説明

図形描画装置およびプログラム

【課題】学習すべき関数の学習単元を選択するだけで、選択された学習単元に応じた幾何図形、グラフ、テーブルを連動して表示させることが可能な図形描画装置を提供する。
【解決手段】学習単元のリスト画面Lから学習したい所望の単元(例えば「三角関数」)を選択すると、インタラクティブ・ジオメトリ登録演算データベースに登録されている「三角関数」の描画条件データ12ep1およびその描画の処理手順を記述した演算内容データ12eq1に従い、円ciの外周点DからX軸に垂線を下ろした交点Eと垂線の長さ[DE]を、設定されたステップ数[48]で更新させながら表示する幾何図形ウインドウK、各ステップ毎のx値に対する前記垂線の長さ[DE]であるy値をプロットして表示するグラフウインドウG、各ステップ毎のx値とy値を対応付けて表示するテーブルウインドウTが連動して表示部19の全体に表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関数の学習をするのに好適な図形描画装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、所望の関数式を入力し、この関数式に対応するグラフを描画表示する機能を備えたグラフ関数電卓が実用化されている。
【0003】
この従来のグラフ関数電卓では、幾何図形描画モード、グラフ描画モード、テーブル表示モード等、各種機能が搭載されている。このグラフ関数電卓を学校教育に使用する場合に、幾何図形、グラフ、テーブルを連携して表示することができれば、一見してその関数の内容を把握することができ、顕著な学習効果が期待できる。
【0004】
しかしながら、前記従来のグラフ関数電卓において、幾何図形描画モード、グラフ描画モード、テーブル表示モード等、それぞれの機能は独立しており、幾何図形、グラフ、及びテーブルを対応付けて同時に表示することはできなかった。
【0005】
そこで、幾何図形と、数式とを対応付けて連動表示する機能を備えた図形表示制御装置が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
また、2つの表示画面にそれぞれグラフを表示させ、各グラフ上を連動させてトレース表示するなどの連動表示機能を備えたグラフ表示制御装置も考えられている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−126769号公報
【特許文献2】特開2003−281102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
学校教育において、例えば三角関数や微分、積分など、単元ごとに学習すべき内容は限られ、描くべき幾何図形や、挙動を知りたいグラフ等は、その特徴が明確に表れるものに限られる。
【0009】
前記従来の図形表示制御装置やグラフ表示制御装置は、様々な幾何図形やグラフなどに対応できるため、その個々の解析自由度は高いものの、反面、学校教育の用途として特化したものではなく、幾何図形と、グラフと、テーブルとを簡単に連動表示させる機能を実現したものは依然として存在しない。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑みなされたもので、学習すべき関数の学習単元を選択するだけで、選択された学習単元に応じた幾何図形、グラフ、テーブルを連動して表示させることが可能になる顕著な学習効果を有する図形描画装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の図形描画装置は、学習単元に対応付けて、当該学習単元に応じた処理手順で幾何図形を描画するための描画条件を記憶する描画条件記憶手段と、この描画条件記憶手段により記憶された学習単元をリスト表示する学習単元表示手段と、この学習単元表示手段により表示された学習単元をユーザ操作に応じて選択する学習単元選択手段と、この学習単元選択手段により選択された学習単元に対応付けられて前記描画条件記憶手段により記憶されている幾何図形の描画条件に従って、当該選択された学習単元に応じた幾何図形を描画すると共に、当該幾何図形に対応したグラフ及び表を連動させて表示する連動表示手段と、を備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載の図形描画装置は、前記請求項1に記載の図形描画装置において、前記学習単元選択手段により選択された学習単元に対応付けられて前記描画条件記憶手段により記憶されている幾何図形の描画条件を書き換え可能に表示する描画条件表示手段を備え、前記連動表示手段は、前記描画条件表示手段により表示された描画条件に従って、前記学習単元選択手段により選択された学習単元に応じた幾何図形を描画すると共に、当該幾何図形に対応したグラフ及び表を連動させて表示する、ことを特徴としている。
