説明

固体の経口投与可能な医薬組成物の製造方法

本発明は、親水性化形態の5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)−フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}−メチル)−2−チオフェンカルボキサミドを含む、固体の経口投与可能な医薬組成物の製造方法、および疾患の予防および/または処置のためのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、親水性化(hydrophilized)形態の5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)−フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}−メチル)−2−チオフェンカルボキサミドを含む、固体の経口投与可能な医薬組成物の製造方法、および疾患の予防および/または処置のためのその使用に関する。
【0002】
5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)−フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}−メチル)−2−チオフェンカルボキサミド(I)は、低分子量の経口投与可能な血液凝固因子Xaの阻害剤であり、様々な血栓塞栓性疾患の予防および/または処置に用いることができる(このために、出典明示によりその開示を本明細書の一部とするWO−A01/47919参照)。下記で、議論が活性化合物(I)に関するものである場合、5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)−フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}−メチル)−2−チオフェンカルボキサミド(I)の全ての修飾形、および各々の水和物がさらに包含される。
【0003】
活性化合物(I)は、比較的水溶解性に乏しい(約7mg/l)。この結果、経口バイオアベイラビリティーの難しさおよび吸収速度の生物学的変動性の増加が生じ得る。
【0004】
経口バイオアベイラビリティーを高めるために、様々な概念が過去に記載されてきた:
かくして、例えばソフトゼラチンカプセルに充填できる活性化合物の溶液が頻繁に使用される。しかしながら、この場合、この目的に使用される溶媒における活性化合物(I)の乏しい溶解性を考慮すると、必要な用量強度ではもはや飲み込めないカプセルのサイズに至るので、この選択肢は適用できない。
【0005】
代替的方法は、活性化合物の無定形化(amorphization)である。ここで、活性化合物(I)は、エタノールまたはアセトンなどの医薬的に許容し得る溶媒での溶解性にも乏しいので、この解決方法には問題があることがわかる。融合方法の利用による活性化合物の無定形化も、活性化合物の高い融点(約230℃)のために、製造中に望まれざる高割合の分解成分が形成されるので、不都合である。
【0006】
さらに、ヘキソバルビタールおよびフェニトインで例示される通り、疎水性活性化合物の親水性化の方法が記載された (Lerk, Lagas, Fell, Nauta, Journal of Pharmaceutical Sciences Vol. 67, No. 7, July 1978, 935 - 939: "Effect of Hydrophilization of Hydrophobic Drugs on Release Rate from Capsules"; Lerk, Lagas, Lie-A-Huen, Broersma, Zuurman, Journal of Pharmaceutical Sciences Vol. 68, No. 5, May 1979, 634-638: "In Vitro and In Vivo Availability of Hydrophilized Phenytoin from Capsules")。ここでは、集塊段階を広範囲に回避して活性化合物粒子をミキサー中でメチル−またはヒドロキシエチルセルロース溶液と混和し、次いで乾燥させる。かくして得られる活性化合物を、その後これ以上処理せずにハードゼラチンカプセルに充填する。
【0007】
驚くべきことに、この度、湿式造粒の過程において活性化合物(I)の表面を特別に処理することが、吸収行動の改善をもたらすと判明した。固体の経口投与可能な医薬組成物の製造における親水性化形態の活性化合物(I)の使用は、かくして得られる製剤のバイオアベイラビリティーの有意な上昇を導く。
【0008】
本発明は、親水性化形態の5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)−フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}−メチル)−2−チオフェンカルボキサミドを含む固体の経口投与可能な医薬組成物の製造方法に関し、その方法では、
