説明

固体撮像装置およびカメラモジュール

【課題】感度を向上させ、出力画像に混色が発生することを抑制することができる固体撮像装置を提供すること。
【解決手段】実施形態に係る固体撮像装置12は、複数のフォトダイオード19、カラーフィルタ層21、複数のマイクロレンズ16、および補助レンズ17を具備する。複数のフォトダイオード19は、半導体基板18に形成される。カラーフィルタ層21は、複数のフォトダイオード19が形成された半導体基板18上に形成される。複数のマイクロレンズ16は、カラーフィルタ層21上に形成される。補助レンズ17は、カラーフィルタ層21上に、複数のマイクロレンズ16より低い屈折率を有する材料によって、複数のマイクロレンズ16を覆うように形成される。補助レンズ17は表面に湾曲部17aを有し、湾曲部17aに入射された光を、実質的に垂直な方向から複数のマイクロレンズ16に入射させる方向に屈折させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、固体撮像装置およびカメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、固体撮像装置は、2次元配列された複数のフォトダイオードと、これらのフォトダイオードに対応するように2次元配列された複数のマイクロレンズと、を有する。
【0003】
近年、固体撮像装置は、微細化、低背化されている。微細化、低背化された従来の固体撮像装置をカメラモジュールに適用すると、特に周辺部分のマイクロレンズには、極端に傾いた方向(複数のマイクロレンズの頂点を結ぶ平面の垂線に対して所定の角度より大きな角度を有する方向)から光が入射される。極端に傾いた方向からマイクロレンズに光が入射されると、入射された光は所定のフォトダイオードに集光されず、固体撮像装置の感度が低下する。
【0004】
また、極端に傾いた方向からマイクロレンズに光が入射されると、入射された光はマイクロレンズにおいて反射され、他のマイクロレンズを介して他のフォトダイオードに到達する。従って、出力画像に混色が生ずる。
【0005】
従って、この固体撮像装置が適用されたカメラモジュールの感度も低下し、カメラモジュールからの出力画像にも混色が生ずる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−305872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
実施形態は、感度を向上させ、出力画像に混色が発生することを抑制することができる固体撮像装置およびカメラモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る固体撮像装置は、複数のフォトダイオード、カラーフィルタ層、複数のマイクロレンズ、および補助レンズを具備する。前記複数のフォトダイオードは、半導体基板に形成される。前記カラーフィルタ層は、前記複数のフォトダイオードが形成された前記半導体基板上に形成される。前記複数のマイクロレンズは、前記カラーフィルタ層上に形成される。前記補助レンズは、前記カラーフィルタ層上に、前記複数のマイクロレンズより低い屈折率を有する材料によって、前記複数のマイクロレンズを覆うように形成される。前記補助レンズは表面に湾曲部を有し、この湾曲部に入射された光を、実質的に垂直な方向から前記複数のマイクロレンズに入射させる方向に屈折させる。
【0009】
また、実施形態に係るカメラモジュールは、複数のフォトダイオード、カラーフィルタ層、複数のマイクロレンズ、補助レンズ、およびレンズホルダを具備する。前記複数のフォトダイオードは、半導体基板に形成される。前記カラーフィルタ層は、前記複数のフォトダイオードが形成された前記半導体基板上に形成される。前記複数のマイクロレンズは、前記カラーフィルタ層上に形成される。前記補助レンズは、前記カラーフィルタ層上に、前記複数のマイクロレンズより低い屈折率を有する材料によって、前記複数のマイクロレンズを覆うように形成される。前記補助レンズは表面に湾曲部を有し、この湾曲部に入射された光を、実質的に垂直な方向から前記複数のマイクロレンズに入射させる方向に屈折させる。前記レンズホルダは、筒状であって、前記複数のフォトダイオード、前記カラーフィルタ層、前記複数のマイクロレンズ、および前記補助レンズを具備する固体撮像装置を覆うように配置され、前記固体撮像装置に光を集光するレンズを内部に有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係るカメラモジュールを示す縦断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る固体撮像装置を示す上面図である。
