説明

回転角センサで目盛トラック偏心を光学式に補正する装置および方法

本発明は、光学式の回転角センサないし回転検出器のための改良されたコーディングディスク、改良されたコーディングディスクを備える光学式の回転角センサないし回転検出器、ならびに回転検出器の角度測定誤差を、特に、特にコーディングディスクの変位ないし偏心によって生じる角度測定誤差を、光学式に修正ないし補正する方法に関する。コーディングディスク(20)は、少なくとも1つの目盛トラック(22)と少なくとも1つの補正トラック(24)とを含んでおり、目盛トラック(22)はコーディングディスク(20)の第1の半径方向領域に配置されており、補正トラック(24)は目盛トラック(22)に対してセンタリングされて、コーディングディスク(20)の第2の半径方向領域に配置されており、それにより目盛トラック(22)の中心は補正トラック(24)の中心と一致している。補正トラック(24)は、補正トラックの一領域に入射する光の少なくとも一部分が、補正トラック(24)により、補正トラックと目盛トラック(22,24)の共通の中心を通る軸の方向へ半径方向に偏向されるように設計されるのが好ましい。補正トラックにより偏向される読取り光の方向は、補正トラックと目盛トラックの共通の中心を通る軸との交点を有しているのが好ましく、補正トラックと当該交点との間隔は、補正トラックと目盛トラックの間の光路の長さに相当している。読取り光は、コヒーレントまたはインコヒーレントであってよい。補正トラックの半径は、目盛トラックの半径よりも小さいか、またはこれより大きいか、またはこれと等しくてよい。補正トラック(24)は回折構造を有しているのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式の回転角センサないし回転検出器のためのコーディングディスク、光学式の回転角センサないし回転検出器、ならびに光学式の回転検出器の角度測定誤差を、特に、コーディングディスクの変位ないし偏心によって生じる角度測定誤差を、光学式に修正ないし補正する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回転検出器とも呼ばれる光学式の回転角センサの基本原理は、コードディスクないしコーディングディスクが上に固定された、回転可能に支承されたシャフトを基礎としている。このコーディングディスクの上に、定置の光源によって照明される1つまたは複数の目盛トラックが塗布されている。光源に対するコーディングディスクの相対的な移動により、シャフトの角度位置に依存して、目盛トラックの特定の領域が照明される。結果として生じた照明区域の読取りが、例えばフォトダイオードのような検出ユニットを介して行われる。この信号を、ディスクおよびこれに伴ってシャフトの角度位置ないし回転運動に直接的または間接的に割り当てることができる。
【0003】
光学式の回転検出器は、透過モード(たとえば光バリヤ原理、モアレなどに基づく)として、反射モードとして、および回折による偏向(回折)に基づいても作動させることができる。解像度には関わりなく、これらいずれのコーディング原理においても回転検出器の精度は、すなわち実際のシャフト角度と光学式に測定された角度との間の不一致は、ディスク運動とシャフト運動の割当可能性に直接的に依存して決まる。シャフト軸に対する目盛トラックないしディスク軸の偏心は、すなわち目盛トラックのいわゆる振れは、無視することのできない角度測定誤差につながる。こうした角度測定誤差は、回転運動の全範囲に対する余弦波形の誤差として表される。
【0004】
高い精度を実現するためには、目盛トラックないしコーディングディスクをシャフトに対してできる限り正確にセンタリングし、すなわち調節することが必須である。このことは組立時に高いコストを要し、したがって高価である。高いコストにもかかわらず、わずかな偏心誤差を機械的手段によって完全に回避することは決してできない。このことから、こうした不可避的に発生する目盛トラックの振れを補正するための戦略が求められている。
【0005】
従来の解決の取組みは、主として、評価のときに角度誤差を取り除く戦略を追求するものであった。
【0006】
たとえば、特定の相互角度のもとで配置された2つまたはそれ以上の光学式の読取りユニットを用いることで、コーディングディスクの振れを取り除くことができる。そして電子装置を利用して、角度信号を修正することができる。その別案として、ディスクの振れを表す直接的な目安となる別個の目盛トラックが利用され得る。
【0007】
従来の補正解決法の欠点は、複数の読取りユニットないし追加の目盛トラックが必要なことにある。さらに、このような方法での補正は必ず角度が読み取られた後で行われ、したがって電子装置の追加の利用と結びついている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、光学式の回転検出器での角度測定誤差を修正ないし補正する効率的な方法ならびにこれに対応する装置を提供することであり、特に、シャフト軸に対する回転検出器のコーディングディスクの相対的な変位ないし偏心によって引き起こされる角度測定誤差を修正ないし補正する方法を提供することである。本発明のさらに別の目的は、シャフト軸に対するコーディングディスクの調節、ならびに正確な角度ないし正確な角度位置の決定を容易にし、ないしはいっそう効率的にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1に記載された特徴を有する光学式の回転角センサないし回転検出器のためのコーディングディスク、請求項10に記載された特徴を有する光学式の回転角センサないし回転検出器、および請求項17に記載された特徴を有する光学式の回転検出器での角度測定誤差(特にコーディングディスクの変位ないし偏心によって引き起こされる角度誤差)を修正ないし補正する方法によって達成される。
【0010】
提案される解決法は、ディスクの振れに対する光学式補正に依拠している。
【0011】
特に、本発明の1つ態様では、光学式回転角センサないし回転検出器のための改善されたコーディングディスクが提案される。このコーディングディスクは、少なくとも1つの目盛トラックと、少なくとも1つの補正トラックとを含んでおり、
目盛トラックはコーディングディスクの第1の半径方向領域に配置されており、
補正トラックは目盛トラックに対してセンタリングされて、ないしは同心的に、コーディングディスクの(好ましくは第1の半径方向領域とは異なる)第2の半径方向領域に配置されており、それにより目盛トラックの中心ないし回転中心が補正トラックの中心ないし回転中心と一致するようになっている。
【0012】
目盛トラックは、目盛トラックの走査領域が照明されたときに、少なくとも1つの光学式の測定光線が生成ないし生起されるように設計されており、測定光線の少なくとも1つの光学パラメータが、測定されるべき角度に依存して変調される。
【0013】
コーディングディスクの半径方向領域は、特に、コーディングディスクの環状領域であり、その中心は補正トラックおよび目盛トラックの共通の中心と(実質的に)一致しており、この環状領域は、実質的に、コーディングディスクの円周全体にわたって(ただしコーディングディスクの表面全体にわたってではなく)延びている。それぞれ異なる半径方向領域は、特に、互いに重なり合っていない領域である。それに応じて補正トラックと目盛トラックは、互いに重なり合わないように、ないしは互いに同じ半径方向領域で入り組まないように、配置されるのが好ましい。しかしながら、補正トラックと目盛トラックを同じ半径方向領域で入り組むように配置することも可能である。
【0014】
