説明

固体組織から疾患の分泌バイオマーカーを発見および解析する方法

本発明は、腺腔に正常および罹患上皮細胞により直接的に分泌または放出されたタンパク質の差次的発現パターンを判断することにより、体液の診断アッセイに用いる疾患のタンパク質バイオマーカーを発見するための方法を提供する。罹患および正常固体組織の腺腔から直接これらの分泌または放出タンパク質を判断することにより、特定の疾患に罹患する患者において、様々な体液に存在する可能性が高い、タンパク質のカタログが結果としてもたらされる。これは、容易に獲得した体液を単に化学分析することにより、特定の病態および疾患を診断する手段として有用であることを証明する。体液において、このような診断/スクリーニングマーカーを発見する過去の取り組みは、体液内のタンパク質の複雑性が優先するため、最善を尽くしたとしても困難である。本発明は、さらに集中的かつより単純な複合タンパク質の部分母集団、すなわち、腺腔に存在する分泌または放出タンパク質において、それらのバイオマーカーを発見する方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホルマリン固定組織標本から調製される試料を含む、生体試料中で疾患バイオマーカーを検出するための組成物および方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
訓練を受けた病理学者および病理組織技術者は、癌組織における分子解析を行い、特定の分子バイオマーカーの発現を判断する。このような解析から導出される情報は、有益な予後ツールである。例えば、いくつかの異なるタンパク質バイオマーカーは、癌の特定の病期または悪性度と関連し、これらに依存して療法を導く。現在の免疫組織化学(IHC)の方法は、癌の特定の病期または悪性度を高度に予測するバイオマーカーの非常に有能な解析法である。しかしながら、組織試料にこのような臨床分析を行うためには、侵襲的な外科治療あるいは生検方法のいずれかにより、癌患者からの組織を入手する必要がある。これらの方法は、患者に破壊的な影響を与え、潜在的に害を及ぼす可能性がある。侵襲性の少ない、または非侵襲性の方法により採取された患者試料中で同一の臨床的に関連するバイオマーカーの存在を検出する方法は、非常に有利である。このような患者試料は、侵襲性の少ない、または非侵襲性の方法により、全血、血漿、血清、唾液、涙、尿、および汗等の容易に得られる体液から容易に採取される。しかしながら、組織中で検出されるバイオマーカーが、血清および尿等の体液において、検出され、アッセイされ得ることはほとんどない。これは、主に、組織中に検出される臨床的に有用なバイオマーカーの知識と体液中に検出されるものとの間のずれが原因である。
【発明の概要】
【0003】
概して、本発明は、内腔タンパク質を含む生体試料中に含まれるバイオマーカーの解析により癌等の疾患の検出に関する。具体的には、本発明は、腺腔組織からの疾患バイオマーカーを同定し、特徴付けるための新規方法を提供する。有利に、生体試料は、Liquid Tissue調製物の生成を含む、操作により、ホルマリン固定組織を含む、組織学的に処理した試料から得られる。
【0004】
第1の態様において、本発明は、腺腔内に存在するタンパク質を含む、腺腔から得られる物質を有する生体試料を提供するステップと、生体試料中のタンパク質を同定し、それにより、疾患バイオマーカーを同定するステップにより、疾患バイオマーカーを同定する方法を提供する。腺腔から得られる物質は、組織顕微解剖の方法により得られ得るもの等の、組織切片からのものである。ある実施形態において、生体試料は、該疾患を罹患している、または発症する恐れがある哺乳類の対象から得られる。他の実施形態において、該方法は、該生体試料中の2つ以上のタンパク質を同定し、それにより、疾患タンパク質プロファイルを生成するステップを提供する。
【0005】
任意に、該疾患タンパク質プロファイルは、該疾患に罹患していない、または発症する恐れがあることが知られていない、哺乳類の対象から得られる腺腔内に存在するタンパク質(例えば、可溶性タンパク質)を含む、対照生体試料中で同定される2つ以上のタンパク質を含む、対照タンパク質プロファイルと比較される。一部の実施形態において、疾患タンパク質プロファイルは、2つ以上の腺腔からの2つ以上の生体試料から得られ、それらは、単一の対象または2以上の対象から得ることができる。対照タンパク質プロファイルは、2つ以上の腺腔からの2つ以上の生体試料から得ることができ、それらは、単一の対象または2以上の対象から得ることができる。他の実施形態において、疾患タンパク質プロファイルは、対照タンパク質プロファイル中で測定可能な程度に検出可能でない2つ以上のタンパク質を含む。一部の実施形態において、疾患タンパク質プロファイルおよび対照タンパク質プロファイルは、同一の組織型または臓器型から得られる。生体試料または対照生体試料は、任意に、Liquid Tissue(登録商標)試薬およびプロトコルを用いて調製される。一部の実施形態において、生体試料は、ヒト疾患の動物モデルから得られる。生体試料および/または対照生体試料は、腺腔に隣接した上皮層から得られる物質を含み得る。
【0006】
第2の態様において、本発明は、疾患バイオマーカーを同定する方法であって、腺腔内に存在するタンパク質を含む第1の生体試料であって、腺腔から得られる物質を含有する、生体試料と、腺腔に隣接した上皮層から得られる物質を含む第2の生体試料と、を提供するステップと、第1の生体試料中に存在するバイオマーカータンパク質を同定するステップと、第1の生体試料および第2の生体試料中に存在するバイオマーカータンパク質の量を比較するステップと、による方法を提供する。
【0007】
該方法は、例えば、RPLC−MS/MS、LC−ESI−MS、LC−ESI−MS/MS、LCナノスプレーMS、LCナノスプレーMS/MS、MALDI−TOF、MALDI−TOF/TOF、SELDI−TOF、またはSELDI−TOF/TOF等の質量分析法によりタンパク質の同定を提供する。代替的に、該タンパク質は、タンパク質アレイおよび免疫ベースのアッセイを用いて同定される。
【0008】
