に流れるメッキ電流を短時間極性反転するパルス波形とすることもできる。
【0105】
この方法を採用した場合、ヘルムホルツ電気二重層の発生を防ぎ、X線吸収金属部11の積層を樹脂のスリット形状の隙間に正確に埋め込むことができる。
【0106】
また、第1実施形態の回折格子の製造方法において、図6(e)の露光工程で使用される照射線はX線であり、X線マスク31の照射線吸収部はX線吸収部であり、照射線透過部はX線透過部であるように構成されている。
【0107】
このように波長の短いX線を使用するX線リソグラフィ法を行うことで、微細なパターンを備えた回折格子を製造することができる。
【0108】
また、第1実施形態の回折格子の製造方法は、前記X線吸収金属部11は、1μm以上10μm以下のスリット幅で構成される。
【0109】
これにより、X線吸収金属部11の周期をX線の可干渉距離より小さくできるので、有用なX線回折格子を提供することができる。
【0110】
また、第1実施形態の回折格子の製造方法において、図6(e)の露光工程で使用されるX線マスク31の前記X線吸収部(X線吸収部材32)は、厚みが10μm以下の金で形成されている。また、この露光工程において照射されるX線の強度が8000ドーズ以上である。なお、前記X線吸収部が同様に金で形成されているものの、その厚みが5μm以下の場合は、照射されるX線の強度が4000ドーズ以上であっても良い。
【0111】
これにより、前記架橋部35を確実に形成して、スティッキングを防止することができる。
【0112】
次に本発明の第2実施形態として、光学リソグラフィ法を用いた位相型回折格子及び振幅型回折格子の製造方法について説明する。図15及び図16は、基板から位相型回折格子を製造する工程を順に示した説明図である。
【0113】
この第2実施形態の製造方法は、紫外線リソグラフィを用いて樹脂壁及び架橋部を形成するという点で、前記第1実施形態の位相型回折格子の方法と相違する。図15(a)に示す基板6は、本実施形態ではガラス基板とされており、この上に金属シード層40及びネガ型の紫外線感光性樹脂80が形成される(図15(b)、図15(c))。その後、紫外線感光性樹脂80を固化するためのプリベークが行われる。
【0114】
次に、図15(d)に示すように、光学リソグラフィマスク(光学マスク)81を用いて光学リソグラフィを行う。この光学マスク81は、適宜のパターンを有する紫外線吸収部材82を紫外線透過部材87の一側の面に設けることにより、紫外線透過部と紫外線吸収部とを形成している。
【0115】
この紫外線吸収部材82は薄膜状に形成されており、微細なメッシュ状に形成されることで、照射される紫外線の一部を通過させるようになっている。一方、前記紫外線透過部材87は適宜のガラス基板によって形成されている。
【0116】
以上の構成により、図16(e)に示すように、前記紫外線透過部を通過した紫外線は紫外線感光性樹脂80を感光させる。一方で、紫外線吸収部(紫外線吸収部材82)を透過してきた紫外線は、その強度が通過前の1/50以上1/10以下となるように低下しており、従って、紫外線感光性樹脂80の表層部を感光させるに留まる。これによって、紫外線感光性樹脂80に、露光部分83と非露光部分84とが形成される。
【0117】
次に、図16(f)の現像工程によって非露光部分84が取り除かれ、この結果、樹脂壁86と、隣り合う樹脂壁86の先端同士を接続する架橋部85とが形成される。この現像工程の後、ポストベークが適宜行われ、更に図16(g)の架橋部除去工程においてO2アッシングが行われ、前記架橋部85が除去される。
【0118】
次に、図16(h)に示すように、金属シード層40を導体として電気メッキを行うことによって、樹脂壁86と樹脂壁86の間の部分にX線吸収金属部11を析出させる。このとき、前記第1実施形態と同様にポンピング工程を行ったり、メッキ電流をパルス波形とすることにより、X線吸収金属部11を円滑に析出させることができる。更に、図16(i)に示すように、不要な紫外線感光性樹脂80及び金属シード層40を適宜の方法で除去する。
【0119】
以上により、位相型回折格子10を製造することができる。なお、図16(e)と図17(f)の工程の間に、紫外線を短時間だけ全面照射し、紫外線感光性樹脂80の表層だけを感光させる工程(図17)を行うこともできる。
