固体発光デバイス用のピクセル構造
発光デバイスは、発光中心、たとえば、半導体ナノ粒子を有する広バンドギャップ材料を有する、基板上に堆積された1つまたは複数の活性層を有する活性層構造を含む。活性層構造から光を実際に取り出すために、透明電極が、活性層構造を覆って配設され、ベース電極が、基板の下に設置される。活性層構造の上部層より高い導電率を有する遷移層は、上部透明電極と活性層構造との間、および、活性層構造と基板との間の接触領域に形成される。したがって、活性層構造に関連する高電界領域は、接触領域から後方に離れるように移動し、それにより、透明電極と、活性層構造と、基板との間に流れる所望の電流を生成するのに必要な電界が減少し、また、大きな電界の関連する有害な作用が低減される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、参照によって本明細書に組み込まれる2005年12月28日に出願された米国特許出願第60/754,185号からの優先権を主張する。
【0002】
本発明は、発光デバイスに関し、特に、実用的な固体発光デバイスを提供する発光デバイス用のピクセル構造に関する。
【背景技術】
【0003】
照射および投影用の照明システムを構築する場合、光源の形状およびシステムの光学コンポーネントが、得られる光ビームを正確に成形する手段を与えるので、光源の形状を調節することができることに対してかなりの利点が存在する。得られる光ビームの形状は、Yatsuda他に対する2005年4月28日に公開された「Vehicle Lamp」という名称の米国公開特許出願第2005/088853号、および、Yasushi Yatsuda他に対する2005年2月24日に公開された「Light Source and Vehicle Lamp」という名称の米国公開特許出願第2005/041434号に開示されるように、特に、自動車産業用の固体ヘッドランプの作製において、照明システムの重要な態様である。作動原理は、適当な光学部品を組合せたときに、光分布パターンを生成することができる発光形状および輝度分布を形成するように配置される光源素子の配置構成を構築することである。
【0004】
残念ながら、従来の成形された発光デバイスは、LEDなどの、いくつかの個々の発光素子から構築されなければならず、化合物半導体処理技術の固有の制限、たとえば、基板と活性層との間の格子不整合のために、通常、約4mm2より大きい面積で構築されることができない。さらに、個々の発光素子は、通常、個々の素子のそれぞれについて、物理的な搭載、光学的結合、および電気的な相互接続を行う必要があるため、互いの5ミリメートル以内に配置されることができない。したがって、構築された発光形状は、隣接照射エリアを提供せず、単位面積当たりの利用可能な輝度に固有の制限を有する。さらに、形状の洗練度または滑らかさは、個々の発光素子の粒度によって制限され、また、発光素子は、搭載および相互接続における物理的制約のために、一定サイズより小さくされることができない。
【0005】
広バンドギャップ半導体材料または絶縁性誘電体内に形成されるナノ粒子からの電気伝導および発光の性質に対する最近の研究は、絶縁性材料内のナノ粒子の形成によって、非常にわずかの導電率しか示さない広バンドギャップ誘電体半導体材料の導電率を増加させようとして行われてきた。適当な電界の印加によって、電流は、トンネル・プロセスによって流されることができ、トンネル・プロセスは、印加された電界からナノ粒子へエネルギーを効率的に移動させ、そのエネルギーを、シリコン・ナノ粒子内の衝撃イオン化プロセスによって励起子の形態で格納することができる。励起子は、放射的に再結合し、そのエネルギーが、広バンドギャップ材料内のナノ粒子のサイズによって決定される光子を放出することができ、または、ナノ粒子は、特有の波長で光子を放出する希土類ドーパントにエネルギーを移動させることができる。ナノ粒子を有する広バンドギャップ誘電体層は、発光中心の集合体を含む光学的に活性な層からなる。いくつかの材料が、GaN、窒化シリコン、および二酸化シリコンを含む広バンドギャップ半導体または誘電体材料として使用される可能性がある。発光中心は、シリコン、炭素、ゲルマニウム、および種々の希土類を含むいろいろな適合性材料および適合性材料の組合せから形成されることができる。
【0006】
技術的理由と経済的理由で、シリコンリッチ・シリコン酸化物(SRSO)膜は、シリコン・ベース材料からの光の効率的な発生を調査するために開発されている。SRSO膜は、過剰のシリコンと、おそらくは、酸化物内への希土類の組み込みが存在する二酸化シリコンからなる。過剰のシリコンの量は、膜の電気的特性、特に、バルク導電率および誘電率を決定するであろう。酸化物内の過剰のシリコンによって、膜は高温でアニールされ、過剰なシリコンが、合体して、バルク酸化物膜ホスト・マトリックスを通して分散された小さなシリコン・ナノ粒子、たとえば、ナノ結晶内になる。シリコン・ナノ粒子のサイズおよび分布は、堆積状態およびアニール状態において初めに組み込まれた過剰のシリコンによって影響を受ける可能性がある。
【0007】
広バンドギャップ半導体または誘電体内に埋め込まれた半導体ナノ粒子を使用して形成された光学的に活性な層は、参照により本明細書に組み込まれる、Hillの名の下で2006年7月25日に発行された「Doped Semiconductor Powder and Preparation Thereof」という名称の米国特許第7,081,664号と、Hillに対する2006年10月17日に発行された「Solid State White Light Emitter and Display Using Same」という名称の米国特許第7,122,842号と、Hillの名の下で2004年8月5日に公開された「Braodband Optical Pump Source for Optical Amplifiers, Planar Optical Amplifiers, Planar Optical Circuits and Planar Optical Lasers Fabricated Using Group IV Semiconductor Nanocrystals」という名称の米国公開特許出願第2004/151,461号と、Hill他の名の下に2004年10月28日に公開された「Doped Semiconductor Nanocrystal Layers and Preparation Thereof」という名称の米国公開特許出願第2004/214,362号と、Hillの名の下に2004年12月16日に公開された「Light Emitting Diodes and Planar Optical Lasers Using IV Semiconductor Nanocrystals」という名称の米国公開特許出願第2004/252,738号において実証された。上述の参考文献は、活性半導体層の異なる形態および活性半導体層の基礎にある物理的原理に関連する。したがって、活性半導体層を含む固体発光デバイスを製造することについて、工業化するかまたは実用的な解決策を与えるのに必要な構造的要件を決定するための真剣な努力が行われてこなかった。
【0008】
図1を参照すると、上述した材料を含む実用的な発光デバイス1の従来の実施態様は、ナノ粒子を含む適当な厚さの誘電体材料の活性層3がその上に堆積されることになる、出発導電性基板2、たとえば、N+シリコン基板からなることになる。活性層3への電流の注入および活性層3内で発生するいずれの光をも観測する能力は、透明導電性電極が、活性層3の上部に堆積されることを必要とするであろう。インジウム・スズ酸化物、ITOは、その優れた光透過率と導電率特性のために、現在、オプトエレクトロニクス・デバイスにおいて最も広く使用される透明導電性酸化物である。ITOは、約3.5eVのバンドギャップを有する縮退的にドープした半導体である。ITOについて測定された典型的なシート抵抗は、10Ω/sqほどの低さから100Ω/sqを十分に越えるまでの範囲である。導電率は、この材料において見出される非常に高いキャリア濃度のためである。ITO層4の仕事関数は、堆積条件に応じて、4.5eV〜4.8eVであることがわかっている。N+シリコン基板2の仕事関数は4.05eVである。ITO層4とシリコン基板2との仕事関数の差は、どの界面がカソードとしてバイアスされるかに応じて、また、注入充電量に応じて、電子電流注入の非対称性をもたらすであろう。仕事関数は、接触特性を支配し、エレクトロルミネセント・デバイスの安定で、かつ、確実な動作にとって非常に重要である。
【0009】
その後、金属化ステップが行われ、電流の注入のために、ITO層4と基板2上に、それぞれ、オーム性接触部5および6が形成される。高電界の印加が、適切な動作のために必要とされ、得られる電流は、光学的に活性な層3およびその層との任意の界面の電子特性に損傷を与え、電子特性を変える可能性があるホット・エネルギー・キャリアからなるであろう。
【0010】
例として、基板2は、光学活性のために希土類元素をドープされた約150nm厚のSRSO活性層3が上に堆積された0.001Ω−cmのn型シリコン基板である。透明導電性電極4は、ITOの300nm層を使用して形成される。最後に、前面ITO4に接触する金属接触層5が、TiN/Alを使用して形成され、シリコン・ウェハ基板2の背面に接触するために、Al層6が使用される。
【0011】
低い電界では、SRSO活性層3内で、電流が存在せず、構造はキャパシタとして振舞う。特有の閾値電界より大きな電界の印加によって、バイアスに応じて、接触部6を介してN+基板2から、または、接触部5を介してITO電極4からSRSO活性層3内に電子が注入されることができる。シリコン・ナノ粒子によるポテンシャル井戸(potential well)内に存在する電子は、ナノ粒子トラップから出て、ホストSiO2マトリックスの伝導帯へトンネリングするように低下する電界誘導バリアに結合した熱放出を受ける。ホスト・マトリックスの伝導帯内にあると、電子は、印加電界によって加速され、移動距離に伴う運動エネルギーを獲得する。シリコン・ナノ粒子間の距離は、1ホップ当たりの電子の総エネルギー利得を決定するであろう。
【0012】
545nmの波長の緑色光を生成するために、SRSO活性層3は、希土類ドーパント・エルビウムまたはテルビウムをドープされてもよい。545nm光子の放出に関連するエネルギーは、約2.3eVである。活性層3内のシリコン・ナノ粒子間の電流が弾道輸送によって支配されるために、ナノ粒子間の最大間隔は、<5nmであるべきである。4nm間隔の場合、電界の最大の大きさは、約6MV/cmであることがわかっており、約6MV/cmでは、伝導電子は、完全にホットになり、バルク酸化物トラップによるナノ粒子間の酸化物に、シリコン基板2と活性層3との間の界面に、また、界面状態の生成による活性層3およびITO層4にかなりの損傷をもたらす可能性がある。ITOは、約1MV/cmの高電界から損傷を受け易く、In2O3およびSnO2の分解をもたらす可能性があると思われている。ITO表面の電界が十分に高い場合には、インジウム・イオンおよびまたはスズ・イオンは共に表面領域近くに移動し、活性層界面に集中することがあり、これが仕事関数の局所的な低下を引き起こす。この領域における局所的な仕事関数は、インジウムおよびスズについて、それぞれ、約4.4eVおよび4.2eVに減少することになり、ITO層4の電子注入特性の著しい増加と局所電流ホギングによるホット・スポットの形成をもたらすことになり、おそらくは、デバイス破壊が生じる。
【0013】
高電界がデバイス構造に及ぼす第2の作用は、SiO2のバンドギャップに位置するトラップされた電子状態および活性層/シリコン基板に位置する界面状態の形成である。SiO2領域内のトラップ状態の発生は、SRSO膜の内部電界および電流伝導を減少させ、一定電流を維持するためにより高い電界の印加を必要とするであろう。正電荷トラッピングはまた、基板からの正孔注入によって、または、衝撃イオン化プロセスによって起こる可能性がある。エネルギー>2eVである伝導電子の場合、トラップは、アノードに位置する水素修飾欠陥の放出によって形成される。水素は、印加電界の下でカソードの方にドリフトし、カソードにおいて、水素は、電子をトラップし、電流を制限することが可能な界面状態を生成する。
【0014】
これらの作用は全て、活性層3との接触界面の近傍の内部電界を修正する、場合によっては、増加するのに役立ち、発光デバイス1の早期絶縁破壊および破壊をもたらすであろう。
【0015】
SRSO活性層3内の過剰のシリコン含有量を増加させることによって、2つのことが起こることになる。第1は、得られる膜の誘電率は、過剰のシリコンの存在によって増加するであろう。すなわち、過剰のシリコン(εSi=11.9対εOX=3.9)の体積濃度が増加するにつれて、シリコンの誘電率は、SRSO材料の全体の誘電率に影響を及ぼし、最終的にはそれを支配し始めるであろう。また、第2に、ナノ粒子間の間隔が減少し、介在する酸化物によって提供されるバリアの薄化をもたらすであろう。このバリアの厚さが十分に減少する場合、ナノ粒子間での直接トンネリングの増加が起こるであろう。SRSO活性層3の過剰のシリコン含有量が増加するにつれて、ナノ粒子の密度が増加し、ナノ粒子間の距離が減少し、薄い酸化物バリアにわたる電子波動関数の直接オーバラップの増加が可能になり、トンネリングの可能性が増す、すなわち、導電率の増加が、より低い電界についてより多くの電流をもたらす。さらに、ITO層4とN+シリコン基板2との間の仕事関数の差による電流注入非対称性もまた減少することが予想される。この直接トンネリングの増加によって、所与の電流を維持するのに、低い電界が必要とされる。図2は、異なるアニール温度、たとえば、異なるシリコン含有量を有する活性層についての屈折率対電界強度のプロットによって、この作用を明確に示す。1.5mA/cm2の一定電流密度が、活性層3を通して強制的に加えられ、電界は、厚さによって決定される。図を見てわかるように、屈折率の増加によって指示されるように過剰のシリコン含有量を増加させることは、一定電流密度を維持するために必要とされる電界のかなりの減少をもたらす。屈折率の大きなSRSO活性層膜のこの特性(characteristic)を使用して、光学的に活性なSRSOデバイス構造の信頼性およびホット・エレクトロン抵抗が改善されるであろう。
【特許文献1】米国公開特許出願第2005/088853号
【特許文献2】米国公開特許出願第2005/041434号
【特許文献3】米国特許第7,081,664号
【特許文献4】米国特許第7,122,842号
【特許文献5】米国公開特許出願第2004/151,461号
【特許文献6】米国公開特許出願第2004/214,362号
【特許文献7】米国公開特許出願第2004/252,738号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、ホット・キャリアおよび本デバイスの動作とのホット・キャリアの相互作用から生じることになる有害な作用を低減し、制御するために、電流注入界面に隣接してナノ粒子リッチ層を設置することによって従来技術の欠点を克服することである。
【0017】
固体発光デバイスを構築するのに今日使用される主要な技術は、全て、アルミニウム・ガリウム・インジウム・リン化物、インジウム・ガリウム窒化物などのいろいろな種類のIII−V族またはII−VI族化合物半導体材料を使用する。比較的高い内部効率を提供することができるこうした材料が開発されてきたが、従来の照明技術と競合できることを必要とされる高いレベルの総合電力変換効率は、達成するのが非常に難しいことがわかっている。今日の最も重要な制限は、抽出効率であり、抽出効率は、有効放射光を提供するための、デバイスを出る内部生成光の量の尺度である。抽出問題に対する実行可能な解決策だけに関して、固体技術は、従来技術よりも効率が優れることができ、そのため、大量採用を可能にする。したがって、抽出効率を改善するいずれの方法も、固体照明産業にとって非常に重要である。
【0018】
