説明

固体撮像装置、これを備えた電子機器及び固体撮像装置の製造方法

【課題】 小型化が可能な固体撮像装置を提供する。
【解決手段】 基板と(8)、前記基板に搭載された撮像素子(7)と、レンズ群(5)を支持し、前記基板上に搭載されて前記撮像素子を包囲するレンズユニットを備え、前記基板には、被写体側の面に被写体側へ延伸する凸部(10)を設け、前記レンズユニットには、被写体側と反対側の端部に凹部(10a)を設け、前記凸部と前記凹部とが嵌合することにより、前記レンズユニットを前記基板上に位置決めする固体撮像装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は固体撮像装置、これを備えた電子機器及び固体撮像装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像装置は、カメラ、携帯電話等の電子機器に組み込まれて使用される。固体撮像装置は内部に、レンズを含む光学系及びレンズによって結像される撮像画像を出力する撮像素子などを含んで構成されている。近年、電子機器は著しい早さで小型化されており、これに伴って電子機器内に組み込む固体撮像装置についてもより一層の小型化を図ることが求められている。
【0003】
特許文献1は、光軸と撮像素子の中心とがずれることのない固体撮像装置を開示している。具体的には、同文献の図2において、基板と、基板に配置された撮像素子と、光学機器ユニットとを備える固体撮像装置を開示している。この固体撮像装置は同文献の図1において、基板の角部に穴部を設け、ホルダから下方に位置決め突起を突出させて、穴部に嵌合させることにより、ホルダと基板との位置決めをしている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−374437号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の固体撮像装置は、基板の角部に穴部を設けている。このため、穴部が基板の外周部に近すぎると、基板の強度が弱くなり、穴あけ機等で穴をあける時等に基板の破損の原因となる。
従って、基板の強度の低下を回避するためには、基板のサイズを大きくする必要がある。また、穴部を撮像素子を避けて設ける必要があるので、基板のサイズをより大きくする必要がある。しかし、基板のサイズを大きくすると、固体撮像装置そのもののサイズが大きくなるという問題がある。固体撮像装置が大きいと、近年急速に普及しているデジタルカメラやカメラ付き携帯電話などの小型電子機器に用いることができない。
【0006】
そこで本発明の目的は、小型化が可能な固体撮像装置、電子機器及び固体撮像装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、基板と、前記基板に搭載された撮像素子と、レンズを支持し、前記基板上に搭載されて前記撮像素子を包囲するレンズユニットとを備え、前記基板には、前記レンズの光軸方向へ延伸する凸部を設け、前記レンズユニットには、前記基板との当接面に前記凸部と嵌合する凹部を設けることを特徴とする固体撮像装置によって達成できる。
【0008】
この構成により、基板に凸部が設けられているので、基板を小型化して、レンズユニットを基板上に位置決めすることができる。基板を小型化できるので、固体撮像装置も小型化することができる。また、基板とレンズユニットとが位置決めされることにより、レンズの光軸が撮像素子の中心からずれることはない。
【0009】
また、基板と、前記基板に搭載された撮像素子と、レンズを支持し、前記基板上に搭載されて前記撮像素子を包囲するレンズユニットとを備え、前記撮像素子には、前記レンズの光軸方向へ延伸する凸部を設け、前記レンズユニットには、前記凸部と嵌合する凹部を設けることを特徴とする固体撮像装置によって達成できる。
【0010】
この構成により、撮像素子に凸部が設けられているので、基板をより小型化して、レンズユニットを基板上に位置決めをすることができる。基板をより小型化できるので、固体撮像装置もより小型化することができる。また、撮像素子とレンズユニットとが位置決めされることにより、レンズの光軸が撮像素子の中心からずれることはない。
【0011】
また、前記撮像素子の被写体側の面と前記レンズユニットとは、当接するようにしてもよい。また、これらの固体撮像装置を備えた電子機器は小型化することができる。
【0012】
