説明

回転式ドライ真空ポンプ

回転式ドライ真空ポンプにおいて駆動部にキャンドモータを用いた場合、反応生成ガスがキャンドモータ内部に混入し、モータが故障し、従って、回転式ドライ真空ポンプが故障してしまうという問題があった。これを解決するために、ハウジング内に収納された単数もしくは複数のロータと、これらのロータの回転軸を支持する軸受と、前記ハウジングに形成された流体の吸気口および吐出口と、前記単数もしくは複数のロータの少なくとも一つを回転駆動するモータより構成された回転ロータを持つ回転式ドライ真空ポンプにおいて、前記モータがモータのハウジング内部に固定された固定子鉄心を備え、固定子内径側に装着された隔壁が前記ハウジングに固着されて隔壁内を密封し、隔壁内の回転軸には、回転子が固着され回転自在な構造にし、前記隔壁内にパージガスを流し入れるためのガス注入口を設けて構成された回転式ドライ真空ポンプとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置のような反応生成ガスを流す装置に用いられる回転式ドライ真空ポンプの動力部であるキャンドモータ内に反応生成ガスが流れ込みにくい構造の回転式ドライ真空ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程において、問題となるのは反応チャンバー内に油等の不純物が混入し、半導体が汚染されることである。特に反応チャンバー内のガスを排気するための真空ポンプからの油の混入が問題となる。そこで、従来から回転式ドライ真空ポンプが用いられている。回転式ドライ真空ポンプとしてはスクリュー式、ルーツ式、スクロール式等がある。しかし、このような回転式ドライ真空ポンプはロータを回転させるため回転軸を持ち、該回転軸を支えるために軸受が用いられている。該軸受には通常潤滑油が付着しており、該潤滑油の油分子が回転式ドライ真空ポンプの排気室へ進入するのを防ぐため、排気室と軸受部の間に軸シールが配置されていた。しかしながら、この軸シールが摩耗した場合、軸シールを通り抜けて回転式ドライ真空ポンプの排気室から反応チャンバー内に漏れてしまう場合がある。これは、ロータを回転させるためのモータが大気中にありモータ側と真空の排気室側との圧力差が大きいためである。そのため、軸シールが摩耗等して隙間ができた場合は、排気室内に大気が漏れこんでしまいポンプとしての性能を落とす要因ともなった。そこで、モータ内も排気室とほぼ同じ圧力にすることができるキャンドモータが、回転駆動部を持つ回転式ドライ真空ポンプに用いられるようになった。キャンドモータの構造は、固定子鉄心に回転磁界を生成する固定子巻線を備え、フレーム、側板及び固定子内径側に装着された金属製薄肉円筒隔壁(キャン)で隔壁内が密封され、またブラケットに固定された軸受によって支持された回転軸には、回転子が装着され回転自在な構造を持って構成される。(特許文献1)
【特許文献1】特開2003−189529号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、キャンドモータを反応生成ガスを流す半導体製造装置用回転式ドライ真空ポンプの駆動部に用いた場合、回転子が収納されている隔壁の内部は運転時には真空となる。従って、モータを停止して大気圧に戻る際に、排気室内から反応生成ガスがモータ内部に混入し、キャンドモータの隔壁内の構成部品に反応生成物が付着することによって、モータを故障させてしまうという問題があった。また、その際に軸受や軸シールにも反応生成物が付着した場合はポンプ自体の故障の原因ともなった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これを解決するために、本件発明では、請求項1の発明によれば、ハウジング内に収納された単数もしくは複数のロータと、これらのロータの回転軸を支持する軸受と、前記ハウジングに形成された流体の吸気口および吐出口と、前記単数もしくは複数のロータの少なくとも一つを回転駆動するモータより構成された回転ロータを持つ回転式ドライ真空ポンプにおいて、前記モータが固定子鉄心を備え、固定子内径側に装着された隔壁が前記ハウジングに固着されて隔壁内を密封し、隔壁内には回転子が回転自在に配置され、前記複数のロータのうち少なくとも一つのロータの回転軸と回転子の回転軸とが固着されてロータを回転駆動し、前記隔壁内にパージガスを流し入れるためのガス注入口を設けて構成されている。パージガスの注入口はモータの前記フランジに形成すると加工が容易である。また、隔壁としては磁性体の金属を材質とすることができる。また該パージガスはロータの回転軸を回転自在に支えている軸受けに対しても流すこともできる。