【0013】
請求項3に記載の図形描画装置は、前記請求項1または請求項2に記載の図形描画装置において、前記描画条件記憶手段により記憶されている幾何図形の描画条件は、描画のステップ数を含み、前記連動表示手段は、前記描画条件表示手段により表示された描画条件に従って、当該描画条件に含まれる描画のステップ数で、前記学習単元選択手段により選択された学習単元に応じた幾何図形を順次描画すると共に、当該幾何図形に対応したグラフ及び表を連動させて表示する、ことを特徴としている。
【0014】
請求項4に記載の図形描画装置は、前記請求項2または請求項3に記載の図形描画装置において、前記描画条件表示手段は、グラフの表示の連動の有無、および表の表示の連動の有無を描画条件として書き換え可能に表示し、前記連動表示手段は、前記描画条件表示手段により表示された描画条件に従って、前記学習単元選択手段により選択された学習単元に応じた幾何図形を描画すると共に、前記描画条件の表の表示の連動が無しに書き換えられた場合には、当該幾何図形に対応したグラフを連動させて表示し、前記描画条件のグラフの表示の連動が無しに書き換えられた場合には、当該幾何図形に対応した表を連動させて表示する、ことを特徴としている。
【0015】
請求項5に記載のプロクラムは、電子機器のコンピュータを制御するためのプログラムであって、前記コンピュータを、学習単元に対応付けて、当該学習単元に応じた処理手順で幾何図形を描画するための描画条件をメモリに記憶する描画条件記憶手段、この描画条件記憶手段により記憶された学習単元を表示部にリスト表示させる学習単元表示制御手段、この学習単元表示制御手段により表示された学習単元をユーザ操作に応じて選択する学習単元選択手段、この学習単元選択手段により選択された学習単元に対応付けられて前記描画条件記憶手段により記憶されている幾何図形の描画条件に従って、当該選択された学習単元に応じた幾何図形を表示部に描画すると共に、当該幾何図形に対応したグラフ及び表を同表示部に連動させて表示する連動表示制御手段、として機能させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、学習すべき関数の学習単元を選択するだけで、選択された学習単元に応じた幾何図形、グラフ、テーブルを連動して表示させることが可能になる顕著な学習効果を有する図形描画装置およびプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の図形描画装置の実施形態に係るグラフ関数電卓10の電子回路の構成を示すブロック図。
【図2】前記グラフ関数電卓10のROM12に記憶されるインタラクティブ・ジオメトリ登録演算データベース12eの内容を示す図。
【図3】前記グラフ関数電卓10によるインタラクティブ・ジオメトリ表示処理を示すフローチャート。
【図4】前記グラフ関数電卓10のインタラクティブ・ジオメトリ表示処理において「三角関数」の学習単元を選択した場合の表示動作(その1)を示す図。
【図5】前記グラフ関数電卓10のインタラクティブ・ジオメトリ表示処理において「三角関数」の学習単元を選択した場合の表示動作(その2)を示す図。
【図6】前記グラフ関数電卓10のインタラクティブ・ジオメトリ表示処理において「微分」の学習単元を選択した場合の表示動作(その1)を示す図。
【図7】前記グラフ関数電卓10のインタラクティブ・ジオメトリ表示処理において「微分」の学習単元を選択した場合の表示動作(その2)を示す図。
【図8】前記グラフ関数電卓10のインタラクティブ・ジオメトリ表示処理において「微分」の学習単元を選択した場合の表示動作(その3)を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下図面により本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
