説明

固体廃棄物の処理装置および方法

【課題】有害な非ハロゲンの有機化合物を比較的大量に含み、かつ、そのまま焼却するとダイオキシンなどの新たな有害物質を生ずるおそれのある固体廃棄物を、安全にかつ安価に処理することができる装置および方法を提供する。
【解決手段】非ハロゲン系有機化合物を含む固体廃棄物10を超臨界状態の二酸化炭素と接触させて二酸化炭素に溶解抽出させる抽出槽12と、この抽出槽に超臨界状態の二酸化炭素を供給する超臨界二酸化炭素供給装置14と、抽出槽から超臨界二酸化炭素とともに排出された有機化合物を酸化剤の存在下で酸化分解する酸化分解装置22とを具備する固体廃棄物の処理装置およびその装置を用いた処理方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超臨界二酸化炭素を用いて固体廃棄物を処理する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、いわゆる環境ホルモンに対する関心が高まる中で、塩化ビニル樹脂を含む固体廃棄物の処理対策が課題となってきている。
【0003】
一般に、この種の固体廃棄物は埋め立てまたは焼却により処理されている。しかしながら、塩化ビニル樹脂には、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)に代表されるフタル酸エステル系可塑剤が比較的大量(10〜30重量%程度)に含まれており、最近、このような可塑剤が人体や生態系に影響を与えるとの報告がなされてきている。したがって、このような可塑剤を含む塩化ビニル樹脂の廃棄物をそのまま埋め立てると、可塑剤が長年の間に溶出し、周辺環境に悪影響を及ぼすおそれがある。一方、焼却処理した場合、DOPなどの可塑剤は熱分解され無害化される。しかしながら、ダイオキシンなどのハロゲンを含む有害な有機化合物が新たに発生するおそれがあり、これを防止するためには、1000℃近い高温で焼却しなければならず、設備コストやエネルギコストが高くなる難点がある。このため、かかる塩化ビニル樹脂を含む固体廃棄物を安全にかつ安価に処理することができる技術が要望されている。
【0004】
一方、超臨界二酸化炭素は有機物とよく混ざり合い有機物をよく溶解する性質があることから、有機物の抽出・分離媒体として開発が進められてきた。主に1970年代に食品・医療分野で開発が進み、例えば西ドイツやアメリカでコーヒーの脱カフェイン、ホップエッセンス抽出などの商業プロセスが稼動している。そして、近年は、廃棄物処理の分野でも、このような超臨界二酸化炭素の性質を利用して有害物質を分離する技術が検討されており、例えば、ポリ塩化ビフェニル(PCB)汚染機器から超臨界二酸化炭素を用いてPCBを分離する方法(例えば、特許文献1参照。)、分離したPCBなどの有機物を超臨界水中で分解する方法(例えば、特許文献2参照。)などが提案されている。
【0005】
しかしながら、これまでに報告されている超臨界流体を利用した廃棄物処理技術の多くは、PCBのような有機ハロゲン化合物を微量に含む廃棄物を対象とした技術であり、相当量の可塑剤を含む塩化ビニル樹脂の廃棄物に適用するには、処理条件や処理コストなどの点で十分に満足できるものではなかった。そして、このような塩化ビニル樹脂を含む廃棄物のように、有害な非ハロゲンの有機化合物を比較的大量に含み、かつ、そのまま焼却するとダイオキシンなどの新たな二次有害物質を生ずるおそれのある固体廃棄物を対象として超臨界流体を利用して効率よく処理する技術は未だ提案されていない。
【0006】
なお、塩化ビニル樹脂には、フタル酸エステル系可塑剤以外にも、直鎖二塩基酸エステル系やリン酸エステル系など、様々な可塑剤が使用されているが、フタル酸エステル系可塑剤が使いやすさや特性のバランスのよさなどから多用されている。
【特許文献1】特開2000−61410号公報
【特許文献2】特開2001−149767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記従来の事情に対処してなされたもので、塩化ビニル樹脂を含む廃棄物のように、有害な非ハロゲンの有機化合物を比較的大量に含み、かつ、そのまま焼却するとダイオキシンなどの新たな有害物質を生ずるおそれのある固体廃棄物を、安全にかつ安価に処理することができる装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本願の第1の発明は、非ハロゲン系有機化合物を含む固体廃棄物を処理する装置であって、前記固体廃棄物を超臨界状態の二酸化炭素と接触させて前記固体廃棄物に含まれる非ハロゲン系有機化合物を前記超臨界状態の二酸化炭素に溶解抽出させる抽出槽と、この抽出槽に超臨界状態の二酸化炭素を供給する超臨界二酸化炭素供給装置と、前記抽出槽から超臨界二酸化炭素とともに排出された有機化合物を酸化剤の存在下で酸化分解する酸化分解装置と、を具備することを特徴とする固体廃棄物の処理装置である。