LEDなどの固体光エミッタでは、光は、デバイスのバルク内で、場合によっては、薄膜内で生成される。光がデバイスを出て、空気に放射されるとき、界面に垂直な光線(ray)は、効率的に出るであろう。しかし、臨界角より大きな角度で界面に達する光は、全反射を受けるため、有効放射光として利用可能でなく、代わりに、デバイス内の熱として消耗される。消耗された光は、今日の固体照明デバイスの抽出効率を制限する主要な因子である。損失量は、発光材料の屈折率と外部媒体、すなわち、実際の場合、空気の屈折率との不一致の量に依存する。たとえば、2.5〜4.0の範囲の屈折率を有する典型的なLED材料に関して、空気に対する抽出効率は、2%〜4%に過ぎない。
【0019】
抽出効率を改善するのに一般に使用される最も簡単な方法は、空気より高い屈折率を有する透明材料でダイを封止することであり、それにより、屈折率の不一致が減るため、全反射による損失が減少する。たとえば、1.5〜1.6の範囲の屈折率を有する封止剤を使用することによって、従来のLED材料についての抽出効率は、4%〜10%に上がる可能性があり、それは、改善であるが、依然として、非常に低いレベルの効率を示す。したがって、表面のきめ出し、シリコン・レンズ作用、およびエッジ発光収集器を含む、全反射損失を低減する他の方法を見出すために行われる多大の作業が存在する。こうした多くの方法が先に述べられたが、こうした方法は、全て、製造プロセスに対してかなりのコストと複雑さを付加する傾向があり、通常、2倍を超える改善を提供することができない。結果として、20%を超える抽出効率は、先に想定された材料システムのいずれを用いても、実際上、達成可能でない。
【0020】
費用がかかりかつ不完全な先に参照した機構は、屈折率が不一致であっても、抽出効率を最適化しようとする。対照的に、本発明の目的は、よく一致した屈折率を有する材料から封止剤および発光層を構築し、したがって、特別な表面処理の必要無しで、光エミッタ/封止剤界面での全反射を実質的になくすことによって完全な、または、ほぼ完全な抽出を提供する。
【0021】
本発明の別の目的は、単一半導体基板上に発光エリアを構築することによって、従来技術の欠点を克服することであり、単一半導体基板上で、発光エリアの形状はフォトリソグラフィ的に画定され、それにより、発光エリアが、接触するか、または、ほぼ接触するように、また、たとえば、長さおよび幅がセンチメートルからメートルまでの任意のサイズであり、湾曲した幾何学形状、たとえば、円形、卵形、楕円形を形成する湾曲した、または、弧状の線を含むことが可能になる。したがって、全アセンブリがモノリシックに構築されるため、単位面積当たりの輝度は最大化されることができ、任意の形状および任意の分解能の形状が構築されることができ、発光エリアのサイズはずっとコンパクトであることができる。放出される光は、白色を含む任意の色であってよい。本発明の変形では、発光エリアは、それぞれが独自の電気接続を有する異なるエリアに細分されてもよく、そのため、ビーム形状を変更する電子手段を提供する。さらなる変形では。これらの異なるエリアは、異なる色の光を発生してもよいため、得られるビームの色はまた、異なる素子の相対強度を変えることによって電子的に制御されることができる。利用可能なカラー・パレットは、白色を含んでもよく、また、色温度およびカラー・レンダリング指数に対するコントロールを含む。
【0022】
さらに、標準的な集積回路に適合するプロセスを採用することによって、本発明は、発光素子と同じチップ上に複雑な電子回路要素を集積化することができるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0023】
したがって、本発明は、発光デバイスに関し、発光デバイスは、
基板と、
第1波長の光を放出する発光中心の集合体を有する少なくとも第1活性層(active layer)を含む、基板上に支持された活性層構造と、
上部透明電極および第2ベース電極を含む、活性層構造に電界を印加する一組の電極と、
上部透明電極と活性層構造との間に、活性層構造の上部層より高い導電率を有する第1遷移層とを備え、
それにより、活性層構造に関連する高電界領域は、活性層構造と透明電極との間の第1接触領域から後方に離れるように移動し、
それにより、第1接触領域にわたって流れる所望の電流を生成するのに必要な電界を減少し、かつ、大きな電界の関連する有害な作用を低減する。
【0024】
本発明は、本発明の好ましい実施形態を示す添付図面を参照してより詳細に述べられるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図3を参照すると、本発明による発光デバイス11は、活性層構造13がその上に堆積される、適した半導体基板12を含む。活性層構造13がその上に形成される基板12は、およそ1000℃以上の高温に耐えることが可能であるように形成され、選択される。適した基板の例は、いずれも、たとえば、1×1020〜5×1021ドーパント/cm3をnドープされるか、または、pドープされることができるシリコン・ウェハまたはポリ・シリコン層、溶融シリカ、亜鉛酸化物層、石英、サファイア・シリコン・カーバイド、または金属基板を含む。上記基板の一部は、任意選択で、熱成長した酸化物層を有することができ、その酸化物層は、厚さが約2000nmまでであることができ、1〜20nmの厚さが好ましい。上記基板の一部は、任意選択で、堆積された導電性層を有することができ、堆積された導電性層は、50〜2000nmの厚さを有することができるが、好ましくは、100〜500nmである。熱的安定性と機械的安定性が保持される限り、基板の厚さは重要でない。
【0026】
活性層構造13は、発光中心を含む単一活性層または複数の活性層からなることができ、それぞれの層は、独立に選択された組成と厚さ、たとえば、以降で述べるように、希土類ドーピング元素が有る場合または無い場合で、かつ、炭素ドーピングが有る場合または無い場合の、広バンドギャップ半導体または誘電体材料、たとえば、IV族(たとえば、Si、Ge、Sn、およびPb)酸化物または窒化物マトリックス内の半導体(Si、Ge、Sn、およびPbなどのIV族)ナノ粒子を有する。特定の例は、二酸化シリコン・マトリックス(SRSO)内のシリコン・ナノ粒子およびシリコン窒化物マトリックス内のシリコン・ナノ粒子を含む。あるいは、活性層は、希土類酸化物で構成されることができる。異なる組成を有する活性層を使用することによって、多色構造が調製されることができる。たとえば、エルビウム、ツリウム、およびユウロピウムをドープした半導体ナノ粒子層を単一構造内で組合せることは、緑色(テルビウム)、青色(セリウム)、および赤色(ユウロピウム)またはその色の組合せの蛍光を発することができる構造を提供する。活性層は、個別に制御可能な回路素子として、積層されるか、または、並べて構築されることができる。活性層構造13は、プラズマ増強化学気相堆積(PECVD)、分子ビーム・エピタキシ、パルス・レーザ堆積、スパッタリング、およびゾルゲル・プロセスなどの多くの適切な方法のうちの1つの方法によって堆積されることができる。好ましくは、希土類元素は、セリウム、プラセオジウム、ネオジニウム、プロメチウム、ガドリニウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、サマリウム、ジスプロシウム、テルビウム、ユウロピウム、ホルミウム、またはルテチウムなどのランタニド元素である。しかし、希土類元素は、トリウムなどのアクチニド元素であってもよい。
【0027】
上部透明電流注入(電極)層14、たとえば、インジウム・スズ酸化物(ITO)などの透明導電性酸化物(TCO)は、活性層構造13上に搭載され、底部電極16と共に、活性層構造13にACまたはDC電力が印加されることを可能にする。好ましくは、電流注入層14は、150〜500nmの厚さを有し、電流注入層14の化学組成と厚さは、半導体構造が70Ω・cm未満の抵抗率を有するようなものである。バッファ電気接触部17、たとえば、TiNは、前面電流注入層14と上部電気接触部15、たとえば、Alとの間に配置される。バッファ接触部17は、上部電気接触部15が、ワイヤ・ボンディング接触部用の適した表面を提供しながら、前面透明電流注入層14と上部電気接触部15との間にオーム性接触点を提供する。あるいは、透明電極14およびバッファ電気接触部17用の他の適した材料が使用されるであろう。背面反射器18は、活性層構造13と基板12との間に設けられて、基板12の方に内側に放出される光を、発光表面、すなわち、TCO電流注入層14の方に戻るように反射することができる。
【0028】
従来の発光デバイスでは、光学的に活性なSRSO層は、通常、過剰のシリコン濃度を有し、1.5〜1.6の測定屈折率をもたらす。接触界面における約6MV/cmの電界は、1.5mA/cm2の電子電流がこうしたSRSO層内に流れるようにさせるのに必要とされる。特に、活性層構造12が、比較的低いコンダクタンスを有する何らかの形態の広バンドギャップまたは誘電体材料からなる上部層および下部層を含むとき、それぞれ、基板12および電流注入層14に関する活性層構造13の界面に、薄いセット・バックまたは遷移層19aおよび19bを付加することによって、光学的に活性な層構造13を通して、同じ電流が流されることができるが、たとえば、TCO14と活性層構造13との間、および、活性層構造13と基板12との間の注入界面における電界は、今や6MV/cmから<2MV/cmへ減少するであろう。好ましくは、遷移層19aおよび19bは、成長中は、活性層構造13と同じか、または、類似の材料で形成されるが、活性層構造13に対して、高い導電率、すなわち、高い材料濃度、および、高い屈折率、たとえば、1.9〜2.3の範囲の屈折率を有するSRSOを有する。しかし、遷移層19aおよび19bにおいて、他の導電性材料(たとえば、金属など)を配置することが可能である。遷移層19aおよび19bは、接触電極15および16から活性層構造13への電子の注入効率を著しく増加させ、電流の流れに必要とされる電界の減少によって立証された接触界面からの直接トンネリングによって仕事関数の非対称性を減少させる。遷移層19aおよび19bは、界面に関連するホット・エレクトロン効果に対する抵抗の増加を提供し、局所的な電荷蓄積からの電流注入層14およびシリコン基板12の界面に対する遮蔽も提供し、電界増強電流注入をもたらす。さらに、遷移層19aおよび19bは、光学的に活性な領域に関連する高電界領域を接触界面から後方に離れて設定するセット・バック層の役をする。したがって、遷移層19aおよび19bの付加は、デバイス11の信頼性と寿命を著しく改善する。
【0029】
200nm厚SRSO活性層構造13の場合、遷移層19aおよび19bは、およそ5nm〜20nm、好ましくは、8nm〜12nm、最も好ましくは、10nmである。すなわち、活性層構造13の厚さの、好ましくは、2.5%〜10%、より好ましくは、4%〜6%、最も好ましくは、5%は、界面における電界を著しく減少させるのに十分であることになる。遷移層19aおよび19bは、先に説明したように、高電界トラップおよび界面発生問題の低減をもたらし、より頑強で効率的な光学的に活性なデバイス構造をもたらすべきである。
【0030】
例示的なプロセスでは、成長プロセスの半導体コンポーネント、たとえば、シリコン・コンポーネントは、最初に、堆積の始めに高い値に設定される。値は、所望の屈折率、したがって、所望される過剰の半導体、たとえば、過剰のシリコン含有量に基づいて決定される。第1遷移層19aの適切な厚さが堆積された後、成長プロセスの半導体コンポーネントは、活性層構造13内の1つまたは複数の層の形成に必要とされる1つまたは複数の値に調整される。活性層構造13の十分な厚さが堆積された後、成長プロセスの半導体コンポーネントは、最初に使用された高い値に再び増加され、第2遷移層19bの所望の厚さが堆積される。完了すると、成長プロセスが終了し、膜が適切にアニールされて、活性層および遷移層内に半導体ナノ粒子、たとえば、シリコン・ナノ粒子が形成される。
【0031】
フィールド酸化物領域
2次元シミュレーションの結果が、図4に示され、透明電極14、たとえば、インジウム・スズ酸化物(ITO)のエッジは、薄い、たとえば、0.05μm〜1.0μmのシリコンリッチ・シリコン酸化物層13(SRSO)および基板12上に配設された厚い、たとえば、0.5μm〜5μmのフィールド酸化物(FOX)領域を覆って設置される。ITO電極14の内部エッジは、薄いSRSO酸化物層13にわたる電界集中の強化をもたらす。逆に、厚いフィールド酸化物領域(FOX)を覆うITO電極14の外側エッジは、より広がった電位輪郭を示し、ITO電極14の外側エッジにおける電界の減少を示す。広がりは、フィールド酸化物FOX領域の厚さの増加による。したがって、ITO電極14がSRSO層13上で直接終了するとき、エッジにおける電界は非常に高いが、ITO電極14がFOX領域の上部で終了するとき、エッジにおける電界はずっと低い。シミュレーションは、ITOエッジ電界に対するフィールド酸化物の作用を示す。ITO電極は、100V、Eフィールド=10MV/cmにバイアスされる。
【0032】
したがって、図5を参照すると、本発明による発光デバイス構造20内への厚いフィールド酸化物(FOX)領域21の組み込みは、単純なプレーナ・デバイスより効率的であるデバイスを生産するときに有利である。上述したように、単一のまたは複数のSRSOの活性層構造22または発光中心を有する他の適した活性層は、FOX領域21および基板23を覆って堆積される。基板23は、4.05eVの仕事関数を有する0.001Ω−cmのnタイプ・シリコン基板であることができるが、任意の適した基板材料で十分であるであろう。透明電極層24は、活性層構造22の上部に配設される。透明電極層24は、上述したインジウム・スズ酸化物(ITO)または他の透明導電性酸化物(TCO)を含む任意の適した材料であることができる。全ての金属相互接続部および接触部26は、図3に示すように厚いフィールド酸化物領域21上に、たとえば、厚いフィールド酸化物領域21の真上に設置されるべきである。この理由は、単に、活性層構造22を被覆する金属を有する任意のエリアが、金属接触部26を通して光を放出することができず、したがって、光は、異なる方向に散乱し、実際上消失するからである。結果として、金属領域26の下の領域に注入される電流もまた、消耗され、電流が有効光出力に全く寄与しないため、システムの外部効率を減少させる。金属接触部26の下の領域を厚いフィールド酸化物領域21上に設置することによって、下にある厚いフィールド酸化物領域21が電流の流れに対する障壁を表すため、金属接触部26の直下への電流注入が存在しない。したがって、透明電極層24を介する任意の電流注入が光の発生に寄与する、活性層構造22の光学的に活性な領域は、FOX領域21間のデバイス・ウェル27だけに限定される。
【0033】
上述したように、上部金属接触部26と共に電界を発生する底部接触層28が設けられる。反射層29が、活性層構造22と底部接触層28との間に被覆され、または、堆積されて、デバイス・ウェル27の方に戻るように光を反射させる。さらに、遷移層31および32は、活性層構造22の一部を形成することができ、先に述べたように、それぞれ、基板23および透明電極層24に関する活性層構造22の界面用のセット・バック層を提供する。
【0034】
ACバイアスを使用するとき、デバイス・キャパシタンスに関連する変位電流のために、全デバイス・キャパシタンスは、実際のトンネリング電流の測定を難しくする可能性がある。この作用を低減するために、フィールド酸化物層21上に金属および接触部26を設置することは、この領域に関連する寄生キャパシタンスを減少させるであろう。フィールド酸化物層21が、光学的に活性な層、たとえば、SRSO層23に対して、比較的非常に厚い、たとえば、2〜10倍、好ましくは、4〜6倍であるため、単位面積当たりのフィールド酸化物キャパシタンスCFOXは、CSRSOより著しく小さい。したがって、全キャパシタンスは、単に、CFOXとCSRSOの直列合成であり、全デバイス・キャパシタンスおよび測定される変位電流の大きさの減少をもたらす。
【0035】
フィールド酸化物領域21は、垂直な電流の流れに対する障壁を提供し、電流の流れをデバイス・ウェル27に限定する。フィールド酸化物領域21はまた、金属接触部に関連する寄生キャパシタンスを減少させ、全デバイス・キャパシタンスを最小にする。
【0036】
封止剤層
