固体撮像装置
【課題】従来よりもカラーフィルターが隔壁から剥がれにくい固体撮像装置を提供する。
【解決手段】フォトダイオード12が内部に形成された半導体基板10と、絶縁膜20と配線22,24との積層構造を有し、半導体基板10上に形成された配線層と、無機材料からなり、配線層上における隣接するフォトダイオード12の間に相当する箇所に立設された隔壁30と、有機材料からなり、配線層上であって隣接する隔壁30の間に形成されたカラーフィルター50,52と、有機材料からなり、隔壁30側面とカラーフィルター50,52との間に形成された密着層40とを備え、密着層40のカラーフィルター50,52に対する密着性は、隔壁30のカラーフィルター50,52に対する密着性よりも高く、密着層40の隔壁30に対する密着性は、カラーフィルター50,52の隔壁30に対する密着性よりも高い固体撮像装置。
【解決手段】フォトダイオード12が内部に形成された半導体基板10と、絶縁膜20と配線22,24との積層構造を有し、半導体基板10上に形成された配線層と、無機材料からなり、配線層上における隣接するフォトダイオード12の間に相当する箇所に立設された隔壁30と、有機材料からなり、配線層上であって隣接する隔壁30の間に形成されたカラーフィルター50,52と、有機材料からなり、隔壁30側面とカラーフィルター50,52との間に形成された密着層40とを備え、密着層40のカラーフィルター50,52に対する密着性は、隔壁30のカラーフィルター50,52に対する密着性よりも高く、密着層40の隔壁30に対する密着性は、カラーフィルター50,52の隔壁30に対する密着性よりも高い固体撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置に関し、特に、カラーフィルターと隔壁との間に形成された密着層の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の固体撮像装置の一例として、例えば、図11に示すような固体撮像装置900がある。複数の画素が二次元配列された固体撮像装置900は、半導体基板910、及び半導体基板910上に形成された絶縁膜920を備える。絶縁膜920上には、カラーフィルター950,952,954,956が形成されており、隣接するカラーフィルター950及び952,952及び954,954及び956の間には隔壁930が形成されている。
【0003】
この構成では、隣接するカラーフィルター950及び952,952及び954,954及び956同士が離間しており、接触面が設けられていない。そのため、例えば、カラーフィルター952に入った光が、カラーフィルター952内部で散乱されたり反射されたりし、斜め方向へ向かったとしても、隣のカラーフィルター950,954に入り込みにくく、クロストークが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−282403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の固体撮像装置では、無機材料からなる隔壁930の凹部に、有機材料からなるカラーフィルター950,952,954,956が埋め込まれている。ここで、カラーフィルター950,952,954,956と隔壁930とは、アンカー効果で接着されているものの、カラーフィルター950,952,954,956は、隔壁930から剥がれることがある。これは、一般に、無機材料と有機材料との界面では、アンカー効果のような機械的結合以外による接着がなされにくいためである。カラーフィルター950,952,954,956が、隔壁930から剥がれ、所謂フィルター抜けが発生すると、撮像画像の画質が低下する恐れがある。
【0006】
本発明は、上記問題の解決を図るべくなされたものであって、従来よりもカラーフィルターが隔壁から剥がれにくい固体撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る固体撮像装置は、光電変換機能を有する複数の受光部が内部に形成されてなる半導体基板と、絶縁膜と配線との積層構造を有し、半導体基板の上に形成された配線層と、無機材料からなり、配線層上における隣接する受光部の間に相当する箇所に立設された隔壁と、有機材料からなり、配線層上であって隣接する隔壁の間に形成されたカラーフィルターと、有機材料からなり、隔壁側面とカラーフィルターとの間に形成された密着層とを備え、密着層のカラーフィルターに対する密着性は、隔壁のカラーフィルターに対する密着性よりも高く、密着層の隔壁に対する密着性は、カラーフィルターの隔壁に対する密着性よりも高いことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る固体撮像装置の製造方法は、光電変換機能を有する複数の受光部が内部に形成された半導体基板上に、絶縁膜と配線との積層構造を有する配線層を形成する工程と、配線層上における隣接する受光部の間に相当する箇所に、無機材料からなる隔壁を立設する工程と、配線層上であって隣接する隔壁の間に、有機材料からなるカラーフィルターを形成する工程と、隔壁側面とカラーフィルターとの間に、有機材料からなる密着層を形成する工程とを含み、密着層のカラーフィルターに対する密着性は、隔壁のカラーフィルターに対する密着性よりも高く、密着層の隔壁に対する密着性は、カラーフィルターの隔壁に対する密着性よりも高いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る固体撮像装置では、密着層の材料として、密着層と隔壁との密着性がカラーフィルターと隔壁との密着性よりも高い有機材料を用いる。また、共に有機材料からなるカラーフィルターと密着層とは密着性が高い。これにより、隔壁とカラーフィルターとを直接接着していた従来の構造よりも、カラーフィルターと隔壁との間に密着層が形成されている本発明の構造の方が、密着性が高くなる。
【0010】
従って、本発明に係る固体撮像装置では、従来よりもカラーフィルターが隔壁から剥がれにくい、といえる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1に係る固体撮像装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した固体撮像装置を示す断面図である。
【図3】図1に示した固体撮像装置の寸法を示す図である。
【図4】図1に示した固体撮像装置の製造工程を示す図である。
【図5】図1に示した固体撮像装置の製造工程を示す図である。
【図6】図1に示した固体撮像装置の製造工程を示す図である。
【図7】図1に示した固体撮像装置の製造工程を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る固体撮像装置を示す断面図である。
【図9】本発明の実施の形態3に係る固体撮像装置を示す断面図である。
【図10】本発明の実施の形態4に係る固体撮像装置を示す断面図である。
【図11】従来の固体撮像装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施の形態1]