図1は、本発明の図形描画装置の実施形態に係るグラフ関数電卓10の電子回路の構成を示すブロック図である。
【0020】
このグラフ関数電卓10は、コンピュータである制御部(CPU)11を備えている。
【0021】
制御部(CPU)11は、ROM(記憶領域)12に予め記憶されているシステムプログラム、あるいはメモリカードなどの外部記憶媒体13から記憶媒体読み書き部14を介してROM(フラッシュ)12に読み込まれた計算機制御プログラム、あるいは通信ネットワークN上のWEBサーバ(プログラムサーバ)15から通信制御部16を介してダウンロードされ前記ROM(フラッシュ)12に読み込まれた計算機制御プログラムに従い、RAM17を作業領域として回路各部の動作を制御する。そして、前記ROM12に予め記憶されたシステムプログラムや計算機制御プログラムは、入力部18からの入力信号に応じて起動される。
【0022】
前記制御部(CPU)11には、前記ROM12、記憶媒体読み書き部14、通信制御部16、RAM17、入力部18が接続される他に、ドットマトリクス型の液晶表示部(LCD)19が接続される。
【0023】
ROM12には、本グラフ関数電卓10の全体の動作を司る計算機制御プログラムが予め記憶される。
【0024】
この計算機制御プログラムとしては、ユーザ任意に入力される各種の関数を含む数式に応じた演算処理をして、その演算過程や演算結果を表示部19に表示させるための数式演算プログラムが含まれる他に、各種の関数を幾何図形にして表示させるための幾何図形描画プログラム12a、各種の関数をグラフにして表示させるためのグラフ描画プログラム12b、各種の関数をテーブルにして表示させるためのテーブル作成プログラム12c、インタラクティブ・ジオメトリ・モードにおいて、ある関数につき前記幾何図形描画プログラム12aとグラフ描画プログラム12bとテーブル作成プログラム12cとを連動させるための幾何−グラフ−テーブル連携プログラム12dが含まれる。
【0025】
そして、ROM12にはさらに、インタラクティブ・ジオメトリ登録演算データベース12eが記憶される。
【0026】
図2は、前記グラフ関数電卓10のROM12に記憶されるインタラクティブ・ジオメトリ登録演算データベース12eの内容を示す図である。
【0027】
このインタラクティブ・ジオメトリ登録演算データベース12eには、学校教育における関数の各単元(三角関数・微分・積分など)毎にその関数を表現する幾何図形とグラフとテーブルとを、前記幾何−グラフ−テーブル連携プログラム12dに従い連動して表示させるための描画条件を予め設定した描画条件データ12ep(図2(A)参照)、および前記描画条件データ12epに設定された描画条件に従い前記幾何図形とグラフとテーブルとを表示させる処理手順を記述した演算内容データ12eq(図2(B)参照)が記憶される。
【0028】
例えば三角関数の描画条件データ12ep1としては、幾何図形を描画するための円の中心[0,0]、円の半径[4]、中心のラベル[A]、外周上のラベル[D]、外周上のラベルからX軸に下ろした垂線との交点のラベル[E]、外周上のラベル[D]を円上で回すステップ数[48]がそれぞれ初期設定され、求解値[DE,AE,DE/AE]、グラフとの連携の有無、グラフのプロット点に対するカーブフィッティング(以下、回帰曲線という。)の表示の有無、テーブルとの連携の有無、曲線式表示の有無、がそれぞれ選択可能に設定される。
【0029】
入力部18には、本グラフ関数電卓10に搭載された各種の計算モードの機能を指定する際に操作される「機能キー」18a、各種の数値、文字、記号のデータを入力する際に操作される「数字・文字キー」18b、入力データの確定や演算の実行を指示する際に操作される「実行キー」18c、表示画面上のカーソルや項目などで示される入力位置を移動表示させたり、表示範囲をスクロール表示させたりする際に操作される「↑」「↓」「←」「→」の各カーソルキー18d、現在実行中の演算処理を取り消す際に操作される「ACキー」18eなどが設けられる。
【0030】
また、前記入力部18としてはタッチパネル18Tも含まれる。このタッチパネル18Tは、表示部19の表示画面上に重ねて設けられ、ユーザによりタッチされた位置データを入力するための透明タブレットからなる。
