説明

固体状無菌活性医薬成分を製造する方法

【課題】本発明は、包装された無菌の固体状活性薬剤学成分、特に無菌のステロイド、例えばグルココルチコステロイド酸を提供する。
【解決手段】下記の工程を含んでなる空気の層流 (LAF) フードまたはグローブボックス中で微小化され包装された固体状無菌の活性医薬成分 (API) を製造する方法: a) APIの溶液を準備し、b) 前記溶液を濾過し、c) 前記溶液からAPIを沈殿させ、回収し、d) APIを微小化し、そしてe) APIを包装し、ここで少なくとも工程d) およびe) を無菌のLAFフードまたはグローブボックス中で実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、包装された無菌の固体状活性医薬成分、特に無菌のステロイドを製造する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
投与形態として最終の充填された容器または最終の包装された装置の滅菌は、微生物汚染の危険性を最小にする最良の方法として考えられる (「終末滅菌」、例えば、γ照射または加熱サイクル) 。しかしながら、すべてのこのような滅菌技術は生成物の品質に影響を与える (例えば、γ照射および加熱サイクル技術は頻繁にAPIの分解を引き起こし、そして固体状懸濁物の加熱サイクルは懸濁したAPIの多形体型および粒度分布に影響を与えることがある) ので、終末的に滅菌できない固体状活性医薬成分 (API) の実質的なクラスが存在する。
【0003】
その上、固体状APIを含む処方物 (非経口的に使用する無菌の懸濁物、呼吸的に使用する無菌の懸濁物、吸入粉剤およびその他) は、APIの粒子の大部分が滅菌フィルター上に保持されるので、濾過により滅菌することができない。その上、生物学的利用能および結局治療効能は上記パラメーターにより強く影響を受けるので、仕上げられた投与形態において多形体型および粒度分布を厳密に調節することが必要である。したがって、無菌の溶液および無菌の微小化法を包含する一連の無菌的工程を使用して、無菌の固体状API、特にステロイドを製造する方法が開発された。
【0004】
国際特許出願公開WO 99/25359には、粉末の形態のグルココルチコステロイド、無菌のグルココルチコステロイドおよび無菌のグルココルチコステロイド含有処方物が開示されている。滅菌は炉または熱風を使用して約100℃〜約130℃の温度にステロイドを加熱することによって実施される。しかしながら、ステロイド結晶の表面特性はこの方法により変化することがある。
【0005】
また、国際特許出願公開WO 99/25359は、固体状グルココルチコステロイドを滅菌するために使用する他の方法に関するが、これらの方法はステロイドまたは他の感受性APIの滅菌には不適当であることが主張されている。なぜなら、ステロイドまたは他の感受性APIは温度感受性であり、かつ不純物の含有率に関して薬局方で厳格に制限されているからである。
それゆえ、無菌の固体状APIを製造する新しい方法が必要とされている。
【発明の開示】
【0006】
発明の要約
下記の工程を含んでなるグローブボックスまたは空気の層流 (LAF) フード中で包装された無菌の固体状活性医薬成分 (API) を製造する方法: a) APIの溶液を準備し、b) この溶液を濾過し、c) この溶液からAPIを沈殿させ、回収し、d) APIを微小化し、そしてe) APIを包装し、ここで少なくとも工程d) およびe) を無菌のグローブボックスまたはLAFフード中で実施する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
発明の詳細な説明
本明細書において使用するとき、用語 「無菌の」 は生活可能微生物の完全な不存在を意味する。しかしながら、この絶対的定義は全ロットに実際に適用することはできない。なぜなら、微生物の完全な不存在を証明するために、仕上げられた物品を完全に破壊して、バッチのすべての物質をインキュベートしでなくてはならないからである。したがって、無菌であるとされるロットの無菌性は確からしさに関して規定され、ここで汚染された単位装置または物品の確度は許容可能的に遠い (10-6) 。
【0008】
このような無菌性保証の状態は、適当な現在のすぐれた製造的実施下に、適切な滅菌サイクルおよび引き続く無菌的プロセシングの有効性および使用を通してのみ確立することができるが、制限された量の試料についての無菌性の試験のみに頼って確立することはできない。それ自体、無菌の単位装置または物品は、その特定の生成物およびその特定のバッチの製造および滅菌の状態に関する統計に基づいて、百万の生成物において1単位より小は無菌ではないという危険に暴露される、すなわち、非無菌単位を発見する確率 (PNSU =非無菌単位の確率 (Probability of Non Sterile Unit)) はそれゆえ10-6より小さくなくてはならない。
