説明

回路基板、半導体装置、回路基板の製造方法および半導体装置の製造方法

【課題】反りの発生を抑制できる回路基板を提供すること。
【解決手段】導電体が貫通する第一絶縁層21と、第一絶縁層21の一方の側に設けられ、導電体に接続された第一回路層22と、この第一回路層22を被覆するとともに、第一回路層22の一部を露出させるための開口が形成された第二絶縁層23と、第二絶縁層23の開口内に設けられ、開口から露出する第一回路層22の一部と接触する金属層27とを備え、金属層27は、第一回路層22側から、厚さが0μm以上、55μm以下の銅を含む金属層(a)271、厚さが2μm以上、15μm以下のニッケルを含む金属層(b)272、厚さが3μm以上、30μm以下の錫を含む金属層(c)273がこの順に構成されている回路基板1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板、半導体装置、回路基板の製造方法および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体チップ等を搭載する基板としては、様々なものが提案されている。たとえば、インターポーザ基板等が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−321990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、大きな回路基板を形成した後、複数の半導体チップをのせ、その後回路基板をダイシングして、個々の半導体装置を得るという製造方法が実施されている。このような製造方法において、回路基板と半導体チップとの半田接続において、均一に接続することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、導電体が貫通する第一絶縁層と、
前記第一絶縁層の一方の側に設けられ、前記導電体に接続された第一回路層と、
この第一回路層を被覆するとともに、第一回路層の一部を露出させるための開口が形成された第二絶縁層と、
前記第一絶縁層の他方の側に設けられ、前記導電体に接続された第二回路層と、
前記第二回路層を被覆する第三絶縁層と、
前記第二絶縁層の開口内に設けられ、前記開口から露出する前記第一回路層の一部と接触する金属層とを備え、
前記金属層は、前記第一回路層側から、銅を含む金属層(a)、ニッケルを含む金属層(b)、錫を含む金属層(c)がこの順に構成され、銅を含む金属層(a)の厚さは0μm以上、55μm以下であり、ニッケルを含む金属層(b)の厚さは2μm以上、15μm以下であり、錫を含む金属層(c)の厚さは3μm以上、30μm以下である回路基板を提供できる。
【0006】
この発明によれば、前記金属層を、前記第一回路層側から、銅を含む金属層(a)、ニッケルを含む金属層(b)、錫を含む金属層(c)がこの順に構成され、銅を含む金属層(a)の厚さは0μm以上、55μm以下であり、ニッケルを含む金属層(b)の厚さは2μm以上、15μm以下であり、錫を含む金属層(c)の厚さは3μm以上、30μm以下とすることで、半導体チップに設けられた接続部と確実に接続ができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、半導体チップとの接続が確実にできる回路基板が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態にかかる回路基板の断面図である。
【図2】回路基板の製造工程を示す断面図である。
【図3】回路基板の製造工程を示す断面図である。
【図4】回路基板の製造工程を示す断面図である。
【図5】回路基板の製造工程を示す断面図である。
【図6】回路基板上に半導体チップを搭載する工程を示す図である。
【図7】半導体装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
はじめに、図5を参照して、本実施形態の回路基板1の概要について説明する。
【0011】
本実施形態の回路基板1は、分割して複数の回路基板部として使用されるものである。
【0012】
基板2は、導電体20が貫通する第一絶縁層21と、第一絶縁層21の一方の側に設けられ、導電体20に接続された第一回路層22と、この第一回路層22を被覆するとともに、第一回路層22の一部上に開口が形成された第二絶縁層23と、第一絶縁層21の他方側に設けられ、導電体20に接続された第二回路層24と、第二回路層24を被覆する第三絶縁層25と、第二絶縁層23の開口内に設けられた金属層27とを備える。
【0013】
また、図1に示すように、フラックス機能を有する化合物を含む樹脂層3が、第二絶縁層23を被覆するとともに、金属層27上に設けられていてもよい。
【0014】
金属層27は、第一回路層22側から順に、銅を含む金属層(a)271、ニッケルを含む金属層(b)272、錫を含む金属層(c)273がこの順に構成されている。
【0015】
銅を含む金属層(a)271の厚さは0μm以上、55μm以下であり、ニッケルを含む金属層(b)272の厚さは2μm以上、15μm以下であり、錫を含む金属層(c)273の厚さは3μm以上、30μm以下である。
【0016】
次に、本実施形態の回路基板1について詳細に説明する。
(第一絶縁層21)
第一絶縁層21は、無機繊維基材を含んでいてもよい。無機繊維基材としては、例えばガラス繊布、ガラス不繊布等のガラス繊維基材、あるいはガラス以外の無機化合物を成分とする繊布又は不繊布等の無機繊維基材があげられる。これらのなかでも、プリント配線基板としたときの剛性の面からガラス織布繊維基材が好ましい。
【0017】
第一絶縁層21の樹脂を構成する材料としては、例えば、熱硬化性樹脂と、硬化剤とを含んでいることが好ましい。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、フェノール樹脂などを単独あるいは複数組合わせて用いることができる。エポキシ樹脂としては、特に限定はされないが、例えば、絶縁基板用として一般に使用されている、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等の臭素化型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアネートなどの複素環式エポキシ樹脂のほか、脂環式型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
【0018】
前記シアネート樹脂としては、例えばハロゲン化シアン化合物とフェノール類とを反応させ、必要に応じて加熱等の方法でプレポリマー化することにより得ることができる。具体的には、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂等を挙げることができる。これらの中でもノボラック型シアネート樹脂が好ましい。これにより、架橋密度増加による耐熱性向上と、樹脂組成物等の難燃性を向上することができる。
