説明

回転機械の診断方法

【課題】 統一的な判断が可能な高精度の回転機械の診断方法を提供する。
【解決手段】 回転機械11の正常時に回転機械11の振動信号を所定時間間隔で測定して有次元の第1の振動データを得た後、回転機械11の点検時に回転機械11の振動信号を所定時間間隔で測定して有次元の第2の振動データを得る第1工程と、第1の振動データを複数の無次元のパラメータに変換した時系列の第1のマトリックスと、第2の振動データを複数の無次元のパラメータに変換した第2のマトリックスとを作成する第2工程と、第1及び第2のマトリックスを1つの多変量カルバック・ライブラー情報量として算出する第3工程と、多変量カルバック・ライブラー情報量によって回転機械11の状態を判断する第4工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正常時と点検時の状態を比較して回転機械を診断する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送風機、圧縮機、又はポンプ等の回転機械の機械要素である歯車、ベアリング、又はインペラ等の状態診断には、音響、視覚、及び触覚等のいずれか1又は2以上の機械的(五感及び電気的に測定したものも含む)な兆候による方法、電圧量及び電流量の一方又は双方の変化による電気的な兆候による方法、及び潤滑油中の金属屑等の異物の分析による方法等によって異常を検知する方法が知られている。
【0003】
また、回転機械のケーシングに取付けられた加速度センサ等で検知した振動の振動信号等から得られる1つ(1変量)のパラメータによる診断も知られている(例えば、非特許文献1参照)。更に、複数(多変量)のパラメータを説明変数として得た後、この説明変数を最小二乗法によって多変量解析して、ロール状回転体の摩耗劣化診断を行う方法も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平9−196649号公報
【非特許文献1】劉信芳、他4名、「対称型カルバック情報量による回転機械の異常診断」、日本設備管理学会誌、1998、第10巻、第3号、p.22−27
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の回転機械の診断方法は未だ解決すべき以下のような問題があった。
回転機械の状態を機械的な兆候による方法、電気的な兆候による方法、又は潤滑油の分析による方法等によって解析する場合、測定値が回転機械の使用状況等によって大きくばらつくため、回転機械の状態の判断が困難であり、異常の早期発見が難しかった。また、同一の回転機械であっても測定点又は測定する人等が異なると判定基準が異なっていた。更に、異なった回転機械では、それぞれに判定基準を設定しなければならなかった。
【0006】
非特許文献1に記載された方法では、1変量によって診断しているので診断精度が低かった。また、特許文献1の発明では、複数の説明変数を用いているが、得られた説明変数を独自に設けた影響係数で重み付けすると共に、回転機械のそれぞれについて影響係数を設定しなければならなかった。また、交換度合い指数は最小二乗法によって求めているため、誤差が大きくなっていた。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、統一的な判断が可能な高精度の回転機械の診断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的に沿う請求項1記載の回転機械の診断方法は、回転機械の正常時に該回転機械の第1の振動信号を所定時間間隔で測定して有次元の第1の振動データを得た後、前記回転機械の点検時に該回転機械の第2の振動信号を所定時間間隔で測定して有次元の第2の振動データを得る第1工程と、
前記第1の振動データを第1の複数の無次元のパラメータに変換した時系列の第1のマトリックスと、前記第2の振動データを第2の複数の無次元のパラメータに変換した時系列の第2のマトリックスとをそれぞれ作成する第2工程と、
前記第1及び第2のマトリックスを1つの多変量カルバック・ライブラー情報量として算出する第3工程と、
前記多変量カルバック・ライブラー情報量によって前記回転機械の状態を判断する第4工程とを有し、
前記回転機械の正常時の振動信号と点検時の振動信号とを比較して前記回転機械の異常を検知する。
【0009】
請求項1記載の回転機械の診断方法において、回転機械としては、送風機、圧縮機、ポンプ等がある。また、回転機械には、機械要素である歯車、ベアリング、及びインペラ等のいずれか1又は2以上が備えられている。回転機械の振動信号としては、回転機械の振動の変位、速度、及び加速度等のいずれか1又は2以上の有次元の信号を用いることができる。回転機械の正常時及び点検時に測定した振動信号はアナログのデータであり、この振動信号はデジタルの振動データに変換される。
【0010】
更に、1つの有次元の第1及び第2の振動データは、それぞれ第1及び第2の複数の無次元のパラメータに変換され、第1及び第2の複数の無次元のパラメータからそれぞれ第1及び第2の時系列のマトリックスが作成される。振動信号は、所定時間間隔、例えば20μ秒間〜0.1秒間間隔、つまりサンプリング周波数10Hz〜50kHzで測定される。
【0011】
ここで、多変量カルバック・ライブラー情報量(Multivariate Kullback-Leibler Infomation、以下、MKIともいう)は、経済統計学等に使用される統計理論であって、(1)式で示される。ここで、fR は正常時(Reference 、R)の振動データの分布、fT は点検時(Test、T)の振動データの分布を示し、それぞれのx1 〜xk は有次元の振動データから変換された複数(k個)のパラメータを示す。
【0012】
μR 及びμT はそれぞれのx1 〜xk のk変量の平均値ベクトルであり、SR 及びST はそれぞれのx1 〜xk 及び、μR 又はμT から求められるk変量の共分散マトリックスである。μR 、μT 、SR 、及びST については、後で詳しく述べる。多変量カルバック・ライブラー情報量は、正常時の振動データの分布と点検時の振動データの分布との差異を示し、この値によって回転機械の異常を検知することができる。
【0013】
【数1】