【0005】
請求項2の発明においては、前記モータの回転軸と、前記ロータの回転軸が一体形成されている。組立例としては該ロータをハウジングを構成するフランジに固定した後にモータの回転子を該ロータの端部に回転軸に所定の手段で固定し、該端部を隔壁を構成する筒状の部材を前記フランジに固定し、さらに隔壁を構成するフランジで蓋をすることにより隔壁内を密封する。なお、密封が必要な部分にはOリングを配置する。
【0006】
請求項3の発明によれば、前記モータを吸気口側に配置した。この際に排気室とモータの間に配置されている軸受から潤滑油がモータ内に漏洩する量を減らすために、潤滑油ではなくグリースを用いてもよい。また、回転式ドライ真空ポンプを縦置きにし、該軸受とモータが上部に来る配置にすることによりさらに効果はあがる。また、複数の回転軸を持つ回転式ドライ真空ポンプで縦置きにし、同期を取るための潤滑の必要なタイミングギアを下方の吐出口側に配置し、モータを吸気側に配置することにより潤滑油による排気室の汚染を防ぐ。
【0007】
請求項4の発明によれば、前記パージガス注入口へパージガスを送るための配管に流量調整手段を設けた。流量調整手段としては、パージガス流路に所定の大きさのパージガス流通穴を通してパージガスの流量を絞る手段、必要に応じて手動のバルブがあり、さらにN2供給側に電磁弁が設置される。ポンプが停止した時もしくはその前後及び運転中にガスの流量が変化、特に増加して排気室内の圧力がモータの隔壁内の圧力よりも高くなった時、電磁弁を開き、バルブで調整された流量をパージガスとして流すことにより、軸受部、モータ部へのプロセスガスの進入を防ぐ。
なお、流量を決めてしまえば、バルブのかわりに同量のガス量を流せるオリフィスを配管内に設置して、調整バルブを無くすこともできる。
また、ガスの流入量を調整する場合は電磁バルブを開く時間で調整するか、もしくは流量調整機能を持った電磁バルブを用いることができる。
【0008】
請求項5の発明によれば、前記隔壁内の圧力を測定するための圧力測定器具又は/及び前記排気室内の圧力を測定するための圧力測定器具とを設けた。該2つの圧力値の差を取り、前記隔壁内の圧力が前記排気室内の圧力よりも同じか大きくなるように電磁バルブにて流量を調整しても良い。また一方の圧力のみでパージガスの流入量、流量を調整することもできる。圧力測定器としては薄膜半導体検出器等がある。また、真空ポンプで排気する半導体製造装置等のチェンバー内の圧力を測定してパージガスの流入量、流量を調整することもできる。チェンバー内の圧力の変化のみで、ガスの流入量、流量を調整してもよいが、前記隔壁内の圧力に応じて調整してもよい。
【0009】
請求項6の発明によれば、モータの回転子又はロータの回転数を測定するための測定手段を設けた。回転数測定手段としてはモータの回転子にエンコーダを取り付ける、回転子の永久磁石の磁気を特定の位置で検出する等で回転数を検出する。該回転数により、パージガスの流入量、流量を調整する。例えば回転数が減少した場合は、パージガスを流す制御をしたり、回転数の増減率によりガスの流入量、流量を調整したりできる。
【0010】
請求項7の発明によれば、モータの消費電力を測定するための手段を設けた。該消費電力によりガスの流量を調整する。例えば、運転中に吸入ガス量の増加によって、消費動力が変動した場合は、パージガスを流す制御をしたり、停止時に消費動力の変化量に応じてパージガスの流入量、流量を調整したりできる。
【0011】