デバイス20の抽出効率を改善するために、封止剤層35が、デバイス・ウェル27を覆って配設される。封止剤35は、活性層構造22の屈折率によく一致した屈折率を有する材料から作られ、そのため、特別な表面処理の必要無しで、光エミッタ/封止剤界面での全反射を実質的になくす。こうした材料システムの例は、封止剤層35としての光学エポキシに結合された、活性層22としてのシリコンリッチ・シリコン酸化物(SRSO)である。活性層22と封止剤層35は共に、1.4〜1.7、好ましくは、1.5〜1.6の範囲の屈折率で製造されることができるため、適切な生産制御によって非常によく一致する可能性がある。
【0037】
封止剤/空気界面での全反射量を最小にするために、湾曲状の、または、半球状の表面を有する封止剤35が、形成され、したがって、レンズのように働き、レンズ機能を提供する。半球形状は、光線の非常に多くの部分が、臨界角以内で封止剤35を出ることを可能にし、そのため、全反射を回避する。限界において、球の封止剤からなり、まさにその中心に点光源を有する仮想デバイスを考える場合、全ての光線が表面に垂直に当たるため、相対屈折率がたとえどんな値であっても、全ての光線は反射しないことになるため、光抽出は100%になるであろう。封止剤35は、所望の方向に抽出された光の量を最大にするために、レンズの形状をとる。
【0038】
封止剤35は、実際には、発光デバイス20を作るために特別に製造される透明エポキシであることになり、中間の屈折率を有するアプリケーションに適合する化学物質および他の特性によって開発されてきた。しかし、概念的に、任意の透明材料が使用されることができる。透明性以外の、本発明に関連する唯一の作動特徴は、もちろん、屈折率である。透明であり、かつ、正しい屈折率を有する限り、それは、透明ゲルの小塊であるか、または、実際にはともかく任意の材料であることができる。
【0039】
実用的に有用である総合効率を得るために、活性層構造22は、実用的なレベルの効率で光を発生することができるように構築されなければならず、それにより、背面反射器が無い状態で30%〜40%の範囲の総合効率、背面反射器が有る状態で50%または100%の理論的な最大値を有するデバイスを設計製作することが可能になり、これは、以前に入手可能な材料システムに関して得られる効率の少なくとも2倍である。
【0040】
例のプロセス
図6〜18を参照すると、本発明による製造プロセスは、基板23で始まる(図6)。パッド酸化物層41aおよび41b(約500オングストローム厚)は、乾燥酸素熱酸化によって基板23の対向する側で熱成長して、後続のステップ中に基板が保護される、たとえば、金属接触部が基板23から電気的に分離される(図7a)。窒化物層42aおよび42b、たとえば、シリコン窒化物(約900オングストローム厚)は、適した堆積技法、たとえば、LPCVDによってパッド酸化物層41aおよび41bを覆って堆積される(図7b)。
【0041】
図8では、上部窒化物層42aは、対向する側上でパターニングされ、パッド酸化物層41aまで下方にプラズマ・エッチングされ、中央ストリップだけが残る。フィールド酸化物領域21は、パッド酸化物層41aの中央ストリップの対向する側上の開放されたエリアで成長する。好ましくは、フィールド酸化物領域21を構成する1μmの熱酸化物は、発熱性蒸気炉を使用して成長する(図9)。窒化物層42aの中央ストリップからの任意の酸化された窒化物は、短時間ウェット・エッチで除去され、その後、窒化物層42aからの残りの任意の窒化物は、短時間プラズマ・エッチによって中央ストリップから除去される。残りのパッド酸化物層41aは、その後、活性層構造22の堆積に備えて、ウェット・エッチによって中央ストリップから除去される(図10)。
【0042】
図11は、フィールド酸化物領域21を覆って、また、デバイス・ウェル27内への活性層構造22の堆積を示し、自然に傾斜したフィールド酸化物遷移部が形成される、すなわち、(デバイス・ウェル27に隣接する)フィールド酸化物領域21の内側エッジは、傾斜した上部表面によって実質的にある点までテーパが付けられる。自然に傾斜したFOX遷移部は、2つの目的に役立つ。第1に、遷移部は、良好な段差カバリジを可能にする。デバイス・ウェル27におけるFOX領域21のエッジが、たとえば、1ミクロン高さの垂直段差であった場合、光学的に活性な層構造22の底部層などの、後続のいずれの薄膜層も、垂直段差をちょうど越えるように少なくとも1ミクロン厚である必要があることになる。こうした厚い膜は、動作のために非常に大きな電圧を必要とすることになる。遷移部を傾斜させることによって、ずっと薄い膜が堆積される可能性があり、膜の連続性が段差にわたって維持される。第2に、酸化物は、デバイス・ウェル27の底部からフィールド酸化物領域21の上まで徐々に厚くなるため、TCO24と基板23との間の垂直電界の徐々の減少が存在する。結果として、活性層構造22の絶縁破壊をもたらす可能性がある電界クラウディングが存在しない。
【0043】
先の図3および5を参照して、また、以下で図19〜21を参照して規定される活性層構造22は、通常、0.05μm〜1.0μm厚であり、遷移層31および32がその両側にある状態で、1つまたは複数の活性層を含むことができる。窒化物キャッピング層43、たとえば、シリコン窒化物(約300オングストローム厚)は、適した堆積方法、たとえば、PECVDによって活性層構造22を覆って堆積され、高温アニール中に活性層構造22を半導体ナノ粒子の不注意の酸化から保護するのに使用される。高温アニール後に、窒化物キャッピング層43と元の底部窒化物層42bは共に、除去される(図12)。透明電極層24は、フィールド酸化物領域21とデバイス・ウェル27の上部を覆うことを含んで、活性層構造22の上部に堆積される。好ましくは、透明電極層24は、たとえば、空気中でアニールするステップにさらされ、ずっと高い抵抗率の均一性および抵抗率の降下をもたらす。さらに、アニールするステップは、次の工程に適用可能な、より一貫性のあるエッチ性能およびより平滑なエッチ・プロファイルを提供する。
【0044】
透明電極層24のストリップは、その対向するエッジから除去される、すなわち、エッチング除去され、肩部44を生成し(図14)、デバイスの横方向分離を提供する。次に、別の窒化物層46、たとえば、シリコン窒化物(最大1500オングストローム厚)が、透明電極層24を覆って堆積され、肩部44内に充填される(図15)。フィールド酸化物領域21の上部を覆う窒化物層46のストリップは、除去、たとえば、エッチング除去され、金属接触部26用の開口を提供する(図16)。図17は、金属接触部26を窒化物層46内に固定するための、窒化物層46内のストリップに対するTiHまたはニッケル接着(glue)/障壁層47の堆積を示す。底部パッド酸化物層41bは、底部金属接触部28、たとえば、アルミニウム接触部を固定する前に、除去される。反射性皮膜29は、基板23の底部に、または、底部金属接触部28の付着の前に底部金属接触部28上に設置されることができる。
【0045】
本発明の実施形態によって提供される1つのタイプの好ましい活性層構造22'は、図19の例によって示される超格子構造であり、その構造は、基板23上に支持された、二酸化シリコンなどの広バンドギャップ半導体または誘電体バッファ層52によって分離された、すなわち、交互に重ねられた複数の活性層51、たとえば、半導体ナノ粒子を備える。活性層51はそれぞれ、1nm〜10nmの厚さを有する。活性層構造22'は、異なる波長の光を放出するように設計された活性層51を備えることができ、それにより、波長の合成は、所望の出力光、たとえば、白色を生成する。異なる波長を放出する、たとえば、異なる希土類ドーピング元素を有する層は、互いに散在することができる、または、同じ波長を放出するいくつかの層51は、異なる波長を放出する別の複数の層51の上部に積層されることができる。超格子構造について、最大厚さは存在しないが、利用可能な電圧の大きさに応じて、50nm〜2000nmの厚さが好ましく、150nm〜750nmの厚さがより好ましい。遷移層59aおよび59bは、以降で説明する理由によって、それぞれ、基板23と底部誘電体層52との間、および、上部誘電体層52と透明電極(図18を参照されたい)との間に付加されることができる。
【0046】
図19に示す構造は、介在する層が無い状態で互いに接触する隣接層を示すが、付加的な層は、列挙した層に干渉しない程度まで利用されることができる。したがって、コーティング(coating)および接触する(in contact)という用語は、付加的に介在するものの、干渉しない層の可能性を排除しない。
【0047】
超格子構造22用の例示的なプロセスでは、成長プロセスの半導体コンポーネント、たとえば、シリコン・コンポーネントは、最初に、堆積の始めに高い値に設定される。値は、所望の屈折率、したがって、所望される過剰な半導体、たとえば、過剰なシリコン含有量に基づいて決定される。第1遷移層59aの適切な厚さが堆積された後、成長プロセスの半導体コンポーネントは、第1バッファ層52の形成に必要とされる値に調整される。半導体コンポーネントの濃度は、その後、活性層構造13内の層が全て堆積されるまで、活性層51用の量とバッファ層52用の量との間で交互にされる。活性層構造13の十分な厚さが堆積されると、成長プロセスの半導体コンポーネントは、最初に使用された高い値に再び増加され、第2遷移層59bの所望の厚さが堆積される。完了すると、成長プロセスが終了し、膜が適切にアニールされて、活性層および遷移層内に半導体ナノ粒子、たとえば、シリコン・ナノ粒子が形成される。
【0048】
シリコン窒化物マトリックス内に小さなシリコン・ナノ粒子を埋め込むことによって、シリコン・ナノ粒子の放射寿命は、チッソ原子によるナノ粒子の表面パッシベーション作用および励起子の電子および正孔波動関数の強い結合作用によって、ナノ秒および/またはサブ・ナノ秒レジームに近づく可能性がある。
【0049】
シリコン・ナノ粒子がシリコン窒化物マトリックス内に形成される均一に堆積されたSiNx膜は、一般に、サイズの範囲が比較的広く、空間分布、特に、ナノ粒子間の分離距離がランダムである。さらに、SiNx膜内に形成されるシリコン・ナノ粒子は、高温にさらされると、連結した小さいクラスタを形成する場合があり、発光効率に影響を及ぼすことになる。これは、膜堆積後のデバイス処理の柔軟性を厳しく制限する可能性がある。ナノ粒子サイズと分離距離の変動の組合せは、こうした膜内に形成されるシリコン・ナノ粒子構造のエレクトロルミネセンス効率に著しい影響をもたらす可能性がある。
【0050】
シリコン・ナノ粒子がシリコン窒化物マトリックス内に埋め込まれる膜では、膜内の電流伝導が、シリコン窒化物ホストの高トラップ密度によって著しく影響を受け、したがって、シリコン・ナノ粒子内に励起子を生成するためのエネルギーを電界から獲得する注入された電荷キャリアの効率に有害な影響を与える場合がある。しかし、本発明による加工(engineered)構造は、半導体窒化物の活性層間にバッファ層を設けることによって、上述の問題を全てなくし、それにより、ナノ粒子間に適切な距離を保証する。さらに、薄い活性層、すなわち、ナノ粒子、サイズを提供することにより、ナノ粒子のサイズをより厳密に制御することができる。
【0051】
図20を特に参照すると、活性層構造22''は、本発明の別の実施形態による加工膜構造を備え、編成された層の複数の異なる組62、63、および64によって形成され、この構造では、活性層65、66、および67は、それぞれ純粋の広バンドギャップ半導体または誘電体材料からなるバッファ層68、69、および70によって分離される。AC電圧によって駆動される加工膜活性層構造22''の場合、電圧が振動すると、電流が両方向に流れることになるため、バッファ層68および70は、それぞれ、活性層65間および活性層67間、ならびに、電極26と28との間に配設される。
【0052】
ナノ粒子、たとえば、ナノ結晶のサイズは、ナノ粒子がそこに存在する活性層65、66、および67の厚さにほぼ等しい。それぞれの活性層65、66、および67内のナノ粒子のサイズ、すなわち、層65、66、および67の厚さは、所望の色の発光を生じるための特定の励起エネルギーについて設計される。希土類をドープされた二酸化シリコン・マトリックス・ホスト内のシリコン・ナノ結晶の場合の、ナノ粒子径d(ナノメートル単位)と励起エネルギーE(電子ボルト単位)との間の理論的関係は、
【0053】
E=1.143+5.845/(d2+1.274d+0.905)−6.234/(d2+3.391d+1.412)
で与えられる。
【0054】
たとえば、赤色光子(d=2.9nm)の場合、約1.9eVであり、緑色光子(d=2.1nm)の場合、約2.3eVであり、青色光子(d=1.6nm)の場合、約2.8eVである。ナノ粒子層内にまたはナノ粒子層の近くに設置される希土類イオン種は、層内のナノ結晶(または、その逆)の励起エネルギーに整合する波長で放射するように選択される。
【0055】
希土類ドーピングが無い状態のIV族(たとえば、シリコン)窒化物マトリックス・ホスト内のIV族(たとえば、シリコン)ナノ結晶の場合、または、希土類ドーピングが無い状態の二酸化シリコン・マトリックス・ホスト内のIV族(たとえば、シリコン)ナノ結晶の場合、ナノ結晶から所望の色の発光を生じるための特定の励起エネルギーを生成する励起エネルギー式は、
【0056】
E=E0+C/d2
であることが示された。
【0057】
ここで、E0=1.16eVであり、C=11.8eV−nm2である。
【0058】
したがって、赤色発光層の厚さ、すなわち、シリコン窒化物マトリックス内にシリコン・ナノ結晶を有する活性層内のナノ結晶の径は、4nmであり、緑色層の場合、3.25nmであり、青色層の場合、2.6nmである。
【0059】
バッファ層68、69、および70の厚さは、隣り合うナノ粒子活性層65、66、および67内のナノ粒子のサイズによく一致する(closely matched)。層65〜70の平面に垂直に印加される電界の場合、ナノ粒子を正しいエネルギーに励起するのに十分なエネルギーを、印加された電界から電子が獲得しなければならず、バッファ層68、69、および70内で獲得されるエネルギー(eVで測定される)は、バッファ層68、69、または70の厚さで乗算された電界に等しい。たとえば、5MV/cmの印加電界の場合、バッファ層の厚さは、ナノ粒子を1.9eVに励起するために3.8nm(1.9eV/0.5eV/nm=3.8nm)以上でなければならず、ナノ粒子を2.3eVに励起するために4.6nm以上でなければならず、または、ナノ粒子を2.8eVに励起するために5.6nm以上でなければならない。隣り合うナノ粒子層、たとえば、65および66が、異なる波長で放出する、AC電力によって駆動される加工膜活性層構造22の場合、介在するバッファ層、たとえば68は、ナノ粒子をより高いエネルギー層に励起するのに十分に厚くなければならない。
【0060】
加工膜活性層構造22''は、シリコン酸化物マトリックス内において、また、希土類イオンおよび炭素などの他の不純物をドープされたシリコン・ナノ粒子に基づく固体発光デバイスの、光束(光出力電力)、効率(内部電力変換効率および外部発光効率)、カラー・レンダリング指数(CRI)、デバイス信頼性および寿命、ならびに、デバイス製造性/コスト/収率の大幅な改善を提供する。
【0061】
希土類イオンは、活性層65、66、および67内に、バッファ層68、69、および70内に、または、両方に組み込まれてもよい。好ましい構造は、ナノ粒子から希土類イオンへのエネルギー移動効率が最大になり、励起された希土類イオンの放射発光効率が最大になるような濃度で希土類を活性層65、66、および67内にだけ組み込む。関係する物理的プロセスの複雑さのために、最適化は、一般に、実験的プロセスである。ナノ粒子層内にまたはナノ粒子層の近くに設置される希土類イオン種は、層内のナノ粒子(または、その逆)の励起エネルギーに一致する波長で放射するように選択される。
【0062】
他の不純物は、必要である場合、通常ナノ粒子層65、66、または67内にだけ組み込まれるが、活性層構造22''内のどこにでも設置されることができる。たとえば、ナノ粒子の測定された励起エネルギーは理論的に予想されるほどには高くないことを観測結果が判定したため、広バンドギャップ半導体または誘電体マトリックス、たとえば、シリコン酸化物マトリックス内の希土類イオンに移動するナノ粒子の励起エネルギーを上げるために、炭素原子が必要とされる場合がある。
【0063】
