回路基板の端子接続構造
【課題】 複数のコネクタ端子を同一の回路パターンに並列に接続する構造において、各コネクタ端子に流れる電流の不均一を抑制することを課題とする。
【解決手段】 コネクタ1から引き出された複数の引出端子9が接続される回路基板3の端子接続構造において、回路基板3は、回路パターン19a、bに接続された複数の第1電極21a、bと、第1電極a、bに対向して形成され引出端子9がそれぞれ接続される複数の第2電極23a、bを有してなり、同一の回路パターン19a、bに並列に接続された第1電極21a、bを第2電極23a、bにそれぞれ調整抵抗5を介して接続することで、各コネクタ端子の抵抗のばらつきを低減でき、各コネクタ端子に流れる電流の不均一を低減できる。
【解決手段】 コネクタ1から引き出された複数の引出端子9が接続される回路基板3の端子接続構造において、回路基板3は、回路パターン19a、bに接続された複数の第1電極21a、bと、第1電極a、bに対向して形成され引出端子9がそれぞれ接続される複数の第2電極23a、bを有してなり、同一の回路パターン19a、bに並列に接続された第1電極21a、bを第2電極23a、bにそれぞれ調整抵抗5を介して接続することで、各コネクタ端子の抵抗のばらつきを低減でき、各コネクタ端子に流れる電流の不均一を低減できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板の端子接続構造に係り、特に、回路基板に形成された同一の回路パターンにコネクタから引き出された複数の引出端子が並列に接続される回路基板の端子接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、複数の端子を収容したコネクタを基板に取り付け、コネクタから引き出された端子の先端を、プリント基板のスルーホールにそれぞれ挿入して半田付けし、プリント基板の裏面側に形成された回路に端子を接続することが記載されている。また、コネクタの端子の後端側には、電線が圧接されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−184481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コネクタ端子に大電流を流したい場合は、コネクタ端子や電線などが太くなるという問題があるから、細いコネクタ端子を複数並列に接続して大電流を流すことが考えられている。
【0005】
しかし、特許文献1に記載の技術をそのまま適用して、回路基板に形成された同一の回路パターンにコネクタ端子を複数並列に接続すると、各コネクタ端子に係る抵抗の違いによって、各コネクタ端子に流れる電流が不均一になる場合がある。例えば、コネクタ端子と電線の加締部、又は雄型コネクタと雌形コネクタを嵌合させた場合のコネクタ端子同士の接触部の電気抵抗のばらつきに起因して、各コネクタ端子の抵抗がばらつくことがある。各コネクタ端子の抵抗がばらつくと、並列接続された各コネクタ端子に流れる電流が不均一になり、抵抗の小さなコネクタ端子に許容電流を超える電流が流れるおそれがある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、複数のコネクタ端子を同一の回路パターンに並列に接続する構造において、各コネクタ端子に流れる電流の不均一を抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は、コネクタから引き出された複数の引出端子が接続される回路基板の端子接続構造において、回路基板は、回路パターンに接続された複数の第1電極と、第1電極に対向して形成され引出端子がそれぞれ接続される複数の第2電極を有してなり、同一の回路パターンに並列に接続された第1電極は第2電極にそれぞれ調整抵抗を介して接続されていることを特徴とする。
【0008】
これによれば、並列接続された各コネクタ端子の抵抗を、調整抵抗の分だけ大きくできるから、各コネクタ端子の抵抗のばらつきを相対的に小さくでき、各コネクタ端子に流れる電流の不均一を抑制できる。その結果、細いコネクタ端子を複数並列に接続して大電流を流しても、各コネクタ端子に流れる電流を許容電流以下にできる。
【0009】
すなわち、調整抵抗の抵抗値を、並列接続された各コネクタ端子に流れる電流の不均一を抑制して、各コネクタ端子に流れる電流を許容電流以下にできるように調整することが好ましい。
