説明

回転式血液ポンプ

【課題】血液が、溶血を生じることのない回転式血液ポンプを提供する。
【解決手段】回転式血液ポンプは、ポンプ室を画定するケーシング1を含む。ポンプ室は、血液注入口および接線方向の血液放出口を有する。1つまたは複数のモータステータが、ポンプ室の外側に設けられている。回転可能なインペラ22は、ポンプ室内にあり、ポンプ室に入る血液を血液放出口に移動させる。インペラは、1つまたは複数の磁石領域を有する。インペラは、1つまたは複数のモータステータへの磁気連結によって回転において半径方向に束縛し、インペラにおける1つまたは複数の流体推力軸受面によって回転において軸方向に束縛している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転式ポンプに関し、さらに詳細には、遠心回転式血液ポンプおよびそのようなポンプを利用する治療支援の方法に関し、この方法では、ポンプ内のインペラが磨滅のない流体軸受および磁気軸受の上で回転し、ポンプ内の血液量のみと接触するインペラによって血液をポンプ入口からポンプ出口まで移動させることができる。
【背景技術】
【0002】
心臓移植への橋渡しとして、または末期の治療の様式として、末期の心臓病の患者を支援するための補助人工心臓の臨床応用は、心臓血管医学において許容される臨床的治療法となってきている。末期の心不全に苦しむ35、000人以上が、心臓支援治療の対象であると推定される。
【0003】
補助人工心臓は、患者の血液に運動量を与えるために、血液ポンプを利用し、それによって、より高い圧力に血液を推進することができる。補助人工心臓の一例は、左心補助人工心臓(LVAD)である。LVADは、酸素を豊富に含んだ血液がLVADの血液注入口を通してLVADに入る患者の心臓の左心室に取り付けられる。LVADは次に、血液に運動量を与える。患者の大動脈にLVADの血液放出口を接続することによって、ポンプによって送り込まれる血液が、患者の循環系に再び入ることができる。
【0004】
LVADなどの補助人工心臓は、これまで、容量型ポンプおよび回転式ポンプが利用されてきた。容量型ポンプは、第1室の容積を減少させると同時に第2室の容積を増大させて、血液を引き出すことによって、第1室から第2室に血液を押し込む。そのようなポンプは、1方向に流れることが唯一可能である逆止弁を通常は備え、通常は大きく、機械的に磨滅しやすい。人間の心臓は、容量型ポンプの自然の実例である。回転式ポンプは、ポンプ内のインペラの回転によって血液を押し込む。公知のタイプのポンプは、血液を押し動かすプロペラ型インペラブレードを用いて、血液に運動量を与えるためにインペラを利用する。
【0005】
回転式血液ポンプは、遠心式または軸式のいずれであってもよい。遠心血液ポンプにおいて、血液は、この回転軸に沿ってポンプに入り、回転軸に垂直にポンプから出る。軸式血液ポンプにおいて、血液は、この回転軸に沿ってポンプに入り、回転軸に沿ってポンプから出る。
【0006】
従来は、回転式血液ポンプは、シャフトおよびシャフトに連結されるインペラからなるロータを含む。機械的軸受は、ロータを軸方向および半径方向の両方に安定化させるために用いられ、インペラは軸方向および半径方向において制限される間、依然として滑らかに自由に回転することが可能である。血液量内の機械的軸受は、血栓症の原因となっていた。さらに、機械的軸受の使用は、ポンプ室を越えてシャフトを突出することを必要とするため、ポンプ室から血液の逃げを防止するために、シールが必要であった。これもまた、血栓症の原因となり、溶血のほか、早期の磨滅を生じることが時々ある。
【0007】
シールは血液の血栓症の原因となる可能性があり、早期に磨滅する可能性があるため、回転式血液ポンプにおける機械的シャフトのためのシールの使用は、次善であることを示している。血栓症および不首尾のシールの危険性を最小限に抑えるために、無シール回転式血液ポンプが開発されてきた。たとえば、Wamplerに付与された米国特許第5、695、471号およびDavisらに付与された米国特許第6、846、168号(’168号特許)は、いずれも参照によって本願明細書に援用されるものとするが、無シール回転式血液ポンプに関連している。そのような無シール回転式血液ポンプにおいて、ロータおよび/またはインペラは、磁力および/または流体力を用いることによって、ポンプ室内に浮遊されてもよい。
【0008】
ポンプ室内にインペラを浮遊させるために用いられる磁力および/または流体力は、インペラを安定化させるように機能することが可能であり、過度の軸方向または半径方向の移動を防止すると同時に回転を可能にする。インペラの磨滅のない安定化は、磁気軸受および流体軸受によって達成されることができる。このような、磁力は、磁気軸受を形成し、流体力は、流体軸受を形成する。
【0009】
磁気軸受の複数の形態が、開発されている。1つの形態において、永久磁石の形である受動的磁気軸受は、ロータおよびポンプハウジングの両方に組み込まれることができ、ポンプケーシング内の所定の位置にインペラを浮遊させ続けることができる磁気結合を提供する。ロータおよびポンプケーシングの両方に組み込まれるそのような永久磁石は、ポンプケーシング内にインペラを浮遊させ続けることができる反発力を提供する。そのような磁気軸受は、インペラを適切に中心位置に維持し続けるために制御が用いられないため、受動的磁気軸受と呼ばれる。受動的磁気軸受は、インペラを1方向、たとえば、半径方向に浮遊させ続けることにおいて効果的である可能性があるが、そのような受動的磁気軸受だけでインペラを軸方向および半径方向において浮遊させ続けることができないことが示されている。
【0010】
磁気的にインペラと結合して駆動させるために、電磁石の形である能動的磁気軸受が、たとえば、ポンプハウジングの中または上で用いられることができる。インペラが所定の位置に維持されることができるように、変位に応じて磁界を調整するために、電磁石への動力はこのとき、必要に応じて、変化してもよい。電磁石はまた、たとえば、ポンプケーシングにおいて、反発磁力を提供するために用いられてもよい。これらの軸受は、適切なインペラ位置を維持するために磁界が能動的に制御されるため、能動的磁気軸受であると呼ばれる。
【0011】
能動的磁気軸受の複雑さのために、無シール回転式血液ポンプにおいてインペラを浮遊するために、受動的磁気軸受および流体軸受の両方を用いる回転式血液ポンプが開発されている。たとえば、Wamplerらに付与された米国特許第6、234、772号(’772号特許)は、本願明細書に参照によって援用されるものとするが、受動的磁気軸受および流体軸受を備えた無シール回転式血液ポンプに関する。’772号特許において、半径方向の浮遊は、インペラシャフト内の1つの連続する磁気ディスクおよびポンプケーシングにおける対応する1つの連続する磁気リングによって可能である。’168号特許において、半径方向の浮遊は、インペラの中心にある孔を通って突出するスピンドル内の1つの連続する磁気リングによって可能である。対応する1つの連続する磁気ディスクは、インペラ内部に設けられ、それによってインペラは、回転中にスピンドルを中心にして浮遊される。’772号特許において、軸方向の浮遊は、インペラの上の1つの連続する流体推力軸受面によって可能である。
【特許文献1】米国特許第5、695、471号
【特許文献2】米国特許第6、846、168号
【特許文献3】米国特許第6、234、772号
【発明の概要】
【0012】
より小さく、より効率的な回転式血液ポンプに対する需要が依然としてある。特に、ポンプによって送り込まれる血液において溶血および血栓症の危険性をさらに削減するために、流体軸受およびポンプ内の改善した連続流体流路を備えた磨滅のない遠心ポンプに対する需要が依然としてある。流体軸受および受動的磁気軸受を備えたより高度な回転式血液ポンプインペラを開発することによって、回転式血液ポンプの物理的サイズ、性能および効率は、一貫して信頼性の高い治療支援が提供されることができる程度まで改善されうる。
【0013】
