固体酸化物形燃料電池昇温用バーナ及びこれを用いた固体酸化物形燃料電池発電システム
【課題】固体酸化物形燃料電池昇温用バーナにおいて、バーナ材を貫通する割れの発生を防止し、燃焼が行われるバーナ材の下流部における燃焼ガスの流速の乱れを緩和する。
【解決手段】燃料極、空気極、及び、固体のセラミックスで形成された電解質を含み、この電解質が前記燃料極と前記空気極とで挟み込まれた構成を有する複数個の単位セルを備えた固体酸化物形燃料電池発電システムに用いる固体酸化物形燃料電池昇温用バーナであって、バーナ用燃料とバーナ用空気とを混合して予混合気とするための予混合部と、この予混合気を燃焼させる燃焼面を構成するバーナ材とを含み、このバーナ材が、前記予混合気の流れ方向に積層された第一のセラミックス多孔体及び第二のセラミックス多孔体を含み、前記第二のセラミックス多孔体を、前記第一のセラミックス多孔体から見て、前記予混合気の流れ方向の上流側に設置する。
【解決手段】燃料極、空気極、及び、固体のセラミックスで形成された電解質を含み、この電解質が前記燃料極と前記空気極とで挟み込まれた構成を有する複数個の単位セルを備えた固体酸化物形燃料電池発電システムに用いる固体酸化物形燃料電池昇温用バーナであって、バーナ用燃料とバーナ用空気とを混合して予混合気とするための予混合部と、この予混合気を燃焼させる燃焼面を構成するバーナ材とを含み、このバーナ材が、前記予混合気の流れ方向に積層された第一のセラミックス多孔体及び第二のセラミックス多孔体を含み、前記第二のセラミックス多孔体を、前記第一のセラミックス多孔体から見て、前記予混合気の流れ方向の上流側に設置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体酸化物形燃料電池昇温用バーナ及びこれを用いた固体酸化物形燃料電池発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
固体酸化物形燃料電池は、固体電解質の一方の側に空気極を、他方の側に燃料極を設けてなる多数の単セルを重ね合わせる、あるいはつなぎ合わせることにより、全体を所定の発電可能温度にまで昇温させる必要がある。
【0003】
昇温方法には、ヒータによる昇温とバーナ燃焼による昇温とに大別され、従来の燃料電池の昇温方法においては、燃料電池の周囲に取り付けた電気ヒータによる加熱や空気極へ供給する空気管に加熱装置を設けて高温に加熱した空気を供給する方法などが採られている。
【0004】
上記の加熱装置には、バーナ燃焼による昇温も含まれるが、間接昇温といって燃焼ガスとセルとは直接接触させず、間接的に燃焼ガスの熱をセル側に伝熱させることにより、セルを加熱する方法が比較的信頼性の高い方法であった。
【0005】
しかしながら、近年、実用化の面から短時間起動や低消費電力化が求められてきており、バーナ燃焼ガスによる直接加熱方式が最も適した昇温方法として注目されている。
【0006】
この場合、特に、燃料極側の加熱に関しては、燃焼ガス中に酸素などの酸化性ガスが接触すると燃料極が酸化され、導電性や電極活性が失われるため、一般には、燃焼未反応の酸素が存在しない還元性雰囲気の燃焼ガスが要求されることになる。
【0007】
このため、燃料極側の燃焼バーナには、化学反応量論比よりも過剰な燃料を空気と均一に予混合させて未反応の酸素や煤の発生のない不完全燃焼をさせること、さらには、予混合燃焼に生じやすいバーナの逆火や失火のないこと等、信頼性の高い燃焼技術が要求され、これまで技術的に非常に難しいとされていた。
【0008】
直接昇温方式を用いる従来技術としては、例えば、特許文献1に開示されているように、バーナにふく射伝熱特性に優れた表面バーナを用いてその燃焼ガスでセルを直接加熱する方法が挙げられる。
【0009】
あるいは、例えば、特許文献2には、同軸噴流ノズルを多数配置し、ノズル内側に燃料を、外側に空気を流し、ノズル出口近傍の非常に短い区間において予混合及び予混合燃焼を行わせる燃焼バーナの構成が開示されている。
【0010】
また、予混合燃焼における極めて重要な技術課題として、上述の逆火の問題がある。これは、燃焼ガスの流速が燃焼速度に比べて遅い場合、あるいは、予混合気の温度が発火温度を超える場合に、バーナよりも上流側の予混合気に火が移る現象であり、安全で、かつ、安定した燃焼やバーナ自体を損傷させないためにも避けなければならない。
【0011】
その逆火防止技術の例としては、例えば、特許文献3に開示されているように、予混合気を冷却するため、予混合室内に冷却配管を設ける方法がある。
【0012】
また、特許文献4には、改質器または燃料電池の温度分布の均一性を向上すること、また、発電時に供給される改質用燃料と水蒸気、あるいは空気などとの混合気の濃度分布の均一性を向上することを目的として、燃料電池と、水素を含む改質ガスを生成する改質器とを備えた燃料電池システムであって、前記改質器または燃料電池の加熱源、又は、前記改質ガスを生成する原料の混合手段に、同軸噴流ノズルで構成されるクラスターバーナを設置した燃料電池発電システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2002−280053号公報
【特許文献2】特開2007−005180号公報
【特許文献3】特開2008−097936号公報
【特許文献4】特開2006−190580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、バーナ材を貫通する割れの発生を防止し、燃焼が行われるバーナ材の下流部における燃焼ガスの流量(流速)の乱れを緩和するとともに、予混合室をコンパクト化し、高負荷燃焼が可能で、かつ、燃焼安定性(逆火・失火防止)に優れ、煤の発生がなく、昇温過程におけるセル燃料極の劣化を防止し、短時間で燃料電池を昇温させることができる燃料極側バーナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の固体酸化物形燃料電池昇温用バーナは、燃料極、空気極、及び、固体のセラミックスで形成された電解質を含み、この電解質が前記燃料極と前記空気極とで挟み込まれた構成を有する複数個の単位セルを備えた固体酸化物形燃料電池発電システムに用いる固体酸化物形燃料電池昇温用バーナであって、バーナ用燃料とバーナ用空気とを混合して予混合気とするための予混合部と、この予混合気を燃焼させる燃焼面を構成するバーナ材とを含み、このバーナ材が、前記予混合気の流れ方向に積層された第一のセラミックス多孔体及び第二のセラミックス多孔体を含み、前記第二のセラミックス多孔体が、前記第一のセラミックス多孔体から見て、前記予混合気の流れ方向の上流側に設置されていることを特徴とする。
【0016】
本発明の固体酸化物形燃料電池発電システムは、燃料極、空気極、及び、固体のセラミックスで形成された電解質を含み、この電解質が前記燃料極と前記空気極とで挟み込まれた構成を有する複数個の単位セルを備えた固体酸化物形燃料電池発電システムであって、上記の固体酸化物形燃料電池昇温用バーナを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、バーナ材を貫通する割れの発生を防止し、燃焼が行われるバーナ材の下流部における燃焼ガスの流量(流速)の乱れを緩和することができる。
【0018】
また、本発明によれば、予混合室をコンパクト化するとともに、安定した高負荷燃焼を実現することができる。
【0019】
さらに、本発明によれば、煤の発生を抑制し、昇温過程におけるセル燃料極の劣化を防止し、短時間で燃料電池を昇温させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の固体酸化物形燃料電池モジュールの内部構造を模式的に示した縦断面図である。
【図2A】本発明による第一の実施例を示す燃料側バーナの縦断面図である。
【図2B】図2Aのクラスタノズル部を部分的に拡大して示した縦断面図である。
【図3】図2のB−B断面図である。
【図4】本発明による第二の実施例を示す燃料側バーナの縦断面図である。
【図5A】本発明による第二の実施例における予混合室部を模式的に示した縦断面図である。
【図5B】本発明による第二の実施例における予混合室部を模式的に示した上面図である。
【図6】本発明による第三の実施例を示すクラスタノズルの斜視図である。
【図7】本発明による第三の実施形態を示すクラスタノズルの部分縦断面図である。
【図8】本発明による第三の実施例を示す冷却通路の斜視図である。
【図9】本発明による第一の実施例の変形例を示す燃料側バーナの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、固体酸化物形燃料電池システムに関するものであり、特に、電池アノード側の昇温のための燃焼バーナに関する。
【0022】
特許文献1の表面バーナによる昇温では、金属繊維をバーナ材として使用しているため、バーナ材の耐熱性の面から、急速起動に必要な1000℃程度の高い燃焼温度を得ることが困難である。また、逆火対策や予混合気濃度の均一化、予混合部のコンパクト化などの課題、すなわち、表面燃焼バーナや予混合燃焼方式を用いる上で考慮しなければならない課題について解決するためのバーナの構造に関して開示されていない。