請求項8の発明によれば、吸気口又は排気口付近に反応生成ガス流量計を設けた。該反応生成ガスの流量の変化に応じてパージガスの流量を調整する。例えば反応生成ガスの流量が増加した場合にパージガスの流量を増加する等の制御をする。また、前記チェンバー内に流すガスの流量に応じてパージガスの流量を調整してもよい。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、ハウジング内に収納された単数もしくは複数のロータと、これらのロータの回転軸を支持する軸受と、前記ハウジングに形成された流体の吸気口および吐出口と、前記単数もしくは複数のロータの少なくとも一つを回転駆動するモータより構成された回転ロータを持つ回転式ドライ真空ポンプにおいて、前記モータがモータのハウジング内部に固定された固定子鉄心を備え、固定子内径側に装着された隔壁が前記ハウジングに固着されて隔壁内を密封し、隔壁内の回転軸には、回転子が固着され回転自在な構造にし、前記隔壁内にパージガスを流し入れるためのガス注入口を設けたことにより、ポンプ停止時に真空排気室及び隔壁内が大気圧に戻る際に真空排気室内の反応生成ガスが排気室から隔壁内に漏れ込んで、回転子等のモータ構成部品に生成物が蓄積し、モータが動かなくなったり故障しないように、パージガスを流し入れて真空排気室から隔壁内に反応生成ガスが流れ込まないようにすることができる。また、軸受けに対しても同様にパージガスを流すことにより、軸受についても反応生成物が付着して故障することを防ぐことができるようになる。
【0013】
請求項2の発明によれば、前記モータの回転軸と、前記ロータの回転軸を一体形成した構成にすることにより、2つの回転軸の接合部品が不要となり、さらに2つの回転軸の軸合わせをする必要もなくなる。
【0014】
請求項3の発明によれば、前記モータを吸気口側に配置した構成にすることにより、通常、排気室内が油により汚染されることを防止するため潤滑油が必要な部分は吐出口側に配置される。よって潤滑油があまり用いられていない吸気口側に前記モータを配置することにより隔壁内に潤滑油が入り込むことを最小限に抑えることができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、前記パージガス注入口へガスを送るための配管に流量調整手段を設けた。このような構成にすることにより、停止中にプロセスガスが隔壁内に進入しないのに必要な最小の量のパージガスを流すことができ、無駄なN2の使用を抑え、軸受部に付着している潤滑材の排気室への拡散を最小限に押えることができる。
【0016】
請求項5の発明によれば、前記隔壁内の圧力を測定するための圧力測定器具又は/及び前記排気室内の圧力を測定するための圧力測定器具とを設けた。このような構成にすることにより、排気室内の圧力よりも少しだけ隔壁内の圧力が高くなるように電磁バルブ等でパージガス流量を制御することができる。
【0017】
請求項6の発明によれば、前記モータの回転子又はロータの回転数を測定するための測定手段を設けたことにより、必要なパージガスのみを流す制御ができるようになり、ガスの無駄や排気室内へパージガスが漏れこみ、排気能力を悪化させることがなくなる。
【0018】
請求項7の発明によれば、前記モータの消費電力を測定するための手段を設けたことにより、必要なパージガスのみを流す制御ができるようになり、ガスの無駄や排気室内へパージガスが漏れこみ、排気能力を悪化させることがなくなる。
【0019】
請求項8の発明によれば、前記吸気口又は排気口付近にガス流量計を設けたことにより、必要なパージガスのみを流す制御ができるようになり、ガスの無駄や排気室内へパージガスが漏れこみ、排気能力を悪化させることがなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1に本件発明における回転式ドライ真空ポンプの実施例として、スクリュー式真空ポンプを示す。
【0021】
真空ポンプ200は、2つのスクリューロータ202及び204を備えている。