【0010】
また、複数の調整抵抗を保持する取付部材を設け、取付部材を回路基板に取り付けて調整抵抗を接続することが好ましい。これによれば、回路基板に複数の調整抵抗をまとめて接続できるので、複数の調整抵抗を簡単に接続できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数のコネクタ端子を同一の回路パターンに並列に接続する構造において、各コネクタ端子に流れる電流の不均一を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態1の回路基板の端子接続構造の斜視図である。
【図2】図1の回路基板の端子接続構造を反対側から見た分解図である。
【図3】(a)は図2の回路基板を示す斜視図であり、(b)は(a)における範囲Aの拡大図である。
【図4】(a)は図3の回路基板に調整抵抗が接続された状態を示す斜視図であり、(b)は(a)における範囲Bの拡大図である。
【図5】(a)複数のコネクタ端子が単に並列接続された場合の等価回路図であり、(b)は本発明の調整抵抗を介して複数のコネクタ端子を並列接続した場合の等価回路図である。
【図6】実施形態2の回路基板の端子接続構造の斜視図である。
【図7】図6の回路基板の端子接続構造を反対側から見た分解図である。
【図8】取付部材と調整抵抗の関係を示す斜視図である。
【図9】(a)は取付部材の上面図であり、(b)は(a)の線A−Aにおける断面図であり、(c)は(a)の線B−Bにおける断面図である。
【図10】(a)は図7の回路基板を示す斜視図であり、(b)は(a)における範囲Aの拡大図である。
【図11】(a)は図10の回路基板に取付部材が取り付けられた状態を示す斜視図であり、(b)は(a)における範囲Bの拡大図である。
【図12】実施形態2の変形例を示す斜視図である。
【図13】(a)は実施形態2の変形例を示す斜視図であり、(b)は(a)の分解図である。
【図14】(a)は3つの調整抵抗が保持される取付部材の斜視図であり、(b)は4つの調整抵抗が保持される取付部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施の形態に基づいて説明する。
(実施形態1)
図1乃至4に示すように、実施形態1の回路基板の端子接続構造は、複数のコネクタ端子が収容されたコネクタ1と、回路パターンが形成された回路基板3と、調整抵抗5により構成されている。
【0014】
コネクタ1は、挿入口7を有するコネクタであり、自動車のワイヤーハーネスなどの電線が接続されたコネクタと嵌合接続できるようになっている。コネクタ1内には、図示していない複数のコネクタ端子が設けられている。コネクタ端子は雄型又は雌型であり、接続される相手方のコネクタに設けられた雌型又は雄型のコネクタ端子と電気的に接続できるようになっている。コネクタ1の挿入口7と対向する面には、コネクタ1からコネクタ端子を引き出して形成された引出端子9が設けられている。引出端子9はL字形に形成され、複数の長い引出端子10の内側に複数の短い引出端子11が平行に配置され、2段の引出端子9が形成されている。コネクタ1の挿入口7側の側面には、一対の固定部13が設けられている。各固定部13には、ねじ穴15が設けられている。コネクタ1の底面には、回路基板3に当接する凸部17が形成され、コネクタ1と回路基板3との間に隙間ができるようになっている。
【0015】
回路基板3は、例えば、プリント基板であり、回路基板の表面には、端子接続部18a、bが形成されている。端子接続部18a、bには、回路パターン19a、bが形成されている。回路パターン19a、bは、回路基板3の表面又は裏面に形成される図示していない回路パターンに周知の手段で接続されるようになっている。回路パターン19a、bには、それぞれ複数の第1電極21a、bが並列に接続されている。第1電極21a、bと対向する位置には、第1電極21a、bと間隔を空けて第2電極23a、bが複数形成されている。各第2電極23a、bには、それぞれ引出端子9が接続されるスルーホール25a、bが接続されている。回路基板3には、2つの穴27が形成されている。
【0016】
各第1電極a、bと各第2電極a、bに接続される各調整抵抗5は、第1電極21a、bと第2電極23a、bに、例えば、クリーム半田で半田付けされるようになっている。各調整抵抗5の抵抗値は、並列接続された各コネクタ端子に流れる電流の不均一を抑制して、各コネクタ端子に流れる電流を許容電流以下にできるように調整されている。なお、複数の調整抵抗5は、全て同一の抵抗値、又は、それぞれ異なる抵抗値に調整できる。