【0120】
次に図18及び図19を参照して、振幅型回折格子20の製造方法について説明する。この振幅型回折格子20は、上記の図15及び図16の工程(図17の工程を含む)を経て製造された回折格子から出発し、更に以下の工程を行うことで製造することができる。
【0121】
図18及び図19の工程は、前記第1実施形態の振幅型回折格子の製造方法と比較して、X線リソグラフィではなく紫外線による光学リソグラフィによって紫外線感光性樹脂90を選択的に感光させ、樹脂壁96と架橋部95を形成する点が異なる(図18(c)、図18(d)、及び図19(e)を参照)。
【0122】
その他の点は、図13及び図14に示す第1実施形態と実質的に同様であるので、詳細な説明を省略する。本実施形態は、前記X線吸収金属部11を紫外線リソグラフィマスクとして利用した樹脂壁96の形成、及び、樹脂壁96と樹脂壁96との間へのX線吸収金属部11の積層を必要な回数だけ繰り返すことで、アスペクト比の高い振幅型回折格子20を製造することができる。
【0123】
以上に示したように第2実施形態に示す回折格子の製造方法は、リソグラフィ法の照射線は紫外線であり、光学マスク81が備える照射線吸収部は紫外線吸収部であり、照射線透過部は紫外線透過部であるように構成されている。
【0124】
この製造方法により、スループットが高く、一般的に多く用いられる光学リソグラフィ法においても、樹脂壁のスティッキングを防止することができる。
【0125】
以上に本発明の好適な実施形態を説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。上記の構成は例えば、以下のように変更することができる。
【0126】
上記の第1実施形態及び第2実施形態ではX線吸収金属部11として金が用いられているが、この構成に代えて、前記X線吸収金属部を白金、金、銀、プラチナ、及びチタンから選択された1又は2以上の組合せよりなるように変更することもできる。
【0127】
上記第1実施形態では、感光性樹脂30,50にSU−8を用いているが、他の適宜のX線感光樹脂を用いることができる。また、感光性樹脂30が露光される際に用いたX線マスク31のX線吸収部材32は金で形成されているが、X線吸収性能の優れたもの、例えば白金、金、銀、プラチナ、及びチタンから選択された1又は2以上の組合せよりなるように変更することもできる。
【0128】
また、上記第1実施形態及び第2実施形態においては、まず金属シード層40を基板6に形成して、その上から感光性樹脂30を塗布するように形成されているが、この構成に代えて、基板6上に感光性樹脂30を直接形成して適宜の方法でX線吸収金属部を形成するようにすることもできる。
【0129】
また、上記実施形態において金属シード層40はクロムで形成されているが、これに代えて、例えば、銅、金、アルミニウム、チタン等に変更することができる。また、金属シード層40として、クロム、銅、金、アルミニウム、及びチタンから選択された2以上の組合せを用いることもできる。
【0130】
また、上記第1実施形態では、X線透過材37としてガラス基板を用いる例について説明したが、これに代えて、シリコン、石英ガラス、アルミナ等の基板に変更することができる。なお、このX線透過材37としては、比較的大きな面積にわたって高精度な鏡面加工を行うことが可能な基板材料であることが好ましい。同様に、上記第2実施形態における紫外線透過部材87としては、ガラス基板に代えて、石英ガラス、水晶等の基板に変更することができる。
【0131】
また、上記第1実施形態ではX線リソグラフィを用い、第2実施形態では光学リソグラフィを用いているが、この構成に代えて、電子線リソグラフィ等の他のリソグラフィ技術を適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】本発明に関わるX線タルボ干渉計を示す概念図。
【図2】X線タルボ干渉計で観測した3次元画像を示した図。
【図3】位相型回折格子の構造を示す模式図。
【図4】振幅型回折格子の構造を示す模式図。
【図5】X線リソグラフィを用いた位相型回折格子の製造工程の前半を説明する図。
【図6】X線リソグラフィを用いた位相型回折格子の製造工程の後半を説明する図。