1つまたは複数の目盛トラックを備えたコーディングディスクを有する光学式の回転検出器では、回転する、たとえば回折式の目盛トラックがライトスポット(照明スポット)により、特に集束するライトスポットにより、照明される。しかしコーディングディスクの振れにより、目盛トラックないし目盛トラックの走査領域の照明されるべき個所が、接線方向及び半径方向において、照明ないし照明光線に対して相対的に動いてしまい、このことが上述した角度測定誤差につながる。目盛トラックは、コーディングディスクの半径方向の変位が信号の変化を引き起こさないように設計することができる。それに対して、照明に対する接線方向での相対移動は、回転角センサないし回転検出器の機能原理によって修正しなくてはならない。
【0015】
ここで半径方向とは、照明される個所の中心(ないし走査領域の中心)と、シャフト中心点との間の軸を指している。接線方向とは、半径方向に対して垂直かつ軸方向に対して垂直の方向を指しており、軸方向はシャフト軸と一致する。コーディングディスクは、軸方向がコーディングディスクの平面に対して垂直になるように配置されるのが通常である。
【0016】
本発明によると、好ましくは追加の読取りユニットおよび/または電子装置を使わない、上述した角度測定誤差の光学式の補正ないし修正が提案される。このことは特に、少なくとも1つの目盛トラックに加えて、別のトラック(たとえば別の回折式のトラック)、いわゆる補正トラックを有する、改変されたコーディングディスクを利用することによって可能となる。このときコーディングディスクは、好ましくは一定の厚みをもつ円板状の丸いディスクであってもよく、目盛トラックと補正トラックはコーディングディスクの一方の面に配置することができる。
【0017】
コーディングディスクの振れの光学式修正、および、特にこれに関連する、シャフトに対するコーディングディスクの接線方向の変位または偏心の修正、および、これに対応する、接線方向における照明に対するコーディングディスクの相対的な変位の修正は、集束するライトスポット(照明スポット)が、回折式の目盛トラックないしコーディングディスクの接線方向移動と「一緒に移動する」ことによって行われる。このことは、目盛トラックに対してセンタリングされて、ないしは同心的に、好ましくは回転するコーディングディスクの別の半径方向領域ないし半径領域にあり、たとえばミラー構造や回折構造のような適当な構造を有している補正トラックによって実現される。互いにセンタリングされて、ないしは同心的に配置された補正トラックと目盛トラックは、共通の回転軸を有するように構成、配置される。このようにして、補正トラックの中心ないし回転中心は目盛トラックの中心ないし回転中心と一致する。
【0018】
補正トラックは、特に、補正トラックの1つの領域が照明されたときに、たとえば適当な光学式またはオプトエレクトロニクス式の方向転換装置により目盛トラックに向けることができる、少なくとも1つの光線が生成ないし生起されるように設計されている。換言すると補正トラックは、特に、補正トラックの1つの領域に所定ないし設定可能な(調整可能な)照射角(たとえばコーディングディスクの平面に対して鉛直)で入射する照明光(読取り光)が補正トラックにより偏向されて、偏向された照明光の少なくとも一部分を直接的または間接的に、すなわち適当な光学式またはオプトエレクトロニクス式の方向転換装置によって、目盛トラックの所定または設定可能な走査領域へ向けることができるように、ないしは集束させることができるように設計されている。方向転換装置は、光源に対して定置である少なくとも1つの光学素子(たとえばミラー、リトロレフレクタ、プリズム、特にペンタプリズム)を含んでいるのが好ましい。方向転換装置は、光源に対して相対的に定置であるのが好ましい。光源は、同じく定置であってよい。
【0019】
照明光線を補正トラックに向けて事前に光学式に偏向させることで、照明光によって生成される(目盛トラックの走査領域を照明するべき)照明スポットがスタティックなままにとどまるのではなく、コーディングディスクおよびこれに伴う補正トラックおよび目盛トラックの変位と「一緒に移動させる」ことができる。
【0020】
このように補正トラックは、光学式の回転検出器に配置されたコーディングディスクの、シャフトないしシャフト軸に対する偏心に依存して、補正トラックの一領域に入射する照明光を偏向させる役目を果たす。コーディングディスクのオフセットないし偏心は、照明光のビーム偏向の角度変化を生成する。
【0021】
このように、定置の光源によって、および/または所定のもしくは設定可能な照射角(たとえば軸方向)で、補正トラックの1つの領域(ないしスポット)が照明されると、入射する照明光が補正トラックによって偏向される。偏向された照明光の少なくとも一部分は、たとえば適当な光学式ないしオプトエレクトロニクス式の方向転換装置によって本来の目盛トラックへと向けられ、ないしは集束される。この方向転換は、補正トラックから目盛トラックまでの光学的な経路長が、補正トラックからその回転軸までの光学的な経路長に相当するように構成することができる。この結果、目盛トラックの照明が常にその回転軸の接線方向の基準位置で行われることになる。
【0022】
そして、機械的な振れによってコーディングディスクが光源に対して接線方向に動くと、この接線方向の変位に依存して、目盛トラックへの照明ないし照明スポットも動く。補正トラックの構造とパラメータの適切な選択により、および場合により適当な方向転換装置により、コーディングディスクの振れに関わりなく、目盛トラックが常に実質的に同一の接線方向位置で照明されるようにすることができる。このように、潜在的な角度誤差ないし角度測定誤差を光学式に補正することができるので、正確な角度を読み取ることができる。
【0023】
補正トラックはさまざまに構成することができる。補正トラックは、たとえばミラー構造(たとえば適当な角度で周回する鏡面)またはプリズム構造を有することができる。
【0024】
補正トラックは回折構造を有しているのが好ましい。回折式の補正トラックは、補正トラックで回折するN次(たとえば一次)の回折光を、たとえば適当な光学式の方向転換装置によって目盛トラックの所定の走査領域へ向け、ないしは集束させることができるように設計することができる。このように回折式の補正トラックは、光学式の回転検出器のシャフトないしシャフト軸に対する、光学式の回転検出器に配置されたコーディングディスクの偏心に依存して、N次の(好ましくは一次の)回折次数を偏向させる役目を果たす。
【0025】
回折式の補正トラックは、実質的にコーディングディスクの円周全体にわたって半径方向に延びる少なくとも1つの回折格子を含むことができる。回折格子は反射型または透過型の回折格子であってよい。さらに、回折格子はホログラフィック回折格子であってもよい。格子定数および/または格子線の角度配置といった回折格子のパラメータについては、原則として制約はない。回折格子の格子定数および/または格子線の角度配置は、利用分野に依存して、たとえば照明光の波長に依存して、および/または回転検出器の光学構造の個々のコンポーネントのジオメトリー、配置、および/または寸法に依存して、および/またはコーディングディスクの材料の屈折率に依存して、適切に選択することができ、それにより、回折された光線の少なくとも1つの部分が直接的に、または適当な光学式の方向転換装置によって間接的に、目盛トラックの所定もしくは設定可能な走査領域に向けられるようになる。
【0026】
