説明

回転式電子部品

【課題】分解能向上と組立作業の容易化と小型化が図れる回転式電子部品を提供する。
【解決手段】スイッチパターン33を設けたフレキシブル回路基板30を合成樹脂製の基板保持台50上にインサート成形によって取り付ける。フレキシブル回路基板30の上方に摺動子160を取り付けた回転体130を設置する。基板保持台50のフレキシブル回路基板30を載置する面を上方に向けて凸となる円弧面で構成する。フレキシブル回路基板30はスイッチパターン33を設けた円弧状の機能部31と、機能部31の両端から引き出され上面に配線パターン41を形成した平面状の配線部43A,43Bとを有する。配線部43A,43Bの部分を基板保持台50に設けた挟持部53A,53Bによって挟持することで機能部31を基板保持台50上に張設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回転式電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、回転式電子部品の中には、例えば特許文献1(特にその図3)に示すように、摺接パターン(137)を設けたフレキシブル回路基板(130)の面に対向して回転体(50)を設置し、回転体(50)に取り付けた摺動子(80)を前記摺接パターン(137)に摺接させることで摺接パターン(137)の出力を変化させ、一方フレキシブル回路基板(130)の摺接パターン(137)を設けた機能部(131)に前記摺接パターン(137)に接続される配線パターン(141,139)を形成した配線部(133)を接続して設け、この配線部(133)を機能部(131)の後方に折り曲げ、折り曲げた位置で第2フレキシブル回路基板(170)(特許文献1の図8参照)を圧接して前記摺接パターン(137)の出力を外部に取り出す構造の回転式電子部品がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−71607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の回転式電子部品には以下のような問題点があった。
(1)例えば特許文献1の摺接パターン(137)のように複数本の円弧状の摺接パターン(137)を平行に配置した場合、下側(回転中心軸に近い側)の摺接パターン(137)の長さが短くなってしまい、このため可変抵抗器やスイッチとしての分解能が低くなってしまう。この問題は、摺接パターン(137)の本数が増加したり、回転式電子部品の小型化が図られた場合に大きくなる。
【0005】
(2)上記従来の回転式電子部品の組み立ては、フレキシブル回路基板(130)の機能部(131)を垂直方向に立ててこれに対向する位置に回転体(50)を設置し、次にこれら機能部(131)と回転体(50)の上部に操作つまみ(100)を設置し、一方フレキシブル回路基板(130)の配線部(133)を後方に直角に折り曲げて配置するなど、その組み立て工程が煩雑で、より組み立て易い構造の回転式電子部品が要望されていた。この問題も回転式電子部品が小型化されるほど大きくなる。
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、分解能が向上し、組み立て作業も容易で、小型化を図ることができる回転式電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願請求項1に記載の発明は、表面に摺接パターンを設けた機能部と前記機能部の両端からそれぞれ引き出されてその表面に前記摺接パターンに接続される配線パターンを形成した配線部とを有するフレキシブル回路基板を合成樹脂製の基板保持台上に載置し、且つ前記フレキシブル回路基板の機能部の上方に摺動子を取り付けた回転体を設置し、前記基板保持台の前記フレキシブル回路基板の機能部を載置する面を摺動子側に向けて凸となる円弧面とすると共に、フレキシブル回路基板を基板保持台にインサート成形により一体化して取り付け、前記回転体を前記フレキシブル回路基板の円弧面に対向した状態で沿うように移動させる構成とすることで、前記円弧状の摺接パターン上に摺動子を摺接させて摺接パターンの電気的出力を変化させることを特徴とする回転式電子部品にある。
【0008】
本願請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回転式電子部品において、前記基板保持台の側部に、前記回転体の移動方向を向くコイルバネ収納部を設けた弾発部材収納体を併設するとともに、前記回転体に設けた一対のバネ押圧部を、前記コイルバネ収納部の両端に設けた挿通部内を通過自在で且つコイルバネ収納部に収納したコイルバネの端部を押圧する位置に配置することによって、回転体の中立位置自動復帰機構を構成したことを特徴とする回転式電子部品にある。
【0009】
本願請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の回転式電子部品において、前記フレキシブル回路基板の両配線部の部分を前記基板保持台に設けた挟持部によって挟持することを特徴とする回転式電子部品にある。
【0010】
本願請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の回転式電子部品において、前記挟持部は平板状に形成され、且つこの挟持部には前記フレキシブル回路基板の配線部に設けた位置決め孔を通して挟持部の上下を貫通する位置決め穴が設けられていることを特徴とする回転式電子部品にある。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、フレキシブル回路基板に設けた摺接パターンの上方に摺動子を取り付けた回転体を設置する構造なので、回転式電子部品の組み立てが一方向で容易に行なえ、回転式電子部品の小型化にも容易に対応できる。