1.固体撮像装置100の全体構成
実施の形態1に係る固体撮像装置100の全体構成について、図1を用いて説明する。
【0013】
図1に示すように、固体撮像装置100には、画素領域70に、複数の画素があり、当該画素は、二次元配置、例えばマトリクス状(行列状)となっている。また、画素領域70を囲むように、パルス発生回路71と、水平シフトレジスタ72と、垂直シフトレジスタ73とが形成されている。水平シフトレジスタ72及び垂直シフトレジスタ73は、パルス発生回路71からのタイミングパルスの印加に呼応して、各画素に対して、順次、駆動パルスを出力する。
2.固体撮像装置100の構成
図2は、図1に示した固体撮像装置100の画素領域70における一部の断面図である。
【0014】
図2に示すように、固体撮像装置100は、受光部としてフォトダイオード12が形成された半導体基板10、半導体基板10上に形成された絶縁膜20、及び絶縁膜20上の隣接するフォトダイオード12の間に相当する箇所に立設された隔壁30を備える。さらに、固体撮像装置100は、絶縁膜20上であって隣接する隔壁30の間に形成されたカラーフィルター50,52、隔壁上面32上と隔壁側面34上とから絶縁膜20上に拡がる密着層40、及びカラーフィルター50,52上に形成されたマイクロレンズ60を備える。絶縁膜20内には、配線22,24が埋設されており、これらの積層体が、配線層に該当する。なお、隔壁30を平面視すると格子状となっており、隔壁30の正方形状の開口にカラーフィルター50,52が形成されている。カラーフィルターは、ここでは、赤(R)、緑(G)、青(B)の3種類あり、例えば、ベイヤー配列されている。この構成では、カラーフィルター50は緑色カラーフィルター、カラーフィルター52は赤色カラーフィルターである。
【0015】
マイクロレンズ60に入射した光は、マイクロレンズ60で集光され、カラーフィルター50,52及び絶縁膜20を通り、光電変換機能を有するフォトダイオード12に入射する。
【0016】
半導体基板10は、例えば、シリコンからなり、シリコン基板の主面上に形成される、例えば、SiO2からなる酸化シリコン膜のようなゲート絶縁膜も含め、半導体基板10とする。絶縁膜20は、例えば、BPSG(Boron Phosphorus Silicon Glass)のような無機材料からなり、配線22,24は、例えば、銅及びアルミニウムからなる。隔壁30は、例えば、TEOS(テトラエトキシシラン)のような無機材料からなるシリコン酸化膜であり、カラーフィルター50,52は、例えば、銅フタロシアニンのような顔料とし、これを含有するアクリル樹脂のような有機材料からなる。マイクロレンズ60は、例えば、ノボラック樹脂、アクリル樹脂のような有機材料からなる。密着層40は、例えば、エポキシ樹脂のような有機材料からなる。密着層の材料に関し、詳しくは後述する。密着層40と隔壁30との密着性は、カラーフィルター50,52と隔壁30との密着性よりも高く、密着層40とカラーフィルター50,52との密着性は、隔壁30とカラーフィルター50,52との密着性よりも高い。
【0017】
カラーフィルター50,52の屈折率は、1.5〜1.7であり、隔壁30の屈折率はカラーフィルター50,52の屈折率よりも0.01〜0.8低いと良く、特に0.2〜0.7低いことが望ましい。カラーフィルター50,52から隔壁30に向かう光は、カラーフィルター50,52と屈折率がより低い隔壁30との界面で反射しやすく、隔壁30内に侵入しにくく隣接するカラーフィルター50,52に入り込みにくい。そのため、当該光は本来入射すべきフォトダイオード12と異なるフォトダイオード12には入射しにくく、混色を低減することができる。また、光の利用効率を高めることができ、高感度な固体撮像装置100を実現できる。
【0018】
図3は、固体撮像装置100の寸法を示す図である。隔壁30の高さH1は、10nm〜30000nmであれば良く、特に400nm〜900nmが望ましい。
隣接するカラーフィルター50,52の隙間Lは、10nm〜500nmであれば良く、特に100nm〜300nmが望ましい。密着層40の膜厚H2は、0.01nm〜20nmであれば良く、特に、0.1nm〜5nmが望ましい。マイクロレンズ60の膜厚H3は、100nm〜1000nmであれば良く、特に、200nm〜600nmが望ましい。絶縁膜20の膜厚H4は、0.5μm〜5μmであれば良い。
3.製造方法
本発明の実施の形態1における固体撮像装置100の製造方法について、図4〜7を用いて、要部となる工程である隔壁30形成工程以降の工程を中心に説明する。
【0019】
図4(a)では、フォトダイオード12が形成された半導体基板10、及び配線22,24が埋設された絶縁膜20の形成が終了している。
図4(b)に示すように、絶縁膜20上に隔壁材料30aを積層する。具体的には、隔壁材料30aを塗布した後、回転とベークとで成膜するか、蒸着によって成膜する。
【0020】
次に、図5(a)に示すように、絶縁膜20上に隔壁30を形成する。具体的には、隔壁材料30aを成膜した後、隔壁30の形状に沿ったパターンのマスクを使用しレジストパターンを形成し、ドライエッチング法で当該レジストをマスクとしてエッチングを行う。その後、レジストを除去する。
【0021】
図5(b)に示すように、隔壁上面32及び隔壁側面34から絶縁膜20上に拡がるように、密着層40を形成する。密着層40を隔壁側面34から絶縁膜20上に拡がるように形成することで、エッチング等の処理を行わず、この工程のみで密着層40を形成できる。
【0022】
具体的には、密着層40としてエポキシ樹脂を用いる場合、例えば、エポキシポリマーを含む溶液を、隔壁上面32及び隔壁側面34から絶縁膜20上に塗布した後、回転とベークとによりエポキシポリマー膜を形成する。このとき、回転数は500rpm〜4000rpmを主回転とし、ベーク温度は100℃〜300℃とする。密着層40を形成するため塗布する溶液中の溶質は、溶液に対して0.01wt%〜5wt%以下が良く、特に、0.1wt%〜5wt%が望ましい。また、当該溶液の粘度は、0.1cP〜10cPが良く、特に、0.5cP〜2cPが望ましい。
【0023】
密着性をさらに高めるには、ベーク温度は200℃〜300℃が望ましい。これにより、膜厚0.01nm〜20nmで、隔壁30と絶縁膜20との形状に沿って密着層40を形成できる。
【0024】
図6(a)に示すように、密着層40上に緑色カラーフィルター材料50aを塗布する。具体的には、カラーフィルター50がネガ型顔料レジストからなる場合、まず、3cc〜10ccのネガ型顔料レジストを、スピンナー主回転500rpm〜3000rpmで10sec供給し、ネガ型顔料レジストを塗布する。その後、120℃〜170℃の温度で、30sec〜150secのプリベークを行う。
【0025】