心膜の空間内に埋め込むための遠心回転式血液ポンプは、ポンプ室を画定するハウジングを含む。ポンプ室は、軸方向の血液注入口および血液放出口を画定するための接線方向の渦型室を有する。1つまたは複数の磁気モータステータが、ポンプ室の外側に設けられる。回転可能なインペラが、ポンプ室内部にあり、血液放出口で出るためにポンプ室に入る血液に圧力を加えるように適合される。インペラは、1つまたは複数の磁気エリアを有する。インペラは、インペラおよびインペラの上面に設けられた1つまたは複数の流体推力軸受に作用する受動的磁束源および能動的磁束源によって生成される磁力による回転において半径方向および軸方向に浮遊される。ハウジングアセンブリは、上部または前部ケーシングおよび後部または下部ケーシングを有することができ、組み立てられると、実質的に円筒形のポンプ室および接線方向の血液流出ポートを有する渦型室を形成する。一実施形態において、組み立てられると、ハウジングは、実質的に円筒形のポンプ室を画定する。比較的短い流入カニューレは、上部ケーシングと一体化され、心臓の心室への挿入に適合されている。流出ポートは、流入カニューレの軸に対して垂直に向けられる。血液流入カニューレは、直線であってもよく、湾曲していてもよく、または患者の胸腔への血液ポンプの適合を容易にするため、または血流特性を改善するために屈曲されていてもよい。
【0014】
ポンプを駆動するための電磁モータは、血流エリアの外側にある固定された電磁ステータ部分と、血液が流入ポートから流出ポートに移動するように、ポンプ室内の流体圧力を生成するように適合されたポンプ室内の隣接する回転可能なインペラと、からなる。一実施形態において、モータは、離隔されたモータステータ間でポンプ室内に位置決めされたインペラを有するデュアルステータ軸束ギャップ設計である。上部モータステータは、上部または前部ケーシングに隣接するか、上部または前部ケーシングの上に位置決めされ、下部モータステータは、後部または下部ケーシングに隣接して位置決めされている。各モータステータは、インペラをポンプ室内で回転させるためのインペラの対応する磁気エリアとの効率的な電磁結合のために、実質的に円形の鉄芯部材の上に配置される複数の電気コイルまたは巻線を収容する。インペラにおける軸方向の磁気的な予備負荷を下部モータステータのインペラへの磁気衝撃に対向させるように加えるために、上部モータステータは、下部モータステータよりインペラに近い位置に位置決めされてもよい。いくつかの状況において、1つのステータが、同じ目的のために上部ケーシングの上または上部ケーシングに隣接して配置される。一実施形態において、各モータステータは、インペラの回転軸と同軸である。インペラおよび各モータステータは、水平方向の断面において、本質的に円形であり、ポンプの動作中、回転するインペラの半径方向の剛性を促進するために、実質的に同一の直径を有してもよい。電力は、細長い曲げやすいシリンダ内部に保持される複数の電源ケーブルによってコイル巻線に供給される。一実施形態において、曲げやすいシリンダは、シリコンから構成され、ウレタンシースを有してもよい。曲げやすいシリンダは、中に複数の孔を有し、孔のそれぞれが電源ケーブルを保持する。一実施形態において、そのような孔が6つある。
【0015】
インペラは、実質的に円形の周縁部を有し、強磁性物質から形成されてもよい。強磁性物質は、厳密に強磁性である材料のほか、フェリ磁性である材料であってもよい。適切な強磁性物質は、たとえば、圧縮結合されたネオジムまたはアルニコ(アルミニウム−ニッケル合金)であってもよい。強磁性インペラは、所望の構成におけるインペラの種々のエリアの磁化を可能にする。強磁性インペラは、ロータの周囲に気密シールを形成することによって酸化を防止するために、パリレンまたはシリコンなどの有機ポリマーの絶縁保護ポリマーコーティングによって処理されてもよい。この上に、磨滅および摩損に対して保護するために、潤滑性保護コーティングが絶縁保護ポリマーコーティングの上に塗布されてもよい。そのようなコーティングは、クロム窒化物、チタン窒化物またはME92、Med Co2000またはDLCなどの他の市販のコーティングを含んでもよい。適切な強磁性物質は、生体適合性であり、たとえば、白金−コバルト合金が用いられてもよい。磁気材料が生体適合性である場合には、インペラは、生体適合性材料によってコーティングされる必要はない。一実施形態において、インペラは、平面の側壁面および湾曲した側壁面の組み合わせを有する複数の隆起した中実または中空の本体からなり、本体は、インペラ周縁部の周囲で離隔されている。本体のそれぞれの他の外周側壁は、半径方向において凸面であり、曲率半径がインペラの全体的な円形周縁部に対応している。平面の面は、平坦であり、2つの直線状の側壁は、等しくない長さである。等しくない長さの側壁は、約90°の角度で交差するために、本体の凸面の周縁部側壁から内向きに延在している。インペラ本体は、同様に整形されている。いずれの場合にも、それらの容積は、2つの直線状の側壁の交差点から凸面の周縁部側壁まで増大している。インペラは、中心に開かれており、それによってポンプ室の底壁に対して軸方向の血流通路を画定している。インペラ本体の交差側壁は、血栓症および溶血を最小限に抑えるために丸みを帯びている。インペラ本体は、隆起した本体の側壁によって画定されるそれらの間の流体流路によって離隔される。インペラ本体は、インペラをポンプ室内で回転させることを可能にするために、モータステータによって加えられ磁力と相互に作用するように磁化されてもよい。インペラは、ポンプが動作中であるときに、半径方向および軸方向の両方向にポンプハウジングとの接触から磁気的および流体的に浮遊される。1方向に作用している流体的な軸方向の推力は、ポンプの動作中に、上部ポンプケーシングの内面に隣接する隆起した本体の少なくとも1つの上部突出面の上に形成される少なくとも1つの傾斜しているか、またはテーパー状の面エリアによって形成される。一部の実施形態において、そのような軸受面の1つは、複数のそのようなテーパー状の面エリアが、必要に応じて利用されうる上部突出面のそれぞれに形成されてもよい。それぞれのそのようなテーパー状の面エリアは、流体軸受面を画定する。インペラが回転するとき、血液は、軸受面の比較的低圧の前端部で、軸受面と接触し、それによってより高い圧力の出口または後端部を形成する傾斜軸受面によって上部ポンプケーシングの内面に対して圧縮され、インペラに軸方向に作用する流体圧力を増大させる。覆いが、流体の漏れを防止するためにテーパー状の面エリアの内側および外側に形成されてもよい。圧力緩和面は、各傾斜軸受面の出口端部の下流であってこの出口端部に隣接してインペラの上に形成されてもよい。圧力緩和面は、傾斜軸受面から分岐し、それによって、血液をインペラの隆起した本体の間の複数の流体流路の1つに向けることを可能にするために、低い流体圧力のエリアを形成するためにテーパー状である。インペラの底部は、ポンプ室の底壁に平行な実質的に平坦で、滑らかなディスクによって覆われている。隣接するインペラ本体の間の各流路は、円周方向の幅において実質的に均一である。一方のインペラ本体の長い方の側壁は、それらの間の流体流路を画定し、この流体通路に向こう側に隣接するインペラ本体の短い方の側壁に面する。長い方の側壁および短い方の側壁は、流体流路のそれぞれの側面を画定する。この実施形態において、各流路の長手軸は、約90°のいずれかの側面で、隣接する流路のそれぞれの長手軸との角度を画定する。
【0016】
あるいは、インペラ本体は、中空のチタンケーシングとして形成されてもよい。それぞれのそのようなケーシングは、永久磁石を取り付けることができる内部空洞を画定する。それぞれの挿入された磁石は、インペラの底部を覆うキャップ要素または円形ディスクによってこれに関連する空洞の中に保持される。いずれの場合も、キャップまたはディスクは、レーザ溶接などによって、ケーシングに気密封止される。中空のケーシングの間の中実の壁は、インペラの重量を調整するため、および一貫した回転を提供するために、複数の穴を含有してもよい。受動的磁気軸受は、ポンプの動作中、ポストと接触することなく、ハウジング内部の中心ポストを中心としたインペラの回転のための半径方向のインペラ支持材を提供する。一実施形態において、インペラ用の磁気軸受は、対応する永久磁石によって提供される磁気ベクトルの反発力によって生成される。インペラ内部に位置する1つまたは複数のそのような永久磁石によって生成される磁気ベクトルは、インペラがポンプの動作中に接触することなく回転する中心ポスト内部に位置する1つまたは複数の永久磁石から生じる磁気ベクトルに抵抗するように適合される。そのような配置は、回転インペラのための半径方向の剛性を提供し、インペラと中心ポストとの間に開放空間を残し、インペラを通る複数の流体流路の別の部分を画定する。
【0017】
