説明

回転機械のための自動化されたシールストリップ組み立て方法および装置

【課題】シールストリップの性能を損なうことなく、予測可能なシールの引き抜き強度を有するロータ溝シールを創成することができるシール装置を提供すること。
【解決手段】回転機械(50)用の自動シールアセンブリ(10)は、ピーニングのためにロータ溝(28)内でコーキングワイヤ(30)およびシールストリップ66(66)の位置を調整し、それらを保持するシールガイドアセンブリ(12)と、前記コーキングワイヤ(30)をピーニングしてコーキングワイヤ(30)を変形させ、コーキングワイヤ(30)およびシールストリップ(66)をロータ溝(28)内に固定するピーニング工具(14)と、ピーニング工具(14)の動きおよび予め負荷される力を制御して予測可能な引き抜き強度を有するロータ溝シール(62)をもたらすアクチュエータと、シールガイドアセンブリ(12)、ピーニング工具(14)およびアクチュエータを固定するための基部(18)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に回転機械用のシールアセンブリに関し、より具体的には、蒸気またはガスタービン用のシールアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
回転機械には、それにだけには限らないが、蒸気タービン、圧縮機、およびガスタービンが含まれる。蒸気タービンは一般に、直列流関係で、蒸気入口、タービンおよび蒸気出口を含む蒸気流路を有する。ガスタービンは一般に、直列流関係で、空気取入れ口(または入口)、圧縮機、燃焼器、タービンおよびガス出口(または排気ノズル)を含むガス流路を有する。より高圧の領域からより低圧の領域へ向かう、ガスまたは蒸気流路から外へ、あるいはガスまたは蒸気流路の中へのガス漏れまたは蒸気漏れは、一般に望ましくない。例えば、ガスタービンのタービンまたは圧縮機領域内における、タービンまたは圧縮機のロータと周辺を囲むタービンまたは圧縮機のケーシングとの間でのガス流路の漏れは、ガスタービンの効率を低下させて燃料費を増加させる。また、蒸気タービンのタービン領域における、タービンのロータと周辺を囲むケーシングとの間での蒸気流路の漏れは、蒸気タービンの効率を低下させて燃料費を増加させる。
【0003】
ガスおよび蒸気タービンエンジン内のガスおよび蒸気流路の漏れを減少させるために、シールアセンブリが使用される。様々なタイプのタービンシールアセンブリでは、タービンエンジンの回転要素と固定要素との間にロータ溝シールストリップが配置される。現在、ロータ溝シールストリップは様々な方法を用いてピーニングされている。それだけには限らないが、1つの方法は、手持ち式ハンマーによって強打されるハンドチゼルに湾曲した先端を押し付けて溝の中でワイヤを変形させる、またはピーニングすることを含む。他の方法は、手持ち式の空気式振動ハンマーに湾曲した先端を押し付けて、コーキングワイヤ(caulk wire)を溝の中へピーニングすることを含む。しかし、コーキングワイヤをピーニングする現行の方法では、ピーニングされたコーキングワイヤによってもたらされるロータ溝シールに、常に高い引き抜き強度が得られるわけではない。
【0004】
ロータ溝シールはタービンの動作中に複数の引き抜き力を受けるため、ロータ溝シールの引き抜き強度を最大化することが重要である。そうした力には、それだけには限らないが、遠心性の引き抜き力、蒸気圧によるシール基部におけるモーメント力、ならびに金属同士の摩擦、および蒸気流路を画定するハウジングに意図的に塗布されたアブレイダブルタイプのコーティングに対する摩擦が生じている間の半径方向および接線方向の力が含まれる。したがって、予測どおりの高い引き抜き強度を有するロータ溝シールを有することが望ましい。
【0005】
さらに、コーキングワイヤをピーニングする現行の方法では、再度ピーニングを行うことができなくなり、したがって、このピーニングによっては、シールの引き抜き強度は予測できないことになる。広範囲にわたるシールの引き抜き強度の変動は、それだけには限らないが、操作者によってピーニング工具が不適切に位置決めされること、およびピーニング工具によって与えられる力がばらつくことを含めた様々な要素に起因する。例えば、272キログラム(600ポンド)のシールの平均引き抜き強度を有する母集団では、手作業のピーニングによって生じるシールの引き抜き強度の標準偏差は91キログラム(200ポンド)程度になる可能性がある。シールの引き抜き強度が低いと動作中にシールが緩くなり、タービンの停止時間を含めてタービンに重大な損傷をもたらす可能性があるため、広範囲にわたるシールの引き抜き強度の変動は問題である。