【0014】
正常時及び点検時の振動データをそれぞれ複数の無次元のパラメータ(x1 〜xk )に変換した時系列の第1及び第2のマトリックスXI を(2)式に示し、x1 〜xk のそれぞれの平均値(μ1 〜μk )からなる平均マトリックスμI を(3)式に示す。なお、Iは、R又はTである(以下同様)。
【0015】
【数2】

【0016】
【数3】

【0017】
【数4】

【0018】
ここで、(2)式及び(3)式から、(4)式に示される正常時及び点検時の共分散マトリックスSI をそれぞれ求め、μR 、SR 、μT 、ST を(1)式に代入して、多変量カルバック・ライブラー情報量MKIを算出する。算出されたMKIの値と所定の判断基準とを比較して回転機械の状態、つまり、正常であるか異常であるかを判断することができる。
【0019】
請求項2記載の回転機械の診断方法は、請求項1記載の回転機械の診断方法において、前記第1及び第2の複数の無次元のパラメータは、それぞれ歪み度、尖り度、波高率、極小値率、極大値率、最大値率、安定指数、周波数波高率、等価帯域、及び周波数高低比のいずれか2以上を有している。
請求項2記載の回転機械の診断方法において、歪み度、尖り度、波高率、極小値率、極大値率、及び最大値率は、一般的な統計解析の式であり、それぞれ(5)式〜(10)式で示される。また、安定指数、周波数波高率、等価帯域、及び周波数高低比は、波形の情報を定量化する数式であり、それぞれ(11)式〜(14)式で示される。これらは(1)式において、x1 〜xk として表される。
【0020】
【数5】

【0021】
【数6】

【0022】
【数7】

【0023】
【数8】

【0024】
【数9】

【0025】
【数10】

【0026】
【数11】

【0027】
【数12】

【0028】
【数13】

【0029】
【数14】

【0030】
なお、(11)式〜(14)式で示される安定指数、周波数波高率、等価帯域、及び周波数高低比は、振動信号の時系列波形を高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform)することにより求めたパワースペクトルP(fi)の形状を定量化するパラメータである。
【0031】
請求項3記載の回転機械の診断方法は、請求項1及び2記載の回転機械の診断方法において、前記第4工程での回転機械の状態判断は統計的一般化漸近理論によって行う。
請求項3記載の回転機械の診断方法において、統計的一般化漸近理論は(15)式で示される。ここで、(15)式から、(16)式及び(17)式でそれぞれ表される帰無仮説H0 、対立仮説H1 に対して、有意水準をαとすると多変量カルバック・ライブラー情報量の推定値は(18)式で示される。なお、k変量MKIの判定基準Rk (α)はカイ二乗分布(χ2 分布)に従う。
【0032】
【数15】