また、上記目的は、基板上に撮像素子を搭載するステップと、前記基板上に凸部を搭載するステップと、前記凸部とレンズユニットに設けられた凹部とを嵌合させ、前記レンズユニットを前記基板上に搭載するステップとを備えた固体撮像装置の製造方法により達成できる。これにより、基板を小型化した固体撮像装置を容易に製造できる。
【0013】
また、前記基板上に前記撮像素子の信号を処理する周辺回路素子を搭載するステップを更に備え、前記凸部を前記撮像素子または前記周辺回路素子と同時に前記基板上に搭載してもよい。このようにすれば、製造工程を簡略化できる。
【0014】
また、上記目的は、撮像素子上に凸部を搭載するステップと、基板上に前記撮像素子を搭載するステップと、前記凸部とレンズユニットに設けられた凹部とを嵌合させ、前記レンズユニットを前記基板上に搭載するステップとを備えた固体撮像装置の製造方法により達成できる。これにより、基板をより小型化した固体撮像装置を容易に製造できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、小型化が可能な固体撮像装置、電子機器及び固体撮像装置の製造方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明に係る実施例を説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、本実施例1に係る固体撮像装置1の断面図である。固体撮像装置1は、基板8と、基板8上に搭載された撮像素子7と、基板8の外周部上に搭載された周辺回路素子11(例えばコンデンサや抵抗等)と、基板8上に搭載されて撮像素子7を包囲するホルダ2と、3枚のレンズよりなるレンズ群5を保持すると共にホルダ2の円筒部に螺合するレンズホルダ3と、撮像素子7に対向してホルダ2内に配置される光学フィルタ6とを有している。レンズホルダ3の上面の中央、すなわち基板8と反対側の底部の中央には開口4が設けられている。また、ホルダ2の底面の中央、即ち、基板8側の中央にも開口9が設けられている。ここで、上記のホルダ2、レンズホルダ3及びレンズ群5から本実施例のレンズユニットが形成されている。レンズユニットは上記に限らず、例えばホルダ2がレンズ群5を保持してもよい。尚、基板8の裏面(下面)には接続端子(不図示)がパターニングされており、これがFPC(Flexible Printed Circuit)(不図示)の配線パターンに接続される。
【0018】
図2は、レンズユニットを取り外した状態の平面図である。図2に示すように、基板8はほぼ正方形状であり、基板8上の撮像素子7周辺には、周辺回路素子11が配置されている。また、基板8には、ホルダ2の端面と当接する部分の3箇所に、樹脂や金属などで形成された凸部10がレンズの光軸方向に延伸するように実装されている。図2で示されている線分A1の外側が、基板8とホルダ2とが当接する部分である。
【0019】
図3は、ホルダ2と基板8とが当接する部分SPの拡大断面図である。図4は、基板8にホルダ2を組み付ける前の当接する部分SPの拡大断面図である。図4に示すように、ホルダ2の基板8との当接面には凸部10に嵌合する凹部10aが形成されている。従って、凸部10が凹部10aに嵌合するようにホルダ2を基板8に組み付けることができる。
【0020】
以上のように、基板8に設けた凸部10と、ホルダ2に設けた凹部10aとが嵌合することによって、レンズの光軸方向に対して垂直方向に、ホルダ2を正確に位置決めすることができる。従って、前述したように、基板に設けた穴部とホルダの下方から突出させた突起を嵌合させることにより位置決めする方式と比較し、本実施例に係る固体撮像装置に用いる基板8を小型化することができる。基板8を小型化することにより、基板8に搭載されるレンズユニットも小型化することができる。この結果、固体撮像装置1自体の大きさも小型化することが可能となる。従って、本実施例にかかる固体撮像装置1は、近年普及している携帯電話やノート型パソコン等の携帯電子機器に搭載されるものとして最適である。
【0021】