バッファ層68、69、および70は、最も高い品質であるべきである、すなわち、特定の処理技術の能力内でこうした材料に関して達成可能な、ほとんど欠陥の無い状態で密であるべきであり、それにより、印加された高電界下で、デバイスの寿命および信頼性が最大になるであろう。
【0064】
活性層65、66、および67用の、炭素および希土類ドーピングが有る状態または無い状態のシリコンリッチ・シリコン酸化物、ならびに、バッファ層68、69、および70用の、二酸化シリコンは、加工膜構造における好ましい材料である。活性層65、66、および67用の、希土類ドーピングが有る状態または無い状態のシリコンリッチ・シリコン窒化物、ならびに、バッファ層68、69、および70用の、シリコン窒化物などの他の材料システムもまた、この加工構造で使用されることができる。発光中心を同様に含む希土類酸化物もまた、活性層65、66、および67で使用されることができる。
【0065】
任意の層内のナノ粒子の密度は、堆積中に、前記層内の過剰のシリコン含有量を変えることによって、また、アニール条件(たとえば、アニール温度および時間)を変えることによって変更されることができる。ナノ粒子層65、66、および67内のナノ粒子密度は、ナノ結晶間の相互作用またはナノ粒子の凝集をもたらすことになる密度より低いままにされながら、放出光の強度を増加させるために、好ましくは、できる限り高い。
【0066】
活性層構造22''内の反復層65〜70の総数は、膜全体に印加される電圧によって、また、効率的でかつ確実な動作に必要とされる電界によって決定される。簡単な近似では、ナノ粒子層65、66、および67にわたって、ほんのわずかの電圧が降下するため、必要とされる層の数は、印加電圧を電界で割り、かつ、バッファ層68、69、および70の厚さで割った値に等しいであろう。たとえば、印加電圧が110Vであるとき、1つの誘電体層69内の所望の電界は5MV/cm(すなわち、0.5V/nm)であり、所望の励起エネルギーは2.3eVであり、それにより、ナノ粒子層66は2.1nm厚であり、バッファ層は4.6nm厚であり、反復層対66/69の総数は、
【0067】
(110V)/(0.5V/nm)/(4.6nm)=48層または対
である。
【0068】
活性層とバッファ層の同じ対を反復することによる、加工膜活性層構造22''によって、単一色が放出されることができる。膜全体が、それぞれの構成色についていくつかの層対を備えるため、混合色、たとえば、白色が、加工活性層構造22''によって放出されることができる。たとえば、活性層/誘電体層のN個の対は、全体で、青色用のk個の対65/68、緑色用のm個の対66/69、および、琥珀色/赤色/橙色用のn個の対67/70を備えてもよい。ここで、k+m+n=Nである。色対、たとえば、65/68、66/69、および67/70のそれぞれの数は、所望のカラー・レンダリング指数(CRI)が達成されることができるように変わってもよい。たとえば、暖かい白色は、青色65/68に比べて赤色の多くの対を必要とし、一方、冷たい白色は、逆のことを必要とする。
【0069】
白色または他の多色発光の場合、また、背面反射器29が構造内に含まれるデバイス20の場合、エネルギーの最も低い(波長の最も長い、たとえば、赤色の)発光層を反射器29の最も近くに、エネルギーの最も高い(波長の最も短い、たとえば、青色の)層を発光表面の最も近くに設置することが好ましい。中間波長、たとえば、緑色を放出する層は、最も長い波長と最も短い波長を放出する層の中間に設置される。
【0070】
図21は、DC電力、すなわち、アノード62とカソード63によって駆動される加工膜活性層構造22'''を示す。活性層65、66、および67、ならびに、バッファ層68、69、および70のほとんどは、加工活性層構造22''のものと同一である。しかし、電子が一方向に進むだけであるため、異なるタイプの活性層間の介在するバッファ層は、ナノ粒子層内のナノ粒子をアノード近くまで励起するために正しい厚さでなければならない。したがって、加工膜構造22'''は、好ましくは、カソードにおいてバッファ層68で、アノードにおいてナノ粒子層67で終端する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】従来の発光デバイスを示す図である。
【図2】異なるシリコンリッチ・シリコン酸化物活性層についての屈折率対電界強度のプロットである。
【図3】遷移層を有する本発明による発光デバイスの側面図である。
【図4】透明電極のエッジが薄いシリコンリッチ・酸化物層を覆って設置され、厚いフィールド酸化物(FOX)領域が基板上に配設される2次元シミュレーションの結果を示す図である。
【図5】本発明による発光デバイスの側面図である。
【図6】図5のデバイスの製造工程を示す図である。
【図7】図5のデバイスの製造工程を示す図である。
【図8】図5のデバイスの製造工程を示す図である。
【図9】図5のデバイスの製造工程を示す図である。
【図10】図5のデバイスの製造工程を示す図である。
【図11】図5のデバイスの製造工程を示す図である。
【図12】図5のデバイスの製造工程を示す図である。
【図13】図5のデバイスの製造工程を示す図である。
【図14】図5のデバイスの製造工程を示す図である。
【図15】図5のデバイスの製造工程を示す図である。
【図16】図5のデバイスの製造工程を示す図である。
【図17】図5のデバイスの製造工程を示す図である。
【図18】図5のデバイスの製造工程を示す図である。
【図19】図5のデバイスの活性層構造の実施形態を示す図である。
【図20】図5のデバイスの活性層構造の別の実施形態を示す図である。
【図21】図5のデバイスの活性層構造の別の実施形態を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、参照によって本明細書に組み込まれる2005年12月28日に出願された米国特許出願第60/754,185号からの優先権を主張する。
【0002】
本発明は、発光デバイスに関し、特に、実用的な固体発光デバイスを提供する発光デバイス用のピクセル構造に関する。
【背景技術】
【0003】
照射および投影用の照明システムを構築する場合、光源の形状およびシステムの光学コンポーネントが、得られる光ビームを正確に成形する手段を与えるので、光源の形状を調節することができることに対してかなりの利点が存在する。得られる光ビームの形状は、Yatsuda他に対する2005年4月28日に公開された「Vehicle Lamp」という名称の米国公開特許出願第2005/088853号、および、Yasushi Yatsuda他に対する2005年2月24日に公開された「Light Source and Vehicle Lamp」という名称の米国公開特許出願第2005/041434号に開示されるように、特に、自動車産業用の固体ヘッドランプの作製において、照明システムの重要な態様である。作動原理は、適当な光学部品を組合せたときに、光分布パターンを生成することができる発光形状および輝度分布を形成するように配置される光源素子の配置構成を構築することである。
【0004】
残念ながら、従来の成形された発光デバイスは、LEDなどの、いくつかの個々の発光素子から構築されなければならず、化合物半導体処理技術の固有の制限、たとえば、基板と活性層との間の格子不整合のために、通常、約4mm2より大きい面積で構築されることができない。さらに、個々の発光素子は、通常、個々の素子のそれぞれについて、物理的な搭載、光学的結合、および電気的な相互接続を行う必要があるため、互いの5ミリメートル以内に配置されることができない。したがって、構築された発光形状は、隣接照射エリアを提供せず、単位面積当たりの利用可能な輝度に固有の制限を有する。さらに、形状の洗練度または滑らかさは、個々の発光素子の粒度によって制限され、また、発光素子は、搭載および相互接続における物理的制約のために、一定サイズより小さくされることができない。
【0005】
広バンドギャップ半導体材料または絶縁性誘電体内に形成されるナノ粒子からの電気伝導および発光の性質に対する最近の研究は、絶縁性材料内のナノ粒子の形成によって、非常にわずかの導電率しか示さない広バンドギャップ誘電体半導体材料の導電率を増加させようとして行われてきた。適当な電界の印加によって、電流は、トンネル・プロセスによって流されることができ、トンネル・プロセスは、印加された電界からナノ粒子へエネルギーを効率的に移動させ、そのエネルギーを、シリコン・ナノ粒子内の衝撃イオン化プロセスによって励起子の形態で格納することができる。励起子は、放射的に再結合し、そのエネルギーが、広バンドギャップ材料内のナノ粒子のサイズによって決定される光子を放出することができ、または、ナノ粒子は、特有の波長で光子を放出する希土類ドーパントにエネルギーを移動させることができる。ナノ粒子を有する広バンドギャップ誘電体層は、発光中心の集合体を含む光学的に活性な層からなる。いくつかの材料が、GaN、窒化シリコン、および二酸化シリコンを含む広バンドギャップ半導体または誘電体材料として使用される可能性がある。発光中心は、シリコン、炭素、ゲルマニウム、および種々の希土類を含むいろいろな適合性材料および適合性材料の組合せから形成されることができる。
【0006】
技術的理由と経済的理由で、シリコンリッチ・シリコン酸化物(SRSO)膜は、シリコン・ベース材料からの光の効率的な発生を調査するために開発されている。SRSO膜は、過剰のシリコンと、おそらくは、酸化物内への希土類の組み込みが存在する二酸化シリコンからなる。過剰のシリコンの量は、膜の電気的特性、特に、バルク導電率および誘電率を決定するであろう。酸化物内の過剰のシリコンによって、膜は高温でアニールされ、過剰なシリコンが、合体して、バルク酸化物膜ホスト・マトリックスを通して分散された小さなシリコン・ナノ粒子、たとえば、ナノ結晶内になる。シリコン・ナノ粒子のサイズおよび分布は、堆積状態およびアニール状態において初めに組み込まれた過剰のシリコンによって影響を受ける可能性がある。
【0007】
広バンドギャップ半導体または誘電体内に埋め込まれた半導体ナノ粒子を使用して形成された光学的に活性な層は、参照により本明細書に組み込まれる、Hillの名の下で2006年7月25日に発行された「Doped Semiconductor Powder and Preparation Thereof」という名称の米国特許第7,081,664号と、Hillに対する2006年10月17日に発行された「Solid State White Light Emitter and Display Using Same」という名称の米国特許第7,122,842号と、Hillの名の下で2004年8月5日に公開された「Braodband Optical Pump Source for Optical Amplifiers, Planar Optical Amplifiers, Planar Optical Circuits and Planar Optical Lasers Fabricated Using Group IV Semiconductor Nanocrystals」という名称の米国公開特許出願第2004/151,461号と、Hill他の名の下に2004年10月28日に公開された「Doped Semiconductor Nanocrystal Layers and Preparation Thereof」という名称の米国公開特許出願第2004/214,362号と、Hillの名の下に2004年12月16日に公開された「Light Emitting Diodes and Planar Optical Lasers Using IV Semiconductor Nanocrystals」という名称の米国公開特許出願第2004/252,738号において実証された。上述の参考文献は、活性半導体層の異なる形態および活性半導体層の基礎にある物理的原理に関連する。したがって、活性半導体層を含む固体発光デバイスを製造することについて、工業化するかまたは実用的な解決策を与えるのに必要な構造的要件を決定するための真剣な努力が行われてこなかった。
【0008】
図1を参照すると、上述した材料を含む実用的な発光デバイス1の従来の実施態様は、ナノ粒子を含む適当な厚さの誘電体材料の活性層3がその上に堆積されることになる、出発導電性基板2、たとえば、N+シリコン基板からなることになる。活性層3への電流の注入および活性層3内で発生するいずれの光をも観測する能力は、透明導電性電極が、活性層3の上部に堆積されることを必要とするであろう。インジウム・スズ酸化物、ITOは、その優れた光透過率と導電率特性のために、現在、オプトエレクトロニクス・デバイスにおいて最も広く使用される透明導電性酸化物である。ITOは、約3.5eVのバンドギャップを有する縮退的にドープした半導体である。ITOについて測定された典型的なシート抵抗は、10Ω/sqほどの低さから100Ω/sqを十分に越えるまでの範囲である。導電率は、この材料において見出される非常に高いキャリア濃度のためである。ITO層4の仕事関数は、堆積条件に応じて、4.5eV〜4.8eVであることがわかっている。N+シリコン基板2の仕事関数は4.05eVである。ITO層4とシリコン基板2との仕事関数の差は、どの界面がカソードとしてバイアスされるかに応じて、また、注入充電量に応じて、電子電流注入の非対称性をもたらすであろう。仕事関数は、接触特性を支配し、エレクトロルミネセント・デバイスの安定で、かつ、確実な動作にとって非常に重要である。
【0009】
その後、金属化ステップが行われ、電流の注入のために、ITO層4と基板2上に、それぞれ、オーム性接触部5および6が形成される。高電界の印加が、適切な動作のために必要とされ、得られる電流は、光学的に活性な層3およびその層との任意の界面の電子特性に損傷を与え、電子特性を変える可能性があるホット・エネルギー・キャリアからなるであろう。
【0010】
例として、基板2は、光学活性のために希土類元素をドープされた約150nm厚のSRSO活性層3が上に堆積された0.001Ω−cmのn型シリコン基板である。透明導電性電極4は、ITOの300nm層を使用して形成される。最後に、前面ITO4に接触する金属接触層5が、TiN/Alを使用して形成され、シリコン・ウェハ基板2の背面に接触するために、Al層6が使用される。
【0011】
低い電界では、SRSO活性層3内で、電流が存在せず、構造はキャパシタとして振舞う。特有の閾値電界より大きな電界の印加によって、バイアスに応じて、接触部6を介してN+基板2から、または、接触部5を介してITO電極4からSRSO活性層3内に電子が注入されることができる。シリコン・ナノ粒子によるポテンシャル井戸(potential well)内に存在する電子は、ナノ粒子トラップから出て、ホストSiO2マトリックスの伝導帯へトンネリングするように低下する電界誘導バリアに結合した熱放出を受ける。ホスト・マトリックスの伝導帯内にあると、電子は、印加電界によって加速され、移動距離に伴う運動エネルギーを獲得する。シリコン・ナノ粒子間の距離は、1ホップ当たりの電子の総エネルギー利得を決定するであろう。
【0012】
545nmの波長の緑色光を生成するために、SRSO活性層3は、希土類ドーパント・エルビウムまたはテルビウムをドープされてもよい。545nm光子の放出に関連するエネルギーは、約2.3eVである。活性層3内のシリコン・ナノ粒子間の電流が弾道輸送によって支配されるために、ナノ粒子間の最大間隔は、<5nmであるべきである。4nm間隔の場合、電界の最大の大きさは、約6MV/cmであることがわかっており、約6MV/cmでは、伝導電子は、完全にホットになり、バルク酸化物トラップによるナノ粒子間の酸化物に、シリコン基板2と活性層3との間の界面に、また、界面状態の生成による活性層3およびITO層4にかなりの損傷をもたらす可能性がある。ITOは、約1MV/cmの高電界から損傷を受け易く、In2O3およびSnO2の分解をもたらす可能性があると思われている。ITO表面の電界が十分に高い場合には、インジウム・イオンおよびまたはスズ・イオンは共に表面領域近くに移動し、活性層界面に集中することがあり、これが仕事関数の局所的な低下を引き起こす。この領域における局所的な仕事関数は、インジウムおよびスズについて、それぞれ、約4.4eVおよび4.2eVに減少することになり、ITO層4の電子注入特性の著しい増加と局所電流ホギングによるホット・スポットの形成をもたらすことになり、おそらくは、デバイス破壊が生じる。
