説明

図書情報データベース処理システム及びこの処理システムを用いた図書保管管理システム

【課題】図書情報データベースの新たなデータ項目として図書厚さ寸法を容易に得ることができる図書情報データベース処理システム、及びこの処理システムを用いた図書保管管理システムを提供すること。
【解決手段】図書情報データベース処理システム20は、既存の図書情報データベースDB1が有する少なくとも各図書ごとの図書識別データと頁数データとを取得する取得部20aと、この取得部20aが取得した頁数データに基づき図書厚さ寸法を演算する演算部20bと、図書識別データとこの図書識別データに対応づけて演算部20bで演算された図書厚さ寸法データとを出力する出力部20cと、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各図書ごとに識別された図書識別データと、この図書の頁数データとをデータ項目として少なくとも有する既存の図書情報データベースに基づき、新たなデータ項目を演算する図書情報データベース処理システム、及びこの処理システムを用いた図書保管管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
TRC(図書館流通センター)やILL(国立情報学研究所)で使用される既存の目録データベースは、日本書籍出版協会のデータベース総目録を基礎とし、その図書データには図書高さ寸法情報(判型)や頁数情報はデータ項目として存在するが、図書の厚さ情報はデータ項目に存在しなかった。近年、図書をコンテナに収納してコンテナを書庫に収容する図書保管管理システムが増加しているが、所定のスペースを有するコンテナに各図書を収納するために、データ項目として図書の厚さ寸法データが必要であった。
【0003】
従来の図書保管管理システムは、既存の図書情報データベースを用いて管理しており、ステーションにおける図書を書庫に返却する際に、ステーションの要返却図書を識別するとともに、既存の図書情報データベースが有しない図書厚さ寸法を実計測し、実計測した図書厚さ寸法に基づいて、返却に適した空きスペースを有するコンテナを特定して、このコンテナを搬送制御しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3641548号公報(第16頁、第19図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1にあっては、各々の図書の厚さ寸法について実計測を行なうため、ステーションに厚さ寸法計測用の特段の機器を要するばかりか、図書返却の度ごとに計測作業を要し作業手間が煩雑になるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、図書情報データベースの新たなデータ項目として図書厚さ寸法を容易に得ることができる図書情報データベース処理システム、及びこの処理システムを用いた図書保管管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の図書情報データベース処理システムは、
各図書ごとに識別された図書識別データと該図書の頁数データとをデータ項目として少なくとも有する既存の図書情報データベースに基づき、新たなデータ項目を演算する図書情報データベース処理システムであって、
前記既存の図書情報データベースが有する少なくとも各図書ごとの図書識別データと頁数データとを取得する取得部と、該取得部が取得した頁数データに基づき図書厚さ寸法を演算する演算部と、前記図書識別データと該図書識別データに対応づけて前記演算部で演算された図書厚さ寸法データとを出力する出力部と、を備えたことを特徴としている。
この特徴によれば、既存の図書情報データベースを利用して、演算部が、取得部が取得した頁数データに基づき図書厚さ寸法を演算することで、図書識別データに対応付けた図書厚さ寸法データを容易に得ることができるため、図書厚さ寸法データを用いて拡張性を高めた図書の管理が可能となる。
【0008】
本発明の図書情報データベース処理システムは、
前記既存の図書情報データベースは、各図書ごとの図書種別データをデータ項目として更に有し、
前記演算部は、各図書ごとに前記図書種別データに基づき予め設定された図書の構成紙あたりの紙厚さ寸法データを選定し、該紙厚さ寸法データと頁数データとに基づき図書厚さ寸法を演算することを特徴としている。