次に、図6(b)に示すように、緑色カラーフィルター50を形成する。具体的には、緑色カラーフィルター材料50aをエッチングして、緑色カラーフィルター50を形成する。より詳細に説明すると、例えば、フォトマスクを用いて紫外線(i線)照射を行うことにより、緑色カラーフィルター材料50aを選択的に露光すれば良い。さらに、水溶性アルカリ現像液を用いて現像し、180℃〜250℃の温度で2min〜5minのポストベークを行うことにより緑色カラーフィルター材料50aを熱硬化させる。これらの工程により、緑色カラーフィルター50を形成できる。
【0026】
図7(a)に示すように、赤色カラーフィルター52を形成する。具体的には、図6(a)〜(b)で示した工程を繰り返せばよい。図示しないが、その後、同様の工程で、青色カラーフィルターも形成する。
【0027】
図7(b)に示すように、カラーフィルター50,52上にマイクロレンズ60を形成する。具体的には、カラーフィルター50,52上にマイクロレンズ材料を塗布し、露光、現像して、画素毎にマイクロレンズ60を形成する。マイクロレンズ60の球面は、例えば、150℃〜300℃の加熱により形成される。なお、球面形成は、グレースケールマスクを用いた露光や、エッチバック技術を用いても良い。
4.密着層の材料と接着
密着層40として好ましいエポキシ樹脂の材料は、エポキシド(C−O−Cの3員環)を含むモノマー、オリゴマー、及びポリマーである。例えば、隔壁30の材料が無機材料であるTEOS、カラーフィルター50,52の材料が有機材料であるアクリル樹脂であるとき、密着層40の材料としてエポキシ基を含むモノマーを用いるとする。なお、カラーフィルターはアクリル樹脂に顔料が含有されたものである。
【0028】
このとき、隔壁30とエポキシ基を含むモノマー等とにおいて、加熱により隔壁30表層の酸素原子、または窒素基などを基点として、エポキシ基が開環重合反応を起こすことで、隔壁30と密着層40との密着性が向上する。さらに、密着層40の表層は疎水性となっているため、密着層40とカラーフィルター50,52を構成するアクリル樹脂との密着性が向上する。
【0029】
密着層40の材料としては、HMDS(1,1,1,3,3,3‐ヘキサメチルジシラザン)を用いても良い。この場合であっても、隔壁30と密着層40との密着性が向上する。また、密着層40の表層はシリル化により疎水性になっているため、密着層40とカラーフィルター50,52を構成するアクリル樹脂との密着性が向上する。なお、HMDSを用いた場合、密着層を蒸着で形成できる。具体的には、図5(a)に示す隔壁形成後に、HMDS雰囲気中のユニット内で、ベーク温度が50℃以上であれば、隔壁の表面に蒸着される。特に、ベーク温度が90℃〜150℃であれば密着性がより良い。また、塗布回転による成膜も可能である。
5.効果
この構成では、密着層40のカラーフィルター50,52に対する密着性は、隔壁30のカラーフィルター50,52に対する密着性よりも高く、密着層40の隔壁30に対する密着性は、カラーフィルター50,52の隔壁30に対する密着性よりも高い。そのため、従来よりもカラーフィルター50,52が隔壁30から剥がれにくく、フィルター抜けが発生しにくい。その結果、撮像画像の画質劣化を抑制できる。
【0030】
また、密着層40を均一に且つ薄く形成できるため、入射光は密着層40に遮られにくく、密着層40があっても、固体撮像装置100の光学特性は悪化しにくい。そのため、密着層40があっても、撮像画像の劣化を抑制できる。
【0031】
[実施の形態2]
1.構成
図8は、実施の形態に係る固体撮像装置200の断面図である。下記以外の構成は、固体撮像装置100と同じなので説明を省略する。
【0032】
カラーフィルター250,252は、さらに、密着層40の隔壁上面32上に拡がる密着層上部42上に、鍔状に拡がっている。また、隣接するカラーフィルター上部250a,252aは、隔壁上面32上において互いに離間している。
2.効果
カラーフィルター上部250a,252aと密着層上部42とが接しており、カラーフィルター250,252と密着層40との接触面積がより広くなっている。そのため、カラーフィルター250,252が隔壁30から、より剥がれにくく、フィルター抜けによる撮像画像の画質の低下を抑制できる。
【0033】
また、隣接するカラーフィルター上部250a,252aが互いに離間しているため、入射光がカラーフィルター上部250a,252aの接触面から隣接するカラーフィルター250,252に侵入することを抑制できる。これにより、隣接するカラーフィルター250,252間での混色を抑制でき、撮像画像の画質の低下を抑制できる。
【0034】
[実施の形態3]
図9は、実施の形態に係る固体撮像装置200の断面図である。下記以外の構成は、固体撮像装置200と同じなので説明を省略する。
【0035】
半導体基板10上には、絶縁膜370,371、第2絶縁膜372、第3絶縁膜373、及び第4絶縁膜374が形成されている。絶縁膜370には、配線324,326及び拡散防止膜328が埋設されている。拡散防止膜328は、配線326を形成する際に、その材料である銅原子が絶縁膜370に拡散することを防止する。
【0036】
固体撮像装置300のセルサイズを1.4μmとするとき、隔壁330の高さは600nm〜800nm、上部層330aの幅は150nm〜250nm、下部層330bの幅は200nm〜400nmが良い。また、隔壁330の高さが700nm、上部層330aの幅は200nm、下部層330bの幅は300nmが望ましい。また、この構成では、隔壁330の下端における開口幅W1と、光導波路の上端における開口幅W2とは、隔壁330の内側斜面を下方に向けて延長したと仮定した場合、その仮想線が光導波路の上端よりも内側を通過するように設定されている。これにより、カラーフィルター350,352を通過した光が、漏れなく光導波路へと導かれる。
【0037】
絶縁膜370,371は、例えば、酸化シリコンからなり、第2絶縁膜372は、例えば、窒化シリコンからなり、第3絶縁膜373は、例えば、酸窒化シリコンからなり、第4絶縁膜374は、例えば、窒化シリコンからなる。絶縁膜370,371の屈折率をn1とし、第2絶縁膜372の屈折率をn2とし、第3絶縁膜373の屈折率をn3とし、第4絶縁膜374の屈折率をn4とするとき、次の関係を満たす。
[数1]n2>n1
[数2]n3<n2
[数3]n4>n3
なお、n1は、例えば、1.45である構成を採ると、n2は1.9〜2.0、n3は1.6〜1.8、n4は1.9〜2.0が良い。この構成では、光導波路に二重の光閉じ込め構造を採用することで、絶縁膜370への光の漏れだしを低減することができ、集光効率を向上でき、高感度な固体撮像装置300を実現できる。
【0038】
隔壁330は、上部層330a及び下部層330bからなる。隔壁330を構成する上部層330aと下部層330bとは、ともにシリコン酸化膜であり、屈折率が1.4〜1.5程度である。また、上部層330aと下部層330bとの間に界面が存在し、当該界面で上方から下方へ隔壁330内を進む光を反射し、当該光の下方への侵入を抑制する。これにより、混色を抑制し、撮像画像の画質の劣化を低減できる。
【0039】
カラーフィルター350,352の上面は、凹形状となっているため、さらなる集光率の向上を図ることができ、さらに高感度な固体撮像装置300を実現できる。
また、マイクロレンズ360は、隔壁330に乗り上げるよう形成されている。