スクリューロータ202及び204は、ハウジング210の内部に収納されている。詳述すると、スクリューロータ202は軸受231及び233によってハウジング210に回転可能に支持され、スクリューロータ204は軸受234及び236によってハウジング210に回転可能に支持されている。また、タイミングギア251及び253、モータ241、及びシール237、238、239及び240が図示のように配置されている。ここで、シール237及び238は軸受231及び233とロータ収納室210bとを隔離し、軸受231及び233の潤滑油がスクリューロータ収納室210bに漏洩することを防止するとともに、スクリューロータ収納室210bから軸受231及び233に異物が侵入することを防止している。同様に、シール239及び240は軸受234及び236とロータ収納室210bとを隔離し、軸受234及び236の潤滑油がスクリューロータ収納室210bに漏洩することを防止するとともに、スクリューロータ収納室210bから軸受234及び236に異物が侵入することを防止している。なお、シール237、238、239及び240としては、接触式シール、磁性流体シールやラビリンスのような非接触シール等がある。
【0022】
また、スクリューロータ202及びスクリューロータ204の一端部には、スクリューロータ204の回転に伴ってスクリューロータ202を回転させるタイミングギア251及び253が、それぞれ互いに噛み合うように固定されている。更に、スクリューロータ202の他端部には、モータ241が一体的に連結している。
【0023】
また、スクリューロータ収納室210bは、ハウジング210の壁部に形成され、ハウジング210の外部からハウジング210の内部に圧縮性流体を吸入するための吸気口(図示していない。)によってハウジング210の外部と連通し、スクリューロータ収納室210bは、ハウジング210の壁部に形成され、ハウジング210の内部からハウジング210の外部に圧縮性流体を排出するための吐出口(図示していない。)によってハウジング210の外部と連通している。ここで、吸気口は図示していない被真空容器に連通していて、吐出口は図示していない排気ガス処理装置に連通している。
【0024】
なお、ハウジング210は、第一ハウジング部材211、第二ハウジング部材212、第三ハウジング部材213、第四ハウジング部材214及び第五ハウジング部材215から形成されている。ここで、第一ハウジング部材211は、吸気側フランジを構成するとともにキャンドモータ241のハウジングを兼ねている。第二ハウジング部材212、第三ハウジング部材213及び第四ハウジング部材214は、ハウジング本体を構成しており、第二ハウジング部材212、第三ハウジング部材213及び第四ハウジング部材214によって真空排気室が構成されている。第二ハウジング部材212には、軸受231、234及び軸シール237、239が固定されている。また、第四ハウジング部材214には、軸受233、236及び軸シール238、240が固定されている。
【0025】
次に、本実施例に係る真空ポンプ200の駆動部であるキャンドモータ241の構成について説明する。キャンドモータ241は固定子鉄心261に回転磁界を生成する固定子巻線が備えられている。固定子内径側にはロータ202と一体になっているキャンドモータ241の回転軸部263に回転子265が固着されている。前記固定子鉄心261と回転子265の間には、隔壁(キャン)281が隔てており、隔壁281は第二ハウジング部材212に密着固定している。該隔壁281にはキャンドモータ241のフランジ267が密着固定され、回転子265は外気から密閉される。該フランジ267には接合部をOリング等(図示なし)で密閉した隔壁281、ハウジング第二部材212及びフランジ267で密封されたキャンドモータ241の内部にパージガス(例えば窒素ガスやアルゴンガス)を流すための注入穴269が空いている。該注入穴269にはパージガスを導くための流通路271が装着されており、該流通路271にはパージガスの流量を調整するための流量調整手段(例えば手動バルブ、オリフィスなど)273及び電磁弁275が装着されている。
【0026】
次に、本実施形態に係る真空ポンプ200の作用について説明する。