【0009】
本発明は、無菌の固体状API、特に高い効力のAPI、例えばグルココルチコステロイドを製造する方法およびその無菌的微小化に関し、ここで無菌の固体状APIは配合に直接使用できる。この方法は温和な条件下に、すなわち、加熱しないで、滅菌を実施することによってオペレーターおよび生成物の保護を考慮し、そして空気の層流 (LAF) フード (またはグローブボックスと呼ぶ) またはきれいな部屋中のその取扱いおよび微小化を考慮する。この理由で、オペレーターはこの方法の危険を回避するために個人的保護装備を着用する必要がなく、そしてこの方法により得られる無菌のAPIは微生物の汚染および生成物の空気分解の危険がより低い。
本発明のステロイドの1例はトリアムシノロンであり、このようなステロイドの典型的な不純物はその21-アルデヒド不純物、
【0010】
【化1】

【0011】
すなわち、薬局方により制限されている不純物であり、そのステロイドと酸素との反応、すなわち、影響を受ける既知の反応により生成する。その上、きれいな部屋の代わりにグローブボックスを使用すると、きれいな部屋においてなされるような、1つの容器から他の容器へのAPIの解放した転移を回避すると同時に無菌的条件を保存することによって簡素化する。また、この方法は容易にかつ効率的に大規模化することができる。
【0012】
本発明は、下記の工程を含んでなるグローブボックスまたはLAFフード中で包装された無菌の微小化固体状APIを製造する方法に関する: APIの溶液を濾過することによって滅菌し、APIを沈殿させ、APIを回収し、APIを排出し、そしてAPIを微小化および包装し、ここで少なくともAPIの排出工程およびAPIの微小化および包装工程をLAFフードまたはグローブボックス中で実施する。好ましくは、API溶液の濾過に引き続くすべての工程は無菌的条件下に実施し、その条件下に少なくともAPIの排出、およびAPIの微小化および包装はグローブボックスまたはLAFフード中で実施する。
【0013】
好ましくは、この方法は図1または図2に示す装置により実施する。次に、図1を参照して本発明の好ましい態様を詳細に説明する。
【0014】
図1に記載するように、API溶液は最初の反応器中でAPIを適当な溶媒中に溶解することによって調製する。必要に応じて、この溶液を加熱することができる。次いで、溶液をフィルター2で濾過滅菌して微生物および他の汚染因子を排除する。好ましくはフィルターは0.22ミクロンの滅菌カートリッジである。好ましくは、濾過カートリッジは空気の層流 (LAF) フードまたはグローブボックス3中に設置される。選択的に、または追加的に、他の型の膜濾過装置を濾過のために使用できる (例えば、変化する大きさおよびミクロン等級のフィルターディスクまたはフィルターカートリッジ、例えばUltipor (商標) N66、これはナイロン6,6ポリマー膜を装備し、Pall Corporationから入手可能である) 。好ましくは、この溶液は2以上の膜に通して濾過する (追加の膜は図解されていない) 。
【0015】
膜濾過後、濾液を第2 反応器4中に収集し、ここで濾液を濃縮または冷却するか、あるいは濃縮および冷却することによって、生成物を沈殿させる。次いで沈殿をフィルター乾燥器5に移し、ここで水分を含む不純物を除去する。好ましくは、濾過した生成物をフィルター乾燥器5上に残留させてさらに乾燥して、乾燥固体を得ることができるようにする。乾燥は加熱、減圧または両方により達成することができるが、ただし生成物を加熱により乾燥するとき、引き続く冷却工程もまた実施する。濾過/乾燥後、乾燥した生成物を含有するフィルター乾燥器5をLAFフードまたはグローブボックス6中に移す。選択的に、生成物を遠心乾燥器中で濾過し、無菌の中間容器7中に収集することができる。LAFフードまたはグローブボックス6の無菌の環境において、フィルター乾燥器カバー5Bをフィルター乾燥器本体5Aから除去して、無菌の固体状APIを排出し、1または2以上の無菌の中間容器7中に収集することができる。
【0016】
次いで、1または2以上の無菌の中間容器7内の無菌の固体状APIをフィーダー8に移し、このフィーダー8は微小化装置9、好ましくはジェットミルへのAPIの供給速度を制御し、それらの各々はLAFフードまたはグローブボックス11内に存在する。微小化装置9内で、APIを微粉砕して適当な粒子サイズのAPI生成物を形成する。微小化装置9からの生成物APIを秤10で秤量し、次いで1または2以上の無菌の容器12中でサンプリングし、包装する。同様な装置は図2に記載されており、ここで図1中のフィルター (カートリッジ) 2の代わりにAPIを濾過滅菌する1系列のフィルター (カートリッジ) が使用されており、そしてフィルター乾燥器5は転移されず、APIはフィルター乾燥器からグローブボックス6の無菌の環境内の中間容器7中に排出される。次いで中間容器7中のAPIは微小化のための無菌のグローブボックス11に移される。