1つの例では、補正トラックはアキシコン構造として製作することができる。すなわち、所定の方向(たとえば軸方向)にコーディングディスクに入射する照明光(読取り光)の少なくとも1つの部分が、補正トラックにより、補正トラックと目盛トラックの共通の中心を通る軸の方向で半径方向に偏向される。回折式の補正トラックでは、たとえばコーディングディスクに入射する照明光は、N次の(たとえば一次の)回折次数の光線が常に補正トラックの中心の方向に、およびこれに伴って目盛トラックの中心の方向に、偏向されるように、回折次数に分かれる。コーディングディスクの平面ないし表面と(ないしはコーディングディスクと)平行である平面では、N次の回折次数の偏向された光線の投影は、またはN次の回折次数の偏向された光線の投影の仮想的な延長線は、特に、補正トラックと目盛トラックの共通の回転点ないし中心を通って延びる。補正トラックにより偏向される照明光(読取り光)の方向は、補正トラックと目盛トラックの共通の中心を通る軸との交点を有しているのが好ましく、補正トラックと当該交点との間隔は、補正トラックと目盛トラックの間の光路の長さに相当している。
【0027】
しかしながら、補正トラックを照明する照明光の少なくとも1つの部分が、補正トラックと目盛トラックの共通の中心の方向とは異なる方向で偏向されるように、補正トラックを設計することも可能である。回折式の補正トラックでは、たとえばN次の(たとえば一次の)回折次数の光線を、補正トラックと目盛トラックの共通の中心の方向とは異なる方向で偏向させることができる。このことは、たとえば格子線および/または格子定数の異なる角度の向きを有する1つまたは複数の回折格子によって実現することができる。光線の偏向方向、すなわちN次の回折次数の光線の偏向方向は、任意であってよい。たとえば少なくとも1つのミラーおよび/または少なくとも1つのリトロレフレクタおよび/または少なくとも1つのプリズム(たとえばペンタプリズム)および/またはその他の光学素子を含む、適当な光学式またはオプトエレクトロニクス式の方向転換装置により、N次の(たとえば一次の)回折次数の光線を、引き続いて補正トラックの回転中心の方向へ方向転換させることができる。換言すると補正トラックは、補正トラックに入射する照明光(読取り光)の少なくとも1つの部分が直接的または間接的に(すなわち適当な光学式またはオプトエレクトロニクス式の方向転換装置によって)、補正トラックと目盛トラックの共通の中心の方向へ偏向ないし方向転換されるように設計することができる。
【0028】
たとえば別の例では、補正トラックは、所定または設定可能な照明角で補正トラックの1つの領域に入射する光が、好ましくはコヒーレント光が、N次、ここでNは整数である、の回折次数の光線が補正トラックに対して接線方向へ照明領域で偏向されるような回折次数に分割されるように設計することができる。この場合には補正トラックは、たとえば半径方向(すなわち補正トラックの回転点の方向)を向く格子線を備えた格子構造ないし回折格子を有することができる。
【0029】
N次の(たとえば一次の)回折次数の偏向は、波長および/または補正トラックの回折構造の格子定数に依存して、又は一定の角度で、コーディングディスクの接線方向の変位ないし偏心に関わりなく行われる。
【0030】
補正トラックの一領域(ないしスポット)が、定まった位置の光源によって、および/または所定ないし固定的または調整可能な角度(たとば軸方向)で照明されるとき、入射光は上に説明したように偏向または回折される。そして、補正トラックによって偏向された補正トラックの照明光線(たとえばN次の回折次数の光線)の少なくとも一部分が、たとえば光源に対して相対的に定置の光学素子(ミラー、プリズム、および/またはその他の光学素子および/またはオプトエレクトロニクス素子)を含む、適当な光学式ないしオプトエレクトロニクス式の方向転換装置によって適切に方向転換されると、この光線は補正トラックでの偏向または回折の後に、本来の目盛トラックへと向けられ、ないしは集束される。各コンポーネント(補正トラックおよび/または方向転換装置)の適当な設計と配置により、コーディングディスクの回転角度が一定である限り、目盛トラックがオフセットに関わりなく常に目盛トラックの同一の角度位置で読取り光によって照明されるように、方向転換を行うことができる。特に方向転換は、補正トラックから目盛トラックまでの光学的な経路長が、補正トラックからその回転軸までの光学的な経路長に正確に相当するように行うことができる。このことは、目盛トラックの照明が常にその回転軸の接線方向の基準位置で行われるという帰結につながる。
【0031】
そして、コーディングディスクおよびこれに伴って両方のトラックの回転軸が、機械的な振れに基づいて光源に対して接線方向に動くと、上で説明したとおり、目盛トラックの照明ないし照明スポットもこの変位と平行に動く。このときコーディングディスクの振れに関わりなく、目盛トラックは常に、実質的に同じ接線方向位置で照明される。このように、潜在的な角度誤差ないし角度測定誤差を光学式に補正することができ、それによって正確な角度を読み取ることができる。
【0032】
回折式の補正トラックは製造プロセスで、ないしは本来の回折式の目盛トラックと同時に、コーディングディスクに塗布することができるのが好ましい。それにより、両方のトラックを高い精度で互いにセンタリングないしアライメントすることができる。このことは特に、コーディングディスクの調節不要の組立を可能にする。
【0033】
(たとえば入射光、透過光など)回転角センサないし回転検出器の設計形態に応じて、目盛トラックと補正トラックの配置ならびに光線ガイドおよび/または方向転換を可変に適合化することができる。
【0034】
すでに上で説明したとおり補正トラックは、(コーディングディスクの平面に対して)法線方向に補正トラックの1つの領域に入射する光が、回折次数に分割されるように設計されていてよい。したがってこの場合、所定の照明角は実質的に90°である。照明角は、照明光ないし照明光線の光学軸と、コーディングディスクの平面との間の角度として定義される。照明角は調節可能であってよい。
【0035】
同様に補正トラックは、一次の回折次数(N=1)の光線が直接的に、または方向転換装置によって間接的に、目盛トラックへ向けられ、ないしは集束されるように設計されていてよい。
【0036】
補正トラックの半径および/または幅は、そのつどの利用分野に依存して変えることができる。たとえば補正トラックの半径は約500mmに等しいか、またはこれよりも小さくてよく、特に約3mmから約15mmの範囲内、好ましくは約5から約10mmの範囲内、特別に好ましくは約8mmである。補正トラックの幅はたとえば約0.5から約5mmの範囲内、好ましくは約1から約3mmの範囲内、特別に好ましくは約2mmである。
【0037】
コーディングディスクの目盛トラックは、(たとえばそれ自体公知であるように)適当に構造化ないしコーディングすることができ、それにより、目盛トラックが照明されたとき、特に目盛トラックの走査領域が照明されたとき、少なくとも1つの光学式の測定光線が生成ないし生起され、測定光線の少なくとも1つの光学パラメータ(たとえば強度、位相など)が直接的または間接的に、測定されるべき角度に依存して変調される。(照明される)走査領域は、たとえば実質的に円形の領域であってよく、走査領域の直径は目盛トラックの幅と実質的に等しいか、またはこれより小さくてよい。走査領域は、たとえば約25μmから約10μmの直径を有することができる。
【0038】
目盛トラックは回折式の目盛トラックであってよく、ないしは回折構造を有することができる。特に目盛トラックは、少なくとも1つの回折格子を含むことができる。1つないし複数の測定光線を形成する、回折式の目盛トラックによって分割ないし回折されるN次の(たとえば一次の)回折次数の光線の少なくとも1つの部分を、1つまたは複数の光検出器によって検出し、特定の角度位置に直接的または間接的に割り当てることができる。回折格子は反射格子または透過格子であってよい。目盛トラックは、2つの異なる(たとえば位相ずれした)信号を生成する、少なくとも2つの異なる回折格子を含んでいるのが好ましい。