また複数本並列に配置した摺接パターンの長さを何れも短くする必要がなく、何れも長い長さ(同一長さ)を維持することができるので分解能の向上が図られる。また併設する摺接パターンの本数も容易に多くでき、多回路化が容易に図れる。
またフレキシブル回路基板を合成樹脂製の基板保持台にインサート成形することで両者を一体化するので、基板保持台に対するフレキシブル回路基板の取付精度が向上し、これによって摺動子の摺接パターンへの摺接位置の精度が向上し、この点からも分解能の向上が図れる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、コイルバネを弾発部材収納体に収納しているので、回転体にはコイルバネを収納する必要がなくてコイルバネ収納部の挿通部に挿入させる小さなバネ押圧部を設けるだけでよくなる。このため回転体の高さ寸法の小型化が図れると同時に、回転式電子部品全体の高さ寸法を小さくすることができる。つまりコイルバネを回転体側に収納する構成に比べて、容易に回転式電子部品の高さ寸法を小さくすることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、機能部両端の配線部を基板保持台の挟持部に挟持して取り付けるので、機能部を基板保持台の円弧面上に容易且つ確実に張った状態に設置でき、このため精度のよい出力が得られ、分解能の向上が図れる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、挟持部の部分にフレキシブル回路基板の位置決め孔を設けたので、湾曲する部分ではない平板状の挟持部の部分を有効に利用して、フレキシブル回路基板を基板保持台にインサート成形する際に用いる金型の位置決めピンによるフレキシブル回路基板の金型キャビティー内での位置決めを正確且つ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】回転式電子部品1の斜視図である。
【図2】図1に示す回転式電子部品1のA−A概略断面図である。
【図3】図1に示す回転式電子部品1のB−B概略断面図である。
【図4】回転式電子部品1を上側から見た分解斜視図である。
【図5】回転式電子部品1を下側から見た分解斜視図である。
【図6】回転式電子部品1を下側の別の角度から見た分解斜視図である。
【図7】フレキシブル回路基板30の斜視図である。
【図8】回転式電子部品1−2の斜視図である。
【図9】回転式電子部品1−2を下側から見た斜視図である。
【図10】図8に示す回転式電子部品1−2のC−C概略断面図である。
【図11】図8に示す回転式電子部品1−2のD−D概略断面図である。
【図12】図8に示す回転式電子部品1−2のE−E概略断面図である。
【図13】回転式電子部品1−2を上側から見た分解斜視図である。
【図14】回転式電子部品1−2を下側から見た分解斜視図である。
【図15】フレキシブル回路基板330と端子板500の斜視図である。
【図16】回転式電子部品1のコイルバネ180等からなる中立位置自動復帰機構部分の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の第1実施形態にかかる回転式電子部品1の斜視図、図2は図1に示す回転式電子部品1のA−A概略断面図、図3は図1に示す回転式電子部品1のB−B概略断面図(但し配線部45の部分の断面は示さず)、図4は回転式電子部品1を上側から見た分解斜視図、図5は回転式電子部品1を下側から見た分解斜視図、図6は回転式電子部品1を下側の別の角度から見た分解斜視図である。以下各構成部品について説明する。なお以下の説明において、「上」とは基板保持台50から回転体130を向く方向をいい、「下」とはその反対方向をいうものとする(下記する第2実施形態においても同様)。
【0017】
これらの図に示すように回転式電子部品1は、取付台10上に、フレキシブル回路基板30を一体成形した基板保持台50と、回転体収納体90とを設置し、それらの上に回転体130を設置して構成されている。回転体130には摺動子160が取り付けられ、また中立位置自動復帰機構用の弾発手段(以下「コイルバネ」という)180が収納されている。以下各構成部品について説明する。
【0018】
取付台10は金属板(例えば鉄板)を略矩形状に形成し、その4隅近傍に略円形の貫通孔からなる取付孔11を設けて構成されている。
【0019】
図7はフレキシブル回路基板30単体の斜視図である。同図に示すようにフレキシブル回路基板30は、合成樹脂フイルム(この実施形態ではポリエチレンテレフタレート(PET)フイルムを用いているが、他の各種合成樹脂フイルムを用いても良い)を略帯状に形成しその表面(上面)に複数本の摺接パターン(以下この実施形態では「スイッチパターン」という)33を設けた機能部31と、機能部31の両端からそれぞれ引き出してその表面(上面)に前記各スイッチパターン33に接続される配線パターン41を形成した配線部43A,43Bと、両配線部43A,43Bを基板保持台50の外部において一体に連結した配線部45とを具備して構成されている。
【0020】
スイッチパターン33は帯状の機能部31の長手方向に向かう1本のコモンスイッチパターン33aと、コモンスイッチパターン33aに平行で同一直線上に配置される一対のオンオフスイッチパターン33b,33bとを、例えばスクリーン印刷や金属箔のエッチングなどによって形成して構成されている。コモンスイッチパターン33aと一方のオンオフスイッチパターン33bの同一側の端部にはそれぞれ配線パターン41,41が接続されて一方の配線部43A上に引き出されており、他方のオンオフスイッチパターン33bの反対側の端部には配線パターン41が接続されて他方の配線部43B上に引き出されている。両配線部43A,43Bは略コ字状に折れ曲がる形状を有することで1つの帯状の配線部45に接続されており、前記各配線パターン41は何れもこの配線部45上に引き出されるように形成されている。以上の構成により、フレキシブル回路基板30には開口49が形成される。また両配線部43A,43Bにはそれぞれ円形の位置決め孔47A,47Bが設けられている。