【0013】
高電界がデバイス構造に及ぼす第2の作用は、SiO2のバンドギャップに位置するトラップされた電子状態および活性層/シリコン基板に位置する界面状態の形成である。SiO2領域内のトラップ状態の発生は、SRSO膜の内部電界および電流伝導を減少させ、一定電流を維持するためにより高い電界の印加を必要とするであろう。正電荷トラッピングはまた、基板からの正孔注入によって、または、衝撃イオン化プロセスによって起こる可能性がある。エネルギー>2eVである伝導電子の場合、トラップは、アノードに位置する水素修飾欠陥の放出によって形成される。水素は、印加電界の下でカソードの方にドリフトし、カソードにおいて、水素は、電子をトラップし、電流を制限することが可能な界面状態を生成する。
【0014】
これらの作用は全て、活性層3との接触界面の近傍の内部電界を修正する、場合によっては、増加するのに役立ち、発光デバイス1の早期絶縁破壊および破壊をもたらすであろう。
【0015】
SRSO活性層3内の過剰のシリコン含有量を増加させることによって、2つのことが起こることになる。第1は、得られる膜の誘電率は、過剰のシリコンの存在によって増加するであろう。すなわち、過剰のシリコン(εSi=11.9対εOX=3.9)の体積濃度が増加するにつれて、シリコンの誘電率は、SRSO材料の全体の誘電率に影響を及ぼし、最終的にはそれを支配し始めるであろう。また、第2に、ナノ粒子間の間隔が減少し、介在する酸化物によって提供されるバリアの薄化をもたらすであろう。このバリアの厚さが十分に減少する場合、ナノ粒子間での直接トンネリングの増加が起こるであろう。SRSO活性層3の過剰のシリコン含有量が増加するにつれて、ナノ粒子の密度が増加し、ナノ粒子間の距離が減少し、薄い酸化物バリアにわたる電子波動関数の直接オーバラップの増加が可能になり、トンネリングの可能性が増す、すなわち、導電率の増加が、より低い電界についてより多くの電流をもたらす。さらに、ITO層4とN+シリコン基板2との間の仕事関数の差による電流注入非対称性もまた減少することが予想される。この直接トンネリングの増加によって、所与の電流を維持するのに、低い電界が必要とされる。図2は、異なるアニール温度、たとえば、異なるシリコン含有量を有する活性層についての屈折率対電界強度のプロットによって、この作用を明確に示す。1.5mA/cm2の一定電流密度が、活性層3を通して強制的に加えられ、電界は、厚さによって決定される。図を見てわかるように、屈折率の増加によって指示されるように過剰のシリコン含有量を増加させることは、一定電流密度を維持するために必要とされる電界のかなりの減少をもたらす。屈折率の大きなSRSO活性層膜のこの特性(characteristic)を使用して、光学的に活性なSRSOデバイス構造の信頼性およびホット・エレクトロン抵抗が改善されるであろう。
【特許文献1】米国公開特許出願第2005/088853号
【特許文献2】米国公開特許出願第2005/041434号
【特許文献3】米国特許第7,081,664号
【特許文献4】米国特許第7,122,842号
【特許文献5】米国公開特許出願第2004/151,461号
【特許文献6】米国公開特許出願第2004/214,362号
【特許文献7】米国公開特許出願第2004/252,738号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、ホット・キャリアおよび本デバイスの動作とのホット・キャリアの相互作用から生じることになる有害な作用を低減し、制御するために、電流注入界面に隣接してナノ粒子リッチ層を設置することによって従来技術の欠点を克服することである。
【0017】
固体発光デバイスを構築するのに今日使用される主要な技術は、全て、アルミニウム・ガリウム・インジウム・リン化物、インジウム・ガリウム窒化物などのいろいろな種類のIII−V族またはII−VI族化合物半導体材料を使用する。比較的高い内部効率を提供することができるこうした材料が開発されてきたが、従来の照明技術と競合できることを必要とされる高いレベルの総合電力変換効率は、達成するのが非常に難しいことがわかっている。今日の最も重要な制限は、抽出効率であり、抽出効率は、有効放射光を提供するための、デバイスを出る内部生成光の量の尺度である。抽出問題に対する実行可能な解決策だけに関して、固体技術は、従来技術よりも効率が優れることができ、そのため、大量採用を可能にする。したがって、抽出効率を改善するいずれの方法も、固体照明産業にとって非常に重要である。
【0018】
LEDなどの固体光エミッタでは、光は、デバイスのバルク内で、場合によっては、薄膜内で生成される。光がデバイスを出て、空気に放射されるとき、界面に垂直な光線(ray)は、効率的に出るであろう。しかし、臨界角より大きな角度で界面に達する光は、全反射を受けるため、有効放射光として利用可能でなく、代わりに、デバイス内の熱として消耗される。消耗された光は、今日の固体照明デバイスの抽出効率を制限する主要な因子である。損失量は、発光材料の屈折率と外部媒体、すなわち、実際の場合、空気の屈折率との不一致の量に依存する。たとえば、2.5〜4.0の範囲の屈折率を有する典型的なLED材料に関して、空気に対する抽出効率は、2%〜4%に過ぎない。
【0019】
抽出効率を改善するのに一般に使用される最も簡単な方法は、空気より高い屈折率を有する透明材料でダイを封止することであり、それにより、屈折率の不一致が減るため、全反射による損失が減少する。たとえば、1.5〜1.6の範囲の屈折率を有する封止剤を使用することによって、従来のLED材料についての抽出効率は、4%〜10%に上がる可能性があり、それは、改善であるが、依然として、非常に低いレベルの効率を示す。したがって、表面のきめ出し、シリコン・レンズ作用、およびエッジ発光収集器を含む、全反射損失を低減する他の方法を見出すために行われる多大の作業が存在する。こうした多くの方法が先に述べられたが、こうした方法は、全て、製造プロセスに対してかなりのコストと複雑さを付加する傾向があり、通常、2倍を超える改善を提供することができない。結果として、20%を超える抽出効率は、先に想定された材料システムのいずれを用いても、実際上、達成可能でない。
【0020】
費用がかかりかつ不完全な先に参照した機構は、屈折率が不一致であっても、抽出効率を最適化しようとする。対照的に、本発明の目的は、よく一致した屈折率を有する材料から封止剤および発光層を構築し、したがって、特別な表面処理の必要無しで、光エミッタ/封止剤界面での全反射を実質的になくすことによって完全な、または、ほぼ完全な抽出を提供する。
【0021】
本発明の別の目的は、単一半導体基板上に発光エリアを構築することによって、従来技術の欠点を克服することであり、単一半導体基板上で、発光エリアの形状はフォトリソグラフィ的に画定され、それにより、発光エリアが、接触するか、または、ほぼ接触するように、また、たとえば、長さおよび幅がセンチメートルからメートルまでの任意のサイズであり、湾曲した幾何学形状、たとえば、円形、卵形、楕円形を形成する湾曲した、または、弧状の線を含むことが可能になる。したがって、全アセンブリがモノリシックに構築されるため、単位面積当たりの輝度は最大化されることができ、任意の形状および任意の分解能の形状が構築されることができ、発光エリアのサイズはずっとコンパクトであることができる。放出される光は、白色を含む任意の色であってよい。本発明の変形では、発光エリアは、それぞれが独自の電気接続を有する異なるエリアに細分されてもよく、そのため、ビーム形状を変更する電子手段を提供する。さらなる変形では。これらの異なるエリアは、異なる色の光を発生してもよいため、得られるビームの色はまた、異なる素子の相対強度を変えることによって電子的に制御されることができる。利用可能なカラー・パレットは、白色を含んでもよく、また、色温度およびカラー・レンダリング指数に対するコントロールを含む。
【0022】
さらに、標準的な集積回路に適合するプロセスを採用することによって、本発明は、発光素子と同じチップ上に複雑な電子回路要素を集積化することができるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0023】
したがって、本発明は、発光デバイスに関し、発光デバイスは、
基板と、
第1波長の光を放出する発光中心の集合体を有する少なくとも第1活性層(active layer)を含む、基板上に支持された活性層構造と、
上部透明電極および第2ベース電極を含む、活性層構造に電界を印加する一組の電極と、
上部透明電極と活性層構造との間に、活性層構造の上部層より高い導電率を有する第1遷移層とを備え、
それにより、活性層構造に関連する高電界領域は、活性層構造と透明電極との間の第1接触領域から後方に離れるように移動し、
それにより、第1接触領域にわたって流れる所望の電流を生成するのに必要な電界を減少し、かつ、大きな電界の関連する有害な作用を低減する。
【0024】
本発明は、本発明の好ましい実施形態を示す添付図面を参照してより詳細に述べられるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図3を参照すると、本発明による発光デバイス11は、活性層構造13がその上に堆積される、適した半導体基板12を含む。活性層構造13がその上に形成される基板12は、およそ1000℃以上の高温に耐えることが可能であるように形成され、選択される。適した基板の例は、いずれも、たとえば、1×1020〜5×1021ドーパント/cm3をnドープされるか、または、pドープされることができるシリコン・ウェハまたはポリ・シリコン層、溶融シリカ、亜鉛酸化物層、石英、サファイア・シリコン・カーバイド、または金属基板を含む。上記基板の一部は、任意選択で、熱成長した酸化物層を有することができ、その酸化物層は、厚さが約2000nmまでであることができ、1〜20nmの厚さが好ましい。上記基板の一部は、任意選択で、堆積された導電性層を有することができ、堆積された導電性層は、50〜2000nmの厚さを有することができるが、好ましくは、100〜500nmである。熱的安定性と機械的安定性が保持される限り、基板の厚さは重要でない。
【0026】
活性層構造13は、発光中心を含む単一活性層または複数の活性層からなることができ、それぞれの層は、独立に選択された組成と厚さ、たとえば、以降で述べるように、希土類ドーピング元素が有る場合または無い場合で、かつ、炭素ドーピングが有る場合または無い場合の、広バンドギャップ半導体または誘電体材料、たとえば、IV族(たとえば、Si、Ge、Sn、およびPb)酸化物または窒化物マトリックス内の半導体(Si、Ge、Sn、およびPbなどのIV族)ナノ粒子を有する。特定の例は、二酸化シリコン・マトリックス(SRSO)内のシリコン・ナノ粒子およびシリコン窒化物マトリックス内のシリコン・ナノ粒子を含む。あるいは、活性層は、希土類酸化物で構成されることができる。異なる組成を有する活性層を使用することによって、多色構造が調製されることができる。たとえば、エルビウム、ツリウム、およびユウロピウムをドープした半導体ナノ粒子層を単一構造内で組合せることは、緑色(テルビウム)、青色(セリウム)、および赤色(ユウロピウム)またはその色の組合せの蛍光を発することができる構造を提供する。活性層は、個別に制御可能な回路素子として、積層されるか、または、並べて構築されることができる。活性層構造13は、プラズマ増強化学気相堆積(PECVD)、分子ビーム・エピタキシ、パルス・レーザ堆積、スパッタリング、およびゾルゲル・プロセスなどの多くの適切な方法のうちの1つの方法によって堆積されることができる。好ましくは、希土類元素は、セリウム、プラセオジウム、ネオジニウム、プロメチウム、ガドリニウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、サマリウム、ジスプロシウム、テルビウム、ユウロピウム、ホルミウム、またはルテチウムなどのランタニド元素である。しかし、希土類元素は、トリウムなどのアクチニド元素であってもよい。
【0027】
上部透明電流注入(電極)層14、たとえば、インジウム・スズ酸化物(ITO)などの透明導電性酸化物(TCO)は、活性層構造13上に搭載され、底部電極16と共に、活性層構造13にACまたはDC電力が印加されることを可能にする。好ましくは、電流注入層14は、150〜500nmの厚さを有し、電流注入層14の化学組成と厚さは、半導体構造が70Ω・cm未満の抵抗率を有するようなものである。バッファ電気接触部17、たとえば、TiNは、前面電流注入層14と上部電気接触部15、たとえば、Alとの間に配置される。バッファ接触部17は、上部電気接触部15が、ワイヤ・ボンディング接触部用の適した表面を提供しながら、前面透明電流注入層14と上部電気接触部15との間にオーム性接触点を提供する。あるいは、透明電極14およびバッファ電気接触部17用の他の適した材料が使用されるであろう。背面反射器18は、活性層構造13と基板12との間に設けられて、基板12の方に内側に放出される光を、発光表面、すなわち、TCO電流注入層14の方に戻るように反射することができる。
【0028】
従来の発光デバイスでは、光学的に活性なSRSO層は、通常、過剰のシリコン濃度を有し、1.5〜1.6の測定屈折率をもたらす。接触界面における約6MV/cmの電界は、1.5mA/cm2の電子電流がこうしたSRSO層内に流れるようにさせるのに必要とされる。特に、活性層構造12が、比較的低いコンダクタンスを有する何らかの形態の広バンドギャップまたは誘電体材料からなる上部層および下部層を含むとき、それぞれ、基板12および電流注入層14に関する活性層構造13の界面に、薄いセット・バックまたは遷移層19aおよび19bを付加することによって、光学的に活性な層構造13を通して、同じ電流が流されることができるが、たとえば、TCO14と活性層構造13との間、および、活性層構造13と基板12との間の注入界面における電界は、今や6MV/cmから<2MV/cmへ減少するであろう。好ましくは、遷移層19aおよび19bは、成長中は、活性層構造13と同じか、または、類似の材料で形成されるが、活性層構造13に対して、高い導電率、すなわち、高い材料濃度、および、高い屈折率、たとえば、1.9〜2.3の範囲の屈折率を有するSRSOを有する。しかし、遷移層19aおよび19bにおいて、他の導電性材料(たとえば、金属など)を配置することが可能である。遷移層19aおよび19bは、接触電極15および16から活性層構造13への電子の注入効率を著しく増加させ、電流の流れに必要とされる電界の減少によって立証された接触界面からの直接トンネリングによって仕事関数の非対称性を減少させる。遷移層19aおよび19bは、界面に関連するホット・エレクトロン効果に対する抵抗の増加を提供し、局所的な電荷蓄積からの電流注入層14およびシリコン基板12の界面に対する遮蔽も提供し、電界増強電流注入をもたらす。さらに、遷移層19aおよび19bは、光学的に活性な領域に関連する高電界領域を接触界面から後方に離れて設定するセット・バック層の役をする。したがって、遷移層19aおよび19bの付加は、デバイス11の信頼性と寿命を著しく改善する。
【0029】
200nm厚SRSO活性層構造13の場合、遷移層19aおよび19bは、およそ5nm〜20nm、好ましくは、8nm〜12nm、最も好ましくは、10nmである。すなわち、活性層構造13の厚さの、好ましくは、2.5%〜10%、より好ましくは、4%〜6%、最も好ましくは、5%は、界面における電界を著しく減少させるのに十分であることになる。遷移層19aおよび19bは、先に説明したように、高電界トラップおよび界面発生問題の低減をもたらし、より頑強で効率的な光学的に活性なデバイス構造をもたらすべきである。
【0030】
例示的なプロセスでは、成長プロセスの半導体コンポーネント、たとえば、シリコン・コンポーネントは、最初に、堆積の始めに高い値に設定される。値は、所望の屈折率、したがって、所望される過剰の半導体、たとえば、過剰のシリコン含有量に基づいて決定される。第1遷移層19aの適切な厚さが堆積された後、成長プロセスの半導体コンポーネントは、活性層構造13内の1つまたは複数の層の形成に必要とされる1つまたは複数の値に調整される。活性層構造13の十分な厚さが堆積された後、成長プロセスの半導体コンポーネントは、最初に使用された高い値に再び増加され、第2遷移層19bの所望の厚さが堆積される。完了すると、成長プロセスが終了し、膜が適切にアニールされて、活性層および遷移層内に半導体ナノ粒子、たとえば、シリコン・ナノ粒子が形成される。