【0033】
【数16】

【0034】
【数17】

【0035】
【数18】

【0036】
ここで、(19)式に示すように、MKIの推定量がk変量MKIの判定基準Rk (α)よりも小さい場合には、正常時及び点検時の振動データの分布が同じであり、回転機械が正常であると判断する。また、(20)式に示すように、MKIの推定量がk変量MKIの判定基準Rk (α)以上の場合には、正常時及び点検時の振動データの分布が異なり、回転機械が異常であると判断する。
【0037】
【数19】

【0038】
【数20】

【0039】
請求項4記載の回転機械の診断方法は、請求項1〜3記載の回転機械の診断方法において、前記第1及び第2の振動データは、フィルタリングによるノイズ除去、時間平均化、及び包絡線処理のいずれか1又は2以上の前処理が行われる。
請求項4記載の回転機械の診断方法において、振動信号には回転機械の外部及び内部からの雑音(ノイズ)等が含まれるので、ノイズ除去、時間平均化、及び包絡線処理のいずれか1又は2以上の前処理を行う。
【0040】
請求項5記載の回転機械の診断方法は、請求項1〜4記載の回転機械の診断方法において、前記第1及び第2の振動信号は、前記回転機械のケーシングに設置した加速度センサによって測定される前記回転機械の振動の加速度である。
請求項5記載の回転機械の診断方法において、加速度センサは機械的なショックや振動を受けると電気出力を発生する電気変換器であり、比較的大きな信号を検出対象とし、共振周波数より非常に低い周波数においての力の変化、すなわち、加速度に比例した電荷の変化を引き起こす効果を利用した装置である。
【0041】
加速度センサとしては、例えば圧電型の加速度センサが知られ、圧電型の加速度センサは電荷出力型とアンプ内蔵型に分類される。アンプ内蔵型は更に定電流駆動型と電圧駆動型があり、小型で駆動が容易であるため定電流駆動型が好適に使用される。
【0042】
請求項6記載の回転機械の診断方法は、請求項1〜5記載の回転機械の診断方法において、前記第1及び第2の振動信号は前記回転機械の1箇所又は2箇所以上で測定される。
請求項6記載の回転機械の診断方法において、回転機械、例えばモータ等において、その回転軸の軸心を水平方向に配置した場合に、回転軸の軸心に対して、垂直方向及び水平方向、また、回転軸の軸心と同一方向等の振動信号を測定することができる。
【発明の効果】
【0043】
請求項1〜6記載の回転機械の診断方法は、回転機械の正常時及び点検時に所定時間間隔でそれぞれ測定した第1及び第2の振動信号から得られる有次元の第1及び第2の振動データをそれぞれ変換した第1及び第2の複数の無次元のパラメータからなる第1及び第2のマトリックスから1つの多変量カルバック・ライブラー情報量として算出して回転機械の状態を判断するので、高精度であると共に、統一的な判断が可能である。
【0044】
特に、請求項2記載の回転機械の診断方法は、第1及び第2の複数の無次元のパラメータは、それぞれ歪み度、尖り度、波高率、極小値率、極大値率、最大値率、安定指数、周波数波高率、等価帯域、及び周波数高低比のいずれか2以上を有しているので、より高精度な診断ができる。
請求項3記載の回転機械の診断方法は、第4工程での回転機械の状態判断が統計的一般化漸近理論によって行うので、精度よく判断可能である。
【0045】
請求項4記載の回転機械の診断方法は、第1及び第2の振動データは、フィルタリングによるノイズ除去、時間平均化、及び包絡線処理のいずれか1又は2以上の前処理が行われるので、計測精度を向上することができる。