【図3】図2の一点鎖線X−X´に沿って示す固体撮像装置の断面図である。
【図4】図1に示すカメラモジュールの一部を拡大して示す断面図である。
【図5】第2の実施形態に係る固体撮像装置を示す、図3に相当する断面図である。
【図6】第3の実施形態に係る固体撮像装置を示す、図3に相当する断面図である。
【図7】第3の実施形態に係るカメラモジュールの一部を拡大して示す、図4に相当する断面図である。
【図8】第4の実施形態に係る固体撮像装置を示す、図3に相当する断面図である。
【図9】第5の実施形態に係る固体撮像装置を示す、図3に相当する断面図である。
【図10】第6の実施形態に係る固体撮像装置を示す、図3に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、実施形態に係る固体撮像装置およびカメラモジュールについて説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るカメラモジュール10を示す縦断面図である。図1に示すカメラモジュール10は、回路基板11上に載置された固体撮像装置12と、固体撮像装置12を含む回路基板11を覆うように、回路基板11の側面に固定されたレンズホルダ13と、を有する。
【0013】
レンズホルダ13は、一端に天板を有する筒状であって、レンズ14および赤外線遮断フィルタ15を有するものである。レンズ14は、レンズホルダ13の天板に設けられた開口部に配置されており、カメラモジュール10に入射された光を固体撮像装置12に集光する。また、赤外線遮断フィルタ15は、レンズホルダ13の内部に配置されており、カメラモジュール10に入射された光の赤外線成分が、固体撮像装置12に到達することを抑制する。
【0014】
図2は、固体撮像装置12を示す上面図である。図2に示すように、固体撮像装置12は、複数の凸状のマイクロレンズ16を有する。複数のマイクロレンズ16は、2次元状に格子配列されている。それぞれのマイクロレンズ16は、縦方向および横方向において隣接する他のマイクロレンズ16と、互いに接している。
【0015】
また、図1に示すように、複数のマイクロレンズ16上には、これらを全て覆うように、補助レンズ17が設けられている。補助レンズ17は、複数のマイクロレンズ16からなるマイクロレンズアレー上に対応する表面に凹状の湾曲部17aを有する。なお、補助レンズ17は、複数のマイクロレンズ16より低い屈折率の材料により形成されている。
【0016】
図3は、図2の一点鎖線X−X´に沿って示す固体撮像装置12の断面図である。図3に示す固体撮像装置12は、いわゆる裏面照射型の固体撮像装置である。
【0017】
この固体撮像装置12において、例えばシリコンからなるP型の半導体基板18には、複数のフォトダイオード19が形成されている。複数のフォトダイオード19は、複数のマイクロレンズ16の配列に応じて、格子状に配列形成されている。
【0018】
フォトダイオード19を含む半導体基板18の表面上には、透明の第1の平坦化層20が形成されている。第1の平坦化層20の表面は、例えばCMP法によって平坦化されている。
【0019】
第1の平坦化層20の表面上には、赤色成分の光を透過させる赤色カラーフィルタ部(以下Rフィルタと称する)(図示せず)、緑色成分の光を透過させる緑色カラーフィルタ部21G(以下Gフィルタ21Gと称する)、および青色成分の光を透過させる青色カラーフィルタ部21B(以下Bフィルタ21Bと称する)からなるカラーフィルタ層21が形成されている。なお、図示は省略するが、Rフィルタ、Gフィルタ21G、およびBフィルタ21Bは、複数のフォトダイオード19の配列に応じて、格子状に配列形成されている。Rフィルタ、Gフィルタ21G、およびBフィルタ21Bは、例えばベイヤー配列されている。
【0020】
カラーフィルタ層21上には、透明の第2の平坦化層22が形成されている。第2の平坦化層22の表面は、例えばCMP法によって平坦化されている。
【0021】
第2の平坦化層22の表面上には、複数のマイクロレンズ16が形成されている。これらのマイクロレンズ16は、例えば透明樹脂等の材料を凸レンズ状に形成したものである。
【0022】
図4は、図1に示すカメラモジュール10の一部を拡大して示す断面図である。以下、図4を参照して、図3に示す固体撮像装置12の構成を説明する。
【0023】