【特許文献1】米国特許第6,644,667 b2号公報
【特許文献2】米国特許第6,860,484 B2号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0126225 A1号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、シールストリップの性能を損なうことなく、予測可能なシールの引き抜き強度を有するロータ溝シールを創成することができる、経済的なシール方法および装置を開発することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書では、ピーニングのためにロータ溝内でコーキングワイヤおよびシールストリップの位置を調整し、それらを保持するシールガイドアセンブリと、前記コーキングワイヤをピーニングしてコーキングワイヤを変形させ、コーキングワイヤおよびシールストリップをロータ溝内に固定するピーニング工具と、ピーニング工具の動きを制御して予測可能な引き抜き強度を有するロータ溝シールをもたらすアクチュエータと、シールガイドアセンブリ、ピーニング工具およびアクチュエータを固定するための基部とを含む回転機械用の自動シールアセンブリが開示される。
【0008】
また本明細書では、コーキングワイヤおよびシールストリップをロータ溝と整列させるステップと、シールガイドアセンブリを用いて、ロータ溝内でのピーニングのためにコーキングワイヤおよびシールストリップを保持するステップと、アクチュエータによって動きを制御されるピーニング工具を用いてコーキングワイヤをピーニングするステップと、アクチュエータを用いてピーニング工具を移動させるステップとを含む回転機械の自動化されたシール方法であって、コーキングワイヤをピーニングしてコーキングワイヤを変形させ、予測可能な引き抜き強度を有するロータ溝シールを創成する方法が開示される。
【0009】
また本明細書では、コーキングワイヤおよびシールストリップをロータ溝と整列させる手段と、シールガイドアセンブリを用いて、ロータ溝内でのピーニングのためにコーキングワイヤおよびシールストリップを保持する手段と、アクチュエータによって動きを制御されるピーニング工具を用いて前記コーキングワイヤをピーニングする手段と、アクチュエータを用いてピーニング工具を移動させる手段とを含む回転機械の自動シールシステムであって、前記コーキングワイヤをピーニングする手段が、予測可能な引き抜き強度を有するロータ溝シールをもたらすシステムが開示される。
【0010】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様ならびに利点は、添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むとさらによく理解されよう。図面全体を通じて、類似の記号は類似の部品を表している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1に示すように、蒸気タービン(参照番号50で示す)など典型的な回転機械50は一般に、ロータ54や回転動翼56などの少なくとも1つの回転要素、およびロータ54を囲む固定蒸気ノズル(やはり参照番号58で示す)などの固定要素58を含む。ロータ54、回転動翼56および固定要素58は、共通の軸線60の周りに円周方向に配置される。回転機械50では、固定ノズル58を通過する蒸気は高速でロータ54に衝突するように方向付けされ、ロータ54を高速で回転させる。
【0012】
ロータ溝シール62について、まず図1を参照して述べる。図示するように、ロータ溝シール62は、ロータ54と固定要素58の間に配置される。やはり図1を参照すると、ロータ溝シール62は、ロータ54または固定要素58に固定された少なくとも1つのシールストリップ66を含んでいる。図1および2は、ロータ溝シール62に対して少なくとも1つのシールストリップ66がロータ54に固定された、ロータ溝シール62の実施形態を示している。図2に示すように、J型ストリップシール(やはり参照番号66で示す)など一連のシールストリップ66をロータ54に固定し、コーキングワイヤ30によってロータ溝28内に配置することができる。
【0013】