【0009】
また、本願の第2の発明は、有機化合物を含む固体廃棄物を処理する方法であって、前記固体廃棄物を超臨界状態の二酸化炭素と接触させて前記固体廃棄物に含まれる非ハロゲン系有機化合物を前記超臨界状態の二酸化炭素に抽出し、次いで、この超臨界二酸化炭素に抽出した非ハロゲン系有機化合物を酸化剤の存在下で酸化分解することを特徴とする固体廃棄物の処理方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の固体廃棄物の処理装置および処理方法によれば、塩化ビニル樹脂を含む廃棄物のように、有害な非ハロゲンの有機化合物を比較的大量に含み、かつ、そのまま焼却するとダイオキシンなどの新たな有害物質を生ずるおそれのある固体廃棄物を、安全にかつ安価に処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。本発明はこれらの実施の形態に何ら限定されるものではない。
【0012】
[第1の実施の形態]
図1は本発明の第1の実施形態に係る固体廃棄物の処理装置の構成および流体の流れを概略的に示す図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の処理装置は、非ハロゲン系有機化合物を含む固体廃棄物10を超臨界状態の二酸化炭素と接触させ、固体廃棄物10に含まれる非ハロゲン系有機化合物を超臨界状態の二酸化炭素に溶解させ抽出する抽出槽12と、固体廃棄物10を収容した抽出槽12内に超臨界状態の二酸化炭素を連続的に供給する超臨界二酸化炭素供給装置14と、抽出槽12に供給される超臨界二酸化炭素を予熱する予熱器16と、抽出槽12から排出される非ハロゲン系有機化合物が溶解している超臨界二酸化炭素を減圧して有機化合物を二酸化炭素から分離させ、非ハロゲン系有機化合物が分散する二酸化炭素とする減圧器18と、非ハロゲン系有機化合物が分散する二酸化炭素から二酸化炭素を選択的に排出させ、非ハロゲン系有機化合物を回収する有機化合物回収槽20と、回収された非ハロゲン系有機化合物を空気などの酸化剤の存在下で酸化分解する酸化分解装置としての燃焼炉22と、有機化合物回収槽20から排出された二酸化炭素を超臨界二酸化炭素供給装置14の入口に導入する二酸化炭素戻しライン24とを備えている。予熱器16と抽出槽12は恒温槽26内に設けられている。
【0014】
非ハロゲン系有機化合物を含む固体廃棄物10は、予め抽出槽12内に投入される。この抽出槽12内に、超臨界二酸化炭素供給装置14により、超臨界状態の二酸化炭素が連続的に供給される。超臨界状態の二酸化炭素は、予熱器16で加熱され、抽出槽12内の温度が一定の温度となるようにコントロールされる。抽出槽12内の温度および圧力は、二酸化炭素の超臨界状態を維持するため、二酸化炭素の臨界温度(約31℃)および臨界圧力(約7.3MPa)以上に保たれる。抽出槽12内の温度および圧力は、設備コストやエネルギコストを低減する観点から、それぞれ二酸化炭素の臨界温度以上80℃以下、臨界圧力以上30MPa以下の範囲とすることが好ましい。
【0015】
抽出槽12において、非ハロゲン系有機化合物を含む固体廃棄物10は、超臨界二酸化炭素と接触し、固体廃棄物10に含まれる非ハロゲン系有機化合物が超臨界二酸化炭素中に溶解し抽出される。非ハロゲン系有機化合物を溶解抽出した超臨界二酸化炭素は、抽出槽12から連続的に排出され、減圧器18で大気圧まで減圧されると、溶解していた非ハロゲン系有機化合物が二酸化炭素から分離する。この分離した非ハロゲン系有機化合物を含む二酸化炭素は、有機化合物回収槽20に送られ、二酸化炭素のみが選択的に排出され、非ハロゲン系有機化合物が回収される。回収された非ハロゲン系有機化合物は、さらに、燃焼炉22に導入され、酸化剤の存在下で酸化分解され、主に水と二酸化炭素に分解され、排出ライン28より排出される。一方、有機化合物回収槽20から排出された二酸化炭素は、二酸化炭素戻しライン24により、超臨界二酸化炭素供給装置14の入口に導入され、再利用に供される。
【0016】
本実施形態の処理装置は、フタル酸ジ−2−エチルヘキシルなどのフタル酸エステル系可塑剤を含む塩化ビニル樹脂からなる固体廃棄物や、そのような塩化ビニル樹脂を含む固体廃棄物の処理に好適である。
【0017】
以下、上記構成の装置を用いて、フタル酸ジ−2−エチルヘキシルを10重量%含有する塩化ビニル樹脂からなる固体廃棄物(約1g)を処理した例を具体的に記載する。
【0018】