好ましくは、試料物質は、病理組織学的に処理された組織、新鮮組織、または凍結組織を含む。病理組織学的に処理された組織は、ホルマリン固定組織もしくは細胞、ホルマリン固定/パラフィン包埋(FFPE)組織もしくは細胞、FFPE組織ブロックおよび該ブロックからの細胞、FFPE組織ブロックならびに罹患および正常組織からの細胞、またはFFPE組織ブロックおよび外科的に得られた生検からの細胞であり得る。凍結組織は、空気中での凍結または液体凍結により凍結される。該生体試料は、生体試料中でタンパク質架橋に悪影響を及ぼすのに十分な温度および時間で、生体試料および反応緩衝液を含む組成物を加熱するステップと、生体試料の組織および細胞構造を破壊するのに十分な時間、有効量のタンパク質分解酵素で該結果として生じた組成物を処置するステップと、により調製される多目的生体分子溶解物(例えば、Liquid Tissue(登録商標)調製)を含み得る。
【0009】
別途定義されない限り、本明細書に使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書に記載されるものと類似する、または同等の方法および物質が、本発明の実行または試験に使用され得るが、適した方法および物質を以下に記載する。本明細書に言及されたすべての刊行物、特許、および他の参考文献は、それらの全体を参照することにより組み込まれる。不一致が生じる場合、定義を含む本明細書が優先する。さらに、物質、方法、および実施例は、例示的であるに過ぎず、限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明は、添付の図面の用紙を参照してさらに理解され得る。
【0011】
【図1】質量分析法を用いて腺腔から得られるタンパク質を解析するための本発明の一実施形態を示す略図である。
【0012】
本発明の他の目的、特長、および利点は、以下の発明を実施するための形態から明らかになる。しかしながら、本発明の精神および範囲内の様々な変更および修正が、この発明を実施するための形態から当業者に明らかになるので、本発明を実施するための形態および具体例は、本発明の好ましい実施形態を示しつつ、例示目的でのみ与えられることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0013】
疾患の最適な治療を提供するために臨床医により理解されるべき最も重要な要因の1つは、疾患状態の診断である。例えば、腫瘍は、良性または侵襲性であるか。これは、多くの場合、疾患のバイオマーカーの発現状態を判断するステップを含む。本明細書に使用される、疾患バイオマーカーは、正常細胞と比較する場合、罹患細胞に優先的に存在する、または存在しない、特定のタンパク質、またはタンパク質の形態を含み、それは、疾患の病期/悪性度または重症度を示し、ある条件下では、疾患の過程を予測する。疾患バイオマーカーはまた、生体内に生成される非タンパク質有機分子を含む。有益なバイオマーカーは、療法の選択肢も提供するこれらのタンパク質である。好ましくは、このようなバイオマーカーは、特定の疾患または疾患群に関連付けられる。可能な限り、最も正確かつ最も侵襲性でない設定においてバイオマーカーを調べることが望ましく、これは、所与の組織中のバイオマーカーの有無の解析が、組織自体ではなく、生体試料中、特に、通常、サンプリングしやすい、体液において行うことを意味する。侵襲性の少ない、または非侵襲性の採取により、血漿、血清、全血、唾液、髄液、涙、および尿が挙げられるが、これらに限定されない、液体を提供する。しかしながら、バイオマーカー解析の現在の限界は、体液において解析され得るバイオマーカーの不足である。
【0014】
本発明は、固体組織疾患および疾病を検出し、特徴付ける、または病期分類するのに有用である、分泌されるバイオマーカー、概して、内腔タンパク質のペプチド断片の発見および解析のための方法を提供することにより本問題を解決する。「タンパク質」という用語は、全長タンパク質未満であるが、全長タンパク質の配列内に含有される、アミノ酸配列を有するペプチドおよびポリペプチドを含むことを意図する。ペプチドは、2から約50のアミノ酸(例えば、5、10、15、20、30、40、または50のアミノ酸)を含むことができる。腺腔および収集管に罹患細胞により分泌または放出されたタンパク質は、尿、唾液、および血液等の体液に向けられる。本明細書に使用される「腺腔」とは、概して、分泌上皮細胞により取り囲まれる、組織内の内部の空間または空洞を含む。腺腔は、分泌または放出タンパク質(またはそのペプチド断片)を採取し、しばしば、一連の内腔を通って、本タンパク質集団を収集管に移動する。これらの体液のタンパク質複雑性は高く、よって、これらの生体試料中で疾患バイオマーカーの発見および同定は、実質的な課題である。さらに、細胞タンパク質の複雑性により、しばしば、疾患バイオマーカーとして有用なこれらの細胞タンパク質からペプチド配列の効率的な同定が阻止される。
【0015】
本発明の以前には、従来技術は、腺腔および連絡管に分泌される、または放出されるタンパク質(またはそのペプチド断片)が単離および同定され得る方法を欠いていた。さらに、従来の方法は、組織のこれらの広範な領域に存在する腺腔および連絡管等の特定の構造を認識および研究することなく、全組織または組織の領域の解析に焦点を当ててきた。また、本発明の以前には、レーザーベースの組織顕微解剖は、概して、組織自体に特定の特性を作り上げる全細胞上に実施されている。顕微解剖は、全細胞内の検出可能なレベルで存在しない腺腔内にあるタンパク質を特異的に除去および調達するのに利用されていない。
【0016】
本発明は、標準的な切断組織切片に存在する腺腔内に含まれるタンパク質から直接疾患のバイオマーカーを発見および同定する新規アプローチを、一部対象とする。まず、腺腔内に存在するタンパク質を含む生体試料を得る。次に、内腔タンパク質は、1つもしくは複数の手段により同定され、しばしば、全長タンパク質自体の代わりに、ペプチド断片を検出するために、同定ステップの前に、タンパク質が、タンパク質分解的切断等により修飾される。バイオマーカーとして同定されたタンパク質の検証は、例えば、正常(すなわち、罹患していない)組織から得られる生体試料との比較により行われる。ここで、本明細書に示されるように、すべての型の臓器および組織の腺腔および連絡管に優先的に認められるバイオマーカーは、凍結組織試料およびホルマリン固定組織試料の双方から同定される。これらのバイオマーカーは、癌を含む、疾患を検出し、病期分類するのに有用である新規のポリペプチドである。
【0017】
生体試料