[実施の形態4]
図10は、実施の形態に係る固体撮像装置400の断面図である。下記以外の構成は、固体撮像装置300と同じなので説明を省略する。
【0040】
裏面照射型CMOSイメージセンサである固体撮像装置400は、画素分離領域であるP型ウェル領域によって画素毎に分離され、半導体基板410、ゲート絶縁膜411、フォトダイオード412、n+領域413、ホール蓄積層415を備える。また、固体撮像装置400は、熱酸化で形成された第1シリコン酸化膜416、画素分離領域における第1シリコン酸化膜416上に形成された金属遮光膜416、及び画素分離領域を除く第1シリコン酸化膜416にCVDで形成された第2シリコン酸化膜418を備える。金属遮光膜は、例えば、アルミニウムやタングステンからなる。
【0041】
上半導体基板410からみてマイクロレンズ360の反対側には、配線422,424,426が埋め込まれた絶縁膜420が配置され、ゲート電極427、及び配線422,424,426と同じ材料から成る反射膜428も形成されている。
【0042】
マイクロレンズ360からカラーフィルター350,352を通って入射した光のうち、フォトダイオード412に入射した光は信号電荷に変換される。なお、絶縁膜420に向かった光の多くは、反射膜428や配線422,424,426によって、半導体基板410方向へ反射されるので、固体撮像装置400の感度を向上できる。
[変形例]
1.カラーフィルター
実施の形態等では、赤色カラーフィルター、緑色カラーフィルター、青色カラーフィルターを示しているが、これに限らず、例えば、マゼンダカラーフィルター、シアンカラーフィルターなどを用いても良い。また、カラーフィルターの色と配置とは任意に選択することができる。
【0043】
カラーフィルターの顔料としては、公知の無機顔料及び有機顔料を使用することができる。また、高透過率であることが好ましいことを考慮すると、平均粒子径が小さい顔料の使用が好ましく、さらに、ハンドリング性をも考慮すると、顔料の平均粒子径は、0.01μm〜0.1μmが好ましく、0.01μm〜0.05μmがより好ましい。具体的には、好ましい顔料として、例えば、以下のものが挙げられる。
【0044】
C.I.ピグメント・イエロー11,24,108,109,110,138,139,150,151,154,167,180,185;
C.I.ピグメント・オレンジ36,71;
C.I.ピグメント・レッド122,150,171,175,177,209,224,242,254,255,264;
C.I.ピグメント・バイオレット19,23,32;
C.I.ピグメント・ブルー15:1,15:3,15:6,16,22,60,66;
C.I.ピグメント・ブラック1
また、カラーフィルターの形状は、実施の形態で示した正方形に限らず、例えば、丸型、六角形状などであっても良い。
2.隔壁
隔壁は平面視したときに格子状をし、隔壁の正方形状の開口にカラーフィルターが形成されていたが、開口は正方形状以外の形状、例えば、長方形上、円形状、楕円形状、多角形状等であっても良い。
【0045】
また、隔壁は、実施の形態では、TEOSを材料とするシリコン酸化膜で構成したがこれに限らず、例えば、BPBG,SiONのような他の無機材料を用いても良い。
3.その他
本実施の形態で示したCMOSイメージセンサ以外にも、例えば、導波路を用いた構造、裏面照射型CMOSイメージセンサ、及びCCD型イメージセンサにおいても本発明を用いることができる。
【0046】
実施の形態では、絶縁膜としてBPSGのような無機材料を用いたがこれに限らず、例えば、ポリイミド樹脂などの有機材料を用いても良い。絶縁膜として無機材料を用いた場合、プラズマCVDか物理蒸着法で0.5μm〜5μmの成膜が可能である。絶縁膜として樹脂を用いた場合、半導体基板上に膜厚0.5μm〜5μmの樹脂を塗布した後に、180℃〜250℃の温度で2min〜5minの条件で熱硬化を行えば良い。
【0047】
なお、本発明に係る固体撮像装置の構成などは、上記実施の形態及び変形例に係る固体撮像装置の構成に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲において、種々の変形および応用が可能である。そして、技術的思想を逸脱しない範囲において、上述の各工程で使用したプロセスを他の等価なプロセスに置換することが可能である。また、工程順を入れ替えることも、材料種を変更することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、監視カメラ、車載カメラなどに搭載される撮像デバイスとしての固体撮像装置を実現するのに有用である。
【符号の説明】
【0049】
10,910 半導体基板
20,370,371,920 絶縁膜
30,330,930 隔壁
40,340 密着層
50,52,250,252,350,352,950,952,954,956 カラーフィルター
60,360,960 マイクロレンズ
100,200,300,900 固体撮像装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置に関し、特に、カラーフィルターと隔壁との間に形成された密着層の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の固体撮像装置の一例として、例えば、図11に示すような固体撮像装置900がある。複数の画素が二次元配列された固体撮像装置900は、半導体基板910、及び半導体基板910上に形成された絶縁膜920を備える。絶縁膜920上には、カラーフィルター950,952,954,956が形成されており、隣接するカラーフィルター950及び952,952及び954,954及び956の間には隔壁930が形成されている。
【0003】
この構成では、隣接するカラーフィルター950及び952,952及び954,954及び956同士が離間しており、接触面が設けられていない。そのため、例えば、カラーフィルター952に入った光が、カラーフィルター952内部で散乱されたり反射されたりし、斜め方向へ向かったとしても、隣のカラーフィルター950,954に入り込みにくく、クロストークが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−282403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の固体撮像装置では、無機材料からなる隔壁930の凹部に、有機材料からなるカラーフィルター950,952,954,956が埋め込まれている。ここで、カラーフィルター950,952,954,956と隔壁930とは、アンカー効果で接着されているものの、カラーフィルター950,952,954,956は、隔壁930から剥がれることがある。これは、一般に、無機材料と有機材料との界面では、アンカー効果のような機械的結合以外による接着がなされにくいためである。カラーフィルター950,952,954,956が、隔壁930から剥がれ、所謂フィルター抜けが発生すると、撮像画像の画質が低下する恐れがある。
