説明

回転電機の冷却構造

【課題】回転電機の冷却構造において、ロータシャフトの内部に冷却液を流通させる構成において、ロータコアとロータシャフトとの間での熱伝達効率を向上させつつ、ロータコアでの応力集中を有効に抑制することである。
【解決手段】回転電機冷却構造は、永久磁石32を有するロータコア30と、ロータコア30に凸部52により圧入するロータシャフト16とを有する。ロータシャフト16の内部に軸側冷媒通路である中間通路を設ける。ロータシャフト16の凹部54とロータコア30の内周面とにより、中間通路と通じるシャフトコア間冷媒通路60を形成する。ロータコア30の外周面において、永久磁石32との径方向距離が最小となる磁石近接部P1,P2・・・と、凸部52において、ロータコア30の内周面に圧入される部分とは、周方向にずれて配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転可能に設けられるロータシャフトと、ロータコアと、ロータコアの内部に埋め込まれた永久磁石と、ロータコアの外径側に対向配置されるステータとを備える回転電機の冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から知られている、車両用電動機等の回転電機として、ロータシャフトの外径側に固定されたロータと、ロータの外径側に対向配置されたステータとを備える構成がある。また、ロータは、ロータコアと、ロータコアの内部に埋め込まれた複数の永久磁石とにより構成する場合がある。このような回転電機では、使用時にロータやステータが発熱したり、永久磁石が高温で減磁する等のためにロータやステータを冷却することが行われている。例えば、ロータシャフトの内部に軸側冷媒通路を形成し、軸側冷媒通路に冷媒である冷却液(例えば冷却油)を供給することにより、ロータやステータを冷却する、いわゆる軸心冷却構造とすることが考えられる。軸心冷却構造では、ロータ及びステータの両方を冷却しやすくなる。
【0003】
例えば、特許文献1では、回転軸の外径側に設けられたロータと、ロータの外径側に対向配置されたステータとを備え、回転軸の内部に軸方向に伸びる給油路を形成したモータの冷却構造が記載されている。また、回転軸の外周にコア支持体部を介してロータコアを取り付けており、ロータコアを構成する複数枚の鋼板の一部の隣り合う鋼板間に隙間を設けている。この隙間と給油路とを連通する連通路を、回転軸にコア支持体部にわたって設けている。このため、冷却油は、給油路から連通路を介して隙間に流れ込み、外径側に飛ばされ、ステータに当たるので、ロータ及びステータが冷却されるとされている。
【0004】
また、特許文献2には、ロータシャフトに設けられた軸方向油路から、コアに形成されて軸方向に貫通する軸方向油路に油が供給されてロータを冷却し、その後ロータの両側に設けられたプレートの油孔からステータの両端のコイルエンドに油が吹きかけられ、コイルエンドを冷却する冷却回路が形成されている。
【0005】
また、特許文献3には、シャフトの軸方向に中心孔が設けられるとともに、シャフトのステータコイルエンドの位置に、中心孔に接続された貫通孔が設けられる電動機が記載されている。中心孔に流入した冷却液は、貫通孔からステータコイルエンドに向かって吹き飛ばされるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−263696号公報
【特許文献2】特開平9−182374号公報
【特許文献3】特開2001−95205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献1に記載された構成では、ロータコアに永久磁石を埋め込む場合に、ロータコアの永久磁石よりも外周側部分に厚さの小さい部分が形成される可能性があるが、回転軸またはコア支持体部の外周面に凸部が形成されていると、組み付け時にロータコアの害周面と永久磁石との距離が小さい部分に応力が集中して、ロータコアの外周面が変形する可能性がないとはいえない。ロータコアの外周面はステータと大綱するもので、その形状精度の悪化は回転電機の性能を低下させる原因となる。これに対して、ロータコアと、その内側に嵌合させる部材とを隙間ばめ等で組み付けて、ロータコアの外周部の応力集中を抑制することも考えられる。ただし、この場合には、ロータコアと、回転軸等、その内側に嵌合させる部材との間での熱伝達率が低下して、ロータコアの冷却効率が低下する可能性がある。このため、ロータコアとその内側の部材との間での熱伝達率を向上させつつ、ロータコアでの応力集中を有効に抑制することが望まれている。また、ロータコアと、その内側に嵌合させる部材とを嵌合部の全周にわたって密接させるように圧入することも考えられるが、この場合には組み付け性が困難になる。