一実施形態において、インペラ内部の磁石と中心ポスト内部の磁石との間の軸方向の位置合わせは、流体推力の結果としてインペラに加えられた軸方向の力に対向する軸方向においてインペラに作用する反発する磁気的な予備負荷力を提供するように調整可能である。磁気的な予備負荷により、インペラはこの底面と下部ポンプケーシングの内面との間で接触しないようにすることができる。これは、インペラの周囲にさらに別の血流路を確保し、インペラが回転するときに、血液はインペラの下からインペラと中心ポストとの間の環状空間を通って上に移動されるため、ポンプ室内の流体圧力で、インペラの下の血液を移動し続けることを可能にする。著しい衝撃を受けた場合には、磁気的な予備負荷はまた、インペラをこの元の位置に戻すのに十分であってもよい。モータの電磁力はまた、補足的な軸方向の磁気的な予備負荷のほか、補足的な半径方向のインペラ支持も提供しうる。磁気的な予備負荷により、インペラはこの底部と下部ポンプハウジングケーシングの下部内面との間で接触しないようにすることができる。動作中、インペラ本体の上部突出面の上で流体推力軸受面によって生成される軸方向の力は、インペラをハウジングの上部壁から離すように移動するが、インペラの下部突出面とハウジングの下部壁との間の血流路を可能にする。ポンプ室内の流体圧力により、血液はインペラの下で移動し続ける。血液は、インペラが回転するとき、インペラの下から開放中心を通って上に移動してもよい。
【0018】
一実施形態において、モータステータは、インペラと同心であり、モータステータとインペラの磁石領域との間の磁石の相互作用が半径方向のインペラの剛性を形成するのに役立つように、実質的に同一の直径を有する。インペラにおける軸方向の予備負荷はまた、インペラの近傍で上部ポンプハウジングケーシングの上にモータステータを位置決めすることによって提供されてもよい。デュアルモータステータの実施形態において、インペラにおける軸方向の予備負荷は、下部モータステータよりインペラに近い位置に上部モータステータを位置決めすることによって提供されてもよい。インペラおよびインペラの独特の構造における軸方向において対向する方向に作用する釣り合いの力の結果として、インペラは、ポンプの動作中、ポンプハウジングの上部ケーシングと下部ケーシングとの間で、効果的に動的に浮遊される。血液は、それによって、溶血または血栓症を生じることなく、インペラを中心として、ポンプ室を通って移動するように強いられる。磁力は、永久磁石、電磁回路またはそのような磁力の両方の発生源の組み合わせによって、生成されてもよいことを理解されよう。インペラおよびインペラの独特の構造における軸方向において対向する方向に作用する予備負荷および流体力の結果として、インペラは、ポンプの動作中、ポンプハウジングの上部ケーシングと下部ケーシングとの間で、効果的に動的に浮遊される。血液は、それによって、溶血または血栓症を生じることなく、インペラを中心として、ポンプ室を通って移動するように強いられる。磁力は、永久磁石、電磁回路、磁化処理またはそのような磁束場のそのような発生源の組み合わせによって、生成されてもよいことを理解されよう。
【0019】
動作の方法は、心臓の左心室に短い流入カニューレの先端を埋め込み、インペラとの機械的接触を生じることなく、インペラを中で回転させることによってポンプ室内の流入血液流体に加圧し、流入血液流体を完全に浸漬するようにするためのポンプ室内で浮遊される回転インペラを位置決めし、インペラ内部でインペラを中心とした少なくとも3つの流路を通って流入血液流体を移動させることを含み、それにより、ポンプ室内の圧力が、血液の連続的な流れをポンプ室への流入からポンプ室への流出にし、流出血液をチューブグラフトを通って大動脈に向けさせる。
【0020】
本発明のさらなる理解のために、添付図面を参照すれば、本発明の性質および付随する利点が容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態による回転式血液ポンプの分解立体図である。
【図2】本発明の実施形態によるインペラの外面エリアの斜視図である。
【図3】流体軸受面を収容する図2のインペラの外面エリアの断面の斜視図である。
【図4】図2のインペラの下側の斜視図である。
【図5】本発明の実施形態による組み立てられた回転式血液ポンプの断面図である。
【図6】本発明の実施形態によるインペラに関する受動的磁気軸受構造の部分の断面図である。
【図7】本発明の実施形態によるインペラを支持して駆動するための磁石アセンブリの分解立体図である。
【図8】本発明の実施形態によるモータステータの上部平面図である。
【図9】本発明の実施形態による埋め込まれた回転式血液ポンプのシステム図である。
【図10】電源ケーブルを保持する曲げやすいシリンダが取り付けられた本発明の実施形態による回転式血液ポンプの上部平面図である。
【図11】電源ケーブルを保持するために、複数の孔を示す本発明の曲げやすいシリンダの断面である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面に示されている本発明の実施形態を記載するときに、特定の用語が、わかりやすくするために用いられる。しかし、本開示は、そのようにして選択された特定の用語に限定することを意図しているわけではなく、各特定の要素が、類似の態様で動作するすべての技術的等価物を含むことを理解すべきである。
【0023】
ここで図1を参照すると、実質的に円形の前部または上部ポンプケーシング1と、上部ポンプケーシング1と相互に嵌合する等しい直径である実質的に円形の後部または下部ポンプケーシング2と、からなり、それらのケーシングの間に閉鎖されたポンプ室を形成するポンプハウジングを有する回転式血液ポンプ10が示されている。上部ポンプケーシングおよび下部ポンプケーシングの構成は、組み立てられたポンプハウジングが中に実質的に円筒形のポンプ室3(図5)を画定するようになっている。一実施形態において、ポンプ室は、45ccの変位容量を有する。上部ポンプケーシング1は、下部ポンプケーシング2の周縁部から突出する対応する複数の位置決めピン6を受け入れるための複数の周縁部位置決め穴4を有してもよい。位置決め穴4および位置決めピン6の構成は、回転式血液ポンプ10が組み立てられると、上部ポンプケーシング1および下部ポンプケーシング2が、適正な位置で相互に嵌合することを保証する。上部ポンプケーシング1と下部ポンプケーシング2との間の接触エリアは、たとえば、ねじまたは化学シーラントを用いて封止されてもよい。
【0024】
図1に示される実施形態において、血液は、心臓の心室への先端挿入に適合した軸方向の入口カニューレ7を通じてポンプに供給される。カニューレ7は、上部ポンプケーシングに固着されているか、上部ポンプケーシングと一体であってもよく、ポンプ10のポンプ室3と流体連通状態にある。図5の断面図に図示されているように、流入カニューレ7の実施形態は、2個構成設計であり、外側円筒形部分8および同軸の内側円筒形部分9からなる。流入カニューレ7の外側円筒形部分8は、上部ポンプケーシング1の外面に適切な封止可能な態様において溶接されてもよい。内側円筒形部分9は、ポンプが装着されて動作中であるときに、血液用の注入口チャネル11を画定する。部分8および9は、図1に示されたカニューレの外端部12で共にレーザ溶接されてもよい。一実施形態において、外側部分8の外径は、約0.81インチであり、内側部分9の内径は、約0.50インチである。
【0025】
一実施形態において、ポンプ室は、ポンプの動作中に血圧が増大するときに、半径方向におけるインペラの位置の変化を回避するために、渦型室または拡散体部分と流体連通状態にある。上部ポンプケーシング1および下部ポンプケーシング2は、上部ハウジングケーシングおよび下部ハウジングケーシングの一部としてそれぞれ形成される1対の相補的な上部半円部分14および下部半円部分16によって、拡散体を共に画定する。部分14および部分16は、短い開放型の円筒形の拡散体チューブを共に画定する。拡散体は、ポンプの周縁部の周囲に完全に延在し、接線方向の放出口ポート13(図5)で終わる。一実施形態において、拡散体部分の断面は、この長さに沿って注入口端部から放出口13の最大まで広がる。血液は、注入口カニューレ7の長手軸に対して実質的に垂直な方向において、放出口13を通ってポンプ室3から出る。この配置は、心膜の空間にポンプを位置決めするのに解剖学的に好都合であることが分かっている。ポンプが装着されて動作中であるとき、放出口13は、図9に示されている流出グラフト17に接合されるように適合されている。この流出グラフト17は、今度は大動脈18に適切に接続されている。一実施形態において、ポンプハウジングまたはケーシングおよびカニューレは、チタン、生体適合性チタン合金または生体適合性セラミック材料から構成されてもよい。ポンプ構造は、チタンまたはチタンの合金から機械加工されてもよい。あるいは、カニューレを含むポンプ構造は、セラミック材料から完全に形成されてもよい。