【0039】
目盛トラックは、(照明に対する、またはシャフト軸に対する)コーディングディスクの半径方向の変位が、信号の変化を引き起こさないように設計されているのが好ましい。たとえば、目盛トラックを形成する個々の回折格子は曲率半径に対応して湾曲させることができ、このことは、角度位置に関する光の一定の偏向につながる。回折式の回折格子の全体の順序は極座標で表すことができ、これに準じて製作することができる。
【0040】
目盛トラックの半径および/または幅は、そのつどの利用分野に依存して変えることができる。たとえば目盛トラックの半径は500mmに等しいか、またはこれよりも小さくてよく、特に約10mmから約20mmの範囲内、好ましくは約10mmから約15mmの範囲内、特別に好ましくは約13mmである。目盛トラックの幅は、たとえば0.3から3mmの範囲内であってよく、好ましくは約0.5から2mmの範囲内、特別に好ましくは約1mmである。
【0041】
目盛トラックと補正トラックは環状に構成されているのが好ましい。環状の目盛トラックおよび補正トラックは、特に、それぞれ2つの同心円によって区切られている。外側の円の半径が、それぞれのトラックの半径を設定する。それぞれのトラックの幅は、それぞれトラックを区切る、外側の円の半径と内側の円の半径との間の差に相当している。補正トラックと目盛トラックの共通の中心は、円ないし環の中心ないし中心点と一致する。
【0042】
補正トラックの半径は、目盛トラックの半径よりも小さくてよい。しかしながら目盛トラックの半径が補正トラックの半径よりも小さいことも可能である。同様に、補正トラックと目盛トラックの半径が等しいことも可能である。
【0043】
コーディングディスクは、反射型コーディングディスクまたは透過型コーディングディスクであってよい。コーディングディスクは透過光またはで入射光で読み取ることができる。
【0044】
本発明の第2の態様は、
本発明の好ましい実施形態に基づく(改良された)コーディングディスクと、
コーディングディスクの目盛トラックの走査領域を照明するように設計された、光学式ないしオプトエレクトロニクス式の走査装置とを含む、光学式の回転角センサないし回転検出器に関するものである。
【0045】
この走査装置は、
コーディングディスクの補正トラックのある領域を光(読取り光)で照明するように設計された照明装置を含んでいる。この光は、所定ないし固定的ないし設定可能な(調整可能な)照明角で補正トラックないし補正トラックの一領域に入射するコヒーレント光またはインコヒーレント光であってよい。このとき目盛トラックの走査領域は、補正トラックの照明により生成ないし生起されて、好ましくは方向転換装置により目盛トラックに向けて方向転換される光線の少なくとも一部分によって照明される。
【0046】
さらに走査装置は、補正トラックの照明により生成ないし生起された少なくとも1つの光線が目盛トラックの走査領域へと方向転換されるように設計、配置された方向転換装置を含んでいる。
【0047】
すでに上に説明したように、補正トラックは回折構造を有することができる。補正トラックの照明により生成ないし生起される少なくとも1つの光線は、補正トラックでの回折によって分割されるN次の回折次数の光線(S1)の少なくとも一部分によってフォーミングないし構成されていてよい。換言すると、補正トラックの照明により生成ないし生起される少なくとも1つの光線は、補正トラックでの回折により分割されるN次(Nは整数)の回折次数の光線の少なくとも1つの部分を含むことができる。
【0048】
すでに上に説明したように、本発明による回転検出器は、角度測定誤差の、特にコーディングディスクの振れおよびこの振れに関連し、シャフトに対するコーディングディスクの接線方向の偏心によって引き起こされる角度測定誤差の、光学式の修正を可能にするものであり、これは、照明の集束されるライトスポット(照明スポット)が、回折式の目盛トラックないしコーディングディスクの接線方向の移動と「一緒に移動する」ことによって行われる。このことは特に、目盛トラックに対して同心的にセンタリングされて、好ましくは(回転する)コーディングディスクの別の半径方向領域ないし半径領域に配置ないし塗布された(たとえば回折式の)補正トラックによって実現される。補正トラックにより偏向される光線(たとえば回折式の補正トラックにおけるN次の(たとえば一次の)回折次数の光線)は、直接的または間接的に、すなわち適当な方向転換装置によって目盛トラックへと向けられ、ないしは集束される。それにより、直接的または方向転換装置により間接的に目盛トラックへと向けられた光線が、実質的な接線方向位置で常に目盛トラックを照明することを保証することができる。こうして潜在的な角度誤差ないし角度測定誤差を、光学式に補正ないし修正することができる。1つの例では、補正トラックにより偏向された光線(ないし補正トラックの照明により生成された光線)が、コーディングディスクの接線方向の偏心に関わりなく直接的または間接的に、目盛トラックと補正トラックの共通の中心の方向へ誘導される。走査装置および特に補正トラックおよび/または方向転換装置は、補正トラックにより偏向された照明光(読取り光)の方向が、補正トラックと目盛トラックの共通の中心を通る軸との交点を有しており、補正トラックと当該交点との間隔が、補正トラックと目盛トラックの間の光路の長さに相当するように設計、配置されているのが好ましい。
【0049】
回転角センサないし回転検出器の構成に応じて(たとえば入射光、透過光など)、目盛トラックと補正トラックの配置ならびに方向転換の光線案内を可変に適合化することができる。
【0050】
方向転換装置は、1つまたは複数の光学式またはオプトエレクトロニクス式のコンポーネントを含むことができる。たとえば方向転換装置は、少なくとも1つのミラーおよび/または少なくとも1つのプリズム、特にリトロプリズム、および/または少なくとも1つのレンズ、および/またはその他の光学式および/またはオプトエレクトロニクス式のコンポーネントを含むことができる。
【0051】
さらに、光学式ないしオプトエレクトロニクス式の走査装置は、光源(たとえばレーザ光源および/または発光ダイオードおよび/またはその他の光源)ならびに場合によりその他の光学素子(たとえばコリメータおよび/または1つまたは複数のレンズを備えたフォーカシング装置など)を含むことができる。光源は定置の光源であってよく、特に、その空間的な位置に関して(および特にシャフト軸に関する空間的な位置に関して)動かない光源であってよい。方向転換装置は、光源に対して相対的に(少なくとも部分的に)動かないのが好ましい。
【0052】
さらに走査装置は、補正トラックから目盛トラックまでの光学的な経路長が、補正トラックからその回転軸までの光学的な経路長に相当するように設計されているのが好ましい。補正トラックの回転軸は、補正トラックの回転中心を通って(およびこれに伴い目盛トラックの回転中心を通って)延びている。そのようにして、目盛トラックの照明が、その回転軸の接線方向の基準位置で行われるようにすることができる。
【0053】
さらに、光学式の回転角センサないし回転検出器は検出装置を含むことができ、この検出装置は、目盛トラックの照明により生成ないし生起される少なくとも1つの光学的な測定光線の少なくとも一部分を検出するように設計されている。
【0054】