また、基板8に実装された凸部10が、ホルダ2に形成されている凹部10aに嵌合するように組み付けることによって、レンズの光軸方向に対して垂直方向に、ホルダ2を正確に位置決めをすることができる。即ち、基板8に対する凸部10が実装されている位置の精度と、ホルダ2に形成されている凹部10aの位置の精度がよいと、基板8に位置精度よくホルダ2を組み付けることができる。従って、基板8に位置精度よくレンズユニットを組み付けることができる。基板8に精度よくレンズユニットを組みつけることにより、基板8上に搭載されている撮像素子7の受光部7aと、レンズユニットが保持するレンズ群5との位置精度もよくなる。この結果、レンズの光軸と受光部7aの中心がずれることなく、固体撮像装置1を組み付けることができる。
【0022】
次に、固体撮像装置1の組み立て手順について説明する。この手順ではまず、基板8上に周辺回路素子11や撮像素子7などの電子部品を搭載し、これらと基板8上の配線パターンとを接続する。ここで、同時に基板8とホルダ2とが当接する部分に、凸部10を実装する。凸部10は、基板8上に搭載されている撮像素子7や周辺回路素子11と同様の方法で実装する。例えば、周辺回路素子11などを基板8に実装する際に用いられる導電性接着剤を用いる。次に、ホルダ2を基板8に搭載する。具体的には、予めホルダ2の基板8と当接する端面に、樹脂成型等によって凸部10と嵌合するように凹部10aを形成しておく。そして、予め光学フィルタ6を取り付けておいたホルダ2の端面に接着剤を塗布する。次に、基板8に設けた凸部10がホルダ2に形成されている凹部10aに嵌合するように、ホルダ2と基板8とを接着する。そして、接着剤が硬化した後に予めレンズ群5を接着剤等で固定しておいたレンズホルダ3をホルダ2に螺合させて、ピントの調整を行う。このように組み立てた後、螺合部分に接着剤を塗布してホルダ2とレンズホルダ3とを固定し、更に基板8の裏面にFPC(不図示)を接続する。
【0023】
このように、凸部10を撮像素子7や周辺回路素子11と同時に、すなわち同じ工程で基板8に実装するので、製造工程を簡略化できる。また、従来の基板に穴部を設ける方式とは異なり、基板8に容易かつ正確な位置に凸部10を実装することができる。従って、より精度よく基板8にホルダ2を位置決めすることができる。また、樹脂成型によって凹部10aをホルダ2に形成するので、ホルダ2の成型後に穴あけする場合よりも、ホルダ2が破損することを防止できる。
【実施例2】
【0024】
次に、図5、図6及び図7を用いて実施例2について説明する。この実施例2の固体撮像装置の基本構成は実施例1の固体撮像装置1と同様である。よって、固体撮像装置1と同一の部分には同じ符号を付することによって重複する説明を省略する。図5は、実施例2に係る固体撮像装置において、レンズユニットを取り外した状態の平面図である。図6は、実施例2に係る固体撮像装置のホルダ2aと基板8とが当接する部分の拡大断面図である。図7は、基板8にホルダ2aを組み付ける前の拡大断面図である。
【0025】
図5に示すように、撮像素子7上に凸部10が実装されている。ここで、図5で示されている線分A1の外側が、基板8とホルダ2aとが当接する部分である。また線分A2の外側が、撮像素子7とホルダ2aとが当接する部分である。
【0026】
実施例2に係る固体撮像装置におけるホルダ2aの形状は、図6に示すように、基板8のみならず撮像素子7にも当接するように段部が形成されている。また、ホルダ2aの形状は撮像素子7の受光部7aに当接しないように形成されている。凸部10は、図5及び図6に示すように、撮像素子7上に実装されている。この凸部10も、撮像素子7の受光部7aを避けて実装される。また、図7に示すように、ホルダ2aには、ホルダ2aと撮像素子7とが当接する部分に、凸部10に嵌合する凹部10aが形成されている。
【0027】
以上のように、ホルダ2aは撮像素子7と当接する。従って、レンズの光軸方向に対して、撮像素子7とホルダ2aとを精度良く位置決めすることができる。撮像素子7とホルダ2aとを精度良く位置決めすることにより、撮像素子7の受光部7aと、ホルダ2aとのレンズの光軸方向の位置決めの精度が良くなる。ここで、レンズ群5を接着剤等で固定しておいたレンズホルダ3をホルダ2aに螺合させて、ピントの調整を行う。従って、撮像素子7の受光部7aとホルダ2aとのレンズの光軸方向の位置決めの精度が良くなることにより、ホルダ2aに対するレンズホルダ3の螺合量はほぼ一定となる。従って、固体撮像装置の組み立てを行う作業者は、短時間で容易にピントの調整を行うことができる。よって、固体撮像装置の組み立て時間も短縮化、容易化される。
【0028】