【0006】
本発明は、上記問題の解決を図るべくなされたものであって、従来よりもカラーフィルターが隔壁から剥がれにくい固体撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る固体撮像装置は、光電変換機能を有する複数の受光部が内部に形成されてなる半導体基板と、絶縁膜と配線との積層構造を有し、半導体基板の上に形成された配線層と、無機材料からなり、配線層上における隣接する受光部の間に相当する箇所に立設された隔壁と、有機材料からなり、配線層上であって隣接する隔壁の間に形成されたカラーフィルターと、有機材料からなり、隔壁側面とカラーフィルターとの間に形成された密着層とを備え、密着層のカラーフィルターに対する密着性は、隔壁のカラーフィルターに対する密着性よりも高く、密着層の隔壁に対する密着性は、カラーフィルターの隔壁に対する密着性よりも高いことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る固体撮像装置の製造方法は、光電変換機能を有する複数の受光部が内部に形成された半導体基板上に、絶縁膜と配線との積層構造を有する配線層を形成する工程と、配線層上における隣接する受光部の間に相当する箇所に、無機材料からなる隔壁を立設する工程と、配線層上であって隣接する隔壁の間に、有機材料からなるカラーフィルターを形成する工程と、隔壁側面とカラーフィルターとの間に、有機材料からなる密着層を形成する工程とを含み、密着層のカラーフィルターに対する密着性は、隔壁のカラーフィルターに対する密着性よりも高く、密着層の隔壁に対する密着性は、カラーフィルターの隔壁に対する密着性よりも高いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る固体撮像装置では、密着層の材料として、密着層と隔壁との密着性がカラーフィルターと隔壁との密着性よりも高い有機材料を用いる。また、共に有機材料からなるカラーフィルターと密着層とは密着性が高い。これにより、隔壁とカラーフィルターとを直接接着していた従来の構造よりも、カラーフィルターと隔壁との間に密着層が形成されている本発明の構造の方が、密着性が高くなる。
【0010】
従って、本発明に係る固体撮像装置では、従来よりもカラーフィルターが隔壁から剥がれにくい、といえる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1に係る固体撮像装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した固体撮像装置を示す断面図である。
【図3】図1に示した固体撮像装置の寸法を示す図である。
【図4】図1に示した固体撮像装置の製造工程を示す図である。
【図5】図1に示した固体撮像装置の製造工程を示す図である。
【図6】図1に示した固体撮像装置の製造工程を示す図である。
【図7】図1に示した固体撮像装置の製造工程を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る固体撮像装置を示す断面図である。
【図9】本発明の実施の形態3に係る固体撮像装置を示す断面図である。
【図10】本発明の実施の形態4に係る固体撮像装置を示す断面図である。
【図11】従来の固体撮像装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施の形態1]
1.固体撮像装置100の全体構成
実施の形態1に係る固体撮像装置100の全体構成について、図1を用いて説明する。
【0013】
図1に示すように、固体撮像装置100には、画素領域70に、複数の画素があり、当該画素は、二次元配置、例えばマトリクス状(行列状)となっている。また、画素領域70を囲むように、パルス発生回路71と、水平シフトレジスタ72と、垂直シフトレジスタ73とが形成されている。水平シフトレジスタ72及び垂直シフトレジスタ73は、パルス発生回路71からのタイミングパルスの印加に呼応して、各画素に対して、順次、駆動パルスを出力する。
2.固体撮像装置100の構成
図2は、図1に示した固体撮像装置100の画素領域70における一部の断面図である。
【0014】
図2に示すように、固体撮像装置100は、受光部としてフォトダイオード12が形成された半導体基板10、半導体基板10上に形成された絶縁膜20、及び絶縁膜20上の隣接するフォトダイオード12の間に相当する箇所に立設された隔壁30を備える。さらに、固体撮像装置100は、絶縁膜20上であって隣接する隔壁30の間に形成されたカラーフィルター50,52、隔壁上面32上と隔壁側面34上とから絶縁膜20上に拡がる密着層40、及びカラーフィルター50,52上に形成されたマイクロレンズ60を備える。絶縁膜20内には、配線22,24が埋設されており、これらの積層体が、配線層に該当する。なお、隔壁30を平面視すると格子状となっており、隔壁30の正方形状の開口にカラーフィルター50,52が形成されている。カラーフィルターは、ここでは、赤(R)、緑(G)、青(B)の3種類あり、例えば、ベイヤー配列されている。この構成では、カラーフィルター50は緑色カラーフィルター、カラーフィルター52は赤色カラーフィルターである。
【0015】
マイクロレンズ60に入射した光は、マイクロレンズ60で集光され、カラーフィルター50,52及び絶縁膜20を通り、光電変換機能を有するフォトダイオード12に入射する。
【0016】
半導体基板10は、例えば、シリコンからなり、シリコン基板の主面上に形成される、例えば、SiO2からなる酸化シリコン膜のようなゲート絶縁膜も含め、半導体基板10とする。絶縁膜20は、例えば、BPSG(Boron Phosphorus Silicon Glass)のような無機材料からなり、配線22,24は、例えば、銅及びアルミニウムからなる。隔壁30は、例えば、TEOS(テトラエトキシシラン)のような無機材料からなるシリコン酸化膜であり、カラーフィルター50,52は、例えば、銅フタロシアニンのような顔料とし、これを含有するアクリル樹脂のような有機材料からなる。マイクロレンズ60は、例えば、ノボラック樹脂、アクリル樹脂のような有機材料からなる。密着層40は、例えば、エポキシ樹脂のような有機材料からなる。密着層の材料に関し、詳しくは後述する。密着層40と隔壁30との密着性は、カラーフィルター50,52と隔壁30との密着性よりも高く、密着層40とカラーフィルター50,52との密着性は、隔壁30とカラーフィルター50,52との密着性よりも高い。
【0017】
カラーフィルター50,52の屈折率は、1.5〜1.7であり、隔壁30の屈折率はカラーフィルター50,52の屈折率よりも0.01〜0.8低いと良く、特に0.2〜0.7低いことが望ましい。カラーフィルター50,52から隔壁30に向かう光は、カラーフィルター50,52と屈折率がより低い隔壁30との界面で反射しやすく、隔壁30内に侵入しにくく隣接するカラーフィルター50,52に入り込みにくい。そのため、当該光は本来入射すべきフォトダイオード12と異なるフォトダイオード12には入射しにくく、混色を低減することができる。また、光の利用効率を高めることができ、高感度な固体撮像装置100を実現できる。