図4に示すように、第2の平坦化層22の表面上に形成された複数のマイクロレンズ16は、実質的に垂直な方向から入射された光を、反射させずに所定のフォトダイオード19(図3)に集光させることができるように設計されたものである。従って、実質的に垂直な方向から各マイクロレンズ16に光が入射される場合、各マイクロレンズ16は、所定のフィルタ(Rフィルタ(図示せず)、Gフィルタ21G、またはBフィルタ21B)を介して所定のフォトダイオード19(図3)に光を集光させることができる。しかし、特に周辺部分に配置されたマイクロレンズ16のように、斜め方向から各マイクロレンズ16に光が入射される場合、各マイクロレンズ16は、所定のフィルタ(Rフィルタ(図示せず)、Gフィルタ21G、またはBフィルタ21B)を介して所定のフォトダイオード19(図3)に光を集光させることができない。
【0024】
なお、実質的に垂直な方向とは、全てのマイクロレンズ16の頂点を通る平面Sに対して垂直な方向、もしくは垂直方向から所定の角度以下の角度だけ傾いた方向である。すなわち、各マイクロレンズ16に、平面Sに対して垂直な方向から光L1が入射された場合、もしくは各マイクロレンズ16に、平面Sに対して垂直な方向から所定の角度以下の角度θ2だけ傾いた方向から光L2が入射された場合、これらの光L1、L2は、所定のフィルタ(Rフィルタ(図示せず)、Gフィルタ21G、またはBフィルタ21B)を介して所定のフォトダイオード19(図3)に集光される。
【0025】
これに対して、斜め方向とは、平面Sに対して垂直な方向から所定の角度より大きい角度だけ傾いた方向である。すなわち、各マイクロレンズ16に、平面Sに対して垂直な方向から所定の角度より大きい角度θ3だけ傾いた方向から光L3が入射された場合、この光L3は、所定のフォトダイオード19(図3)に集光されないか、若しくはマイクロレンズ16の表面で反射される。
【0026】
ここで、上記所定の角度は、固体撮像装置12に要求される感度、および出力画像の色再現性に基づく。従って、各マイクロレンズ16に、所定の角度以下の角度だけ傾いた方向(実質的に垂直な方向)から光が入射される場合、固体撮像装置12に要求される感度は保障され、出力画像の色再現性も保障される。しかし、各マイクロレンズ16に、所定の角度より大きい角度だけ傾いた方向(斜め方向)から光が入射される場合、固体撮像装置12に要求される感度は保障されず、出力画像の色再現性も保障されない。
【0027】
このように構成された複数のマイクロレンズ16を含む第2の平坦化層22の表面上には、補助レンズ17が形成されている。補助レンズ17の表面の一部は凹状に湾曲しており、これによって湾曲部17aが構成されている。
【0028】
湾曲部17aは、カメラモジュール10のレンズ14によって湾曲部17aに集光された光L4を屈折させて、その屈折した光を、実質的に垂直な方向から各マイクロレンズ16に入射させる。湾曲部17aの屈折率および曲率は、湾曲部17aに集光された光を実質的に垂直な方向から各マイクロレンズ16に入射させることができるように調節されている。すなわち、湾曲部17aの屈折率および曲率は、光L4を、光L1若しくは光L2方向に屈折させて各マイクロレンズ16に入射させることができるように調節されている。
【0029】
なお、補助レンズ17は、湾曲部17aに集光された光を、実質的に垂直な方向から各マイクロレンズ16に入射させる。従って、湾曲部17aに集光された光は、ほぼ均一な強度で、各マイクロレンズ16に入射する。従って、本実施形態に係る固体撮像装置12を用いて撮像された画像において、明暗の差は従来より小さくなる。すなわち、本実施形態に係る固体撮像装置12を用いて撮像された画像において、シェーディングが改善される。
【0030】
さらに、補助レンズ17の湾曲部17aに集光された光は、実質的に垂直な方向から、ほぼ均一な強度で、各マイクロレンズ16に入射する。従って、フォトダイオード19の格子配列に対してマイクロレンズ16の格子配列をずらす、いわゆるスケーリングをほとんど行う必要もない。
【0031】
上述した補助レンズ17は、例えば以下のように製造される。まず、例えば、露光量が多いほど現像液(アルカリ溶液)に対して溶解性が増大するポジ型の透明樹脂からなるレジストを、複数のマイクロレンズ16を含む第2の平坦化層22の表面上に形成する。次に、四角形状の光の透過領域において、中央部ほど露光光の透過率が高くなるグレーティングマスクを用いてレジストを露光する。すると、光の透過領域の直下のレジストには露光光が照射され、さらに、この領域においては、中央部ほど多くの露光光が照射される。次に、露光されたレジストを現像する。現像においては、露光光が照射された領域が、露光量に応じて溶解する。このようにして、一部が凹状に湾曲した補助レンズ17が形成される。