【0019】
硬化剤としては、特に限定はされないが、例えば、絶縁基板用として一般に使用されている、アミノ基を有する硬化剤であって、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、パラキシレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジシクロヘキサン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、メタキシリレンジアミン、パラキシレンナフタレン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、ジシアンジアミド、ジアミノジエチルジメチルフェニルメタンなどが用いられる。耐熱性、硬化性等の点で、好ましい硬化剤は、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ジシアンジアミド、ジアミノジエチルジメチルフェニルメタンである。これらのうち何種類かを併用しても良い。
【0020】
また、絶縁基板21には無機充填材を含んでいてもよい。例えばタルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、シリカ、溶融シリカ等の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素等の窒化物、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸塩等を挙げることができる。無機充填材として、これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、2種類以上を併用したりすることもできる。これらの中でも特に、水酸化アルミニウム、シリカが好ましく、溶融シリカ(特に球状溶融シリカ)が低熱膨張性に優れる点で好ましい。その形状は破砕状、球状があるが、基材への含浸性を確保するために樹脂組成物の溶融粘度を下げるには球状シリカを使う等、その目的にあわせた使用方法が採用される。無機充填材の含有量は、樹脂成分100重量部に対して、30重量部以上、70重量部以下であることが好ましく、さらに好ましくは40重量部以上、60重量部以下である。
【0021】
無機充填材の平均粒子径は、特に限定されないが、0.05〜10μmが好ましく、特に0.3〜5μmが好ましい。この平均粒子径は、例えば粒度分布計(HORIBA製、LA−500)により測定することができる。
【0022】
また、前記無機充填材は、特に限定されないが、平均粒子径が単分散の無機充填材を用いることもできるし、平均粒子径が多分散の無機充填材を用いることができる。さらに平均粒子径が単分散及び/または、多分散の無機充填材を1種類または2種類以上併用したりすることもできる。
【0023】
なお、第一絶縁層21として、以下のような樹脂フィルムを使用してよい。樹脂フィルムとしては、例えばポリイミド樹脂フィルム、ポリエーテルイミド樹脂フィルム、ポリアミドイミド樹脂フィルム等のポリイミド樹脂系樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム等のポリアミド樹脂系フィルム、ポリエステル樹脂フィルム等のポリエステル樹脂系フィルムが挙げられる。これら中でも主としてポリイミド樹脂系フィルムが好ましい。これにより、弾性率と耐熱性を特に向上することができる。
【0024】
以上のような第一絶縁層21の厚みは、30μm〜200μmが好ましく、より好ましくは40μm〜120μmである。
【0025】
また、第一絶縁層21内部を、導電体20が貫通している。導電体20は、金属、たとえば、銅のビアであり、第一絶縁層21の表裏面にそれぞれ設けられた第一回路層22、第二回路層24に接続されている。第一回路層22、第二回路層24は、ぞれぞれ、金属製の回路、たとえば、銅の回路である。
(第二絶縁層23,第三絶縁層25)
第二絶縁層23は、第一回路層22を被覆するとともに、第一回路層22の一部の上方に位置する部分に開口が形成されている。さらにこの開口内には、第一回路層22に接続された金属層27が配置されている。
【0026】
金属層27の厚さは高速信号対応する場合は電気的信頼性の面から85μm以下が好ましい。金属層27は第一回路層22側から順に、銅を含む金属層(a)271、ニッケルを含む金属層(b)272、錫を含む金属層(c)273がこの順に構成されている。
【0027】
銅を含む金属層(a)271の厚さは0μm以上、55μm以下であり、ニッケルを含む金属層(b)272の厚さは0μm以上、15μm以下であり、錫を含む金属層(c)273の厚さは3μm以上、30μm以下である。
また、錫を含む金属層(c)273は、フラックス機能を有する化合物を含む樹脂層3に接触していてもよい。
【0028】
錫を含む金属層(c)273が3μm以上であれば、チップ側の金バンプとの接合時に十分に濡れ広がり、接続面積を確保し、信頼性を維持するために好ましい。また、錫を含む金属層(c)273が30μm以下であれば、狭ピッチ回路において絶縁信頼性が低下しないので好ましい。次に、ニッケルを含む金属層(b)272の厚さが2μm以上であれば、半田接合時、錫を含む金属層(c)273への銅の拡散を防ぐことができる。また、生産性の面からニッケルを含む金属層(b)272の厚さは15μm以下が好ましい。
【0029】
銅を含む金属層(a)271の厚さは、第二絶縁層23の厚さによって決めることができる。第二絶縁層23の厚さとは、対応する第一回路層22の面からの高さをいう。ニッケルを含む金属層(b)272と錫を含む金属層(c)273の厚さの合計が、第二絶縁層23の厚さと同等であれば、銅を含む金属層(a)271は不要となる。一方、ニッケルを含む金属層(b)272と錫を含む金属層(c)273との厚さの合計よりも第二絶縁層23の厚さが厚い場合には、上述の三層の金属層の厚さが第二絶縁層23と略同じか突出するように銅を含む金属層(a)271を形成する。例えば、第二絶縁層23の厚さが20μmの場合、ニッケルを含む金属層(b)272の厚さが10μm、錫を含む金属層(c)273の厚さが10μmとなり、銅を含む金属層(a)271は不要となる。一方、第二絶縁層23の厚さが、60μmの場合、ニッケルを含む金属層(b)272の厚さを15μm、錫を含む金属層(c)273の厚さを15μmとしたとき、銅を含む金属層(a)271の厚さは30μmとなる。また、第二絶縁層23の厚さが15μmの場合、ニッケルを含む金属層(b)272の厚さを8μm、錫を含む金属層(c)273の厚さを7μmとしてもよいし、ニッケルを含む金属層(b)272の厚さを3μm、錫を含む金属層(c)273の厚さを7μm、銅を含む金属層(a)271の厚さを5μmとしてもよい。以上のように第二絶縁層23の厚さによって、銅を含む金属層(a)271の厚さと、ニッケルを含む金属層(b)272の厚さを変えることにより、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0030】