【0021】
基板保持台50は合成樹脂(この実施形態ではABS樹脂であるが、他の各種合成樹脂でも良い)の一体成形品であり、その中央部分は略帯板状で下記する摺動子160側(即ち上側)に向けて凸となるアーチ形状の機能部取付部51となっている。機能部取付部51の上面は凸状の円弧面の一部で形成されており、それに合わせて機能部取付部51の下面は凹状の円弧面となっている。機能部取付部51は前記フレキシブル回路基板30の機能部31全体を載置できる寸法形状に形成されている。機能部取付部51の左右両側部には前記フレキシブル回路基板30の配線部43A,43Bの一部を挟持する矩形平板状の挟持部53A,53Bが形成されている。挟持部53A,53Bには、前記フレキシブル回路基板30の配線部43A,43Bに設けた各位置決め孔47A,47Bを通して挟持部53A,53Bの上下を貫通する位置決め穴57A,57Bが形成されている。挟持部53A,53Bの下面にはそれぞれ小突起からなる取付突部54,54が設けられている。機能部取付部51と両挟持部53A,53Bの一方の側辺(フレキシブル回路基板30の配線部45を配置する側の側辺)には上方向に立設する側壁部55が形成されている。側壁部55の側面の略中央には左右方向(前記機能部取付部51上面の円弧方向)に円弧状に延びる貫通孔からなるガイド部59が設けられている。ガイド部59の円弧の中心軸は、下記する機能部取付部51表面の円弧の中心軸C1と一致している。
【0022】
また図2に示すように機能部取付部51上面の円弧を含む円筒の中心軸C1は、基板保持台50の下面(両挟持部53A,53Bの下面を含む水平平面)中央よりも真下に向かって所定距離下降した位置にある。言い換えれば前記円弧は、前記中心軸C1から見た円弧の角度θ1が180°以内となる円弧の一部の範囲に形成されている。
【0023】
フレキシブル回路基板30は図2〜図4等に示すように基板保持台50にインサート成形により一体に取り付けられている。即ち基板保持台50と同一形状のキャビティーを有する図示しない金型内にフレキシブル回路基板30をインサートして設置し、その状態で前記キャビティー内に溶融した合成樹脂を圧入することで、基板保持台50を成形すると同時に基板保持台50にフレキシブル回路基板30を一体に取り付ける。これによってフレキシブル回路基板30の機能部31はその全体が機能部取付部51上面の上方向に凸となる円弧面に沿うようにこれに密着して設置され、その際スイッチパターン33は上面側に露出する。またフレキシブル回路基板30の両配線部43A,43Bの機能部31側の一部の部分(この部分は平面状である)の上下が挟持部53A,53Bによって挟持・固定され、これによって機能部31は機能部取付部51上に張設された状態となる。なお前記フレキシブル回路基板30に設けた位置決め孔47A,47Bは、フレキシブル回路基板30を金型内にインサートした際の位置決め用のピンを挿入するためのものであり、ピンを挿入することによって基板保持台50に前記位置決め穴57A,57Bが形成される。このように挟持部53A,53Bの部分にフレキシブル回路基板30の位置決め孔47A,47Bを設けたので、湾曲する部分ではない平板状の挟持部53A,53Bの部分を有効に利用して、フレキシブル回路基板30を基板保持台50にインサート成形する際に用いる金型の位置決めピンによるフレキシブル回路基板30の金型キャビティー内での位置決めを正確且つ確実に行うことができる。
【0024】
次に回転体収納体90は合成樹脂(この実施形態ではABS樹脂であるが、他の各種合成樹脂でも良い)の一体成形品であり、その上面91は左右方向(長手方向)に向かって上方向に凸となる円弧面となっている。回転体収納体90の基板保持台50側を向く面には、下記する回転体130の回転体本体部131を収納する空間からなる収納部93が設けられ、また上面91には左右方向に向かって切り欠いてなる開口部95が設けられている。収納部93内部の上面と下面はそれぞれ回転体ガイド面97A,97Bとなっている。回転体ガイド面97A,97Bは何れも上方向に凸となるようにそれらの長手方向に向かって円弧状に湾曲する円弧面である。収納部93内部の左右両側中央からは平板状のバネ押圧部99,99が突出している。バネ押圧部99,99も上方向に凸となるように円弧状に湾曲している。また回転体収納体90の収納部93を設けた反対側の面の左右両端近傍下部からは一対の矩形状の取付基部101が突設しており、それらの下面からは下方向に向かって小突起状の取付部103が突出している。なお上記回転体収納体90の各部の上方向に凸となる円弧面の中心軸は、この回転体収納体90と前記基板取付台50とを取付台10上に載置した際に前記基板取付台50で説明した中心軸C1と同一軸になる。
【0025】
回転体130は合成樹脂(この実施形態ではPOM樹脂であるが他の各種合成樹脂でも良い)の一体成形品であり、回転体本体部131と摺動子取付部141とを並列に設置し、これらの上部に一体に操作つまみ151を取り付けて構成されている。回転体本体部131は略四角柱を長手方向(左右方向)に円弧状に湾曲させた形状であり、回転体収納体90側を向く面に長手方向に向けて前記円弧に合わせて円弧状に湾曲する略矩形状のコイルバネ収納部133を設けている。回転体本体部131は回転体収納体90に設けた収納部93に収納され、その上下面が回転体収納体90の回転体ガイド面97A,97Bにぴったり当接し、回転体本体部131が回転体ガイド面97A,97Bに沿って円弧状に左右に回動(揺動)する外形形状に形成されている。つまり回転体本体部131は回転体収納体90に円弧状に回転するように収納される形状に形成されている。コイルバネ収納部133の左右両端には前記回転体収納体90のバネ押圧部99をコイルバネ収納部133内に挿入するためのスリット状の切り欠きからなる挿通部135が設けられている。