この特徴によれば、演算部が、図書の高さ寸法に基づき予め設定された図書の構成紙あたりの紙厚さ寸法と、頁数とに基づき、図書厚さ寸法を演算することで、各図書の厚さ寸法をより正確に演算できる。
【0009】
本発明の図書情報データベース処理システムは、
前記既存の図書情報データベースは、各図書ごとの図書種別データをデータ項目として更に有し、
前記演算部は、各図書ごとに前記図書種別データに基づき予め設定された装丁厚さ寸法データを選定し、該装丁厚さ寸法データと頁数データとに基づき図書厚さ寸法を演算することを特徴としている。
この特徴によれば、演算部が、図書の高さ寸法に基づき予め設定された装丁厚さ寸法と、頁数とに基づき、図書厚さ寸法を演算することで、各図書の厚さ寸法をより正確に演算できる。
【0010】
本発明の図書情報データベース処理システムを用いた図書保管管理システムは、
管理装置の指令に基づき、書庫に収容されている複数の図書が収納された複数のコンテナの中から、所定のコンテナを取り出してステーションに搬送するとともに、図書の貸出若しくは返却作業後に、前記ステーションより前記書庫にコンテナを搬送する図書保管管理システムであって、
前記管理装置は、前記図書情報データベース処理システムの前記出力部が出力した、前記図書識別データと該図書識別データに対応づけて前記演算部で演算された図書厚さ寸法データとをデータ項目として少なくとも有する図書厚さ情報データベースと、各コンテナ識別データと該コンテナ識別データに対応づけて該コンテナに収納された各図書の前記図書識別データとをデータ項目として少なくとも有するコンテナ情報データベースと、を用いて、各図書と各コンテナとを対応付けて図書を保管管理することを特徴としている。
この特徴によれば、管理装置が、図書識別データに対応づけた図書厚さ寸法データを有する図書厚さ情報データベースと、コンテナ識別データに対応づけたコンテナに収納された各図書の図書識別データを有するコンテナ情報データベースと、を用いることで、各コンテナ内に収納された図書及びそのコンテナの空きスペースを管理できることになる。
【0011】
本発明の図書情報データベース処理システムを用いた図書保管管理システムは、
前記管理装置は、各コンテナごとに、コンテナに収納された各図書の前記図書識別データに対応づけて前記図書厚さ情報データベースが有する前記図書厚さ寸法データを加算して該コンテナ内の図書の総厚さ寸法を演算し、空コンテナの空き寸法から前記図書の総厚さ寸法を減算して該コンテナの空きスペース寸法を演算し、該コンテナのコンテナ識別データに対応づけた前記空きスペース寸法データを前記コンテナ情報データベースに記憶させており、
前記管理装置は、図書の貸出作業後に、前記コンテナ情報データベースに記憶されている貸出された図書が収納されていたコンテナの空きスペース寸法に該貸出された図書の図書厚さ寸法を加算した寸法を、該コンテナの新たな空きスペース寸法データとして前記コンテナ情報データベースに更新記憶させることを特徴としている。
この特徴によれば、管理装置が、図書の貸出作業後に、貸出された図書が収納されていたコンテナが有していた空きスペース寸法に図書厚さ寸法を加算した寸法を、このコンテナの新たな空きスペース寸法データとしてコンテナ情報データベースに更新記憶させることで、図書の貸出後におけるコンテナの空きスペース寸法を得て、貸出後においても各図書を各コンテナに正確に収納管理できる。
【0012】
本発明の図書情報データベース処理システムを用いた図書保管管理システムは、
前記管理装置は、各コンテナごとに、コンテナに収納された各図書の前記図書識別データに対応づけて前記図書厚さ情報データベースが有する前記図書厚さ寸法データを加算して該コンテナ内の図書の総厚さ寸法を演算し、空コンテナの空き寸法から前記図書の総厚さ寸法を減算して該コンテナの空きスペース寸法を演算し、該コンテナのコンテナ識別データに対応づけた前記空きスペース寸法データを前記コンテナ情報データベースに記憶させており、
前記管理装置は、図書の返却作業時に、前記図書厚さ情報データベースが有する前記図書識別データに対応づけた各要返却図書ごとの前記図書厚さ寸法データに基づき、要返却図書の総厚さ寸法を演算し、前記コンテナ情報データベースの中から前記要返却図書の総厚さ寸法を収納可能な前記空きスペース寸法データを有するコンテナを特定して、該コンテナを前記書庫から前記ステーションに搬入指令し、