【0023】
特許文献2の同軸噴流ノズルバーナ(クラスタノズルバーナと称する。)に関しては、燃焼実験において、燃料と空気との急速混合が十分ではない場合があり、火炎が伸長し、輝炎や煤が発生することがあった。これは、特に燃料極側のバーナにおいて、燃料過剰な運転条件の場合に流速が不足気味になりやすいため、燃料と空気との混合が不十分となり、本来の機能である急速混合及び予混合燃焼が十分に発揮できなかったことによる。すなわち、固体酸化物形燃料電池においては、現行のクラスタノズルを燃料極側の予混合燃焼バーナとして適用することが困難であり、固体酸化物形燃料電池の条件にあったノズル設計を行ったとしても、微細加工が必要であり、コストの面で課題が残るものであると考える。
【0024】
特許文献3では、(1)予混合器室内に冷却配管を通して冷却、(2)バーナ本体(特に構造には触れていない)及びバーナ燃焼室周囲に冷却配管を通して冷却するとあるが、(1)に関しては予混合器室に冷却配管が通るため、予混合気室のスペースが大きくなり、バーナのコンパクト化の点で改善が必要である。また、構造的にも複雑になる。
【0025】
(2)に関しては、その冷却配管の配置から見て、予混合気を冷却する効果よりも、燃焼ガス温度を下げる効果のほうが大きい。これにより、確かに発明の目的の一つである熱回収効果は増えるが、燃焼ガス温度が下がることは、急速起動の面からは逆効果となる。また、火炎を形成するバーナ本体と冷媒が近いということは、火炎が冷媒の影響を受けやすいことを意味しており、制御の面でも高度な冷媒の流量調整が必要となる。すなわち、冷媒が多いと失火し易く、逆に、冷媒が少ないと逆火し易くなってしまう。
【0026】
さらに、上記(1)及び(2)に共通して言えることであるが、バーナの構造には触れていないため、表面燃焼バーナ特有の逆火防止対策として特に考慮されなければならないバーナ材の温度管理という観点から見た逆火防止の具体的方策については開示されていない。
【0027】
上記課題を解決するため、本発明は、固体のセラミックスよりなる電解質を挟んで燃料極と空気極を備えた固体酸化物形燃料電池の単位セルを複数個備え、前記燃料電池を昇温するための燃焼バーナを備えた発電システムにおいて、少なくとも前記セルの燃料極側を加熱する燃焼バーナがセラミックス多孔体を材料とする表面バーナであり、かつ前記表面バーナの上流側に多数の同軸噴流ノズルで構成されたクラスタノズルを前記表面バーナ面と平行に平面配置したことを特徴とする。
【0028】
本発明の望ましい実施態様においては、前記表面バーナは、セラミックス多孔体を複数個積層した構造であり、前記表面バーナに接し、かつ、前記表面バーナの上流側に金属製のパンチングボードを設置し、かつ、前記多数の同軸噴流ノズルを構成するノズル部と前記パンチングボードとが、熱伝導率の高い伝熱部材で熱的に接続されている。
【0029】
更には、前記平面配置された多数の同軸噴流ノズル部の周囲には冷却通路を備えている。
【0030】
表面バーナ材の上流側に温度センサを備え、バーナ材の上流側温度を監視し、その温度変化に応じて前記冷却通路に流す冷却媒体の流量を調節することにより前記バーナ材上流側温度を制御する。
【0031】
本発明の望ましい他の実施態様においては、前記表面バーナと前記クラスタノズル間にパンチングボードが挿入される。
【0032】
また、本発明の望ましい他の実施態様においては、多数の同軸噴流ノズルに供給される空気は該ノズル部の直下に設けた直方体容器である空気室から供給され、更にその空気室の長尺側の両サイドに設けた空気ヘッダーを介して供され、該ノズルに供給される燃焼用燃料は前記空気室の直下に設けられ多燃料ヘッダーから前記空気室を貫通する燃料導入管を介して供給される。
【0033】
以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0034】
図1は、本発明の固体酸化物形燃料電池モジュールの内部構造を模式的に示した縦断面図である。
【0035】
本図において、燃料電池モジュールは、上から順に、酸化剤側バーナ1、外部から酸化剤が供給される酸化剤容器2、複数の単位セル3が収納されたセル容器4、燃料が供給される燃料容器5及び燃料側バーナ6を含む構成となっている。また、本実施例において、セル容器4は断熱材7で覆われている。
【0036】
酸化剤側バーナ1においては、燃焼用燃料(バーナ用燃料)と燃焼用空気(バーナ用空気)とが予混合部8で混合された後、予混合気9となり、表面バーナ部10に送られて燃焼する。
【0037】
発電時においては、外部から酸化剤容器2に発電用の酸化剤13が供給され、複数の空気導入管11に酸化剤である空気を分配する。一方、起動時の電池の昇温過程においては、酸化剤側バーナ1からの燃焼ガス12が酸化剤容器2を介して空気導入管11に分配される。
【0038】
燃料側バーナ6においては、燃焼用燃料と燃焼用空気とが予混合部14で混合された後、予混合気15となり、表面バーナ部16に送られて燃焼する。
【0039】
発電時においては、燃料側容器5に発電用燃料19が供給され、整流板17を介して各単位セル3の燃料極側に送られる。一方、起動時の電池の昇温過程においては、燃料側バーナ6からの燃焼ガス18が整流板17を介して各単位セル3の燃料極側に送られる。
【0040】
本実施例において、セル容器4は、二つの単位容器20及び21から成り立ち、それぞれの単位容器20及び21に複数の単位セル3が収納されている。そして、電池モジュールの製作面から発電容量に応じて並べる単位容器20、21の数を決める方式をとっている。本実施例においては、2個の単位容器20、21であるが、酸化剤側バーナ1、燃料側バーナ6はそれぞれ一つでまかなう方式をとっている。
【0041】
セル容器4内の単位セル3は円筒型であり、円筒型の電解質を挟んで内側が空気極側、外側が燃料極側である。空気導入管11に入った発電用空気(酸化剤13)若しくは燃焼ガス12は、単位セル3内部の下部から導入され、上側にUターンして空気極と接触しながら上向きに流れる。
【0042】
発電時には、空気極にて電気化学反応により空気中の酸素から酸素イオン及び電子を生成する反応が生じる。一方、起動時には、燃焼ガス22により、単位セル3の空気極側が直接加熱される。
【0043】
また、整流板17を通った燃料側バーナ6からの燃焼ガス23は、燃料極と接触しながら上向きに流れる。
【0044】
発電時には、燃料極にて電気化学反応により、酸素イオンと電子と水素若しくは一酸化炭素とから水及び二酸化炭素を生成する反応が生じる。一方、起動時には、燃焼ガスにより、単位セル3の燃料極側が直接加熱される。この燃焼ガスによる単位セル3の直接加熱により、発電が可能な燃料電池の作動温度である700℃以上にまで昇温される。空気極側及び燃料極側を流れるそれぞれの燃焼ガス22及び23は単位セル3の上部で合流し、燃焼排ガスとしてセル容器4(電池モジュール)から排出される。
【0045】
ここで、セル昇温用の酸化剤側バーナ1及び燃料側バーナ6の燃焼条件について述べる。
【0046】
酸化剤側バーナ1においては、燃料供給量と燃焼用空気供給量との比を、化学反応量論比よりも空気の量を多くした、いわゆる希薄燃焼を行わせる。これは、燃焼ガスを酸化雰囲気に維持して空気極側が還元されないようにするためである。
【0047】
一方、燃料側バーナ6においては、燃料供給量と燃焼用空気供給量との割合を、化学反応量論比よりも燃料の量を多くした、いわゆる燃料過剰燃焼を行わせる。これは、燃焼ガスを還元雰囲気に維持して燃料極が酸化されないようにするためである。
【0048】
いずれもセルの劣化を防止する観点から定められたものであるが、燃焼面から見た場合、燃料側バーナ6の方が技術的に難しい。なぜなら、燃料過剰燃焼の場合、予混合が悪く、燃料が空気に対して過剰な領域ができると、煤が発生し、下流の整流板17に付着して流路を閉塞させて燃料の分配に偏りが生じる、あるいは、セル燃料極にも煤が付着する等の不具合が起こるからである。これは発電にとって好ましくなく、最悪の場合、運転できなくなる。
【0049】
これを防ぐためには、当量比で1.1〜1.2程度の予混合気をバーナ16全面に均一に形成することが望ましい。
【0050】
また、当量比が比較的理論当量比に近いことから、断熱火炎温度は2000℃以上になるため、燃料に不活性ガスである窒素を加えて、燃料の体積あたりの発熱量を低減させる必要がある。しかし、バーナ表面の燃焼温度は1000℃近傍と高いため、上述のように、逆火が生じやすくなる。このため、その対策も必要となる。
【0051】
図2Aは、本発明による第一の実施例を示す燃料側バーナの縦断面図である。
【0052】
本図において、燃料側バーナの最下部に燃料ヘッダー24があり、その両側に空気ヘッダー25がある。燃料ヘッダー24の上方には、空気室26を設置している。
【0053】
空気室26の上面には、多数の同軸噴流ノズル27で構成されたクラスタノズル部28が設けられ、空気室26の内部にはクラスタノズル部28の噴口部29につながる細い燃料配管30が同軸噴流ノズル27と同数配置されている。