図3に、シールガイドアセンブリ12、ピーニング工具14、アクチュエータ16および基部18を含む自動シールアセンブリ10について示す。シールガイドアセンブリ12は、1つまたは複数の回転ガイド26およびブロックガイド24を含むことができる。ピーニング工具14は、それだけには限らないが、丸みが付いた先端を有するハンマーまたはチゼルを含めて、コーキングワイヤ30をピーニングするのに適した任意の工具とすることができる。アクチュエータ16は、空気式、電気式または液圧式のアクチュエータとすることができる。ただし、アクチュエータのうち当業者には周知である他の任意の適切な手段も考えられる。例示的な実施形態では、基部18は、加工旋盤または組み立て旋盤の台と整列して、ロータ溝28を用いてピーニング工具14の方向を定めるように設計される。
【0014】
シールガイドアセンブリ12は、ピーニング工具14によるピーニングのために、シールガイドアセンブリ12がコーキングワイヤ30の位置を正しく調整するように基部18に固定された、第1のスライドアセンブリ22に固定される。ピーニング前にシールガイドアセンブリ12がコーキングワイヤ30およびシールストリップ66をロータ溝28に挿入するように、シールガイドアセンブリ12を位置決めすることができる。第1のアクチュエータ16は、基部18に固定された第2のスライドアセンブリ32に固定され、ピーニング工具14は第1のアクチュエータ16に固定される。コーキングワイヤ30をロータ溝28内部に配置する間、コーキングワイヤ30を強打するようにピーニング工具14の方向を定める。ピーニング工具14は、第1のアクチュエータ16の制御に応答してコーキングワイヤ30を繰り返したたくことにより、予測可能な引き抜き強度を有するロータ溝シール62をもたらす。
【0015】
例示的な実施形態では、第1のスライドアセンブリ22が、シールガイドアセンブリ12の力および位置を制御する。スライドアセンブリ22は基部18に固定され、シールガイドアセンブリ12はスライドアセンブリ22に固定される。スライドアセンブリ22によってシールガイドアセンブリ12を引っ込めることが可能になり、コーキングワイヤ30およびシールストリップ66の組み立てが容易になる。他の例示的な実施形態では、第2のスライドアセンブリ32が、ピーニング工具14および第1のアクチュエータ16の位置および力を制御する。第2のスライドアセンブリ32は基部18に固定され、第1のアクチュエータ16はスライドアセンブリ32に固定される。第2のスライドアセンブリ32は、ピーニング工具14が固定された第1のアクチュエータ16の位置を制御することによって、ピーニング工具14の位置を制御することができる。
【0016】
例示的な実施形態では、第2のアクチュエータ20が基部18に固定され、スライドアセンブリ22に接続される。第2のアクチュエータ20を用いて、コーキングワイヤ30に関して、位置およびシールガイドアセンブリ12によって加えられる力を制御する。他の例示的な実施形態では、第3のアクチュエータ34が基部18に固定され、第1のアクチュエータ16に接続される。さらに第3のアクチュエータ34を用いて、コーキングワイヤ30に関して、位置およびピーニング工具14によって加えられる力を制御することもできる。第3のアクチュエータ34は、ピーニング工具14が固定された第1のアクチュエータ16によって加えられる力を制御することにより、ピーニング工具14に加えられる力を制御することができる。第2のアクチュエータ20と第3のアクチュエータ34は共に、空気式、電気式または液圧式のアクチュエータとすることができる。ただし、アクチュエータのうち当業者には周知である他の任意の適切な手段も考えられる。
【0017】
第1のアクチュエータ16、第2のアクチュエータ20および第3のアクチュエータ34は、フォワード、リバースおよびニュートラルの3つのモードを備えた制御弁を有することができる。ニュートラルの制御弁モードにより、運転者がシールガイドアセンブリ12および第1のアクチュエータ16をそれぞれ手動で位置決めすることが可能になる。例示的な実施形態では、第1のアクチュエータ16、第2のアクチュエータ20および第3のアクチュエータ34は、自動シールアセンブリ10に設けられた非常停止ボタンによって作動させることが可能なニュートラルモードを有することができる。例示的な実施形態では、第2のアクチュエータ20と第3のアクチュエータ34は共に空気式のものとすることが可能であり、ニュートラルモードによって、第2のアクチュエータ20および第3のアクチュエータ34の圧力を周囲の大気圧に対して放出する。
【0018】