第三絶縁層25は、第二回路層24を被覆するとともに、第二回路層24の一部の上方に位置する部分に開口が形成されている。さらにこの開口内には、第二回路層24に接続された金属層28が形成されている。金属層28は、たとえば、金めっき層である。
【0031】
第二および第三絶縁層23、24の線膨張係数を等しくすることで、第二絶縁層23、第三絶縁層25が対称に配置され、回路基板1の反りの発生が抑制されることとなる。
【0032】
また、第二絶縁層23の厚み(T1)は、5μm以上、85μm以下であり、第三絶縁層25の厚み(T2)は、10μm以上、100μm以下であることが好ましい。
【0033】
ここで、第二絶縁層23の厚み(T1)と、第三絶縁層25との厚み(T2)は同じであってもよいが、第二絶縁層23の厚み(T1)と、第三絶縁層25との厚み(T2)とが異なることが好ましい。第二絶縁層23の厚み(T1)と、第三絶縁層25との厚み(T2)の比であるT1/T2は、1以上であることが好ましい。
【0034】
T1/T2を1以上とすることで反り抑制という効果がある。
【0035】
また、第一絶縁層21の表裏上に設けられた第一回路層22、第二回路層24のパターンの違いや、第二絶縁層23に形成された開口の割合、第三絶縁層25に形成された開口の割合の違いにより、回路基板1に反りが生じることがある。
【0036】
この反りの発生を抑制するために、第二絶縁層23、第三絶縁層25の厚みを異なるもの、特に、T1/T2を1以上、特に、異なる厚みとすることで、より、フラットな回路基板1を得ることができる。
【0037】
また、第二絶縁層23、第三絶縁層25の厚みは、第一絶縁層21よりも薄く、第一絶縁層21の厚みの1/10以上であることが好ましい。このようにすることで、反り抑制という効果がある。
【0038】
以上のような第二絶縁層23、第三絶縁層25は、プリプレグではなく、樹脂組成物からなるものであることが好ましい。第二絶縁層23、第三絶縁層25は、同じ材料で構成することができ、たとえば、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填材とする樹脂組成物で構成することができる。
【0039】
第二絶縁層23の樹脂を構成する材料としては、例えば、熱硬化性樹脂と、硬化剤とを含んでいることが好ましい。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、フェノール樹脂などを単独あるいは複数組合わせて用いることができる。エポキシ樹脂としては、特に限定はされないが、例えば、積層板用として一般に使用されている、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等の臭素化型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアネートなどの複素環式エポキシ樹脂のほか、脂環式型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
【0040】
前記シアネート樹脂としては、例えばハロゲン化シアン化合物とフェノール類とを反応させ、必要に応じて加熱等の方法でプレポリマー化することにより得ることができる。具体的には、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂等を挙げることができる。これらの中でもノボラック型シアネート樹脂が好ましい。これにより、架橋密度増加による耐熱性向上と、樹脂組成物等の難燃性を向上することができる。
【0041】
硬化剤としては、特に限定はされないが、例えば、積層板用として一般に使用されている、アミノ基を有する硬化剤であって、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、パラキシレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジシクロヘキサン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、メタキシリレンジアミン、パラキシレンナフタレン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、ジシアンジアミド、ジアミノジエチルジメチルフェニルメタンなどが用いられる。耐熱性、硬化性等の点で、好ましい硬化剤は、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ジシアンジアミド、ジアミノジエチルジメチルフェニルメタンである。これらのうち何種類かを併用しても良い。
【0042】
また、第二絶縁層23には無機充填材を含んでいてもよい。例えばタルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、シリカ、溶融シリカ等の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素等の窒化物、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸塩等を挙げることができる。無機充填材として、これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、2種類以上を併用したりすることもできる。これらの中でも特に、水酸化アルミニウム、シリカが好ましく、溶融シリカ(特に球状溶融シリカ)が低熱膨張性に優れる点で好ましい。その形状は破砕状、球状があるが、基材への含浸性を確保するために樹脂組成物の溶融粘度を下げるには球状シリカを使う等、その目的にあわせた使用方法が採用される。無機充填材の含有量は、樹脂成分100重量部に対して、30重量部以上、70重量部以下であることが好ましく、さらに好ましくは40重量部以上、60重量部以下である。
【0043】
無機充填材の平均粒子径は、特に限定されないが、0.05〜10μmが好ましく、特に0.3〜5μmが好ましい。この平均粒子径は、例えば粒度分布計(HORIBA製、LA−500)により測定することができる。
【0044】
また、前記無機充填材は、特に限定されないが、平均粒子径が単分散の無機充填材を用いることもできるし、平均粒子径が多分散の無機充填材を用いることができる。さらに平均粒子径が単分散及び/または、多分散の無機充填材を1種類または2種類以上併用したりすることもできる。
【0045】