【0026】
心臓の心室へのカニューレ7の封止は、上部ポンプケーシング1付近でカニューレの外側円筒形面に形成される周縁部のリング溝19(図5)を用いて達成されてもよい。リング溝には、同一出願人の米国特許第6、732、501号の実施例によって記載されたタイプの心室のコネクタ[図示せず]の縫いリング(sewing ring)に漏れ防止シールを提供するために環状のOリングが取り付けられている。別の実施形態によれば、周縁部のリング溝は不必要であり、漏れ防止シールを確保するために、カニューレの周囲のOリングが、縫いリングに組み込まれてもよい。
【0027】
図1に関連して、モータロータまたはポンプインペラ22は、上部ポンプケーシング1と下部ポンプケーシング2との間でポンプ室3の内部に位置決めされる。インペラ22は、断面において円形であり、1インチおよび1.25インチの直径を有してもよい。インペラは、中心穴23を備えてもよい。中心ポストまたはスピンドル24は、下部ポンプケーシング2に取り付けられ、ポンプが以下に詳細に記載される態様で、インペラの回転を支持するように組み立てられるとき、インペラ穴23を通ってこの軸方向の中心から突出する。中心ポスト24は、周縁部の下部フランジ26を備え、このフランジ26によって、下部環状セラミックディスク27が下部ポンプケーシング2の内面に保持される。一実施形態において、中心ポスト24の外径とインペラ穴23の直径との間のギャップは、0.019インチ〜0.029インチの範囲にある。中心ポスト24の上部部分は、円錐面28として形成される。中心ポストの円錐面28の大部分は、ポンプの動作中、インペラ穴23の上に突出する。一実施形態において、円錐形状の曲率半径は、比較的一定の0.389インチである。一実施形態において、円錐の先端は、鋭い点である必要はなく、混合半径0.010インチである。
【0028】
回転インペラによって係合されている場合には、動作中、心臓の心室からカニューレ7に入る血液は、軸方向に中心ポスト24の円錐面を通過してポンプ室3に達する。カニューレ7からポンプ室に入る血液は、カニューレから出る軸流からインペラ22が中に浸漬されている軸流に再指向される。回転インペラは、以下に詳細に記載される旋回するインペラの構成の結果として、血液を半径方向に推進して旋回運動にし、ポンプ室の周縁部における拡散体内部を放出口13へと移動する。
【0029】
上部ポンプケーシング1は、ポンプの電気モータに電力を供給するために電源および制御ケーブル用のコネクタおよびヘッダを通じた電気供給線の上半分29を包含してもよい。下部ポンプケーシング2は、電気ヘッダの対応する下半分31を包含してもよい。ポンプが組み立てられると、上半分29および下半分31は互いに嵌合してヘッダを形成し、このヘッダを通じで供給電線が電磁モータステータに接続される。一実施形態において、供給電線は、白金である。ピーク(PEEK)ヘッダは、外部駆動ケーブルに供給電線を接続するために用いられてもよい。ヘッダは、ピークまたはテコタン(Tecothan)またはポリスルホンなどの適切なプラスチックなどの材料から構成されてもよい。ヘッダはまた、医療用エポキシから構成されてもよい。図10に関連して、ピーク前部ポンプヘッダの上半分29は、歪み緩和部分81を介して伝染ケーブルに接続されることが示されている。歪み緩和部分は今度は、曲げやすい細長いシリンダ82に接続され、所望である限り、コントローラ(図示せず)の出力であってもよい。適切な外部電源に達してもよい。電源に接続するためのコネクタおよびロッキングプラグデバイス83は、この遠方端部でチューブ82に固着される。曲げやすいシリンダは、ポンプへの電力を搬送するために、複数の電源ケーブルを保持するように適合されている。一実施形態において、曲げやすいシリンダは、シリコンから構成される。曲げやすいシリンダは、外部摩耗抵抗のために、薄いウレタンシース(図示せず)によって覆われていてもよい。ウレタンなどの他の生体適合性材料が、本発明の範囲を逸脱することなく、曲げやすいシリンダのために用いられていてもよいことは当業者によって理解されよう。図11を参照すると、曲げやすいシリンダ82は、円形の断面を有する複数の孔84を包含し、この孔のそれぞれを通って、個別の電源ケーブルが通されている。一実施形態において、シリンダの中心を中心にして、略円形の構成にこの周縁部に隣接するように離隔される6個のそのような孔がある。各孔の中心は、約60°離隔されている。一実施形態において、曲げやすいシリンダの直径は、約0.138インチであり、各孔の直径は、約0.034インチである。そのような孔は、約0.029インチの直径を有する電源ケーブルを保持するように用いられることができる。ケーブルチューブ82内部の個別の孔を用いることによって、個別の電源ケーブルは共にこすれることがないため、余分な疲労抵抗という利点を得る。さらに、交換が必要な場合には、ポンプの任意の停止時間を最小限に抑えるために、同時に1つの電源ケーブルが交換されることができることから、現場での交換が、可能である。歪み緩和機構86は、遠方コネクタおよびロッキングプラグデバイスに隣接して用いられてもよい。
【0030】
ここで図2を参照すると、インペラ22が、さらに詳細に示されている。この実施形態において、インペラは、断面において実質的に円形であり、円周方向に配置された複数の同一の実質的に中空の隆起した本体32を有する。隆起したインペラ本体32のそれぞれは、水平面において略直角三角形の断面を有し、湾曲した斜辺が「インペラの周縁部」の部分を画定している。一実施形態において、4つのそのような隆起したインペラ本体があり、これらの中間の点は、約90°離隔されている。
【0031】
隆起したインペラ本体32は、インペラの中央部分から周囲のポンプ室への血液の流れを可能にするように適合されたフロースロットまたはチャネル33によって離隔されている。一実施形態において、スロット33のそれぞれの幅は、約0.150インチである。フロースロット33は、インペラに対して平行に延在しているが、インペラの直径からずれている等しくない長さの垂直平面側壁33aおよび33bによって画定されている。一実施形態において、インペラの直径に最も近い側壁、たとえば図2の側壁33aは、直径から約0.164インチずれている。スロット33のそれぞれは、下向きに傾斜している底面33cを有し、この底面33cは、水平方向と約32°の角度を成す傾いた傾斜路を構成する。インペラの周縁部にあるフロースロット33の出口点は、約90°離隔されている。各傾斜路面33cは、両側でフロースロットの対応する長手軸と長手方向において直角である。
【0032】
流入カニューレ7に入る血液用の主要流路は、中心ポスト24の円錐面28に当たり、フロースロットまたはチャネル33を介してポンプ室に注入することになっている。示されているように、回転インペラは、ポンプ室における流体圧力を増大させ、流入ポート11から流出ポート13への血液の連続的な移動を結果として生じる。
【0033】
各インペラブロック32の上面は、軸方向の流体軸受面を画定する湾曲されてテーパー状または傾いた傾斜路34を備えている。一実施形態において、各傾斜路面34は、比較的低い流体圧力の入口エリア36から比較的高い流体圧力の出口エリア37まで時計回り方向に上向きに螺旋を描いている。軸受面34の傾斜角は、水平方向に対して1°未満である。インペラ22が回転中であるとき、正味の軸方向の下向きの圧力が、各隆起したインペラ本体の上部突出面に印加された結果、流体軸受面を通過する血液が上部ポンプケーシング1の隣接する内面に対して増大する力によって圧縮されるように、側壁33aは、前縁を画定する。動作中、軸受面34と隣接するハウジング面との間の血液層の厚さは、流体粘性、インペラ回転速度およびインペラ軸受の幾何構成の関数である。流体粘性が増大すると、流体層の厚さが増大する。回転速度が増大すると、流体層の厚さが増大する。インペラにおける正味の軸方向の流体圧力と、インペラが以下に記載される磁気的な予備負荷によって部分的にポンプ室内で浮遊されるという事実のために、各軸受面34から隣接する上部ケーシング面までの距離は、回転速度および流体粘性に関して変化することができる。しかし、一実施形態において、この距離は、0.003インチ〜0.020インチの範囲内にある。