【0026】
摺動子取付部141は回転体本体部131に並列に設置され、その下面に平面状の摺動子設置部142が設けられ、摺動子設置部142の面には摺動子160を取り付けるための小突起143が設けられている。摺動子取付部141の前記回転体本体部131とは反対側を向く面からは四角柱状のガイド部145が外方(基板保持台50の側壁部55側)に向けて突出している。ガイド部145は前記側壁部55のガイド部59に挿入される寸法で構成されている。操作つまみ151は平板状でその長手方向(左右方向)に向かって上方向に凸となる円弧面形状のつまみ基部153と、つまみ基部153の上面中央から上方向に向かって突出する突起状のつまみ部155と、つまみ基部153の下面中央から突出して回転体本体部131の上面中央に一体に連結される柱部157とを具備して構成されている。
【0027】
摺動子160は弾性金属板製の略矩形状の基部161の一辺から2本の摺動冊子163を突出し、その根元部分を基部161の一方の面側(フレキシブル回路基板30側)に約180°折り返してそれらの先端に摺接接点165を設けて構成されている。基部161には小孔167が設けられている。この摺動子160と前記フレキシブル回路基板30に形成したスイッチパターン33とによって回転体130の回転によって電気的出力を変化する電気的機能部が構成される。
【0028】
コイルバネ180は圧縮方向に弾発力を有する圧縮コイルバネであり、その両端には消音用の弾性体(この実施形態では合成ゴム)からなるバネ受181が取り付けられる。なお図4,図5ではコイルバネ180及びバネ受181をコイルバネ収納部133に収納した状態を、図6は収納していない状態を示している。
【0029】
次に回転式電子部品1の組立方法を説明する。まず予め回転体130の摺動子設置部142に摺動子160の基部161を当接し、その際2つの小孔167に回転体130の2つの小突起143をそれぞれ挿入して一方の小突起143の先端を熱かしめして固定する。一方回転体130のコイルバネ収納部133に両端にバネ受181を取り付けたコイルバネ180を収納しておく。
【0030】
そして前記回転体130の回転体本体部131を、回転体収納体90の収納部93内に収納し、同時に回転体収納部90の回転体本体部131を収納した側の側部に基板保持台50を配置してその際摺動子160の摺接接点165をスイッチパターン33に当接すると同時に回転体130のガイド部145を基板保持台50のガイド部59に挿入する。そしてこれら併設した回転体収納体90及び基板保持台50を取付台10上に載置し、その際取付台10の各取付孔11に回転体収納体90の各取付部103と基板保持台50の各取付突部54,54とを挿入し、各取付部103と取付突部54,54の先端を取付台10の下面側で熱かしめする。これによって回転式電子部品1の組み立てが完了する。なお上記組立手順はその一例であり、他の各種異なる組立手順を用いて組み立てても良いことはいうまでもない。
【0031】
この回転式電子部品1においては取付台10上に回転体130の回転体本体部131を挟持しながら回転体収納体90と基板保持台50を設置するだけでその組み立てが行えるので、前記特許文献1の回転式電子部品の場合に比べて組み立てが容易になる。言い換えれば、フレキシブル回路基板30に設けたスイッチパターン33が上向きで、その上方に摺動子160を取り付けた回転体130を設置する構造なので、回転式電子部品1の組み立てが一方向(つまり取付台10に対してその上方向)から容易に行なえる。従って回転式電子部品1の小型化にも容易に対応できる。
【0032】
以上のように構成された回転式電子部品1において、操作つまみ151を中立位置から左右に回転すると、回転体130は中心軸C1(前述のように中心軸C1は基板保持台50の下面中央から真下に向かって所定距離下降した位置にある)を中心に回転し、つまり回転体130がフレキシブル回路基板30の機能部31の円弧面に対向した状態で沿うように移動し、これによって摺動子160の摺接接点165,165がそれぞれコモンスイッチパターン33a上とオンオフスイッチパターン33b上とを摺動してその出力を変化し、その出力が3本の配線パターン41に取り出される。上記のように操作つまみ151を中立位置から回転させた際、これと一体に回転する回転体本体部131の一方の挿通部135に回転体収納体90の一方のバネ押圧部99が入り込み、コイルバネ収納部133内のコイルバネ180の一方のバネ受181を押圧してコイルバネ180をコイルバネ収納部133内で圧縮し、中立位置への自動復帰力が生じる。従って操作つまみ151の回転を解除すれば、操作つまみ151は元の中立位置に自動復帰し、電気的出力も元の中立位置の出力になる。
【0033】
なお操作つまみ151のつまみ基部153は、操作つまみ151を左右に回転した際にその両先端辺が挟持部53A,53Bや配線部43A,43Bに当接しない寸法に形成されているが、挟持部53A,53Bや配線部43A,43Bの幅寸法を短くしてつまみ基部153の先端辺が当接しないようにすれば、つまみ基部153の回転方向の長さ寸法をさらに長くでき、またつまみ基部153の回転角度をさらに大きくすることもできる。
【0034】