第三絶縁層25としては、上述の第二絶縁層23に用いた樹脂を構成する材料とすることができる。第二絶縁層23と第三絶縁層25は同一の構成であってもよいし異なっていてもよい。さらに、第一絶縁層21とは、無機繊維基材を含まない以外は同一の樹脂構成であってもよいし異なっていてもよい。ここで、第一絶縁層21は、無機繊維基材に絶縁性の樹脂を含浸させて得られたものであってもよい。
【0046】
また、第二絶縁層23、第三絶縁層25は、たとえば、(h)感光性樹脂を必須成分とする樹脂組成物で構成することができる。
【0047】
このような樹脂組成物を使用することで、露光及び現像により、第二絶縁層23、第三絶縁層25の開口を容易にパターニングすることが出来る。
【0048】
前記(h)感光性樹脂は、特に限定されるものではなく、公知の感光性樹脂組成物を用いて形成することができる。前記(h)感光性樹脂は、ネガ型、ポジ型のどちらであっても良い。
【0049】
前記(h)感光性樹脂は、たとえば、アクリル樹脂などを含み、エポキシ変性アクリル樹脂などを用いることができる。また、アクリル樹脂などの光硬化性樹脂の他に、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂などを加えても良い。
【0050】
前記(h)感光性樹脂は、重合開始剤、増感剤、レベリング剤などを含んでも良い。また、シリカなどの充填剤を含んでいても良い。このとき、粒径サイズは、露光時の光の波長よりも小さいものが好ましい。
【0051】
また、前記(h)感光性樹脂としては、液状タイプ、または、フィルムタイプなどの形態を用いることができる。第一回路層22、第二回路層24への被覆性を考慮した場合、フィルムタイプを用いることが好ましい。
【0052】
液状タイプの場合は、スクリーン印刷法、コータ法など形成することができる。また、両面に回路層(第一回路層22、第二回路層24)が形成されている場合は、両面回路基板を液状レジスト中に浸漬することにより、両面同時に第二絶縁層23および第三絶縁層25を形成することも可能である。
【0053】
フィルムタイプの場合は、真空ラミネータなどを用いて形成することが出来る。
(フラックス機能を有する化合物を含む樹脂層3)
フラックス機能を有する化合物を含む樹脂層3は、第二絶縁層23を被覆するとともに、金属層27上に、錫を含む金属層(c)273に接触して設けられていてもよい。
【0054】
フラックス機能を有する化合物を含む樹脂層3は、硬化後の室温における弾性率が0.5GPa以上、15GPa以下であることが好ましい。なお、弾性率は、以下の方法で測定したものである。
【0055】
幅4mm×長さ45mm×厚み0.1mmのフィルム状の試験片を180℃、1時間で硬化させて作製させた後、周波数10Hz、3℃/分の昇温速度で0℃〜300℃の温度範囲で、動的粘弾性測定機(DMA)にて引っ張りモードで計測し、25℃における弾性率を算出した。
【0056】
フラックス機能を有する化合物を含む樹脂層3は、たとえば、1核体から3核体の合計の含有量が、30〜70%であるフェノール系ノボラック樹脂と、25℃で液状であるエポキシ樹脂と、フラックス機能を有する化合物と、成膜性樹脂と、を含むものであることが好ましい。
【0057】
前記フェノール系ノボラック樹脂としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、ビスフェノールF型ノボラック樹脂、ビスフェノールAF型ノボラック樹脂等が挙げられるが、接着フィルムの硬化物のガラス転移温度を効果的に高めることができ、また、アウトガスとなるフェノール系ノボラック樹脂の量を低減することができる、フェノールノボラッック樹脂、クレゾールノボラック樹脂が好ましい。
【0058】
前記フェノール系ノボラック樹脂の含有量は、特に限定されるわけではないが、樹脂層3中に3〜30重量%含まれることが好ましく、5〜25重量%含まれることが特に好ましい。前記フェノール系ノボラック樹脂の含有量を上記範囲とすることで、樹脂層3の硬化物のガラス転移温度を効果的に高めること、さらに、アウトガスとなるフェノール系ノボラック樹脂の量を効果的に低減することを両立することができる。
【0059】
前記1核体から3核体の合計の含有量が30%より小さい(4核体以上の合計の含有量が70%以上)場合、25℃で液状であるエポキシ樹脂との反応性が低下し、樹脂層3の硬化物中に未反応のフェノール系ノボラック樹脂が残留するため、樹脂層3が脆くなり作業性が低下してしまうといった問題が生じる。また、前記1核体から3核体の合計の含有量が70%より大きい(4核体以上の合計の含有量が30%以下)場合、樹脂層3を硬化させる際のアウトガス量が増大する可能性がある。さらに、樹脂層3のタック性が大きくなり過ぎる可能性もある。
【0060】
前記フェノール系ノボラック樹脂中の2核体と3核体の合計の含有量は、特に限定されるわけではないが、30〜70%であることが好ましい。上記下限値以上とすることで、樹脂層3を硬化させる際のアウトガス量が増大してしまうことを抑制できる。また。上記上限値以下とすることで、樹脂層3の柔軟性と屈曲性をより効果的に確保することができる。
【0061】
前記フェノール系ノボラック樹脂中の1核体の含有量は、特に限定されるわけではないが、樹脂層3中に1%以下であることが好ましく、0.8%以下であることが特に好ましい。前記1核体の含有量を、上記範囲とすることで、樹脂層3を硬化する際のアウトガス量を低減することができる。
【0062】
前記フェノール系ノボラック樹脂の重量平均分子量は、特に限定されるわけではないが、300〜1,500であることが好ましく、400〜1400であることが特に好ましい。上記下限値以上とすることで、樹脂層3を硬化させる際のアウトガス量を抑制できる。また。上記上限値以下とすることで、樹脂層3の柔軟性と屈曲性をより効果的に確保することができる。
【0063】
フラックス機能を有する化合物を含む樹脂層3は、25℃で液状であるエポキシ樹脂を含むことが好ましい。これにより、樹脂層3に柔軟性および屈曲性を付与することができる。
【0064】
25℃で液状であるエポキシ樹脂としては、特に限定されるものではないが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも、接着フィルムの支持体および被着体に対する密着性、さらに、接着フィルム硬化後の機械特性に優れる、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。
【0065】
また、前記25℃で液状であるエポキシ樹脂としては、より好ましくは、25℃における粘度が、500〜50,000mPa・sであるもの、さらに好ましくは、800〜40,000mPa・sであるものが挙げられる。25℃における粘度を上記下限値以上とすることで、樹脂層3の柔軟性と屈曲性を確保することができる。また、25℃における粘度を上記上限値以下とすることで樹脂層3のタック性が強くなり、ハンドリング性が低下することを防止することができる。