固体廃棄物10を抽出槽12に投入した後、この抽出槽12に超臨界二酸化炭素供給装置14から超臨界二酸化炭素を予熱器14により予熱して20ml/minの流量で連続的に圧入し、温度40℃、圧力15MPaで60分間抽出処理するとともに、燃焼炉22に酸化剤としての空気を導入しつつ、有機化合物回収槽20から排出された排出物を800℃の温度で焼却処理した。処理終了後、抽出槽12内の固形分の重量を測定したところ約0.9gで、燃焼炉22からは主に二酸化炭素と水が排出された。このことから、固体廃棄物10中に含まれたフタル酸ジ−2−エチルヘキシルをほぼ完全に抽出し無害化することができたと推察される。
【0019】
このような方法においては、固体廃棄物から有害な非ハロゲン系有機化合物であるフタル酸ジ−2−エチルヘキシルのみを選択的に分離して分解処理することができる。このため、抽出槽12に残った廃棄物を埋設してもフタル酸ジ−2−エチルヘキシルが溶出することはなく、安全に処理することができる。また、フタル酸ジ−2−エチルヘキシルのみを分離して酸化分解するので、従来の焼却処理のように、高温で処理せずともダイオキシンなどの有害な物質を新たに生ずるおそれがなく、処理コストを低減させることができる。すなわち、例えば、上記のようにフタル酸ジ−2−エチルヘキシルが10重量%含まれる固体廃棄物を処理する場合、燃焼炉22の処理能力は、従来の固体廃棄物をそのまま焼却処理する場合の約10分の1でよく、また、処理温度も800℃程度と従来の1000℃よりはるかに低い温度でよく、設備やエネルギーに要するコストを大幅に低減することができる。
【0020】
このように本実施形態の固体廃棄物の処理装置によれば、非ハロゲン系有機化合物を含む固体廃棄物から非ハロゲン系有機化合物を選択的に分離して分解処理することができるため、有害な非ハロゲン系有機化合物を含む固体廃棄物を安全にかつ安価に処理することができる。また、二酸化炭素戻しラインを備えており、二酸化炭素を繰り返し使用するため、二酸化炭素の使用量を実質的に低減することができる。
【0021】
なお、本実施形態では、回収した非ハロゲン系有機化合物を酸化分解する酸化分解装置として、燃焼炉22が使用されているが、このような燃焼炉22に代えて、超臨界水を利用した酸化分解装置を使用してもよい。水は超臨界状態では良好な溶媒となるため、超臨界水と非ハロゲン系有機化合物と酸化剤が均一相を形成して、超臨界水酸化反応が進行し、非ハロゲン系有機化合物は極めて短時間の間に酸化分解される。その場合の反応温度および反応圧力としては、それぞれ水の臨界温度以上500℃以下、水の臨界圧力以上30MPa以下の範囲で調整することが好ましい。また、酸化剤としては、空気や酸素の他、過酸化水素水などが使用される。
【0022】
本実施形態の固体廃棄物の処理装置は、非ハロゲン系有機化合物とともに放射性元素を含む固体廃棄物の処理に適用することも可能である。このような放射性固体廃棄物を処理する場合には、放射性元素の系外への漏洩を防止し、安全な処理を行うため、少なくとも超臨界二酸化炭素供給装置14、抽出槽12、減圧器18および超臨界水酸化分解装置(用いた場合)は、負圧に制御されたフードあるいはグローブボックスなどの箱の中に設置することが好ましく、装置全体を負圧に制御した箱の中に設置することがより好ましい。抽出槽12に残った廃棄物は、放射性元素を含んでおり、セメントを添加してセメント固化体とし、埋設処理される。
【0023】
[第2の実施の形態]
図2は、本発明の第2の実施形態に係る固体廃棄物の処理装置の構成および流体の流れを概略的に示す図であり、図1に共通する部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0024】
本実施形態の固体廃棄物の処理装置は、非ハロゲン系有機化合物とともに放射性元素を含む固体廃棄物の処理に有用な装置である。図2に示すように、本実施形態の処理装置は、放射性元素と有機金属錯体を生成する放射性元素抽出剤を抽出槽12に供給する放射性元素抽出剤供給装置32をさらに備えている点を除いて、基本的構成は図1に示した第1の実施形態と同じである。なお、図面の例では、放射性元素抽出剤は超臨界二酸化炭素供給装置14から供給される超臨界二酸化炭素と予め混合されて抽出槽12の供給されるよう構成されているが、超臨界二酸化炭素を供給するラインと別のラインから、抽出槽12に直接導入されるようにしてもよい。しかしながら、コストの低減、設備のコンパクト化などの観点から、図2に示すように、共通のラインで超臨界二酸化炭素とともに予熱器16を通して抽出槽12内に供給されるように構成することが好ましい。
【0025】
放射性元素は無機物のため、超臨界二酸化炭素中への溶解度は低いが、抽出剤を添加すると、放射性元素は抽出剤と有機金属錯体を生成して超臨界二酸化炭素中への溶解度が上昇し、非ハロゲン系有機化合物とともに超臨界二酸化炭素中へ抽出することが可能になる。ここで、放射性元素としてテクネチウムを例とし、抽出剤としてリン酸トリブチル(TBP)を用いた場合の抽出の原理を以下に示す。
【0026】