検出装置は、1つまたは複数の光検出器または光検出器アレイ(たとえばフォトダイオード、フォトトランジスタ、CCDカメラなど)を含むことができる。さらに検出装置は、その他の光学式および/またはオプトエレクトロニクス式の素子(たとえば1つまたは複数のミラー、レンズ、プリズム、フィルタなど)を含むことができる。
【0055】
さらに、光学式の回転検出器は信号評価装置を含むことができ、この信号評価装置は、検出装置により生起される1つの信号ないし検出装置により生起される複数の信号を参照して、測定されるべき絶対的または相対的な角度を判定するように設計されている。換言すると信号評価装置は、検出装置により生起された1つの信号ないし検出装置により生起された複数の信号を直接的または間接的に、コーディングディスクおよびこれに伴ってシャフトの特定の角度位置ないし回転運動に割り当てるように設計されていてよい。
【0056】
光学式の回転角センサないし回転検出器は、透過光(たとえば光バリヤ原理、モアレなどに基づく)、反射、および/または回折式の偏向(回折)に基づいて作動させることができる。特に、光学式の回転検出器は入射光回転検出器または透過光回転検出器であってよい。
【0057】
上に説明した角度誤差の補正原理は、純粋に増分式の回転角センサないし回転検出器だけでなく、絶対的にコーディングされる回転角センサないし回転検出器にも適用することができる。たとえば光学式の回転検出器は、増分式の回転検出器または絶対的にコーディングされた(アブソリュート)回転検出器であってよい。
【0058】
本発明のさらに別の態様は、光学式の回転検出器で角度測定誤差を、特に光学式の回転検出器のコーディングディスクの変位ないし偏心によって引き起こされる角度測定誤差を、(光学式に)修正ないし補正する方法に関するものである。この方法は、
−本発明の好ましい実施形態に基づく(改良された)コーディングディスクを準備するステップと、
−光またはライトスポットにより補正トラックの1つの領域を所定の照明角度で照明し、少なくとも1つの光線が生成ないし生起されるステップと、
−補正トラックへの照明により生起ないし生成される光線の少なくとも1つの部分を方向転換させて、目盛トラックの走査領域が方向転換された光線の少なくとも1つの部分によって照明されるようにするステップとを含んでいる。
【0059】
さらに本方法は、目盛トラックの走査領域の照明によって生成ないし生起された少なくとも1つの測定光線の少なくとも1つの部分の検出を含むことができる。このようにして、少なくとも1つの相応の検出信号が生成ないし生起される。さらに本方法は、少なくとも1つの検出信号の評価、および/または絶対的もしくは相対的な角度の判定を有することができ、判定された角度を直接的または間接的に、コーディングディスクおよびこれに伴ってシャフトの特定の角度位置ないし回転運動に割り当てることができる。
【0060】
本発明のさらに別の態様は、回転軸と実量器の間にオフセットがあるときに光学式の回転検出器で発生する角度測定誤差を光学式に補正するのに利用するための構造に関するものであり、
目盛トラックと同心的に補正トラックがコーディングディスクに配置されており、前記構造は、
読取り光がまず補正トラックに当たり、
補正トラックが、補正トラック及び目盛トラックの共通の中心を通る軸の方向で半径方向に読取り光を偏向させ、
偏向された読取り光が、光源に対して相対的に動かない少なくとも1つの光学式またはオプトエレクトロニクス式の装置(方向転換装置)により方向転換され、
こうして方向転換された読取り光が目盛トラックに当たるように設計されており、
各コンポーネントの配置は、コーディングディスクの回転角度が一定である限り、目盛トラックがオフセットに関わりなく常に目盛トラックの同一の角度位置で読取り光により照明されるように選択される。
【0061】
補正トラックにより偏向される読取り光の方向は、補正トラックと目盛トラックの共通の中心を通る軸との交点を有しているのが好ましく、補正トラックと当該交点との間隔は、補正トラックと目盛トラックの間の光路の長さに相当している。読取り光はコヒーレント光またはインコヒーレント光であってよい。補正トラックの半径は、目盛トラックの半径よりも小さいか、またはこれよりも大きいか、またはこれに等しくてよい。
【0062】
さらに本発明は、光学式の回転検出器における本発明の好ましい例に基づくコーディングディスクの利用法に関するものであり、コーディングディスクの利用は、補正トラックの1つの領域に入射する照明光が補正トラックにより偏向され、偏向された照明光の少なくとも1つの部分が、好ましくは方向転換装置による方向転換の後に、目盛トラックの走査領域を照明するように行われる。目盛トラックの走査領域が照明されると、少なくとも1つの光学的な測定光線が生成され、測定光線の少なくとも1つの光学パラメータが測定されるべき角度に依存して変調される。
【0063】
本発明のコーディングディスク、および/または本発明の光学式の回転検出器、および/または光学式の回転検出器での角度測定誤差を補正する方法により、コーディングディスクの振れが生じたときに光学式の回転検出器で発生する角度測定誤差の問題を、純粋に光学式の原理によって実質的に解消することができる。このように、シャフト軸に対するコーディングディスクの振れ乃至偏心の補正は、角度信号が判定される以前にすでに行われる。原則として、追加の光学式の読取りユニットや電子コンポーネントは不要であり、このことは回転検出器の設計の簡素化につながり、および/または正確な角度を判定する方法の簡素化につながる。さらに、シャフトに関してコーディングディスクを正確に調節するための比較的高い(部分的に手動式の)コストを、大幅に軽減もしくは回避することができる。したがって、特に組立が調節不要である、絶対的または増分式にコーディングされた光学式の回転角度センサないし回転検出器、特に回折式の実量器に基づく回転検出器を可能にすることができる。
【0064】
上に説明した角度誤差の補正原理は、回折式の偏向に基づく光学式の回転検出器でも、その他の原理(たとえばモアレ、光バリヤ原理などに基づく)に基づく光学式の回転検出器でも適用することができる。このとき補正トラックと目盛トラックは、これら両方のトラックのセンタリングされた、ないしは同心的な配置を保証するために、1回の作業工程で製作ないし取付られるのが好ましい。
【0065】
本発明の上記以外の課題、構成要件、利点は、図面を参照した本発明の好ましい実施形態についての詳細な説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一例に基づく角度測定誤差の補正を示す略図であり、(a)補正されていない回転検出器を示す図であり、(b)補正された回転検出器を示す図である。
【図2】本発明の一例に基づく補正された回転検出器を示す模式図である。
【図3】図2に示す回転検出器のコーディングディスクの目盛トラックと補正トラックの構造と配置を示す模式図であり、(a)コーディングディスクの部分区域を上から見た図であり、(b)目盛トラックの部分区域を示す拡大図であり、(c)補正トラックの部分区域を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
好ましい回転角センサないし回転検出器の角度測定と角度修正の原理が図1に示されており、図1(a)は、従来式の補正されていない回転角センサないし回転検出器の角度測定の原理を示しており、図1(b)は、本発明の一例に基づく補正された回転角センサないし回転検出器の角度測定と光学式の角度修正の原理を示している。
【0068】