【0034】
各隆起したインペラ本体32はまた、軸受面34の下流に圧力緩和面38を形成するくさび形状のエリアを有してもよい。圧力緩和面38は、血液の剪断応力および溶血を最小限に抑えるために流体圧力の制御した予測可能な低下を確保する。さらに、各圧力緩和面は、ポンプ室内の血液のための第2の流路を画定するのに役立ち、それによって、軸受面34から出る血液が、隣接する圧力緩和面にわたって、次の下流のインペラフロースロットまたはチャネル33に再流入され、そこからポンプ室の拡散体部分を画定する横方向の環状空間に再流入される。
【0035】
各インペラ本体の上面における比較的平面のエリアは、軸受面34の各出口端部37と関連する圧力緩和面38との間の実質的に平面のブリッジ面39を画定する。一実施形態において、その最も狭い点におけるブリッジ面39のそれぞれの幅は、約0.050インチであり、妥当な許容差は、±.028インチである。そのような実施形態において、圧力緩和面38は、水平方向に対して2〜4°の角度で傾斜されていてもよい。
【0036】
ここで図3を参照すると、流体軸受面34の1つが斜視図において示されている。各軸受面は、前縁の実質的に垂直な側壁、たとえば、スロット33の側壁33(図2)との接合縁41を画定する入口エリア36から出口エリア37まで略均一な幅である。一実施形態において、接合縁41は、比較的鋭く、0.010インチ未満の最大曲率半径を有し、0.005インチ以下程度に小さい。示されているように、各軸受面34は、水平方向に対して1°未満の角度で入口端部36から上向きに傾斜されており、略平坦なブリッジ面39で終わる。
【0037】
一実施形態において、各軸受面34は、それぞれ内側覆い43および外側覆い44によって、対向する側でこの長さに沿って境界がなされている。外側覆いの外面は、インペラの周縁部の面の部分を画定する。動作中、内側覆い43および外側覆い44は、軸受面の側面からの流体漏れを効果的に最小限に抑え、それによって、軸受面と係合する血液の保持を支援して、流体層の厚さを最大にし、流体の剪断応力を最小限に抑える。覆いはまた、軸受面の出口端部37に向かって血液を案内し、そこから圧力緩和面38の上を流れ、次に下流のフロースロット33に流れ込むように機能する。覆い43および44のそれぞれの上面は、比較的平面または平坦であり、一実施形態において、それぞれは0.020インチ以上の幅を有する。覆い43および44のそれぞれの上面は、軸受面34の入口端部36より約0.230インチ高くてもよい。軸受面の出口端部37で、覆い43および44の上面および軸受面は、平坦なブリッジ面39に融合されてもよい。
【0038】
一実施形態において、隆起したインペラ本体32のそれぞれの上には、内向きに面し、下向きにテーパー状の湾曲部分46が内側覆い43の内側にある。各部分46に関する軸方向の降下距離は、約0.012インチであり、テーパー状の角度は、約8°である。部分46は、中心ポスト24の円錐面28からインペラの中心部分まで偏向された血液を向けるのに役立ち、次に、そこからインペラ本体32の間に形成されるスロット33の中に流れ込む。
【0039】
上部ポンプケーシング1の内面は、下部ポンプケーシング2の内面にある下部セラミックディスク27と類似の上部環状セラミックディスク(図示せず)を備える。上部セラミックディスクは、ポンプの始動時の摩擦を最小限に抑えるために機能する。カニューレ7の内側円筒形部分9の内側端部に形成される環状フランジ40(図5)が、上部セラミックディスクを所定の位置に保持するように機能する。セラミックディスクは、インペラ内部のモータステータ(以下に記載される)とロータ磁石との間の電気損失を低減するほか、インペラ上面に流体推力軸受のために正に平面を提供する。インペラが静止しているとき、インペラは、上部セラミックディスクの面に対して着座する。始動中に。回転速度がインペラに与えられると、インペラは、上部セラミックディスクから上昇し、以下に述べるように、完全に浮遊されている状態となる。インペラは、ポンプの始動処理および停止処理中の磨滅を最小限に抑えるために、チタン窒化物によってコーティングされてもよい。
【0040】
インペラは、磁気的に等方性の合金からなる1つの一体構造であってもよい。インペラまたはサブアセンブリをコーティングする必要性を回避するために、上述したタイプの1個構成のインペラの材料は、生体適合性であってもよい。適切な磁気的に等方性の生体適合性材料の実例は、約77.6(重量)%の白金および22.4(重量)%のコバルトからなる合金である。そのような1個構成のインペラは、複数の部品から形成されるインペラより、製作しやすく、かつ製作費用が少なくて済む可能性がある。各隆起したインペラ本体32は、磁化された部分を有してもよい。そのようなインペラの磁化は、比較的強力な磁界に対する曝露などの当分野では公知の技術によって行われてもよい。一実施形態において、インペラ本体のそれぞれの隆起した突出面は、磁極を提供するために磁化されてもよい。インペラの磁極は、モータステータ69(図5)によって提供される磁極を用いて磁気的に連結し、それによって、ステータの一方または両方が両方の磁気駆動力を提供することを可能にし、インペラをポンプ室内で回転させ、磁気的に軸方向および半径方向に支持させる。一実施形態において、1つおきの上部突出面が、同一の磁極に磁化されるのに対し、その間の突出面は、対向する磁極を有するように磁化される。たとえば、上部突出面が北磁極を有する場合には、両側の各突出面は、南磁極を有する。磁極の特定の配置は、本発明の範囲を逸脱することなく、必要に応じて決定されてもよい。インペラを駆動するモータステータコイルが、インペラに用いられる相補的なパターンで磁極を提供することは理解されよう。
【0041】
ここで図4を参照すると、インペラ22の下側面が斜視図において示されており、各隆起したインペラ本体32が複数の内部空洞またはポケット47を画定するようにくり抜かれている。断面において、各ポケット47は、この境界を画定する隆起したインペラ本体にサイズおよび形状において実質的に対応する。それぞれのそのような隆起したインペラ本体の上部突出面は、この下の内部空洞の上部を画定する流体軸受面を包含する。一実施形態において、ポケットのそれぞれの外側の湾曲した境界は、インペラと同心であり、インペラの中心に対する角度を約56.5°に定める。インペラの中心に対するそれぞれのそのようなポケットの内径は、約0.4インチであり、外径は、約0.665インチである。ポケットは、インペラの周縁部の周囲に約90°離隔して位置決めされる。以下に詳細に述べるように、ポケット47は、インペラ用のモータ駆動システムの一部を形成するロータ磁石を収容するように適合されている。ポケット47は、インペラと一体に形成され、実質的に水平の平坦な下面または湾曲縁部分51で半径方向の内向きで終わるシェルフ48を画定する複数の実質的に等しいサイズの内向きに突出する壁部材48によって離隔される。一実施形態において、4つのそのような壁部材があり、壁部材のそれぞれは2つのポケットの間に位置付けられる。各壁部材およびポケットは、対応する壁部材またはポケットに正反対に位置付けられる。縁部分51は、インペラの周縁部と実質的に同心であり、実質的に垂直で内向きに面する曲面52の境界を画定する。
【0042】
中空のシリンダ53は、軸方向に内向きに突出し、インペラの中心穴23を画定する。一実施形態において、中心穴は、直径約0.437インチである。ポンプが組み立てられると、中心ポスト24は、シリンダ53を通ってポンプ室まで延在する。一実施形態において、シリンダ53の内径と中心ポスト24の外径との間の半径方向のギャップは、約0.022インチである。
【0043】
環状空洞または空間54は、中空のシリンダ53と曲面52との間に形成される。この実施形態において、環状空間54は、約0.437インチの内径および約0.575インチの外径を有し、以下に詳細に述べるように、受動的磁気軸受構成要素を収容するように適合されている。
【0044】
壁部材48のそれぞれは、ポンプの動作中、インペラの釣り合いのとれた均等な回転を確保するために形成される1つまたは複数の釣り合い孔または穿孔56を備えていてもよい。一実施形態において、各壁部材は、インペラの半径に沿って並んで位置付けられる1組の等しくない深さで略等しい直径の2つの孔を備える。この実施形態において、インペラの中心に最も近い釣り合い孔の深さは、約0.10インチであり、最も遠い釣り合い孔の深さは、約0.25インチである。各組の孔は、別の組の孔に正反対に位置付けられ、それによって、対向する2組の孔の最も外側の孔の間の直径に沿った距離は、約1.22インチであり、組の最も内側の孔の間の直径に沿った距離は、約1.02インチである。