本発明は、腺腔内に存在するタンパク質を含む生体試料を提供する。腺腔中に認められるタンパク質は、細胞外タンパク質、分泌または放出タンパク質、細胞内タンパク質、膜結合タンパク質、核タンパク質、細胞質タンパク質、およびオルガネラタンパク質を含む。特に有利な腺腔タンパク質は、細胞外タンパク質および分泌タンパク質を含む。腺腔からのみ試料を得ることにより、正常な内腔および罹患内腔の双方に発現したタンパク質のプロファイル(つまり「アーカイブ」)を作成することを可能にする。しばしば、タンパク質性材料は、凍結または化学的手段等により、組織試料が固定される場合、内腔中に「捕捉(trapped)」される。試料は、例えば、生検、外科病理診断、または細胞診から得られる組織である。固体臓器組織を有する生命体から摘出されたいかなる生体試料も、本発明に従う試料である。該生体試料は、新鮮組織、凍結組織、新鮮凍結組織、または病理組織学的に処理された組織を含むことができる、正常または罹患固体組織試料からの腺腔から得られる。
【0018】
好ましくは、組織試料は、組織もしくは細胞のホルマリン固定、組織もしくは細胞のホルマリン固定およびパラフィン包埋、または固体腫瘍組織のホルマリン固定および/もしくはパラフィン包埋等により病理組織学的に処理される。病理組織学的処理は、一般的に、ホルマリン固定液の使用を通して起こる。ホルマリンは、比較的安価で、扱いやすいため、およびホルマリン固定された試料をパラフィンに包埋すると、試料は容易に保存されるため、汎用される。さらに、ホルマリンは、組織構造および細胞形態の双方を保存するため、しばしば、最適な固定剤である。精密な機構は、十分に理解され得ないが、理論に拘束されることを所望するわけではないが、固定は、生体標本内でホルマリン誘導のタンパク質の架橋により行われると考えられる。これらのタンパク質架橋のため、ホルマリン固定は、組織切片の従来の顕微解析において広範囲の成功を見出している。
【0019】
近年、当業者が先進的なアッセイによる解析のためのホルマリン固定固体組織から直接タンパク質およびペプチドを可溶化させることができる、新規の一連の試薬および方法が開発されている(2004年3月10日に出願された米国特許出願第10/796288号参照、それらの内容は、それらの全体を参照することにより本明細書に組み込まれる)。本発見の以前には、ホルマリン固定の結果としてのタンパク質の不溶化のため、病理組織学的に処理された固体組織および固体組織から得られる病理組織学的に処理された生検を含む、病理組織学的に処理された固体組織試料からのタンパク質およびペプチドの解析に利用できる実験技術がほとんどなく、これらの従来技術は、実質的な制限があった。これまで、ホルマリン固定は、病理組織学的に処理された固定臓器組織および固体臓器組織から得られる病理組織学的に処理された生検を含む、ホルマリン固定された病理組織を、質量分析法およびタンパク質アレイ等の近年開発されている強力な解析方法の多くで、ほとんど価値がないものにした。
【0020】
腫瘍から得られるこれらの組織および生検を含む、外科的に摘出された固体組織および生検の処理および保存のためのホルマリン固定は、当業者には公知である。ここ約100年間、固体組織は、通常、ホルマリン、またはホルマリン固定/パラフィンワックス包埋(FFPE)ブロックに固定されている。圧倒的大多数の病院および病理検査室、診断外科および解剖病理の過程では、多くの診断試験に用いる前に、ホルマリンですべての固体組織を処理する。
【0021】
組織学的に処理された罹患および正常組織を利用するために、本発明は、病理組織学的に処理された罹患および正常固体組織内で腺腔から可溶性タンパク質/ペプチド溶解物を含む生体試料の生成を提供する。該生体試料は、病理組織学的に処理された固体罹患および/または正常組織内の腺腔から、またはそのような組織からのバイオプシー、例えば、組織試料または細胞試料から、生成される。生体試料は、抽出、単離、さらなる可溶化、分画、希釈、および保存を含む、その後の操作を行いやすい。
【0022】
内腔生体試料を得るための好ましい方法は、組織顕微解剖を含み、それは、内腔中に含まれるタンパク質性材料を特異的に除去する。組織から生体試料を得る他の方法の例としては、手動のコアパンチ、組織パンチ、レーザーベースの組織顕微解剖、および当技術分野に公知の他の技術を用いたものが挙げられるが、これらに限定されない。得られた生体試料の実サイズは、選択したアッセイを行うのに十分な量がある限り、重要ではない。
【0023】
生体試料の組織顕微解剖
組織顕微解剖は、概して、スライドガラス上の薄組織切片から直接、高濃縮形態の特異的細胞集団を得るように設計されるいくつかの異なる技術を含む。顕微解剖を達成するための異なる技術は、ホルマリン固定により達成されるような、凍結状態に保存されている組織または化学的に保存されている組織に適用され得る。一手法は、プラスチック被覆されたスライドガラス上に薄組織切片を置いた後、顕微鏡上に装着したレーザー上に直接スライドガラスを置くことにより行われる。組織試料の残りから分離される細胞の領域は、顕微鏡により可視化された後、プラスチックおよびプラスチックに付着した組織を切断するためのレーザー反復使用あるいは継続使用のいずれかにより完全に輪郭が示される。その後、細胞を包含するプラスチックの部分を、レーザーの単一ショット等によって、回収容器に移し、それにより、付着細胞を伴うプラスチックを、収集管中に飛散させる。代替的に、組織切片に接触するプラスチック被覆されたスライドガラスを逆さまにし、顕微鏡上に装着したレーザー下に置いた場合、外面のレーザー治療を行った後、重力により、プラスチックおよび外郭のプラスチックに付着した細胞が収集管に落ちる。
【0024】
別の方法において、薄組織切片を標準的なスライドガラスに置き、顕微鏡に装着したレーザー下に置く。着目細胞は、その後、視覚的に同定され、光反応性の薄フィルムを有するキャップを組織の上に直接置き、レーザーを作動させる。光反応性フィルムを照射するレーザーにより、該フィルムは、真下に細胞がフィルムの裏面に付着するように作動される。その後、該フィルムを、それに付着する着目細胞および他の物質とともに除去し、さらなる処理のために収集管に入れる。組織顕微解剖をさらにもう一度繰り返し、薄組織切片を、エネルギー移動の薄コーティングされたスライドガラス上に置く。その後、このスライドガラスを、顕微鏡に装着したレーザー下に置き、着目細胞を、顕微鏡で視覚化する。その後、レーザーを作動させ、エネルギー移動コーティングに照射するが、これは、UV光エネルギーを熱に変換し、したがって、着目細胞および物質を収集管に移動させる。
【0025】
内腔生体試料の解析