【0017】
次に、実施形態1の回路基板の端子接続構造を説明する。回路基板3の穴27に挿入されたねじ29と、コネクタ1のねじ穴15を螺合してコネクタ1は回路基板3に固定されている。コネクタ1と回路基板3の間に凸部17の分だけ隙間が形成されている。複数の引出端子10は、端子接続部18aのスルーホール25aに挿入され、それぞれ半田付けされている。複数の引出端子11は、端子接続部18bのスルーホール25bに挿入され、それぞれ半田付けされている。調整抵抗5は、各第1電極21a、bと各第2電極23a、bにわたして半田付けにより接続されている。これにより、複数の引出端子10、11が、調整抵抗5を介して回路パターン19a、bにそれぞれ並列に接続されている。
【0018】
ここで、実施形態1の作用を図5を用いて説明する。図5は3つのコネクタ端子を並列に接続した例であり、(a)は3つのコネクタ端子を単に並列接続した等価回路図であり、(b)は3つのコネクタ端子を調整抵抗5を介して並列接続した等価回路図である。図中のRo1、Ro2 Ro3はコネクタ端子の抵抗であり、Rfは調整抵抗5であり、Ior1、Ior2、Ior3はコネクタ端子に流れる電流である。
【0019】
コネクタ端子と電線の加締部やコネクタ端子同士の接触部に起因して、コネクタ端子の抵抗がばらつくことがある。例えば、コネクタ端子と電線の接触面積が大きいと抵抗は小さくなり、接触面積が小さいと抵抗は大きくなる。この抵抗のばらつきにより、各コネクタ端子に流れる電流が不均一になり、抵抗の小さなコネクタ端子に許容電流を超える電流が流れることがある。
【0020】
例えば、コネクタ端子の抵抗がRo1=0.1Ω、Ro2=0.2Ω、Ro3=0.3Ωの場合に、電圧を一定にして回路全体に11Aの電流を流すと、I(電流)=V(電圧)/R(抵抗)により、各コネクタ端子に流れる電流は、Ior1=6A、Ior2=3A、Ior3=2Aとなる。コネクタ端子の許容電流が5Aの場合、コネクタ端子Ro1に許容電流を超える電流が流れることになる。
【0021】
しかし、図5(b)のように、抵抗が0.5Ωの調整抵抗Rfを各コネクタ端子に直列に接続すると、各コネクタ端子における抵抗に調整抵抗Rfの抵抗が加わり、各コネクタ端子における抵抗は、Ro1=0.6Ω、Ro2=0.7Ω、Ro3=0.8Ωになる。この場合、各コネクタ端子に流れる電流は、Ior1=4.22A、Ior2=3.61A、Ior3=3.16Aとなり、全てのコネクタ端子は許容電流以下となる。
【0022】
この原理を説明すると、並列回路における各回路の電流値は、各回路の抵抗比に相関するから、各回路の抵抗比が小さくなれば、各回路に流れる電流の不均一を低減できる。ここで、調整抵抗Rfを全ての回路に直列に接続すると、調整抵抗Rfの分だけ各回路の抵抗値が大きくなる。調整抵抗Rfの抵抗値がコネクタ端子の抵抗比に比べて大きければ、各回路の抵抗比は調整抵抗Rfの抵抗比に近づく。つまり、並列接続された各コネクタ端子に同じ抵抗値の調整抵抗Rfを接続すると、各コネクタ端子の抵抗比が小さくなり、各コネクタ端子に流れる電流の差が小さくなる。
【0023】
これによれば、並列接続された各コネクタ端子の抵抗のばらつきを、調整抵抗5で相対的に小さくできるから、各コネクタ端子に流れる電流の不均一を抑制できる。その結果、細いコネクタ端子を並列に接続して大電流を流しても、各コネクタ端子に流れる電流を許容電流以下にできる。
【0024】
すなわち、調整抵抗5の抵抗値を、並列接続された各コネクタ端子に流れる電流の不均一を抑制して、各コネクタ端子に流れる電流を許容電流以下にできるように調整する。例えば、各コネクタ端子の抵抗値を実測し、全てのコネクタ端子の抵抗値より大きくなるように、調整抵抗5の抵抗値を調整する。
【0025】
なお、第1電極21a、b及び第2電極23a、bを介して全てのコネクタ端子が回路パターン19a、bに並列接続されているが、これに限定されるものではない。回路パターン19a、bを分断して、コネクタ端子の並列接続の数を適宜選択できる。
【0026】
また、実施形態1は、全てのコネクタ端子に調整抵抗5を接続したが、一部のコネクタ端子のみに調整抵抗5を接続することができる。要は、各コネクタ端子に流れる電流が許容電流以下になるように、調整抵抗5の抵抗値を調整すればよい。