【0008】
特許文献2,3に記載された構成の場合も、同様に、ロータコアとロータシャフトとの間での熱伝達効率を向上させつつ、ロータコアでの応力集中を有効に抑制する面から改良の余地がある。
【0009】
本発明の目的は、回転電機の冷却構造において、ロータシャフトの内部に冷却液を流通させる構成において、ロータコアとロータシャフトとの間での熱伝達効率を向上させつつ、ロータコアでの応力集中を有効に抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る回転電機の冷却構造は、回転可能に設けられるロータシャフトと、前記ロータシャフトの外径側に固定されたロータコアと、前記ロータコアの内部に埋め込まれた永久磁石と、前記ロータコアの外径側に対向配置されるステータとを備え、前記ロータシャフトの内部に設けられた軸側冷媒通路に冷却液を流通させる回転電機の冷却構造であって、前記ロータシャフトは、外周面の周方向複数個所で軸方向に伸びて形成され、径方向に突出する凸部と、外周面の前記凸部に対し周方向に隣り合うように形成された凹部とを含み、前記ロータシャフトは、前記凸部が前記ロータコアの内周面に圧入されることにより、前記ロータコアに固定されており、前記凹部と前記ロータコアの内周面とにより形成され、前記軸側冷媒通路と通じるシャフトコア間冷媒通路を含み、前記ロータコアの外周面において、前記永久磁石との間の径方向の距離が最小となる部分と、前記凸部において、前記ロータコアの内周面に圧入される部分とは、周方向にずれて配置されていることを特徴とする回転電機の冷却構造である。
【0011】
また、本発明に係る回転電機の冷却構造において、好ましくは、前記ロータコアの軸方向両側に前記ロータコアを挟むように配置された一対のエンドプレートを備え、前記各エンドプレートは、外側に冷却液を噴出させるプレート側冷媒通路を含み、前記各エンドプレートに設けられた前記プレート側冷媒通路同士は、前記シャフトコア間冷媒通路を介して連通している。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る回転電機の冷却構造によれば、ロータシャフトの凸部がロータコアの内周面に圧入され、ロータコアの外周面において、永久磁石との間の径方向の距離が最小となる部分と、凸部において、ロータコアの内周面に圧入される部分とは、周方向にずれて配置されているので、ロータシャフトの内部に冷却液を流通させる構成において、ロータコアとロータシャフトとの間での熱伝達効率を向上させつつ、ロータコアでの応力集中を有効に抑制することができる。しかも、凸部と隣り合う凹部とロータコアの内周面とにより、ロータシャフトの内部の軸側冷媒通路と通じるシャフトコア間冷媒通路が形成されるので、ロータコアとロータシャフトとの間での熱伝達効率をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る実施形態の回転電機の冷却構造の部分断面図である。
【図2】図1からロータシャフトとロータとを取り出して示す図である。
【図3】図2からロータシャフトのみを取り出して示す図である。
【図4】図3のロータシャフトのA−A半部断面図である。
【図5】図3のロータシャフトをロータコアに圧入をした状態を示す、周方向一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下において、図1〜5を用いて本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態の回転電機の冷却構造は、例えば電気自動車や、燃料電池車や、エンジン及びモータを車両の駆動源として搭載するハイブリッド車両を駆動する走行用のモータとして、または、発電機として、または、その両方の機能を有するモータジェネレータとして使用する回転電機に適用する。例えば、回転電機をモータジェネレータとして使用する場合、主として発電機として使用する第1モータジェネレータ(MG1)でも、主として走行用モータとして使用する第2モータジェネレータ(MG2)でも、いずれでも本実施形態の回転電機冷却構造を適用できる。
【0015】
図1は、本実施形態の回転電機の冷却構造の部分断面図である。図1に示すように、回転電機冷却構造は、回転電機10を備える。回転電機10は、ケーシング14に軸受により回転可能に支持されたロータシャフト16と、ロータシャフト16の中間部の外径側に固定されたロータ18と、ロータ18の外径側にエアギャップを介して対向配置されたステータ20とを備える。ステータ20は、ケーシング14の内周面に固定されている。このような回転電機冷却構造は、いわゆる軸心冷却構造で、冷媒であり、冷却液であるATF等の油により、ロータ18とステータ20とを冷却している。