【0054】
図2Bは、図2Aのクラスタノズル部28の噴口部29を含む部分を拡大して示した縦断面図である。
【0055】
クラスタノズル部28のそれぞれの同軸噴流ノズル27は、中心部に燃料配管30を設けた二重管構造となっている。この同軸噴流ノズル27の環状部に空気が流れ、噴口部29において燃料配管30を流れる燃料と合流して予混合気となる構造である。
【0056】
クラスタノズル部28の周縁部の下面には、冷却通路31がクラスタノズル部28の周囲を囲うように設けられている。
【0057】
クラスタノズル部28の下流側には、予混合室14が設けてあり、その下流側には金属製のパンチングボード32に支えられた形でバーナ材33が設けてある。
【0058】
バーナ材33の材質はセラミックス多孔体であり、薄い直方体の形状である。このバーナ材が二段に積層されており、パンチングボード32と接している。また、バーナ材33は押さえ板34により固定されている。
【0059】
パンチングボード32は、熱伝導率の高い金属製のバーナ外枠35で支持され、かつ、クラスタノズル部28と熱的にも物理的にもつながっている。すなわち、パンチングボード32が高温度になる場合、バーナ外枠35を介してクラスタノズル部28に熱を放散させることができるようになっている。
【0060】
言い換えると、冷却通路31、パンチングボード32、バーナ外枠35及びクラスタノズル部28は、予混合気を冷却するためのバーナ冷却手段を構成するものであり、このバーナ冷却手段が、二段に積層されたバーナ材33を支持する。したがって、パンチングボード32、バーナ外枠35及びクラスタノズル部28は、バーナ材33を支持し、かつ、冷却するための固体の伝熱部材と呼ぶことができる。
【0061】
バーナ材33の下流側には、バッフル板38及び案内板42が設けてあり、更にその下流側にグレーチング41及び整流板17に支持されたセル集合体を収納する単位容器20、21が設置してある。
【0062】
予混合室14及びバーナ材33の周囲は、断熱ボード43で囲まれている。また、その外側は保温材44で覆われており、熱損失の低減を図っている。
【0063】
燃料ヘッダー24に供給された燃焼用燃料は、多数の燃料配管30(細径管)に分配され、噴口部29に導かれる。また、燃焼用空気は、図2Aに示すように、左右に分かれた空気ヘッダー25に供給され、空気室26に導かれる。空気室26は上下2段に整流用仕切板36により分離されており、空気ヘッダー25に入った空気100は、下段空気室201の入口部に設けられた空気供給口37を通って下段空気室201に入り、さらに、整流用仕切板36と燃料配管30との間に設けられた間隙(図示せず)を通って上段空気室202に入った空気は上向きの流れに転じ、噴口部29に向かう。
【0064】
噴口部29において、燃料と空気との混合が開始され、予混合気は、予混合室14にて更に混合を進展させながらバーナ材33に向かって流れる。クラスタノズル部28において混合が促進されるため予混合室14の高さを短くすることができ、バーナ全体、ひいては電池モジュールの高さを低くすることができる。
【0065】
予混合気は、バーナ材33にて表面燃焼により燃焼ガス18となる。その燃焼ガスは、バッフル板38によって流れの方向を変える。そして、ガスヘッダー40を介して冷却ノズル39から噴出する窒素ガスと混合されることにより、セルを昇温するのに適した温度に調節される。温度調整された燃焼ガスは案内板42、グレーチング41及び整流板17を通って単位容器20、21に流入し、単位容器20、21の内部に収納された単位セル3の燃料極側を加熱する。
【0066】
短時間起動を行うには多量の燃焼熱が必要であるため、表面バーナ(バーナ材33)の寸法も燃焼熱量に比例して大きくする必要がある。したがって、バーナ材33の寸法を極力押さえるためには、単位バーナ面積当たりの燃焼量すなわち燃焼負荷を大きくしなければならない。この結果、バーナ材33の下流側表面温度は燃焼負荷量が大きい場合には1000℃にも達する。耐熱性に面から、本実施例においては、バーナ材33としてセラミックス多孔体(例えば、気孔率75±1.5%、嵩密度1.0〜1.1g/cm3、材質は重量基準でAl2O3が98%、その他、Si等が2%)を用いている。
【0067】
しかしながら、このような高温燃焼では、しばしば、熱衝撃やセラミックス製のバーナ材33と周囲との熱伸び差などによって熱応力が発生し、バーナ材33に亀裂が生じ、割れる場合がある。バーナ材33を厚さ方向に貫通する割れが生じると、燃焼が行われるバーナ材33の下流部において、貫通割れの間隙からの燃焼ガスの流量(流速)が周囲よりも局所的に増加する。その結果、燃焼が不安定になり、逆火、失火、未燃分の増加、又は煤の発生等の原因となる。
【0068】
本実施例においては、図2Aに示すように、バーナ材33を2段に積層しているため、いずれかのバーナ材33に亀裂が発生しても、その亀裂が片方のバーナ材33にとどまる。このため、2枚のバーナ材33を貫通する割れの発生を防止することができ、燃焼が行われるバーナ材33の下流部における燃焼ガスの流量(流速)の乱れが緩和される。
【0069】
さらに、バーナ材33としてセラミックス多孔体を積層して用いることによるもう1つの効果を説明する。
【0070】
バーナ材33の気孔率分布が均一(一様)でない場合、バーナ材33が単層(1枚)であれば、バーナ材33の各部における気孔率の差に伴ってバーナ材33の厚さ方向の流動抵抗すなわち圧力損失が異なる場合があるため、燃焼が行われるバーナ材33の下流部において均一な流量分布は得られないことになる。
【0071】
これに対して、バーナ材33が積層したセラミックス多孔体であれば、それぞれのバーナ材33の気孔率ばらつきを考慮し、バーナ材33の下流側の面内で厚さ方向の圧力損失をできるだけ均一になるように組合わせることができる。その結果、バーナ材33の流動抵抗をできるだけ均一にすることができる。これにより、表面バーナにおける均一燃焼が可能となり、煤や残存酸素の発生を防止することができる。
【0072】
このことについて図9を用いて更に具体的に説明する。
【0073】
図9は、本発明による第一の実施例の変形例を示す燃料側バーナの縦断面図である。
【0074】
図2Aと異なる点は、積層された2枚のバーナ材151、152がそれぞれ、複数枚のセラミックス多孔体断片161、162を並べた構成となっていることである。すなわち、本図において、複数のセラミックス多孔体断片161が、予混合気の流れ方向に対して垂直な方向(水平方向又は横方向と呼んでもよい。)に並べられ、バーナ材151を構成している。同様にして、複数のセラミックス多孔体断片162が、予混合気の流れ方向に対して垂直な方向に並べられ、バーナ材152を構成している。
【0075】
ここで、積層された2枚のバーナ材151及び152を構成する部材をそれぞれ、第一のセラミックス多孔体及び第二のセラミックス多孔体と呼んでもよい。すなわち、バーナ材151、152は、予混合気の流れ方向に積層された第一のセラミックス多孔体及び第二のセラミックス多孔体を含み、第二のセラミックス多孔体が、第一のセラミックス多孔体から見て、予混合気の流れ方向の上流側に設置されている、と言うことができる。
【0076】
本図においては、これらの第一のセラミックス多孔体及び第二のセラミックス多孔体の両方が、予混合気の流れ方向に対して垂直な方向に複数枚のセラミックス多孔体断片161、162を並べた構成としている。この構成に関しては、本図に限定されることはなく、バーナ材151(第一のセラミックス多孔体)のみ、又はバーナ材152(第二のセラミックス多孔体)のみが複数枚のセラミックス多孔体断片161又は162を並べた構成としてもよい。
【0077】
上記の構成においては、初めからバーナ材151、152がセラミックス多孔体断片161、162に分割されているため、燃料に伴う熱応力がバーナ材151、152に加わった場合でも、応力集中が生ずることが少なくなり、バーナ材151、152の破損を防止することができる。また、予混合気の流れ方向に積層されたセラミックス多孔体断片161、162の寸法を異なるものとすることにより、バーナ材151又は152を構成するために予混合気の流れ方向に対して垂直な方向に配置されたセラミックス多孔体断片161又は162の継目を、他のセラミックス多孔体断片162又は161により覆うことができるため、予混合気がその継目を吹き抜けてしまうことがないようにすることができる。例えば、相隣る複数のセラミックス多孔体断片161の継目(境界部分)を積層されたセラミックス多孔体断片162により覆うことができ、上記の継目が予混合気の流れ方向に重なることがないように配置することができる。
【0078】
バーナ材151、152の通風抵抗分布の低減、すなわち、バーナ材151、152の通風抵抗を一様にするための構成に関しては、バーナ材151(第一のセラミックス多孔体)を構成するセラミックス多孔体断片161と、バーナ材152(第二のセラミックス多孔体)を構成するセラミックス多孔体断片162との通風抵抗の和が、予混合気の流れ方向に対して垂直なバーナ材151、152の各位置においてほぼ等しくなるように、あらかじめセラミックス多孔体断片161、162の気孔率又は通風抵抗を測定してセラミックス多孔体断片161、162の配置を調整することが望ましい。