請求項5記載の回転機械の診断方法は、第1及び第2の振動信号が回転機械のケーシングに設置した加速度センサによって測定される回転機械の振動の加速度であるので、簡単に測定できる。
請求項6記載の回転機械の診断方法は、第1及び第2の振動信号が回転機械の1箇所又は2箇所以上で測定されるので、より高精度に判断できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る回転機械の診断方法を適用した回転機械の診断装置の説明図、図2は同回転機械の診断方法のフローチャートである。
【0047】
図1を参照して、本発明の一実施の形態に係る回転機械の診断方法を適用した回転機械の診断装置(以下、単に診断装置ともいう)10について説明する。
回転機械の診断装置10は、回転機械の一例である歯車ポンプ11の診断を行う装置である。歯車ポンプ11は、そのケーシング12内に機械要素の2つの歯車13、14を有している。
【0048】
診断装置10は、歯車13の軸心15の上方にあるケーシング12の上部に取付けられる加速度センサ16を有し、歯車ポンプ11の振動信号の一例である加速度を所定時間間隔、周波数10Hz〜50kHz、例えば25kHz、つまり、40μ秒間間隔で測定する。また、診断装置10は、加速度センサ16で測定したアナログの振動信号をデジタルの振動データに変換するA/D変換器17と、A/D変換器17で得られた振動データを処理する処理ユニット18と、処理ユニット18による歯車ポンプ11の診断結果等を表示するモニタ19を有している。
【0049】
ここで、測定点の数(n)は、特に限定しないが、少ないと正確な判断がし難く、多いと処理に時間がかかり、処理ユニット18のメモリーを多くしなければならない等の問題がある。なお、診断装置10では、正常時及び点検時における測定点を65536点、測定時間をおよそ2.6秒間とした。
【0050】
次に、図1及び図2を参照して、診断装置10を使用した回転機械の診断方法について説明する。
(第1工程)
まず、歯車ポンプ11の正常時に、加速度センサ16によって歯車ポンプ11の加速度(第1の振動信号)を所定時間間隔で測定し、A/D変換器17で有次元の第1の振動データ(デジタル)に変換し、この第1の振動データを処理ユニット18に保存する(ステップ1)。更に、歯車ポンプ11の点検時には、正常時と同様に加速度センサ16によって振動の加速度(第2の振動信号)を所定時間間隔で測定し、A/D変換器17によってデジタル化した第2の振動データを処理ユニット18に保存する(ステップ2)。
【0051】
(第2工程)
処理ユニット18は、得られた第1及び第2の振動データに対して、それぞれフィルタリングによるノイズ除去、時間平均化、及び包絡線処理のいずれか1又は2以上の前処理を行う(ステップ3)。処理ユニット18は、前処理を行った第1及び第2の振動データをそれぞれ複数のパラメータ、例えば歪み度、尖り度、波高率、極小値率、極大値率、最大値率、安定指数、周波数波高率、等価帯域、及び周波数高低比の10個の無次元のパラメータに変換する。なお、歪み度、尖り度、波高率、極小値率、極大値率、最大値率、安定指数、周波数波高率、等価帯域、及び周波数高低比は、それぞれ(5)式〜(14)式で示され、(1)式、(2)式においてそれぞれx1 〜x10とする。更に、処理ユニット18は、(5)式〜(14)式によって得られる各パラメータから、(21)式に示す時系列の第1及び第2のマトリックスXI をそれぞれ作成する(ステップ4)。
【0052】
【数21】