また、実施例1に係る固体撮像装置と同様に、撮像素子7に実装された凸部10が、ホルダ2aに形成されている凹部10aに嵌合するように組み付けることによって、レンズの光軸方向に垂直な方向に対しても、ホルダ2を正確に位置決めすることができる。この結果、レンズの光軸と受光部7aの中心とがずれることなく、固体撮像装置を組み付けることができる。
【0029】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、変形・変更が可能である。例えば、基板に設けられた凸部は2箇所であってもよいし、4箇所以上あってもよい。また、基板に凸部を設け、ホルダの基板と当接する部分に凹部を設けた場合でも、ホルダを基板に取り付けた際に、ホルダと撮像素子が当接するような形状にホルダを形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施例1に係る固体撮像装置1の断面図である。
【図2】レンズユニットを取り出した状態の平面図である。
【図3】ホルダ2と基板8とが当接する部分SPの拡大断面図である。
【図4】基板8にホルダ2を組み付ける前の当接する部分SPの拡大断面図である。
【図5】実施例2に係る固体撮像装置において、レンズユニットを取り出した状態の平面図である。
【図6】実施例2に係る固体撮像装置の、ホルダ2aと基板8とが当接する部分の拡大断面図である。
【図7】基板8にホルダ2aを組み付ける前の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 固体撮像装置
2、2a ホルダ
3 レンズホルダ
4、9 開口
5 レンズ群
6 光学フィルタ
7 撮像素子
7a 受光部
8 基板
9 接着剤
10 凸部
10a 凹部
11 周辺回路素子



【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に搭載された撮像素子と、
レンズを支持し、前記基板上に搭載されて前記撮像素子を包囲するレンズユニットとを備え、
前記基板には、前記レンズの光軸方向へ延伸する凸部を設け、
前記レンズユニットには、前記基板との当接面に前記凸部と嵌合する凹部を設けることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
基板と、
前記基板に搭載された撮像素子と、
レンズを支持し、前記基板上に搭載されて前記撮像素子を包囲するレンズユニットとを備え、
前記撮像素子には、前記レンズの光軸方向へ延伸する凸部を設け、
前記レンズユニットには、前記凸部と嵌合する凹部を設けることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項3】
前記撮像素子の被写体側の面と前記レンズユニットとは、当接することを特徴とする請求項1または2に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の固体撮像装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
基板上に撮像素子を搭載するステップと、
前記基板上に凸部を搭載するステップと、
前記凸部とレンズユニットに設けられた凹部とを嵌合させ、前記レンズユニットを前記基板上に搭載するステップとを備えたことを特徴とする固体撮像装置の製造方法。
【請求項6】
前記基板上に前記撮像素子の信号を処理する周辺回路素子を搭載するステップを更に備え、
前記凸部を、前記撮像素子または前記周辺回路素子と同時に前記基板上に搭載することを特徴とする請求項5に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項7】
撮像素子上に凸部を搭載するステップと、
基板上に前記撮像素子を搭載するステップと、
前記凸部とレンズユニットに設けられた凹部とを嵌合させ、前記レンズユニットを前記基板上に搭載するステップとを備えたことを特徴とする固体撮像装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−279353(P2006−279353A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−93270(P2005−93270)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(396004981)セイコープレシジョン株式会社 (481)
【Fターム(参考)】