補正されていない回転検出器のコーディングディスク10は、半径Rをもつ円形ないし環状の目盛トラック12を有している。目盛トラックの中心は、円形ないし環状の目盛トラックの中心点と一致している。コーディングディスク10は、シャフト軸回りに回転可能ないし回転自在に支承されている。シャフト軸は、紙面に対して法線方向、ないしコーディングディスクの平面ないし(円板状ないしディスク状の)コーディングディスクの表面に対して法線方向であり、シャフトWの中心点を通って延びている。シャフト軸に対するコーディングディスクの接線方向の偏心が存在しないとき、目盛トラックの中心MはシャフトWの中心点と一致する。コーディングディスクの振れによって引き起こされる、シャフトに対する、ないしシャフト軸に対する、コーディングディスクの接線方向の偏心が生じたとき、偏心した目盛トラック12’の中心M’は、接線方向”x”においてシャフトWの中心点から距離”e”のところにある。
【0069】
(定置の)照明源から放射される照明光(読取り光)は、所定または設定可能な角度で(たとえば垂直方向ないし法線方向ないし軸方向に)目盛トラック12に当たる。このように目盛トラックの走査領域は、照明スポットBによって照明される。
【0070】
目盛トラック12が接線方向に偏心しているとき、偏心した目盛トラック12’は、偏心していない目盛トラックとは異なる接線方向の(走査)領域で照明される。したがって、正確ないし真正な角度φに代えて角度φ’が判定される。角度測定誤差(φ−φ’)が生じる。
【0071】
本発明の一例に基づく補正回転検出器は、環状ないし円形の目盛トラック22に加えて、円形ないし環状の回折式の補正トラック24を有する(円板状ないしディスク状の)コーディングディスク20を有している。補正トラックは、目盛トラック22に対して中央ないし同心的に、コーディングディスク20の異なる半径方向領域ないし別の半径方向領域に配置されている。図1(b)に示すコーディングディスク20では、補正トラック24の半径は目盛トラック22の半径よりも小さい。目盛トラックの回転中心ないし中心は、補正トラックの回転中心ないし中心と一致しており、また、円形ないし環状の目盛トラックと補正トラックの中心点と一致している。換言すると、目盛トラックと補正トラックは共通の回転中心ないし中心ないし中心点Mを有している。
【0072】
コーディングディスクは、シャフト軸回りに回転可能ないし回転自在に支承されている。シャフト軸に対するコーディングディスクの接線方向の偏心が存在しなければ、図1との関連で説明したように、目盛トラックと補正トラックの共通の中心Mは、シャフトの中心点Wと一致する。コーディングディスクの振れにより、シャフトないしシャフト軸に対するコーディングディスクの接線方向にコーディングディスクが偏心しているとき、偏心した目盛トラックおよび補正トラックの共通の中心M’は、シャフトの中心点Wから接線方向”x”に距離”e”をおいて位置している。
【0073】
さらに、図1(b)には、シャフト軸に対してコーディングディスク20の接線方向の偏心”e”が生じているときの、照明の光路が模式的に示されている。入射した照明光ないし照明光線により、偏心した補正トラック24’の(特定の)領域が照明スポットBにより照明される。照明スポットないし照明される補正トラックの領域の直径は、補正トラックの幅と実質的に等しいか、またはこれより小さくてよい。照明される補正トラックの領域の直径は、約25μmから2mmであるのが好ましく、好ましくは約0.1mmから1mm、特別に好ましくは約0.5mmである。補正トラック24は、特にライトスポットにより、たとえば集束する回折限界ライトスポットにより、照明することができる。
【0074】
偏心した補正トラック24’に所定の角度(たとえば軸方向)で入射する照明光ないし入射する照明光線は、偏心した補正トラック24’によって回折次数に分割される。回折式の補正トラックの波長および/または格子定数を適当に選択することで、一次の回折次数の光線S1が(特に補正トラックと目盛トラックの接線方向の偏心に関わりなく)、補正トラックと目盛トラックの共通の中心の方向へ偏向されるようにすることができる。ミラー30および場合によりその他の光学素子を含む光学式の方向転換装置によって、一次の回折次数の光線S1が方向転換させられて、(場合により偏心している)目盛トラックへと向けられる。目盛トラックの走査領域は、一次の回折次数の方向転換された光線S2によって(または、一次の回折次数の方向転換された光線の少なくとも1つの部分によって)照明される。一次の回折次数の方向転換された光線S2によって照明スポットBが生じ、この照明スポットにより、偏心している目盛トラック22’ないし偏心している目盛トラック22’の走査領域が照明される。
【0075】
目盛トラックでの照明ないし照明スポットBは、光源に対する接線方向の機械的な振れに基づくコーディングディスク20(およびこれに伴う両方のトラックの共通の軸)の変位にともなって、コーディングディスク20の変位と平行に移動する。しかしコーディングディスク20の振れに関わりなく、目盛トラック22は常に実質的に同一の接線位置で照明される。それによって潜在的な角度測定誤差を光学式に補正することができ、それにより、正確な角度を読み取ることができる。
【0076】
方向転換は、補正トラック24ないし24’から目盛トラック22ないし22’までの光学的な経路長が、補正トラックからその回転軸までの光学的な経路長に相当するように構成することができる。このことは、目盛トラック22の照明が常に回転軸のその接線方向の基準位置で行われるという帰結につながる。
【0077】
目盛トラック22により回折された光線は、1つまたは複数の光検出器を備える検出装置(図1には図示せず)によって検出ないし検知される。
【0078】
図2は、本発明の一例に基づく回転角センサないし回転検出器100の模式図を示している。回転検出器100は、厚みが一定の円板状ないしディスク状の丸いコーディングディスク20を含んでいる。コーディングディスク20はシャフト40に支承されている。コーディングディスク20は、ハウジング(図面には示さず)で回転可能に支承することができる。
【0079】
コーディングディスク20は透明なディスクであってよく、たとえばガラスディスクやプラスチックディスクであってよい。軸方向”z”のコーディングディスクの厚みDは、たとえば約0.5から約3mmであってよい。
【0080】
コーディングディスク20の一方の表面26には、円形ないし環状の回折式の補正トラック24と、円形ないし環状の回折式の目盛トラック22が塗布されており、ないしは設けられている。補正トラック24と目盛トラック22は、コーディングディスク20のそれぞれ異なる半径方向領域に配置されている。図2に示す例では、補正トラック24の半径は目盛トラック22の半径よりも小さい。
【0081】
補正トラック24は、反射型の回折格子(反射型格子)として構成することができる。目盛トラック22は、反射型の格子構造として構成することができる。しかしながら、補正トラックおよび目盛トラック24,22を透過型格子ないし透過型の格子構造として構成することも同様に可能である。1つの実施形態に基づく目盛トラック22と補正トラック24の構造については、あとで図3(a)から図3(c)との関連でさらに詳しく説明する。
【0082】
さらに回転検出器100は、光源50を備える照明装置を有している。光源50としては、たとえば1つまたは複数のレーザ光源または発光ダイオードまたはコヒーレント光もしくはインコヒーレント光のその他の光源を使用することができる。光源50から放射される照明光は、コリメータ(図2には示さず)によって視準することができ、および/または1つまたは複数のレンズおよび場合によりその他の光学素子(図2には示さず)によって補正トラック124に焦点合わせし、ないしは集束させることができる。