【図7】図7(a)は、従来の製造方法で樹脂壁を形成した様子を示す顕微鏡写真。図7(b)は、第1実施形態の製造方法によって樹脂壁及び架橋部を形成した様子を示す顕微鏡写真。
【図8】図7(b)の状態から架橋部をO2アッシングによって除去した様子を示す顕微鏡写真。
【図9】現像工程後の水又は溶液の乾燥における超臨界乾燥条件を示すグラフ。
【図10】電解メッキ工程において用いられる電鋳装置の模式図。
【図11】電解メッキ工程における通電波形の例を示すグラフ。
【図12】図6(e)の露光工程後に行うことが可能な表層露光工程を説明する図。
【図13】X線リソグラフィを用いた振幅型回折格子の製造工程の前半を説明する図。
【図14】X線リソグラフィを用いた振幅型回折格子の製造工程の後半を説明する図。
【図15】光学リソグラフィを用いた位相型回折格子の製造工程の前半を説明する図。
【図16】光学リソグラフィを用いた位相型回折格子の製造工程の後半を説明する図。
【図17】図16(e)の露光工程後に行うことが可能な表層露光工程を説明する図。
【図18】光学リソグラフィを用いた振幅型回折格子の製造工程の前半を説明する図。
【図19】光学リソグラフィを用いた振幅型回折格子の製造工程の後半を説明する図。
【符号の説明】
【0133】
1 X線供給源
2 試料
3 スクリーン(画像検出部)
5 タルボ干渉像
6 基板
10 位相型回折格子
11 X線吸収金属部
20 振幅型回折格子
30 X線感光性樹脂(感光性樹脂)
31 X線マスク(マスク部)
32 X線吸収部材
33 露光部分
34 非露光部分
35 架橋部
36 樹脂壁
37 X線透過材
40 金属シード層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線タルボ干渉計に用いられる回折格子の製造方法において、
基板に形成されているネガ型の感光性樹脂に、照射線透過部と照射線吸収部とを備えるマスク部を用いて照射線を照射し、前記照射線透過部を通過した照射線、及び、前記照射線吸収部を通過することにより通過前の1/50以上1/10以下となるように強度が低下した照射線によって前記感光性樹脂を露光する露光工程と、
前記感光性樹脂の非露光部分を除去することによって、樹脂壁を形成するとともに、隣り合う前記樹脂壁の先端同士を接続する膜状の架橋部を形成する現像工程と、
前記架橋部を除去する架橋部除去工程と、
を含むことを特徴とする回折格子の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の回折格子の製造方法であって、
前記露光工程の後に、前記マスク部を取り除いた状態で前記感光性樹脂の表層部を照射線によって露光する表層露光工程を含むことを特徴とする回折格子の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の回折格子の製造方法であって、
前記架橋部除去工程において、前記架橋部はO2アッシングによって除去されることを特徴とする回折格子の製造方法。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の回折格子の製造方法であって、
前記架橋部除去工程の後に、
前記基板と前記感光性樹脂との間に介在される金属シード層に電圧を印加して、前記樹脂壁と樹脂壁との間にX線吸収金属部を電鋳法により形成する電解メッキ工程と、
前記樹脂壁を除去する樹脂壁除去工程と、
を含むことを特徴とする回折格子の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の回折格子の製造方法であって、
前記樹脂壁除去工程の後に、
前記X線吸収金属部を覆うように感光性樹脂を形成する樹脂形成工程と、
前記X線吸収金属部が形成されている側と反対の面から前記基板に照射線を照射し、当該基板を通過した照射線によって、前記X線吸収金属部をマスクとして用いて前記感光性樹脂を選択的に露光する選択露光工程と、
前記選択露光工程の場合と逆向きの照射線を前記感光性樹脂に照射し、前記感光性樹脂の表層部を露光する表層露光工程と、
前記感光性樹脂の非露光部分を除去することによって、樹脂壁を形成するとともに、隣り合う前記樹脂壁の先端同士を接続する膜状の架橋部を形成する現像工程と、
前記架橋部を除去する架橋部除去工程と、