下記(1)式は、テクネチウム(Tc)とTBPとの有機金属錯体の生成式である。
+TcO+3TBP=HTcO・3TBP …(1)
(1)式に示すように、水の中に存在するテクネチウムは、過テクネチウム酸イオン(TcO)の形態で存在し、TBPが存在すると、テクネチウムTBP錯体(HTcO・3TBP)を生成し、水から分離される。水から分離されたテクネチウムTBP錯体は超臨界二酸化炭素に溶解し、水の中からテクネチウムと抽出することができる。このように、過テクネチウム酸が固体廃棄物中に存在する場合には、TBPと接触させることにより、固体廃棄物中から放射性元素テクネチウムを抽出することができる。
【0027】
本実施形態の処理装置において、抽出槽12から排出される超臨界二酸化炭素は、非ハロゲン系有機化合物と放射性元素を含む固体廃棄物11中に含まれる非ハロゲン系有機化合物と上記のような放射性元素を含む有機金属錯体が溶解している超臨界二酸化炭素である。これを減圧器18で大気圧まで減圧し、有機化合物回収槽20に導入して、二酸化炭素のみを選択的に排出させると、非ハロゲン系有機化合物と放射線元素を含有する有機金属錯体が回収される。この回収された非ハロゲン系有機化合物と放射線元素を含有する有機金属錯体は、燃焼炉22に導入され、酸化剤の存在下で酸化分解され、排出ライン28より排出される。放射性元素は酸化分解により生じた水の中に移行して排出されるため、これにセメントを添加してセメント固化体とする。放射性廃棄物の発生量を少なくするため、セメント固化に先立って、水を蒸発させ濃縮させることが好ましい。
【0028】
なお、放射性元素抽出剤としては、TBPの他、トリイソオクチルアミン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジイソデシルリン酸(DIDPA)などが使用される。これらの抽出剤のなかでも、廃棄物発生量が少ないなどの観点から、酸化分解後に金属やリンなどを含まないトリイソオクチルアミンに代表されるアミン系抽出剤が好ましい。
【0029】
なお、本実施形態の固体廃棄物の処理装置においても、回収した非ハロゲン系有機化合物および放射線元素を含有する有機金属錯体を酸化分解する酸化分解装置として、燃焼炉22に代えて、前述したような超臨界水を利用した酸化分解装置を使用することができる。超臨界水を利用した酸化分解装置を用いた場合には、閉鎖系で処理できるため、固体廃棄物の放射能レベルが高い場合には、超臨界水酸化分解装置の使用が好ましい。
【0030】
また、本実施形態の固体廃棄物の処理装置においては、放射性元素の系外への漏洩を防止し、安全な処理を行うため、少なくとも超臨界二酸化炭素供給装置14、抽出剤供給装置32、抽出槽12、減圧器18および超臨界水酸化分解装置(用いた場合)は、負圧に制御されたフードあるいはグローブボックスなどの箱の中に設置することが好ましく、装置全体を負圧に制御した箱の中に設置することがより好ましい。
【0031】
本実施形態の固体廃棄物の処理装置で処理する非ハロゲン系有機化合物と放射性元素を含む固体廃棄物としては、原子力発電所などで発生する、テクネチウム、コバルト、ヨウ素、炭素などの放射性元素の分離に用いた使用済みのイオン交換樹脂をフタル酸ジ−2−エチルヘキシルなどのフタル酸エステル系可塑剤を含む塩化ビニル樹脂で固化したものなどが例示される。
【0032】
本実施形態の固体廃棄物の処理装置によれば、放射性元素も非ハロゲン系有機化合物とともに固体廃棄物から分離することができるため、処理後の廃棄物を一般廃棄物として埋設することができ、しかも、非ハロゲン系有機化合物が溶出することはなく、安全に処理することができる。すなわち、例えば、図1に示す固体廃棄物の処理装置で、非ハロゲン系有機化合物と放射性元素を含む固体廃棄物を処理した場合、前述したように、放射性元素は抽出槽12に残る廃棄物中に残留するため、この残留廃棄物を放射性廃棄物として処理しなければならない。本実施形態の固体廃棄物の処理装置を用いると、抽出槽12中に残留する廃棄物には放射性元素が含まれないため、一般の固体廃棄物として埋設処理することができる。
【0033】
[第3の実施の形態]
図3は、本発明の第3の実施形態に係る固体廃棄物の処理装置の構成および流体の流れを概略的に示す図であり、図1に共通する部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0034】