(a)最初に、親水性化形態の活性化合物(I)を含む第1の顆粒を湿式造粒により製造し、
(b)次いで、その顆粒を、適するならば医薬的に適する添加剤を添加して、医薬組成物に変換する。
【0009】
工程(a)の湿式造粒は、ミキサー(=混合造粒)または流動層(=流動層造粒)で実行できる;流動層造粒が好ましい。
【0010】
湿式造粒では、活性化合物(I)を予備混合物(元の混合物)に固体として導入できるか、または、造粒液中に懸濁する。好ましくは、造粒液に懸濁した活性化合物(I)を湿式造粒に導入する(懸濁過程)。
【0011】
本発明の好ましい実施態様では、活性化合物(I)を結晶形で用いる。
特に好ましい本発明の実施態様では、結晶の活性化合物(I)を、微粉形態で用いる。この場合、活性化合物(I)は、好ましくは10μmより小さい、特に1ないし8μmの平均粒子サイズX50、および20μmより小さい、特に15μmより小さいX90(90%の割合)を有する。
【0012】
本発明に従い使用される造粒液は、溶媒、親水性結合剤および、適するならば、湿潤剤を含有する。この場合の親水性結合剤は、造粒液に分散されているか、または、好ましくはその中に溶解されている。
【0013】
造粒液に使用される溶媒は、例えば、エタノールまたはアセトンなどの有機溶媒、または水またはそれらの混合物である。好ましくは、水を溶媒として使用する。
【0014】
造粒液に用いられる親水性結合剤は、医薬的に適する親水性添加剤、好ましくは造粒液の溶媒に溶解するものである。
【0015】
好ましくは、親水性ポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(ナトリウムおよびカルシウム塩)、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、L−HPC(低置換HPC)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アクリル酸およびその塩のポリマー、ビニルピロリドン−ビニルアセテートコポリマー(例えば Kollidon(登録商標)VA64, BASF)、ゼラチン、グァーガム(guar gum)、デンプン部分加水分解物、アルギン酸塩またはキサンタンなどを本発明で用いる。特に好ましくは、親水性結合剤としてHPMCを用いる。
【0016】
親水性結合剤は、本発明では、1ないし15%、好ましくは1ないし8%の濃度(医薬組成物の総質量をベースとする)で存在できる。
【0017】
造粒液に用いる、場合により存在する湿潤剤は、医薬的に適する湿潤剤(界面活性剤)である。例えば、以下のものに言及し得る:
ラウリル硫酸ナトリウムなどの脂肪アルコール硫酸塩のナトリウム塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどのスルホコハク酸塩、モノステアリン酸グリセロールなどの多価アルコール類の部分脂肪酸エステル、モノラウリル酸ソルビタンなどのソルビタンの部分脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールソルビタンのモノラウリル酸塩、モノステアリン酸塩またはモノオレイン酸塩などのポリヒドロキシエチレンソルビタンの部分脂肪酸エステル、ポリヒドロキシエチレン脂肪アルコールエーテル、ポリヒドロキシエチレン脂肪酸エステル、エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマー(Pluronic(登録商標))またはエトキシル化トリグリセリド。好ましくは、湿潤剤としてラウリル硫酸ナトリウムを用いる。
【0018】
必要であれば、湿潤剤は、0.1ないし5%、好ましくは0.1ないし2%の濃度(医薬組成物の総質量をベースとする)で用いる。
【0019】
湿式造粒の予備混合物(元の混合物)には、さらなる医薬的に適する添加剤が存在する。例えば、以下に言及し得る:
・セルロース粉末、微結晶セルロース、珪化(silicified)微結晶セルロース、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、三珪酸マグネシウム、マンニトール、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、ラクトース(無水または水和物、例えば一水和物として)、デキストロース、マルトース、スクロース、グルコース、フルクトースまたはマルトデキストリンなどの増量剤および乾燥結合剤、
・カルボキシメチルセルロース、クロスカルメロース(croscarmellose)(架橋カルボキシメチルセルロース)、クロスポビドン(crospovidone)(架橋ポリビニルピロリドン)、L−HPC(低置換ヒドロキシプロピルセルロース)、デンプンカルボキシメチルナトリウム、ジャガイモデンプンのグリコール酸ナトリウム、デンプン部分加水分解物、コムギデンプン、トウモロコシデンプン、コメデンプンまたはジャガイモデンプンなどの崩壊促進剤(崩壊剤)。
【0020】