【0031】
フィールド酸化物領域
2次元シミュレーションの結果が、図4に示され、透明電極14、たとえば、インジウム・スズ酸化物(ITO)のエッジは、薄い、たとえば、0.05μm〜1.0μmのシリコンリッチ・シリコン酸化物層13(SRSO)および基板12上に配設された厚い、たとえば、0.5μm〜5μmのフィールド酸化物(FOX)領域を覆って設置される。ITO電極14の内部エッジは、薄いSRSO酸化物層13にわたる電界集中の強化をもたらす。逆に、厚いフィールド酸化物領域(FOX)を覆うITO電極14の外側エッジは、より広がった電位輪郭を示し、ITO電極14の外側エッジにおける電界の減少を示す。広がりは、フィールド酸化物FOX領域の厚さの増加による。したがって、ITO電極14がSRSO層13上で直接終了するとき、エッジにおける電界は非常に高いが、ITO電極14がFOX領域の上部で終了するとき、エッジにおける電界はずっと低い。シミュレーションは、ITOエッジ電界に対するフィールド酸化物の作用を示す。ITO電極は、100V、Eフィールド=10MV/cmにバイアスされる。
【0032】
したがって、図5を参照すると、本発明による発光デバイス構造20内への厚いフィールド酸化物(FOX)領域21の組み込みは、単純なプレーナ・デバイスより効率的であるデバイスを生産するときに有利である。上述したように、単一のまたは複数のSRSOの活性層構造22または発光中心を有する他の適した活性層は、FOX領域21および基板23を覆って堆積される。基板23は、4.05eVの仕事関数を有する0.001Ω−cmのnタイプ・シリコン基板であることができるが、任意の適した基板材料で十分であるであろう。透明電極層24は、活性層構造22の上部に配設される。透明電極層24は、上述したインジウム・スズ酸化物(ITO)または他の透明導電性酸化物(TCO)を含む任意の適した材料であることができる。全ての金属相互接続部および接触部26は、図3に示すように厚いフィールド酸化物領域21上に、たとえば、厚いフィールド酸化物領域21の真上に設置されるべきである。この理由は、単に、活性層構造22を被覆する金属を有する任意のエリアが、金属接触部26を通して光を放出することができず、したがって、光は、異なる方向に散乱し、実際上消失するからである。結果として、金属領域26の下の領域に注入される電流もまた、消耗され、電流が有効光出力に全く寄与しないため、システムの外部効率を減少させる。金属接触部26の下の領域を厚いフィールド酸化物領域21上に設置することによって、下にある厚いフィールド酸化物領域21が電流の流れに対する障壁を表すため、金属接触部26の直下への電流注入が存在しない。したがって、透明電極層24を介する任意の電流注入が光の発生に寄与する、活性層構造22の光学的に活性な領域は、FOX領域21間のデバイス・ウェル27だけに限定される。
【0033】
上述したように、上部金属接触部26と共に電界を発生する底部接触層28が設けられる。反射層29が、活性層構造22と底部接触層28との間に被覆され、または、堆積されて、デバイス・ウェル27の方に戻るように光を反射させる。さらに、遷移層31および32は、活性層構造22の一部を形成することができ、先に述べたように、それぞれ、基板23および透明電極層24に関する活性層構造22の界面用のセット・バック層を提供する。
【0034】
ACバイアスを使用するとき、デバイス・キャパシタンスに関連する変位電流のために、全デバイス・キャパシタンスは、実際のトンネリング電流の測定を難しくする可能性がある。この作用を低減するために、フィールド酸化物層21上に金属および接触部26を設置することは、この領域に関連する寄生キャパシタンスを減少させるであろう。フィールド酸化物層21が、光学的に活性な層、たとえば、SRSO層23に対して、比較的非常に厚い、たとえば、2〜10倍、好ましくは、4〜6倍であるため、単位面積当たりのフィールド酸化物キャパシタンスCFOXは、CSRSOより著しく小さい。したがって、全キャパシタンスは、単に、CFOXとCSRSOの直列合成であり、全デバイス・キャパシタンスおよび測定される変位電流の大きさの減少をもたらす。
【0035】
フィールド酸化物領域21は、垂直な電流の流れに対する障壁を提供し、電流の流れをデバイス・ウェル27に限定する。フィールド酸化物領域21はまた、金属接触部に関連する寄生キャパシタンスを減少させ、全デバイス・キャパシタンスを最小にする。
【0036】
封止剤層
デバイス20の抽出効率を改善するために、封止剤層35が、デバイス・ウェル27を覆って配設される。封止剤35は、活性層構造22の屈折率によく一致した屈折率を有する材料から作られ、そのため、特別な表面処理の必要無しで、光エミッタ/封止剤界面での全反射を実質的になくす。こうした材料システムの例は、封止剤層35としての光学エポキシに結合された、活性層22としてのシリコンリッチ・シリコン酸化物(SRSO)である。活性層22と封止剤層35は共に、1.4〜1.7、好ましくは、1.5〜1.6の範囲の屈折率で製造されることができるため、適切な生産制御によって非常によく一致する可能性がある。
【0037】
封止剤/空気界面での全反射量を最小にするために、湾曲状の、または、半球状の表面を有する封止剤35が、形成され、したがって、レンズのように働き、レンズ機能を提供する。半球形状は、光線の非常に多くの部分が、臨界角以内で封止剤35を出ることを可能にし、そのため、全反射を回避する。限界において、球の封止剤からなり、まさにその中心に点光源を有する仮想デバイスを考える場合、全ての光線が表面に垂直に当たるため、相対屈折率がたとえどんな値であっても、全ての光線は反射しないことになるため、光抽出は100%になるであろう。封止剤35は、所望の方向に抽出された光の量を最大にするために、レンズの形状をとる。
【0038】
封止剤35は、実際には、発光デバイス20を作るために特別に製造される透明エポキシであることになり、中間の屈折率を有するアプリケーションに適合する化学物質および他の特性によって開発されてきた。しかし、概念的に、任意の透明材料が使用されることができる。透明性以外の、本発明に関連する唯一の作動特徴は、もちろん、屈折率である。透明であり、かつ、正しい屈折率を有する限り、それは、透明ゲルの小塊であるか、または、実際にはともかく任意の材料であることができる。
【0039】
実用的に有用である総合効率を得るために、活性層構造22は、実用的なレベルの効率で光を発生することができるように構築されなければならず、それにより、背面反射器が無い状態で30%〜40%の範囲の総合効率、背面反射器が有る状態で50%または100%の理論的な最大値を有するデバイスを設計製作することが可能になり、これは、以前に入手可能な材料システムに関して得られる効率の少なくとも2倍である。
【0040】
例のプロセス
図6〜18を参照すると、本発明による製造プロセスは、基板23で始まる(図6)。パッド酸化物層41aおよび41b(約500オングストローム厚)は、乾燥酸素熱酸化によって基板23の対向する側で熱成長して、後続のステップ中に基板が保護される、たとえば、金属接触部が基板23から電気的に分離される(図7a)。窒化物層42aおよび42b、たとえば、シリコン窒化物(約900オングストローム厚)は、適した堆積技法、たとえば、LPCVDによってパッド酸化物層41aおよび41bを覆って堆積される(図7b)。
【0041】
図8では、上部窒化物層42aは、対向する側上でパターニングされ、パッド酸化物層41aまで下方にプラズマ・エッチングされ、中央ストリップだけが残る。フィールド酸化物領域21は、パッド酸化物層41aの中央ストリップの対向する側上の開放されたエリアで成長する。好ましくは、フィールド酸化物領域21を構成する1μmの熱酸化物は、発熱性蒸気炉を使用して成長する(図9)。窒化物層42aの中央ストリップからの任意の酸化された窒化物は、短時間ウェット・エッチで除去され、その後、窒化物層42aからの残りの任意の窒化物は、短時間プラズマ・エッチによって中央ストリップから除去される。残りのパッド酸化物層41aは、その後、活性層構造22の堆積に備えて、ウェット・エッチによって中央ストリップから除去される(図10)。
【0042】
図11は、フィールド酸化物領域21を覆って、また、デバイス・ウェル27内への活性層構造22の堆積を示し、自然に傾斜したフィールド酸化物遷移部が形成される、すなわち、(デバイス・ウェル27に隣接する)フィールド酸化物領域21の内側エッジは、傾斜した上部表面によって実質的にある点までテーパが付けられる。自然に傾斜したFOX遷移部は、2つの目的に役立つ。第1に、遷移部は、良好な段差カバリジを可能にする。デバイス・ウェル27におけるFOX領域21のエッジが、たとえば、1ミクロン高さの垂直段差であった場合、光学的に活性な層構造22の底部層などの、後続のいずれの薄膜層も、垂直段差をちょうど越えるように少なくとも1ミクロン厚である必要があることになる。こうした厚い膜は、動作のために非常に大きな電圧を必要とすることになる。遷移部を傾斜させることによって、ずっと薄い膜が堆積される可能性があり、膜の連続性が段差にわたって維持される。第2に、酸化物は、デバイス・ウェル27の底部からフィールド酸化物領域21の上まで徐々に厚くなるため、TCO24と基板23との間の垂直電界の徐々の減少が存在する。結果として、活性層構造22の絶縁破壊をもたらす可能性がある電界クラウディングが存在しない。
【0043】
先の図3および5を参照して、また、以下で図19〜21を参照して規定される活性層構造22は、通常、0.05μm〜1.0μm厚であり、遷移層31および32がその両側にある状態で、1つまたは複数の活性層を含むことができる。窒化物キャッピング層43、たとえば、シリコン窒化物(約300オングストローム厚)は、適した堆積方法、たとえば、PECVDによって活性層構造22を覆って堆積され、高温アニール中に活性層構造22を半導体ナノ粒子の不注意の酸化から保護するのに使用される。高温アニール後に、窒化物キャッピング層43と元の底部窒化物層42bは共に、除去される(図12)。透明電極層24は、フィールド酸化物領域21とデバイス・ウェル27の上部を覆うことを含んで、活性層構造22の上部に堆積される。好ましくは、透明電極層24は、たとえば、空気中でアニールするステップにさらされ、ずっと高い抵抗率の均一性および抵抗率の降下をもたらす。さらに、アニールするステップは、次の工程に適用可能な、より一貫性のあるエッチ性能およびより平滑なエッチ・プロファイルを提供する。
【0044】
透明電極層24のストリップは、その対向するエッジから除去される、すなわち、エッチング除去され、肩部44を生成し(図14)、デバイスの横方向分離を提供する。次に、別の窒化物層46、たとえば、シリコン窒化物(最大1500オングストローム厚)が、透明電極層24を覆って堆積され、肩部44内に充填される(図15)。フィールド酸化物領域21の上部を覆う窒化物層46のストリップは、除去、たとえば、エッチング除去され、金属接触部26用の開口を提供する(図16)。図17は、金属接触部26を窒化物層46内に固定するための、窒化物層46内のストリップに対するTiHまたはニッケル接着(glue)/障壁層47の堆積を示す。底部パッド酸化物層41bは、底部金属接触部28、たとえば、アルミニウム接触部を固定する前に、除去される。反射性皮膜29は、基板23の底部に、または、底部金属接触部28の付着の前に底部金属接触部28上に設置されることができる。
【0045】
本発明の実施形態によって提供される1つのタイプの好ましい活性層構造22'は、図19の例によって示される超格子構造であり、その構造は、基板23上に支持された、二酸化シリコンなどの広バンドギャップ半導体または誘電体バッファ層52によって分離された、すなわち、交互に重ねられた複数の活性層51、たとえば、半導体ナノ粒子を備える。活性層51はそれぞれ、1nm〜10nmの厚さを有する。活性層構造22'は、異なる波長の光を放出するように設計された活性層51を備えることができ、それにより、波長の合成は、所望の出力光、たとえば、白色を生成する。異なる波長を放出する、たとえば、異なる希土類ドーピング元素を有する層は、互いに散在することができる、または、同じ波長を放出するいくつかの層51は、異なる波長を放出する別の複数の層51の上部に積層されることができる。超格子構造について、最大厚さは存在しないが、利用可能な電圧の大きさに応じて、50nm〜2000nmの厚さが好ましく、150nm〜750nmの厚さがより好ましい。遷移層59aおよび59bは、以降で説明する理由によって、それぞれ、基板23と底部誘電体層52との間、および、上部誘電体層52と透明電極(図18を参照されたい)との間に付加されることができる。
【0046】
図19に示す構造は、介在する層が無い状態で互いに接触する隣接層を示すが、付加的な層は、列挙した層に干渉しない程度まで利用されることができる。したがって、コーティング(coating)および接触する(in contact)という用語は、付加的に介在するものの、干渉しない層の可能性を排除しない。
【0047】
超格子構造22用の例示的なプロセスでは、成長プロセスの半導体コンポーネント、たとえば、シリコン・コンポーネントは、最初に、堆積の始めに高い値に設定される。値は、所望の屈折率、したがって、所望される過剰な半導体、たとえば、過剰なシリコン含有量に基づいて決定される。第1遷移層59aの適切な厚さが堆積された後、成長プロセスの半導体コンポーネントは、第1バッファ層52の形成に必要とされる値に調整される。半導体コンポーネントの濃度は、その後、活性層構造13内の層が全て堆積されるまで、活性層51用の量とバッファ層52用の量との間で交互にされる。活性層構造13の十分な厚さが堆積されると、成長プロセスの半導体コンポーネントは、最初に使用された高い値に再び増加され、第2遷移層59bの所望の厚さが堆積される。完了すると、成長プロセスが終了し、膜が適切にアニールされて、活性層および遷移層内に半導体ナノ粒子、たとえば、シリコン・ナノ粒子が形成される。
【0048】
シリコン窒化物マトリックス内に小さなシリコン・ナノ粒子を埋め込むことによって、シリコン・ナノ粒子の放射寿命は、チッソ原子によるナノ粒子の表面パッシベーション作用および励起子の電子および正孔波動関数の強い結合作用によって、ナノ秒および/またはサブ・ナノ秒レジームに近づく可能性がある。
【0049】
シリコン・ナノ粒子がシリコン窒化物マトリックス内に形成される均一に堆積されたSiNx膜は、一般に、サイズの範囲が比較的広く、空間分布、特に、ナノ粒子間の分離距離がランダムである。さらに、SiNx膜内に形成されるシリコン・ナノ粒子は、高温にさらされると、連結した小さいクラスタを形成する場合があり、発光効率に影響を及ぼすことになる。これは、膜堆積後のデバイス処理の柔軟性を厳しく制限する可能性がある。ナノ粒子サイズと分離距離の変動の組合せは、こうした膜内に形成されるシリコン・ナノ粒子構造のエレクトロルミネセンス効率に著しい影響をもたらす可能性がある。
【0050】
シリコン・ナノ粒子がシリコン窒化物マトリックス内に埋め込まれる膜では、膜内の電流伝導が、シリコン窒化物ホストの高トラップ密度によって著しく影響を受け、したがって、シリコン・ナノ粒子内に励起子を生成するためのエネルギーを電界から獲得する注入された電荷キャリアの効率に有害な影響を与える場合がある。しかし、本発明による加工(engineered)構造は、半導体窒化物の活性層間にバッファ層を設けることによって、上述の問題を全てなくし、それにより、ナノ粒子間に適切な距離を保証する。さらに、薄い活性層、すなわち、ナノ粒子、サイズを提供することにより、ナノ粒子のサイズをより厳密に制御することができる。
【0051】
図20を特に参照すると、活性層構造22''は、本発明の別の実施形態による加工膜構造を備え、編成された層の複数の異なる組62、63、および64によって形成され、この構造では、活性層65、66、および67は、それぞれ純粋の広バンドギャップ半導体または誘電体材料からなるバッファ層68、69、および70によって分離される。AC電圧によって駆動される加工膜活性層構造22''の場合、電圧が振動すると、電流が両方向に流れることになるため、バッファ層68および70は、それぞれ、活性層65間および活性層67間、ならびに、電極26と28との間に配設される。