【0083】
コーディングディスク20の補正トラック24は、照明光線32により、法線方向ないし軸方向”z”で照明される。補正トラック24に入射した照明光(読取り光)S0は、回折式の補正トラック24によって回折される。照明光の波長および/または回折式の補正トラック24の格子定数を適当に選択することで、一次の回折次数の光線S1が、補正トラック24と目盛トラック22の共通の中心の方向へ偏向されるようにすることができる。第1のミラー32と、第2のミラー34と、場合によりその他の光学素子とを含む光学式の方向転換装置により、補正トラックの一次の回折次数の光線S1が方向転換させられて、目盛トラックへと集束される。この方向転換は、補正トラック24から目盛トラック22までの光学的な経路長が、補正トラック24からその回転軸までの光学的な経路長に相当するように構成することができる。このことは、目盛トラック22の照明S2が、常にその回転軸の接線方向の基準位置で行われるという帰結につながる。目盛トラックにより回折された光線S3(すなわち測定光線)は、1つまたは複数の光検出器を備える検出装置50によって検出ないし検知される。
【0084】
図3は、1つの実施形態に基づく目盛トラックと補正トラックおよびコーディングディスクの構造と配置の模式図を示しており、図3(a)は、コーディングディスクの部分区域を上から見た図を示しており、図3(b)は、目盛トラックの部分区域の拡大図を示しており、図3(c)は、補正トラックの部分区域の拡大図を示している。
【0085】
すでに図1および図2との関連で説明したとおり、コーディングディスクは、円形ないし環状の補正トラック24と、円形ないし環状の目盛トラック22とを有しており、これらはコーディングディスクのそれぞれ異なる半径方向領域に配置されている。1つの例では、補正トラックの半径はおよそ8mmに等しく、目盛トラックの半径はおよそ13mmに等しい。補正トラックの幅は約2mmであってよく、目盛トラックの幅は約1mmであってよい。
【0086】
目盛トラック22は(たとえばそれ自体公知の仕方で)適当に構造化(ミクロ構造化)することができ、それにより、目盛トラック22により反射される(ないしは目盛トラックにより透過される、および/または目盛トラックにより回折される)1つまたは複数の光線の1つまたは複数の光学パラメータ(たとえば強度、位相など)が、測定される角度に依存して変調される。信号評価装置により、検出された信号から角度情報を得ることができる。
【0087】
目盛トラック22は、1つまたは複数の回折格子(たとえば反射格子または透過格子)を含むことができる。図3(c)に示す目盛トラックは、4つの異なる回折式の入り組んだ回折格子(具体的な例では反射格子)221,222,223および224を含む、環状のパターンないし環状の格子構造として構成されている。個々の回折格子221,222,223,224は、構造化されていない区域225によってそれぞれ分離されている。格子構造のある区域とない区域が交代する構造が、照明スポット(たとえばレーザ光源または発光ダイオードまたはその他のコヒーレント照明光の光源の集束する回折限界スポット)によって照明されると、それぞれの回折格子の一次の回折次数の位置で、変調された信号がそれぞれ生成される。異なる回折格子を適当に選択することで、4つの回折格子の一次の回折次数を互いに空間的に分離することができる。このことは特に、個々の回折格子の異なる角度配置によって実現することができる。たとえば1回転につき1回、第5の回折格子226を通じてゼロ位置の基準信号を別の光検出器で生起することができる。
【0088】
目盛トラックのそれぞれの回折格子の一次の回折次数の光線は、たとえば光検出器によって検出することができる。たとえばそれぞれの回折格子の一次の回折次数に、それぞれ1つの光検出器を付属させることができる。別案として、目盛トラックで回折により生成される測定光線を、(一次元または二次元の)光検出器アレイによって検出ないし検知することができる。
【0089】
第1の回折格子221は、たとえば負の符号をもつ正弦波形の信号を生成するように設計することができる。第2の入り組んだ格子構造ないし第2の回折格子222を利用することで、方向検知のために余弦波形の信号を一次の回折次数の位置で生成し、第2の光検出器によって検出することができる。
【0090】
動作時の出力信号の安定性を高めるために、全部で4つの回折格子を設けることができる。第3の回折格子223は、たとえば負の符号をもつ正弦波形の信号を第3の光検出器で生成するように設計することができ、第4の回折格子224は、たとえば負の符号をもつ余弦波形の信号を生成するように設計することができる。それにより、全部で4つの光検出器(たとえば4つのフォトダイオード)を含む4相評価が可能となる。
【0091】
目盛トラックのそれぞれの回折格子の格子定数は、たとえば1.6μmであってよく、個々の回折格子の間隔は、たとえば約10μmであってよい。ディスクの圧縮射出成形の材料は、たとえばPCであってよい。
【0092】
回折式の補正トラックは、図3(c)に示すように、反射格子として構成することができる。格子定数は、照明に使用される光に依存して適当に決めることができ、それにより、N次の(たとえば一次の)回折次数の光線が、補正トラックと目盛トラックの共通の中心の方向へ偏向される。しかしながら補正トラックは、透過格子として構成することもできる。
【0093】
補正トラックの格子定数は、たとえば約1μmであってよい。ディスクの圧縮射出成型の材料は、たとえばPCであってよい。
【0094】
以上において、回折式の補正トラックを備える光学式の回転検出器のための一例としてのコーディングディスクについて説明した。しかしながら補正トラックは、これ以外の構造、たとえばミラー構造(たとえば適当な角度を有した状態で周回する鏡面)やプリズム構造を有することもできる。
【0095】
上に説明した回転角センサないし回転検出器は、回転機械コンポーネント、電動モータ、自動車などで、たとえばステアリング角の検出など数多くの用途のために利用することができる。
【符号の説明】
【0096】
10 補正されていない回転検出器のコーディングディスク
12 目盛トラック
12’ 偏心している目盛トラック
20 改良されたコーディングディスク
22 目盛トラック
22’ 偏心している目盛トラック
22−A 目盛トラックの部分区域
221,222,223,224 回折格子
225 構造化されていない領域
226 ゼロ位置を表す回折格子
24 補正トラック
24’ 偏心している補正トラック
24−A 補正トラックの部分区域
26 コーディングディスクの表面
30,32,34 ミラー
40 シャフト
50 光源
60 検出装置(光検出器)
100 回転角センサないし回転検出器
B 補正されていない回転検出器における目盛トラックの照明ないし照明スポット
補正された回転検出器における目盛トラックの照明ないし照明スポット
補正された回転検出器における補正トラックの照明ないし照明スポット
S0 補正トラックの照明ないし照明光線
S1 一次の回折次数
S2 一次の回折次数の方向転換された光線
S3 測定光線
目盛トラックの半径
補正トラックの半径
M 目盛トラックと補正トラックの中心点
M’ 目盛トラックと補正トラックの偏心している中心点
W シャフトの中心点
e 目盛トラックの偏心
φ 真の角度
φ’ 測定された角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの目盛トラック(22)と少なくとも1つの補正トラック(24)とを含む、光学式の回転検出器のためのコーディングディスク(20)であって、