【0018】
図3は、固体撮像装置100の寸法を示す図である。隔壁30の高さH1は、10nm〜30000nmであれば良く、特に400nm〜900nmが望ましい。
隣接するカラーフィルター50,52の隙間Lは、10nm〜500nmであれば良く、特に100nm〜300nmが望ましい。密着層40の膜厚H2は、0.01nm〜20nmであれば良く、特に、0.1nm〜5nmが望ましい。マイクロレンズ60の膜厚H3は、100nm〜1000nmであれば良く、特に、200nm〜600nmが望ましい。絶縁膜20の膜厚H4は、0.5μm〜5μmであれば良い。
3.製造方法
本発明の実施の形態1における固体撮像装置100の製造方法について、図4〜7を用いて、要部となる工程である隔壁30形成工程以降の工程を中心に説明する。
【0019】
図4(a)では、フォトダイオード12が形成された半導体基板10、及び配線22,24が埋設された絶縁膜20の形成が終了している。
図4(b)に示すように、絶縁膜20上に隔壁材料30aを積層する。具体的には、隔壁材料30aを塗布した後、回転とベークとで成膜するか、蒸着によって成膜する。
【0020】
次に、図5(a)に示すように、絶縁膜20上に隔壁30を形成する。具体的には、隔壁材料30aを成膜した後、隔壁30の形状に沿ったパターンのマスクを使用しレジストパターンを形成し、ドライエッチング法で当該レジストをマスクとしてエッチングを行う。その後、レジストを除去する。
【0021】
図5(b)に示すように、隔壁上面32及び隔壁側面34から絶縁膜20上に拡がるように、密着層40を形成する。密着層40を隔壁側面34から絶縁膜20上に拡がるように形成することで、エッチング等の処理を行わず、この工程のみで密着層40を形成できる。
【0022】
具体的には、密着層40としてエポキシ樹脂を用いる場合、例えば、エポキシポリマーを含む溶液を、隔壁上面32及び隔壁側面34から絶縁膜20上に塗布した後、回転とベークとによりエポキシポリマー膜を形成する。このとき、回転数は500rpm〜4000rpmを主回転とし、ベーク温度は100℃〜300℃とする。密着層40を形成するため塗布する溶液中の溶質は、溶液に対して0.01wt%〜5wt%以下が良く、特に、0.1wt%〜5wt%が望ましい。また、当該溶液の粘度は、0.1cP〜10cPが良く、特に、0.5cP〜2cPが望ましい。
【0023】
密着性をさらに高めるには、ベーク温度は200℃〜300℃が望ましい。これにより、膜厚0.01nm〜20nmで、隔壁30と絶縁膜20との形状に沿って密着層40を形成できる。
【0024】
図6(a)に示すように、密着層40上に緑色カラーフィルター材料50aを塗布する。具体的には、カラーフィルター50がネガ型顔料レジストからなる場合、まず、3cc〜10ccのネガ型顔料レジストを、スピンナー主回転500rpm〜3000rpmで10sec供給し、ネガ型顔料レジストを塗布する。その後、120℃〜170℃の温度で、30sec〜150secのプリベークを行う。
【0025】
次に、図6(b)に示すように、緑色カラーフィルター50を形成する。具体的には、緑色カラーフィルター材料50aをエッチングして、緑色カラーフィルター50を形成する。より詳細に説明すると、例えば、フォトマスクを用いて紫外線(i線)照射を行うことにより、緑色カラーフィルター材料50aを選択的に露光すれば良い。さらに、水溶性アルカリ現像液を用いて現像し、180℃〜250℃の温度で2min〜5minのポストベークを行うことにより緑色カラーフィルター材料50aを熱硬化させる。これらの工程により、緑色カラーフィルター50を形成できる。
【0026】
図7(a)に示すように、赤色カラーフィルター52を形成する。具体的には、図6(a)〜(b)で示した工程を繰り返せばよい。図示しないが、その後、同様の工程で、青色カラーフィルターも形成する。
【0027】
図7(b)に示すように、カラーフィルター50,52上にマイクロレンズ60を形成する。具体的には、カラーフィルター50,52上にマイクロレンズ材料を塗布し、露光、現像して、画素毎にマイクロレンズ60を形成する。マイクロレンズ60の球面は、例えば、150℃〜300℃の加熱により形成される。なお、球面形成は、グレースケールマスクを用いた露光や、エッチバック技術を用いても良い。
4.密着層の材料と接着
密着層40として好ましいエポキシ樹脂の材料は、エポキシド(C−O−Cの3員環)を含むモノマー、オリゴマー、及びポリマーである。例えば、隔壁30の材料が無機材料であるTEOS、カラーフィルター50,52の材料が有機材料であるアクリル樹脂であるとき、密着層40の材料としてエポキシ基を含むモノマーを用いるとする。なお、カラーフィルターはアクリル樹脂に顔料が含有されたものである。
【0028】
このとき、隔壁30とエポキシ基を含むモノマー等とにおいて、加熱により隔壁30表層の酸素原子、または窒素基などを基点として、エポキシ基が開環重合反応を起こすことで、隔壁30と密着層40との密着性が向上する。さらに、密着層40の表層は疎水性となっているため、密着層40とカラーフィルター50,52を構成するアクリル樹脂との密着性が向上する。
【0029】
密着層40の材料としては、HMDS(1,1,1,3,3,3‐ヘキサメチルジシラザン)を用いても良い。この場合であっても、隔壁30と密着層40との密着性が向上する。また、密着層40の表層はシリル化により疎水性になっているため、密着層40とカラーフィルター50,52を構成するアクリル樹脂との密着性が向上する。なお、HMDSを用いた場合、密着層を蒸着で形成できる。具体的には、図5(a)に示す隔壁形成後に、HMDS雰囲気中のユニット内で、ベーク温度が50℃以上であれば、隔壁の表面に蒸着される。特に、ベーク温度が90℃〜150℃であれば密着性がより良い。また、塗布回転による成膜も可能である。
5.効果
この構成では、密着層40のカラーフィルター50,52に対する密着性は、隔壁30のカラーフィルター50,52に対する密着性よりも高く、密着層40の隔壁30に対する密着性は、カラーフィルター50,52の隔壁30に対する密着性よりも高い。そのため、従来よりもカラーフィルター50,52が隔壁30から剥がれにくく、フィルター抜けが発生しにくい。その結果、撮像画像の画質劣化を抑制できる。
【0030】
また、密着層40を均一に且つ薄く形成できるため、入射光は密着層40に遮られにくく、密着層40があっても、固体撮像装置100の光学特性は悪化しにくい。そのため、密着層40があっても、撮像画像の劣化を抑制できる。
【0031】
[実施の形態2]
1.構成
図8は、実施の形態に係る固体撮像装置200の断面図である。下記以外の構成は、固体撮像装置100と同じなので説明を省略する。
【0032】
カラーフィルター250,252は、さらに、密着層40の隔壁上面32上に拡がる密着層上部42上に、鍔状に拡がっている。また、隣接するカラーフィルター上部250a,252aは、隔壁上面32上において互いに離間している。
2.効果