本発明は、本明細書において、固体罹患および/または正常組織の腺腔内の「検体」と称される細胞成分(タンパク質またはそのペプチド、脂質、炭水化物、および他の物質を含む)の生化学分析を提供する。検体は、いかなるタンパク質またはそこから得られるペプチド、または他の細胞成分をも含み、質量分析法、ウエスタンブロット、免疫ベースのアッセイ、またはタンパク質アレイ等の当技術分野で周知の検出手段により検出可能である。罹患組織中の検体のレベルが、疾患を患っていない個人から得られる罹患組織に相当する組織中のレベルと比較することができるように、検体はまた、定量化できることが好ましい。検体は、個々のタンパク質、タンパク質群もしくはファミリー、またはタンパク質群の多数のメンバーを含む。着目生体分子がペプチドである場合、ペプチドは、可溶性液状の抽出物からあらかじめ無傷のタンパク質から直接得られ、ペプチドおよび/またはペプチドの集合体は、出発罹患または正常固体組織試料から得られ、そこから得られる腺腔の総タンパク質量を表す。タンパク質と同様に、出発タンパク質の抽出物からの結果として生じたいかなるペプチド抽出物も、質量分析法、ウエスタンブロット、免疫ベースのアッセイ、またはタンパク質アレイが挙げられるが、これらに限定されない、多くのペプチド/タンパク質同定、解析、および発現アッセイに設置することができる。
【0026】
正常または罹患腺腔内に含まれるタンパク質の解析は、「プロテオミクス」という用語に含まれ、それは、最も一般的に、タンパク質の大規模研究を指す。例えば、すべてのプロテオミクス技術は、個々のタンパク質が、他の技術を用いてさらに容易に処理されるような、複合混合物を分離する能力に依存する。プロテオミクスはまた、特異タンパク質の同定を含む。例えば、同定は、エドマン分解を通して、ロースループットの配列決定を含んでよい。ハイスループットのプロテオミクス技術は、質量分析法、一般に、ペプチド質量フィンガープリント法、または2回以上の質量分析ができる機器におけるデノボ反復検出配列決定に基づく。また、抗体ベースのアッセイも使用することができるが、通常、ある配列モチーフに特有のものである。プロテオミクス研究の他の態様は、タンパク質の定量化、タンパク質の配列解析、タンパク質の構造、タンパク質の相互作用、タンパク質の修飾、および細胞中のタンパク質の位置のマッピングを含む。
【0027】
内腔タンパク質解析の好ましい方法は、質量分析法である。質量分析法の計器フォーマットの例としては、LC−ESI−MS、LC−ESI−MS/MS、LCナノスプレーMS、LCナノスプレーMS/MS、MALDI−TOF、MALDI−TOF/TOF、SELDI−TOF、およびSELDI−TOF/TOFが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
広範囲のプロテオミクスプロファイリングのLC−ESI−MS/MSによる質量分析法は、様々なタンパク質試料調製プロトコルのうちの1つを用いて、着目細胞からタンパク質試料を調製するステップを含む。タンパク質調製物を、その後、例えば、トリプシン等の一般的なプロテアーゼで、ペプチドに消化し、結果として生じた消化物を、液体クロマトグラフィーカラムに注入する。ペプチドの分離は、個々のペプチドのサイズおよび負荷等の特性に基づく。別個の留分類がカラムから溶出される場合、それらを、ペプチド同定のために電子スプレーイオン化により質量分析計に注入する。質量分析法のイオントラッピングおよび衝撃物理学に基づいて、ペプチドの一次アミノ酸構造を判断し、ペプチドの一覧表を作成する。試料中の未知タンパク質のペプチドの質量を、ゲノムにコード化されたそれぞれのタンパク質の理論的ペプチド質量と比較して、タンパク質同定の一覧表を作成する。一般に、LC−ESI−MS/MSを用いた質量分析法によるプロファイリングは、2時間のクロマトグラフィー分離において、最大3,000個のタンパク質を同定する。
【0029】
別の質量分析法は、MALDIであり、トリプシン消化物を、金属プレートに置き、化学的マトリックスを用いて乾燥させる。ペプチドを含むマトリックスを質量分析計に直接照射する効果を有するレーザーを用いて、マトリックスを活性化させる。その後、ペプチド衝撃の同一の手法を行い、ペプチドのアミノ酸配列ならびにペプチドおよびこれらのペプチドを得るタンパク質の同定を提供する。このように、質量分析法は、出発タンパク質調製物に存在するタンパク質の詳細な同定を提供する。MALDI質量分析法は、単一の複合生体試料から約200個のタンパク質を同定することができる。
【0030】
罹患および正常組織からの内腔タンパク質の比較
本発明において、本明細書において生成される、可溶性タンパク質およびペプチドを含むそれぞれの生体試料は、罹患固体組織試料から、またはそれに相当する正常組織試料からの腺腔中のこれらのタンパク質の状態を直接反映する。したがって、本発明によれば、このような腺腔中に検出されたタンパク質は、疾患のタンパク質バイオマーカーであり得、体液の診断アッセイを提供することができる、異なった形で発現したタンパク質を同定するために、その後、正常固体組織試料の腺腔内で発見されたタンパク質と比較される、タンパク質プロファイルを含む。
【0031】
罹患タンパク質を正常タンパク質と比較するための最良の方法は、コンピュータプログラムを利用して、互いにデータセットを比較し、これらの2つのデータセット間の差異および共通点を確認することである。これは、例えば、タンデム質量分析法を通して、1つもしくは複数のペプチドを検出し、それぞれの試料中に含まれるペプチドの一覧表またはインデックスを作成することにより達成される。その後、それぞれの表からのペプチドを使用して、ペプチドが得られたタンパク質を同定する。概して、この同定は、SEQUEST(Eng et al,“An approach to correlate tandem mass spectral data of peptides with amino acid sequences in the protein database,”Journal of American Society of Mass Spectrometry 1994,5(11):976−989)およびMASCOT(Perkins et al,“Probability−based protein identification by searching database using mass spectrometry data,“Electrophoresis 1999,20(18):3551−3567)等の当技術分野で周知の多くの商業的に入手可能なコンピュータプログラムのうちの1つを用いて実行される。同定されたタンパク質に関する情報は、タンパク質発現データセットを開発するために、Microsoft Access等のソフトウェアプログラムを用いて解析される。これらのタンパク質同定は、罹患腺腔に存在し、正常腺腔に存在しないタンパク質、または2つの試料中の異なるレベルで存在するタンパク質の一覧表の基礎を形成する。それは、疾患バイオマーカーとして有用なこれらのタンパク質であり、血清等の体液に存在する可能性が高い。血清中のこれらのタンパク質のアッセイは、患者試料採取の侵襲性の少ない方法を用いて、疾患を診断する方法を提供する。