前記管理装置は、図書の返却作業後に、前記コンテナ情報データベースに記憶されている該コンテナの前記空きスペース寸法から前記要返却図書の総厚さ寸法を減算した寸法を、該コンテナの新たな空きスペース寸法データとして前記コンテナ情報データベースに更新記憶させることを特徴としている。
この特徴によれば、管理装置が、図書の厚さ寸法の実測を要さずに図書厚さ情報データベースから図書の厚さ寸法を得ることができ、要返却図書の総厚さを収納可能な空きスペース寸法を有するコンテナをステーションに搬入させることで、ステーションの図書を容易且つ確実に書庫に返却できるばかりか、図書の返却作業後におけるコンテナの空きスペース寸法を得て、返却後においても各図書を各コンテナに正確に収納管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例における図書情報データベース処理システム及び図書保管管理システムを示すブロック図である。
【図2】図書保管管理システムの自動書庫及びステーションを示す平面図である。
【図3】自動書庫を示す一部側面図である。
【図4】ステーションを示す斜視図である。
【図5】コンテナを示す斜視図である。
【図6】図書の読取処理状況を示す斜視図である。
【図7】図書の返却処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る図書情報データベース処理システム及びこの処理システムを用いた図書保管管理システムを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0015】
先ず、実施例に係る図書情報データベース処理システムについて、図1を参照して説明する。
【0016】
図1に示されるように、図書情報データベース処理システム(以下、処理システムと略す)20は、既存のデータ項目からなる図書情報データベースDB1に基づき、新たなデータ項目を演算するシステムである。
【0017】
図書情報データベースDB1は、例えば日本書籍出版協会のデータベース総目録等を基礎とするの既存のデータベースであり、図書データのデータ項目として、各図書ごとに、図書識別データとしての図書番号データ、図書名データ、副図書名データ、著者名データ、出版社データ、図書高さ寸法データ、頁数データ等が記憶されているデータベースである。
【0018】
処理システム20は、既存の図書情報データベースDB1に含まれる少なくとも図書番号データと頁数データとを取得する取得部20aと、取得部20aが取得した頁数データに基づき図書厚さ寸法を演算する演算部20bと、各図書ごとに図書番号データと図書番号データに対応付けて演算部20bで演算された図書厚さ寸法データとを出力する出力部20cと、を備えている。
【0019】
次に、演算部20bによる図書厚さ寸法の演算について詳述する。先ず、処理システム20の取得部20aは、図書情報データベースDB1から、各図書ごとの図書番号データ、頁数データ、及び図書高さ寸法データを抽出して取得する。取得した各データは、一時的に記憶部20dに記憶させておく。
【0020】
演算部20bは、前記した既存の図書高さ寸法データに基づき、当該図書の種類を判別するとともに、当該図書のカバー(装丁)の種別を判別する。具体的には、演算部20bは、例えば図書の高さ寸法が、148mmの場合、文庫本と判別し、182mmの場合、新書と判別し、そして182mm超の場合、一般書籍と判別する。更に演算部20bは、図書の高さ寸法が、182mm以下の場合、すなわち文庫本若しくは新書の場合、当該図書のハードカバー無し(ソフトカバー)と判別し、182mm超の場合、すなわち一般書籍の場合、ハードカバー有りと判別する。制御装置は、判別した当該図書の種類及びハードカバーの有無データを、一時的に記憶部20dに記憶させておく。
【0021】
続いて、演算部20bは、記憶部20dに記憶されている当該図書の頁数データ、及びハードカバーの有無データに基づき、当該図書の厚さ寸法を新たに演算する。具体的には、演算部20bは、当該図書のハードカバー無し(ソフトカバー)と判別されている場合、図書の各構成紙(表裏両紙面で2頁分に相当)1枚あたりの厚さとして予め設定された0.06mm、図書厚さの余裕代及び図書の経時使用による構成紙の厚み増加の校正係数1.1、及び表紙・裏表紙となるソフトカバー厚さとして予め設定された3.0mmを選定して各数値を用い、当該図書の厚さ寸法=頁数÷2×0.06(mm)×1.1+3.0(mm)を演算する。また演算部20bは、当該図書のハードカバー有りと判別されている場合、前記した各紙あたりの厚さとして予め設定された0.1mm、前記した厚み増加の校正係数1.1、及び表紙・裏表紙となるハードカバー厚さとして予め設定された6.0mmを選定して各数値を用い、当該図書の厚さ寸法=頁数÷2×0.1(mm)×1.1+6.0(mm)を演算する。演算部20bは、演算した当該図書の厚さ寸法を、一時的に記憶部20dに記憶させておく。尚、上記したカバー厚さの数値、厚み増加の校正係数の数値は、適宜設定変更可能である。
