説明

回転スピンドル用の調整可能なベアリング組立体

回転スピンドル(11)用の調整可能なベアリング組立体(10)は、スピンドル(11)の駆動端部に付け加えたボール・コネクタ(80)と、スピンドル(11)に調整可能に付け加えられたリニア・ベアリング(102)と、一端部においてボール・コネクタ(80)に付け加えられ、反対側端部において駆動モータ(20)に付け加えられた球面ベアリング組立体(70)とを有する。リニア・ベアリング(102)を使用して、スピンドル(11)の直線回転軸(11a)に実質的に平行な方向にスピンドル(11)の位置を調整し、付け加えることができる。駆動モータは、回転軸(21)と回転軸(21)から偏心状に片寄った駆動バー(50)とを有する。駆動バー(50)はボール(80)と反対の端部に駆動バー・ボール(60)を有し、球面ベアリング組立体は、駆動バー・ボール(60)を受け入れるように構成された第1ボール受入れ球体(71)を有する。第2ボール受入れ球体(72)は、スピンドル(11)のボール・コネクタを受け入れるようになっており、連結ロッド(73)が、第1ボール受入れ球(71)と第2ボール受入れ球(72)との間に位置し、離隔した対向位置関係でそれらを連結する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して回転スピンドルに関する。本発明は具体的には、回転スピンドルを駆動モータに連結する調整可能なベアリング組立体によって回転される回転スピンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
歯科用ハンドピースにおいて使用されるような回転スピンドルは、しばしば駆動モータに取り付けられる。駆動モータとスピンドルの間にはしばしば連結部があり、この延長部は駆動モータ軸の一部であることが多い。この連結部の長さは、スピンドル自体の配置のために重要である。電気モータ式歯科用ハンドピースの構成部分などの小さな構成部分について特に要求されるように、スピンドルの配置が精密になるようにこの構成を製造するとき、細心の注意が必要である。さまざまな構成部分を作って整列する場合、多くの時間と努力がしばしば必要である。電気モータ式歯科用ハンドピースの一例は、米国特許第6425761号に示されており、この特許は本明細書に参照によってこの開示のために組み込まれている。
【0003】
さらに使用中は、駆動モータと回転スピンドルの間の距離は、スピンドルの回転軸に直角な方向における構成部分の位置が変化するので、変化する。駆動モータの回転軸はしばしば、回転スピンドルの平面とは異なる平面に位置する。これらは同じ平面に位置することもあるが、異なることが多い。
【特許文献1】米国特許第6425761号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、駆動モータとスピンドルの間で調整可能な様式で連結するベアリング又はベアリングの組合せが必要である。こうして、構成部品の長さ又は製造公差に実質的に関係なく、又回転スピンドルに対する駆動モータの位置に実質的に関係なく、スピンドルの整列を行うことができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による回転スピンドル用の調整可能なベアリング組立体は、作業端部とその反対側に位置する駆動端部とを有する。この組立体は、スピンドルの駆動端部に付け加えたボール・コネクタと、スピンドルに調整可能に付け加えたリニア・ベアリングと、一端部において前記ボール・コネクタに付け加えられ、反対側の端部において駆動モータに付け加えられた球面ベアリング組立体とを含む。前記リニア・ベアリングを使用して、スピンドルの直線軸に実質的に平行な方向にスピンドルの位置を調整し、付け加えることができる。駆動モータは、回転軸と回転軸から偏心状に片寄った駆動バーとを有する。駆動バーは反対端部に駆動バー・ボールを有し、球面ベアリング組立体は、駆動バー・ボールを受け入れるように構成された第1ボール受入れ球体を有する。第2ボール受入れ球体が、スピンドルのボール・コネクタを受け入れるようになっており、連結ロッドが、第1ボール受入れ球と第2ボール受入れ球との間に位置し、離隔した対向位置関係でそれらを連結する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明による回転スピンドル用のベアリング組立体は、添付の図面において全体的に参照番号10で明示されている。本発明は、歯科用バー、リーマー、磨き器(図示せず)などの歯科用ハンドピースの分野で特定の用途を有するが、回転スピンドル又はその他のツールを駆動モータに連結することが望まれるあらゆる分野にも用途を有する。本発明を説明する目的のために、単に例示的に歯科用ハンドピースの用途を参照することができる。したがって、この種の従来の回転歯科用ツール(図示せず)を、ねじ12などの任意の従来の手段によって回転スピンドル11に付け加えることができる。米国特許第6425761号に示すような、ある角度で曲ったハンドピースを使用することも従来から行われ、したがって、スピンドル11をこのような曲ったハンドルに機能的に連結してもよい。