活性化合物の放出が改変(遅延)されている錠剤製剤の場合、崩壊促進剤(崩壊剤)の代わりに、放出速度に影響を与える物質が存在できる。例えば、以下に言及し得る:ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ガラクトマンナン、キサンタン、グリセリド、蝋、トリメチルアンモニウムメチルアクリレートとアクリル酸および/またはメタクリル酸エステルのコポリマー、ジメチルアミノメタクリル酸および中性メタクリル酸エステルのコポリマー、メタクリル酸またはメタクリル酸エステルのポリマー、アクリル酸エチル−メタクリル酸メチルのコポリマー、またはメタクリル酸−アクリル酸メチルコポリマー。
【0021】
工程(a)で得られる顆粒を、その後、工程(b)で、本発明による医薬組成物に変換する。
工程(b)は、例えば、打錠、カプセル、好ましくはハードゼラチンカプセルへの充填、またはサシェット(sachet)としての充填を含み、各場合で当業者に知られている常套法に従い、適するならば、さらなる医薬的に適する添加剤を添加する。
【0022】
言及し得る医薬的に適する添加剤は、例えば以下のものである:
・フマル酸、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、高分子量脂肪アルコール類、ポリエチレングリコール、デンプン(コムギ、コメ、トウモロコシまたはジャガイモデンプン)、タルク、高分散(コロイダル)シリカ、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムまたは珪酸カルシウムなどの滑沢剤(lubricant)、潤滑剤(glidant)、流動調節剤、
・カルボキシメチルセルロース、クロスカルメロース(架橋カルボキシメチルセルロース)、クロスポビドン(架橋ポリビニルピロリドン)、L−HPC(低置換ヒドロキシプロピルセルロース)、デンプンカルボキシメチルナトリウム、デンプン部分加水分解物、コムギデンプン、トウモロコシデンプン、コメデンプンまたはジャガイモデンプンなどの崩壊促進剤(崩壊剤)。
【0023】
本発明はさらに、親水性化形態の5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)−フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}−メチル)−2−チオフェンカルボキサミド(I)を含む固体の経口投与可能な医薬組成物に関する。
【0024】
本発明による固体の経口投与可能な医薬組成物は、例として、そして好ましくは、活性化合物(I)を迅速にまたは改変(遅延)されたやり方で放出する、顆粒剤、顆粒剤を充填したハードゼラチンカプセルまたはサシェット、および錠剤を含む。錠剤、特に活性化合物(I)を迅速に放出する錠剤が好ましい。本発明の文脈では、迅速に放出する錠剤は、特に、実験の部のチャプター5.2.2.に記載のものなど、器具2(パドル)を使用するUSPの放出方法に従い、75%のQ値(30分間)を有するものである。
【0025】
活性化合物(I)は、本発明による医薬組成物中に、製剤の総質量をベースとして、0.1ないし60%、好ましくは1ないし40%の濃度で存在できる。ここで、活性化合物(I)の用量は、好ましくは1ないし100mgである。
【0026】
適するならば、本発明による錠剤の顆粒を、さらなる段階において、当業者に知られている常套の条件下で被覆する。被覆は、当業者に知られている常套の被覆およびフィルム形成剤、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニル−ピロリドン、ビニルピロリドン−ビニルアセテートコポリマー(例えば Kollidon(登録商標) VA64, BASF)、セラック、トリメチルアンモニウムメチルアクリレートとアクリル酸および/またはメタクリル酸エステルのコポリマー、ジメチルアミノメタクリル酸および中性メタクリル酸エステルのコポリマー、メタクリル酸またはメタクリル酸エステルのポリマー、アクリル酸エチル−メタクリル酸メチルのコポリマー、メタクリル酸−アクリル酸メチルのコポリマー、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、三酢酸グリセロール、クエン酸トリエチル、および/または着色添加剤/色素、例えば、二酸化チタン、酸化鉄、インジゴチンまたは適するレーキ顔料(colour lake)の添加により実施する。
【0027】
本発明はさらに、疾患、特に血栓塞栓性疾患、例えば心筋梗塞、狭心症(不安定狭心症を含む)、血管形成術または大動脈冠動脈バイパス術後の再閉塞および再狭窄、脳梗塞、一過性虚血性発作、末梢動脈閉塞性疾患、肺栓塞症または深部静脈血栓症の予防および/または処置のための、本発明による医薬組成物の使用に関する。
【0028】
好ましい例示的実施態様を利用して、本発明を下記でより詳細に例示説明するが、それに限定されるものではない。断りの無い限り、下記の全ての量的データは、重量パーセントに関する。
【0029】
実験の部
1.親水性化形態の活性化合物(I)を含む顆粒/流動層造粒方法を使用する錠剤の製造
1.1錠剤の組成(mg/錠剤)
【表1】