前記目盛トラック(22)は、前記目盛トラック(22)の走査領域が照明(S2)されたときに少なくとも1つの光学式の測定光線(S3)が生成されるように設計されており、前記測定光線(S3)の少なくとも1つの光学パラメータが、測定されるべき角度に依存して変調され、前記目盛トラック(22)は前記コーディングディスク(20)の第1の半径方向領域に配置されており、
前記補正トラックは、前記コーディングディスク(20)の第2の半径方向領域に配置されて、前記目盛トラック(22)に対してセンタリングされており、前記目盛トラックの中心は前記補正トラック(24)の中心と一致しているコーディングディスク。
【請求項2】
前記補正トラック(24)は、前記補正トラックの一領域に入射する光(S0)の少なくとも一部が、前記補正トラック(24)により前記補正トラック及び前記目盛トラック(22,24)の共通の中心を通る軸の方向へ半径方向に偏向されるように設計されている、請求項1に記載のコーディングディスク(20)。
【請求項3】
前記補正トラックは回折構造を有している、請求項1または2に記載のコーディングディスク(20)。
【請求項4】
前記補正トラックは、所定または設定可能な照明角度で前記補正トラック(24)の一領域に入射する光(S0)が回折次数に分割されて、N次(Nは整数)の回折次数の光線(S1)が前記補正トラックと前記目盛トラック(22)の共通の中心の方向に偏向されるように設計されている、請求項3に記載のコーディングディスク(20)。
【請求項5】
前記補正トラックは、所定の照明角で前記補正トラック(24)の一領域に入射する光(S0)が、好ましくはコヒーレント光が、回折次数に分割されて、N次(Nは整数)の回折次数の光線(S1)が照明領域で前記補正トラックに対して接線方向に偏向されるように設計されている、請求項3に記載のコーディングディスク(20)。
【請求項6】
前記補正トラック(24)は、照明角が実質的に90°であるように、および/またはNが1に等しいように設計されている、請求項3から5のいずれか1項に記載のコーディングディスク(20)。
【請求項7】
前記目盛トラック(22)は回折式の目盛トラック(22)である、先行請求項のうちいずれか1項に記載のコーディングディスク(20)。
【請求項8】
前記補正トラック(24)の半径は、前記目盛トラック(22)の半径よりも小さく、またはこれよりも大きく、またはこれと等しい、先行請求項のうちいずれか1項に記載のコーディングディスク(20)。
【請求項9】
前記コーディングディスク(20)は反射型コーディングディスクまたは透過型コーディングディスクである、先行請求項のうちいずれか1項に記載のコーディングディスク(20)。
【請求項10】
光学式の回転検出器(100)であって、
請求項1から9のいずれか1項に記載のコーディングディスク(20)と、
前記コーディングディスク(20)の目盛トラック(22)の走査領域を照明するように設計された光学式ないしオプトエレクトロニクス式の走査装置とを含んでおり、該走査装置は、
前記コーディングディスク(20)の補正トラック(24)の一領域を光(S0)で照明するように設計された照明装置(50)を含んでおり、
前記目盛トラック(22)の前記走査領域は、前記補正トラックを照明することにより生成されて場合により方向転換装置によって方向転換される光線(S2)の少なくとも一部分によって照明される、光学式の回転検出器。
【請求項11】
前記走査装置はさらに、前記補正トラックの照明により生成される少なくとも1つの光線(S1)を前記目盛トラック(22)の走査領域へ方向転換させるように設計、配置された方向転換装置(30;32,24)を含んでいる、請求項10に記載の光学式の回転検出器(100)。
【請求項12】
前記照明装置は少なくとも1つの光源(50)を含んでおり、前記方向転換装置(30;32,24)は前記光源(50)に対して相対的に定置である、請求項11に記載の光学式の回転検出器(100)。
【請求項13】
前記走査装置は、前記コーディングディスク(24)の回転角が一定である限り、前記回転検出器(100)のシャフト軸と、前記補正トラック(24)及び前記目盛トラック(22)の共通の中心との間のオフセットに関わりなく、前記目盛トラック(22)が常に実質的に同一の接線方向位置で照明されるように設計されている、請求項10から12のいずれか1項に記載の光学式の回転検出器(100)。
【請求項14】
前記走査装置は、
前記補正トラック(24)の照明により生成される少なくとも1つの光線(S1)の方向が、前記補正トラックと前記目盛トラック(22,24)の共通の中心を通る軸との交点を有するように設計されており、
前記補正トラック(24)と当該交点との間隔は前記補正トラック(24)と前記目盛トラック(22)の間の光路の長さに相当している、請求項10から13のいずれか1項に記載の光学式の回転検出器(100)。
【請求項15】
前記補正トラックは回折構造を有しており、前記補正トラックの照明により生成される少なくとも1つの光線は、前記補正トラック(24)での回折により分割されるN次の回折次数の光線(S1)の少なくとも一部分によって形成され、このときNは整数である、請求項10から14のいずれか1項に記載の光学式の回転検出器(100)。
【請求項16】
前記走査装置は、前記補正トラック(24)から前記目盛トラック(22)までの光学的な経路長が前記補正トラック(24)からその回転軸までの光学的な経路長に相当するように設計されている、請求項10から15のいずれか1項に記載の光学式の回転検出器(100)。
【請求項17】
前記目盛トラック(22)の照明により生成される少なくとも1つの光学的な測定光線(S3)の少なくとも一部分を検出する検出装置(60)をさらに含んでいる、請求項10から16のいずれか1項に記載の光学式の回転検出器(100)。
【請求項18】
入射光回転検出器または透過光回転検出器である、請求項10から17のいずれか1項に記載の光学式の回転検出器(100)。
【請求項19】
増分式または絶対式の回転検出器である、請求項10から18のいずれか1項に記載の光学式の回転検出器(100)。
【請求項20】
光学式の回転検出器で角度測定誤差を補正する方法であって、
請求項1から9のいずれか1項に記載のコーディングディスク(20)を準備するステップと、
補正トラック(24)の一領域に所定の照明角度で入射する光(S0)によって前記補正トラック(24)の一領域を照明し、少なくとも一つの光線(S1)を生成するステップと、
前記補正トラック(24)の照明により生起される光線(S1)の少なくとも一部分を方向転換させて、目盛トラック(22)の走査領域が、方向転換された光線(S2)の少なくとも1つの部分によって照明されるようにするステップとを含んでいる方法。
【請求項21】
前記目盛トラック(22)の走査領域の照明により生成される少なくとも1つの測定光線(S3)の少なくとも一部分の検出をさらに含んでいる、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−504068(P2013−504068A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528268(P2012−528268)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/005514
【国際公開番号】WO2011/029587
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(512061663)
【Fターム(参考)】