【0017】
図1および図2に記載されているような装置は好ましくは使用前に熱処理により滅菌される、すなわち、フィルター乾燥器は水蒸気を使用する滅菌サイクルに付し、フィルターおよびパイプラインは水蒸気流下に約122℃に加熱される。使用後、残るAPIの残留物を除去するために適当な溶媒でフィルターを洗浄する。滅菌すべきAPIにかんがみて適当な溶媒が選択される。これに関して、装置を滅菌するために使用する溶媒は、包装された無菌の微小化固体状APIを製造するためのAPIをまず溶解する溶媒と同一の溶媒である。好ましくは、適当な溶媒は主として極性溶媒、例えばアルコール、好ましくはC1-C4アルコール、アセトン、ジメチルホルムアミド (DMF) 、DMSO、ジオキサン、ジメチルアセトアミド、それらと水との混合物、および水である。極性有機溶媒は約2.0より高い極性指数を有する溶媒を意味する。
【0018】
好ましくは、第1 反応器中でAPIを適当な溶媒中に溶解することによってAPIの溶液を調製する。APIを溶解するために適当な溶媒の選択は、沈殿および/または結晶のために必要な許容される品質、例えば、出発粒度分布 (PSD) および多形体型に依存する。適当な溶媒の例は、メタノール、アセトン、ジメチルホルムアミド (DMF) 、DMSO、ジオキサンおよびジメチルアセトアミドである。この工程は非無菌条件下に実施することができる。APIの溶解は加熱工程を含むことができる。
【0019】
好ましくは、APIは吸入のための組成物において使用される高い効力のAPIおよびステロイドから成る群から選択される高い効力のAPIである。吸入組成物において使用される高い効力のAPIは、チオトロピウムおよびシクレソニドである。好ましくは、ステロイドはグルココルチコステロイド、例えば、トリアムシノロンアセトニド、メドロキシプロゲステロン酢酸、デキサメタゾン塩基、ブデソニドおよびメチルプレドニソロン酢酸である。より好ましくは、APIはトリアムシノロンアセトニドである。
【0020】
APIがトリアムシノロンアセトニドであるとき、溶媒は好ましくはアセトンと水との混合物である。好ましくは、アセトンと水との混合物中のトリアムシノロンアセトニドの溶解は約35℃〜約55℃、好ましくは40℃〜約50℃、より好ましくは45℃〜約50℃の温度に加熱することによって実施され、ここでステロイドを扱うとき、60℃以下の温度への加熱は安全であると考えられる。
【0021】
溶液を1または2以上の膜に通して濾過することができ、少なくともそれらの膜の最後は滅菌フィルターである。濾過を使用して微生物および他の汚染因子を排除し、そして濾過は無菌的条件下に、例えばグローブボックス中で実施することができる。膜は流体および溶媒と適合性である物質から作られた、カートリッジ型であることができる。通常、3回の連続的濾過を実施し、ここで第1 濾過は前濾過であり、これは滅菌に使用する引き続く膜を保護するために使用される。このような後の濾過において、カートリッジは溶液を滅菌するためのミクロンスクリーンを含んでなる滅菌フィルターカートリッジ、例えば、Ultipor N66または0.22ミクロンの滅菌カートリッジである。
【0022】
他の滅菌濾過カートリッジまたは膜はポリテトラフルオロエチレン (PTFE) 、好ましくはEmflonの膜を含んでなるか、あるいはポリフッ化ビニリデン (PVDF) または濾過等級のナイロン、例えば、ナイロン6,6の膜を含んでなる。第2 および第3 のフィルター (フィルターカートリッジ) は同一であるか、あるいは最初の前フィルターと異なるフィルターであることができる。好ましくは、第2 および第3 の濾過は順次に実施する。
【0023】
好ましい第2 カートリッジはポリテトラフルオロエチレン (PTFE) 膜、好ましくはEmflonから作られ、そして好ましい第3 カートリッジはポリフッ化ビニリデン (PVDF) または濾過等級のナイロン、例えば、ナイロン6,6、好ましくはNovasipの膜を使用して作られる。APIがトリアムシノロンアセトニドであるとき、濾過を実施するすると同時に、好ましくは、温度を溶解工程における温度と同一に維持する。しかしながら、加熱しないで溶解を実施するとき、濾過もまた加熱しないで実施することができる。
【0024】
最終または第3 膜を通過する濾液を第2 反応器において収集し、ここで生成物が沈殿が起こる。濾液の遠心、濾液の抗溶媒による希釈、冷却およびこれらの組合わせから成る群から選択される工程により沈殿を誘発することができる。本発明の方法において、沈殿は無菌の固体状APIの結晶化を含んでなることができる。APIのこのような結晶化は、濾液に抗溶媒を添加することによって実施できる。沈殿および/または結晶化を誘発させる抗溶媒は水であるであることが好ましい。