【0030】
1.2製造
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(5cp)およびラウリル硫酸ナトリウムを水に溶解する。微粉化活性化合物(I)をこの溶液に懸濁する。かくして製造された懸濁液を、微結晶セルロース、ラクトース一水和物およびクロスカルメロースの元の混合物に、造粒液として、流動層造粒の過程で噴霧する。乾燥および篩過(網目幅0.8mm)の後、得られる顆粒、ステアリン酸マグネシウムを添加し、混合する。かくして得られる打錠準備完了(press-ready)混合物を圧縮し、直径6mm、破断抵抗(fracture resistance)50−100Nの錠剤を得る。その後の錠剤の被覆は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(15cp)およびポリエチレングリコールの水溶液に懸濁された二酸化チタンを使用して実施する。
【0031】
2.親水性化形態の活性化合物(I)を含む顆粒/高速造粒方法を使用する錠剤の製造
2.1錠剤の組成(mg/錠剤)
【表2】

【0032】
2.2製造
用いるセルロース、ラクトース一水和物およびクロスカルメロースの物質を高速ミキサーで混合する(元の造粒混合物)。ヒドロキシプロピルメチルセルロース(3cp)およびラウリル硫酸ナトリウムを水に溶解する。微粉化した活性化合物(I)をこの溶液に懸濁する。かくして製造される懸濁液を、元の造粒混合物に造粒液として添加し、速く回転する撹拌機を利用して元の造粒混合物と均一に混和する。徹底的な混合を実施した後、湿った顆粒を篩過(網目幅4mm)し、流動層で乾燥させる。乾燥した顆粒を篩過(0.8mm網目幅)した後、ステアリン酸マグネシウムを添加し、混合する。かくして得られる打錠準備完了混合物を圧縮し、直径6mm、破断抵抗50−100Nの錠剤を得る。その後の錠剤の被覆は、二酸化チタンおよび鉄黄を使用して実施する。これらの色素は、事前にヒドロキシプロピルメチルセルロース(15cp)およびポリエチレングリコールの水溶液に懸濁したものである。
【0033】
3.親水性化形態の活性化合物(I)を含む顆粒の製造およびサシェットとしての充填
3.1顆粒剤の組成(mg/サシェット)
【表3】

【0034】
3.2製造
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(5cp)およびラウリル硫酸ナトリウムを水に溶解する。微粉化した活性化合物(I)をこの溶液に懸濁する。かくして製造される懸濁液を、マンニトールおよびクロスカルメロースの元の混合物に、造粒液として、流動層造粒の過程で噴霧する。乾燥および篩過(網目幅0.8mm)の後、得られる顆粒、高分散シリカ(Aerosil(登録商標))およびイチゴ香味料を添加し、混合する。かくして得られる混合物を、製袋充填機を利用して、サシェット用小袋に750mgまで充填する。
【0035】
4.親水性化形態の活性化合物(I)を含む顆粒の製造およびハードゼラチンカプセルへの充填
4.1顆粒剤の組成(mg/カプセル)
【表4】

【0036】
4.2製造
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(5cp)およびラウリル硫酸ナトリウムを、水に溶解する。微粉化活性化合物(I)をこの溶液に懸濁する。かくして製造された懸濁液を、微結晶セルロース、ラクトース一水和物およびトウモロコシデンプンの元の混合物に、造粒液として、流動層造粒の過程で噴霧する。乾燥および篩過(網目幅0.8mm)の後、得られる顆粒、高分散シリカ(Aerosil(登録商標))を添加し、混合する。得られる混合物を各場合で160mgまで、カプセルサイズ2のハードゼラチンカプセルに充填する。
【0037】
5.親水性化した/しない活性化合物(I)の錠剤の比較
5.1錠剤の組成、製造
親水性化した活性化合物(I)を含有する製剤の錠剤の特性およびバイオアベイラビリティーの改善を調べるために、以下の組成の10mgの活性化合物含有量(I)を含む非被覆錠剤を製造する(mg/錠剤):
【表5】