【0079】
この調整の結果として、予混合気の流れ方向に対して垂直な平面における上記通風抵抗の和のばらつきが20%以下であることが望ましい。このばらつきは、10%以下であることが更に望ましい。積層されたセラミックス多孔体断片161及び162の気孔率の和に関しても、同様に、ばらつきが20%以下であることが望ましく、10%以下であることが更に望ましい。
【0080】
上記のばらつきは、予混合気の流れ方向に積層された第一のセラミックス多孔体及び第二のセラミックス多孔体の局所的な通風抵抗のばらつきと言い換えることができる。
【0081】
図2Aに戻り、バーナ全体の構成について更に説明する。
【0082】
バーナ全体は、放熱量を抑えるため、断熱材や保温材で覆われている。その結果、燃焼部以外の部分、例えば、予混合室14、燃料ヘッダー24、空気ヘッダー25及び空気室26の温度も上昇するが、特にバーナ材33の上流側(図2ではパンチングボード側)の温度が高くなると、それまでバーナ材33下流側の近傍に保持されていた火炎がバーナ材の内部に戻る現象が生じ、燃焼が不安定になる。最悪の場合、火炎が予混合室14まで戻る異常燃焼(逆火)に至る。
【0083】
そこで、本実施例においては、表面バーナの逆火を防止する上で重要となる監視ポイントとして、バーナ材33の上流側の温度に着目した。このバーナ材33の上流側の温度変化をモニターし、温度上昇速度が高くなる場合に、その温度上昇を抑える手段を講じることにより逆火を未然に防ぐことができた。
【0084】
温度上昇を抑える手段として、本実施例においては、冷却通路31内に水を流し、クラスタノズル部28、バーナ外枠35、パンチングボード32を通してバーナ材33の上流部を熱伝導により冷却することにより、バーナ材33の上流側の温度上昇を抑制した。特に、バーナ外枠35の材質を熱伝導率の高い部材にする、或いはバーナ外枠35の厚みを増すことにより、一層迅速な冷却を行うことができる。
【0085】
本実施例によれば、短時間起動に必要な高負荷かつ高温度の燃焼を実現するとともに、燃焼の安定性を向上し、均一な燃焼を行うことが可能となるため、煤の発生や、未反応の残存酸素のない、還元雰囲気の燃焼ガスを生成することができる。そして、セルの電極活性を低下させることなく安全に昇温することができる。
【0086】
図3は、図2AのB−B断面図であり、クラスタノズル部28の配列状態を示したものである。6行25列(150個)のノズルが格子状に配列されている。本実施例においては、単位容器20、21が2個並んでいるため、表面バーナの形状は長方形状である。
【実施例2】
【0087】
本発明の第二の実施例について図4、図5A、及び図5Bに示す。
【0088】
本実施例においては、実施例1のクラスタノズル部28と表面バーナ材33との間にある予混合室にパンチングボード50を新たに設置したものである。
【0089】
図5Aに示すように、クラスタノズル噴口部29を出た予混合気は、この新たなパンチングボード50に衝突したあと、パンチングボード孔51から流出し、バーナ材へと向かう。このため、図5Bに示すように、クラスタノズル噴口部29の配置を千鳥配列とし、パンチングボード側は、パンチングボード孔51が、図5Bに示す上面図において相隣るクラスタノズル噴口部29を頂点とする三角形の中心部(重心付近)に位置するようにパンチングボード孔51の配列を定めた。
【0090】
高負荷燃焼時には予混合気の流量が増加するため、予混合室14の内部における流速が速くなる。この結果、予混合距離が足りなくなり、混合が予混合室内で完結しなくなる。本実施例のように、パンチングボード50への衝突過程を入れることにより、クラスタノズル孔29からの噴流コア部が崩され、混合が促進される。この結果、高負荷燃焼時でも、予混合室14の高さを長くしなくても良好な混合が行えることができ、バーナのコンパクト化につながる。
【0091】
なお、パンチングボード50は、バーナ用燃料とバーナ用空気との混合を促進するための混合促進部材と呼ぶことができる。
【実施例3】
【0092】
本発明の第三の実施例について図6及び図7を用いて説明する。図6は、バーナ下部のクラスタノズル部と空気ヘッダー部及び空気室の位置関係を示す鳥瞰図を示し、図7はその断面図を示す。
【0093】
本実施例は、空気ヘッダー25の配置に特徴がある。すなわち、図6に示すように、空気ヘッダー25は空気室26の両側に設置されるが、実施例1の図3で示したように、クラスタノズル噴口部29の配列から定まるところの空気室26の平面形状が長方形の場合、空気室26の長尺側に空気ヘッダー25を設置している。すなわち、クラスタノズルが矩形状平板に設置され、クラスタノズルに供給するバーナ用空気のヘッダー(空気ヘッダー25)が、上記の矩形状平板の長尺側に接続されている。
【0094】
図7に示す空気供給口37の流路断面積は、空気ヘッダー25を短尺側に設置した場合に比べて、長尺側に設置した方が大きくなるため、空気供給口37を介して空気室下段26Bに流入する空気流速を短尺側に設置した場合よりも遅くすることができる。その結果、流速が遅い分だけ空気室下段26Bの内部における静圧分布の不均一さは小さくなる(静圧分布が均一になる)ため、整流用仕切板36を経て空気室上段26Aに流入する空気流量分布もより均一化される方向に働く。
【0095】
ところで、各クラスタノズル噴口部29への燃料流量は、燃料ヘッダー(図示せず)を介してほぼ均一に分配されるが、空気の分配に関しては空気室上段26Aの内部における流量分布の影響を大きく受ける。
【0096】
煤の発生や未反応の残存酸素を抑制するためには、各クラスタノズルに供給される燃料及び空気流量が均一でなければならない。空気流量が不均一になると、燃料濃度の不均一が生じ、結果的に燃料濃度の高い領域では煤が発生しやすくなり、逆に、燃料濃度の低い領域では酸素が残存することになり、燃料側バーナとしては好ましくない。
【0097】
本実施例のように、空気ヘッダー25を空気室26の長尺側に配置することにより、クラスタノズルへの空気流量の一層の均一分配が図られ、バーナ部に到達する予混合気の燃料濃度も一様にすることができ、その結果、表面燃焼バーナにおいて均一燃焼が行われるため、煤や酸素のない還元雰囲気の燃焼ガスを生成することが可能となる。
【0098】
さらに、空気室内の流量分布を均一にする手段について、同じく図6及び図7を用いて説明する。燃焼用空気は、バーナ下部に設けられた二股の空気配管60を介して空気分岐ヘッダー61に送られる。さらに、空気分岐ヘッダー61から分岐管62を通って空気ヘッダー25の下部に入る。空気ヘッダー25の下部から上向きに流入した空気を横向きにして空気室下段26Bに導入するため、空気ヘッダー25の形状はL字形に折り曲げられた形となっている。このため、空気ヘッダー25の下部及び曲がり部において空気流れに偏りが生じやすくなる。図7に示すように、空気ヘッダー25の内部には、空気ヘッダー25の下部及び曲がり部の下流側の計2箇所に多孔整流板63、64を挿入している。
【0099】
多孔整流板63は、分岐管から流入した空気を整流化し、多孔整流板64は、空気ヘッダー25の曲がり部で生じた偏流を整流化する。
【0100】
このような整流作用により、空気室下段26Bの静圧分布はより一層均一化でき、上述のように、クラスタノズルへの空気流量の一層の均一分配が図られ、バーナ部に到達する予混合気の燃料濃度も更に一様化する。
【実施例4】
【0101】
本実施例は、図2、6及び7で示したバーナの冷却通路の形状に関するものである。
【0102】
図6には、冷却通路の一部が示されている。冷却通路の全体は、図8に示すものであり、空気室(図示せず)の側面全周を覆うように設置されている。更に詳細にみると、冷却通路は70Aと70Bとに2分割されており、それぞれに冷却媒体の供給口71Aと71Bとが対面に設けられ、さらに、それぞれの供給口から入った冷却媒体は二つに分岐され、それぞれの冷却通路の両端部に設けられた排出口72から排出される。
【0103】
このように冷却媒体を分散して導入し、さらに分散させて排出することにより、バーナ全体及びバーナ材の局所的な温度低下を抑制することができる。特に冷却媒体として水を用いる場合は、冷却効果が大きいため、一箇所から供給・排出を行うと供給部に近い部位の温度が低下し、ひいては表面バーナの燃焼分布或いは温度分布に影響を及ぼし、均一な燃焼ガスが得られない、又は燃焼温度が低くなりすぎる等により、失火の原因にもつながる場合がある。本実施例の冷却通路構造であれば、冷却通路全域の温度分布を比較的小さくできるため、均一な燃焼を行うことができ、かつ安定した燃焼を行うことができる。
【0104】
本発明によれば、急速起動に必要な高負荷燃焼が可能になると同時に、逆火が生じにくく、均一で安定した還元雰囲気下の燃焼が実現できる。
【0105】
また、本発明によれば、コンパクトなバーナ構造を実現できる。
【0106】