【0016】
ステータ20は、複数の電磁鋼板を軸方向に積層することにより構成され、積層体等の磁性材により形成されるステータコア24と、ステータコア24の内周面の周方向複数個所に径方向に突出形成されたティース26と、ティース26に巻装された複数相(例えば3相の)のステータコイル28とを含む。ステータコイル28において、ステータコア24の軸方向両側面よりも外側に突出する部分により、一対のコイルエンド29が形成されている。ステータコア24は、ケーシング14の内面に固定されている。複数相のステータコイル28は、集中巻きまたは分布巻きでステータコア24に巻装されている。
【0017】
ケーシング14は、ステータ20とロータ18とを収容している。ロータ18は、複数の電磁鋼板を軸方向に積層することにより構成される積層体等の磁性材により形成される略円筒状のロータコア30と、ロータコア30の内部の周方向複数個所に埋め込まれた永久磁石32とを含む。永久磁石32は、周方向(「周方向」とは特に断らない限り、ロータの径方向をいう。本明細書全体及び特許請求の範囲で同じとする。)に隣り合う2つを1組として、各組で、2つの永久磁石32がV字形に径方向外側に広がるように配置されている。すなわち、ロータコア30に軸方向に貫通する複数の磁石孔が形成されており、各永久磁石32は各磁石孔に挿入されている。また、各永久磁石32は、径方向(「径方向」とは特に断らない限り、ロータの径方向をいう。本明細書全体及び特許請求の範囲で同じとする。)に対し傾斜する方向に着磁されている。各組で永久磁石32の径方向に関する着磁方向は略同じとしている。永久磁石32がこのようにロータコア30に配置されるので、ロータコア30の外周面の周方向複数個所(例えば図5の点P1,P2,P3,P4で示す周方向複数個所)に、永久磁石32とロータコア30の外周面との間の径方向の距離が最小となる、磁石近接部が配置される。また、各磁石近接部P1,P2・・・に対応するロータコア30の外周部の周方向の肉厚が最小となる複数個所に、ブリッジ部34が形成されている。
【0018】
また、ロータコア30の軸方向両側に一対の円板状のエンドプレート36が配置されており、一対のエンドプレート36によりロータコア30が軸方向両側から挟持されている。
【0019】
また、ロータシャフト16の内側に内側軸部材38が挿入されており、内側軸部材38に冷却油を流す軸方向通路40と、軸方向通路40に通じる径方向通路42とが形成されている。内側軸部材38の中間部外周面とロータシャフト16の中間部内周面との間に軸側冷媒通路である中間通路44が形成されており、中間通路44は、径方向通路42の径方向外端に接続することで、径方向通路42に連通している。
【0020】
図2、図3に示すように、ロータシャフト16は、一端部(図2、図3の左端部)外周面にフランジ46が形成され、中心部に軸方向に貫通する貫通孔48が形成されている。図1に示すようにロータシャフト16の内側に内側軸部材38が配置された状態で、貫通孔48の中間部内周面と内側軸部材38の外周面とにより上記の中間通路44が形成される。また、ロータシャフト16の他端部(図2の右端部)の周方向1個所または複数個所に、軸方向に対し傾斜した傾斜孔50が形成されている。傾斜孔50は、中間通路44と連通している。なお、傾斜孔50は、ロータシャフト16の径方向に沿って設けた径方向孔とすることもできる。
【0021】
また、図4に示すように、ロータシャフト16の外周面の周方向複数個所に軸方向に伸びて、径方向に突出する凸部52が形成されている。各凸部52の先端は、例えば図4に示すような断面円弧形としている。このため、ロータシャフト16の外周面で周方向に隣り合う凸部52同士の間に複数の凹部54が形成されている。上記の傾斜孔50(図2)の径方向外端は上記の凹部54の底部に開口している。そして、図2に示すように、ロータコア30の内周面にロータシャフト16の各凸部52(図4)が圧入されることにより、ロータシャフト16はロータコア30に固定されている。また、ロータシャフト16のフランジ46と、ロータシャフト16の他端部に結合固定した断面略L字形のフランジ部材56との間で、一対のエンドプレート36とロータコア30とを軸方向両側から挟んでいる。
【0022】