まず、キャンドモータ241がスクリューロータ202を回転させると、スクリューロータ204及びスクリューロータ202の一端部には、タイミングギア253及び251がそれぞれ互いに噛み合うように固定されているので、スクリューロータ202の回転に伴ってスクリューロータ204が回転する。スクリューロータ202及びスクリューロータ204が回転することによって、スクリューロータ収納室210b内の圧縮性流体は吸気口側から連通路210c側に移送され、連通路210cを介して排出される。また、スクリューロータ収納室210b内の圧縮性流体が連通路210cを介してスクリューロータ収納室210b外へ排出されると、スクリューロータ収納室210bには、吸気口を介して被真空容器から新たな圧縮性流体が吸入される。
この際にハウジング第一部材211、ハウジング第二部材212及びフランジ267で密封されたキャンドモータ241の内部は真空になる。
従って、真空ポンプを停止すると排気室210c内の圧力が上昇し、排気室210c内のガスが圧力の低いハウジング第一部材211、ハウジング第二部材212及びフランジ267で密封されたキャンドモータ241の内部に逆流してくる。該排気室内のガスが腐食性ガスや反応生成ガスの場合、回転子265や回転軸263を腐食したり、生成物が付着することによりキャンドモータ241が故障してしまう原因となる。従って、腐食性ガスや反応生成ガスを流す場合は、ハウジング第一部材211、ハウジング第二部材212及びフランジ267で密封されたキャンドモータ241の内部の圧力が排気室210c内の圧力よりも高くなるようにパージガスを流す。従って、パージガスの流量はキャンドモータ内部の圧力P1、キャンドモータ241に最も近い排気室210c内の圧力をP2とすると、ポンプ停止後P1≧P2となるような流量にすれば良い。動作シーケンスとしては、ポンプ停止した時もしくはその前後で、電磁弁を開き、バルブ(手動バルブまたは、電磁バルブまたはオリフィス)で調整された流量Lをパージガスとして流すことにより、軸受部、モータ部へのプロセスガスの進入を防ぐ。P1が大気圧になるまでの時間Tをあらかじめ測定しておけば、時間Tの間のみ、電磁弁を開き、流量Lを流すことができる。
従って必要最小限のパージガスを流すことができ、無駄なパージガスの使用を抑え、軸受部に付着している潤滑材の排気室への拡散を最小限に押えることができる。
【0027】
また、ハウジング第一部材211、ハウジング第二部材212及びフランジ267で密封されたキャンドモータ241の内部の圧力を圧力計P1で測定し、排気室210c内の圧力を圧力計P2で測定し、該圧力の差がP1≧P2となるように電磁バルブにて流量を制御する方法もある。(「バルブ+電磁弁」の変わりに流量を自由に制御できる電磁バルブにする。)流量の制御は停止時のみではなく、運転中もP1≧P2となるようにわずかにパージガスを流し続けてもよいし、さらに、運転中でも反応生成ガスの流量が変化した場合は、排気室内の圧力が変化する場合もあるので、P1≧P2となるようにパージガスの流量を制御する。
また、排気室内の圧力は本件真空ポンプを用いる半導体製造装置チャンバー内の圧力に代えることもできる。
本実施例では2つの圧力の比較によりパージガスの流量を制御したが、モータ隔壁内の圧力、排気室内の圧力又はチャンバー内の圧力のうちどれか1つの圧力により流量を制御することもできる。
【0028】
本実施例では圧力を測定するにより、パージガスの流量を制御したが、モータもしくはロータの回転数、消費電力、反応生成ガスの流量を測定することによっても制御することができる。
また、本実施例ではモータに対してのパージガスについてのみ示したが、当該パージガスを軸受にも流れるようにすれば、軸受に反応生成物が付着し、回転式ドライ真空ポンプが動かなくなるという問題を防ぐこともできる。
【0029】
一般に半導体製造装置は、油による汚染を嫌うが、本実施例のように縦置きが型にし、吸気口を上にして吐出口を下に配置し、潤滑油が常に必要なタイミングギア251及び253の部分を下方に配置し、潤滑油を使用しておらず潤滑油による汚染を嫌うキャンドモータ241を吸気側に配置する。これにより、吸気側が油で汚染されることを極力抑えることができる。また吸気側の軸受の潤滑材として真空用グリースを用いることにより、さらに効果はあがる。
【0030】