【0027】
また、各コネクタ端子の抵抗のばらつきが小さい場合は、第1電極21a、bと第2電極23a、bを調整抵抗5に代えて抵抗の小さな配線でそれぞれ直接接続することができる。
【0028】
また、各コネクタ端子の材質を抵抗値の大きなものに変更することで、各コネクタ端子の抵抗のばらつきを低減することができる。この場合、調整抵抗5は不要であり、第1電極21a、bと第2電極a、bを直接接続、又は、一体に形成することができる。
【0029】
(実施形態2)
実施形態2の回路基板の端子接続構造を図6乃至図9を用いて説明する。実施形態実施形態2が実施形態1と相違する点は、複数の調整抵抗5を保持する取付部材35を設け、取付部材35を回路基板3に取り付けて調整抵抗5を接続している点である。その他の構成は、実施形態1と同一であるから同一の符号を付して説明を省略する。
【0030】
取付部材35には、調整抵抗5を収容して保持できる複数の空洞37と、取付部材35を回路基板3の取付部45a、bに取り付けできる一対の固定部材39が形成されている。取付部材35の上面には、各空洞37に連通する穴41が形成されている。これにより、各空洞37に調整抵抗5が実装されたか否かを検知できる。各空洞37の外面には凹部43が形成され、凹部43に引出端子9が位置するようになっている。
【0031】
空洞37の奥行きは、調整抵抗5の高さより小さく形成され、空洞37の下端から調整抵抗5の下部が突出するようになっている。これにより、取付部材35を回路基板3に取り付けた際に、調整抵抗5が第1電極21a、bと第2電極23a、bに当接して接続できるようになっている。固定部材39は、取付部材35の図示していない取付穴などに挿入固定され、先端を取付部材35の外側に延在させて形成されている。
【0032】
次に、実施形態2の回路基板の端子接続構造を説明する。回路基板3の各端子接続部18a、bの両端には、図10(a)、(b)に示すように固定部材39が取り付けられる取付部45a、bが形成されている。図11(a)、(b)に示すように固定部材39と取付部45a、bは、例えば、リフロー半田処理で半田付けされ、回路基板3に取付部材35が取り付けられる。この際、各調整抵抗5も第1電極21a、bと第2電極23a、bに、それぞれ半田付けされる。回路基板3に固定されたコネクタ1の、複数の引出端子9は、スルーホール25a、bに挿入され、例えば、フロー半田処理でそれぞれ半田付けされている。
【0033】
これによれば、取付部材35を回路基板3に取り付けることで、複数の調整抵抗5をまとめて接続できるので、各第1電極21a、b及び各第2電極23a、bに各調整抵抗5を簡単に接続できる。
【0034】
なお、実施形態2は、端子接続部18a、bそれぞれに取付部材35を設けているが、図12に示すように、一方の端子接続部18aのみに取付部材35を設けて、他方の端子接続部18bは調整抵抗5を個別に接続することができる。
【0035】
また、図13(a)、(b)に示すように、1つの回路基板3に複数のコネクタ1を接続する場合は、各コネクタ1の引出端子9の数に合わせた空洞37を有する取付部材35を設けて、調整抵抗5を接続することができる。例えば、引出端子9が3本のコネクタ51側には、図14(a)に示す3つの調整抵抗5が保持される取付部材53を取り付け、引出端子9が4本のコネクタ55側には、図14(b)に示す4つの調整抵抗5が保持される取付部材57を取り付けることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 コネクタ
3 回路基板
5 調整抵抗
9 引出端子
19a、19b 回路パターン
21a、21b 第1電極
23a、23b 第2電極
35 取付部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板の端子接続構造に係り、特に、回路基板に形成された同一の回路パターンにコネクタから引き出された複数の引出端子が並列に接続される回路基板の端子接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、複数の端子を収容したコネクタを基板に取り付け、コネクタから引き出された端子の先端を、プリント基板のスルーホールにそれぞれ挿入して半田付けし、プリント基板の裏面側に形成された回路に端子を接続することが記載されている。また、コネクタの端子の後端側には、電線が圧接されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−184481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コネクタ端子に大電流を流したい場合は、コネクタ端子や電線などが太くなるという問題があるから、細いコネクタ端子を複数並列に接続して大電流を流すことが考えられている。