また、各エンドプレート36の軸方向外側に向いた側面の内周寄り部分に例えば放射状のプレート側冷媒通路58が形成されている。図5に示すように、ロータコア30の内周面にロータシャフト16の各凸部52を圧入した状態で、凹部54とロータコア30の内周面とに仕切られる部分により複数のシャフトコア間冷媒通路60が形成される。各シャフトコア間冷媒通路60は、傾斜孔50(図2)を介して中間通路44(図1)と通じている。また、一対のエンドプレート36の片側(図2の右側)のエンドプレート36に形成されたプレート側冷媒通路58と、傾斜孔50とが連通しており、一対のエンドプレート36の他側(図2の左側)のエンドプレート36に形成されたプレート側冷媒通路58が、シャフトコア間冷媒通路60と連通している。このため、各エンドプレート36に設けられたプレート側冷媒通路58同士は、シャフトコア間冷媒通路60を介して連通している。また、各プレート側冷媒通路58は、外側に冷却油を噴出させる。
【0023】
なお、図5に示す例では、ロータコア30の外周面の周方向複数個所に凹溝62が形成されているが、凹溝62を省略して、ロータコア30の外周面を単なる円筒面とすることもできる。
【0024】
また、図1の例では、各コイルエンド29を含むステータ20の軸方向長さを、各エンドプレート36を含むロータ18の軸方向長さよりも大きくしている。また、各エンドプレート36のプレート側冷媒通路58から外側に噴出された冷却油が各コイルエンド29に向け飛ばされるようにしている。
【0025】
さらに、図5に示すように、ロータコア30の外周面において、永久磁石32との間の径方向の距離が最小となる磁石近接部P1,P2・・・と、ロータシャフト16に設けられた各凸部52において、ロータコア30の内周面に圧入される部分とは、周方向にずれて配置されるようにしている。例えば、図5のように矢印α1、α2で、ロータシャフト16の凸部52において、ロータコア30の内周面に圧入される部分の周方向範囲を規定した場合に、周方向範囲α1、α2は、いずれも磁石近接部P1,P2,P3,P4・・・と周方向にずれるように、ロータコア30にロータシャフト16が組み付けられている。
【0026】
このような回転電機10では、複数相のステータコイル28に複数相の交流電流を流すことで、ステータ20に回転磁界を生じさせ、ロータ18をロータシャフト16とともに回転させることができる。
【0027】
このような回転電機冷却構造では、図1に示すように、図示しないポンプ等により構成される冷却油供給装置から、内側軸部材38の軸方向通路40に冷却油が供給されると、その冷却油は、径方向通路42を介して中間通路44に供給され、中間通路44から傾斜孔50を通じて片側(図1の右側)のエンドプレート36のプレート側冷媒通路58に送られる。そして、冷却油は、このプレート側冷媒通路58から、ロータ18の回転による遠心力の作用により、片側(図1の右側)のコイルエンド29(図1)に向け外径側に飛ばされる。
【0028】
また、傾斜孔58を通じてシャフトコア間冷媒通路60に図2の矢印β方向に送られた冷却油は、他側(図1の左側)のエンドプレート36のプレート側冷媒通路58に送られ、ロータ18の回転による遠心力の作用により、他側(図1の左側)のコイルエンド29(図1)に向け外径側に飛ばされる。このため、ロータコア30及び永久磁石32とステータ20(図1)に設けたコイルエンド29とが冷却される。
【0029】
このような回転電機冷却構造によれば、ロータシャフト16の各凸部52がロータコア30の内周面に圧入されているので、ロータコア30にロータシャフト16を全周で隙間ばめで嵌合する場合と異なり、ロータコア30とロータシャフト16との間での熱伝達効率を向上させることができる。また、ロータコア30の外周面において、永久磁石32との間の径方向の距離が最小となる磁石近接部P1,P2・・・と、各凸部52において、ロータコア30の内周面に圧入される部分とは、周方向にずれて配置されている。このため、ロータシャフト16の凸部52がロータコア30に圧入されるのにもかかわらず、ロータコア30での応力集中を有効に抑制することができる。したがって、ロータシャフト16の内部に冷却油を流通させる構成において、ロータコア30とロータシャフト16との間での熱伝達効率を向上させつつ、ロータコア30での応力集中を有効に抑制することができる。すなわち、ロータコア30に対するロータシャフト16の組み付け作業の際に、ロータコア30の外周部の肉厚が最小となるブリッジ部34に過度な応力が集中することを防止できる。
【0030】