【0032】
本発明は、記載される特定の手法、プロトコル、構築物、化学式、および試薬に限定されないが、熟練した技術者に周知のものをさらに含む。本明細書に使用される術語は、特定の実施形態のみを記載するためのものであり、本発明の範囲を限定することを意図しないことも理解されたい。
【0033】
実施例1
表1は、文献検索から発見されるような子宮液、および図1に示される腺腔からの可溶性タンパク質溶解物の双方に一般に発現されることが認められたタンパク質の一覧表である。注目すべきは、1986年から2003年の間に刊行された文献の検索を通して子宮内膜細胞により分泌されることが以前に示されたタンパク質のすべてが、子宮内膜腺腔のタンパク質プロファイルにおいても同定されることである。
【0034】
実施例2
表2は、腺腔タンパク質プロファイルに存在するタンパク質の型を判断した解析からの結果を示し、その結果を上皮細胞からのタンパク質の質量分析により決定されたタンパク質プロファイルから得たタンパク質の型と比較したものである。腺腔試料で最高率のタンパク質は、細胞外関連した膜結合であるタンパク質を示す一方で、全タンパク質のわずかな割合は、細胞内起源のものである。上皮細胞試料中の最高率のタンパク質は、細胞内起源のものである。これらの結果は、内腔が、実際には、分泌細胞外タンパク質を主に含み、本発明が、臓器および腺腔内に存在するタンパク質の解析により分泌タンパク質を特異的に同定するステップに対して有利であることを示す。
【0035】
実施例3
図4は、図1に示される子宮内膜起源の単一の病理組織学的に処理された固体腫瘍組織試料から得られる可溶性タンパク質溶解物の質量分析により同定されたタンパク質の完全な一覧表を示す。

表1
ガレクチン−3結合タンパク質前駆物質(ガラクトシド結合性レクチン可溶性3結合タンパク質)
ゲルゾリン前駆物質(アクチン解重合因子)(ADF)(ブレビン)(AGEL)
グリコデリン前駆物質(GD)(妊娠に関連した子宮内膜アルファ2グロブリン)
熱ショック同族体71kDaタンパク質(熱ショック70kDaタンパク質8)
熱ショックタンパク質HSP 90ベータ(HSP 84)(HSP 90)
熱ショック関連70kDaタンパク質2(熱ショック70kDaタンパク質2)
インスリン様成長因子結合タンパク質7前駆物質(IGFBP−7)(IBP−7)
リポカリン−1前駆物質(エブネル(Von Ebner)腺タンパク質)(VEGタンパク質)(涙プレアルブミン)
セロトランスフェリン前駆物質(トランスフェリン)(シデロフィリン)(ベータ−1−金属結合グロブリン)

表2
癌細胞 内腔タンパク質
細胞外タンパク質 9.31% 37.88%
細胞内タンパク質 67.37% 15.15%
細胞膜タンパク質 21.23% 37.88%

表3
14−3−3タンパク質ゼータ/デルタ(タンパク質キナーゼC阻害剤タンパク質1)(KCIP−I)
60Sリボソームタンパク質L13(乳房塩基性保存タンパク質1)
アクチン、大動脈平滑筋(アルファ−アクチン−2)
アクチン、細胞質1(ベータ−アクチン)
ALBタンパク質
アルファ−1カテニン(カドヘリン関連タンパク質)(アルファE−カテニン)
アルファ−1−抗トリプシン前駆物質(アルファ−1プロテアーゼ阻害剤)(アルファ−1−抗プロテイナーゼ)
アルファ−エノラーゼ、肺特異的(EC4.2.1.11)(2−ホスホ−D−グリセリン酸ヒドロ−リアーゼ)(非神経エノラーゼ)(NNE)
アルファ−トコフェロール輸送タンパク質(アルファ−TTP)
アンキリン−3(ANK−3)(アンキリンG)
アネキシンAl(アネキシンI)(リポコルチンI)(カルパクチンII)(クロモビンディン(Chromobindin)−9)(p35)(ホスホリパーゼA2阻害剤
アネキシンA2(アネキシンII)(リポコルチンII)(カルパクチンI重鎖)(クロモビンディン−8)(p36)(タンパク質I)(胎盤)
アネキシンA5(アネキシンV)(リポコルチンV)(エンドネキシンII)(カルホビンディンI)(CBP−I)(胎盤抗凝固タンパク質)
アネキシンIV変異体(断片)
AP−3複合サブユニットミュー−1(アダプター関連タンパク質複合体3ミュー−1サブユニット)(ミュー−アダプチン3A)(AP−3アダプター)
アポリポタンパク質A−I前駆物質(Apo−AI)(ApoA−I)[含有:アポリポタンパク質A−I(I−242)]
アポトーシスプロテアーゼ活性化因子1(Apaf−1)
ARAR9245
ATリッチ相互作用ドメイン4B(RBPl−様)
ATPシンターゼγ鎖、ミトコンドリア前駆物質
サラセミア患者からのベータ−グロビン遺伝子、完全cds
Clorfl09タンパク質
カルモジュリン(CaM)cAMP−特異的3’,5’−環状ホスホジエステラーゼ4A(EC3.1.4.17)(DPDE2)(PDE46)
カルバモイルリン酸シンターゼ[アンモニア]、ミトコンドリア前駆物質(EC6.3.4.16)(カルバモイルリン酸)
CDNA FLJ34378 fis、クローンFEBRA2018051
CDNA FLJ35778 fis、クローンTESTI2005378
細胞分裂周期関連1
センタウリン−デルタ3(Cnt−d3)(Arf−GAP、Rho−GAP、アンキリン反復およびプレクストリン相同ドメイン含有
セルロプラスミン前駆物質(EC1.16.3.1)(フェロオキシダーゼ)
塩素アニオンエクスチェンジャー(DRAタンパク質)(アデノーマにおける下方制御)(溶質担体ファミリー26メンバー3)
クロモドメインヘリカーゼ−DNA−結合タンパク質5(EC3.6.1.−)(ATP依存ヘリカーゼCHD5)(CHD−5)
クラスタリン前駆物質(補体関連タンパク質SP−40,40)(補体不活性化薬)(CLI)
コートマーサブユニットデルタ(デルタコートタンパク質)(デルタ−COP)(Archain)
コイルドコイルドメイン含有タンパク質13