例示的な実施形態では、ピーニング工具14およびシールガイドアセンブリ12をロータ溝28と適切に整列させてコーキングワイヤ30をピーニングすることができるように、自動シールアセンブリ10を位置決めする。それだけには限らないが、レーザーを投影してロータ溝28と整列させる、自動シールアセンブリに固定されたレーザーガイドを含めたいくつかの方法を用いて、ピーニングのために自動シールアセンブリ10の位置を調整することができる。第1のスライドアセンブリ22および第2のスライドアセンブリ32は、それぞれシールガイドアセンブリ12および第1のアクチュエータ16の位置を調整するために用いられる。さらに、第2のアクチュエータ20を用いて、コーキングワイヤ30に関してシールガイドアセンブリ12によって加えられる力を制御し、第3のアクチュエータ34を用いて、コーキングワイヤ30に関してピーニング工具14によって加えられる力を制御する。シールガイドアセンブリ12は、ピーニング工具14によるピーニングのために、コーキングワイヤ30を供給し、その位置を調整し、保持する。ピーニング中、コーキングワイヤ30はピーニング工具14によって意図的に繰り返し可能に強打され、変形したコーキングワイヤ30はシールストリップ66をロータ溝28内に固定する。ピーニング工具14は、第1のアクチュエータ16および第3のアクチュエータ34によって制御される方法でコーキングワイヤ30をピーニングして、予測可能なシールの引き抜き強度を有するロータ溝シール62をもたらす。
【0019】
他の例示的な実施形態では、ピーニング工具14は、ピーニングされるコーキングワイヤ30に接触しているロータ溝28に収まる先端厚さを有するように研削された、硬化した先端部を備えるチゼルとすることできる。ピーニング工具14は、重なり合うピーニング工具14の本体がJ型シールストリップ66の側面にちょうど隣接するような平坦な片面を有することができる。ピーニング工具14のもう一方の面は、シールの高さに対するクリアランスを形成する先端長さを残すような先端幅まで、下方にブレンドすることができる。ピーニング中、ピーニング工具14がコーキングワイヤ30に沿って移動するとき、コーキングワイヤ30の面上におけるピーニング工具14の滑らかな動きを保証するために、ピーニング工具14の先端の幅を研削して丸みの付いたコーナーを有するようにすることができる。
【0020】
次に図4に目を向けると、1つまたは複数の回転ガイド112、122を含むことが可能なシールガイドアセンブリ12が示してある。回転ガイド112、122は、ピーニングのためにその周囲にコーキングワイヤ30およびシールストリップ66を受け入れ、保持し、案内する溝を有することができる上部回転ガイド112によって識別される。上部回転ガイド112は、1つまたは複数の溝付き穴116によって長方形のブロック114に接続され、上部回転ガイド112の位置は位置決めねじ118によって微調整される。同様に、下部回転ガイド122を上部回転ガイド112の下に配置することができる。下部回転ガイド122により、ピーニング前にコーキングワイヤ30およびシールストリップ66を、ロータ溝28のより深いところにより正確に位置決めすることが可能になる。下部回転ガイド122は、1つまたは複数の溝付き穴126によって長方形のブロック124に接続され、下部回転ガイド122の位置は位置決めねじ128によって微調整される。
【0021】
回転ガイド112、122に加えて、シールガイドアセンブリ12は、1つまたは複数のブロックガイド132を含むことができる。ブロックガイド132は、下部回転ガイド122の下に配置することができる。ブロックガイド132は、ピーニング中にシールストリップ66およびコーキングワイヤ30がロータ溝28から出るのを抑えるために、ロータ54に対して外形を合わせた面を有することができる。ブロックガイド132はピーニング工具14の上に配置することができる。ブロックガイド132は、1つまたは複数の溝付き穴136を含む。ブロックガイド132の位置は、位置決めネジ138によって微調整される。上部回転ガイド112、下部回転ガイド122およびブロックガイド132の微調整された位置は、第1のスライドアセンブリ22に取り付けられたシールガイドアセンブリ12の他の要素の位置とは無関係である。特に言及しない限り、本明細書では「上部」および「下部」という用語を説明の都合上使用しているだけであり、いずれか1つの位置または空間の方向に限定されない。
【0022】