この回転式電子部品1においては、フレキシブル回路基板30を合成樹脂製の基板保持台50にインサート成形することで両者を一体化しているので、基板保持台50に対するフレキシブル回路基板30の取付精度が向上し、これによって摺動子160のスイッチパターン33への摺接位置の精度が向上して分解能が向上する。さらにこの回転式電子部品1においては、フレキシブル回路基板30の機能部31の両端の配線部43A,43Bを基板保持台50の挟持部53A,53Bに挟持して取り付けるので、機能部31を基板保持台50の機能部取付部51上面の円弧面上に容易且つ確実に張設でき、これによってさらに摺動子160のスイッチパターン33への摺接位置の精度が向上し、精度のよい出力が得られ、分解能が向上する。
【0035】
またこの回転式電子部品1においては、2本並列に配置したコモンスイッチパターン33aとオンオフスイッチパターン33bの長さを何れも短くする必要がなく、何れも長い長さ(同一長さ)を維持することができるのでこの点からも分解能の向上が図られる。またこの回転式電子部品1においてはスイッチパターン33を2本併設したが、併設するスイッチパターン33の本数を3本以上に容易に多くすることができ、多回路化が容易に図れる。その場合も各スイッチパターン33の長さを同一の長さに形成でき、分解能が悪くなることはない。
【0036】
なおこの回転式電子部品1は、図3に点線で示すように、例えば電子機器の外装ケース200の近傍に設置されることが多く、その場合、外装ケース200に設けた開口部201に操作つまみ151のつまみ部155を露出する。
【0037】
図8は本発明の第2実施形態にかかる回転式電子部品1−2の斜視図、図9は回転式電子部品1−2を下側から見た斜視図、図10は図8に示す回転式電子部品1−2のC−C概略断面図、図11は図8に示す回転式電子部品1−2のD−D概略断面図、図12は図8に示す回転式電子部品1−2のE−E概略断面図、図13は回転式電子部品1−2を上側から見た分解斜視図、図14は回転式電子部品1−2を下側から見た分解斜視図である。
【0038】
これらの図に示すように回転式電子部品1−2は、取付台310上に、フレキシブル回路基板330を一体成形した基板保持台350と、弾発部材収納体390とを設置(併設)し、それらの上に回転体430を設置して構成されている。弾発部材収納体390には中立位置自動復帰機構用の弾発手段(以下「コイルバネ」という)480が収納され、また回転体430には摺動子460が取り付けられている。以下各構成部品について説明する。
【0039】
取付台310は金属板(例えば鉄板)を略矩形状に形成し、その4隅近傍に略円形の貫通孔からなる位置決め孔311を設けて構成されている。取付台310は、基板保持台350と弾発部材収納体390とを同一面上に並列に載置することができる寸法形状を有しており、対向する一方の両側辺の両端部近傍には舌片状に突出する取付片313が設けられ、その根元部分が折り曲げられることで上方向を向いている。取付台310のもう一方の対向する両側辺には、外方に向けて棒状に突出するアース端子315が設けられている。また取付台310の前記取付片313を設けた側の外周辺には、舌片状に突出する一対ずつの第1アース部317と第2アース部319とが設けられ、第1アース部317は上方向を向くように折り曲げられている。また取付台310の内部にも、舌片状に突出する第3アース部321が設けられ、上方向を向くように折り曲げられている。
【0040】
図15はフレキシブル回路基板330と端子板500の斜視図である。同図に示すようにフレキシブル回路基板330は、合成樹脂フイルム(この実施形態ではポリエチレンテレフタレート(PET)フイルムを用いているが、他の各種合成樹脂フイルムを用いても良い)を略帯状に形成しその表面(上面)に複数本の摺接パターン(以下この実施形態では「スイッチパターン」という)333を設けた機能部331と、機能部331の両端からそれぞれ引き出してその表面(上面)に前記各スイッチパターン333に接続される配線パターン341を形成した配線部343A,343Bと、両配線部343A,343Bの先端に設けられる端子部345A,345Bと、を具備して構成されている。
【0041】
スイッチパターン333は帯状の機能部331の長手方向に向かう1本のコモンスイッチパターン333aと、コモンスイッチパターン333aに平行で同一直線上に配置される一対のオンオフスイッチパターン333b,333bとを、例えばスクリーン印刷や金属箔のエッチングなどによって形成して構成されている。コモンスイッチパターン333aと一方のオンオフスイッチパターン333bの同一側の端部にはそれぞれ配線パターン341,341が接続されて一方の配線部343A上に引き出されており、他方のオンオフスイッチパターン333bの反対側の端部には配線パターン341が接続されて他方の配線部343B上に引き出されており、これら配線パターン341はそれぞれ端子部345A,345B上に形成した端子接続パターン347に接続されている。両配線部343A,343Bは略コ字状に折れ曲がる形状を有することで前記一対の端子部345A,345Bは隣接して配置されている。以上の構成により、フレキシブル回路基板330には開口349が形成される。また両配線部343A,343Bの所定位置(4か所)には円形の位置決め孔347が設けられ、また端子部345A中には1つの樹脂挿通孔351が設けられている。
【0042】