【0025】
特に、APIがトリアムシノロンアセトニドである場合、抗溶媒は約60℃〜約90℃、好ましくは約75℃〜約85℃の温度において添加することができる。本発明の方法における濾液の濃縮は、溶媒の蒸発により実施できる。濾液を濃縮してAPIを沈殿させるか、あるいはAPIの沈殿を促進する場合、溶解工程の温度を維持することは好ましい。好ましくは、濾液を濃縮するとき懸濁液が得られ、この懸濁液を約0℃〜約20℃、好ましくは約10℃〜約20℃、より好ましくは約15℃〜約20℃の温度に冷却する。冷却するとき、懸濁液を攪拌する。冷却はAPIを沈殿させるために十分な時間、好ましくは約15分〜4時間、より好ましくは約30分〜約2時間、最も好ましくは約30分間実施する。
【0026】
沈殿の回収は好ましくはフィルター乾燥器またはカートリッジ乾燥器、より好ましくはフィルター乾燥器に通す濾過を含んでなる。濾過した生成物をフィルター乾燥器中に維持して、さらに乾燥して乾燥固体を得る。乾燥は加熱、減圧および両方の組合わせから成る群から選択される工程を包含することができる。好ましくは、加熱は約30℃〜約97℃の温度において実施する。生成物を加熱により加熱するとき、引き続く冷却工程をまた実施する。好ましくは、冷却は約97℃から約20℃の温度に実施する。冷却工程はある時間の間実施することができる。APIがトリアムシノロンアセトニドであるとき、乾燥プロセスは減圧下の加熱を包含する。好ましくは、加熱は約85℃〜約97℃、好ましくは90℃〜約97℃、より好ましくは93℃〜約97℃の温度で実施する。好ましくは、冷却は約15℃〜約35℃、好ましくは20℃〜約30℃の温度で実施する。冷却工程は約6時間〜約24時間、好ましくは約8時間〜約18時間、より好ましくは約8時間〜約12時間実施することができる。
【0027】
乾燥後、フィルター乾燥器から無菌の固体状APIを排出し、無菌の中間容器中に包装する; ここでフィルター乾燥器からの取出しおよび物質の取扱いは無菌のLAFフードまたはグローブボックスの内部で実施する。好ましくは、容器はγ照射またはオートクレーブ処理により滅菌する。
【0028】
次いで、上記方法から得られた生成物を無菌のLAFフードまたはグローブボックス中に含有される滅菌した微小化装置中で微小化する。好ましくは、得られた生成物を中間の無菌容器から微小化装置中に供給する。微小化プロセスは任意の当業者に知られている技術、例えば、ジェットミル装置により実施することができる。
APIが微小化された後、それを秤量し、サンプリングし、無菌の容器中に包装する。好ましくは、容器をγ照射またはオートクレーブ処理により滅菌する。
【0029】
特定の好ましい態様および例示した実施例を参照して本発明を説明したが、説明しかつ例示した本発明に対して、この明細書に開示された本発明の趣旨および範囲を逸脱しない変更を当業者は認識することができる。さらに、この特許出願に対して言及された参考文献の開示は引用することによって本明細書の一部とされる。本発明の理解を促進するために実施例を記載するが、これらの実施例は本発明の範囲をいかなる方法においても限定することを意図せず、また限定するとして解釈すべきでない。
【実施例】
【0030】
実施例1無菌の固体状トリアムシノロンアセトニドの製造
1 kgのトリアムシノロンアセトニドを溶解反応器中に供給し、次いで19.8 Lのアセトンおよび2.2 Lの水を添加した。この懸濁液を溶解が完結するまで45℃〜50℃に加熱し、そしてこの溶液を45℃〜50℃の温度に維持した。この溶液を3つの膜フィルター (滅菌カートリッジultipor N66、フィルターカートリッジEmflonおよびフィルターカートリッジNovasip) に通して、結晶化および沈殿に適当な、第2 反応器に移した。濾過後、フィルターを4 Lのアセトンで洗浄し、次いで0.44 Lの発熱因子を含まない水で洗浄した。第2 反応器中の濾過した溶液を減圧下に蒸発させ、3 Lの残留容積が残るまで、内部温度を約50℃に維持した。この方法において得られた懸濁液を15℃〜20℃に冷却し、この温度において30分間攪拌した。
【0031】
次いで、懸濁液をフィルター乾燥器中で濾過し、固体を6 Lの発熱因子を含まない水で洗浄した。次いでフィルター乾燥器を減圧下に95±2℃にほとんど8時間維持し、次いで固体をグローブボックスに通して排出し、無菌の容器中に包装し、必要に応じてグローブボックス中に配置した微小化装置に移した。
乾燥し、微小化したトリアムシノロンアセトニドのバッチからの代表的試料について無菌性試験および細菌内毒素分析を実施し、製造環境を決定的に監視することによって、微生物学的量のバッチを検証した。製造されたバッチの無菌性の保証を支持するデータを下記表に示す。各バッチは無菌であり、そして細菌内毒素の低い含有率および製造の決定的環境はクラスAに合致する。