カラーフィルター上部250a,252aと密着層上部42とが接しており、カラーフィルター250,252と密着層40との接触面積がより広くなっている。そのため、カラーフィルター250,252が隔壁30から、より剥がれにくく、フィルター抜けによる撮像画像の画質の低下を抑制できる。
【0033】
また、隣接するカラーフィルター上部250a,252aが互いに離間しているため、入射光がカラーフィルター上部250a,252aの接触面から隣接するカラーフィルター250,252に侵入することを抑制できる。これにより、隣接するカラーフィルター250,252間での混色を抑制でき、撮像画像の画質の低下を抑制できる。
【0034】
[実施の形態3]
図9は、実施の形態に係る固体撮像装置200の断面図である。下記以外の構成は、固体撮像装置200と同じなので説明を省略する。
【0035】
半導体基板10上には、絶縁膜370,371、第2絶縁膜372、第3絶縁膜373、及び第4絶縁膜374が形成されている。絶縁膜370には、配線324,326及び拡散防止膜328が埋設されている。拡散防止膜328は、配線326を形成する際に、その材料である銅原子が絶縁膜370に拡散することを防止する。
【0036】
固体撮像装置300のセルサイズを1.4μmとするとき、隔壁330の高さは600nm〜800nm、上部層330aの幅は150nm〜250nm、下部層330bの幅は200nm〜400nmが良い。また、隔壁330の高さが700nm、上部層330aの幅は200nm、下部層330bの幅は300nmが望ましい。また、この構成では、隔壁330の下端における開口幅W1と、光導波路の上端における開口幅W2とは、隔壁330の内側斜面を下方に向けて延長したと仮定した場合、その仮想線が光導波路の上端よりも内側を通過するように設定されている。これにより、カラーフィルター350,352を通過した光が、漏れなく光導波路へと導かれる。
【0037】
絶縁膜370,371は、例えば、酸化シリコンからなり、第2絶縁膜372は、例えば、窒化シリコンからなり、第3絶縁膜373は、例えば、酸窒化シリコンからなり、第4絶縁膜374は、例えば、窒化シリコンからなる。絶縁膜370,371の屈折率をn1とし、第2絶縁膜372の屈折率をn2とし、第3絶縁膜373の屈折率をn3とし、第4絶縁膜374の屈折率をn4とするとき、次の関係を満たす。
[数1]n2>n1
[数2]n3<n2
[数3]n4>n3
なお、n1は、例えば、1.45である構成を採ると、n2は1.9〜2.0、n3は1.6〜1.8、n4は1.9〜2.0が良い。この構成では、光導波路に二重の光閉じ込め構造を採用することで、絶縁膜370への光の漏れだしを低減することができ、集光効率を向上でき、高感度な固体撮像装置300を実現できる。
【0038】
隔壁330は、上部層330a及び下部層330bからなる。隔壁330を構成する上部層330aと下部層330bとは、ともにシリコン酸化膜であり、屈折率が1.4〜1.5程度である。また、上部層330aと下部層330bとの間に界面が存在し、当該界面で上方から下方へ隔壁330内を進む光を反射し、当該光の下方への侵入を抑制する。これにより、混色を抑制し、撮像画像の画質の劣化を低減できる。
【0039】
カラーフィルター350,352の上面は、凹形状となっているため、さらなる集光率の向上を図ることができ、さらに高感度な固体撮像装置300を実現できる。
また、マイクロレンズ360は、隔壁330に乗り上げるよう形成されている。
[実施の形態4]
図10は、実施の形態に係る固体撮像装置400の断面図である。下記以外の構成は、固体撮像装置300と同じなので説明を省略する。
【0040】
裏面照射型CMOSイメージセンサである固体撮像装置400は、画素分離領域であるP型ウェル領域によって画素毎に分離され、半導体基板410、ゲート絶縁膜411、フォトダイオード412、n+領域413、ホール蓄積層415を備える。また、固体撮像装置400は、熱酸化で形成された第1シリコン酸化膜416、画素分離領域における第1シリコン酸化膜416上に形成された金属遮光膜416、及び画素分離領域を除く第1シリコン酸化膜416にCVDで形成された第2シリコン酸化膜418を備える。金属遮光膜は、例えば、アルミニウムやタングステンからなる。
【0041】
上半導体基板410からみてマイクロレンズ360の反対側には、配線422,424,426が埋め込まれた絶縁膜420が配置され、ゲート電極427、及び配線422,424,426と同じ材料から成る反射膜428も形成されている。
【0042】
マイクロレンズ360からカラーフィルター350,352を通って入射した光のうち、フォトダイオード412に入射した光は信号電荷に変換される。なお、絶縁膜420に向かった光の多くは、反射膜428や配線422,424,426によって、半導体基板410方向へ反射されるので、固体撮像装置400の感度を向上できる。
[変形例]
1.カラーフィルター
実施の形態等では、赤色カラーフィルター、緑色カラーフィルター、青色カラーフィルターを示しているが、これに限らず、例えば、マゼンダカラーフィルター、シアンカラーフィルターなどを用いても良い。また、カラーフィルターの色と配置とは任意に選択することができる。
【0043】
カラーフィルターの顔料としては、公知の無機顔料及び有機顔料を使用することができる。また、高透過率であることが好ましいことを考慮すると、平均粒子径が小さい顔料の使用が好ましく、さらに、ハンドリング性をも考慮すると、顔料の平均粒子径は、0.01μm〜0.1μmが好ましく、0.01μm〜0.05μmがより好ましい。具体的には、好ましい顔料として、例えば、以下のものが挙げられる。
【0044】
C.I.ピグメント・イエロー11,24,108,109,110,138,139,150,151,154,167,180,185;
C.I.ピグメント・オレンジ36,71;
C.I.ピグメント・レッド122,150,171,175,177,209,224,242,254,255,264;
C.I.ピグメント・バイオレット19,23,32;
C.I.ピグメント・ブルー15:1,15:3,15:6,16,22,60,66;
C.I.ピグメント・ブラック1
また、カラーフィルターの形状は、実施の形態で示した正方形に限らず、例えば、丸型、六角形状などであっても良い。
2.隔壁
隔壁は平面視したときに格子状をし、隔壁の正方形状の開口にカラーフィルターが形成されていたが、開口は正方形状以外の形状、例えば、長方形上、円形状、楕円形状、多角形状等であっても良い。
【0045】
また、隔壁は、実施の形態では、TEOSを材料とするシリコン酸化膜で構成したがこれに限らず、例えば、BPBG,SiONのような他の無機材料を用いても良い。
3.その他
本実施の形態で示したCMOSイメージセンサ以外にも、例えば、導波路を用いた構造、裏面照射型CMOSイメージセンサ、及びCCD型イメージセンサにおいても本発明を用いることができる。
【0046】
実施の形態では、絶縁膜としてBPSGのような無機材料を用いたがこれに限らず、例えば、ポリイミド樹脂などの有機材料を用いても良い。絶縁膜として無機材料を用いた場合、プラズマCVDか物理蒸着法で0.5μm〜5μmの成膜が可能である。絶縁膜として樹脂を用いた場合、半導体基板上に膜厚0.5μm〜5μmの樹脂を塗布した後に、180℃〜250℃の温度で2min〜5minの条件で熱硬化を行えば良い。