さらに、本発明によれば、均一な予混合気が形成され、燃焼ガス組成には煤や未反応酸素が含まれず、昇温過程中でのセル燃料極の劣化を防止できる。
【0107】
バーナ材としては、以上の実施例において使用したバーナ材に限定されるものではなく、重量基準で(以下同じ。)ほぼ100%アルミナ(Al2O3)で構成されたセラミックフォーム(気孔率80〜90%、嵩密度0.4g/cm3以下)、又はシリカ(SiO2)50%、アルミナ(Al2O3)34%、マグネシア(MgO)13%、酸化鉄(Fe2O3)1.6%等を含むセラミックプレート(気孔率75%、嵩密度0.7g/cm3)等も適用することができる。
【符号の説明】
【0108】
1:酸化剤側バーナ、3:単位セル、4:セル容器、6:燃料側バーナ、14:予混合室、15:予混合気、16:表面バーナ部、18:燃焼ガス、25:空気ヘッダー、26:空気室、27:同軸噴流ノズル、28:クラスタノズル部、31:冷却通路、32:パンチングボード、33:バーナ材、35:バーナ外枠。
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体酸化物形燃料電池昇温用バーナ及びこれを用いた固体酸化物形燃料電池発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
固体酸化物形燃料電池は、固体電解質の一方の側に空気極を、他方の側に燃料極を設けてなる多数の単セルを重ね合わせる、あるいはつなぎ合わせることにより、全体を所定の発電可能温度にまで昇温させる必要がある。
【0003】
昇温方法には、ヒータによる昇温とバーナ燃焼による昇温とに大別され、従来の燃料電池の昇温方法においては、燃料電池の周囲に取り付けた電気ヒータによる加熱や空気極へ供給する空気管に加熱装置を設けて高温に加熱した空気を供給する方法などが採られている。
【0004】
上記の加熱装置には、バーナ燃焼による昇温も含まれるが、間接昇温といって燃焼ガスとセルとは直接接触させず、間接的に燃焼ガスの熱をセル側に伝熱させることにより、セルを加熱する方法が比較的信頼性の高い方法であった。
【0005】
しかしながら、近年、実用化の面から短時間起動や低消費電力化が求められてきており、バーナ燃焼ガスによる直接加熱方式が最も適した昇温方法として注目されている。
【0006】
この場合、特に、燃料極側の加熱に関しては、燃焼ガス中に酸素などの酸化性ガスが接触すると燃料極が酸化され、導電性や電極活性が失われるため、一般には、燃焼未反応の酸素が存在しない還元性雰囲気の燃焼ガスが要求されることになる。
【0007】
このため、燃料極側の燃焼バーナには、化学反応量論比よりも過剰な燃料を空気と均一に予混合させて未反応の酸素や煤の発生のない不完全燃焼をさせること、さらには、予混合燃焼に生じやすいバーナの逆火や失火のないこと等、信頼性の高い燃焼技術が要求され、これまで技術的に非常に難しいとされていた。
【0008】
直接昇温方式を用いる従来技術としては、例えば、特許文献1に開示されているように、バーナにふく射伝熱特性に優れた表面バーナを用いてその燃焼ガスでセルを直接加熱する方法が挙げられる。
【0009】
あるいは、例えば、特許文献2には、同軸噴流ノズルを多数配置し、ノズル内側に燃料を、外側に空気を流し、ノズル出口近傍の非常に短い区間において予混合及び予混合燃焼を行わせる燃焼バーナの構成が開示されている。
【0010】
また、予混合燃焼における極めて重要な技術課題として、上述の逆火の問題がある。これは、燃焼ガスの流速が燃焼速度に比べて遅い場合、あるいは、予混合気の温度が発火温度を超える場合に、バーナよりも上流側の予混合気に火が移る現象であり、安全で、かつ、安定した燃焼やバーナ自体を損傷させないためにも避けなければならない。
【0011】
その逆火防止技術の例としては、例えば、特許文献3に開示されているように、予混合気を冷却するため、予混合室内に冷却配管を設ける方法がある。
【0012】
また、特許文献4には、改質器または燃料電池の温度分布の均一性を向上すること、また、発電時に供給される改質用燃料と水蒸気、あるいは空気などとの混合気の濃度分布の均一性を向上することを目的として、燃料電池と、水素を含む改質ガスを生成する改質器とを備えた燃料電池システムであって、前記改質器または燃料電池の加熱源、又は、前記改質ガスを生成する原料の混合手段に、同軸噴流ノズルで構成されるクラスターバーナを設置した燃料電池発電システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2002−280053号公報
【特許文献2】特開2007−005180号公報
【特許文献3】特開2008−097936号公報
【特許文献4】特開2006−190580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、バーナ材を貫通する割れの発生を防止し、燃焼が行われるバーナ材の下流部における燃焼ガスの流量(流速)の乱れを緩和するとともに、予混合室をコンパクト化し、高負荷燃焼が可能で、かつ、燃焼安定性(逆火・失火防止)に優れ、煤の発生がなく、昇温過程におけるセル燃料極の劣化を防止し、短時間で燃料電池を昇温させることができる燃料極側バーナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の固体酸化物形燃料電池昇温用バーナは、燃料極、空気極、及び、固体のセラミックスで形成された電解質を含み、この電解質が前記燃料極と前記空気極とで挟み込まれた構成を有する複数個の単位セルを備えた固体酸化物形燃料電池発電システムに用いる固体酸化物形燃料電池昇温用バーナであって、バーナ用燃料とバーナ用空気とを混合して予混合気とするための予混合部と、この予混合気を燃焼させる燃焼面を構成するバーナ材とを含み、このバーナ材が、前記予混合気の流れ方向に積層された第一のセラミックス多孔体及び第二のセラミックス多孔体を含み、前記第二のセラミックス多孔体が、前記第一のセラミックス多孔体から見て、前記予混合気の流れ方向の上流側に設置されていることを特徴とする。
【0016】
本発明の固体酸化物形燃料電池発電システムは、燃料極、空気極、及び、固体のセラミックスで形成された電解質を含み、この電解質が前記燃料極と前記空気極とで挟み込まれた構成を有する複数個の単位セルを備えた固体酸化物形燃料電池発電システムであって、上記の固体酸化物形燃料電池昇温用バーナを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、バーナ材を貫通する割れの発生を防止し、燃焼が行われるバーナ材の下流部における燃焼ガスの流量(流速)の乱れを緩和することができる。
【0018】
また、本発明によれば、予混合室をコンパクト化するとともに、安定した高負荷燃焼を実現することができる。
【0019】
さらに、本発明によれば、煤の発生を抑制し、昇温過程におけるセル燃料極の劣化を防止し、短時間で燃料電池を昇温させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の固体酸化物形燃料電池モジュールの内部構造を模式的に示した縦断面図である。
【図2A】本発明による第一の実施例を示す燃料側バーナの縦断面図である。
【図2B】図2Aのクラスタノズル部を部分的に拡大して示した縦断面図である。
【図3】図2のB−B断面図である。
【図4】本発明による第二の実施例を示す燃料側バーナの縦断面図である。
【図5A】本発明による第二の実施例における予混合室部を模式的に示した縦断面図である。
【図5B】本発明による第二の実施例における予混合室部を模式的に示した上面図である。
【図6】本発明による第三の実施例を示すクラスタノズルの斜視図である。
【図7】本発明による第三の実施形態を示すクラスタノズルの部分縦断面図である。
【図8】本発明による第三の実施例を示す冷却通路の斜視図である。
【図9】本発明による第一の実施例の変形例を示す燃料側バーナの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、固体酸化物形燃料電池システムに関するものであり、特に、電池アノード側の昇温のための燃焼バーナに関する。
【0022】
特許文献1の表面バーナによる昇温では、金属繊維をバーナ材として使用しているため、バーナ材の耐熱性の面から、急速起動に必要な1000℃程度の高い燃焼温度を得ることが困難である。また、逆火対策や予混合気濃度の均一化、予混合部のコンパクト化などの課題、すなわち、表面燃焼バーナや予混合燃焼方式を用いる上で考慮しなければならない課題について解決するためのバーナの構造に関して開示されていない。
【0023】
特許文献2の同軸噴流ノズルバーナ(クラスタノズルバーナと称する。)に関しては、燃焼実験において、燃料と空気との急速混合が十分ではない場合があり、火炎が伸長し、輝炎や煤が発生することがあった。これは、特に燃料極側のバーナにおいて、燃料過剰な運転条件の場合に流速が不足気味になりやすいため、燃料と空気との混合が不十分となり、本来の機能である急速混合及び予混合燃焼が十分に発揮できなかったことによる。すなわち、固体酸化物形燃料電池においては、現行のクラスタノズルを燃料極側の予混合燃焼バーナとして適用することが困難であり、固体酸化物形燃料電池の条件にあったノズル設計を行ったとしても、微細加工が必要であり、コストの面で課題が残るものであると考える。