【0031】
RAM17には、各種の演算処理に伴い制御部11に入出力される種々のデータを一時記憶するための作業領域(ワークメモリ)が確保される。インタラクティブ・ジオメトリ・モードにおいて必要とされる作業領域としては、描画条件設定メモリ17a、幾何図形表示レンジメモリ17bなどが確保される。
【0032】
描画条件設定メモリ17aには、インタラクティブ・ジオメトリ登録演算データベース12eから、ユーザにより選択された単元名の関数に対応するところの描画条件データ12epが読み出されて記憶される。この描画条件設定メモリ17aに読み出された描画条件データ12epはユーザ操作に応じて修正して変更することが可能になる。
【0033】
幾何図形表示レンジメモリ17bには、ユーザにより選択された単元名の関数に対応するところの描画条件データ12epに応じて、表示画面上での幾何図形の表示レンジが自動設定されて記憶される。
【0034】
次に、前記構成のグラフ関数電卓10によるインタラクティブ・ジオメトリ表示機能について説明する。
【0035】
図3は、前記グラフ関数電卓10によるインタラクティブ・ジオメトリ表示処理を示すフローチャートである。
【0036】
図4は、前記グラフ関数電卓10のインタラクティブ・ジオメトリ表示処理において「三角関数」の学習単元を選択した場合の表示動作(その1)を示す図である。
【0037】
図5は、前記グラフ関数電卓10のインタラクティブ・ジオメトリ表示処理において「三角関数」の学習単元を選択した場合の表示動作(その2)を示す図である。
【0038】
例えば学校教育の過程において、関数の単元を学習するために、「機能キー」18aの操作に応じて表示部19に表示される各種計算モードのメニュー画面から「インタラクティブ・ジオメトリ・モード」が選択されることで、幾何−グラフ−テーブル連携プログラム12dが起動されると(ステップS1)、図4(A)に示すように、インタラクティブ・ジオメトリ登録演算データベース12eに登録されている単元名のリスト画面Lが表示部19に表示される(ステップS2)。
【0039】
この単元名のリスト画面Lにおいて、カーソルCuがカーソルキー18dの操作により移動され、今回学習したい単元として例えば「三角関数」が選択されると(ステップS3(YES))、当該選択された単元名「三角関数」の描画条件データ12ep1が、前記インタラクティブ・ジオメトリ登録演算データベース12e(図2(A)参照)から描画条件設定メモリ17aに読み出され、図4(B)に示すように、表示部19に表示される(ステップS4)。
【0040】
この描画条件データ12ep1の表示状態では、各描画条件の項目にカーソルCuを移動させて数値や文字を入力することで、該当する描画条件の内容を任意に修正して更新することが可能である(ステップS5(YES)→S6)。また、この描画条件データ12ep1の表示において、描画条件の内容が選択可能に設定されている項目には、選択可能マークhが付加されて表示され、この場合には、求解値[DE,AE,DE/AE]、グラフとの連携の有無、グラフの回帰曲線の表示の有無、テーブルとの連携の有無、曲線式表示の有無、がそれぞれ選択可能である。
【0041】
前記図4(B)で示した「三角関数」の描画条件データ12ep1において、例えばその何れの項目も初期値のまま修正されることなく「実行キー」18cが操作されると(ステップS5(NO)→S7(YES))、先ず、前記描画条件データ12ep1に基づき幾何図形表示レンジメモリ17bに設定された幾何図形の表示レンジに従い、図4(C)に示すように、幾何図形ウインドウKが表示される(ステップS8)。
【0042】
この際、前記描画条件データ12ep1において、グラフとの連携[あり]・テーブルとの連携[あり]に設定されている場合には、幾何図形ウインドウKを左半分に配置し、グラフウインドウGとテーブルウインドウTとを右半分の上下に配置した3画面の連携画面が表示される。
【0043】
なお、グラフとの連携[あり]・テーブルとの連携[なし]に設定されている場合には、幾何図形ウインドウKとグラフウインドウGとを左右に配置した2画面の連携画面が表示される。また、グラフとの連携[なし]・テーブルとの連携[あり]に設定されている場合には、幾何図形ウインドウKとテーブルウインドウTとを左右に配置した2画面の連携画面が表示される。さらに、グラフとの連携[なし]・テーブルとの連携[なし]に設定されている場合には、幾何図形ウインドウKだけが1画面で全体に表示される。