コラーゲンアルファ−1(I)鎖前駆物質
コラーゲンアルファ−2(I)鎖前駆物質
補体C3前駆物質[含有:補体C3ベータ鎖;補体C3アルファ鎖;C3a補体C4−A前駆物質(酸性成分C4)[含有:補体C4ベータ鎖;補体
細胞質非特異性ジペプチダーゼ(グルタミン酸カルボキシペプチダーゼ様タンパク質1)(CNDPジペプチダーゼ2)
デヒドロゲナーゼE1およびトランスケトラーゼドメイン含有タンパク質1
悪性脳腫瘍1の欠失
ダームシジン前駆物質(プレプロテオリシン(Preproteolysin))[含有:生存促進ペプチド;DCD−I]
デスミン
DnaJタンパク質
伸長因子1−アルファ2(EF−1−アルファ−2)(伸長因子1A−2)(eEFlA−2)(スタチンS1)
エズリン(p81)(サイトビリン)(ビリン−2)
フェリチン軽ポリペプチド変異体
フィブリリン−2前駆物質
フィブリノゲンアルファ鎖前駆物質[含有:フィブリノペプチドA]
フィブリン−1前駆物質
フルクトース−ビスリン酸アルドラーゼA(EC4.1.2.13)(筋肉型アルドラーゼ)(肺癌抗原NY−LU−I)
ガレクチン−3結合タンパク質前駆物質(ガラクトシド結合性レクチン可溶性3結合タンパク質)(Mac−2結合)
ゲルゾリン前駆物質(アクチン解重合因子)(ADF)(ブレビン)(AGEL)
グルタミン酸[NMDA]受容体サブユニットエプシロン4前駆物質(N−メチル D−アスパラギン酸受容体サブタイプ2D)(NR2D)
グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(EC1.2.1.12)(GAPDH)
グリコデリン前駆物質(GD)(妊娠に関連した子宮内膜アルファ−2グロブリン)(PEG)(PAEG)(胎盤)
HBS1−様タンパク質(ERFS)
熱ショック同族体71kDaタンパク質(熱ショック70kDaタンパク質8)
熱ショックタンパク質HSP 90−ベータ(HSP 84)(HSP 90)
熱ショック関連70kDaタンパク質2(熱ショック70kDaタンパク質2)
ヘモグロビンデルタサブユニット(ヘモグロビンデルタ鎖)(デルタ−グロビン)
ヘテロ核リボヌクレオタンパク質A2/B1(hnRNP A2/hnRNP Bl)
ヒストンH2A 1型(H2A.2)
ヒストンH4
ホメオボックスタンパク質BarH−様1
ホメオボックスタンパク質Hox−A5(Hox−1C)
ホメリン
Hsp89−アルファ−デルタ−N
仮説的タンパク質
仮説的タンパク質DKFZp686C1522
仮説的タンパク質DKFZp686J1372
仮説的タンパク質DKFZp762N1910(断片)
仮説的タンパク質DKFZp781H1112
仮説的タンパク質FLJ22833
仮説的タンパク質FLJ35808
仮説的タンパク質MGC42367
仮説的タンパク質MGC9850(ポリメラーゼ(RNA)IポリペプチドC)
仮説的タンパク質SH3PX3(仮説的タンパク質DKFZp666B159)
Igガンマ−1鎖C領域
Igカッパ鎖V−II領域Cum
Igカッパ鎖V−III領域SIE
IgG受容体FcRn大サブユニットp51前駆物質(FcRn)(新生児Fc受容体)(IgG Fc断片受容体
IGHA1タンパク質
IGHMタンパク質
IGKCタンパク質
IGLC2タンパク質
免疫グロブリンJ鎖
免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー21前駆物質
インスリン受容体基質2挿入変異体(断片)
インスリン様成長因子結合タンパク質7前駆物質(IGFBP−7)(IBP−7)(IGF−結合タンパク質7)(MAC25)
インターロイキン−12ベータ鎖前駆物質(IL−12B)(IL−12 p40)(細胞傷害性リンパ球成熟因子40kDa
イソクエン酸デヒドロゲナーゼ[NADP]細胞質(EC1.1.1.42)(オキサロコハク酸デカルボキシラーゼ)(IDH)
ケラチン、I型細胞骨格10(サイトケラチン−10)(CK−10)(ケラチン−10)(K10)
ケラチン、I型細胞骨格12(サイトケラチン−12)(CK−12)(ケラチン−12)(K12)
ケラチン、I型細胞骨格14(サイトケラチン−14)(CK−14)(ケラチン−14)(K14)
ケラチン、I型細胞骨格16(サイトケラチン−16)(CK−16)(ケラチン−16)(K16)
ケラチン、I型細胞骨格19(サイトケラチン−19)(CK−19)(ケラチン−19)(K19)
ケラチン、I型細胞骨格9(サイトケラチン−9)(CK−9)(ケラチン−9)(K9)
ケラチン、II型細胞骨格1(サイトケラチン−1)(CK−1)(ケラチン−1)(K1)(67kDaサイトケラチン)(髪アルファタンパク質)
ケラチン、II型細胞骨格2表皮(サイトケラチン−2e)(K2e)(CK2e)
ケラチン、II型細胞骨格5(サイトケラチン−5)(CK−5)(ケラチン−5)(K5)(58kDaサイトケラチン)
ケラチン、II型細胞骨格6A(サイトケラチン−6A)(CK6A)(K6aケラチン)
ケラチン、II型細胞骨格8(サイトケラチン−8)(CK−8)(ケラトン−8)(K8)
キネシン様タンパク質KIF14
ロイシンリッチリピートキナーゼ1
リポカリン−1前駆物質(エブネル腺タンパク質)(VEGタンパク質)(涙プレアルブミン)(TP)(涙リポカリン)(Tie)
リポフィリン−B前駆物質(セクレトグロビンファミリーIDメンバー2)
L−乳酸デヒドロゲナーゼA鎖(EC1.1.1.27)(LDH−A)(LDH筋肉サブユニット)(LDH−M)
マルターゼ−グルコアミラーゼ、腸[含有:マルターゼ(EC3.2.1.20)(Α−グリコシダーゼ);グルコアミラーゼ
MELL1タンパク質
微小管関連タンパク質(断片)
ミトーゲン活性化タンパク質キナーゼキナーゼキナーゼ1(EC2.7.1.37)(MAPK/ERKキナーゼキナーゼI)(MEKキナーゼ1)
ミトーゲン活性化タンパク質キナーゼキナーゼキナーゼ10(EC2.7.1.37)(混合系統キナーゼ2)(タンパク質キナーゼ)
多剤耐性関連タンパク質6(ATP−結合カセットサブファミリーCメンバー6)(アントラサイクリン)
ミオシン−10(ミオシン重鎖、非筋肉性lib)(非筋肉性ミオシン重鎖lib)(NMMHC II−b)
ミオシン−9(ミオシン重鎖、非筋肉性Ha)(非筋肉性ミオシン重鎖Ha)(NMMHC II−a)
ネブリン関連アンカリングタンパク質
神経分泌タンパク質VGF前駆物質
ニバン様タンパク質(Meg−3)
アンキリンリピートドメインタンパク質18Aに類似する新規タンパク質(LOC441424)(断片)