【0066】
また、前記25℃で液状であるエポキシ樹脂の含有量は、特に限定されるものではないが、10〜80重量%が好ましく、15〜75重量%が特に好ましい。上記下限値以上とすることで、樹脂層3の柔軟性と屈曲性をより効果的に発現させることができる。また、上記上限値以下とすることで、樹脂層3のタック性が強くなり、ハンドリング性が低下することをより効果的に防止することができる。
【0067】
フラックス機能を有する化合物としては、半田表面の酸化膜を除去する働きがあれば、特に限定されるものではないが、カルボキシル基又はフェノール性水酸基のいずれか、あるいは、カルボキシル基及びフェノール水酸基の両方を備える化合物が好ましい。
【0068】
フラックス機能を有する化合物の配合量は、1〜30重量%が好ましく、3〜20重量%が特に好ましい。フラックス機能を有する化合物の配合量が、上記範囲であることにより、フラックス活性を向上させることができるとともに、樹脂層3を硬化した際に、未反応の化合物が残存するのを防止することができ、耐マイグレーション性を向上することができる。
【0069】
また、エポキシ樹脂の硬化剤として作用する化合物の中には、フラックス機能を有する化合物が存在する(以下、このような化合物を、フラックス活性硬化剤とも記載する。)。例えば、エポキシ樹脂の硬化剤として作用する、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸等は、フラックス作用も有している。このような、フラックスとしても作用し、エポキシ樹脂の硬化剤としても作用するようなフラックス活性硬化剤を、好適に用いることができる。
【0070】
なお、カルボキシル基を備えるフラックス機能を有する化合物とは、分子中にカルボキシル基が1つ以上存在するものをいい、液状であっても固体であってもよい。また、フェノール性水酸基を備えるフラックス機能を有する化合物とは、分子中にフェノール性水酸基が1つ以上存在するものをいい、液状であっても固体であってもよい。また、カルボキシル基及びフェノール性水酸基を備えるフラックス機能を有する化合物とは、分子中にカルボキシル基及びフェノール性水酸基がそれぞれ1つ以上存在するものをいい、液状であっても固体であってもよい。
【0071】
これらのうち、カルボキシル基を備えるフラックス機能を有する化合物としては、脂肪族酸無水物、脂環式酸無水物、芳香族酸無水物、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等が挙げられる。
【0072】
前記カルボキシル基を備えるフラックス機能を有する化合物に係る脂肪族酸無水物としては、無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物等が挙げられる。
【0073】
前記カルボキシル基を備えるフラックス機能を有する化合物に係る脂環式酸無水物としては、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0074】
前記カルボキシル基を備えるフラックス機能を有する化合物に係る芳香族酸無水物としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート等が挙げられる。
【0075】
前記カルボキシル基を備えるフラックス機能を有する化合物に係る脂肪族カルボン酸としては、下記一般式(1)で示される化合物や、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、オレイン酸、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、琥珀酸等が挙げられる。
【0076】
HOOC−(CH−COOH (1)
(式(1)中、nは、1以上20以下の整数を表す。)
前記カルボキシル基を備えるフラックス機能を有する化合物に係る芳香族カルボン酸としては、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、プレーニト酸、ピロメリット酸、メリット酸、トリイル酸、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、トルイル酸、ケイ皮酸、サリチル酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、ゲンチジン酸(2,5−ジヒドロキシ安息香酸)、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、浸食子酸(3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸)、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸等のナフトエ酸誘導体、フェノールフタリン、ジフェノール酸等が挙げられる。
【0077】
これらの前記カルボキシル基を備えるフラックス機能を有する化合物のうち、フラックス機能を有する化合物が有する活性度、樹脂層3の硬化時におけるアウトガスの発生量、及び硬化後の樹脂層3の弾性率やガラス転移温度等のバランスが良い点で、前記一般式(1)で示される化合物が好ましい。そして、前記一般式(1)で示される化合物のうち、式(1)中のnが3〜10である化合物が、硬化後の樹脂層3における弾性率が増加するのを抑制することができるとともに、接着性を向上させることができる点で、特に好ましい。
【0078】
前記一般式(1)で示される化合物のうち、式(1)中のnが3〜10である化合物としては、例えば、n=3のグルタル酸(HOOC−(CH−COOH)、n=4のアジピン酸(HOOC−(CH−COOH)、n=5のピメリン酸(HOOC−(CH−COOH)、n=8のセバシン酸(HOOC−(CH−COOH)及びn=10のHOOC−(CH10−COOH−等が挙げられる。
【0079】
前記フェノール性水酸基を備えるフラックス機能を有する化合物としては、フェノール類が挙げられ、具体的には、例えば、フェノール、o−クレゾール、2,6−キシレノール、p−クレゾール、m−クレゾール、o−エチルフェノール、2,4−キシレノール、2,5キシレノール、m−エチルフェノール、2,3−キシレノール、メジトール、3,5−キシレノール、p−ターシャリブチルフェノール、カテコール、p−ターシャリアミルフェノール、レゾルシノール、p−オクチルフェノール、p−フェニルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAF、ビフェノール、ジアリルビスフェノールF、ジアリルビスフェノールA、トリスフェノール、テトラキスフェノール等のフェノール性水酸基を含有するモノマー類等が挙げられる。
【0080】