【0045】
図5に関連して、本発明の実施形態による組み立てられた回転式血液ポンプの断面図を示している。上部ケーシング1は、それにこの注入口チャネル11を有する流入カニューレ7を固着している。流出ポート13は、半円の管状延長部14および16の接合によって形成される。中心ポスト24は、下部ケーシング2の底部を通ってポンプ室に上向きに延在している。
【0046】
図5および図6に関連して、一実施形態において、インペラ浮遊システムは、中心ポスト24に対する半径方向のインペラ支持材を提供するために、受動的磁気軸受を利用する。受動的磁気軸受は、インペラブレード32のそれぞれに関連して上述した流体推力軸受によって生成される力によって、耐えられるように適合されている軸方向に向けられた磁気的な予備負荷を提供するように調整可能である、一実施形態において、上記受動的磁気軸受の1つの部分は、中心ポスト24内部で包囲される永久軸受磁石57の積層56によって形成されている。積層56は、ポンプインペラ22の回転軸に沿って上下に配置され、同軸に整列される3つのリング形状の永久磁石57からなってもよい。リング磁石57のそれぞれは、0.10インチ未満の軸方向の高さおよび約0.34インチの外径を有する。
【0047】
一実施形態において、図6において最もよく分かるように、3つの中心ポスト軸受磁石57のそれぞれが、たとえば、上に北、下に南(N−S)または上に南、下に北(S−N)のいずれかである軸方向に向けられた磁気ベクトルを提供してもよい。したがって、中心ポスト軸受磁石57の積層は、積層内の磁石の分極が、必要に応じて、N−S、S−N、N−SまたはS−N、N−S、S−Nであってもよいように交互の磁性を有してもよく、それによって、積層56の各リング形状の磁石57によって確立された磁力が、軸方向においてこの隣接する磁石に反発するように作用する。
【0048】
各磁石間に反発力があるように、磁石は、軸方向に位置決めされる中心ポストロッド58との適切な係合によって、同軸関係に固定されるか、または他のふうに機械的に保持されてもよい。リング磁石を所定の場所に保持することを保証するために、各磁石は、磁石の上および下に、薄いリング形状のスペーサまたはワッシャ59を備えていてもよく、一番上のスペーサは、中心ポストロッド58の上部付近に形成される突出する円形のフランジ61の下に係合し、磁石をそれらの同軸配置に保持することを支援する。スペーサ59はまた、積層された磁石の近傍によって発生した消磁を最小限に抑えるように機能してもよい。一実施形態において、それぞれのそのようなスペーサは、0.015インチ未満の厚さを有する。あるいは、所望である場合には、スペーサは、磁石57によって生成される磁束を軸方向に再指向して、集束させるための磁束集束器として作用するように適合されていてもよい。中心ポスト24内部に積層56を形成する永久磁石の磁気ベクトルに関する別の実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなく、採用されてもよい。たとえば、N−Sの配向は、半径方向であり、左が北であり、右が南であってもよい。
【0049】
インペラに関する受動的磁石軸受の他の部分は、インペラ内部に配置され、シリンダ53を包囲するリング形状の永久磁石63の別の積層62によって形成される。積層62は、3つのリング形状の永久磁石63からなってもよい。図6に示されているように、各インペラ軸受磁石63は、たとえば、上に北、下に南(N−S)または上に南、下に北(S−N)のいずれかで軸方向に向けられる磁気ベクトルを有する。一実施形態において、インペラ磁石63の積層の磁石の極配置は、中心ポスト軸受磁石57の積層の磁極配置に対応する。したがって、中心ポスト軸受磁石57の積層が、N−S、S−N、N−Sに向けられたこの磁気ベクトルを有する場合には、インペラ磁石63の隣接する積層62の磁気ベクトルもまた、N−S、S−N、N−Sであってもよい。十分に半径方向に向けられた磁束集束があるという条件であれば、磁気ベクトルのそのような配置などは、対応する積層56と62との間の反発力を誘発することになり、それによって、動作中、回転インペラとこの固定された中心ポストとの間の半径方向に作用する磁気軸受を確立することになる。一実施形態において、インペラ内部のリング形状の磁石63の内径および外径はそれぞれ、約0.44インチおよび0.52インチであり、インペラ内部のリング形状の磁石63と中心ポスト24内部のリング形状の磁石57との間の半径方向の距離は、約0.050インチである。
【0050】
図5に関連して、一実施形態において、インペラ磁石積層62に対する中心ポスト磁石積層56の軸方向の整列は、上部ケーシング1に向かってインペラを偏らせる選択された軸方向の予備負荷力を提供するように調整可能であってもよい。一実施形態において、中心ポスト24におけるフランジ26は、下部ポンプケーシング2に対して所定の位置に中心ポストを保持する。中心ポストロッド58は、中心ポストを通って上向きに延在し、ロッド58の下部端部と螺合する適切な調整螺子66によって、中心ポスト内部で軸方向に移動可能である。適切なねじ密度は、1インチ当たり64ねじ条程度であってもよい。
【0051】
調整ねじは、中心ポストロッド58の軸方向の位置を調整するために、下からインペラと係合可能なキャップ67を有し、それによって、インペラ軸受磁石および中心ポスト軸受磁石を整列する。したがって、中心ポストロッド58は、下向きに移動されてもよく、たとえば、図5および図6に示されているように、それによって、中心ポスト磁石積層56をインペラ磁石積層62に対して下向きに移動してもよい。対応する磁石積層56と62との間の位置ずれが図5および図6に示されている位置に略達するとき、インペラ積層のN−S、S−N、N−S磁気ベクトルと中心ポスト積層のN−S、S−N、N−S磁気ベクトルとの間の反発力が、上部ポンプケーシング1に向かってインペラを偏らせ、上部ケーシングの内面付近でのインペラの動作を維持するのを助ける予備負荷による軸方向の力を提供することは明白である。所望の磁石整列が確立されると、キャップ67は、気密封止を確立し、調整ねじの意図しない移動を防止するために、中心ポストに溶接されてもよい。調整ねじは、それによって、下部ポンプケーシング2の外面で封止される。積層56の軸方向の位置を調整するために適した他の機械的配置が、本発明の範囲を逸脱することなく、採用されうる。
【0052】
ポンプが作動されると、軸受磁石の対応する積層間のずれによって発生した軸方向の上向きに向けられた磁気的な予備負荷力が、インペラ上面で流体推力軸受によって生成される軸方向における下向きの力に対して釣り合いを取る。したがって、インペラは、軸方向および半径方向において、浮遊され、ポンプ室を満たす血液内部に浸漬されてもよい。内側磁石軸受アセンブリ56および外側磁石軸受アセンブリ62は、このように共に作動し、主要な半径方向および軸方向の剛性を提供し、磨滅を回避し、ポンプを介して移動される血液のためのさらに別の開放流路の存在を確保する。この流路は、インペラフロースロット33から出た後に流体が収集されるハウジングからインペラの下を経て、中心ポストと、上述した受動的磁気軸受によって維持されるインペラとの間の環状ギャップを通って上に達するまでであり、そこから血液がインペラフロースロット33を通って上述した主要流路に再流入される。インペラが上部ケーシング1の内面付近で動作中であるときに限り、上述したインペラ流体推力軸受は、軸方向の剛性を提供する。
【0053】
上述したように、本発明のポンプは、インペラを駆動するための3相デュアルステータ式軸方向磁束ギャップモータを含んでもよい。デュアルステータモータの利点は、他方のステータが機能することに失敗した場合であっても、ステータの一方がインペラを回転させるために用いられることができることである。一実施形態において、下部ステータは、上部ステータとのこの磁石の相互作用から生じるインペラの正味の軸方向の予備負荷を低下させないようにするために、上部ステータよりインペラ22から遠くに離隔される。図5および図7に関連して、インペラは、1組の4つの駆動磁石68を備えている。各駆動磁石68は、インペラの下側でインペラの隆起した部分32の内部に形成されるポケットまたは空洞47(図4)の1つの中に包含される。駆動磁石68は、適切な環状基部板70によってインペラ内部で包囲されている。