例示的な実施形態では、データロガー38を用いて、第2のアクチュエータ20、第3のアクチュエータ34および/または第1のアクチュエータ16から測定された圧力と力の両方のデータをモニターし、表示することができる。データロガー38は、第2のアクチュエータ20、第3のアクチュエータ34および/または第1のアクチュエータ16から測定された最新の圧力および力のデータを表示するモニター36を有することもできる。データロガー38は任意選択で、それだけには限らないが、フラッシュメモリやディスケットなどのコンピュータ可読媒体を含めた任意の適切な手段に、圧力および力のデータを記録することができる。例示的な実施形態では、データロガー38は、運転者によって選択された時間間隔で圧力および力のデータを測定する。他の例示的な実施形態では、データロガー38を、コンピュータ可読媒体を受け入れるスロットを有する制御部筐体内に配置することができる。コンピュータ可読媒体を制御部筐体から取り出し、統計的解析および製造品質記録のためにコンピュータによって読み込むことができる。任意選択で、データロガー38は、モニターされた圧力および/または力が運転者によって指定された範囲を越えた場合、運転者に警報を出すように動作可能な警報システムを有することができる。
【0023】
例示的な実施形態では、運転者は自動シールアセンブリ10の1つまたは複数の動作パラメータを正確に制御することができる。自動シールアセンブリ10の動作パラメータには、それだけには限らないが、ロータ溝28に対するピーニング工具14の角度、ピーニング工具14の移動の頻度および大きさ、ロータ54の回転速度に応じたピーニング工具14のコーキングワイヤ30上での滞留時間、ならびにコーキングワイヤ30に関してシールガイドアセンブリ12および第1のアクチュエータ16によって加えられる力が含まれる。任意選択で、先に列挙したすべての動作パラメータを指定された範囲内で制御することが可能であり、また品質制御の目的で、データロガーによって動作パラメータを記録することも可能である。さらに、先に列挙したすべての動作パラメータを、適切なディスプレイを用いて運転者に示すことも可能である。こうした適切なディスプレイには、それだけには限らないが、アナログ計器やデジタルディスプレイが含まれる。
【0024】
本明細書において開示した自動シールアセンブリ10を用いて、予測可能な引き抜き強度を有するロータ溝シール62を創成することができる。例示的な実施形態では、29ミルのJ型シール66を用いてロータ溝シール62を創成することができる。このロータ溝シール62は、約590キログラム(1300ポンド)の平均引き抜き強度、および約29キログラム(65ポンド)の標準偏差を有することが可能である。自動シールアセンブリを用いて得られるシールの引き抜き強度および標準偏差は、手作業のピーニングなど現在利用可能な方法によって通常得られるシールの引き抜き強度および標準偏差をはるかに上回っている。
【0025】
本発明を例示的な実施形態を参照して説明してきたが、様々な変更を加えることが可能であり、また本発明の範囲から逸脱することなく、その要素の代わりに同等のものを使用することが可能であることが当業者には理解されよう。さらに、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、本発明の教示に対して特定の状況または材料に適合するように多くの修正を加えることも可能である。したがって、本発明は、本発明を実施するために企図された最良の方法として開示した特定の実施形態に限定されないが、添付の特許請求の範囲に含まれるすべての実施形態を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】例示的な回転機械の断面概略図である。
【図2】例示的なロータ溝シールを示す、図1の一部分の拡大詳細図である。
【図3】自動シールアセンブリの例示的な実施形態の概略図である。
【図4】シールガイドアセンブリの例示的な実施形態の概略図である。
【符号の説明】
【0027】
10 自動シールアセンブリ
12 シールガイドアセンブリ
14 ピーニング工具
16 第1のアクチュエータ
18 基部
20 第2のアクチュエータ
22 第1のスライドアセンブリ
24 ブロックガイド
26 回転ガイド
28 ロータ溝
30 コーキングワイヤ
32 第2のスライドアセンブリ
34 第3のアクチュエータ
36 モニター
38 データロガー
50 回転機械、蒸気タービン
54 ロータ
56 回転動翼
58 固定要素、固定ノズル
60 共通の軸線
62 ロータ溝シール
66 シールストリップ、J型ストリップシール
112 上部回転ガイド
114、124 長方形のブロック
116、126、136 溝付き穴
118、128、138 位置決めねじ
122 下部回転ガイド
132 ブロックガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機械(50)用の自動シールアセンブリ(10)であって、