【0032】
【表1】

【0033】
実施例2無菌の固体状トリアムシノロンアセトニドの製造
29 Lの発熱因子を含まない水を溶解反応器中に供給し、膜フィルター (滅菌カートリッジultipor ナイロン66) に通して、沈殿に適当な第2 反応器に移した。水を80±2℃に加熱した。0.5 kgのトリアムシノロンアセトニドを溶解反応器中に供給し、次いで2.6 LのDMFを添加した。この懸濁液を溶解が完結するまで攪拌しながら75±5℃に加熱し、そしてこの溶液を同一温度に維持した。この溶液を3つの膜フィルターに通して、結晶化および沈殿に適当な、第2 反応器に移した。
【0034】
フィルターを1 LのDMFで洗浄し、次いで懸濁液を攪拌しながら1時間より少ない時間の間80±2℃に維持した。次いで、懸濁液をフィルター乾燥器中で濾過し、固体を10 Lの予熱した (80±2℃) 発熱因子を含まない水で2回洗浄した。フィルター乾燥器を減圧下に95±2℃に12〜24時間保持し、次いで固体をグローブボックスに通して排出し、無菌の容器中に包装し、必要に応じてグローブボックス中に配置した微小化装置に移した。収量は約480 gである。
【0035】
乾燥し、微小化したトリアムシノロンアセトニドのバッチからの代表的試料について無菌性試験および細菌内毒素分析を実施し、製造環境を決定的に監視することによって、微生物学的量のバッチを検証した。製造されたバッチの無菌性の保証を支持するデータを下記表に示す。各バッチは無菌であり、そして細菌内毒素の低い含有率および製造の決定的環境はクラスAに合致する。
【0036】
【表2】

【0037】
実施例3無菌の固体状メドロキシプロゲステロン酢酸の製造
1 kgのメドロキシプロゲステロン酢酸を溶解反応器中に供給し、次いで2.5 Lのジオキサンを添加した。この溶液を攪拌しながら溶解が完結するまで80±5℃に加熱し、そして溶液を同一温度に維持した。この溶液を膜フィルター (滅菌カートリッジultipor ナイロン66) に通して、結晶化および沈殿に適当な、第2 反応器に移した。フィルターを予熱したジオキサン (0.3 L、80±5℃) で洗浄した。1.3 Lの発熱因子を含まない水を溶解反応器中に供給し、80±5℃に加熱し、次いで3つの膜フィルターに通して、沈殿に適当な第2 反応器に移した。
【0038】
10分後、4 Lの発熱因子を含まない水を溶解反応器中に供給し、80±5℃に加熱し、次いで3つの膜フィルターに通して第2 反応器に移した。懸濁液を攪拌しながら1時間より少ない時間の間80±5℃に維持した。次いで、懸濁液をフィルター乾燥器中で濾過し、固体を1.5 Lの予熱した (80±5℃) 発熱因子を含まない水で2回洗浄した。次いでフィルター乾燥器を減圧下に90±2℃に12〜24時間保持し、次いで固体をグローブボックスに通して排出し、無菌の容器中に包装し、必要に応じてグローブボックス中に配置した微小化装置に移した。収量は約960 gである。
【0039】
実施例4無菌の固体状メドロキシプロゲステロン酢酸の製造
1 kgのメドロキシプロゲステロン酢酸を溶解反応器中に供給し、次いで3 LのDMAを添加した。この溶液を攪拌しながら溶解が完結するまで80±5℃に加熱し、そして溶液を同一温度に維持した。この溶液を膜フィルター (滅菌カートリッジultipor ナイロン66) に通して、結晶化および沈殿に適当な、第2 反応器に移した。フィルターを予熱したDMA (0.3 L、80±5℃) で洗浄した。1.2 Lの発熱因子を含まない水を溶解反応器中に供給し、80±5℃に加熱し、次いで3つの膜フィルターに通して、沈殿に適当な第2 反応器に移した。
【0040】
10分後、5 Lの発熱因子を含まない水を溶解反応器中に供給し、80±5℃に加熱し、次いで3つの膜フィルターに通して第2 反応器に移した。懸濁液を攪拌しながら1時間より少ない時間の間80±5℃に維持した。次いで、懸濁液をフィルター乾燥器中で濾過し、固体を1.5 Lの予熱した (80±5℃) 発熱因子を含まない水で2回洗浄した。次いでフィルター乾燥器を減圧下に90±2℃に12〜24時間保持し、次いで固体をグローブボックスに通して排出し、無菌の容器中に包装し、必要に応じてグローブボックス中に配置した微小化装置に移した。収量は約960 gである。
【0041】
実施例5無菌の固体状メドロキシプロゲステロン酢酸の製造
実施例3において報告したのと同一の試薬、溶媒、比および温度を適用したが、沈殿に適当な発熱因子を含まない水を既に含有する沈殿反応器中に、ジオキサン溶液を濾過して入れた。得られた収量は前に報告した実施例3と同一である。
【0042】
実施例6無菌の固体状メドロキシプロゲステロン酢酸の製造