図3に示すように、本実施形態の処理装置は、抽出槽12から排出される非ハロゲン系有機化合物が溶解している超臨界二酸化炭素を減圧することなく直接導入して、超臨界水と接触させ、超臨界二酸化炭素中に溶解している非ハロゲン系有機化合物を酸化分解する超臨界水酸化分解装置34と、抽出槽12から排出される非ハロゲン系有機化合物が溶解している超臨界二酸化炭素に空気などの酸化剤および水をそれぞれ圧入供給する酸化剤供給ライン36および水供給ライン38と、超臨界水酸化分解装置34から排出される超臨界二酸化炭素、超臨界水および非ハロゲン系有機化合物の分解生成物(主に二酸化炭素および水であり、超臨界状態では超臨界二酸化炭素および超臨界水として存在する)を減圧して排出する、減圧器40A,40Bが介挿された排出ライン42A,42Bとを備えている。排出ライン42Aは、二酸化炭素を排出するラインで、排出ライン42Aから排出された二酸化炭素は、超臨界二酸化炭素供給装置14に導入されるようになっている。また、排出ライン42Bは水を排出するラインで、排出ライン42Bから排出された水は、水供給ライン38に導入されるようになっている。他の構成は、図1に示した第1の実施形態と同じである。なお、二酸化炭素および水以外の成分が排出される場合には、これらを分離し排出するラインが、排出ライン36A,36Bとは別にさらに設けられる。また、超臨界水酸化分解装置34から排出される二酸化炭素や水は、再利用せずにそのまま分離回収するようにしてもよい。
【0035】
超臨界水酸化分解装置34において非ハロゲン系有機化合物を酸化分解する際の反応条件は、設備コストやエネルギコストを低減する観点から、それぞれ水の臨界温度以上500℃以下、臨界圧力以上30MPa以下の範囲が好ましい。また、酸化剤供給ライン36から非ハロゲン系有機化合物が溶解している超臨界二酸化炭素に圧入する酸化剤としては、空気の他、酸素や過酸化水素水などが使用される。
【0036】
本実施形態の固体廃棄物の処理装置によれば、固体廃棄物を閉鎖系で処理することができるのみならず、抽出槽12から排出された超臨界二酸化炭素を減圧することなく直接超臨界水酸化分解装置34に導入する。このため、前述したような、非ハロゲン系有機化合物と放射性元素を含む固体廃棄物、特に放射性元素を高濃度で含む放射能レベルの高い固体廃棄物の処理に有用で、減圧に伴う放射能の飛散が防止され、より安全に処理することができる。
【0037】
なお、このような非ハロゲン系有機化合物と放射性元素を含む固体廃棄物を処理する場合には、図2に示したような、放射性元素と有機金属錯体を生成する放射性元素抽出剤を抽出槽12に供給する放射性元素抽出剤供給装置32を設けるようにしてもよい。放射性元素抽出剤供給装置32を設けることにより、抽出槽12において、非ハロゲン系有機化合物ともに放射性元素も有機金属錯体として超臨界二酸化炭素中へ抽出されるため、抽出槽12に残った固体廃棄物はそのまま一般廃棄物として埋設することができ、放射性廃棄物の量を低減することができる。
【0038】
放射性元素を含む固体廃棄物を処理する場合には、放射性元素の系外への漏洩を防止し、安全な処理を行うため、少なくとも超臨界二酸化炭素供給装置14、抽出槽12および超臨界水分解装置34は、負圧に制御されたフードあるいはグローブボックスなどの箱の中に設置することが好ましく、装置全体を負圧に制御した箱の中に設置することがより好ましい。
【0039】
[第4の実施の形態]
図4は、本発明の第4の実施形態に係る固体廃棄物の処理装置の構成および流体の流れを概略的に示す図であり、図1に共通する部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0040】
本実施形態の固体廃棄物の処理装置は、図4に示すように、抽出槽12と減圧器18の間に、抽出槽12から排出された非ハロゲン系有機化合物が溶解している超臨界二酸化炭素から非ハロゲン系有機化合物を分離し回収する分離回収槽44を備えている。抽出槽12から排出された超臨界二酸化炭素は、予熱器46で加熱されて分離回収槽44に導入され、分離回収槽44内の温度が一定の温度となるようにコントロールされる。分離回収槽44と予熱器46は、抽出槽12を収容する恒温槽26とは別の恒温槽48内に収容されている(以下、抽出槽12を収容する恒温槽26を第1の恒温槽と称し、分離回収槽44を収容する恒温槽48を第2の恒温槽と称する。)。また、分離回収槽44で非ハロゲン系有機化合物が分離された超臨界二酸化炭素の一部を予熱器16の上流に戻す超臨界二酸化炭素戻しライン50と、分離回収槽44で分離回収された非ハロゲン系有機化合物を減圧器52で減圧した後、有機化合物回収槽20に導入するライン54を備えており、さらに、有機化合物回収槽20には、二酸化炭素を系外に排出するための排出ライン56が設けられている。
【0041】
抽出槽12から排出された非ハロゲン系有機化合物が溶解している超臨界二酸化炭素は、予熱器46で加熱された後、分離回収槽44に導入される。分離回収槽44内は、抽出槽12内とほぼ同じ圧力で、抽出槽12より高温に保たれており、この温度差により、非ハロゲン系有機化合物が超臨界二酸化炭素から分離される。
【0042】
ここで、その原理を説明する。超臨界二酸化炭素中の有機化合物の溶解度と超臨界二酸化炭素の密度の関係は、例えば下記(2)式で与えられる。