【0022】
全ての図書について上記した演算を行なった後、出力部20cは、各図書ごとの図書番号データに対応付けた図書厚さ寸法データをデータ項目として加えた新たな図書厚さ情報データベースとして出力が可能である。この新たな図書厚さ情報データベースは後述する図書保管管理システムにおいて利用される。尚、処理システムは、前記した新たな図書厚さ情報データベースを処理システム自体に記憶する記憶装置を有していてもよい。
【0023】
上述した処理システム20の構成によれば、既存の図書情報データベースDB1を利用して、演算部20bが、取得部20aが取得した頁数データに基づき図書厚さ寸法を演算することで、図書識別データに対応付けた図書厚さ寸法データを容易に得ることができるため、図書厚さ寸法データを用いて拡張性を高めた図書の管理が可能となる。
【0024】
また、演算部20bが、図書の高さ寸法に基づき予め設定された図書の構成紙あたりの紙厚さ寸法と、頁数とに基づき、図書厚さ寸法を演算することで、各図書の厚さ寸法をより正確に演算できる。
【0025】
更に、演算部20bが、図書の高さ寸法に基づき予め設定されたカバー(装丁)厚さ寸法と、頁数とに基づき、図書厚さ寸法を演算することで、各図書の厚さ寸法をより正確に演算できる。
【0026】
次に、本実施例に係る図書情報データベース処理システムを用いた図書保管管理システムについて、図1から図7を参照して説明する。
【0027】
図2に示されるように、自動書庫1は、複数の図書を収容する複数のコンテナを複数基のスタッカークレーン(本実施例では4基のスタッカークレーン2a,2b,2c,2d)により自動的に出し入れ自在に収納保管する書庫であって、この自動書庫1は、4基のスタッカークレーン2a,2b,2c,そして2dをそれぞれ挟む両側に、一対の格納棚4a,4bと、5a,5bと、6a,6bと、そして7a,7bが複数のコンテナを収容すべく前後に延設された高層の構造物として構築されている。
【0028】
4基のスタッカークレーン2a,2b,2c,そして2dは、後述する管理装置の指令に基づき、格納棚4a,4b,5a,5b,6a,6b、そして7a,7bの全ての位置に対応する位置まで前後並びに上下方向に自動走行し、図3に示されるように、位置決め停止してコンテナCTの出し入れを行う移動台10を備えている。
【0029】
次に、図5に示すように、コンテナCTは、複数の図書Bを起立状態でランダムに収容すべく上方が開放した一種類のボックス型で構成されていて、各コンテナCTには、個別に付与されたコンテナ識別データであるコンテナ番号を表示するバーコードCB1を印刷したバーコードラベルが貼着されている。また、コンテナCT内部に収納される各種図書Bにも、図書毎に個別に付与された図書識別データが符号化されたバーコードCB2を印刷したバーコードラベルが貼着されている。
【0030】
また、図2に示すように、自動書庫1に隣接して、自動書庫1からコンテナを搬入出可能であって所望の図書を貸出し若しくは返却できるステーション13が設けられており、自動書庫1の格納棚4a,4b,5a,5b,6a,6b、及び7a,7bと、ステーション13との間にはコンテナCTを搬送するための搬送装置8が配設されている。このステーション13は本実施例のように一箇所のみ設けても良いし、あるいは複数箇所設けても良い。
【0031】
ステーション13について詳述すると、図4に示すように、ステーション13の上部は内部が中空である中空部17に形成されている。この中空部17内に搬送装置8から連続したコンベア16が延設されており、図書Bが収納されているコンテナCTを中空部17内に搬送可能となっている。更に、ステーション13の上部正面側には、左右方向に中空部17を開閉自在なスライド扉18が取り付けられており、このスライド扉18を開放することによって、中空部17に搬送されてきたコンテナCTから図書Bを取り出せるようになっている。