【0032】
なお、補助レンズ17の製造方法は、上述の方法に限定されない。例えば、転写法によって補助レンズ17を製造してもよい。すなわち、第2の平坦化層22の表面上に、補助レンズ17の材料となる層、表面の一部が凹状に湾曲したレジスト、をこの順で形成した後、レジストをエッチングにより除去して、レジストの形状を補助レンズ17の材料となる層に転写することにより、補助レンズ17を形成してもよい。
【0033】
裏面照射型の固体撮像装置12において、図3に示すように、半導体基板18の裏面上には、酸化膜23を介して配線層24が形成されている。配線層24は、複数の配線24aの層間に層間絶縁膜24bが形成されたものである。配線層24を半導体基板18の裏面上に形成することにより、配線24a設計の自由度を向上させることができるため、配線層24の厚さを薄くすることができる。従って、裏面照射型の固体撮像装置12は、表面照射型の固体撮像装置と比較して、低背化することができる。
【0034】
以上に説明した第1の実施形態に係る固体撮像装置12によれば、複数のマイクロレンズ16上に補助レンズ17が形成されているため、斜め方向からマイクロレンズ16に入射されようとする光を、実質的に垂直な方向から各マイクロレンズ16に入射させることができる。従って、各マイクロレンズ16は、入射された光を十分にフォトダイオード19に集光することができ、さらに、各マイクロレンズ16に入射された光が、マイクロレンズ16の表面において反射されることを抑制することができる。従って、補助レンズ17が形成されない従来の固体撮像装置と比較して、感度を向上させ、出力画像に混色が発生することを抑制することができる固体撮像装置12を提供することができる。
【0035】
このように、感度を向上させ、出力画像に混色が発生することを抑制することができる本実施形態に係る固体撮像装置12に対して、層内レンズを有する固体撮像装置が知られている。しかし、層内レンズは、マイクロレンズで集光した光を効率良くフォトダイオードに集光するためのものである。従って、斜め方向からマイクロレンズに光が入射された場合、その光はマイクロレンズの表面において反射される。従って、固体撮像装置に層内レンズを設ければ感度は向上するが、出力画像に混色が発生することを抑制することはできない。さらに層内レンズを形成すると、固体撮像装置全体の厚さが増す。
【0036】
また、感度を向上させ、出力画像に混色が発生することを抑制することができる本実施形態に係る固体撮像装置12に対して、高い屈折率の材料によって各マイクロレンズを形成した固体撮像装置も知られている。高い屈折率の材料によって各マイクロレンズを形成すれば、マイクロレンズに侵入する光の屈折角を大きくすることができる。したがって、上記の補助レンズ17を形成しなくても、斜め方向から入射された光を、所定のフォトダイオードに集光させ、固体撮像装置の感度を向上させることができるように思われる。しかし、マイクロレンズの屈折率を高くすると、マイクロレンズ表面において反射されやすくなるため、出力画像に混色が生じ、出力画像の色再現性が劣化する。
【0037】
また、以上に説明した第1の実施形態に係るカメラモジュール10によれば、感度を向上させ、出力画像に混色が発生することを抑制することができる固体撮像装置12が適用されている。従って、感度を向上させ、出力画像に混色が発生することを抑制することができるカメラモジュール10を提供することができる。
【0038】
さらに、以上に説明した第1の実施形態に係るカメラモジュール10によれば、固体撮像装置12に集光される光のうち、固体撮像装置12のマイクロレンズ16に対して斜め方向から入射される成分を低減するために、モジュール10のレンズ14を多層化する必要もない。従って、コストを上昇させずに、感度を向上させ、かつ出力画像に混色が発生することを抑制することができるカメラモジュール10を提供することができる。
【0039】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態に係るカメラモジュールに適用される固体撮像装置30を示す、図3に相当する縦断面図である。第2の実施形態に係る固体撮像装置30は、第1の実施形態に係る固体撮像装置12と比較して、第2の平坦化層31、および補助レンズ32の形態が異なる。以下に、第1の実施形態に係る固体撮像装置12と異なる点について説明する。
【0040】