核内受容体結合タンパク質1(核因子RIP140)(受容体結合タンパク質140)
オレキシン受容体1型(OxIr)(ハイポクレチン受容体1型)
オステオポンチン前駆物質(骨シアロタンパク質−1)(分泌性リンタンパク質1)(SPP−I)(尿路結石タンパク質)
オトアンコリン前駆物質
ペルオキシレドキシン(peroxiredoxin)−6(EC1.11.1.15)(抗酸化タンパク質2)(1−Cysペルオキシレドキシン)(1−Cys PRX)
PIWIL3タンパク質
血漿プロテアーゼC1阻害剤前駆物質(C1Inh)(C1Inh)
プラスミノーゲン活性化因子阻害剤1前駆物質(PAI−I)(内皮プラスミノーゲン活性化因子阻害剤)(PAI)
推定G−タンパク質結合受容体97前駆物質(G−タンパク質結合受容体PGR26)
推定ヘリカーゼセナタキシン(EC3.6.1.−)(SEN1ホモログ)
プログラム細胞死タンパク質8、ミトコンドリア前駆物質(アポトーシス誘導因子)
テロメア1の保護(hPotl)(POT1−様テロメア末端結合タンパク質)
タンパク質C20orf 121
タンパク質CXorf38
タンパク質KIAA0494
プロチモシンアルファ[含有:チモシンアルファ−1]
高度なグリコシル化最終産物欠失エクソン2−6変異体の受容体
無毛様タンパク質の組み換え結合タンパク質サプレッサ(転写因子RBP−L)
RGD、ロイシンリッチリピート、トロポミオシンおよびプロリンリッチ含有タンパク質(断片)
Rho関連タンパク質キナーゼ1(EC2.7.1.37)(Rho関連、コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ1)
セリン/スレオニン−タンパク質キナーゼPLK4(EC2.7.1.37)(Polo様キナーゼ4)(PLK−4)(セリン/スレオニン−タンパク質)
セロトランスフェリン前駆物質(トランスフェリン)(シデロフィリン)(Β−1−金属結合グロブリン)
シュルーム関連タンパク質
CG3714遺伝子産物に類似
ナトリウムチャネルタンパク質X型アルファサブユニット(電位型ナトリウムチャネルアルファサブユニットNavl.8)
ナトリウム/水素エクスチェンジャー5(Na(+)/H(+)エクスチェンジャー5)(NHE−5)(溶質担体ファミリー9メンバー5)
溶質担体ファミリー22メンバー11変異体(断片)
スペクトリンアルファ鎖、脳(スペクトリン、非赤血球アルファ鎖)(Α−IIスペクトリン)(フォドリンアルファ鎖)
精子細胞核周囲RNA−結合タンパク質
精子形成関連18ホモログ
テトラトリコペプチド反復タンパク質12(TPR反復タンパク質12)
THAPドメイン含有タンパク質2
チオレドキシン(ATL由来因子)(ADF)(表面関連スルフヒドリルタンパク質)(SASP)
チオレドキシンレダクターゼ2、ミトコンドリア前駆物質(EC1.8.1.9)(TR3)(TR−ベータ)(セレノタンパク質Z)(SeIZ)
転写伸長因子Bポリペプチド1(RNAポリメラーゼII転写因子SIIIサブユニットC)
形質転換酸性コイルドコイル含有タンパク質1(タキシン1)(胃癌抗原Ga55)
トランスゲリン−2(SM22−アルファホモログ)
移行型小胞体ATPase(TER ATPase)(15S Mg(2+)−ATPase p97サブユニット)(バロシン)
トリカルボン酸輸送タンパク質、ミトコンドリア前駆物質(クエン酸塩輸送タンパク質)(CTP)(トリカルボン酸)
トリヌクレオチド反復含有遺伝子6Aタンパク質(CAG反復タンパク質26)(グリシン−トリプトファンタンパク質)
トリオースリン酸イソメラーゼ(EC5.3.1.1)(TIM)(トリオース−リン酸イソメラーゼ)
トロポミオシンアルファ−3鎖(トロポミオシン−3)(トロポミオシンガンマ)(hTM5)
トロポミオシンベータ鎖(トロポミオシン2)(ベータ−トロポミオシン)
チューブリンアルファ−1鎖(アルファ−チューブリン1)(精巣特異的アルファ−チューブリン)(チューブリンH2−アルファ)
チューブリンアルファ−2鎖(Α−チューブリン2)
チューブリンベータ−2鎖
チューブリンベータ−2C鎖(チューブリンベータ−2鎖)
ユビキチン
ユビキチン活性化酵素E1(A1S9タンパク質)
バーシカンコアタンパク質前駆物質(大線維芽細胞プロテオグリカン)(コンドロイチン硫酸プロテオグリカンコア)
ビメンチン
ビタミンD−結合タンパク質前駆物質(DBP)(群特異的成分)(Gc−グロブリン)(VDB)
ビトロネクチン前駆物質(血清拡散因子)(S−タンパク質)(V75)[含有:ビトロネクチンV65サブユニット]
ワーリン(常染色体劣性難聴型31タンパク質)
亜鉛フィンガータンパク質679
【0036】
別途定義されない限り、本明細書に使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書に記載されるものと類似する、または同等のいかなる方法、デバイス、および物質も、本発明の実行または試験に使用され得る。本明細書に言及されたすべての刊行物、および特許は、参照することにより本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疾患バイオマーカーを同定する方法であって、
a) 前記疾患に罹患している、または発症する恐れがある哺乳類対象から得られる腺腔から得られる実質的に純粋な物質を含む生体試料を提供するステップと、および
b) 前記生体試料中のタンパク質を同定するステップと、
を含んでなり、それにより、前記疾患バイオマーカーを同定する、方法。
【請求項2】