【0007】
心棒22(図5)の中心軸21(図面では鎖線で示されている)を有する駆動モータ20が提供されている。駆動モータ20は空気駆動ベーン・モータなどの任意の従来設計のものであってもよいが、電気モータであることが好ましい。駆動モータ20は心棒22を所望の方向に回転させる。
【0008】
図5に最もよく示されているように、心棒22に電機子30が付け加えられ、電機子30は駆動モータ20の中心軸21と完全に一致していることが好ましい中心軸31を有する。心棒22に付け加えることによって、駆動モータがその心棒22をその軸21を中心に回転させると、電機子30はその軸31を中心に回転する。図1に示すように、電機子30を、歯科用ハンドピース・ハウジング(図示せず)などの適当な支持物に付け加えるための固定用ボルト41を有する軌道輪40の中に収容してもよい。電機子30は、心棒22への連結部とは概して反対側の端部に、突出した片寄り駆動バー50を備えている。「片寄り」(“offset”)とは、電機子30が回転すると、片寄り駆動バー50が電機子30の中心軸31の周りの概して円形の経路を追従するという意味である。非円形経路を本発明の範囲内に入れることも考えられるが、ここでは簡単にするために円形経路を論述する。片寄り駆動バー50を図面に示すように円筒形状にしてもよく、又はその他の任意の形状にしてもよい。円筒形状である場合には、バー50は、電機子30の中心軸31からある距離D(図5)だけ片寄った中心軸51を有することになる。
【0009】
図3は、本発明の一代替実施形態を示し、これについてはさらに詳しく後述する。しかし図3は、本明細書で論述するように本発明のいくつかの実施形態によって有用な片寄り駆動バー50に付け加えた連結ボール60を明瞭に示している。スピンドル11と駆動モータ20の間に、全体的に参照番号70で示した球面ベアリング組立体が配置されている。球面ベアリング組立体70が、連結部分73によって離隔して対向する関係で位置付けてもよい第1ボール受入れ球体71と第2ボール受入れ球体72を有することは好ましい。第1ボール受入れ球体71は、連結ボール60を受け入れるために寸法決めされるように、中空又は半中空として構成されることが好ましい。第1ボール受入れ球体71を、この中にボール60を配置し易いようにスリット74を備えて構成してもよい。ボール受入れ球体71及び72を、金属、ゴム、プラスチック、カーボンなどの任意の有機材料又は無機材料で製造することができる。ボール60をこれが物理的に保持される第1ボール受入れ球体71の中に摩擦嵌合い又は装置などによって受入れ、こうして駆動バー50を電機子30の軸31の周りの円形経路を回転させると、これによって、ボール60及び物理的に接触した第1ボール受入れ球体71が同様に、片寄り駆動バー50に連結できるものと同じ軸31の周りを円形様式で又はその他の様式で回転することが好ましい。同様に、スピンドル11はスピンドル・ボール80を備え、スピンドル・ボール80を、ボール60と第1ボール受入れ球体71の場合と同様な様式で、球面ベアリング組立体70の第2ボール受入れ球体72の中に受け入れることができる。
【0010】
コネクタ73は、正規の使用中はモータ20の軸21からある角度で片寄っている中心軸すなわち概して中心の線90を有する。したがって、ボール60をモータ20の軸21の周りの円形経路の中を移動させると、スピンドル・ボール80がスピンドル11の中心軸11aを中心に回転することは理解されよう。スピンドル・ボール80はスピンドル11に付け加えられているので、これによってスピンドル11もまたその軸11aを中心に回転する。
【0011】
スピンドル11は、スピンドル軌道輪100によって支持されることが好ましい。スピンドル軌道輪100を、ボルト101などの任意の適当な手段によって、歯科用ハンドピース・ハウジング(図示せず)などの適当な支持物に付け加えてもよい。スピンドル11が、その回転軸11aの長さ寸法に平行な方向に調整可能であることは好ましい。このような支持して長さの調整を行う方法はすべて本発明の範囲内にある。例えば、リニア・ベアリング102を軌道輪100に付け加えて、リニア・ベアリング軌道輪103の中に受け入れてもよい。リニア・ベアリング102をリニア・ベアリング軌道輪103の中で滑らせることによって、スピンドル11の配置を、スピンドル11の物理的寸法を変えることなく調整することができる。スピンドル11を選択された位置に付け加えるために、リニア・ベアリング軌道輪103における孔105を通ってボルト104を備えてもよく、こうしてボルト104はリニア・ベアリング102に物理的に接触する。スピンドル11をその回転軸11aの長さ寸法に平行に所望の位置に動かすと、軸90と軸21の間の角度も変ることが理解されよう。さらに、この調整を、他の構成部分の物理的寸法又は長さ寸法とは実質的に関係なく精細に行うことができる。したがって、スピンドル11の位置を調整するためのベアリング組立体10が提供される。