図5に示すように、第2の実施形態に係る固体撮像装置30において、第2の平坦化層31は、第1の実施形態に係る固体撮像装置12に形成された第2の平坦化層22(図3)より厚く形成されている。さらに、第2の平坦化層31には、四角形状の凹部31aが形成されている。
【0041】
複数のマイクロレンズ16は、第2の平坦化層31の凹部31aの底面に、第1の実施形態に係る固体撮像装置12と同様に形成されている。
【0042】
また補助レンズ32は、第2の平坦化層31の凹部31aを埋めるように形成されている。凹部31aに埋め込まれた補助レンズ32は、この表面全体が凹状に湾曲した湾曲部32aになっている。湾曲部32aの屈折率および曲率は、湾曲部32aに集光された光を実質的に垂直な方向から各マイクロレンズ16に入射させることができるように調節されている。
【0043】
この補助レンズ32は、例えば、第2の平坦化層31の凹部31aを埋めるように補助レンズ32となる材料を形成した後、第1の実施形態に係る固体撮像装置12に形成された補助レンズ17(図3)と同様に形成すればよい。
【0044】
以上に説明した第2の実施形態に係る固体撮像装置30であっても、複数のマイクロレンズ16上に補助レンズ32が形成されているため、第1の実施形態に係る固体撮像装置12と同様に、感度を向上させ、出力画像に混色が発生することを抑制することができる固体撮像装置30を提供することができる。
【0045】
また、固体撮像装置30を適用した第2の実施形態に係るカメラモジュールであっても、第1の実施形態に係るカメラモジュール10と同様に、コストを上昇させずに、感度を向上させ、出力画像に混色が発生することを抑制することができるカメラモジュールを提供することができる。
【0046】
(第3の実施形態)
図6は、第3の実施形態に係るカメラモジュールに適用される固体撮像装置40を示す、図3に相当する縦断面図である。第3の実施形態に係る固体撮像装置40は、第1の実施形態に係る固体撮像装置12と比較して、補助レンズ41の形態が異なる。以下に、第1の実施形態に係る固体撮像装置12と異なる点について説明する。
【0047】
図6に示すように、第3の実施形態に係る固体撮像装置40において、補助レンズ41の表面の一部は凸状に湾曲しており、これによって湾曲部41aが構成されている。
【0048】
図7は、第4の実施形態に係るカメラモジュールの一部を拡大して示す、図4に相当する断面図である。以下、図7を参照して、さらに補助レンズ41について詳細に説明する。
【0049】
図7に示すように、凸状の湾曲部41aは、カメラモジュールのレンズ14によって湾曲部41aに集光された光L4´を屈折させて、その屈折した光を、実質的に垂直な方向から各マイクロレンズ16に入射させる。湾曲部41aの屈折率および曲率は、湾曲部41aに集光された光を実質的に垂直な方向から各マイクロレンズ16に入射させることができるように調節されている。すなわち、湾曲部41aの屈折率および曲率は、光L4´を光L2´方向に屈折させて各マイクロレンズ16に入射させることができるように調節されている。
【0050】
なお、補助レンズ41は、湾曲部41aに集光された光を、実質的に垂直な方向から各マイクロレンズ16に入射させる。従って、湾曲部41aに集光された光は、ほぼ均一な強度で、各マイクロレンズ16に入射する。従って、本実施形態に係る固体撮像装置40を用いて撮像された画像において、明暗の差は従来より小さくなる。すなわち、本実施形態に係る固体撮像装置40を用いて撮像された画像において、シェーディングが改善される。
【0051】
さらに、補助レンズ41の湾曲部41aに集光された光は、実質的に垂直な方向から、ほぼ均一な強度で、各マイクロレンズ16に入射する。従って、フォトダイオード19の格子配列に対してマイクロレンズ16の格子配列をずらす、いわゆるスケーリングをほとんど行う必要もない。
【0052】
ここで、本実施形態における実質的に垂直な方向とは、全てのマイクロレンズ16の頂点を通る平面Sに対して垂直な方向から所定の角度以下の角度だけ傾いた方向である。すなわち、各マイクロレンズ16に、平面Sに対して垂直な方向から所定の角度以下の角度θ2´だけ傾いた方向から光L2´が入射された場合、この光L2´は、所定のフィルタ(Rフィルタ(図示せず)、Gフィルタ21G、またはBフィルタ21B)を介して所定のフォトダイオード19に集光される。
【0053】
このように構成された補助レンズ41は、例えば、第1の実施形態に係る固体撮像装置12に形成された補助レンズ17(図3)の製造方法において、補助レンズ41となるレジスト材料をネガ型にする、若しくは、補助レンズ41となるポジ型のレジスト材料に対して、中央部ほど露光光の透過率が低くなるグレーティングマスクを用いて露光することにより、形成することができる。