上述したようなカルボキシル基又はフェノール水酸基のいずれか、あるいは、カルボキシル基及びフェノール水酸基の両方を備える化合物は、エポキシ樹脂との反応で三次元的に取り込まれる。
【0081】
そのため、硬化後のエポキシ樹脂の三次元的なネットワークの形成を向上させるという観点からは、フラックス機能を有する化合物としては、フラックス作用を有し且つエポキシ樹脂の硬化剤として作用するフラックス活性硬化剤が好ましい。フラックス活性硬化剤としては、例えば、1分子中に、エポキシ樹脂に付加することができる2つ以上のフェノール性水酸基と、フラックス作用(還元作用)を示す芳香族に直接結合した1つ以上のカルボキシル基とを備える化合物が挙げられる。このようなフラックス活性硬化剤としては、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、ゲンチジン酸(2,5−ジヒドロキシ安息香酸)、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、没食子酸(3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸)等の安息香酸誘導体;1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,7−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸等のナフトエ酸誘導体;フェノールフタリン;及びジフェノール酸等が挙げられ、これらは1種単独又は2種以上を組み合わせでもよい。
【0082】
これらの中でも、半田表面の酸化膜を除去する効果とエポキシ樹脂との反応性に優れる、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、ゲンチジン酸、フェノールフタリンが好ましい。
【0083】
また、樹脂層3中、フラックス活性硬化剤の配合量は、1〜30重量%が好ましく、3〜20重量%が特に好ましい。樹脂層3中のフラックス活性硬化剤の配合量が、上記範囲であることにより、樹脂層3のフラックス活性を向上させることができるとともに、樹脂層3中に、エポキシ樹脂と未反応のフラックス活性硬化剤が残存するのが防止される。
【0084】
樹脂層3は、成膜性を向上するために成膜性樹脂を含むことが好ましい。これにより、フィルム状態にするのが容易となる。また、機械的特性にも優れる。
【0085】
前記成膜性樹脂としては、特に限定されるわけではないが、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、シロキサン変性ポリイミド樹脂、ポリブタジエン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、ポリアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、ナイロン等を挙げることができる。これらは、1種で用いても、2種以上を併用してもよい。中でも、(メタ)アクリル系樹脂、フェノキシ樹脂及びポリイミド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0086】
前記成膜性樹脂の含有量は、特に限定されないが、前記樹脂層3中の10〜50重量%が好ましく、15〜40重量%がより好ましく、特に20〜35重量%が好ましい。含有量が前記範囲内であると、樹脂層3の流動性を抑制することができ、樹脂層3の取り扱いが容易になる。
【0087】
また、前記樹脂層3は、硬化促進剤やシランカップリング剤を更に含んでもよい。
(第一の実施形態)
第一の実施形態である回路基板1は、次のようにして製造する。
【0088】
図2(A)に示すように、はじめに、表裏面に、金属膜41(たとえば、銅膜)が形成された第一絶縁層21を用意する。次に、図2(B)に示すように、一方の金属膜41および第一絶縁層21を貫通する孔211を形成する。一方の金属膜41を貫通する孔は、エッチングにより形成し、その後、第一絶縁層21を貫通する孔をレーザーで形成してもよい。
【0089】
なお、図2(C)に示すように、他方の金属膜41をも貫通する貫通孔211を形成してもよい。
【0090】
次に、金属膜41上および、第一絶縁層21の孔211内部に化学めっきを施す。その後、図3(A)に示すように、マスクMを配置し、孔211内部を充填するとともに、金属膜41上にめっきを施す。これにより、ビアとなる導電体20を形成するとともに、金属膜42を形成する(金属膜42は、金属膜41と金属膜41上のめっき膜を示す)。
【0091】
次に、マスクMが形成されていた部分の金属膜42をフラッシュエッチングにより除去し、図3(B)に示すように、第一回路層22、第二回路層24を形成する。
【0092】
その後、図4(A)に示すように、第一回路層22上に、シート状の第二絶縁層23を貼り付ける。
【0093】
また、第二回路層24上に、シート状の第三絶縁層25を貼り付ける。
【0094】
その後、シート状の第二絶縁層23、シート状の第三絶縁層25を加熱ラミネートして、フォトリソグラフィ工程により、パターニングを行った後、熱により完全硬化させる。
【0095】
次に、図4(B)に示すように、第二絶縁層23,第三絶縁層25それぞれに開口を形成する。第二絶縁層23にたとえば、UVレーザを照射し、第三絶縁層25に炭酸レーザーを照射して開口を形成することができる。
【0096】
その後、第二絶縁層23の開口内に、銅を含む金属層271、ニッケルを含む金属層272、錫を含む金属層273をこの順に形成し、第二絶縁層23の厚さに合わせて、銅を含む金属層271の厚さを0μm以上、55μm以下に、ニッケルを含む金属層272の厚さを2μm以上、15μm以下に、錫を含む金属層273の厚さを3μm以上、15μm以下になるよう、第三絶縁層25の開口内に金属層28を形成する。
【0097】
以上の工程により、回路基板1が完成する。
【0098】
次に、この回路基板1を使用した半導体装置の製造方法について説明する。
(位置決め仮接着)
まず、第二絶縁層23上に、フラックス機能を有する化合物を含む樹脂層3を圧着させる。
【0099】
図6に示すように、回路基板1上に複数の半導体素子(半導体チップ)5を設置する。複数の半導体素子5は、回路基板1の面方向に沿って並べられる。半導体素子5の電極51は、フラックス機能を有する化合物を含む樹脂層3を貫通し、金属層27と接触する。条件は特に限定されないが、25〜175℃、半導体素子5の1つの当たり0.5〜5kgfで電極51と金属層27の位置を合わせて仮接着する。
(接合)