【0024】
特許文献3では、(1)予混合器室内に冷却配管を通して冷却、(2)バーナ本体(特に構造には触れていない)及びバーナ燃焼室周囲に冷却配管を通して冷却するとあるが、(1)に関しては予混合器室に冷却配管が通るため、予混合気室のスペースが大きくなり、バーナのコンパクト化の点で改善が必要である。また、構造的にも複雑になる。
【0025】
(2)に関しては、その冷却配管の配置から見て、予混合気を冷却する効果よりも、燃焼ガス温度を下げる効果のほうが大きい。これにより、確かに発明の目的の一つである熱回収効果は増えるが、燃焼ガス温度が下がることは、急速起動の面からは逆効果となる。また、火炎を形成するバーナ本体と冷媒が近いということは、火炎が冷媒の影響を受けやすいことを意味しており、制御の面でも高度な冷媒の流量調整が必要となる。すなわち、冷媒が多いと失火し易く、逆に、冷媒が少ないと逆火し易くなってしまう。
【0026】
さらに、上記(1)及び(2)に共通して言えることであるが、バーナの構造には触れていないため、表面燃焼バーナ特有の逆火防止対策として特に考慮されなければならないバーナ材の温度管理という観点から見た逆火防止の具体的方策については開示されていない。
【0027】
上記課題を解決するため、本発明は、固体のセラミックスよりなる電解質を挟んで燃料極と空気極を備えた固体酸化物形燃料電池の単位セルを複数個備え、前記燃料電池を昇温するための燃焼バーナを備えた発電システムにおいて、少なくとも前記セルの燃料極側を加熱する燃焼バーナがセラミックス多孔体を材料とする表面バーナであり、かつ前記表面バーナの上流側に多数の同軸噴流ノズルで構成されたクラスタノズルを前記表面バーナ面と平行に平面配置したことを特徴とする。
【0028】
本発明の望ましい実施態様においては、前記表面バーナは、セラミックス多孔体を複数個積層した構造であり、前記表面バーナに接し、かつ、前記表面バーナの上流側に金属製のパンチングボードを設置し、かつ、前記多数の同軸噴流ノズルを構成するノズル部と前記パンチングボードとが、熱伝導率の高い伝熱部材で熱的に接続されている。
【0029】
更には、前記平面配置された多数の同軸噴流ノズル部の周囲には冷却通路を備えている。
【0030】
表面バーナ材の上流側に温度センサを備え、バーナ材の上流側温度を監視し、その温度変化に応じて前記冷却通路に流す冷却媒体の流量を調節することにより前記バーナ材上流側温度を制御する。
【0031】
本発明の望ましい他の実施態様においては、前記表面バーナと前記クラスタノズル間にパンチングボードが挿入される。
【0032】
また、本発明の望ましい他の実施態様においては、多数の同軸噴流ノズルに供給される空気は該ノズル部の直下に設けた直方体容器である空気室から供給され、更にその空気室の長尺側の両サイドに設けた空気ヘッダーを介して供され、該ノズルに供給される燃焼用燃料は前記空気室の直下に設けられ多燃料ヘッダーから前記空気室を貫通する燃料導入管を介して供給される。
【0033】
以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0034】
図1は、本発明の固体酸化物形燃料電池モジュールの内部構造を模式的に示した縦断面図である。
【0035】
本図において、燃料電池モジュールは、上から順に、酸化剤側バーナ1、外部から酸化剤が供給される酸化剤容器2、複数の単位セル3が収納されたセル容器4、燃料が供給される燃料容器5及び燃料側バーナ6を含む構成となっている。また、本実施例において、セル容器4は断熱材7で覆われている。
【0036】
酸化剤側バーナ1においては、燃焼用燃料(バーナ用燃料)と燃焼用空気(バーナ用空気)とが予混合部8で混合された後、予混合気9となり、表面バーナ部10に送られて燃焼する。
【0037】
発電時においては、外部から酸化剤容器2に発電用の酸化剤13が供給され、複数の空気導入管11に酸化剤である空気を分配する。一方、起動時の電池の昇温過程においては、酸化剤側バーナ1からの燃焼ガス12が酸化剤容器2を介して空気導入管11に分配される。
【0038】
燃料側バーナ6においては、燃焼用燃料と燃焼用空気とが予混合部14で混合された後、予混合気15となり、表面バーナ部16に送られて燃焼する。
【0039】
発電時においては、燃料側容器5に発電用燃料19が供給され、整流板17を介して各単位セル3の燃料極側に送られる。一方、起動時の電池の昇温過程においては、燃料側バーナ6からの燃焼ガス18が整流板17を介して各単位セル3の燃料極側に送られる。
【0040】
本実施例において、セル容器4は、二つの単位容器20及び21から成り立ち、それぞれの単位容器20及び21に複数の単位セル3が収納されている。そして、電池モジュールの製作面から発電容量に応じて並べる単位容器20、21の数を決める方式をとっている。本実施例においては、2個の単位容器20、21であるが、酸化剤側バーナ1、燃料側バーナ6はそれぞれ一つでまかなう方式をとっている。
【0041】
セル容器4内の単位セル3は円筒型であり、円筒型の電解質を挟んで内側が空気極側、外側が燃料極側である。空気導入管11に入った発電用空気(酸化剤13)若しくは燃焼ガス12は、単位セル3内部の下部から導入され、上側にUターンして空気極と接触しながら上向きに流れる。
【0042】
発電時には、空気極にて電気化学反応により空気中の酸素から酸素イオン及び電子を生成する反応が生じる。一方、起動時には、燃焼ガス22により、単位セル3の空気極側が直接加熱される。
【0043】
また、整流板17を通った燃料側バーナ6からの燃焼ガス23は、燃料極と接触しながら上向きに流れる。
【0044】
発電時には、燃料極にて電気化学反応により、酸素イオンと電子と水素若しくは一酸化炭素とから水及び二酸化炭素を生成する反応が生じる。一方、起動時には、燃焼ガスにより、単位セル3の燃料極側が直接加熱される。この燃焼ガスによる単位セル3の直接加熱により、発電が可能な燃料電池の作動温度である700℃以上にまで昇温される。空気極側及び燃料極側を流れるそれぞれの燃焼ガス22及び23は単位セル3の上部で合流し、燃焼排ガスとしてセル容器4(電池モジュール)から排出される。
【0045】
ここで、セル昇温用の酸化剤側バーナ1及び燃料側バーナ6の燃焼条件について述べる。
【0046】
酸化剤側バーナ1においては、燃料供給量と燃焼用空気供給量との比を、化学反応量論比よりも空気の量を多くした、いわゆる希薄燃焼を行わせる。これは、燃焼ガスを酸化雰囲気に維持して空気極側が還元されないようにするためである。
【0047】
一方、燃料側バーナ6においては、燃料供給量と燃焼用空気供給量との割合を、化学反応量論比よりも燃料の量を多くした、いわゆる燃料過剰燃焼を行わせる。これは、燃焼ガスを還元雰囲気に維持して燃料極が酸化されないようにするためである。
【0048】
いずれもセルの劣化を防止する観点から定められたものであるが、燃焼面から見た場合、燃料側バーナ6の方が技術的に難しい。なぜなら、燃料過剰燃焼の場合、予混合が悪く、燃料が空気に対して過剰な領域ができると、煤が発生し、下流の整流板17に付着して流路を閉塞させて燃料の分配に偏りが生じる、あるいは、セル燃料極にも煤が付着する等の不具合が起こるからである。これは発電にとって好ましくなく、最悪の場合、運転できなくなる。
【0049】
これを防ぐためには、当量比で1.1〜1.2程度の予混合気をバーナ16全面に均一に形成することが望ましい。
【0050】
また、当量比が比較的理論当量比に近いことから、断熱火炎温度は2000℃以上になるため、燃料に不活性ガスである窒素を加えて、燃料の体積あたりの発熱量を低減させる必要がある。しかし、バーナ表面の燃焼温度は1000℃近傍と高いため、上述のように、逆火が生じやすくなる。このため、その対策も必要となる。
【0051】
図2Aは、本発明による第一の実施例を示す燃料側バーナの縦断面図である。
【0052】
本図において、燃料側バーナの最下部に燃料ヘッダー24があり、その両側に空気ヘッダー25がある。燃料ヘッダー24の上方には、空気室26を設置している。
【0053】
空気室26の上面には、多数の同軸噴流ノズル27で構成されたクラスタノズル部28が設けられ、空気室26の内部にはクラスタノズル部28の噴口部29につながる細い燃料配管30が同軸噴流ノズル27と同数配置されている。
【0054】
図2Bは、図2Aのクラスタノズル部28の噴口部29を含む部分を拡大して示した縦断面図である。
【0055】
クラスタノズル部28のそれぞれの同軸噴流ノズル27は、中心部に燃料配管30を設けた二重管構造となっている。この同軸噴流ノズル27の環状部に空気が流れ、噴口部29において燃料配管30を流れる燃料と合流して予混合気となる構造である。
【0056】
クラスタノズル部28の周縁部の下面には、冷却通路31がクラスタノズル部28の周囲を囲うように設けられている。
【0057】