【0054】
以上に説明した第3の実施形態に係る固体撮像装置40であっても、複数のマイクロレンズ16上に補助レンズ41が形成されているため、第1の実施形態に係る固体撮像装置12と同様に、感度を向上させ、出力画像に混色が発生することを抑制することができる固体撮像装置40を提供することができる。
【0055】
また、この固体撮像装置40を適用した第3の実施形態に係るカメラモジュールであっても、第1の実施形態に係るカメラモジュール10と同様に、コストを上昇させずに、感度を向上させ、出力画像に混色が発生することを抑制することができるカメラモジュールを提供することができる。
【0056】
(第4の実施形態)
図8は、第4の実施形態に係るカメラモジュールに適用される固体撮像装置50を示す、図3に相当する縦断面図である。第4の実施形態に係る固体撮像装置50は、第1の実施形態に係る固体撮像装置12と比較して、補助レンズ51の形態が異なる。以下に、第1の実施形態に係る固体撮像装置12と異なる点について説明する。
【0057】
図8に示すように、第4の実施形態に係る固体撮像装置50において、補助レンズ41の表面は、それぞれが凸状に湾曲した複数の湾曲部51aによって構成されている。複数の湾曲部51aは、例えば格子状に配列されている。なお、図8においては、複数の湾曲部51aは互いに離間しているが、複数の湾曲部51aは、互いに接するように形成されてもよい。
【0058】
各湾曲部51aの屈折率および曲率は、格子状に配列された複数の湾曲部51aに集光された光を実質的に垂直な方向から各マイクロレンズ16に入射させることができるように調節されている。
【0059】
このように構成された補助レンズ51は、第3の実施形態に係る固体撮像装置40に形成された補助レンズ41(図6)と同様に形成することができる。ただし、グレーティングマスクは、複数の透過領域を、格子状に設けたものを用いる。
【0060】
以上に説明した第4の実施形態に係る固体撮像装置50であっても、複数のマイクロレンズ16上に補助レンズ51が形成されているため、第1の実施形態に係る固体撮像装置12と同様に、感度を向上させ、出力画像に混色が発生することを抑制することができる固体撮像装置12を提供することができる。
【0061】
また、この固体撮像装置50を適用した第4の実施形態に係るカメラモジュールであっても、第1の実施形態に係るカメラモジュール10と同様に、コストを上昇させずに、感度を向上させ、出力画像に混色が発生することを抑制することができるカメラモジュールを提供することができる。
【0062】
(第5の実施形態)
図9は、第5の実施形態に係るカメラモジュールに適用される固体撮像装置60を示す、図3に相当する縦断面図である。第5の実施形態に係る固体撮像装置60は、第1の実施形態に係る固体撮像装置12と比較して、補助レンズ61の形態が異なる。以下に、第1の実施形態に係る固体撮像装置12と異なる点について説明する。
【0063】
図9に示すように、第5の実施形態に係る固体撮像装置12において、補助レンズ61は、2層構造になっている。補助レンズ61の下層61−1は、第1の実施形態に係る固体撮像装置12に形成された補助レンズ17(図3)と同様の湾曲部17aを有するものである。また、補助レンズ61の上層61−2は、第3の実施形態に係る固体撮像装置40に形成された補助レンズ41(図6)と同様の湾曲部41aを有するものである。
【0064】
ただし、下層の補助レンズ61−1の湾曲部61−1aの屈折率および曲率、および上層の補助レンズ61−2の湾曲部61−2aの屈折率および曲率は、上層の補助レンズ61−2の湾曲部61−2aに集光された光を実質的に垂直な方向から各マイクロレンズ16に入射させることができるようにそれぞれ調節されている。なお、下層の補助レンズ61−1と上層の補助レンズ61−2とは、同一材料によって形成されてもよいし、互いに異なる材料により形成されてもよい。さらに、互いに異なる材料を用いて下層の補助レンズ61−1と上層の補助レンズ61−2とを形成する場合、互いの材料の屈折率の関係に制限はない。
【0065】
このように構成された補助レンズ61は、下層の補助レンズ61−1を、第1の実施形態に係る固体撮像装置12に形成された補助レンズ17(図3)と同様に形成した後、上層の補助レンズ61−2を、第3の実施形態に係る固体撮像装置40に形成された補助レンズ41(図6)と同様に形成すればよい。
【0066】