【0044】
なお、ここで述べたこれら連携の有無による各ウインドウの配置・大きさ、形状等はあくまで一例であり、適宜自由に設計しうる。
【0045】
すると、前記インタラクティブ・ジオメトリ登録演算データベース12eの「三角関数」の演算内容データ12eq1に記述されている処理手順(図2(B)参照)に従って、図4(C)に示すように、ステップ数=1の状態での幾何図形ウインドウK、グラフウインドウG、テーブルウインドウTが表示される(ステップS9)。
【0046】
この際、前記描画条件データ12ep1において、回帰曲線[なし]に設定されている場合には、グラフウインドウG内のグラフは各ステップにおけるプロット点のみでの表示となる。また、曲線式表示[なし]に設定されている場合には、グラフウインドウG内やテーブルウインドウT内において、選択された単元(関数)の曲線に対応する関数式Fが表示されない。
【0047】
すなわち、図4(B)で示した「三角関数」の描画条件データ12ep1と図2(B)で示した「三角関数」の演算内容データ12eq1の処理手順とによれば、図4(C)で示したように、幾何図形ウインドウKにおいて、円の中心[0,0]をラベル[A]とする半径[4]の円ciが描画される。そして、角度(ラジアン)x=0(ステップ数=1)のときの前記円ciの外周上の点がラベルD、当該外周上のラベルDからX軸に下ろした垂線の交点がラベルEとして表示される。
【0048】
また、ステップ数[48]で2π(ラジアン)となる1ステップ分のx値[2π/48]が等分設定され、現在のステップ数(=1)でのx値(=0)と求解値[DE]の長さ(=0)が求められる。するとこれに応じて、幾何図形ウインドウKに求解値[DE:0]、グラフウインドウGに、現在のステップ数(=1)でのx値(=0)をx座標、求解値[DE](=0)をy座標とするポインタP(0,0)が表示され、そのx値[xc=0],y値[yc=0]、およびx値に対する求解値[DE](=y1)を表す曲線の関数式F[y1=4・sin(x)]が表示される。またこれと共に、テーブルウインドウTに現在のステップ数(=1)でのx値[0],y1値[0]が表示される。
【0049】
この後、予め設定された1ステップ分の更新時間が経過したと判断される毎に(ステップS10(YES))、前記描画条件データ12ep1のステップ数[48]に応じて等分設定された1ステップ分のx値[2π/48]だけx値に加算され、幾何図形ウインドウKの幾何図形および求解値[DE]の表示が更新される。同時に、グラフウインドウGに現在のステップ数でのポインタPが、過去にポインタPとして表示されていた位置にプロット点を残しながら更新表示され、現在のステップ数のx値までのグラフy1および現在のステップ数におけるx値[xc],y値[yc]が更新表示される。さらに同時に、テーブルウインドウTのx値,y1値の表示が現在のステップ数における値が順次追加されながら更新される(ステップS11)。
【0050】
そして、ステップ数=20まで進むと、図5(D)に示すような幾何図形ウインドウK、グラフウインドウG、テーブルウインドウTの表示状態に更新される。この後、図5(E)に示すように、ステップ数=48まで進んで、幾何図形ウインドウK、グラフウインドウG、テーブルウインドウTが更新表示され、前記描画条件データ12ep1の設定ステップ数[48]に到達したと判断されると(ステップS12(YES))、前記選択された学習単元「三角関数」に対応する一連のインタラクティブ・ジオメトリ表示処理は終了される(END)。
【0051】
したがって、前記構成のグラフ関数電卓10のインタラクティブ・ジオメトリ表示機能によれば、今回学習したい単元として「三角関数」を選択するだけで、選択された学習単元「三角関数」に応じた幾何図形、グラフ、テーブルを連動して変化表示させることができる。このため、一見して「三角関数」の内容を把握することができ、顕著な学習効果を奏することが可能になる。
【0052】
図6は、前記グラフ関数電卓10のインタラクティブ・ジオメトリ表示処理において「微分」の学習単元を選択した場合の表示動作(その1)を示す図である。