基板保持台350は合成樹脂(この実施形態ではPBT樹脂であるが、他の各種合成樹脂でも良い)の一体成形品であり、機能部取付部351と端子固定部361とを併設するとともに、両者の間の位置に上下に貫通するアース部挿入部363を設け、アース部挿入部363の上部に側壁部355を設置して構成されている。機能部取付部351は略帯板状で下記する摺動子460側(即ち上側)に向けて凸となるアーチ形状となっている。機能部取付部351の上面は凸状の円弧面の一部で形成されており、それに合わせて機能部取付部351の下面は凹状の円弧面となっている。機能部取付部351は前記フレキシブル回路基板330の機能部331全体を載置できる寸法形状に形成されている。基板保持台350の前記フレキシブル回路基板330に設けた各位置決め孔347を通して貫通するように位置決め穴357が形成されている。基板保持台350の下面には一対の小突起からなる取付突部354,354が設けられている。
【0043】
端子固定部361は基板保持台350の一端辺の部分に設けられており、フレキシブル回路基板330の各端子接続パターン347上に各端子板500の端部を当接したその上下(周囲)を囲むように略四角柱状に形成され、これによって各端子板500を機械的・電気的にフレキシブル回路基板330に接続している。
【0044】
アース部挿入部363は略矩形状の貫通孔であり、前記フレキシブル回路基板330の開口349の部分を通過している。側壁部355はアース部挿入部363の上部をアーチ状に跨ぐアーチ部356を有して形成されており、アーチ部356下面側の貫通孔の部分がガイド部359となっている。アーチ部356の下辺は円弧状であって、円弧の中心軸は、機能部取付部51表面の円弧の中心軸と一致している。
【0045】
フレキシブル回路基板330は図10,図12,図13等に示すように基板保持台350にインサート成形により一体に取り付けられている。即ち基板保持台350と同一形状のキャビティーを有する図示しない金型内にフレキシブル回路基板330と端子板500とをインサートして設置し、その状態で前記キャビティー内に溶融した合成樹脂を圧入することで、基板保持台350を成形すると同時に基板保持台350にフレキシブル回路基板330と端子板500とを一体に取り付ける。これによってフレキシブル回路基板330の機能部331はその全体が機能部取付部351上面の上方向に凸となる円弧面に沿うようにこれに密着して設置され、その際スイッチパターン333は上面側に露出する。また基板保持台350の機能部取付部351の外側側面(弾発部材収納体390側を向く側面)からは、この側面に沿うように細長形状の突出部354が設けられ、その上面側に長手方向に延びるガイド溝353が設けられる。
【0046】
なお前記フレキシブル回路基板330に設けた位置決め孔347は、フレキシブル回路基板330を金型内にインサートした際の位置決め用のピンを挿入するためのものであり、ピンを挿入することによって基板保持台350に前記位置決め穴357が形成される。
【0047】
次に弾発部材収納体390は合成樹脂(この実施形態ではABS樹脂であるが、他の各種合成樹脂でも良い)の一体成形品であり、その上面391は左右方向(長手方向)に向かって上方向に凸となる円弧面となっている。弾発部材収納体390の基板保持台350側を向く面には、下記するコイルバネ480を収納するコイルバネ収納部393が設けられている。コイルバネ収納部393は左右方向(長手方向)に向かって上方向に凸となる円弧状の凹部からなっている。コイルバネ収納部393の左右両端には下記する回転体430に設けた一対のバネ押圧部435をコイルバネ収納部393内に挿入するためのスリット状の切り欠きからなる挿通部395が設けられている。また弾発部材収納体390のコイルバネ収納部393を設けた反対側の面の左右両端近傍下部からは一対の矩形状の取付基部401が突設しており、それらの下面からは下方向に向かって小突起状の取付部403が突出している。なお上記弾発部材収納体390の各部の上方向に凸となる円弧面の中心軸は、この弾発部材収納体390と前記基板取付台350とを取付台310上に載置した際に前記基板取付台350で説明した中心軸と同一軸になる。
【0048】
回転体430は合成樹脂(この実施形態ではABS樹脂であるが他の各種合成樹脂でも良い)の一体成形品であり、操作つまみ451の下面側にバネ押圧体431と摺動子取付部441とを並列に設置して構成されている。バネ押圧体431は、長手方向(左右方向)に円弧状に湾曲させた押圧体支持部433の両端下部の側面から水平に摺動子取付部441から離れる方向に向けてバネ押圧部435を突出して構成されている。バネ押圧部435も上方向に凸となるように円弧状に湾曲している。押圧体支持部433の下辺からは下方向に向かって平板状のガイド部436が突設されている。
【0049】
摺動子取付部441はバネ押圧体431に並列に設置され、その下面に摺動子460を取り付けるための2つの小突起443を設けている。摺動子取付部441の前記バネ押圧体431とは反対側を向く面からは四角柱状のガイド部445が外方(基板保持台350の側壁部355側)に向けて突出している。ガイド部445は前記側壁部355のガイド部359に挿入される寸法で構成されている。操作つまみ451は平板状でその長手方向(左右方向)に向かって上方向に凸となる円弧面形状のつまみ基部453と、つまみ基部453の上面中央から上方向に向かって突出する突起状のつまみ部455とを具備して構成されている。
【0050】
摺動子460は弾性金属板製の略矩形状の基部461の一辺から2本の摺動冊子463を突出し、その根元部分を基部461の下面側(フレキシブル回路基板330側)に約180°折り返してそれらの先端に摺接接点465を設けて構成されている。基部461には前記小突起443を挿入する小孔が設けられている。この摺動子460とフレキシブル回路基板330に形成したスイッチパターン333とによって回転体430の回転によって電気的出力を変化する電気的機能部が構成される。
【0051】