以上に説明した第5の実施形態に係る固体撮像装置60であっても、複数のマイクロレンズ16上に補助レンズ61が形成されているため、第1の実施形態に係る固体撮像装置12と同様に、感度を向上させ、出力画像に混色が発生することを抑制することができる固体撮像装置60を提供することができる。
【0067】
また、この固体撮像装置60を適用した第5の実施形態に係るカメラモジュールであっても、第1の実施形態に係るカメラモジュール10と同様に、コストを上昇させずに、感度を向上させ、出力画像に混色が発生することを抑制することができるカメラモジュールを提供することができる。
【0068】
なお、本実施形態に係る固体撮像装置60およびカメラモジュールは、上層の補助レンズ61−2の湾曲部61−2aに入射された光を上層の補助レンズ61−2で一度屈折させた後、下層の補助レンズ61−1の湾曲部61−1aで、さらに屈折させる。従って、例えば第1、第3の実施形態に係る固体撮像装置12、40のように、一層の補助レンズ17、41のみでは固体撮像装置12、40およびカメラモジュール10に要求される感度および色再現性を満たすことができない場合に有効である。
【0069】
(第6の実施形態)
図10は、第6の実施形態に係るカメラモジュールに適用される固体撮像装置70を示す、図3に相当する縦断面図である。第6の実施形態に係る固体撮像装置70は、第1の実施形態に係る固体撮像装置12と比較して、補助レンズ71の形態が異なる。以下に、第1の実施形態に係る固体撮像装置12と異なる点について説明する。
【0070】
図10に示すように、第6の実施形態に係る固体撮像装置70において、補助レンズ71は、2層構造になっている。補助レンズ71の下層71−1は、第1の実施形態に係る固体撮像装置12に形成された補助レンズ17(図3)と同様の湾曲部71−1aを有するものである。また、補助レンズ71の上層71−2は、第4の実施形態に係る固体撮像装置50に形成された補助レンズ51(図8)と同様の湾曲部71−2aを有するものである。
【0071】
ただし、下層の補助レンズ71−1の湾曲部71−1aの屈折率および曲率、および上層の補助レンズ71−2の湾曲部71−2aの屈折率および曲率は、上層の補助レンズ71−1の湾曲部71−1aに集光された光を実質的に垂直な方向から各マイクロレンズ16に入射させることができるようにそれぞれ調節されている。なお、下層の補助レンズ71−1と上層の補助レンズ71−2とは、同一材料によって形成されてもよいし、互いに異なる材料により形成されてもよい。さらに、互いに異なる材料を用いて下層の補助レンズ71−1と上層の補助レンズ71−2とを形成する場合、互いの材料の屈折率の関係に制限はない。
【0072】
このように構成された補助レンズ71は、下層の補助レンズ71−1を、第1の実施形態に係る固体撮像装置12に形成された補助レンズ17(図3)と同様に形成した後、上層の補助レンズ71−2を、第4の実施形態に係る固体撮像装置50に形成された補助レンズ51(図8)と同様に形成すればよい。
【0073】
以上に説明した第6の実施形態に係る固体撮像装置70であっても、複数のマイクロレンズ16上に補助レンズ71が形成されているため、第1の実施形態に係る固体撮像装置12と同様に、感度を向上させ、出力画像に混色が発生することを抑制することができる固体撮像装置70を提供することができる。
【0074】
また、この固体撮像装置70を適用した第6の実施形態に係るカメラモジュールであっても、第1の実施形態に係るカメラモジュール10と同様に、コストを上昇させずに、感度を向上させ、出力画像に混色が発生することを抑制することができるカメラモジュールを提供することができる。
【0075】
なお、本実施形態に係る固体撮像装置70およびカメラモジュールも、第5の実施形態に係る固体撮像装置60およびカメラモジュールと同様に、一層の補助レンズのみでは固体撮像装置およびカメラモジュールに要求される感度および色再現性を満たすことができない場合に有効である。
【0076】
以上に、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0077】
例えば、実施形態3乃至6に係る固体撮像装置40、50、60、70に形成された補助レンズ41、51、61、71を、実施形態2に係る固体撮像装置30に形成されたように、第2の平坦化層31の凹部31aに埋め込まれるように形成されてもよい。
【0078】
また、各実施形態若しくはこれらの組み合わせに係る補助レンズを、表面照射型の固体撮像装置に適用してもよい。ここで表面照射型の固体撮像装置とは、半導体基板の表面上に配線層が形成されており、この配線層上に、カラーフィルタ層、マイクロレンズが形成されたものである。