【0032】
スライド扉18を開放した中空部17内には、コンベア16に連続してターンテーブル11が配設されており、ステーション13に搬入されたコンテナCTは、最終地点としてこのターンテーブル11上に載置されるようになっている。ステーション13における利用者は、コンテナ回転ボタン12aを押圧操作することで、コンテナCTに収容された所望の図書を適宜手前側に移動させ、当該図書を取り出すことができる。
【0033】
次に、本発明の図書保管の管理装置について詳述する。
【0034】
図1に示されるように、管理装置30は、自動書庫1のスタッカークレーン2a,2b,2c,2d及び搬送装置8を管理する管理サーバ、ステーション13の通信端末14及びバーコードリーダ9を管理する管理サーバ、そして後述する主制御装置25にそれぞれLAN接続されており、管理装置30は、上記した管理サーバ及び主制御装置25を司っている。
【0035】
本図書保管管理システムにおいて使用される情報データベースは、上述した図書に関する新たに構築した図書厚さ情報データベースDB2と、コンテナに関するコンテナ情報データベースDB3である。
【0036】
図書厚さ情報データベースDB2は、前述した処理システム20の出力部20cが出力した情報データベースであって、図書厚さ情報データベースDB2には、データ項目として、各図書ごとに、図書番号データ、頁数データ、図書高さ寸法データ、及び図書厚さ寸法データ等が記憶されている。
【0037】
尚、図書厚さ情報データベースDB2のデータ項目として、上記した項目のほか、例えば図書の登録日、入庫日、出庫日、年数出庫回数等を記憶するようにしてもよい。
【0038】
コンテナ情報データベースDB3には、データ項目として、各コンテナごとに、コンテナの識別情報としてのコンテナ番号データ、収容可能な図書種別(サイズ)データ、コンテナに収納されている各図書の図書番号データ、コンテナが収容されている各格納棚における収容番地データ、及び後述するコンテナ内の空きスペース寸法データ等が記憶されている。
【0039】
図書厚さ情報データベースDB2及びコンテナ情報データベースDB3に対して、主制御装置25がアクセスできるようになっており、コンテナ情報データベースDB3におけるコンテナに収納されている各図書の図書番号データ、収容番地データ、空きスペース寸法データ等は、主制御装置25の制御に基づき、後述する図書の貸出し・返却に伴い随時、更新記憶が可能になっている。
【0040】
コンテナ情報データベースDB3の空きスペース寸法データについて詳述すると、先ず、主制御装置25は、各コンテナごとに、コンテナに収納された各図書の図書番号データを抽出する。次に主制御装置25は、図書厚さ情報データベースDB2における図書番号データを照合して、図書番号が合致する図書の図書厚さ寸法データを抽出する。続いて主制御装置25の演算手段25aは、各コンテナごとに、コンテナに収納された各図書の図書厚さ寸法を加算することで、コンテナに収納された図書の総厚さ寸法を算出する。最後に主制御装置25の演算手段25aは、空コンテナの空き寸法から前記算出した図書の総厚さ寸法を減算することで、各コンテナごとに空きスペース寸法を算出し、コンテナ情報データベースDB3に空きスペース寸法データとして記憶させる。
【0041】
次に、図書の貸出処理について説明する。
【0042】
先ず、ステーション13内における図書利用者による特定の図書の貸出し依頼があると、主制御装置25は、コンテナ情報データベースDB3にアクセスし、当該図書が収納されているコンテナCTが収容された格納棚の番地を特定し、自動書庫1の管理サーバに対し当該コンテナを特定番地から出庫する出庫指令を出力する。
【0043】
この出庫指令により、当該コンテナがステーション13に到達し、ステーション13において当該コンテナから取り出された図書について、貸出処理を行なうことで、主制御装置25は、コンテナ情報データベースDB3から当該図書の図書番号データを削除更新するとともに、図書厚さ情報データベースDB2にアクセスして当該図書の図書番号に対応付けられた図書厚さ寸法データを抽出し、コンテナ情報データベースDB3の当該コンテナのコンテナ番号データに対応付けられている空きスペース寸法に、前記した当該図書の図書厚さ寸法を加算した寸法を、新たな空きスペース寸法データとしてコンテナ情報データベースDB3を更新記憶させる。
【0044】