コイルバネ480は圧縮方向に弾発力を有する圧縮コイルバネであり、その両端には消音用の弾性体(この実施形態では合成ゴム)からなるバネ受481が取り付けられる。なお図14ではコイルバネ480及びバネ受481をコイルバネ収納部393に収納した状態を、図13は収納していない状態を示している。
【0052】
次に回転式電子部品1−2の組立方法を説明する。まず予め回転体430の摺動子取付部441の下面に摺動子460の基部461を当接し、その際2つの小孔に回転体430の2つの小突起443をそれぞれ挿入して一方の小突起443の先端を熱かしめして固定する。一方弾発部材収納体390のコイルバネ収納部393に両端にバネ受481を取り付けたコイルバネ480を収納しておく。
【0053】
そして前記回転体430の一対のバネ押圧部435を、弾発部材収納体390の各挿通部395内に挿入しながら、弾発部材収納体390のコイルバネ480を収納した側の側部に基板保持台350を配置し、これによって摺動子460の摺接接点465をスイッチパターン333に当接すると同時に回転体430のガイド部445を基板保持台350のガイド部359に挿入する。このとき回転体430のガイド部436が基板保持台350のガイド溝353内に挿入される。そしてこれら併設した弾発部材収納体390及び基板保持台350を取付台310上に載置し、その際取付台310の各位置決め孔311に弾発部材収納体390の各取付部403と基板保持台350の各取付突部354を挿入し、次に取付台310に設けた4本の取付片313を内側に向けて折り曲げて基板保持台350の端子固定部361の上面と弾発部材収納体390の取付基部401の上面とに係止する。これによって回転式電子部品1−2の組み立てが完了する。なお上記組立手順はその一例であり、他の各種異なる組立手順を用いて組み立てても良いことはいうまでもない。
【0054】
この回転式電子部品1−2においても取付台310上に回転体430のバネ押圧部435とガイド部445とをそれぞれ弾発部材収納体390と基板保持台350の所定位置に挿入しながら弾発部材収納体390と基板保持台350を設置するだけでその組み立てが行えるので、前記特許文献1の回転式電子部品の場合に比べて組み立てが容易になる。言い換えれば、フレキシブル回路基板330に設けたスイッチパターン333が上向きで、その上方に摺動子460を取り付けた回転体430を設置する構造なので、回転式電子部品1−2の組み立てが一方向(つまり取付台310に対してその上方向)から容易に行なえる。従って回転式電子部品1−2の小型化にも容易に対応できる。
【0055】
以上のように構成された回転式電子部品1−2において、図10に示すように、操作つまみ451を中立位置から左右に回転すると、回転体430は中心軸を中心に回転し、つまり回転体430がフレキシブル回路基板330の機能部331の円弧面に対向した状態で沿うように移動し、これによって摺動子460の摺接接点465がそれぞれコモンスイッチパターン333a上とオンオフスイッチパターン333b上とを摺動してその出力を変化し、その出力が3本の端子板500に取り出される。
【0056】
一方図11に示すように、操作つまみ451を中立位置から回転させた際、これと一体に回転する一対のバネ押圧部435の内の一方のバネ押圧部435が挿通部395からコイルバネ収納部393内に入り込み、コイルバネ収納部393内のコイルバネ480の一方のバネ受481を押圧してコイルバネ480をコイルバネ収納部393内で圧縮し、中立位置への自動復帰力が生じる。従って操作つまみ451の回転を解除すれば、操作つまみ451は元の中立位置に自動復帰し、電気的出力も元の中立位置の出力になる。
【0057】
この回転式電子部品1−2においても、フレキシブル回路基板330を合成樹脂製の基板保持台350にインサート成形することで両者を一体化しているので、基板保持台350に対するフレキシブル回路基板330の取付精度が向上し、これによって摺動子460のスイッチパターン333への摺接位置の精度が向上して分解能が向上する。またこの回転式電子部品1−2においても、2本並列に配置したコモンスイッチパターン333aとオンオフスイッチパターン333bの長さを何れも短くする必要がなく、何れも長い長さ(同一長さ)を維持することができるのでこの点からも分解能の向上が図られる。またこの回転式電子部品1−2においてもスイッチパターン333を2本併設したが、併設するスイッチパターン333の本数を3本以上に容易に多くすることができ、多回路化が容易に図れる。その場合も各スイッチパターン333の長さを同一の長さに形成でき、分解能が悪くなることはない。
【0058】
なおこの回転式電子部品1−2も、図12に点線で示すように、例えば電子機器の外装ケース200の近傍に設置されることが多く、その場合、外装ケース200に設けた開口部201につまみ部455を露出する。なお例えば、つまみ部455を帯電した指で触ったような場合に回転体430の外表面を伝って静電気がスイッチパターン333に侵入しようとするが、スイッチパターン333の周囲を囲む位置に設けた第1,第2,第3アース部317,319,321があるので、これらの部分に先に入力されてアース端子315に接続される図示しないアースパターンに放出される。従ってスイッチパターン333への静電気の侵入は効果的に防止される。
【0059】