【0005】
しかし、特許文献1に記載の技術をそのまま適用して、回路基板に形成された同一の回路パターンにコネクタ端子を複数並列に接続すると、各コネクタ端子に係る抵抗の違いによって、各コネクタ端子に流れる電流が不均一になる場合がある。例えば、コネクタ端子と電線の加締部、又は雄型コネクタと雌形コネクタを嵌合させた場合のコネクタ端子同士の接触部の電気抵抗のばらつきに起因して、各コネクタ端子の抵抗がばらつくことがある。各コネクタ端子の抵抗がばらつくと、並列接続された各コネクタ端子に流れる電流が不均一になり、抵抗の小さなコネクタ端子に許容電流を超える電流が流れるおそれがある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、複数のコネクタ端子を同一の回路パターンに並列に接続する構造において、各コネクタ端子に流れる電流の不均一を抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は、コネクタから引き出された複数の引出端子が接続される回路基板の端子接続構造において、回路基板は、回路パターンに接続された複数の第1電極と、第1電極に対向して形成され引出端子がそれぞれ接続される複数の第2電極を有してなり、同一の回路パターンに並列に接続された第1電極は第2電極にそれぞれ調整抵抗を介して接続されていることを特徴とする。
【0008】
これによれば、並列接続された各コネクタ端子の抵抗を、調整抵抗の分だけ大きくできるから、各コネクタ端子の抵抗のばらつきを相対的に小さくでき、各コネクタ端子に流れる電流の不均一を抑制できる。その結果、細いコネクタ端子を複数並列に接続して大電流を流しても、各コネクタ端子に流れる電流を許容電流以下にできる。
【0009】
すなわち、調整抵抗の抵抗値を、並列接続された各コネクタ端子に流れる電流の不均一を抑制して、各コネクタ端子に流れる電流を許容電流以下にできるように調整することが好ましい。
【0010】
また、複数の調整抵抗を保持する取付部材を設け、取付部材を回路基板に取り付けて調整抵抗を接続することが好ましい。これによれば、回路基板に複数の調整抵抗をまとめて接続できるので、複数の調整抵抗を簡単に接続できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数のコネクタ端子を同一の回路パターンに並列に接続する構造において、各コネクタ端子に流れる電流の不均一を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態1の回路基板の端子接続構造の斜視図である。
【図2】図1の回路基板の端子接続構造を反対側から見た分解図である。
【図3】(a)は図2の回路基板を示す斜視図であり、(b)は(a)における範囲Aの拡大図である。
【図4】(a)は図3の回路基板に調整抵抗が接続された状態を示す斜視図であり、(b)は(a)における範囲Bの拡大図である。
【図5】(a)複数のコネクタ端子が単に並列接続された場合の等価回路図であり、(b)は本発明の調整抵抗を介して複数のコネクタ端子を並列接続した場合の等価回路図である。
【図6】実施形態2の回路基板の端子接続構造の斜視図である。
【図7】図6の回路基板の端子接続構造を反対側から見た分解図である。
【図8】取付部材と調整抵抗の関係を示す斜視図である。
【図9】(a)は取付部材の上面図であり、(b)は(a)の線A−Aにおける断面図であり、(c)は(a)の線B−Bにおける断面図である。
【図10】(a)は図7の回路基板を示す斜視図であり、(b)は(a)における範囲Aの拡大図である。
【図11】(a)は図10の回路基板に取付部材が取り付けられた状態を示す斜視図であり、(b)は(a)における範囲Bの拡大図である。
【図12】実施形態2の変形例を示す斜視図である。
【図13】(a)は実施形態2の変形例を示す斜視図であり、(b)は(a)の分解図である。