【0038】
錠剤A:造粒せず、直接的打錠により製造
錠剤B:1.2に記載の流動層造粒/懸濁方法により製造
錠剤A用の混合物および錠剤B用の顆粒を、各場合で圧縮し、直径6mm、破断強度約70−80Nの錠剤を得る。
【0039】
5.2錠剤の特性
5.2.1水中の崩壊時間(USP崩壊テスター、Erweka):
錠剤A:約1.5分間
錠剤B:約6.5分間
【0040】
5.2.2インビトロの放出
明らかにされた錠剤の総含有量をベースとして、放出された活性化合物の量を、下記表1に示す:
表1:インビトロ放出
【表6】

(USPパドル、900mlの酢酸バッファーpH4.5+0.5%ラウリル硫酸ナトリウム、75rpm)
【0041】
5.2.3バイオアベイラビリティー
バイオアベイラビリティーの調査のために、3匹のイヌに各場合で3個の錠剤Aまたは3個の錠剤Bを、クロスオーバー様式で投与した。活性化合物(I)3mg/kgを経口投与した後の対応する薬物動態パラメーターを、下記表2に記載する:
表2:活性化合物(I)の薬物動態パラメーター
【表7】

【0042】
結果:錠剤Aと比較した錠剤Bの遅い崩壊(5.2.1参照)および非常に似たインビトロ放出(5.2.2参照)にも関わらず、錠剤Bは、吸収に顕著な利点を有し、かくして約35%まで上昇したバイオアベイラビリティーを有する。同時に、変動性の顕著な減少が注目される。錠剤Aと錠剤Bとの間の唯一の差異は、湿式造粒の過程で懸濁方法を利用する、錠剤Bにおける活性化合物(I)の親水性化である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性化形態の5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)−フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}−メチル)−2−チオフェンカルボキサミド(I)を含む固体の経口投与可能な医薬組成物の製造方法であって、
(a)最初に、親水性化形態の活性化合物(I)を含む第1の顆粒を湿式造粒により製造し、
(b)次いで、その顆粒を、適するならば医薬的に適する添加物を添加して、医薬組成物に変換する、
を特徴とする方法。
【請求項2】
使用する湿式造粒方法が流動層造粒であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
活性化合物(I)を結晶形で用いることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
活性化合物(I)を微粉化形態で用いることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
造粒液に懸濁した活性化合物(I)を湿式造粒に導入することを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
該医薬組成物が、活性化合物(I)を迅速に放出する錠剤であることを特徴とする、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法により製造される、固体の経口投与可能な医薬組成物。
【請求項8】
親水性化形態の5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)−フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}−メチル)−2−チオフェン−カルボキサミド(I)を含む、固体の経口投与可能な医薬組成物。
【請求項9】
結晶形の活性化合物(I)を含む、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
微粉化形態の活性化合物(I)を含む、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
活性化合物(I)が、製剤の全質量をベースとして、1ないし60%の濃度で存在することを特徴とする、請求項7ないし請求項10のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項12】
湿潤剤としてラウリル硫酸ナトリウムを含む、請求項7ないし請求項11のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項13】
全質量をベースとして、0.1ないし5%の濃度のラウリル硫酸ナトリウムを含む、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースを親水性結合剤として含む、請求項7ないし請求項13のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項15】
全質量をベースとして、1ないし15%の濃度のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
錠剤の形態の請求項7ないし請求項15のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項17】
迅速に放出する錠剤の形態の請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
該錠剤が被覆で覆われている、請求項16または請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
血栓塞栓性疾患の予防および/または処置のための、請求項7ないし請求項18のいずれかに記載の医薬組成物の使用。
【請求項20】
血栓塞栓性疾患の予防および/または処置用の医薬を製造するための、親水性化形態の5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)−フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}−メチル)−2−チオフェンカルボキサミド(I)の使用。
【請求項21】
請求項7ないし請求項18のいずれかに記載の医薬組成物の投与による、血栓塞栓性疾患の予防および/または処置方法。

【公表番号】特表2007−512274(P2007−512274A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540276(P2006−540276)
【出願日】平成16年11月13日(2004.11.13)
【国際出願番号】PCT/EP2004/012897
【国際公開番号】WO2005/060940
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(503412148)バイエル・ヘルスケア・アクチェンゲゼルシャフト (206)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare AG
【Fターム(参考)】