実施例4において報告したのと同一の試薬、溶媒、比および温度を適用したが、沈殿に適当な発熱因子を含まない水を既に含有する沈殿反応器中に、DMA溶液を濾過して入れた。得られた収量は前に報告した実施例4と同一である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、無菌の製造単位装置を図解する。
【図2】図2は、無菌の製造単位装置を図解する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の工程を含んでなる空気の層流 (LAF) フードまたはグローブボックス中で微小化され包装された固体状無菌の活性医薬成分 (API) を製造する方法: a) APIの溶液を準備し、b) 前記溶液を濾過し、c) 前記溶液からAPIを沈殿させ、回収し、d) APIを微小化し、そしてe) APIを包装し、ここで少なくとも工程d) およびe) を無菌のLAFフードまたはグローブボックス中で実施する。
【請求項2】
工程c) 、d) およびe) をLAFフードまたはグローブボックス中で実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程a) を除外したすべての工程を無菌条件下に実施する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
無菌条件が無菌のLAFフードまたはグローブボックスの内部に存在する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
APIが吸入組成物において使用される高い効力のAPI、非経口組成物において使用される高い効力のAPI、およびステロイドから成る群から選択される高い効力のAPIである、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
吸入組成物において使用される高い効力のAPIがチオトロピウムまたはシクレソニドである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
APIがグルココルチコステロイドである、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
グルココルチコステロイドがトリアムシノロンアセトニド、メドロキシプロゲステロン酢酸、デキサメタゾン塩基、ブデソニドおよびメチルプレドニソロン酢酸である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
APIを溶媒中に溶解することによって、溶液を調製する、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
溶媒が極性溶媒である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
溶媒をアルコール、アセトン、ジメチルホルムアミド (DMF) 、DMSO、ジオキサン、ジメチルアセトアミド、それと水との混合物、および水から成る群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
APIがトリアムシノロンアセトニドであり、そして溶媒がアセトンと水との混合物である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
APIと溶媒との混合物を加熱して溶媒中にAPIを溶解させる、請求項9〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
APIと溶媒との混合物を約35℃〜約55℃に加熱する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
APIがトリアムシノロンアセトニドであり、そして混合物を約45℃〜約50℃の温度に加熱することによってAPIをアセトンと水との混合物中に溶解する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
濾過が1または2以上の膜に通して濾過することを含んでなり、前記膜の1または2以上が滅菌膜である、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
濾過をLAFフードまたはグローブボックス中で実施する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
膜がポリテトラフルオロエチレン (PTFE) 膜、ポリフッ化ビニリデン (PVDF) 膜およびナイロン6.6膜から選択される、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
濾過が少なくとも2回の連続的濾過を含んでなる、請求項16〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