【図14】(a)は3つの調整抵抗が保持される取付部材の斜視図であり、(b)は4つの調整抵抗が保持される取付部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施の形態に基づいて説明する。
(実施形態1)
図1乃至4に示すように、実施形態1の回路基板の端子接続構造は、複数のコネクタ端子が収容されたコネクタ1と、回路パターンが形成された回路基板3と、調整抵抗5により構成されている。
【0014】
コネクタ1は、挿入口7を有するコネクタであり、自動車のワイヤーハーネスなどの電線が接続されたコネクタと嵌合接続できるようになっている。コネクタ1内には、図示していない複数のコネクタ端子が設けられている。コネクタ端子は雄型又は雌型であり、接続される相手方のコネクタに設けられた雌型又は雄型のコネクタ端子と電気的に接続できるようになっている。コネクタ1の挿入口7と対向する面には、コネクタ1からコネクタ端子を引き出して形成された引出端子9が設けられている。引出端子9はL字形に形成され、複数の長い引出端子10の内側に複数の短い引出端子11が平行に配置され、2段の引出端子9が形成されている。コネクタ1の挿入口7側の側面には、一対の固定部13が設けられている。各固定部13には、ねじ穴15が設けられている。コネクタ1の底面には、回路基板3に当接する凸部17が形成され、コネクタ1と回路基板3との間に隙間ができるようになっている。
【0015】
回路基板3は、例えば、プリント基板であり、回路基板の表面には、端子接続部18a、bが形成されている。端子接続部18a、bには、回路パターン19a、bが形成されている。回路パターン19a、bは、回路基板3の表面又は裏面に形成される図示していない回路パターンに周知の手段で接続されるようになっている。回路パターン19a、bには、それぞれ複数の第1電極21a、bが並列に接続されている。第1電極21a、bと対向する位置には、第1電極21a、bと間隔を空けて第2電極23a、bが複数形成されている。各第2電極23a、bには、それぞれ引出端子9が接続されるスルーホール25a、bが接続されている。回路基板3には、2つの穴27が形成されている。
【0016】
各第1電極a、bと各第2電極a、bに接続される各調整抵抗5は、第1電極21a、bと第2電極23a、bに、例えば、クリーム半田で半田付けされるようになっている。各調整抵抗5の抵抗値は、並列接続された各コネクタ端子に流れる電流の不均一を抑制して、各コネクタ端子に流れる電流を許容電流以下にできるように調整されている。なお、複数の調整抵抗5は、全て同一の抵抗値、又は、それぞれ異なる抵抗値に調整できる。
【0017】
次に、実施形態1の回路基板の端子接続構造を説明する。回路基板3の穴27に挿入されたねじ29と、コネクタ1のねじ穴15を螺合してコネクタ1は回路基板3に固定されている。コネクタ1と回路基板3の間に凸部17の分だけ隙間が形成されている。複数の引出端子10は、端子接続部18aのスルーホール25aに挿入され、それぞれ半田付けされている。複数の引出端子11は、端子接続部18bのスルーホール25bに挿入され、それぞれ半田付けされている。調整抵抗5は、各第1電極21a、bと各第2電極23a、bにわたして半田付けにより接続されている。これにより、複数の引出端子10、11が、調整抵抗5を介して回路パターン19a、bにそれぞれ並列に接続されている。
【0018】
ここで、実施形態1の作用を図5を用いて説明する。図5は3つのコネクタ端子を並列に接続した例であり、(a)は3つのコネクタ端子を単に並列接続した等価回路図であり、(b)は3つのコネクタ端子を調整抵抗5を介して並列接続した等価回路図である。図中のRo1、Ro2 Ro3はコネクタ端子の抵抗であり、Rfは調整抵抗5であり、Ior1、Ior2、Ior3はコネクタ端子に流れる電流である。
【0019】
コネクタ端子と電線の加締部やコネクタ端子同士の接触部に起因して、コネクタ端子の抵抗がばらつくことがある。例えば、コネクタ端子と電線の接触面積が大きいと抵抗は小さくなり、接触面積が小さいと抵抗は大きくなる。この抵抗のばらつきにより、各コネクタ端子に流れる電流が不均一になり、抵抗の小さなコネクタ端子に許容電流を超える電流が流れることがある。
【0020】
例えば、コネクタ端子の抵抗がRo1=0.1Ω、Ro2=0.2Ω、Ro3=0.3Ωの場合に、電圧を一定にして回路全体に11Aの電流を流すと、I(電流)=V(電圧)/R(抵抗)により、各コネクタ端子に流れる電流は、Ior1=6A、Ior2=3A、Ior3=2Aとなる。コネクタ端子の許容電流が5Aの場合、コネクタ端子Ro1に許容電流を超える電流が流れることになる。