なお、本実施形態においては、容積移送型のスクリュー式真空ポンプについて述べたが、本発明をクロー式、ルーツ式、スクロール式等の回転軸をモータで駆動する真空ポンプに適応することができる。
また、複数段式真空ポンプ、例えば2段スクリュー式真空ポンプの各ポンプを本件発明の回転式ドライ真空ポンプの構造にすることもできる。
圧力、ガス流量、消費電力、回転数はデータ電気信号に変換され、信号処理手段に送られ、前期データ電気信号から前期信号処理手段により、パージガスの流量を決定し、該決定量は出力電気信号に変換されて流量調整手段に伝達され、電磁バルブ等でパージガスの流量が調整される。
【産業上の利用可能性】
【0031】
半導体製造装置のような極希薄な反応生成ガスを流し排気するための回転軸と該回転軸を駆動するためのモータを有する真空ポンプに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本件発明のスクリュー式真空ポンプの軸方向断面図である。
【符号の説明】
【0033】
200 真空ポンプ
202、204 スクリューロータ
210 ハウジング
210b ロータ収納室
231、233、234、236 軸受
251、253 タイミングギア
237、238、239、240 軸シール
241 キャンドモータ
261 固定子鉄心
263 回転軸部
265 回転子
267 フランジ
269 注入穴
271 流通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内に収納された単数もしくは複数のロータと、これらのロータの回転軸を支持する軸受と、前記ハウジングに形成された流体の吸気口および吐出口と、前記単数もしくは複数のロータの少なくとも一つを回転駆動するモータより構成された回転ロータを持つ回転式ドライ真空ポンプにおいて、前記モータが固定子鉄心を備え、固定子内径側に装着された隔壁が前記ハウジングに固着されて隔壁内を密封し、隔壁内には回転子が回転自在に配置され、前記複数のロータのうち少なくとも一つのロータの回転軸と回転子の回転軸とが固着されてロータを回転駆動し、前記隔壁内にパージガスを流し入れるためのガス注入口を設けて構成されていることを特徴とする回転式ドライ真空ポンプ。
【請求項2】
前記モータの回転軸と、前記ロータの回転軸が一体形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転式ドライ真空ポンプ。
【請求項3】
前記モータを吸気口側に配置したことを特徴とする請求項1〜2に記載の回転式ドライ真空ポンプ。
【請求項4】
前記パージガス注入口へパージガスを送るための配管に流量調整手段を設けたことを特徴とする請求項1〜3に記載の回転式ドライ真空ポンプ。
【請求項5】
前記隔壁内の圧力を測定するための圧力測定器具又は/及び前記排気室内の圧力を測定するための圧力測定器具とを設けたことを特徴とする請求項1〜4に記載の回転式ドライ真空ポンプ。
【請求項6】
前記モータの回転子又はロータの回転数を測定するための測定手段を設けたことを特徴とする請求項1〜4に記載の回転式ドライ真空ポンプ。
【請求項7】
前記モータの消費電力を測定するための手段を設けたことを特徴とする請求項1〜4又は6に記載の回転式ドライ真空ポンプ。
【請求項8】
前記吸気口又は排気口付近もしくは真空チェンバー内にガス流量計を設けたことを特徴とする請求項1〜4に記載の回転式ドライ真空ポンプ。

【図1】
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【国際公開番号】WO2005/042979
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【発行日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515119(P2005−515119)
【国際出願番号】PCT/JP2004/015639
【国際出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)
【Fターム(参考)】