ln(y)=aln(ρ)+b …(2)
:溶解度(モル分率)
ρ:超臨界二酸化炭素密度[kg/m
a,b:定数
(2)式に示すように、有機化合物の溶解度と超臨界二酸化炭素の密度の両対数プロットを取ると良好な直線関係を示す。そして、超臨界二酸化炭素の密度ρは、表1に示すように、温度と圧力により変化し、圧力が同じ場合、温度が上昇するほど小さくなる。表2は、圧力10MPaで温度が40℃、60℃および80℃のときの溶解度を(2)式(a=4、b=−30として)より算出した結果を示したものである。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
表2から明らかなように、60℃および80℃のときの溶解度は40℃のときのそれぞれ約1/10および約1/25となっている。したがって、圧力を一定とし、温度を上昇させるだけで超臨界二酸化炭素中の有機化合物を分離回収することができる。なお、温度は20℃以上高くすることが好ましく、40℃以上高くすることがより好ましい。
【0046】
分離回収槽44から排出される超臨界二酸化炭素は、抽出槽12から排出された非ハロゲン系有機化合物が溶解している超臨界二酸化炭素から大部分の非ハロゲン系有機化合物が除去された超臨界二酸化炭素であり、その大部分は超臨界二酸化炭素戻しライン50から予熱器16の上流に戻され、再利用に供される。残りは減圧器18で大気圧まで減圧された後、有機化合物回収槽20に送られ、二酸化炭素が排出ライン56から選択的に排出され、非ハロゲン系有機化合物が回収される。なお、排出ライン50より排出される二酸化炭素を、図1に示したような二酸化炭素戻しライン24により、超臨界二酸化炭素供給装置14の入口に戻し、再び使用するようにしてもよい。
【0047】
一方、分離回収槽44で分離された非ハロゲン系有機化合物は、予め分離回収槽44に投入しておいた有機溶剤に溶解させ、随時、減圧器46で大気圧まで減圧した後、有機化合物回収槽20に回収し、さらに、燃焼炉22に導入して酸化剤の存在下で酸化分解し、主に水と二酸化炭素に分解し、排出ライン28より排出する。
【0048】
本実施形態の固体廃棄物の処理装置によれば、減圧器18で減圧する前に非ハロゲン系有機化合物を分離回収するため、有機化合物回収槽20にかかる負荷を軽減することができる。また、減圧器18で減圧する前に非ハロゲン系有機化合物が除去されるため、超臨界二酸化炭素を抽出槽に導入して再利用することができ、二酸化炭素の使用量を低減することができるとともに、超臨界二酸化炭素供給装置14の負荷を軽減することができる。
【0049】
本実施形態の固体廃棄物の処理装置は、非ハロゲン系有機化合物とともに放射性元素を含む固体廃棄物の処理に適用することも可能である。このような放射性固体廃棄物を処理する場合には、放射性元素の系外への漏洩を防止し、安全な処理を行うため、少なくとも超臨界二酸化炭素供給装置14、抽出槽12、分離回収槽44、減圧器18,52および超臨界水酸化分解装置(用いた場合)は、負圧に制御されたフードあるいはグローブボックスなどの箱の中に設置することが好ましく、装置全体を負圧に制御した箱の中に設置することがより好ましい。抽出槽12に残った廃棄物は、放射性元素を含んでおり、セメントを添加してセメント固化体とし、埋設処理される。
【0050】
[第5の実施の形態]
図5は、本発明の第5の実施形態に係る固体廃棄物の処理装置の構成および流体の流れを概略的に示す図である。
【0051】
本実施形態の固体廃棄物の処理装置は、非ハロゲン系有機化合物とともに放射性元素を含む固体廃棄物の処理に有用な装置である。図5に示すように、本実施形態の処理装置は、図2に示したような、放射性元素と有機金属錯体を生成する放射性元素抽出剤を抽出槽12に供給する放射性元素抽出剤供給装置32をさらに備えている点を除いて、基本的構成は図4に示した第4の実施形態と同じである。なお、図面の例では、放射性元素抽出剤は超臨界二酸化炭素供給装置14から供給される超臨界二酸化炭素と予め混合されて抽出槽12の供給されるよう構成されているが、超臨界二酸化炭素を供給するラインと別のラインから、抽出槽12に直接導入されるようにしてもよい。しかしながら、コストの低減、設備のコンパクト化などの観点から、図5に示すように、共通のラインで超臨界二酸化炭素とともに予熱器16を通して抽出槽12内に供給されるように構成することが好ましい。
【0052】
本実施形態の処理装置においては、抽出槽12から排出される超臨界二酸化炭素は、非ハロゲン系有機化合物と放射性元素を含む固体廃棄物11中に含まれる非ハロゲン系有機化合物と放射性元素を含む有機金属錯体が溶解している超臨界二酸化炭素である。これを予熱器46で加熱した後、分離回収槽44に導入すると、分離回収槽44内は、抽出槽12内とほぼ同じ圧力で、抽出槽12より高温、好ましくは20℃以上、より好ましくは40℃以上高温に保たれており、この温度差により、非ハロゲン系有機化合物と放射性元素を含む有機金属錯体が超臨界二酸化炭素から分離される。