前記物質が、組織顕微解剖の方法により組織切片からの腺腔から得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記哺乳類対象が、癌を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記生体試料中の2つ以上のタンパク質を同定し、それにより、疾患タンパク質プロファイルを作成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記疾患タンパク質プロファイルが、前記疾患に罹患していない、または発症する恐れがない、哺乳類対象から得られる腺腔から得られる実質的に純粋な物質を含む対照生体試料中で同定される2つ以上のタンパク質を含む対照タンパク質プロファイルと比較される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記疾患タンパク質プロファイルが、前記対照タンパク質プロファイル中で測定可能な程度に検出可能でない2つ以上のタンパク質を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記疾患タンパク質プロファイルが、前記対照タンパク質プロファイル中よりも測定可能な程度に異なるレベルで2つ以上のタンパク質を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記疾患タンパク質プロファイルが、2つ以上の腺腔からの2つ以上の生体試料から得られる、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記2つ以上の腺腔が、複数の哺乳類対象から得られる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記対照タンパク質プロファイルが、2つ以上の腺腔からの2つ以上の生体試料から得られる、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記2つ以上の腺腔が、複数の哺乳類対象から得られる、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記疾患タンパク質プロファイルおよび前記対照タンパク質プロファイルが、同一の組織型または臓器型から得られる、請求項5に記載の方法。
【請求項13】
前記生体試料が、ヒト疾患の動物モデルから得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記タンパク質が、質量分析法により同定される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記質量分析法が、RPLC−MS/MS、LC−ESI−MS、LC−ESI−MS/MS、LCナノスプレーMS、LCナノスプレーMS/MS、MALDI−TOF、MALDI−TOF/TOF、SELDI−TOF、およびSELDI−TOF/TOFからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記物質が、病理組織学的に処理された組織、新鮮組織、または凍結組織を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記病理組織学的に処理された組織が、ホルマリン固定組織または細胞、ホルマリン固定/パラフィン包埋(FFPE)組織または細胞、FFPE組織ブロックおよび前記ブロックからの細胞、FFPE組織ブロックおよび罹患および正常組織からの細胞、ならびにFFPE組織ブロックおよび外科的に得られた生検からの細胞からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記凍結組織が、空気中での凍結または液体凍結により凍結される、請求項4に記載の方法。
【請求項19】
前記生体試料が、
a) 前記生体試料中のタンパク質架橋に悪影響を及ぼすのに十分な温度および時間で、前記生体試料および反応緩衝液を含む組成物を加熱するステップと、
b) 結果として生じた組成物を、前記生体試料の組織および細胞構造を破壊するのに十分な時間、有効量のタンパク質分解酵素で処置するステップと、
により調製される多目的生体分子溶解物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記生体試料が、Liquid Tissue(登録商標)試薬およびプロトコルを用いて調製される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記対照生体試料が、Liquid Tissue(登録商標)試薬およびプロトコルを用いて調製される、請求項5に記載の方法。
【請求項22】
前記タンパク質が、タンパク質アレイおよび免疫ベースのアッセイを用いて同定される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記疾患タンパク質プロファイルが、腺腔を取り囲む上皮細胞から得られる実質的に純粋な物質を含む対照生体試料中で同定される2つ以上のタンパク質を含む対照タンパク質プロファイルと比較され、前記物質が、前記疾患に罹患していない、または発症する恐れがない、哺乳類対象から得られる、請求項4に記載の方法。
【請求項24】
前記タンパク質が、可溶性タンパク質である、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記タンパク質が、1つもしくは複数の可溶性ペプチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記タンパク質が、表1および3に挙げられたタンパク質からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
疾患バイオマーカーを同定する方法であって、
a) 腺腔内に存在するタンパク質を含む第1の生体試料を提供するステップであって、前記生体試料が、前記腺腔から得られる物質を含む、ステップと、
b) 前記腺腔に隣接した上皮層から得られる物質を含む第2の生体試料を提供するステップと、
c) 前記第1の生体試料に存在するバイオマーカータンパク質を同定するステップと、および
d) 前記第1の生体試料および前記第2の生体試料に存在する、前記バイオマーカータンパク質の量を比較するステップと、
を含んでなり、それにより、前記疾患バイオマーカーを同定する、方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−530980(P2010−530980A)
【公表日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513492(P2010−513492)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/067937
【国際公開番号】WO2009/002946
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(505343745)エクスプレッション、パソロジー、インコーポレイテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】EXPRESSION PATHOLOGY, INC.
【Fターム(参考)】