【0053】
図7は、前記グラフ関数電卓10のインタラクティブ・ジオメトリ表示処理において「微分」の学習単元を選択した場合の表示動作(その2)を示す図である。
【0054】
図8は、前記グラフ関数電卓10のインタラクティブ・ジオメトリ表示処理において「微分」の学習単元を選択した場合の表示動作(その3)を示す図である。
【0055】
前述したように、「インタラクティブ・ジオメトリ・モード」が起動されたことにより(ステップS1)、図6(F)に示すように、表示部19に表示される単元名のリスト画面Lにおいて(ステップS2)、カーソルCuがカーソルキー18dの操作により移動され、今回学習したい単元として例えば「微分」が選択されると(ステップS3(YES))、当該選択された単元名「微分」の描画条件データ12ep2が、前記インタラクティブ・ジオメトリ登録演算データベース12e(図2(A)参照)から描画条件設定メモリ17aに読み出され、図6(G)に示すように、表示部19に表示される(ステップS4)。
【0056】
この表示部19に表示された単元名「微分」の描画条件データ12ep2において、例えば、先ず図6(H)に示すように、初期設定された式[x]を[x−3x]に修正して更新させる(ステップS5(YES)→S6)。
【0057】
また、図7(I)に示すように、初期設定された微分点の初期x座標[5]を[−5]に修正して更新させる(ステップS5(YES)→S6)。
【0058】
さらに、初期設定されたステップ数[50]を[30]に修正して更新させる(ステップS5(YES)→S6)。
【0059】
こうして前記図7(I)で示したように、「微分」の描画条件データ12ep2が修正されて更新された状態で、「実行キー」18cが操作されると(ステップS7(YES))、先ず、前記更新された描画条件データ12ep2に基づき幾何図形表示レンジメモリ17bに設定された幾何図形の表示レンジに従い、図7(J)に示すように、幾何図形ウインドウKが表示される(ステップS8)。
【0060】
この際、前記描画条件データ12ep2において、グラフとの連携[あり]・テーブルとの連携[あり]に設定されているので、幾何図形ウインドウKを左半分に配置し、グラフウインドウGとテーブルウインドウTとを右半分の上下に配置した3画面の連携画面が表示される。
【0061】
すると、前記インタラクティブ・ジオメトリ登録演算データベース12eの「微分」の演算内容データ12eq2に記述されている処理手順(図2(B)参照)に従って、図7(J)に示すように、ステップ数=1の状態での幾何図形ウインドウK、グラフウインドウG、テーブルウインドウTが表示される(ステップS9)。
【0062】
すなわち、図7(I)で示した「微分」の描画条件データ12ep2と図2(B)で示した「微分」の演算内容データ12eq2の処理手順とによれば、図7(J)で示したように、幾何図形ウインドウKにおいて、式[y=x−3x]のグラフyが描画されると共に、当該式[y=x−3x](グラフy)上の微分点の初期のx座標[−5]がラベル[A]に設定され表示される(ここでは表示範囲外なので表示されず)。そして、微分点のラベル[A]を通る式[y=x−3x](グラフy)への接線Jが描画される。
【0063】
また、1ステップ分のx値が、前記描画条件データ12epにて共通条件として初期設定されたpitch[0.2]で増加するよう設定され、現在のステップ数(=1)での初期のx値(=−5)と、前記式[y=x−3x]の微分曲線式[y1=3x−3]とから導かれる接線Jの傾き(=72)が求められる。するとこれに応じて、幾何図形ウインドウKに接線Jの傾き[Slope:72]、グラフウインドウGに現在のステップ数(=1)でのx値(=−5)をx座標、求解値[接線Jの傾き](=72)をy座標とするポインタP(−5,72)が表示され(ここでは表示範囲外なので表示されず)、そのx値[xc=−5],求解値である接線Jの傾き[yc=72]、およびx値に対する求解値(=y1)をあらわす曲線の関数式F[y1=3x−3]が表示される。またこれと共に、テーブルウインドウTに現在のステップ数(=1)でのx値[−5],y1値[72]が表示される。
【0064】