【0052】
ナノ粒子、たとえば、ナノ結晶のサイズは、ナノ粒子がそこに存在する活性層65、66、および67の厚さにほぼ等しい。それぞれの活性層65、66、および67内のナノ粒子のサイズ、すなわち、層65、66、および67の厚さは、所望の色の発光を生じるための特定の励起エネルギーについて設計される。希土類をドープされた二酸化シリコン・マトリックス・ホスト内のシリコン・ナノ結晶の場合の、ナノ粒子径d(ナノメートル単位)と励起エネルギーE(電子ボルト単位)との間の理論的関係は、
【0053】
E=1.143+5.845/(d2+1.274d+0.905)−6.234/(d2+3.391d+1.412)
で与えられる。
【0054】
たとえば、赤色光子(d=2.9nm)の場合、約1.9eVであり、緑色光子(d=2.1nm)の場合、約2.3eVであり、青色光子(d=1.6nm)の場合、約2.8eVである。ナノ粒子層内にまたはナノ粒子層の近くに設置される希土類イオン種は、層内のナノ結晶(または、その逆)の励起エネルギーに整合する波長で放射するように選択される。
【0055】
希土類ドーピングが無い状態のIV族(たとえば、シリコン)窒化物マトリックス・ホスト内のIV族(たとえば、シリコン)ナノ結晶の場合、または、希土類ドーピングが無い状態の二酸化シリコン・マトリックス・ホスト内のIV族(たとえば、シリコン)ナノ結晶の場合、ナノ結晶から所望の色の発光を生じるための特定の励起エネルギーを生成する励起エネルギー式は、
【0056】
E=E0+C/d2
であることが示された。
【0057】
ここで、E0=1.16eVであり、C=11.8eV−nm2である。
【0058】
したがって、赤色発光層の厚さ、すなわち、シリコン窒化物マトリックス内にシリコン・ナノ結晶を有する活性層内のナノ結晶の径は、4nmであり、緑色層の場合、3.25nmであり、青色層の場合、2.6nmである。
【0059】
バッファ層68、69、および70の厚さは、隣り合うナノ粒子活性層65、66、および67内のナノ粒子のサイズによく一致する(closely matched)。層65〜70の平面に垂直に印加される電界の場合、ナノ粒子を正しいエネルギーに励起するのに十分なエネルギーを、印加された電界から電子が獲得しなければならず、バッファ層68、69、および70内で獲得されるエネルギー(eVで測定される)は、バッファ層68、69、または70の厚さで乗算された電界に等しい。たとえば、5MV/cmの印加電界の場合、バッファ層の厚さは、ナノ粒子を1.9eVに励起するために3.8nm(1.9eV/0.5eV/nm=3.8nm)以上でなければならず、ナノ粒子を2.3eVに励起するために4.6nm以上でなければならず、または、ナノ粒子を2.8eVに励起するために5.6nm以上でなければならない。隣り合うナノ粒子層、たとえば、65および66が、異なる波長で放出する、AC電力によって駆動される加工膜活性層構造22の場合、介在するバッファ層、たとえば68は、ナノ粒子をより高いエネルギー層に励起するのに十分に厚くなければならない。
【0060】
加工膜活性層構造22''は、シリコン酸化物マトリックス内において、また、希土類イオンおよび炭素などの他の不純物をドープされたシリコン・ナノ粒子に基づく固体発光デバイスの、光束(光出力電力)、効率(内部電力変換効率および外部発光効率)、カラー・レンダリング指数(CRI)、デバイス信頼性および寿命、ならびに、デバイス製造性/コスト/収率の大幅な改善を提供する。
【0061】
希土類イオンは、活性層65、66、および67内に、バッファ層68、69、および70内に、または、両方に組み込まれてもよい。好ましい構造は、ナノ粒子から希土類イオンへのエネルギー移動効率が最大になり、励起された希土類イオンの放射発光効率が最大になるような濃度で希土類を活性層65、66、および67内にだけ組み込む。関係する物理的プロセスの複雑さのために、最適化は、一般に、実験的プロセスである。ナノ粒子層内にまたはナノ粒子層の近くに設置される希土類イオン種は、層内のナノ粒子(または、その逆)の励起エネルギーに一致する波長で放射するように選択される。
【0062】
他の不純物は、必要である場合、通常ナノ粒子層65、66、または67内にだけ組み込まれるが、活性層構造22''内のどこにでも設置されることができる。たとえば、ナノ粒子の測定された励起エネルギーは理論的に予想されるほどには高くないことを観測結果が判定したため、広バンドギャップ半導体または誘電体マトリックス、たとえば、シリコン酸化物マトリックス内の希土類イオンに移動するナノ粒子の励起エネルギーを上げるために、炭素原子が必要とされる場合がある。
【0063】
バッファ層68、69、および70は、最も高い品質であるべきである、すなわち、特定の処理技術の能力内でこうした材料に関して達成可能な、ほとんど欠陥の無い状態で密であるべきであり、それにより、印加された高電界下で、デバイスの寿命および信頼性が最大になるであろう。
【0064】
活性層65、66、および67用の、炭素および希土類ドーピングが有る状態または無い状態のシリコンリッチ・シリコン酸化物、ならびに、バッファ層68、69、および70用の、二酸化シリコンは、加工膜構造における好ましい材料である。活性層65、66、および67用の、希土類ドーピングが有る状態または無い状態のシリコンリッチ・シリコン窒化物、ならびに、バッファ層68、69、および70用の、シリコン窒化物などの他の材料システムもまた、この加工構造で使用されることができる。発光中心を同様に含む希土類酸化物もまた、活性層65、66、および67で使用されることができる。
【0065】
任意の層内のナノ粒子の密度は、堆積中に、前記層内の過剰のシリコン含有量を変えることによって、また、アニール条件(たとえば、アニール温度および時間)を変えることによって変更されることができる。ナノ粒子層65、66、および67内のナノ粒子密度は、ナノ結晶間の相互作用またはナノ粒子の凝集をもたらすことになる密度より低いままにされながら、放出光の強度を増加させるために、好ましくは、できる限り高い。
【0066】
活性層構造22''内の反復層65〜70の総数は、膜全体に印加される電圧によって、また、効率的でかつ確実な動作に必要とされる電界によって決定される。簡単な近似では、ナノ粒子層65、66、および67にわたって、ほんのわずかの電圧が降下するため、必要とされる層の数は、印加電圧を電界で割り、かつ、バッファ層68、69、および70の厚さで割った値に等しいであろう。たとえば、印加電圧が110Vであるとき、1つの誘電体層69内の所望の電界は5MV/cm(すなわち、0.5V/nm)であり、所望の励起エネルギーは2.3eVであり、それにより、ナノ粒子層66は2.1nm厚であり、バッファ層は4.6nm厚であり、反復層対66/69の総数は、
【0067】
(110V)/(0.5V/nm)/(4.6nm)=48層または対
である。
【0068】
活性層とバッファ層の同じ対を反復することによる、加工膜活性層構造22''によって、単一色が放出されることができる。膜全体が、それぞれの構成色についていくつかの層対を備えるため、混合色、たとえば、白色が、加工活性層構造22''によって放出されることができる。たとえば、活性層/誘電体層のN個の対は、全体で、青色用のk個の対65/68、緑色用のm個の対66/69、および、琥珀色/赤色/橙色用のn個の対67/70を備えてもよい。ここで、k+m+n=Nである。色対、たとえば、65/68、66/69、および67/70のそれぞれの数は、所望のカラー・レンダリング指数(CRI)が達成されることができるように変わってもよい。たとえば、暖かい白色は、青色65/68に比べて赤色の多くの対を必要とし、一方、冷たい白色は、逆のことを必要とする。
【0069】
白色または他の多色発光の場合、また、背面反射器29が構造内に含まれるデバイス20の場合、エネルギーの最も低い(波長の最も長い、たとえば、赤色の)発光層を反射器29の最も近くに、エネルギーの最も高い(波長の最も短い、たとえば、青色の)層を発光表面の最も近くに設置することが好ましい。中間波長、たとえば、緑色を放出する層は、最も長い波長と最も短い波長を放出する層の中間に設置される。
【0070】
図21は、DC電力、すなわち、アノード62とカソード63によって駆動される加工膜活性層構造22'''を示す。活性層65、66、および67、ならびに、バッファ層68、69、および70のほとんどは、加工活性層構造22''のものと同一である。しかし、電子が一方向に進むだけであるため、異なるタイプの活性層間の介在するバッファ層は、ナノ粒子層内のナノ粒子をアノード近くまで励起するために正しい厚さでなければならない。したがって、加工膜構造22'''は、好ましくは、カソードにおいてバッファ層68で、アノードにおいてナノ粒子層67で終端する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】従来の発光デバイスを示す図である。
【図2】異なるシリコンリッチ・シリコン酸化物活性層についての屈折率対電界強度のプロットである。
【図3】遷移層を有する本発明による発光デバイスの側面図である。
【図4】透明電極のエッジが薄いシリコンリッチ・酸化物層を覆って設置され、厚いフィールド酸化物(FOX)領域が基板上に配設される2次元シミュレーションの結果を示す図である。
【図5】本発明による発光デバイスの側面図である。
【図6】図5のデバイスの製造工程を示す図である。
【図7】図5のデバイスの製造工程を示す図である。
【図8】図5のデバイスの製造工程を示す図である。
【図9】図5のデバイスの製造工程を示す図である。
【図10】図5のデバイスの製造工程を示す図である。
【図11】図5のデバイスの製造工程を示す図である。
【図12】図5のデバイスの製造工程を示す図である。
【図13】図5のデバイスの製造工程を示す図である。
【図14】図5のデバイスの製造工程を示す図である。
【図15】図5のデバイスの製造工程を示す図である。
【図16】図5のデバイスの製造工程を示す図である。
【図17】図5のデバイスの製造工程を示す図である。
【図18】図5のデバイスの製造工程を示す図である。
【図19】図5のデバイスの活性層構造の実施形態を示す図である。
【図20】図5のデバイスの活性層構造の別の実施形態を示す図である。
【図21】図5のデバイスの活性層構造の別の実施形態を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光デバイスであって、
基板と、
第1波長の光を放出する発光中心の集合体を有する少なくとも第1活性層を含む、前記基板上に支持された活性層構造と、
上部透明電極および第2ベース電極を含む、前記活性層構造に電界を印加する一組の電極と、
前記上部透明電極と前記活性層構造との間に、前記活性層構造の上部層より高い導電率を有する第1遷移層とを備え、
それにより、前記活性層構造に関連する高電界領域は、前記活性層構造と前記透明電極との間の第1接触領域から後方に離れるように移動し、
それにより、前記第1接触領域にわたって流れる所望の電流を生成するのに必要な電界を減少し、かつ、大きな電界の関連する有害な作用を低減するデバイス。
【請求項2】
前記基板と前記活性層構造との間に、前記活性層構造の底部層より高い導電率を有する第2遷移層をさらに備え、
それにより、前記活性層構造に関連する高電界領域は、前記活性層構造と前記基板との間の第2接触領域から後方に離れるように移動し、
それにより、前記第2接触領域にわたって流れる所望の電流を生成するのに必要な電界を減少し、かつ、大きな電界の関連する有害な作用を低減する請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1遷移層は、前記活性層構造の厚さの2.5%〜10%である厚さを有し、それにより、前記活性層構造から出るエネルギー電子を十分に冷却することを可能にする請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1遷移層は、前記活性層構造の厚さの4%〜6%である厚さを有する請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記活性層構造は、前記第1活性層に隣接して広バンドギャップ半導体または誘電体材料を含む第1バッファ層を備え、前記第1バッファ層がある厚さを有し、それにより電子が、前記第1バッファ層を通過するときに、前記第1波長の光を放出するのに十分な励起エネルギーでの衝撃イオン化または衝撃励起によって前記第1活性層内の前記発光中心を励起させるのに十分なエネルギーを前記電界から獲得する請求項1から4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記活性層構造は、複数の第1バッファ層と交互に重ねられた複数の第1活性層をさらに備える請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記活性層構造は、
第2波長の光を放出する発光中心の集合体を含む複数の第2活性層と、
前記複数の第2活性層と交互に重ねられた、広バンドギャップ半導体または誘電体材料を含む複数の第2バッファ層とをさらに備え、
前記第2バッファ層がある厚さを有し、それにより電子が、前記第2バッファ層を通過するときに、前記第2波長の光を放出するのに十分な励起エネルギーでの衝撃イオン化または衝撃励起によって前記第2活性層内の前記発光中心を励起させるのに十分なエネルギーを前記電界から獲得し、
前記第1波長と前記第2波長は、組み合わされて、所望の色の光が形成される請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記一組の電極は交流電源によって駆動され、前記第1誘電体層のうちの1つは前記活性層構造の一端に配設され、前記第2誘電体層のうちの1つは前記活性層構造の別の端に配設されて、前記電界が方向を変えると、前記第1活性層および前記第2活性層の全てにおける発光中心が励起されることが保証される請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第1活性層は、半導体ナノ粒子を埋め込まれた広バンドギャップ半導体または誘電体材料を含む請求項1から8のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記遷移層は、前記第1バッファ層より高い濃度の半導体材料を有する広バンドギャップ半導体または誘電体材料からなる請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記透明電極に電気的に接続され、前記透明電極に電界を印加するための金属電気接触部と、
前記電気接触部の下への電流注入を最小にし、それにより、前記金属電気接触部に隣接する活性層構造内の電流を最大にするための、前記電気接触部の下のフィールド酸化物領域とをさらに備える請求項1から10のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記フィールド酸化物領域は、前記上部透明電極と前記基板との間で垂直電界の徐々の減少を提供する傾斜エッジを有する請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記フィールド酸化物領域は、前記活性層構造の厚さの2倍〜10倍である厚さを有する請求項11に記載のデバイス。
【請求項14】
前記透明電極の上部にわたって、前記活性層構造の屈折率によく一致する屈折率を有する封止剤層をさらに備え、前記活性層構造と前記封止剤層との間の全反射を低減する請求項1から13のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記封止剤層は、抽出される光量を最大にするために、放出光に対してレンズ効果を提供する湾曲上部表面を有する請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記底部電極と前記活性層構造との間に、前記上部透明電極を通して光を反射し戻す反射層をさらに備える請求項1から15のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項17】