【0047】
なお、本発明に係る固体撮像装置の構成などは、上記実施の形態及び変形例に係る固体撮像装置の構成に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲において、種々の変形および応用が可能である。そして、技術的思想を逸脱しない範囲において、上述の各工程で使用したプロセスを他の等価なプロセスに置換することが可能である。また、工程順を入れ替えることも、材料種を変更することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、監視カメラ、車載カメラなどに搭載される撮像デバイスとしての固体撮像装置を実現するのに有用である。
【符号の説明】
【0049】
10,910 半導体基板
20,370,371,920 絶縁膜
30,330,930 隔壁
40,340 密着層
50,52,250,252,350,352,950,952,954,956 カラーフィルター
60,360,960 マイクロレンズ
100,200,300,900 固体撮像装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換機能を有する複数の受光部が内部に形成されてなる半導体基板と、
絶縁膜と配線との積層構造を有し、前記半導体基板上に形成された配線層と、
前記配線層上における隣接する受光部の間に相当する箇所に立設された隔壁と、
有機材料からなり、前記配線層上であって隣接する隔壁の間に形成されたカラーフィルターと、
有機材料からなり、前記隔壁側面と前記カラーフィルターとの間に形成された密着層と
を備え、
前記密着層の前記カラーフィルターに対する密着性は、前記隔壁の前記カラーフィルターに対する密着性よりも高く、
前記密着層の前記隔壁に対する密着性は、前記カラーフィルターの前記隔壁に対する密着性よりも高い
ことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
前記密着層は、さらに、前記隔壁上面を覆うように拡がり、
前記のカラーフィルターは、さらに、前記密着層の隔壁上面に拡がる部分上に、鍔状に拡がっている
ことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
隣接する前記カラーフィルターは、前記隔壁上面上において互いに離間している
ことを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記密着層は、さらに、前記隔壁側面から前記配線層上の前記カラーフィルター下にも連続して拡がる
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記密着層は、エポキシ樹脂からなる
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記隔壁は、無機材料からなる
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項7】
光電変換機能を有する複数の受光部が内部に形成された半導体基板上に、絶縁膜と配線との積層構造を有する配線層を形成する工程と、
前記配線層上における隣接する受光部の間に相当する箇所に、隔壁を立設する工程と、
前記配線層上であって隣接する隔壁の間に、有機材料からなるカラーフィルターを形成する工程と、
前記隔壁側面と前記カラーフィルターとの間に、有機材料からなる密着層を形成する工程と
を含み、
前記密着層の前記カラーフィルターに対する密着性は、前記隔壁の前記カラーフィルターに対する密着性よりも高く、
前記密着層の前記隔壁に対する密着性は、前記カラーフィルターの前記隔壁に対する密着性よりも高い
ことを特徴とする固体撮像装置の製造方法。
【請求項1】
光電変換機能を有する複数の受光部が内部に形成されてなる半導体基板と、
絶縁膜と配線との積層構造を有し、前記半導体基板上に形成された配線層と、
前記配線層上における隣接する受光部の間に相当する箇所に立設された隔壁と、
有機材料からなり、前記配線層上であって隣接する隔壁の間に形成されたカラーフィルターと、
有機材料からなり、前記隔壁側面と前記カラーフィルターとの間に形成された密着層と
を備え、
前記密着層の前記カラーフィルターに対する密着性は、前記隔壁の前記カラーフィルターに対する密着性よりも高く、
前記密着層の前記隔壁に対する密着性は、前記カラーフィルターの前記隔壁に対する密着性よりも高い
ことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
前記密着層は、さらに、前記隔壁上面を覆うように拡がり、
前記のカラーフィルターは、さらに、前記密着層の隔壁上面に拡がる部分上に、鍔状に拡がっている
ことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
隣接する前記カラーフィルターは、前記隔壁上面上において互いに離間している
ことを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記密着層は、さらに、前記隔壁側面から前記配線層上の前記カラーフィルター下にも連続して拡がる
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記密着層は、エポキシ樹脂からなる
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記隔壁は、無機材料からなる
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項7】
光電変換機能を有する複数の受光部が内部に形成された半導体基板上に、絶縁膜と配線との積層構造を有する配線層を形成する工程と、
前記配線層上における隣接する受光部の間に相当する箇所に、隔壁を立設する工程と、
前記配線層上であって隣接する隔壁の間に、有機材料からなるカラーフィルターを形成する工程と、
前記隔壁側面と前記カラーフィルターとの間に、有機材料からなる密着層を形成する工程と
を含み、
前記密着層の前記カラーフィルターに対する密着性は、前記隔壁の前記カラーフィルターに対する密着性よりも高く、
前記密着層の前記隔壁に対する密着性は、前記カラーフィルターの前記隔壁に対する密着性よりも高い
ことを特徴とする固体撮像装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−227478(P2012−227478A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96170(P2011−96170)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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