【0054】
図5に示されているように、一方のステータは、上部ポンプケーシング1のインペラの上に位置決めされ、他方のステータは、下部ポンプケーシング2のインペラの下に位置決めされる。各ステータは、複数のモータ駆動巻線69および後部鉄リング71を包含する。モータ駆動巻線69は、導電線のコイルからなり、断面において円形であってもよく、必要に応じて、他の適切な断面構成を有してもよい。図8に示される一実施形態において、コイルは、断面において円形であり、各ステータは、それぞれの後部リングの外側に配置される6個のそのようなリングからなる。コイルは、コイル軸がリングの面に対して垂直であるように、後部リングに配置される。当業者によって理解されるように、モータ駆動コイル69は、インペラを回転させるために、インペラ駆動磁石68の磁界と相互に作用する電磁界を生成する。後部鉄リング71は、駆動磁石によって生成される磁束を強化するように機能する。モータステータコイルによって生成される磁力はまた、第2の半径方向のインペラおよびインペラに対する軸方向の磁気的な予備負荷支持を提供する。結果は、インペラが正常動作中に半径方向および軸方向の両方において動的に釣り合いが取られている状態となる。1つのステータのみが本発明のポンプモータを作動するため必要とされることは理解されよう。1つのステータアセンブリが故障した場合であっても、他のステータアセンブリがモータを作動するため、作動電力消費が増大するが、2つのステータアセンブリが望ましい。
【0055】
各ステータは、ステータ缶72、73内部に包含される。各ステータ缶は、このそれぞれのポンプケーシングに気密封止され、一実施形態において、モータ駆動磁石68に最も近くで、厚さ0.007インチ未満の薄い壁を有する。薄い壁により、インペラとステータとの間にセラミックディスクを用いることが可能である。各ステータは、結合された外部ヘッダまたはコネクタ29および31への電気接続のための気密供給配置を有することができる。
【0056】
図9は、本開示の実施形態による埋め込み型回転式血液ポンプを示している。流入カニューレ7は、患者の心臓76の左心室74に先端が挿入される。血液運搬グラフトまたはチューブ17が、回転式血液ポンプの血液放出口を患者の大動脈18に接続する。電源および制御ケーブル77は、電源79を有するコントローラ78に接続されてもよい。コントローラ78および電源79は、患者の体内に埋め込まれてもよく、または患者に装着されてもよい。コントローラは、デバイスがどのような動作しているかに関する情報を臨床医に提供し、実行状態と、必要であれば、インペラの回転速度の警告状態および制御と、を提供するために用いられる。たとえば、インペラの回転速度は、パルス駆動波形を用い、駆動パルスがゼロであるときに、ロータの逆起電力を測定することによって、制御されてもよい。そのような技術は、国際特許出願番号第01/05023 A1号を有する同一出願人の国際出願番号PCT/US00/40325号に記載され、参照によって本願明細書に援用されるものとする。
【0057】
上述の特定の実施形態は、例示であり、種々の変形が本開示の精神または添付の請求項の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に導入されることができる。たとえば、異なる例示の実施形態の要素および/または特徴は、本開示および添付の請求項の範囲内で、互いに組み合わせられてもよく、および/または互いに置換されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部内面および下部内面を備え、血液注入口および接線方向の血液放出口を有するポンプ室を画定するハウジングと、
前記ポンプ室内にあって、前記ポンプ室内の血圧を増大させて、血液を前記血液放出口に移動させるように適合される回転可能なインペラと、を備え、前記インペラは、前記ポンプ室の前記上部内面に隣接する少なくとも1つの隆起した面エリアを有し、
前記隆起した面エリアの第1のテーパー状の領域は、前縁部分および後縁部分を有し、前記第1のテーパー状の領域と前記ハウジングの前記上部内面との間のギャップが、前記前縁部分から前記後縁部分まで減少し、前記インペラが回転中であるときに、前記インペラを前記ハウジングの前記上部内面から軸方向に偏らせるために流体推力負荷を生成するようになっており、
前記隆起した面エリアの第2のテーパー状の領域は、前記第1のテーパー状の領域の前記後縁部分に隣接する前縁部分と、後縁部分と、を有し、前記第2のテーパー状の領域と前記ハウジングの前記上部内面との間のギャップが、前記第2のテーパー状の領域の前記前縁部分から前記後縁部分まで増大し、血液が、溶血を生じることなく前記隆起した面エリアを横断する回転式血液ポンプ。
【請求項2】
前記インペラは、回転軸に対して垂直である平面において実質的に円形の断面を有する請求項1に記載の血液ポンプ。
【請求項3】
前記第1および第2のテーパー状の領域のそれぞれは、前記インペラの周縁部に隣接し、前記インペラの回転方向においてテーパー状である請求項2に記載の血液ポンプ。
【請求項4】
前記第1のテーパー状の領域は、湾曲しており、前記インペラの前記周縁部の曲率半径と実質的に同一である曲率半径を有する請求項3に記載の血液ポンプ。
【請求項5】
前記第2のテーパー状の領域は、実質的に三角形であり、この外縁が前記インペラの前記周縁部の部分を構成する請求項4に記載の血液ポンプ。
【請求項6】
前記ポンプ室の前記上部内面に隣接する少なくとも4つの前記隆起した面エリアを備え、前記隆起した面エリアの隣接するエリアが、前記インペラの前記周縁部に延在し、前記インペラの前記周縁部に出口を画定するチャネルによって離隔される請求項5に記載の血液ポンプ。
【請求項7】
前記隆起した面エリアのそれぞれは、前記第1および第2のテーパー状の領域のそれぞれを備える請求項6に記載の血液ポンプ。
【請求項8】
前記第2のテーパー状の領域のそれぞれの前記後縁部分は、前記チャネルの1つの側壁の上部に沿って出口縁を画定する請求項7に記載の血液ポンプ。
【請求項9】
前記第1のテーパー状の領域のそれぞれの前記前縁部分は、前記チャネルの別の前縁側壁の前記上部に沿って入口縁を備え、前記入口縁のそれぞれの曲率半径は、約0.010インチ未満である請求項8に記載の血液ポンプ。
【請求項10】
前記チャネルの前記出口は、実質的に90°離隔される請求項9に記載の血液ポンプ。
【請求項11】
前記第1のテーパー状の領域のそれぞれのテーパー状の角度は、水平方向に対して1°未満である請求項10に記載の血液ポンプ。
【請求項12】
前記第1のテーパー状の領域のそれぞれの前記曲率は、前記インペラの前記周縁部と同心であり、前記第1のテーパー状の領域のそれぞれは、この長さに沿って実質的に均一な幅である請求項4に記載の血液ポンプ。
【請求項13】
前記第1のテーパー状の領域と前記ハウジングの前記上部内面との間の前記ギャップは、約0.003インチ〜0.020インチより小さい請求項1に記載の血液ポンプ。
【請求項14】
前記第2のテーパー状の領域のそれぞれのテーパー状の角度は、前記水平方向に対して2〜4°の範囲内である請求項13に記載の血液ポンプ。
【請求項15】
前記チャネルのそれぞれは、実質的に32°の角度で、前記インペラの実質的に前記底面から内向きに延在する傾斜底面を備える請求項6に記載の血液ポンプ。
【請求項16】
前記ハウジングは、セラミック材料から形成される請求項1に記載の血液ポンプ。
【請求項17】
前記ハウジングの前記上部内面は、セラミックディスクを備える請求項1に記載の血液ポンプ。
【請求項18】
前記ハウジングの前記下部内面は、セラミックディスクを備える請求項1に記載の血液ポンプ。
【請求項19】
前記インペラは、約77.6重量%の白金および22.4重量%のコバルトからなる合金から構成される請求項1に記載の血液ポンプ。
【請求項20】
複数の外部電源ケーブルの近い端部との電気接続のために適合される電気コネクタを備える請求項1に記載の血液ポンプ。
【請求項21】
前記外部電源ケーブルの遠い端部が、前記血液ポンプを駆動するための電源に電気的に接続される請求項20に記載の血液ポンプ。
【請求項22】
前記電源ケーブルが埋め込まれる曲げやすい細長いシリンダを備える請求項21に記載の血液ポンプ。
【請求項23】