この後、予め設定された1ステップ分の更新時間が経過したと判断される毎に(ステップS10(YES))、前記描画条件データ12epの共通pitch[0.2]だけx値に加算され、幾何図形ウインドウKの接線Jおよびその傾き[Slope]の表示が更新される。同時に、グラフウインドウGに現在のステップ数でのポインタPが、過去にポインタPとして表示されていた位置にプロット点を残しながら更新表示され、現在のステップ数のx値までのグラフy1および現在のステップ数におけるx値[xc],y値[yc]が更新表示される。さらに同時に、テーブルウインドウTのx値,y1値の表示が現在のステップ数における値が順次追加されながら更新される(ステップS11)。
【0065】
そして、ステップ数=23まで進むと、図7(K)に示すような幾何図形ウインドウK、グラフウインドウG、テーブルウインドウTの表示状態に更新される。この後、図8(L)に示すように、ステップ数=30まで進んで、幾何図形ウインドウK、グラフウインドウG、テーブルウインドウTが更新表示され、前記描画条件データ12ep2の更新された設定ステップ数[30]に到達したと判断されると(ステップS12(YES))、前記選択された学習単元「微分」に対応する一連のインタラクティブ・ジオメトリ表示処理は終了される(END)。
【0066】
したがって、前記構成のグラフ関数電卓10のインタラクティブ・ジオメトリ表示機能によれば、今回学習したい単元として「微分」を選択するだけで、選択された学習単元「微分」に応じた幾何図形、グラフ、テーブルを連動して変化表示させることができる。このため、一見して「微分」の内容を把握することができ、顕著な学習効果を奏することが可能になる。
【0067】
なお、前記ROM12に記憶されるインタラクティブ・ジオメトリ登録演算データベース12eは、本グラフ関数電卓10に予めプリインストールされていてもよいし、メモリカードなどの外部記憶媒体13に記録されて配布され、記憶媒体読み書き部14から読み込んで前記ROM12に記憶させてもよい。
【0068】
前記実施形態において記載したグラフ関数電卓10による動作手法、すなわち、図2に示すインタラクティブ・ジオメトリ登録演算データベース12eの各学習単元に対応する描画条件データ12epや演算内容データ12eq、図3のフローチャートに示すインタラクティブ・ジオメトリ表示処理などの各手法は、コンピュータに読み込ませて実行させることができるデータ、プログラムとして、メモリカード(ROMカード、RAMカード等)、磁気ディスク(フロッピディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の外部記憶媒体(13)に格納して配布することができる。そして、電子式計算機(10)のコンピュータ(11)は、この外部記憶媒体(13)に記憶されたデータ、プログラムを記憶装置(12)(17)に読み込み、この読み込んだデータ、プログラムによって動作が制御されることにより、前記実施形態において説明した各学習単元の関数に対応した幾何図形・グラフ・テーブルの連動表示機能を実現し、前述した手法による同様の処理を実行することができる。
【0069】
また、前記各手法を実現するためのデータベースおよびプログラムは、データコード、プログラムコードの形態として通信ネットワーク(公衆回線)N上を伝送させることができ、この通信ネットワークNに接続された通信装置(16)によって前記データベース、プログラムを電子式計算機(10)のコンピュータ(11)に取り込み、前述した各学習単元の関数に対応した幾何図形・グラフ・テーブルの連動表示機能を実現することもできる。
【0070】
なお、本願発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が異なる形態にして組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
【符号の説明】
【0071】
10 …グラフ関数電卓(電子式計算機)
11 …制御部(CPU)
12 …ROM
12a…幾何図形描画プログラム
12b…グラフ描画プログラム
12c…テーブル作成プログラム
12d…幾何−グラフ−テーブル連携プログラム
12e…インタラクティブ・ジオメトリ登録演算データベース
12ep…描画条件データ
12eq…演算内容データ(描画処理手順)
13 …外部記憶媒体
14 …記憶媒体読み書き部
15 …WEBサーバ
16 …通信制御部