発光デバイスを形成する方法であって、
a)基板を設けるステップと、
b)前記基板の上部表面上に、発光中心の集合体を有する活性層を含む活性層構造を堆積させるステップと、
c)前記活性層構造にわたって透明電極を堆積させるステップと、
d)前記透明電極に金属接触部を付着させるステップと、
e)前記基板の下部表面上にベース電極を付着させるステップとを含み、
ステップb)は、前記活性層構造と前記透明電極との間に、前記活性層構造の上部層より高い導電率を有する第1遷移層を堆積させることを含み、
それにより、前記第1活性層に関連する高電界領域は、前記活性層構造と前記基板との間の第1接触界面から後方に離れるように移動し、
それにより、前記基板と前記第1活性層との間に流れる所望の電流を生成するのに必要な電界を減少し、かつ、大きな電界の関連する有害な作用を低減する方法。
【請求項18】
前記電気接触部の下への電流注入を最小にし、それにより、前記金属電気接触部に隣接する活性層構造内の電流を最大にするために、前記金属接触部の下にフィールド酸化物領域を堆積させることをさらに含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記透明電極の上部にわたって、前記活性層構造の屈折率によく一致する屈折率を有する封止剤層をさらに備えて、前記活性層構造と前記封止剤層との間の全反射を最少にし、前記封止剤層は、抽出される光量を最大にするために、放出光に対してレンズ効果を提供する湾曲上部表面を有する請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
ステップb)は、前記第1活性層に隣接して、広バンドギャップ半導体または誘電体材料を含む第1バッファ層を堆積させることを含み、
前記第1バッファ層がある厚さを有し、それにより電子が、前記第1バッファ層を通過するときに、前記第1波長の光を放出するのに十分な励起エネルギーでの衝撃イオン化または衝撃励起によって前記第1活性層内の前記発光中心を励起させるのに十分なエネルギーを前記電界から獲得する請求項17、18、または19に記載の方法。
【請求項21】
ステップb)は、複数の付加的な第1バッファ層と交互になるように複数の付加的な第1活性層を堆積させることをさらに含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
ステップb)は、前記第1波長と異なる第2波長の光を放出する発光中心の集合体を有する複数の第2活性層、および、
前記複数の第2活性層と交互に重ねられた、広バンドギャップ半導体または誘電体材料を含む複数の第2バッファ層を堆積させることをさらに含み、
前記第2バッファ層がある厚さを有し、それにより電子が、前記第2バッファ層を通過するときに、前記第2波長の光を放出するのに十分な励起エネルギーでの衝撃イオン化または衝撃励起によって前記第2活性層内の前記発光中心を励起させるのに十分なエネルギーを前記電界から獲得し、
前記第1波長と前記第2波長は、組み合わされて、所望の色の光が形成される請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ステップb)は、
i)前記第1活性層を形成するために、前記基板上に、過剰の半導体材料を有する広バンドギャップ半導体または誘電体材料を堆積させること、
ii)前記第1活性層に隣接して、広バンドギャップ半導体または誘電体材料を含む第1バッファ層を堆積させることを含み、前記第1バッファ層がある厚さを有し、それにより電子が、前記第1バッファ層を通過するときに、前記第1波長の光を放出するのに十分な励起エネルギーでの衝撃イオン化または衝撃励起によって前記第1活性層内の前記発光中心を励起させるのに十分なエネルギーを前記電界から獲得し、ステップb)はさらに
iii)前記第1遷移層を形成するために、前記第1バッファ層上に、過剰の半導体材料を有する広バンドギャップ半導体または誘電体材料を堆積させること、および、
前記第1活性層および前記遷移層内に半導体ナノ粒子を形成するために、前記活性層、前記遷移層、および前記バッファ層をアニールすることを含み、
前記広バンドギャップ半導体または誘電体材料は、前記第1活性層、前記遷移層、および前記第1バッファ層について同じ材料であり、
半導体材料の濃度は、前記第1活性層、前記第1バッファ層、および前記第1遷移層を区別するために、堆積ステップi)、ii)、およびiii)の間で調整される請求項17に記載の方法。
【請求項1】
発光デバイスであって、
基板と、
第1波長の光を放出する発光中心の集合体を有する少なくとも第1活性層を含む、前記基板上に支持された活性層構造と、
上部透明電極および第2ベース電極を含む、前記活性層構造に電界を印加する一組の電極と、
前記上部透明電極と前記活性層構造との間に、前記活性層構造の上部層より高い導電率を有する第1遷移層とを備え、
それにより、前記活性層構造に関連する高電界領域は、前記活性層構造と前記透明電極との間の第1接触領域から後方に離れるように移動し、
それにより、前記第1接触領域にわたって流れる所望の電流を生成するのに必要な電界を減少し、かつ、大きな電界の関連する有害な作用を低減するデバイス。
【請求項2】
前記基板と前記活性層構造との間に、前記活性層構造の底部層より高い導電率を有する第2遷移層をさらに備え、
それにより、前記活性層構造に関連する高電界領域は、前記活性層構造と前記基板との間の第2接触領域から後方に離れるように移動し、
それにより、前記第2接触領域にわたって流れる所望の電流を生成するのに必要な電界を減少し、かつ、大きな電界の関連する有害な作用を低減する請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1遷移層は、前記活性層構造の厚さの2.5%〜10%である厚さを有し、それにより、前記活性層構造から出るエネルギー電子を十分に冷却することを可能にする請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1遷移層は、前記活性層構造の厚さの4%〜6%である厚さを有する請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記活性層構造は、前記第1活性層に隣接して広バンドギャップ半導体または誘電体材料を含む第1バッファ層を備え、前記第1バッファ層がある厚さを有し、それにより電子が、前記第1バッファ層を通過するときに、前記第1波長の光を放出するのに十分な励起エネルギーでの衝撃イオン化または衝撃励起によって前記第1活性層内の前記発光中心を励起させるのに十分なエネルギーを前記電界から獲得する請求項1から4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記活性層構造は、複数の第1バッファ層と交互に重ねられた複数の第1活性層をさらに備える請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記活性層構造は、
第2波長の光を放出する発光中心の集合体を含む複数の第2活性層と、
前記複数の第2活性層と交互に重ねられた、広バンドギャップ半導体または誘電体材料を含む複数の第2バッファ層とをさらに備え、
前記第2バッファ層がある厚さを有し、それにより電子が、前記第2バッファ層を通過するときに、前記第2波長の光を放出するのに十分な励起エネルギーでの衝撃イオン化または衝撃励起によって前記第2活性層内の前記発光中心を励起させるのに十分なエネルギーを前記電界から獲得し、
前記第1波長と前記第2波長は、組み合わされて、所望の色の光が形成される請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記一組の電極は交流電源によって駆動され、前記第1誘電体層のうちの1つは前記活性層構造の一端に配設され、前記第2誘電体層のうちの1つは前記活性層構造の別の端に配設されて、前記電界が方向を変えると、前記第1活性層および前記第2活性層の全てにおける発光中心が励起されることが保証される請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第1活性層は、半導体ナノ粒子を埋め込まれた広バンドギャップ半導体または誘電体材料を含む請求項1から8のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記遷移層は、前記第1バッファ層より高い濃度の半導体材料を有する広バンドギャップ半導体または誘電体材料からなる請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記透明電極に電気的に接続され、前記透明電極に電界を印加するための金属電気接触部と、
前記電気接触部の下への電流注入を最小にし、それにより、前記金属電気接触部に隣接する活性層構造内の電流を最大にするための、前記電気接触部の下のフィールド酸化物領域とをさらに備える請求項1から10のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記フィールド酸化物領域は、前記上部透明電極と前記基板との間で垂直電界の徐々の減少を提供する傾斜エッジを有する請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記フィールド酸化物領域は、前記活性層構造の厚さの2倍〜10倍である厚さを有する請求項11に記載のデバイス。
【請求項14】
前記透明電極の上部にわたって、前記活性層構造の屈折率によく一致する屈折率を有する封止剤層をさらに備え、前記活性層構造と前記封止剤層との間の全反射を低減する請求項1から13のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記封止剤層は、抽出される光量を最大にするために、放出光に対してレンズ効果を提供する湾曲上部表面を有する請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記底部電極と前記活性層構造との間に、前記上部透明電極を通して光を反射し戻す反射層をさらに備える請求項1から15のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項17】
発光デバイスを形成する方法であって、
a)基板を設けるステップと、
b)前記基板の上部表面上に、発光中心の集合体を有する活性層を含む活性層構造を堆積させるステップと、
c)前記活性層構造にわたって透明電極を堆積させるステップと、
d)前記透明電極に金属接触部を付着させるステップと、
e)前記基板の下部表面上にベース電極を付着させるステップとを含み、
ステップb)は、前記活性層構造と前記透明電極との間に、前記活性層構造の上部層より高い導電率を有する第1遷移層を堆積させることを含み、
それにより、前記第1活性層に関連する高電界領域は、前記活性層構造と前記基板との間の第1接触界面から後方に離れるように移動し、
それにより、前記基板と前記第1活性層との間に流れる所望の電流を生成するのに必要な電界を減少し、かつ、大きな電界の関連する有害な作用を低減する方法。
【請求項18】
前記電気接触部の下への電流注入を最小にし、それにより、前記金属電気接触部に隣接する活性層構造内の電流を最大にするために、前記金属接触部の下にフィールド酸化物領域を堆積させることをさらに含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記透明電極の上部にわたって、前記活性層構造の屈折率によく一致する屈折率を有する封止剤層をさらに備えて、前記活性層構造と前記封止剤層との間の全反射を最少にし、前記封止剤層は、抽出される光量を最大にするために、放出光に対してレンズ効果を提供する湾曲上部表面を有する請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
ステップb)は、前記第1活性層に隣接して、広バンドギャップ半導体または誘電体材料を含む第1バッファ層を堆積させることを含み、
前記第1バッファ層がある厚さを有し、それにより電子が、前記第1バッファ層を通過するときに、前記第1波長の光を放出するのに十分な励起エネルギーでの衝撃イオン化または衝撃励起によって前記第1活性層内の前記発光中心を励起させるのに十分なエネルギーを前記電界から獲得する請求項17、18、または19に記載の方法。
【請求項21】
ステップb)は、複数の付加的な第1バッファ層と交互になるように複数の付加的な第1活性層を堆積させることをさらに含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
ステップb)は、前記第1波長と異なる第2波長の光を放出する発光中心の集合体を有する複数の第2活性層、および、
前記複数の第2活性層と交互に重ねられた、広バンドギャップ半導体または誘電体材料を含む複数の第2バッファ層を堆積させることをさらに含み、
前記第2バッファ層がある厚さを有し、それにより電子が、前記第2バッファ層を通過するときに、前記第2波長の光を放出するのに十分な励起エネルギーでの衝撃イオン化または衝撃励起によって前記第2活性層内の前記発光中心を励起させるのに十分なエネルギーを前記電界から獲得し、
前記第1波長と前記第2波長は、組み合わされて、所望の色の光が形成される請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ステップb)は、
i)前記第1活性層を形成するために、前記基板上に、過剰の半導体材料を有する広バンドギャップ半導体または誘電体材料を堆積させること、
ii)前記第1活性層に隣接して、広バンドギャップ半導体または誘電体材料を含む第1バッファ層を堆積させることを含み、前記第1バッファ層がある厚さを有し、それにより電子が、前記第1バッファ層を通過するときに、前記第1波長の光を放出するのに十分な励起エネルギーでの衝撃イオン化または衝撃励起によって前記第1活性層内の前記発光中心を励起させるのに十分なエネルギーを前記電界から獲得し、ステップb)はさらに
iii)前記第1遷移層を形成するために、前記第1バッファ層上に、過剰の半導体材料を有する広バンドギャップ半導体または誘電体材料を堆積させること、および、
前記第1活性層および前記遷移層内に半導体ナノ粒子を形成するために、前記活性層、前記遷移層、および前記バッファ層をアニールすることを含み、
前記広バンドギャップ半導体または誘電体材料は、前記第1活性層、前記遷移層、および前記第1バッファ層について同じ材料であり、
半導体材料の濃度は、前記第1活性層、前記第1バッファ層、および前記第1遷移層を区別するために、堆積ステップi)、ii)、およびiii)の間で調整される請求項17に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公表番号】特表2009−522754(P2009−522754A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547816(P2008−547816)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【国際出願番号】PCT/CA2006/002133
【国際公開番号】WO2007/073601
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(505273361)グループ フォア セミコンダクター インコーポレイテッド (3)
【住所又は居所原語表記】400 March Road, Ottawa, Ontario, Canada K2K 3H4
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【国際出願番号】PCT/CA2006/002133
【国際公開番号】WO2007/073601
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(505273361)グループ フォア セミコンダクター インコーポレイテッド (3)
【住所又は居所原語表記】400 March Road, Ottawa, Ontario, Canada K2K 3H4
【Fターム(参考)】
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