前記曲げやすいシリンダは、シリコンから形成される請求項22に記載の血液ポンプ。
【請求項24】
前記曲げやすいシリンダは、複数の長手方向の孔を備え、前記孔のそれぞれは、前記電源ケーブルの1つを包含する請求項23に記載の血液ポンプ。
【請求項25】
前記曲げやすいシリンダは、6つの前記孔を備える請求項24に記載の血液ポンプ。
【請求項26】
前記第1のテーパー状の領域の前記後縁部分および前記第2のテーパー状の領域の前記前縁部分は、実質的に同一の高さである請求項1に記載の血液ポンプ。
【請求項27】
上部内面および下部内面を備え、血液注入口および接線方向の血液放出口を有するポンプ室を画定するハウジングと、
前記ポンプ室内にあって、前記ポンプ室内の血圧を増大させて、血液を前記血液放出口に移動させるように適合される回転可能なインペラと、を備え、前記インペラは、前記ポンプ室の前記上部内面に隣接する少なくとも1つの隆起した面エリアを有し、
前記隆起した面エリアの第1のテーパー状の領域は、前縁部分および後縁部分を有し、前記第1のテーパー状の領域と前記ハウジングの前記上部内面との間のギャップが、前記前縁部分から前記後縁部分まで減少し、前記インペラが回転中であるときに、前記インペラを前記ハウジングの前記上部内面から軸方向に偏らせるために作用する流体推力負荷を生成するようになっており、前記第1のテーパー状の領域のそれぞれは、この内側境界および外側境界のそれぞれに沿って前記前縁部分から前記後縁部分まで延在する覆いを有する回転式血液ポンプ。
【請求項28】
前記ポンプ室の前記上部内面に隣接する少なくとも4つの前記隆起した面エリアを備え、前記隆起した面エリアの隣接するエリアが、前記インペラの前記周縁部に延在し、前記インペラの前記周縁部に出口を画定するチャネルによって離隔される請求項27に記載の血液ポンプ。
【請求項29】
前記隆起した面エリアのそれぞれは、前記第1のテーパー状の領域の1つを備える請求項28に記載の血液ポンプ。
【請求項30】
前記第1のテーパー状の領域のそれぞれの前記前縁部分は、前記チャネルの1つの前縁側壁の前記上部に沿って入口縁を備える請求項29に記載の血液ポンプ。
【請求項31】
前記内側覆いおよび外側覆いは、前記入口縁より高く、前記第1のテーパー状の領域のそれぞれの前記後縁部分と同一平面である請求項30に記載の血液ポンプ。
【請求項32】
前記覆いのそれぞれの前記上面は、実質的に平坦であり、約0.230インチ前記入口縁より高い請求項31に記載の血液ポンプ。
【請求項33】
前記覆いのそれぞれは、幅が約0.020インチである請求項32に記載の血液ポンプ。
【請求項34】
前記外側覆いのそれぞれの外面は、前記インペラの前記周縁部の部分を画定する請求項27に記載の血液ポンプ。
【請求項35】
前記ハウジングは、セラミック材料から形成される請求項27に記載の血液ポンプ。
【請求項36】
前記ハウジングの前記上部内面は、セラミックディスクを備える請求項27に記載の血液ポンプ。
【請求項37】
前記ハウジングの前記下部内面は、セラミックディスクを備える請求項27に記載の血液ポンプ。
【請求項38】
前記インペラは、約77.6重量%の白金および22.4重量%のコバルトからなる合金から構成される請求項27に記載の血液ポンプ。
【請求項39】
複数の外部電源ケーブルの近い端部との電気接続のために適合される電気コネクタを備える請求項27に記載の血液ポンプ。
【請求項40】
前記外部電源ケーブルの遠い端部が、前記血液ポンプを駆動するための電源に電気的に接続される請求項39に記載の血液ポンプ。
【請求項41】
前記電源ケーブルが埋め込まれる曲げやすい細長いシリンダを備える請求項40に記載の血液ポンプ。
【請求項42】
前記曲げやすいシリンダは、シリコンから形成される請求項41に記載の血液ポンプ。
【請求項43】
前記曲げやすいシリンダは、複数の長手方向の孔を備え、前記孔のそれぞれは、前記電源ケーブルの1つを包含する請求項42に記載の血液ポンプ。
【請求項44】
前記曲げやすいシリンダは、6つの前記孔を備える請求項43に記載の血液ポンプ。
【請求項45】
上部内面および下部内面を備え、血液注入口および接線方向の血液放出口を有するポンプ室を画定するハウジングと、
前記ポンプ室内にあって、前記ポンプ室内の血圧を増大させて、血液を前記血液放出口に移動させるように適合される回転可能なインペラと、を備え、前記インペラは、前記ポンプ室の前記上部内面に隣接する少なくとも1つの隆起した面エリアを有し、前記隆起した面エリアは、前記1つの隆起した面エリアの下に空洞を画定するために複数の側壁を有する中空の円筒形ケーシングを備え、前記空洞は、前記インペラを滑らかに回転させるために、中に形成される複数の並ぶ釣り合い孔を有する少なくとも1つの中実壁部材によって境界を定められる回転式血液ポンプ。
【請求項46】
前記インペラは、複数の前記隆起した面エリアと、前記隆起した面エリアのそれぞれの下に画定される空洞と、を備え、前記空洞のそれぞれは、少なくとも1つの前記中実壁部材によって境界を定められる請求項45に記載の血液ポンプ。
【請求項47】
前記壁部材のそれぞれは、1対の前記並んだ孔を備える請求項46に記載の血液ポンプ。
【請求項48】
前記孔のそれぞれの前記長手軸は、前記インペラの前記回転軸に平行に延在する請求項47に記載の血液ポンプ。
【請求項49】
前記並んだ孔の各対を画定する前記孔は、等しくない深さである請求項48に記載の血液ポンプ。
【請求項50】
前記並んだ孔の各対を画定する前記孔は、前記インペラケーシングの直径に沿って整列されている請求項49に記載の血液ポンプ。
【請求項51】
前記空洞のそれぞれは、前記インペラを回転するために磁束を生成するように適合される永久駆動磁石を包含する請求項46に記載の血液ポンプ。
【請求項52】
前記孔の各対の半径方向の最も内側の孔の深さは、約0.10インチである請求項50に記載の血液ポンプ。
【請求項53】
前記孔の各対の半径方向の最も外側の孔の深さは、約0.25インチである請求項52に記載の血液ポンプ。
【請求項54】
4つの前記中実壁部材によって離隔される4つの前記空洞があり、前記空洞および壁部材のそれぞれは、前記インペラの前記周縁部に隣接している請求項46に記載の血液ポンプ。
【請求項55】
前記ハウジングは、セラミック材料から形成される請求項45に記載の回転式血液ポンプ。
【請求項56】
前記ハウジングの前記上部内面は、セラミックディスクを備える請求項45に記載の回転式血液ポンプ。
【請求項57】
前記ハウジングの前記下部内面は、セラミックディスクを備える請求項45に記載の回転式血液ポンプ。
【請求項58】
前記インペラは、約77.6重量%の白金および22.4重量%のコバルトからなる合金から構成される請求項45に記載の回転式血液ポンプ。
【請求項59】
複数の外部電源ケーブルの近い端部との電気接続のために適合される電気コネクタを備える請求項45に記載の血液ポンプ。
【請求項60】
前記外部電源ケーブルの遠い端部が、前記血液ポンプを駆動するための電源に電気的に接続される請求項59に記載の血液ポンプ。
【請求項61】
前記電源ケーブルが埋め込まれる曲げやすい細長いシリンダを備える請求項60に記載の血液ポンプ。
【請求項62】
前記曲げやすいシリンダは、シリコンから形成される請求項61に記載の血液ポンプ。
【請求項63】
前記曲げやすいシリンダは、複数の長手方向の孔を備え、前記孔のそれぞれは、前記電源ケーブルの1つを包含する請求項62に記載の血液ポンプ。
【請求項64】
前記曲げやすいシリンダは、6つの前記孔を備える請求項63に記載の血液ポンプ。
【請求項65】
前記空洞は、前記インペラの前記周縁部の周囲で、約90°だけ離隔して位置決めされる請求項54に記載の血液ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−210415(P2012−210415A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−116644(P2012−116644)
【出願日】平成24年5月22日(2012.5.22)
【分割の表示】特願2008−550412(P2008−550412)の分割
【原出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【出願人】(508103470)ハートウェア、インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】