前記樹脂壁と樹脂壁との間の部分において、前記X線吸収金属部に連なるように更にX線吸収金属部を電鋳法によって形成するX線吸収金属積層工程と、
を含み、
前記X線吸収金属部を、そのアスペクト比が1対5以上となるように形成することを特徴とする回折格子の製造方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の回折格子の製造方法であって、
前記電解メッキ工程又は前記X線吸収金属積層工程の少なくとも何れか一方において、前記金属シード層又はX線吸収金属部への電圧の印加を中断して、前記樹脂壁と樹脂壁の間の部分からメッキ溶液を流出させるポンピング工程を複数回繰り返すことを特徴とする回折格子の製造方法。
【請求項7】
請求項4又は5に記載の回折格子の製造方法であって、
前記電解メッキ工程又は前記X線吸収金属積層工程の少なくとも何れか一方において、前記金属シード層又はX線吸収金属部に流れる電流を、極性反転を繰り返すパルス波形とすることを特徴とする回折格子の製造方法。
【請求項8】
請求項4から7までの何れか一項に記載の回折格子の製造方法であって、
前記X線吸収金属部は、白金、金、銀、プラチナ、及びチタンから選択された1又は2以上の組合せよりなることを特徴とする回折格子の製造方法。
【請求項9】
請求項4から8までの何れか一項に記載の回折格子の製造方法であって、
前記X線吸収金属部を、隣り合うX線吸収金属部との間に幅が1μm以上10μm以下のスリット状の隙間を有するように形成することを特徴とする回折格子の製造方法。
【請求項10】
請求項4から9までの何れか一項に記載の回折格子の製造方法であって、
前記金属シード層は、クロム、銅、金、アルミニウム、及びチタンから選択された1又は2以上の組合せよりなることを特徴とする回折格子の製造方法。
【請求項11】
請求項1から10までの何れか一項に記載の回折格子の製造方法であって、
前記現像工程の後に超臨界乾燥条件下で乾燥する工程を含むことを特徴とする回折格子の製造方法。
【請求項12】
請求項1から11までの何れか一項に記載の回折格子の製造方法であって、
前記照射線は紫外線であり、前記照射線吸収部は紫外線吸収部であり、前記照射線透過部は紫外線透過部であることを特徴とする回折格子の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の回折格子の製造方法であって、
前記紫外線透過部はガラス、石英ガラス、水晶の少なくとも何れかであることを特徴とする回折格子の製造方法。
【請求項14】
請求項1から11までの何れか一項に記載の回折格子の製造方法であって、
前記照射線はX線であり、前記照射線吸収部はX線吸収部であり、前記照射線透過部はX線透過部であることを特徴とする回折格子の製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載の回折格子の製造方法であって、
前記X線吸収部は厚みが10μm以下となるように金で形成されており、照射されるX線の強度が8000ドーズ以上であることを特徴とする回折格子の製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載の回折格子の製造方法であって、
前記X線吸収部は厚みが5μm以下であり、照射されるX線の強度が4000ドーズ以上であることを特徴とする回折格子の製造方法。
【請求項17】
請求項14から16までの何れか一項に記載の回折格子の製造方法であって、
前記X線透過部は、シリコン、ガラス、石英ガラス、アルミナの少なくとも何れかであることを特徴とする回折格子の製造方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図2】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−169098(P2009−169098A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−7044(P2008−7044)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【出願人】(592216384)兵庫県 (258)
【Fターム(参考)】