【0012】
本発明の代替実施形態を例示の目的で図4に示す。モータ20とスピンドル11の間には球面ベアリング組立体70ではなく、可とう性の駆動ケーブル110がある。可とう性であること、及び電機子30とスピンドル11の間のスパンを架橋するために必要な長さがより長いことによって、さまざまな構成部分の物理的サイズに基づいて、このような距離のあらゆる増減を行うか又は可能にする十分なゆるみが駆動ケーブル110に存在する。可とう性駆動ケーブル110を、上述のように駆動バー50の場合と実質的に同様な様式で電機子30の中で片寄っている従来のリング・ベアリング111などの任意の手段によって取り付けてもよい。
【0013】
図3は、球面ベアリング120が継ぎ手付きのコネクタ122によってスピンドル11に取り付けられた単一のボール受入れ球面121を含む、本発明の別の代替実施形態を示す。本発明のすべての実施形態におけるように、モータ20とスピンドル11の間の物理的スパンが作られ、スピンドル11に対するモータ20の位置は、スピンドル11の回転軸11aに平行な方向又はこれに直角の方向の両方にやはり補償される。これらの寸法は装置の製造中及び使用中の両方において変化するので、この変動は補償される。
【0014】
本発明の範囲内にある変形及び容易に変えることができる変形のすべてを示すという意図ではなく、本発明を本明細書に説明し図面に示した。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ決定されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】周囲環境を見せる目的で駆動モータと共に示した、本発明による回転スピンドル用の調整可能なベアリング組立体の側平面図である。
【図2】図1の組立体と駆動モータの一部を示す斜視図である。
【図3】本発明による調整可能なベアリング組立体の代替実施形態を示す図である。
【図4】本発明による調整可能なベアリング組立体の別の代替実施形態を示す図である。
【図5】図1に示す本発明の別の平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業端部とその反対側に位置する駆動端部とを有する、回転スピンドル用の調整可能なベアリング組立体であって、スピンドルの駆動端部に付け加えたボール・コネクタと、スピンドルに調整可能に付け加えたリニア・ベアリングと、一端部において前記ボール・コネクタに付け加えられ、反対側の端部において駆動モータに付け加えられた球面ベアリング組立体とを含み、前記リニア・ベアリングを使用して、スピンドルの直線軸に実質的に平行な方向にスピンドルの位置を調整し、付け加えることができ、前記駆動モータは、回転軸と前記回転軸から偏心状に片寄った駆動バーとを有し、前記駆動バーは前記駆動モータと反対の端部に駆動バー・ボールを有し、前記球面ベアリング組立体が、前記駆動バー・ボールを受け入れるように構成された第1ボール受入れ球体と、スピンドルの前記ボール・コネクタを受け入れるようになっている第2ボール受入れ球体と、前記第1ボール受入れ球と前記第2ボール受入れ球との間に位置し、離隔した対向位置関係でそれらを連結する連結ロッドとを有する、調整可能なベアリング組立体。
【請求項2】
駆動モータと、一端部では前記駆動モータに他端部ではスピンドルに偏心的に取り付けられた可とう性駆動ケーブルとを含む、回転スピンドル用の調整可能な駆動組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−518951(P2007−518951A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551383(P2006−551383)
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/002250
【国際公開番号】WO2005/073577
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(590004464)デンツプライ インターナショナル インコーポレーテッド (85)
【Fターム(参考)】