【0053】
分離回収槽44から排出される超臨界二酸化炭素は、抽出槽12から排出された非ハロゲン系有機化合物と放射性元素を含む有機金属錯体が溶解している超臨界二酸化炭素から、大部分の非ハロゲン系有機化合物と放射性元素を含む有機金属錯体が除去された超臨界二酸化炭素であり、その大部分は超臨界二酸化炭素戻しライン50から予熱器16の上流に戻され、再利用に供される。残りは減圧器18で大気圧まで減圧された後、有機化合物回収槽20に送られ、二酸化炭素が排出ライン56から選択的に排出され、非ハロゲン系有機化合物および放射性元素を含む有機金属錯体が回収される。
【0054】
一方、分離回収槽44で分離された非ハロゲン系有機化合物と放射性元素を含む有機金属錯体は、予め分離回収槽44に投入しておいた有機溶剤に溶解させ、随時、減圧器18で大気圧まで減圧した後、有機化合物回収槽20に回収し、さらに、燃焼炉22に導入して酸化剤の存在下で酸化分解し、主に水と二酸化炭素に分解し、排出ライン56より排出する。
【0055】
本実施形態の固体廃棄物の処理装置によれば、減圧器18で減圧する前に非ハロゲン系有機化合物および放射性元素を分離回収するため、図2に示した処理装置に比べ、有機化合物回収槽20にかかる負荷を軽減することができる。また、減圧器18で減圧する前に非ハロゲン系有機化合物と放射性元素が除去されるため、超臨界二酸化炭素を抽出槽に導入して再利用することができ、二酸化炭素の使用量を低減することができ、かつ、超臨界二酸化炭素供給装置14の負荷を軽減することができる。
【0056】
なお、本実施形態の固体廃棄物の処理装置においては、放射性元素の系外への漏洩を防止し、安全な処理を行うため、少なくとも超臨界二酸化炭素供給装置14、抽出剤供給装置32、抽出槽12、分離回収槽44、減圧器18,52および超臨界水酸化分解装置(用いた場合)は、負圧に制御されたフードあるいはグローブボックスなどの箱の中に設置することが好ましく、装置全体を負圧に制御した箱の中に設置することがより好ましい。
【0057】
本発明においては、例えば図6に示すように、非ハロゲン系有機化合物や放射性元素を含む有機金属錯体の超臨界二酸化炭素への溶解度を高めるエタノールなどのエントレーナを抽出槽12に供給するエントレーナ供給装置58を配設することができる。エントレーナを共存させることにより、超臨界二酸化炭素の抽出効率を高め、抽出に要する二酸化炭素の使用量を減少させることができる。
【0058】
エントレーナは、図6に示すように、超臨界二酸化炭素供給装置14から供給される超臨界二酸化炭素と予め混合されて抽出槽12の供給されるようにしてもよく、超臨界二酸化炭素を供給するラインと別のラインから、抽出槽12に直接導入されるようにしてもよい。しかしながら、コストの低減、設備のコンパクト化などの観点からは、共通のラインで超臨界二酸化炭素とともに予熱器16を通して抽出槽12内に供給されるように構成することが好ましい。
【0059】
また、図示は省略したが、固体廃棄物10,11を所定の粒径に粉砕する粉砕機を配設することができる。粉砕機で予め粉砕した固体廃棄物10,11を抽出槽12に投入することにより、抽出槽12への出し入れが容易になるとともに、超臨界二酸化炭素による抽出時間も短縮される。また、超臨界二酸化炭素による抽出処理後、抽出槽12に残存する廃棄物をセメント固化する場合、均質で健全な固化体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る固体廃棄物の処理装置の構成および流体の流れを概略的に示す図。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る固体廃棄物の処理装置の構成および流体の流れを概略的に示す図。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る固体廃棄物の処理装置の構成および流体の流れを概略的に示す図。
【図4】本発明の第4の実施形態に係る固体廃棄物の処理装置の構成および流体の流れを概略的に示す図。
【図5】本発明の第5の実施形態に係る固体廃棄物の処理装置の構成および流体の流れを概略的に示す図。
【図6】本発明の他の実施形態に係る固体廃棄物の処理装置の要部構成を示す図。
【符号の説明】
【0061】