【0021】
しかし、図5(b)のように、抵抗が0.5Ωの調整抵抗Rfを各コネクタ端子に直列に接続すると、各コネクタ端子における抵抗に調整抵抗Rfの抵抗が加わり、各コネクタ端子における抵抗は、Ro1=0.6Ω、Ro2=0.7Ω、Ro3=0.8Ωになる。この場合、各コネクタ端子に流れる電流は、Ior1=4.22A、Ior2=3.61A、Ior3=3.16Aとなり、全てのコネクタ端子は許容電流以下となる。
【0022】
この原理を説明すると、並列回路における各回路の電流値は、各回路の抵抗比に相関するから、各回路の抵抗比が小さくなれば、各回路に流れる電流の不均一を低減できる。ここで、調整抵抗Rfを全ての回路に直列に接続すると、調整抵抗Rfの分だけ各回路の抵抗値が大きくなる。調整抵抗Rfの抵抗値がコネクタ端子の抵抗比に比べて大きければ、各回路の抵抗比は調整抵抗Rfの抵抗比に近づく。つまり、並列接続された各コネクタ端子に同じ抵抗値の調整抵抗Rfを接続すると、各コネクタ端子の抵抗比が小さくなり、各コネクタ端子に流れる電流の差が小さくなる。
【0023】
これによれば、並列接続された各コネクタ端子の抵抗のばらつきを、調整抵抗5で相対的に小さくできるから、各コネクタ端子に流れる電流の不均一を抑制できる。その結果、細いコネクタ端子を並列に接続して大電流を流しても、各コネクタ端子に流れる電流を許容電流以下にできる。
【0024】
すなわち、調整抵抗5の抵抗値を、並列接続された各コネクタ端子に流れる電流の不均一を抑制して、各コネクタ端子に流れる電流を許容電流以下にできるように調整する。例えば、各コネクタ端子の抵抗値を実測し、全てのコネクタ端子の抵抗値より大きくなるように、調整抵抗5の抵抗値を調整する。
【0025】
なお、第1電極21a、b及び第2電極23a、bを介して全てのコネクタ端子が回路パターン19a、bに並列接続されているが、これに限定されるものではない。回路パターン19a、bを分断して、コネクタ端子の並列接続の数を適宜選択できる。
【0026】
また、実施形態1は、全てのコネクタ端子に調整抵抗5を接続したが、一部のコネクタ端子のみに調整抵抗5を接続することができる。要は、各コネクタ端子に流れる電流が許容電流以下になるように、調整抵抗5の抵抗値を調整すればよい。
【0027】
また、各コネクタ端子の抵抗のばらつきが小さい場合は、第1電極21a、bと第2電極23a、bを調整抵抗5に代えて抵抗の小さな配線でそれぞれ直接接続することができる。
【0028】
また、各コネクタ端子の材質を抵抗値の大きなものに変更することで、各コネクタ端子の抵抗のばらつきを低減することができる。この場合、調整抵抗5は不要であり、第1電極21a、bと第2電極a、bを直接接続、又は、一体に形成することができる。
【0029】
(実施形態2)
実施形態2の回路基板の端子接続構造を図6乃至図9を用いて説明する。実施形態実施形態2が実施形態1と相違する点は、複数の調整抵抗5を保持する取付部材35を設け、取付部材35を回路基板3に取り付けて調整抵抗5を接続している点である。その他の構成は、実施形態1と同一であるから同一の符号を付して説明を省略する。
【0030】
取付部材35には、調整抵抗5を収容して保持できる複数の空洞37と、取付部材35を回路基板3の取付部45a、bに取り付けできる一対の固定部材39が形成されている。取付部材35の上面には、各空洞37に連通する穴41が形成されている。これにより、各空洞37に調整抵抗5が実装されたか否かを検知できる。各空洞37の外面には凹部43が形成され、凹部43に引出端子9が位置するようになっている。
【0031】
空洞37の奥行きは、調整抵抗5の高さより小さく形成され、空洞37の下端から調整抵抗5の下部が突出するようになっている。これにより、取付部材35を回路基板3に取り付けた際に、調整抵抗5が第1電極21a、bと第2電極23a、bに当接して接続できるようになっている。固定部材39は、取付部材35の図示していない取付穴などに挿入固定され、先端を取付部材35の外側に延在させて形成されている。
【0032】