【符号の説明】
【0079】
10・・・カメラモジュール
11・・・回路基板
12、30、40、50、60、70・・・固体撮像装置
13・・・レンズホルダ
14・・・レンズ
15・・・赤外線遮断フィルタ
16・・・マイクロレンズ
17、32、41、51、61、71・・・補助レンズ
17a、32a、41a、51a、61−1a、61−2a、71−1a、71−2a・・・湾曲部
18・・・半導体基板
19・・・フォトダイオード
20・・・第1の平坦化層
21・・・カラーフィルタ層
21G・・・緑色カラーフィルタ部
21B・・・青色カラーフィルタ部
22、31・・・第2の平坦化層
23・・・酸化膜
24・・・配線層
24a・・・配線
24b・・・層間絶縁膜
31a・・・凹部
61−1、71−1・・・補助レンズの下層
61−2、71−2・・・補助レンズの上層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板に形成された複数のフォトダイオードと、
これらのフォトダイオードが形成された前記半導体基板上に形成されたカラーフィルタ層と、
このカラーフィルタ層上に形成された複数のマイクロレンズと、
前記カラーフィルタ層上に、前記複数のマイクロレンズより低い屈折率を有する材料によって、前記複数のマイクロレンズを覆うように形成され、表面に湾曲部を有し、この湾曲部に入射された光を、実質的に垂直な方向から前記複数のマイクロレンズに入射させる方向に屈折させる補助レンズと、
を具備することを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
前記補助レンズは、複数の湾曲部を有することを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記補助レンズの湾曲部は、凹状に形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記補助レンズの湾曲部は、凸状に形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記補助レンズは、複数の層が重ねられた構造であり、
これらの各層は、それぞれ表面に湾曲部を有することを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記補助レンズは、下層および上層が重ねられた構造であり、
前記下層の補助レンズの湾曲部は凹状に形成され、前記上層の補助レンズの湾曲部は、凸状に形成されることを特徴とする請求項5に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記上層の補助レンズは、複数の湾曲部を有し、これらの湾曲部は、それぞれ凸状に形成されることを特徴とする請求項6に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記カラーフィルタ層の表面上に、さらに凹部を有する平坦化層を有し、
前記複数のマイクロレンズは、前記平坦化層の凹部の底面に形成され、
前記補助レンズは、前記平坦化層の凹部を埋めるように形成されたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記半導体基板の裏面に、さらに配線層を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項10】
半導体基板に形成された複数のフォトダイオードと、
これらのフォトダイオードが形成された前記半導体基板上に形成されたカラーフィルタ層と、
このカラーフィルタ層上に形成された複数のマイクロレンズと、
前記カラーフィルタ層上に、前記複数のマイクロレンズより低い屈折率を有する材料によって、前記複数のマイクロレンズを覆うように形成され、表面に湾曲部を有し、この湾曲部に入射された光を、実質的に垂直な方向から前記複数のマイクロレンズに入射させる方向に屈折させる補助レンズと、
を具備する固体撮像装置と
この固体撮像装置を覆うように配置され、前記固体撮像装置に光を集光するレンズを内部に有する筒状のレンズホルダと、
を具備することを特徴とするカメラモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−30540(P2013−30540A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164170(P2011−164170)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】