10…非ハロゲン系有機化合物を含む固体廃棄物、11…非ハロゲン系有機化合物と放射性元素を含む固体廃棄物、12…抽出槽、14…超臨界二酸化炭素供給装置、18,40A,40B,52…減圧器、20…有機化合物回収槽、24…二酸化炭素戻しライン、26…(第1の)恒温槽、28,42A,42B,56…排出ライン、32…放射性元素抽出剤供給装置、34…超臨界水酸化分解装置、36…酸化剤供給ライン、38…水供給ライン、44…分離回収槽、48…第2の恒温槽、50…超臨界二酸化炭素戻しライン、58…エントレーナ供給装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非ハロゲン系有機化合物を含む固体廃棄物を処理する装置であって、
前記固体廃棄物を超臨界状態の二酸化炭素と接触させて前記固体廃棄物に含まれる非ハロゲン系有機化合物を前記超臨界状態の二酸化炭素に溶解抽出させる抽出槽と、この抽出槽に超臨界状態の二酸化炭素を供給する超臨界二酸化炭素供給装置と、前記抽出槽から超臨界二酸化炭素とともに排出された有機化合物を酸化剤の存在下で酸化分解する酸化分解装置と、を具備することを特徴とする固体廃棄物の処理装置。
【請求項2】
前記酸化分解装置が、超臨界水酸化分解装置であることを特徴とする請求項1記載の固体廃棄物の処理装置。
【請求項3】
前記抽出槽から排出された非ハロゲン系有機化合物を含む超臨界二酸化炭素が減圧されることなく前記超臨界水酸化分解装置に導入されるように構成されていることを特徴とする請求項2記載の固体廃棄物の処理装置。
【請求項4】
前記抽出槽と前記酸化分解装置の間に、前記抽出槽から排出された非ハロゲン系有機化合物を含む超臨界二酸化炭素から非ハロゲン系有機化合物を分離回収する分離回収装置をさらに具備することを特徴とする請求項1または2記載の固体廃棄物の処理装置。
【請求項5】
前記分離回収装置は、前記抽出槽から排出された非ハロゲン系有機化合物を含む超臨界二酸化炭素を減圧して前記非ハロゲン系有機化合物と二酸化炭素を分離する減圧器と、前記減圧器で分離された非ハロゲン系有機化合物を回収する有機化合物回収槽とを具備することを特徴とする請求項4記載の固体廃棄物の処理装置。
【請求項6】
分離した二酸化炭素を超臨界二酸化炭素供給装置の入口に戻すラインを具備すること特徴とする請求項5記載の固体廃棄物の処理装置。
【請求項7】
前記抽出槽と前記減圧器の間に、前記抽出槽から排出された非ハロゲン系有機化合物を含む超臨界二酸化炭素を昇温させて非ハロゲン系有機化合物を超臨界二酸化炭素から分離回収し、前記有機化合物回収槽へ排出する分離回収槽をさらに具備することを特徴とする請求項5または6記載の固体廃棄物の処理装置。
【請求項8】
前記分離回収槽に前記非ハロゲン系有機化合物を溶解する有機溶剤が投入されていることを特徴とする請求項7記載の固体廃棄物の処理装置。
【請求項9】
前記分離回収槽から排出された超臨界二酸化炭素を前記抽出槽の入口に戻すラインを具備すること特徴とする請求項7または8記載の固体廃棄物の処理装置。
【請求項10】
前記固体廃棄物は、非ハロゲン系有機化合物とともに放射性元素を含む固体廃棄物であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載の固体廃棄物の処理装置。
【請求項11】
前記固体廃棄物から放射性元素を抽出する抽出剤を前記抽出槽に供給する抽出剤供給装置を具備することを特徴とする請求項10記載の固体廃棄物の処理装置。
【請求項12】
前記非ハロゲン系有機化合物の超臨界二酸化炭素への溶解度を高めるエントレーナを前記抽出槽に供給するエントレーナ供給装置を具備することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項記載の固体廃棄物の処理装置。
【請求項13】
前記固体廃棄物は、非ハロゲン系有機化合物としてフタル酸エステル系可塑剤を含有する固体廃棄物であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項記載の固体廃棄物の処理装置。
【請求項14】
前記固体廃棄物は、フタル酸エステル系可塑剤を含有する塩化ビニル樹脂を含む固体廃棄物であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項記載の固体廃棄物の処理装置。
【請求項15】
非ハロゲン系有機化合物を含む固体廃棄物を処理する方法であって、
前記固体廃棄物を超臨界状態の二酸化炭素と接触させて前記固体廃棄物に含まれる非ハロゲン系有機化合物を前記超臨界状態の二酸化炭素に抽出し、次いで、この超臨界二酸化炭素に抽出した非ハロゲン系有機化合物を酸化剤の存在下で酸化分解することを特徴とする固体廃棄物の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−21407(P2007−21407A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−208660(P2005−208660)
【出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】