これに対して、例えば図5に二点鎖線γで示す位置に凸部が形成されると、凸部のロータコア30の内周面に圧入される部分と磁石近接部P2とが周方向で一致するように、ロータコア30にロータシャフト16が組み付けられる。このため、組み付け時にロータコア30の磁石近接部P2近傍、すなわちブリッジ部34近傍に高い応力集中が発生する可能性がある。本実施形態によれば、このような不都合を防止できる。
【0031】
しかも、各凸部52と隣り合う複数の凹部54とロータコア30の内周面とにより、ロータシャフト16の内部の中間通路44と通じるシャフトコア間冷媒通路60が形成されている。このため、シャフトコア間冷媒通路60が単なる空間となる場合と異なり、ロータコア30とロータシャフト16との間での熱伝達効率をより向上させることができる。なお、ロータシャフト16の外周面の凸部52と凹部54とはローレット加工等により形成してもよい。
【0032】
さらに、ロータシャフト16の外周面の全周部分をロータコア30の内周面に圧入等、しまり嵌めにより嵌合する場合と異なり、本実施形態では、圧入に要する力を小さくできるので、ロータ18及びロータシャフト16の組み付け性の向上を図れる。
【0033】
なお、一対のエンドプレート36の一方または両方のエンドプレート36を省略した場合でも、ロータシャフト16の外周面に、シャフトコア間冷媒通路60と連通する溝部を形成し、溝部をコイルエンド29に対向させる等により、溝部から噴出させた冷却油がコイルエンド29に向け外径側に飛ばされるようにすることもできる。また、本実施形態では、ロータシャフト16の内側に内側軸部材38を配置しているが、内側軸部材38を省略して、ロータシャフト16の貫通孔48により形成される軸側冷媒通路に冷却油を供給し、ロータ18及びステータ20を冷却することもできる。
【0034】
また、ロータコア30は、複数の鋼板を積層してなる積層体により構成する以外に、磁性粉末を加圧成形してなる圧粉磁心により構成することもできる。また、冷却液として、油以外、例えば冷却水等を用いることもできる。また、永久磁石はロータコア30にV字形に配置する構成に限定するものではなく、例えば、ロータコアの中心軸を中心とする同心円上の複数個所に永久磁石を配置することもできる。
【符号の説明】
【0035】
10 回転電機、14 ケーシング、16 ロータシャフト、18 ロータ、20 ステータ、22 コイルエンド、24 ステータコア、26 ティース、28 ステータコイル、29 コイルエンド、30 ロータコア、32 永久磁石、34 ブリッジ部、36 エンドプレート、38 内側軸部材、40 軸方向通路、42 径方向通路、44 中間通路、46 フランジ、48 貫通孔、50 傾斜孔、52 凸部、54 凹部、56 フランジ部材、58 プレート側冷媒通路、60 シャフトコア間冷媒通路、62 凹溝。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に設けられるロータシャフトと、
前記ロータシャフトの外径側に固定されたロータコアと、
前記ロータコアの内部に埋め込まれた永久磁石と、
前記ロータコアの外径側に対向配置されるステータとを備え、
前記ロータシャフトの内部に設けられた軸側冷媒通路に冷却液を流通させる回転電機の冷却構造であって、
前記ロータシャフトは、
外周面の周方向複数個所で軸方向に伸びて形成され、径方向に突出する凸部と、
外周面の前記凸部に対し周方向に隣り合うように形成された凹部とを含み、
前記ロータシャフトは、前記凸部が前記ロータコアの内周面に圧入されることにより、前記ロータコアに固定されており、
前記凹部と前記ロータコアの内周面とにより形成され、前記軸側冷媒通路と通じるシャフトコア間冷媒通路を含み、
前記ロータコアの外周面において、前記永久磁石との間の径方向の距離が最小となる部分と、前記凸部において、前記ロータコアの内周面に圧入される部分とは、周方向にずれて配置されていることを特徴とする回転電機の冷却構造。
【請求項2】
請求項1に記載の回転電機の冷却構造において、
前記ロータコアの軸方向両側に前記ロータコアを挟むように配置された一対のエンドプレートを備え、
前記各エンドプレートは、外側に冷却液を噴出させるプレート側冷媒通路を含み、
前記各エンドプレートに設けられた前記プレート側冷媒通路同士は、前記シャフトコア間冷媒通路を介して連通していることを特徴とする回転電機の冷却構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−51805(P2013−51805A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188127(P2011−188127)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】