その後、回路基板1および複数の半導体素子5からなる積層体を加熱して、電極51と金属層27とを半田接合させる。条件は特に限定されないが、200〜300℃×1〜60秒間、半導体素子5の1つの当たり0.1〜15kgfが好ましい。特に200〜230℃×5〜180秒間が好ましい。接合温度は金属層27の半田種の融点に依存し、荷重は接合する端子数に依存する。ここで、フラックス機能を有する化合物を含む樹脂層3を介して、電極51と金属層27を接合するので、金属層27の表面が酸化されるのを抑制しながら(表面酸化膜を除去しながら)半田を接続することができるようになる。
(硬化)
この積層体をさらに加熱することによりフラックス機能を有する化合物を含む樹脂層3を構成する樹脂を硬化させることが好ましい。
【0100】
この際の加熱条件は特に限定されないが、120〜200℃×30〜180分間が好ましく、これにより、フラックス機能を有する化合物を含む樹脂層3が硬化することにより、電極51と金属層27の間を封止し、接続信頼性を向上することができる。
なお、本実施の形態では、積層体を得た後、フラックス機能を有する化合物を含む樹脂層3を硬化させたが、これに限らず、フラックス機能を有する化合物を含む樹脂層3を硬化させた後に積層体を得る方法でも良い。
(樹脂封止)
得られた積層体に半導体素子5側から、エポキシ樹脂組成物を金型を用いて圧縮成形する。その後、取り出して乾燥機で硬化乾燥させる。この際の加熱条件は特に限定されないが、圧縮成形は厚み30〜300μm、120〜200℃×1〜5分間、硬化は120〜200℃×3〜5時間が好ましく、これにより、積層体を封止し、信頼性を確保することができる。
(半田ボール搭載)
さらに、回路基板1の金属層28上に半田ボールを形成する。これにより、他の基板等への2次実装が容易となる。
半田ボールを付与する方法としては、例えばメッキ法、ペースト印刷法、ボール搭載法が挙げられる。
(ダイシング)
次に、図7(A)に示すように、回路基板1を分割し、一つの半導体素子5と、分割された一つの回路基板1(以下回路基板部10ということもある)とで構成される複数の半導体装置6を得る。
【0101】
分割する際には、半田ボールが付与されているのと反対側の面にダイシングシートを付与してダイシングを行う。
この半導体装置は、図7(B)に示すように、回路基板部10の側面と、半導体素子5の側面とがつらいちとなる。
なお、ダイシングする前に、積層体の半田ボールが付与されている側の面にフラックス機能を有する化合物を含む樹脂層を配置しておくことが好ましい。これにより、2次実装での半田接続が容易となると共に、フラックス処理を省略することができ、生産性や温度サイクル性、落下試験等の2次実装後の信頼性を向上させることができる。
ここで、使用するダイシングシートは市販されているものをそのまま用いることができる。
【0102】
(第二の実施形態)
第二の実施形態は、第二絶縁膜23、第三絶縁膜25において感光性樹脂を用いる点を除いて、第1の実施形態と同様である。
【0103】
ここで、第一の実施形態と同様にして、図3(B)に示すように、第一回路層22、第二回路層24が、形成されている。
【0104】
その後、真空ラミネータを用い、第一回路層22が形成された側の回路基板1の全面に、第二絶縁膜23となるフィルムタイプの感光性樹脂をラミネートする。
【0105】
次いで、所定の開口を得るようにフォトマスクを位置調整し、露光する。
【0106】
次いで、アルカリ水溶液などの現像液に浸漬し、現像する。これにより、図8(A)に示すように、第二絶縁膜23に開口を形成する。
【0107】
次いで、用いた感光性樹脂に応じて、適宜、加熱して、硬化させる。
【0108】
同様にして、図8(B)に示すように、第二回路層24が形成された側に、第三絶縁膜25を形成する。
【0109】
また、所望する開口の径が感光性樹脂の解像度よりも小さくなる場合においては、加熱して、硬化させた後に第1の実施形態と同じく、第二絶縁層23にたとえば、UVレーザを照射し、第三絶縁層25に炭酸レーザーを照射して開口を形成することができる。
【0110】
以下、第一の実施形態と同様の方法により、半導体装置6を得る。
【0111】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0112】
たとえば、前記実施形態では、第二絶縁層、第三絶縁層は、単層であったが、これに限らず、第二絶縁層や第三絶縁層が複数の層で構成されていてもよい。
【実施例1】
【0113】
次に、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
前記実施形態と同様の方法で回路基板を製造した。
(第一絶縁層)
以下のようにして第一絶縁層を作製した。30μmのガラス繊維基材にエポキシ樹脂組成物を含浸し硬化させた厚さ40μmの第一絶縁層とした。次に、第一絶縁層の両面側に、金属層として厚さ2μmの銅箔(銅箔は18μのピーラブル箔付き)を形成して厚みが44μmの積層板を作成した。
【0114】
その後、レーザー加工面にサブトラクティブ法にてコンフォーマルマスクを形成してCOレーザーにより銅張りの積層板に非貫通穴を形成し、電気銅めっきにて銅張りの積層板の非貫通孔内を銅めっきで充填させるとともに、回路パターン形成を行い、第一回路層および第二回路層を形成した。
(第二絶縁層および第三絶縁層)
前記第一絶縁層上の第一回路及び第二回路に回路粗化・有機皮膜形成処理を行い、熱硬化性樹脂(厚み25μm)をラミネートして完全硬化させて第二絶縁層及び第三絶縁層を形成した(回路上から絶縁樹脂表面の厚みは20μm)。その後、第二絶縁層はUVレーザーによりブラインドビアを形成してプラズマデスミア処理を行った。第三絶縁層はCO2レーザーにてブラインドビア形成・プラズマデスミア処理を行い、無電解Ni、Auめっきを行った。その後、プラズマデスミア後の第二絶縁層の開口部に電気メッキにて銅12μ、Ni3μ、半田10μmの半田バンプ層を形成した。
(フラックス機能を有する化合物を含む樹脂層)
フェノールノボラック樹脂(住友ベークライト社製、PR55617)15.0重量部と、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業社製、EPICLON−840S)45.0重量部と、フラックス活性化合物であるフェノールフタリン(東京化成工業社製)15.0重量部と、成膜性樹脂としてビスフェノールA型フェノキシ樹脂(東都化成社製、YP−50)24.4重量部と、硬化促進剤として2―フェニルー4−メチルイミダゾール(四国化成工業社製、2P4MZ)0.1重量部と、シランカップリング剤としてβ−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM−303)0.5重量部とを、メチルエチルケトンに溶解し、樹脂濃度50%の樹脂ワニスを調製した。得られた樹脂ワニスを、基材ポリエステルフィルム(東レ株式会社製、ルミラー)に厚さ50μmとなるように塗布して、100℃、5分間乾燥して、厚さ25μmのフラックス活性を有する接着フィルムを得た。
(回路基板)