このような構成によれば、主制御装置25を司る管理装置30が、図書の貸出作業後に、貸出された図書が収納されていたコンテナが有していた空きスペース寸法に図書厚さ寸法を加算した寸法を、このコンテナの新たな空きスペース寸法データとしてコンテナ情報データベースDB3に更新記憶させることで、図書の貸出後におけるコンテナの空きスペース寸法を得て、貸出後においても各図書を各コンテナに正確に収納管理できる。
【0045】
次に、所望の貸出し図書が抜き出されたコンテナが、格納棚内における任意の空番地に入庫されることで、そのコンテナ番号を付与したバーコードCB1が、入庫された格納棚の空き番地に具備された図示しないバーコードリーダ等により読み取られて、対応関係にある番地とコンテナのバーコードCB1の信号がロケーションデータとしてそれぞれ主制御装置25によりコンテナ情報データベースDB3に更新記憶される。
【0046】
次に、図書の返却処理について図1、図6、及び図7を参照して説明する。
【0047】
先ず、st01のステップにおいて、ステーション13の図書利用者は、閲覧済みの要返却図書Bについて、1冊ずつ、バーコードリーダ9によるバーコードCB2の読取処理を行なう。主制御装置25は、読取処理により識別されたデータを照合し、各要返却図書につき以下の処理を行なう。尚、各図書の読取処理については、必ずしもバーコードリーダによるバーコードの読取処理に限られず、他の公知技術を用いた読取処理、例えばタグリーダによるRFIDタグの読取処理であっても構わない。
【0048】
各要返却図書の処理について説明すると、st02のステップにおいて、先ず図書情報データベースDB2から図書番号を照合し、合致する図書番号の図書高さ寸法データを抽出し、この図書高さ寸法に基づき、当該図書を収納できるコンテナの種別(サイズ)を選定する。具体的には、例えば当該図書の高さ寸法が、210mm未満の場合、A5用コンテナを選定し、210mm以上で257mm未満の場合、B5用コンテナを選定し、そして257mm以上で297mm未満の場合、A4用コンテナを選定する。また、図書が横長本の場合、横長本用コンテナを選定する。尚、コンテナの種別(サイズ)は、コンテナごとに個別に設けられた仕切板の有無、仕切板の配置により、各コンテナごとに予め設定されている。st03のステップにおいて、主制御装置25は、選定したコンテナの種別を、一時的に記憶手段25bに記憶させておく。
【0049】
続いて、st04のステップにおいて、主制御装置25は、図書情報データベースDB2から合致する図書番号の図書厚さ寸法データを抽出し、一時的に記憶手段25bに記憶させておく。
【0050】
st05のステップにおいて、要返却図書の残りがある場合、主制御装置25は、図書利用者がst01のステップの読取処理を行なうことで、上記したst02〜st04の処理を各々の要返却図書について行なう。
【0051】
次に、図書利用者は、全ての要返却図書について読込処理を済ませた後、ステーション13の作業完了ボタン12bを押圧操作する。作業完了ボタン12bの押圧操作により、主制御装置25は、上記した各々の要返却図書の種類、及び厚さ寸法に基づき、返却に適した空きスペースを有するコンテナを特定する。
【0052】
具体的には、st06のステップにおいて、主制御装置25は、全ての要返却図書の厚さ寸法を合計し、要返却図書の総厚さ寸法を算出する。次に、一時的に記憶手段25bに記憶した各要返却図書の種類の中で、最も大型の図書を収納可能なコンテナの種別を選出する。
【0053】
次に、st07のステップにおいて、主制御装置25は、コンテナ情報データベースDB3にアクセスし、上記のように選出したコンテナの種別、及び算出した要返却図書の総厚さ寸法を超える空きスペース寸法を有するという条件でコンテナの特定を試みる。st08のステップにおいて、前記条件を満足する単一のコンテナを特定できた場合、当該特定コンテナに対し、ステーション13に向けて搬入指令処理を行なう。
【0054】
また、前記条件を満足する単一のコンテナが複数存在する場合、条件を満たすコンテナの中で、要返却図書の総厚さ寸法に最も近い空きスペース寸法、すなわち最も小さい空きスペース寸法を有するコンテナを特定することが好ましい。このようにコンテナを特定することで、より大きな空きスペース寸法を有するコンテナを次回以降の返却作業に残すことができる。
【0055】