ところで回転式電子部品1−2は、第1実施形態にかかる回転式電子部品1に比べてさらにその高さ寸法を小さくできる。以下その理由を説明する。図16は回転式電子部品1のコイルバネ180等からなる中立位置自動復帰機構部分の概略断面図(図11に相当する部分の概略断面図)である。第1実施形態にかかる回転式電子部品1は取付台10上に基板保持台50と回転体収納体90とを併設し、その上に回転体130を設置しているので、その高さ寸法を小さくできる。同様に第2実施形態にかかる回転式電子部品1−2も、取付台310上に基板保持台350と弾発部材収納体390とを併設し、その上に回転体430を設置しているので、その高さ寸法を小さくできる。そしてさらに第2実施形態にかかる回転式電子部品1−2の場合は、コイルバネ480を弾発部材収納体390に収納しているので、第1実施形態のように回転体130にコイルバネ180を収納する必要がなく、回転体430にはコイルバネ収納部393の挿通部395に挿入させる小さなバネ押圧部435だけを設けるだけでよくなる。つまり上下方向に厚みのあるコイルバネ収納部133を有する回転体本体部131を回転させるためには、その回転に必要な左右のスペースを大きく取る必要がある分、回転式電子部品1の厚みが厚くなるが、上下方向にも回転方向にも小さな寸法のバネ押圧部435を回転させるために必要な左右のスペースは非常に小さくでき、このため回転体430の高さ寸法の小型化が図れると同時に、回転式電子部品1−2全体の高さ寸法を小さくすることができる。つまりコイルバネ180を回転体130側に収納する構成に比べて、容易に回転式電子部品1−2の高さ寸法を小さくすることができるのである。
【0060】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば上記実施形態では摺接パターンとしてスイッチパターンを用いたが、抵抗体パターン等の他の各種摺接パターンを用いても良い。また摺動子を取り付けた回転体をフレキシブル回路基板の円弧面に対向した状態で沿うように移動させ、これによって円弧状の摺接パターン上に摺動子を摺接させて摺接パターンの電気的出力を変化させる構成であれば、上記実施形態の構造以外の各種構造で回転式電子部品を構成してもよい。
【0061】
また第2実施形態では端子板500を用いたが、その代りに第1実施形態に示すように端子板500を用いず、フレキシブル回路基板330の配線部343A,343Bをそのまま外部に引き出しても良い。同様に第1実施形態に第2実施形態のような端子板500を取り付けても良い。また第2実施形態では第1実施形態に示す挟持部53A,53Bを設けなかったが、第1実施形態と同様の挟持部53A,53Bを設けてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 回転式電子部品
10 取付台
30 フレキシブル回路基板
31 機能部
33 スイッチパターン(摺接パターン)
33a コモンスイッチパターン
33b オンオフスイッチパターン
41 配線パターン
43A,43B,45 配線部
50 基板保持台
51 機能部取付部
53A,53B 挟持部
90 回転体収納体
93 収納部
99 バネ押圧部(中立位置自動復帰機構)
130 回転体
131 回転体本体部
133 コイルバネ収納部(中立位置自動復帰機構)
141 摺動子取付部
151 操作つまみ
160 摺動子
180 コイルバネ(弾発手段、中立位置自動復帰機構)
1−2 回転式電子部品
310 取付台
330 フレキシブル回路基板
331 機能部
333 スイッチパターン
350 基板保持台
351 機能部取付部
390 弾発部材収納体
393 コイルバネ収納部(中立位置自動復帰機構)
395 挿通部
430 回転体
435 バネ押圧部(中立位置自動復帰機構)
460 摺動子
480 コイルバネ(弾発手段、中立位置自動復帰機構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に摺接パターンを設けた機能部と前記機能部の両端からそれぞれ引き出されてその表面に前記摺接パターンに接続される配線パターンを形成した配線部とを有するフレキシブル回路基板を合成樹脂製の基板保持台上に載置し、且つ前記フレキシブル回路基板の機能部の上方に摺動子を取り付けた回転体を設置し、
前記基板保持台の前記フレキシブル回路基板の機能部を載置する面を摺動子側に向けて凸となる円弧面とすると共に、フレキシブル回路基板を基板保持台にインサート成形により一体化して取り付け、
前記回転体を前記フレキシブル回路基板の円弧面に対向した状態で沿うように移動させる構成とすることで、前記円弧状の摺接パターン上に摺動子を摺接させて摺接パターンの電気的出力を変化させることを特徴とする回転式電子部品。
【請求項2】
請求項1に記載の回転式電子部品において、
前記基板保持台の側部に、前記回転体の移動方向を向くコイルバネ収納部を設けた弾発部材収納体を併設するとともに、前記回転体に設けた一対のバネ押圧部を、前記コイルバネ収納部の両端に設けた挿通部内を通過自在で且つコイルバネ収納部に収納したコイルバネの端部を押圧する位置に配置することによって、回転体の中立位置自動復帰機構を構成したことを特徴とする回転式電子部品。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の回転式電子部品において、
前記フレキシブル回路基板の両配線部の部分を前記基板保持台に設けた挟持部によって挟持することを特徴とする回転式電子部品。
【請求項4】
請求項3に記載の回転式電子部品において、
前記挟持部は平板状に形成され、且つこの挟持部には前記フレキシブル回路基板の配線部に設けた位置決め孔を通して挟持部の上下を貫通する位置決め穴が設けられていることを特徴とする回転式電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−92847(P2010−92847A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209119(P2009−209119)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(000215833)帝国通信工業株式会社 (262)
【Fターム(参考)】