17 …RAM
17a…描画条件設定メモリ
17b…幾何図形表示レンジメモリ
18 …入力部
18a…「機能キー」
18b…「数字・文字キー」
18c…「実行キー」
18d…「カーソルキー」
18e…「ACキー」
18T…「タッチパネル」
19 …表示部
N …通信ネットワーク
L …登録単元名のリスト画面
K …幾何図形ウインドウ
G …グラフウインドウ
T …テーブルウインドウ
F …曲線関数式

【特許請求の範囲】
【請求項1】
学習単元に対応付けて、当該学習単元に応じた処理手順で幾何図形を描画するための描画条件を記憶する描画条件記憶手段と、
この描画条件記憶手段により記憶された学習単元をリスト表示する学習単元表示手段と、
この学習単元表示手段により表示された学習単元をユーザ操作に応じて選択する学習単元選択手段と、
この学習単元選択手段により選択された学習単元に対応付けられて前記描画条件記憶手段により記憶されている幾何図形の描画条件に従って、当該選択された学習単元に応じた幾何図形を描画すると共に、当該幾何図形に対応したグラフ及び表を連動させて表示する連動表示手段と、
を備えたことを特徴とする図形描画装置。
【請求項2】
前記学習単元選択手段により選択された学習単元に対応付けられて前記描画条件記憶手段により記憶されている幾何図形の描画条件を書き換え可能に表示する描画条件表示手段を備え、
前記連動表示手段は、前記描画条件表示手段により表示された描画条件に従って、前記学習単元選択手段により選択された学習単元に応じた幾何図形を描画すると共に、当該幾何図形に対応したグラフ及び表を連動させて表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の図形描画装置。
【請求項3】
前記描画条件記憶手段により記憶されている幾何図形の描画条件は、描画のステップ数を含み、
前記連動表示手段は、前記描画条件表示手段により表示された描画条件に従って、当該描画条件に含まれる描画のステップ数で、前記学習単元選択手段により選択された学習単元に応じた幾何図形を順次描画すると共に、当該幾何図形に対応したグラフ及び表を連動させて表示する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の図形描画装置。
【請求項4】
前記描画条件表示手段は、グラフの表示の連動の有無、および表の表示の連動の有無を描画条件として書き換え可能に表示し、
前記連動表示手段は、前記描画条件表示手段により表示された描画条件に従って、前記学習単元選択手段により選択された学習単元に応じた幾何図形を描画すると共に、前記描画条件の表の表示の連動が無しに書き換えられた場合には、当該幾何図形に対応したグラフを連動させて表示し、前記描画条件のグラフの表示の連動が無しに書き換えられた場合には、当該幾何図形に対応した表を連動させて表示する、
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の図形描画装置。
【請求項5】
電子機器のコンピュータを制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
学習単元に対応付けて、当該学習単元に応じた処理手順で幾何図形を描画するための描画条件をメモリに記憶する描画条件記憶手段、
この描画条件記憶手段により記憶された学習単元を表示部にリスト表示させる学習単元表示制御手段、
この学習単元表示制御手段により表示された学習単元をユーザ操作に応じて選択する学習単元選択手段、
この学習単元選択手段により選択された学習単元に対応付けられて前記描画条件記憶手段により記憶されている幾何図形の描画条件に従って、当該選択された学習単元に応じた幾何図形を表示部に描画すると共に、当該幾何図形に対応したグラフ及び表を同表示部に連動させて表示する連動表示制御手段、
として機能させるようにしたプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−13839(P2011−13839A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156089(P2009−156089)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】