尚、主制御装置25は、前記条件を満たす単一のコンテナを特定できない場合、複数のコンテナを特定して、当該複数の特定コンテナに対し出庫指令を行い、要返却図書を複数組に分けて当該複数の特定コンテナに収納するようにしてもよい。
【0056】
主制御装置25は、前記したst08のステップである搬入指令処理を行なった後、再びst01のステップである読み取り処理の実行を待機するようになっている。
【0057】
前述と同様に、図4に示されるように、図書利用者は、出庫されターンテーブル11上に載置された特定コンテナを適宜前後反転させることで、特定コンテナの空きスペースを任意に手前側に配置させ、要返却図書を空きスペースに収納できる。図書利用者が、要返却図書を空きスペースに収納した後、作業完了ボタン12bを押圧操作することで、主制御装置25は、この特定コンテナをステーション13から自動書庫1内の所定箇所に入庫させるとともに、当該コンテナ識別情報と入庫位置の識別情報とを関連付けてコンテナ情報データベースDB3に更新記憶させる。
【0058】
更に主制御装置25は、当該特定コンテナが有している空きスペース寸法から、今回返却した要返却図書の総厚さ寸法を減算した寸法を、当該特定コンテナの新たな空きスペース寸法データとして、コンテナ情報データベースDB3に更新記憶させる。
【0059】
このような構成によれば、主制御装置25を司る管理装置30が、図書の厚さ寸法の実測を要さずに図書厚さ情報データベースDB2から図書の厚さ寸法を得ることができ、要返却図書の総厚さを収納可能な空きスペース寸法を有するコンテナをステーション13に搬入させることで、ステーション13の図書を容易且つ確実に書庫に返却できるばかりか、図書の返却作業後におけるコンテナの空きスペース寸法を得て、返却後においても各図書を各コンテナに正確に収納管理できる。
【0060】
以上説明したように、管理装置30が、図書識別データに対応づけた図書厚さ寸法データを有する図書厚さ情報データベースDB2と、コンテナ識別データに対応づけたコンテナに収納された各図書の図書識別データを有するコンテナ情報データベースDB3と、を用いることで、各コンテナ内に収納された図書及びそのコンテナの空きスペースを管理できることになる。
【0061】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0062】
例えば、前記実施例では、図書厚さ情報データベースDB2とコンテナ情報データベースDB3とが個別の情報データベースとして構築され、主制御装置25がそれぞれの情報データベースにアクセスしているが、例えば、図書厚さ情報データとコンテナ情報データとが直接に対応付けられた単一の情報データベースを構築し、この情報データベースにアクセスしてもよい。
【0063】
また例えば、前記実施例では、図書情報データベース処理システム20が、既存の図書情報データベースDB1に基づき新たに図書厚さ情報データベースDB2を構築しているが、例えば、図書情報データベース処理システムは、既存の図書情報データベースにデータ項目として図書厚さ寸法データを付加して、この図書情報データベースを拡張構築してもよい。更に、図書情報データベース処理システムは、既存の図書情報データベースに、データ項目として図書厚さ寸法データとコンテナ情報データとを付加して、この図書情報データベースを拡張構築し、図書保管管理システムの管理装置が、この拡張構築された図書情報データベースにアクセスしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 自動書庫
9 バーコードリーダ
13 ステーション
20 図書情報データベース処理システム
20a 取得部
20b 演算部
20c 出力部
25 主制御装置
25a 演算手段
25b 記憶手段
30 管理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各図書ごとに識別された図書識別データと該図書の頁数データとをデータ項目として少なくとも有する既存の図書情報データベースに基づき、新たなデータ項目を演算する図書情報データベース処理システムであって、
前記既存の図書情報データベースが有する少なくとも各図書ごとの図書識別データと頁数データとを取得する取得部と、該取得部が取得した頁数データに基づき図書厚さ寸法を演算する演算部と、前記図書識別データと該図書識別データに対応づけて前記演算部で演算された図書厚さ寸法データとを出力する出力部と、を備えたことを特徴とする図書情報データベース処理システム。