【0053】
(第3工程)
処理ユニット18は、第1及び第2のマトリックスXI を1つの多変量カルバック・ライブラー情報量として算出するために、(21)式から得られるx1 〜x10のそれぞれの平均値μ1 〜μ10からなる平均マトリックスμI を作成する。平均マトリックスμI は、(22)式で示される。また、処理ユニット18は、(21)式及び(22)式から、(23)式に示される正常時及び点検時の共分散マトリックスSI をそれぞれ求める(ステップ5)。ここで、μR 、SR 、μT 、ST を(24)式に代入することによって、多変量カルバック・ライブラー情報量MKIを算出する(ステップ6)。
【0054】
【数22】

【0055】
【数23】

【0056】
【数24】

【0057】
(第4工程)
更に、処理ユニット18は、(24)式によって得られたMKIと、統計的一般化漸近理論(15)式から導き出される(25)式に示す判定基準Rk (α)とを比較する。なお、判定基準Rk (α)は、パラメータの数kが10であり、有意水準αを0.01とすると、47.2となる。ここで、MKIが47.2よりも小さい場合には、正常時及び点検時の振動データの分布が同じであり、歯車ポンプ11が正常であると判断し、MKIが47.2以下の場合には、正常時及び点検時の振動データの分布が異なり、歯車ポンプ11が異常であると判断する(ステップ7)。
【0058】
【数25】

【0059】
この診断結果はモニタ19に表示され、歯車ポンプ11に異常がある場合には、歯車13、14を交換する(ステップ8)。また、歯車ポンプ11が正常であった場合には、所定の点検時に再び歯車ポンプ11を診断装置10で検査する。なお、モニタ19には診断結果の他に、パラメータx1 〜x10の結果等を表示してもよい。
【0060】
本発明は、前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、例えば、前記した実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明の回転機械の診断方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
例えば、前記実施の形態の回転機械の診断方法において、回転機械として歯車ポンプとしたが、機械要素として歯車を有する送風機又は圧縮機等でもよく、機械要素としてベアリング又はインペラ等を備えた送風機、圧縮機、又はポンプ等でもよい。
【0061】
また、加速度センサを歯車の軸心の上方にあるケーシングの上部に取付けたが、加速度を測定できればよく、歯車の軸のベアリングのケーシング等に取付けてもよい。また、加速度センサを1箇所に取付けたが、2箇所以上、例えば回転軸の軸心に対して水平方向、及び回転軸の軸心と同一方向等に取付けて、それぞれの加速度センサで加速度を測定し、1つの多変量カルバック・ライブラー情報量として計算してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施の形態に係る回転機械の診断方法を適用した回転機械の診断装置の説明図である。
【図2】同回転機械の診断方法のフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
10:回転機械の診断装置、11:歯車ポンプ、12:ケーシング、13、14:歯車、15:軸心、16:加速度センサ、17:A/D変換器、18:処理ユニット、19:モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機械の正常時に該回転機械の第1の振動信号を所定時間間隔で測定して有次元の第1の振動データを得た後、前記回転機械の点検時に該回転機械の第2の振動信号を所定時間間隔で測定して有次元の第2の振動データを得る第1工程と、
前記第1の振動データを第1の複数の無次元のパラメータに変換した時系列の第1のマトリックスと、前記第2の振動データを第2の複数の無次元のパラメータに変換した時系列の第2のマトリックスとをそれぞれ作成する第2工程と、
前記第1及び第2のマトリックスを1つの多変量カルバック・ライブラー情報量として算出する第3工程と、
前記多変量カルバック・ライブラー情報量によって前記回転機械の状態を判断する第4工程とを有し、
前記回転機械の正常時の振動信号と点検時の振動信号とを比較して前記回転機械の異常を検知することを特徴とする回転機械の診断方法。
【請求項2】
請求項1記載の回転機械の診断方法において、前記第1及び第2の複数の無次元のパラメータは、それぞれ歪み度、尖り度、波高率、極小値率、極大値率、最大値率、安定指数、周波数波高率、等価帯域、及び周波数高低比のいずれか2以上を有していることを特徴とする回転機械の診断方法。
【請求項3】
請求項1及び2のいずれか1項に記載の回転機械の診断方法において、前記第4工程での回転機械の状態判断は統計的一般化漸近理論によって行うことを特徴とする回転機械の診断方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転機械の診断方法において、前記第1及び第2の振動データは、フィルタリングによるノイズ除去、時間平均化、及び包絡線処理のいずれか1又は2以上の前処理が行われることを特徴とする回転機械の診断方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転機械の診断方法において、前記第1及び第2の振動信号は、前記回転機械のケーシングに設置した加速度センサによって測定される前記回転機械の振動の加速度であることを特徴とする回転機械の診断方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の回転機械の診断方法において、前記第1及び第2の振動信号は前記回転機械の1箇所又は2箇所以上で測定されることを特徴とする回転機械の診断方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−46945(P2006−46945A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−224247(P2004−224247)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000143455)株式会社高田工業所 (14)
【Fターム(参考)】