濾過が3回の連続的濾過を含んでなる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
第1 濾過が滅菌に使用する前濾過であり、第2 濾過がポリテトラフルオロエチレン (PTFE) 膜に通す濾過であり、そして第3 濾過がポリフッ化ビニリデン (PVDF) または濾過等級のナイロン膜に通す濾過である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
APIを溶媒中に溶解することによってAPIの溶液を調製する温度と同一温度において濾過を実施する、請求項16〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
濾液の濃縮、濾液への抗溶媒に添加、濾液の冷却およびそれらの組合わせから成る群から選択される工程により、APIの沈殿を誘発させる、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
濾過工程を実施する温度と同一温度において、濃縮工程を実施する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
APIの沈殿が濾液を濃縮し、そして濃縮された濾液を約0℃〜約20℃に冷却することを含んでなる、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
冷却を約15分〜約4時間実施する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
抗溶媒が水である、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
APIを濾液から結晶化させる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
APIがトリアムシノロンアセトニドであり、そして抗溶媒の水を約60℃〜約90℃の温度において添加する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
抗溶媒の水を約75℃〜約85℃の温度において添加する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
沈殿したAPIの回収をフィルター乾燥器または遠心乾燥器により実施する、請求項1〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
濾過をフィルター乾燥器により実施し、そして濾過がフィルター乾燥器中に回収されたAPIを乾燥することをさらに含んでなる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
乾燥が回収されたAPIの加熱、フィルター乾燥器中の圧力の減少およびそれらの組合わせから成る群から選択される工程を含んでなる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
加熱を約30℃〜約97℃の温度において実施する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
乾燥したAPIを約15℃〜約35℃の温度に冷却することをさらに含んでなる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
APIがトリアムシノロンアセトニドであり、そして加熱を約93℃〜約97℃の温度において実施する、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
回収されたAPIの包装が濾過乾燥からの取出し、そして無菌の固体状APIを無菌の容器中に包装する工程を無菌のLAFフードまたはグローブボックス中で実施することを含んでなる、請求項32〜35のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
図1または図2におけるダイヤグラムの装置中で実施する、請求項1〜37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
装置を最初に滅菌する、請求項37に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−44935(P2008−44935A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−189890(P2007−189890)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(505216117)シコール インコーポレイティド (35)
【Fターム(参考)】