【請求項2】
前記既存の図書情報データベースは、各図書ごとの図書種別データをデータ項目として更に有し、
前記演算部は、各図書ごとに前記図書種別データに基づき予め設定された図書の構成紙あたりの紙厚さ寸法データを選定し、該紙厚さ寸法データと頁数データとに基づき図書厚さ寸法を演算することを特徴とする請求項1に記載の図書情報データベース処理システム。
【請求項3】
前記既存の図書情報データベースは、各図書ごとの図書種別データをデータ項目として更に有し、
前記演算部は、各図書ごとに前記図書種別データに基づき予め設定された装丁厚さ寸法データを選定し、該装丁厚さ寸法データと頁数データとに基づき図書厚さ寸法を演算することを特徴とする請求項1または2に記載の図書情報データベース処理システム。
【請求項4】
管理装置の指令に基づき、書庫に収容されている複数の図書が収納された複数のコンテナの中から、所定のコンテナを取り出してステーションに搬送するとともに、図書の貸出若しくは返却作業後に、前記ステーションより前記書庫にコンテナを搬送する図書保管管理システムであって、
前記管理装置は、前記図書情報データベース処理システムの前記出力部が出力した、前記図書識別データと該図書識別データに対応づけて前記演算部で演算された図書厚さ寸法データとをデータ項目として少なくとも有する図書厚さ情報データベースと、各コンテナ識別データと該コンテナ識別データに対応づけて該コンテナに収納された各図書の前記図書識別データとをデータ項目として少なくとも有するコンテナ情報データベースと、を用いて、各図書と各コンテナとを対応付けて図書を保管管理することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の図書情報データベース処理システムを用いた図書保管管理システム。
【請求項5】
前記管理装置は、各コンテナごとに、コンテナに収納された各図書の前記図書識別データに対応づけて前記図書厚さ情報データベースが有する前記図書厚さ寸法データを加算して該コンテナ内の図書の総厚さ寸法を演算し、空コンテナの空き寸法から前記図書の総厚さ寸法を減算して該コンテナの空きスペース寸法を演算し、該コンテナのコンテナ識別データに対応づけた前記空きスペース寸法データを前記コンテナ情報データベースに記憶させており、
前記管理装置は、図書の貸出作業後に、前記コンテナ情報データベースに記憶されている貸出された図書が収納されていたコンテナの空きスペース寸法に該貸出された図書の図書厚さ寸法を加算した寸法を、該コンテナの新たな空きスペース寸法データとして前記コンテナ情報データベースに更新記憶させることを特徴とする請求項4に記載の図書保管管理システム。
【請求項6】
前記管理装置は、各コンテナごとに、コンテナに収納された各図書の前記図書識別データに対応づけて前記図書厚さ情報データベースが有する前記図書厚さ寸法データを加算して該コンテナ内の図書の総厚さ寸法を演算し、空コンテナの空き寸法から前記図書の総厚さ寸法を減算して該コンテナの空きスペース寸法を演算し、該コンテナのコンテナ識別データに対応づけた前記空きスペース寸法データを前記コンテナ情報データベースに記憶させており、
前記管理装置は、図書の返却作業時に、前記図書厚さ情報データベースが有する前記図書識別データに対応づけた各要返却図書ごとの前記図書厚さ寸法データに基づき、要返却図書の総厚さ寸法を演算し、前記コンテナ情報データベースの中から前記要返却図書の総厚さ寸法を収納可能な前記空きスペース寸法データを有するコンテナを特定して、該コンテナを前記書庫から前記ステーションに搬入指令し、
前記管理装置は、図書の返却作業後に、前記コンテナ情報データベースに記憶されている該コンテナの前記空きスペース寸法から前記要返却図書の総厚さ寸法を減算した寸法を、該コンテナの新たな空きスペース寸法データとして前記コンテナ情報データベースに更新記憶させることを特徴とする請求項4または5に記載の図書保管管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−280463(P2010−280463A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133869(P2009−133869)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】