クラスタノズル部28の下流側には、予混合室14が設けてあり、その下流側には金属製のパンチングボード32に支えられた形でバーナ材33が設けてある。
【0058】
バーナ材33の材質はセラミックス多孔体であり、薄い直方体の形状である。このバーナ材が二段に積層されており、パンチングボード32と接している。また、バーナ材33は押さえ板34により固定されている。
【0059】
パンチングボード32は、熱伝導率の高い金属製のバーナ外枠35で支持され、かつ、クラスタノズル部28と熱的にも物理的にもつながっている。すなわち、パンチングボード32が高温度になる場合、バーナ外枠35を介してクラスタノズル部28に熱を放散させることができるようになっている。
【0060】
言い換えると、冷却通路31、パンチングボード32、バーナ外枠35及びクラスタノズル部28は、予混合気を冷却するためのバーナ冷却手段を構成するものであり、このバーナ冷却手段が、二段に積層されたバーナ材33を支持する。したがって、パンチングボード32、バーナ外枠35及びクラスタノズル部28は、バーナ材33を支持し、かつ、冷却するための固体の伝熱部材と呼ぶことができる。
【0061】
バーナ材33の下流側には、バッフル板38及び案内板42が設けてあり、更にその下流側にグレーチング41及び整流板17に支持されたセル集合体を収納する単位容器20、21が設置してある。
【0062】
予混合室14及びバーナ材33の周囲は、断熱ボード43で囲まれている。また、その外側は保温材44で覆われており、熱損失の低減を図っている。
【0063】
燃料ヘッダー24に供給された燃焼用燃料は、多数の燃料配管30(細径管)に分配され、噴口部29に導かれる。また、燃焼用空気は、図2Aに示すように、左右に分かれた空気ヘッダー25に供給され、空気室26に導かれる。空気室26は上下2段に整流用仕切板36により分離されており、空気ヘッダー25に入った空気100は、下段空気室201の入口部に設けられた空気供給口37を通って下段空気室201に入り、さらに、整流用仕切板36と燃料配管30との間に設けられた間隙(図示せず)を通って上段空気室202に入った空気は上向きの流れに転じ、噴口部29に向かう。
【0064】
噴口部29において、燃料と空気との混合が開始され、予混合気は、予混合室14にて更に混合を進展させながらバーナ材33に向かって流れる。クラスタノズル部28において混合が促進されるため予混合室14の高さを短くすることができ、バーナ全体、ひいては電池モジュールの高さを低くすることができる。
【0065】
予混合気は、バーナ材33にて表面燃焼により燃焼ガス18となる。その燃焼ガスは、バッフル板38によって流れの方向を変える。そして、ガスヘッダー40を介して冷却ノズル39から噴出する窒素ガスと混合されることにより、セルを昇温するのに適した温度に調節される。温度調整された燃焼ガスは案内板42、グレーチング41及び整流板17を通って単位容器20、21に流入し、単位容器20、21の内部に収納された単位セル3の燃料極側を加熱する。
【0066】
短時間起動を行うには多量の燃焼熱が必要であるため、表面バーナ(バーナ材33)の寸法も燃焼熱量に比例して大きくする必要がある。したがって、バーナ材33の寸法を極力押さえるためには、単位バーナ面積当たりの燃焼量すなわち燃焼負荷を大きくしなければならない。この結果、バーナ材33の下流側表面温度は燃焼負荷量が大きい場合には1000℃にも達する。耐熱性に面から、本実施例においては、バーナ材33としてセラミックス多孔体(例えば、気孔率75±1.5%、嵩密度1.0〜1.1g/cm3、材質は重量基準でAl2O3が98%、その他、Si等が2%)を用いている。
【0067】
しかしながら、このような高温燃焼では、しばしば、熱衝撃やセラミックス製のバーナ材33と周囲との熱伸び差などによって熱応力が発生し、バーナ材33に亀裂が生じ、割れる場合がある。バーナ材33を厚さ方向に貫通する割れが生じると、燃焼が行われるバーナ材33の下流部において、貫通割れの間隙からの燃焼ガスの流量(流速)が周囲よりも局所的に増加する。その結果、燃焼が不安定になり、逆火、失火、未燃分の増加、又は煤の発生等の原因となる。
【0068】
本実施例においては、図2Aに示すように、バーナ材33を2段に積層しているため、いずれかのバーナ材33に亀裂が発生しても、その亀裂が片方のバーナ材33にとどまる。このため、2枚のバーナ材33を貫通する割れの発生を防止することができ、燃焼が行われるバーナ材33の下流部における燃焼ガスの流量(流速)の乱れが緩和される。
【0069】
さらに、バーナ材33としてセラミックス多孔体を積層して用いることによるもう1つの効果を説明する。
【0070】
バーナ材33の気孔率分布が均一(一様)でない場合、バーナ材33が単層(1枚)であれば、バーナ材33の各部における気孔率の差に伴ってバーナ材33の厚さ方向の流動抵抗すなわち圧力損失が異なる場合があるため、燃焼が行われるバーナ材33の下流部において均一な流量分布は得られないことになる。
【0071】
これに対して、バーナ材33が積層したセラミックス多孔体であれば、それぞれのバーナ材33の気孔率ばらつきを考慮し、バーナ材33の下流側の面内で厚さ方向の圧力損失をできるだけ均一になるように組合わせることができる。その結果、バーナ材33の流動抵抗をできるだけ均一にすることができる。これにより、表面バーナにおける均一燃焼が可能となり、煤や残存酸素の発生を防止することができる。
【0072】
このことについて図9を用いて更に具体的に説明する。
【0073】
図9は、本発明による第一の実施例の変形例を示す燃料側バーナの縦断面図である。
【0074】
図2Aと異なる点は、積層された2枚のバーナ材151、152がそれぞれ、複数枚のセラミックス多孔体断片161、162を並べた構成となっていることである。すなわち、本図において、複数のセラミックス多孔体断片161が、予混合気の流れ方向に対して垂直な方向(水平方向又は横方向と呼んでもよい。)に並べられ、バーナ材151を構成している。同様にして、複数のセラミックス多孔体断片162が、予混合気の流れ方向に対して垂直な方向に並べられ、バーナ材152を構成している。
【0075】
ここで、積層された2枚のバーナ材151及び152を構成する部材をそれぞれ、第一のセラミックス多孔体及び第二のセラミックス多孔体と呼んでもよい。すなわち、バーナ材151、152は、予混合気の流れ方向に積層された第一のセラミックス多孔体及び第二のセラミックス多孔体を含み、第二のセラミックス多孔体が、第一のセラミックス多孔体から見て、予混合気の流れ方向の上流側に設置されている、と言うことができる。
【0076】
本図においては、これらの第一のセラミックス多孔体及び第二のセラミックス多孔体の両方が、予混合気の流れ方向に対して垂直な方向に複数枚のセラミックス多孔体断片161、162を並べた構成としている。この構成に関しては、本図に限定されることはなく、バーナ材151(第一のセラミックス多孔体)のみ、又はバーナ材152(第二のセラミックス多孔体)のみが複数枚のセラミックス多孔体断片161又は162を並べた構成としてもよい。
【0077】
上記の構成においては、初めからバーナ材151、152がセラミックス多孔体断片161、162に分割されているため、燃料に伴う熱応力がバーナ材151、152に加わった場合でも、応力集中が生ずることが少なくなり、バーナ材151、152の破損を防止することができる。また、予混合気の流れ方向に積層されたセラミックス多孔体断片161、162の寸法を異なるものとすることにより、バーナ材151又は152を構成するために予混合気の流れ方向に対して垂直な方向に配置されたセラミックス多孔体断片161又は162の継目を、他のセラミックス多孔体断片162又は161により覆うことができるため、予混合気がその継目を吹き抜けてしまうことがないようにすることができる。例えば、相隣る複数のセラミックス多孔体断片161の継目(境界部分)を積層されたセラミックス多孔体断片162により覆うことができ、上記の継目が予混合気の流れ方向に重なることがないように配置することができる。
【0078】
バーナ材151、152の通風抵抗分布の低減、すなわち、バーナ材151、152の通風抵抗を一様にするための構成に関しては、バーナ材151(第一のセラミックス多孔体)を構成するセラミックス多孔体断片161と、バーナ材152(第二のセラミックス多孔体)を構成するセラミックス多孔体断片162との通風抵抗の和が、予混合気の流れ方向に対して垂直なバーナ材151、152の各位置においてほぼ等しくなるように、あらかじめセラミックス多孔体断片161、162の気孔率又は通風抵抗を測定してセラミックス多孔体断片161、162の配置を調整することが望ましい。
【0079】
この調整の結果として、予混合気の流れ方向に対して垂直な平面における上記通風抵抗の和のばらつきが20%以下であることが望ましい。このばらつきは、10%以下であることが更に望ましい。積層されたセラミックス多孔体断片161及び162の気孔率の和に関しても、同様に、ばらつきが20%以下であることが望ましく、10%以下であることが更に望ましい。