ピーニングのためにロータ溝(28)内にコーキングワイヤ(30)およびシールストリップ(66)を供給し、それらの位置を調整し、保持するシールガイドアセンブリ(12)と、
前記コーキングワイヤ(30)をピーニングして前記コーキングワイヤ(30)を変形させ、前記コーキングワイヤ(30)および前記シールストリップ(66)を前記ロータ溝(28)内に固定するピーニング工具(14)と、
前記ピーニング工具(14)の動きを制御して、予測可能な引き抜き強度を有するロータ溝シール(62)をもたらす第1のアクチュエータ(16)と、
前記回転機械(50)に対して前記シールガイドアセンブリ(12)、前記ピーニング工具(14)および前記第1のアクチュエータ(16)を固定するための基部(18)とを備えることを特徴とする自動シールアセンブリ(10)。
【請求項2】
前記第1のアクチュエータ(16)が、
空気式アクチュエータ、
電気式アクチュエータ、および
液圧式アクチュエータ
の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1記載の回転機械(50)用の自動シールアセンブリ(10)。
【請求項3】
前記基部(18)に固定された第1のスライドアセンブリ(22)をさらに備え、前記第1のスライドアセンブリ(22)が、前記ロータ溝(28)に対して前記シールガイドアセンブリ(12)の位置を制御することを特徴とする請求項1記載の回転機械(50)用の自動シールアセンブリ(10)。
【請求項4】
前記基部(18)に固定された第2のスライドアセンブリ(32)をさらに備え、前記第2のスライドアセンブリ(32)が、前記ロータ溝(28)に対して前記ピーニング工具(14)の位置を制御することを特徴とする請求項1記載の回転機械(50)用の自動シールアセンブリ(10)。
【請求項5】
第2のアクチュエータ(20)をさらに備え、前記第2のアクチュエータ(20)が前記コーキングワイヤ(30)に関して前記シールガイドアセンブリ(12)によって加えられる力を制御することを特徴とする請求項1記載の回転機械(50)用の自動シールアセンブリ(10)。
【請求項6】
前記コーキングワイヤ(30)に関して前記シールガイドアセンブリ(12)によって加えられる力をモニターし、記録するように動作可能なデータロガー(38)をさらに備えることを特徴とする請求項5記載の回転機械(50)用の自動シールアセンブリ(10)。
【請求項7】
前記コーキングワイヤ(30)に関して前記ピーニング工具(14)によって加えられる力を制御するように動作可能な第3のアクチュエータ(34)をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の回転機械(50)用の自動シールアセンブリ(10)。
【請求項8】
前記コーキングワイヤ(30)に関して前記ピーニング工具(14)によって加えられる力をモニターし、記録するように動作可能なデータロガー(38)をさらに備えることを特徴とする請求項7記載の回転機械(50)用の自動シールアセンブリ(10)。
【請求項9】
回転機械(50)の自動シール方法であって、
コーキングワイヤ(30)およびシールストリップ(66)をロータ溝(28)と整列させるステップと、
シールガイドアセンブリ(12)を用いて、前記ロータ溝(28)内でのピーニングのために前記コーキングワイヤ(30)および前記シールストリップ(66)を保持するステップと、
第1のアクチュエータ(16)によって動きを制御されるピーニング工具(14)を用いて前記コーキングワイヤ(30)をピーニングするステップと
前記コーキングワイヤ(30)のピーニングは、前記コーキングワイヤ(30)を変形させ、予測可能な引き抜き強度を有するロータ溝シール(62)を創成するものであることを特徴とする自動シール方法。
【請求項10】
前記シールガイドアセンブリ(12)が、
前記コーキングワイヤ(30)および前記シールストリップ(66)の位置を調整する回転ガイド(26、112、122)、および
前記コーキングワイヤ(30)を前記ロータ溝(28)内に保持するブロックガイド(24、132)の少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項9記載の自動シール方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−233971(P2006−233971A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−46326(P2006−46326)
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】