次に、実施形態2の回路基板の端子接続構造を説明する。回路基板3の各端子接続部18a、bの両端には、図10(a)、(b)に示すように固定部材39が取り付けられる取付部45a、bが形成されている。図11(a)、(b)に示すように固定部材39と取付部45a、bは、例えば、リフロー半田処理で半田付けされ、回路基板3に取付部材35が取り付けられる。この際、各調整抵抗5も第1電極21a、bと第2電極23a、bに、それぞれ半田付けされる。回路基板3に固定されたコネクタ1の、複数の引出端子9は、スルーホール25a、bに挿入され、例えば、フロー半田処理でそれぞれ半田付けされている。
【0033】
これによれば、取付部材35を回路基板3に取り付けることで、複数の調整抵抗5をまとめて接続できるので、各第1電極21a、b及び各第2電極23a、bに各調整抵抗5を簡単に接続できる。
【0034】
なお、実施形態2は、端子接続部18a、bそれぞれに取付部材35を設けているが、図12に示すように、一方の端子接続部18aのみに取付部材35を設けて、他方の端子接続部18bは調整抵抗5を個別に接続することができる。
【0035】
また、図13(a)、(b)に示すように、1つの回路基板3に複数のコネクタ1を接続する場合は、各コネクタ1の引出端子9の数に合わせた空洞37を有する取付部材35を設けて、調整抵抗5を接続することができる。例えば、引出端子9が3本のコネクタ51側には、図14(a)に示す3つの調整抵抗5が保持される取付部材53を取り付け、引出端子9が4本のコネクタ55側には、図14(b)に示す4つの調整抵抗5が保持される取付部材57を取り付けることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 コネクタ
3 回路基板
5 調整抵抗
9 引出端子
19a、19b 回路パターン
21a、21b 第1電極
23a、23b 第2電極
35 取付部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタから引き出された複数の引出端子が接続される回路基板の端子接続構造において、
前記回路基板は、回路パターンに接続された複数の第1電極と、該第1電極に対向して形成され前記引出端子がそれぞれ接続される複数の第2電極を有してなり、同一の回路パターンに並列に接続された前記第1電極は前記第2電極にそれぞれ調整抵抗を介して接続されてなることを特徴とする回路基板の端子接続構造。
【請求項2】
請求項1に記載の回路基板の端子接続構造において、
前記第1及び第2電極を介して前記同一の回路パターンに並列接続された前記各引出端子に流れる電流が設定値以下になるように、前記調整抵抗の抵抗値が調整されてなることを特徴とする回路基板の端子接続構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の回路基板の端子接続構造において、
複数の前記調整抵抗を保持する取付部材を設け、該取付部材を前記回路基板に取り付けてなることを特徴とする回路基板の端子接続構造。
【請求項1】
コネクタから引き出された複数の引出端子が接続される回路基板の端子接続構造において、
前記回路基板は、回路パターンに接続された複数の第1電極と、該第1電極に対向して形成され前記引出端子がそれぞれ接続される複数の第2電極を有してなり、同一の回路パターンに並列に接続された前記第1電極は前記第2電極にそれぞれ調整抵抗を介して接続されてなることを特徴とする回路基板の端子接続構造。
【請求項2】
請求項1に記載の回路基板の端子接続構造において、
前記第1及び第2電極を介して前記同一の回路パターンに並列接続された前記各引出端子に流れる電流が設定値以下になるように、前記調整抵抗の抵抗値が調整されてなることを特徴とする回路基板の端子接続構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の回路基板の端子接続構造において、
複数の前記調整抵抗を保持する取付部材を設け、該取付部材を前記回路基板に取り付けてなることを特徴とする回路基板の端子接続構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−18552(P2011−18552A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162155(P2009−162155)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
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