第二絶縁層を第一回路層側に、第三絶縁層を第二回路層側に真空ラミネータにてラミネートし、硬化させた後、UVレーザーにて第二絶縁層に開口部を形成し、銅、ニッケル、はんだめっきを施し、また、COレーザーにて第三絶縁層に開口部を形成し、ニッケル、金めっきを施した。その後、フラックス機能を有する化合物を含む樹脂層を真空ラミネータにてラミネートした。次に、50mm×50mmの大きさに切断し、プリント配線基板を得た。
(半導体装置の製造)
半導体素子(TEGチップ、サイズ15mm×15mm、厚み0.8mm)は、半田バンプをSn/Ag組成の共晶で形成し、回路保護膜をポジ型感光性樹脂(住友ベークライト社製CRC−8300)で形成したものを使用した。半導体装置の組み立ては、まず、半田バンプにフラックス材を転写法により均一に塗布し、次にフリップチップボンダー装置を用い、上記パッケージ基板上に加熱圧着により搭載した。次に、IRリフロー炉で半田バンプを溶融接合した後、液状封止樹脂(住友ベークライト社製、CRP−4152S)を充填し、液状封止樹脂を硬化させることで半導体装置を得た。尚、液状封止樹脂は、温度150℃、120分の条件で硬化させた。
【0115】
作成した半導体装置にもちいたプリント配線基板の各構成は表1に示すとおりである。各実施例および比較例により得られた半導体装置について、次の各評価を行った。各評価を、評価方法と共に以下に示す。得られた結果を表1に示す。
【0116】
なお、実施例5は、第二絶縁層および第三絶縁層として感光性レジスト(厚み25μm)をラミネートして、フォトリソグラフィによるパターニング、熱による完全硬化工程を経て、第二絶縁層及び第三絶縁層を形成した以外は実施例1と同様の方法でプリント配線基板を作成した。
【0117】
【表1】

【0118】
1.評価方法
(1)チップ接合後、温度サイクル試験
試験条件として、温度サイクル(−55℃〜125℃)、保持時間10分、温度変更時間20分の条件下で、温度サイクル試験機を用いて、1,000サイクルを導通抵抗確認した。各水準10ずつ投入し、試験合格数/投入数で評価した。
【0119】
表1から明らかなように、実施例1〜5、チップ接合後の評価試験にて温度サイクル試験で投入した10枚すべてが良品であった。それに対して、ニッケルを含む金属層(b)が形成されていない比較例1は、温度サイクル試験1000サイクル後はすべて不良に、ニッケルを含む金属層(b)の厚さが1μmと薄い場合には4/10が不良に、また、錫を含む金属層(c)が1μmと薄い場合、チップとの接続が不十分であったため8/10が不良であった。
【符号の説明】
【0120】
1 回路基板
2 基板
3 樹脂層
5 半導体素子
6 半導体装置
10 回路基板部
20 導電体
21 第一絶縁層
22 第一回路層
23 第二絶縁層
24 第二回路層
25 第三絶縁層
27 金属層
28 金属層
41 金属膜
42 金属膜
51 電極
211 孔
271 銅を含む金属層
272 ニッケルを含む金属層
273 錫を含む金属層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電体が貫通する第一絶縁層と、
前記第一絶縁層の一方の側に設けられ、前記導電体に接続された第一回路層と、
この第一回路層を被覆するとともに、第一回路層の一部を露出させるための開口が形成された第二絶縁層と、
前記第一絶縁層の他方の側に設けられ、前記導電体に接続された第二回路層と、
前記第二回路層を被覆する第三絶縁層と、
前記第二絶縁層の開口内に設けられ、前記開口から露出する前記第一回路層の一部と接触する金属層とを備え、
前記金属層は、前記第一回路層側から、銅を含む金属層(a)、ニッケルを含む金属層(b)、錫を含む金属層(c)がこの順に構成され、銅を含む金属層(a)の厚さは0以上、55μm以下であり、ニッケルを含む金属層(b)の厚さは2μm以上、15μm以下であり、錫を含む金属層(c)の厚さは3μm以上、30μm以下であることを特徴とする回路基板。
【請求項2】
フラックス活性化合物を含む樹脂層は、前記第二絶縁層を被覆するとともに、前記金属層上に設けられている請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記第一回路層面から前記第二絶縁層表面までの厚さが3μm以上である請求項1または2に記載の回路基板。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の回路基板を複数備えた基板であり、
当該基板を分割することで、前記回路基板を複数得るための回路基板。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の回路基板において、
前記第二絶縁層および前記第三絶縁層はそれぞれ、感光性樹脂を含む回路基板。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の回路基板と、
この回路基板上に積層され、前記回路基板の基板面側からみて前記回路基板と略同じサイズである半導体チップとを有し、
前記回路基板の側面と、前記半導体チップの側面とがつらいちである半導体装置。
【請求項7】
内部に導電体が貫通するとともに、一方の面側に前記導電体に接続された第一回路層が設けられ、他方の面側に前記導電体に接続された第二回路層が設けられた第一絶縁層を用意する工程と、
前記第一回路層を被覆する第二絶縁層を設ける工程と、
前記第二回路層を被覆する第三絶縁層を設ける工程と、
前記第二絶縁層に前記第一回路層の一部が露出する開口を形成する工程と、
前記開口内に、前記第一回路層の一部と接触する金属層を設ける工程とを含み、
前記金属層は、前記第一回路層側から、銅を含む金属層(a)、ニッケルを含む金属層(b)、錫を含む金属層(c)がこの順に構成され、銅を含む金属層(a)の厚さは0以上、55μm以下であり、ニッケルを含む金属層(b)の厚さは2μm以上、15μm以下であり、錫を含む金属層(c)の厚さは3μm以上、30μm以下であることを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の回路基板の製造方法を含み、
フラックス活性化合物を含む樹脂層上に複数の半導体チップを配置する工程と、
前記回路基板を固片化して、半導体チップと、固片化した前記回路基板とを備える半導体装置を得る工程とを含む半導体装置の製造方法。

【図2】
image rotate

【図5】
image rotate

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−222943(P2011−222943A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238475(P2010−238475)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】