【0080】
上記のばらつきは、予混合気の流れ方向に積層された第一のセラミックス多孔体及び第二のセラミックス多孔体の局所的な通風抵抗のばらつきと言い換えることができる。
【0081】
図2Aに戻り、バーナ全体の構成について更に説明する。
【0082】
バーナ全体は、放熱量を抑えるため、断熱材や保温材で覆われている。その結果、燃焼部以外の部分、例えば、予混合室14、燃料ヘッダー24、空気ヘッダー25及び空気室26の温度も上昇するが、特にバーナ材33の上流側(図2ではパンチングボード側)の温度が高くなると、それまでバーナ材33下流側の近傍に保持されていた火炎がバーナ材の内部に戻る現象が生じ、燃焼が不安定になる。最悪の場合、火炎が予混合室14まで戻る異常燃焼(逆火)に至る。
【0083】
そこで、本実施例においては、表面バーナの逆火を防止する上で重要となる監視ポイントとして、バーナ材33の上流側の温度に着目した。このバーナ材33の上流側の温度変化をモニターし、温度上昇速度が高くなる場合に、その温度上昇を抑える手段を講じることにより逆火を未然に防ぐことができた。
【0084】
温度上昇を抑える手段として、本実施例においては、冷却通路31内に水を流し、クラスタノズル部28、バーナ外枠35、パンチングボード32を通してバーナ材33の上流部を熱伝導により冷却することにより、バーナ材33の上流側の温度上昇を抑制した。特に、バーナ外枠35の材質を熱伝導率の高い部材にする、或いはバーナ外枠35の厚みを増すことにより、一層迅速な冷却を行うことができる。
【0085】
本実施例によれば、短時間起動に必要な高負荷かつ高温度の燃焼を実現するとともに、燃焼の安定性を向上し、均一な燃焼を行うことが可能となるため、煤の発生や、未反応の残存酸素のない、還元雰囲気の燃焼ガスを生成することができる。そして、セルの電極活性を低下させることなく安全に昇温することができる。
【0086】
図3は、図2AのB−B断面図であり、クラスタノズル部28の配列状態を示したものである。6行25列(150個)のノズルが格子状に配列されている。本実施例においては、単位容器20、21が2個並んでいるため、表面バーナの形状は長方形状である。
【実施例2】
【0087】
本発明の第二の実施例について図4、図5A、及び図5Bに示す。
【0088】
本実施例においては、実施例1のクラスタノズル部28と表面バーナ材33との間にある予混合室にパンチングボード50を新たに設置したものである。
【0089】
図5Aに示すように、クラスタノズル噴口部29を出た予混合気は、この新たなパンチングボード50に衝突したあと、パンチングボード孔51から流出し、バーナ材へと向かう。このため、図5Bに示すように、クラスタノズル噴口部29の配置を千鳥配列とし、パンチングボード側は、パンチングボード孔51が、図5Bに示す上面図において相隣るクラスタノズル噴口部29を頂点とする三角形の中心部(重心付近)に位置するようにパンチングボード孔51の配列を定めた。
【0090】
高負荷燃焼時には予混合気の流量が増加するため、予混合室14の内部における流速が速くなる。この結果、予混合距離が足りなくなり、混合が予混合室内で完結しなくなる。本実施例のように、パンチングボード50への衝突過程を入れることにより、クラスタノズル孔29からの噴流コア部が崩され、混合が促進される。この結果、高負荷燃焼時でも、予混合室14の高さを長くしなくても良好な混合が行えることができ、バーナのコンパクト化につながる。
【0091】
なお、パンチングボード50は、バーナ用燃料とバーナ用空気との混合を促進するための混合促進部材と呼ぶことができる。
【実施例3】
【0092】
本発明の第三の実施例について図6及び図7を用いて説明する。図6は、バーナ下部のクラスタノズル部と空気ヘッダー部及び空気室の位置関係を示す鳥瞰図を示し、図7はその断面図を示す。
【0093】
本実施例は、空気ヘッダー25の配置に特徴がある。すなわち、図6に示すように、空気ヘッダー25は空気室26の両側に設置されるが、実施例1の図3で示したように、クラスタノズル噴口部29の配列から定まるところの空気室26の平面形状が長方形の場合、空気室26の長尺側に空気ヘッダー25を設置している。すなわち、クラスタノズルが矩形状平板に設置され、クラスタノズルに供給するバーナ用空気のヘッダー(空気ヘッダー25)が、上記の矩形状平板の長尺側に接続されている。
【0094】
図7に示す空気供給口37の流路断面積は、空気ヘッダー25を短尺側に設置した場合に比べて、長尺側に設置した方が大きくなるため、空気供給口37を介して空気室下段26Bに流入する空気流速を短尺側に設置した場合よりも遅くすることができる。その結果、流速が遅い分だけ空気室下段26Bの内部における静圧分布の不均一さは小さくなる(静圧分布が均一になる)ため、整流用仕切板36を経て空気室上段26Aに流入する空気流量分布もより均一化される方向に働く。
【0095】
ところで、各クラスタノズル噴口部29への燃料流量は、燃料ヘッダー(図示せず)を介してほぼ均一に分配されるが、空気の分配に関しては空気室上段26Aの内部における流量分布の影響を大きく受ける。
【0096】
煤の発生や未反応の残存酸素を抑制するためには、各クラスタノズルに供給される燃料及び空気流量が均一でなければならない。空気流量が不均一になると、燃料濃度の不均一が生じ、結果的に燃料濃度の高い領域では煤が発生しやすくなり、逆に、燃料濃度の低い領域では酸素が残存することになり、燃料側バーナとしては好ましくない。
【0097】
本実施例のように、空気ヘッダー25を空気室26の長尺側に配置することにより、クラスタノズルへの空気流量の一層の均一分配が図られ、バーナ部に到達する予混合気の燃料濃度も一様にすることができ、その結果、表面燃焼バーナにおいて均一燃焼が行われるため、煤や酸素のない還元雰囲気の燃焼ガスを生成することが可能となる。
【0098】
さらに、空気室内の流量分布を均一にする手段について、同じく図6及び図7を用いて説明する。燃焼用空気は、バーナ下部に設けられた二股の空気配管60を介して空気分岐ヘッダー61に送られる。さらに、空気分岐ヘッダー61から分岐管62を通って空気ヘッダー25の下部に入る。空気ヘッダー25の下部から上向きに流入した空気を横向きにして空気室下段26Bに導入するため、空気ヘッダー25の形状はL字形に折り曲げられた形となっている。このため、空気ヘッダー25の下部及び曲がり部において空気流れに偏りが生じやすくなる。図7に示すように、空気ヘッダー25の内部には、空気ヘッダー25の下部及び曲がり部の下流側の計2箇所に多孔整流板63、64を挿入している。
【0099】
多孔整流板63は、分岐管から流入した空気を整流化し、多孔整流板64は、空気ヘッダー25の曲がり部で生じた偏流を整流化する。
【0100】
このような整流作用により、空気室下段26Bの静圧分布はより一層均一化でき、上述のように、クラスタノズルへの空気流量の一層の均一分配が図られ、バーナ部に到達する予混合気の燃料濃度も更に一様化する。
【実施例4】
【0101】
本実施例は、図2、6及び7で示したバーナの冷却通路の形状に関するものである。
【0102】
図6には、冷却通路の一部が示されている。冷却通路の全体は、図8に示すものであり、空気室(図示せず)の側面全周を覆うように設置されている。更に詳細にみると、冷却通路は70Aと70Bとに2分割されており、それぞれに冷却媒体の供給口71Aと71Bとが対面に設けられ、さらに、それぞれの供給口から入った冷却媒体は二つに分岐され、それぞれの冷却通路の両端部に設けられた排出口72から排出される。
【0103】
このように冷却媒体を分散して導入し、さらに分散させて排出することにより、バーナ全体及びバーナ材の局所的な温度低下を抑制することができる。特に冷却媒体として水を用いる場合は、冷却効果が大きいため、一箇所から供給・排出を行うと供給部に近い部位の温度が低下し、ひいては表面バーナの燃焼分布或いは温度分布に影響を及ぼし、均一な燃焼ガスが得られない、又は燃焼温度が低くなりすぎる等により、失火の原因にもつながる場合がある。本実施例の冷却通路構造であれば、冷却通路全域の温度分布を比較的小さくできるため、均一な燃焼を行うことができ、かつ安定した燃焼を行うことができる。
【0104】
本発明によれば、急速起動に必要な高負荷燃焼が可能になると同時に、逆火が生じにくく、均一で安定した還元雰囲気下の燃焼が実現できる。
【0105】
また、本発明によれば、コンパクトなバーナ構造を実現できる。
【0106】
さらに、本発明によれば、均一な予混合気が形成され、燃焼ガス組成には煤や未反応酸素が含まれず、昇温過程中でのセル燃料極の劣化を防止できる。
【0107】
バーナ材としては、以上の実施例において使用したバーナ材に限定されるものではなく、重量基準で(以下同じ。)ほぼ100%アルミナ(Al2O3)で構成されたセラミックフォーム(気孔率80〜90%、嵩密度0.4g/cm3以下)、又はシリカ(SiO2)50%、アルミナ(Al2O3)34%、マグネシア(MgO)13%、酸化鉄(Fe2O3)1.6%等を含むセラミックプレート(気孔率75%、嵩密度0.7g/cm3)等も適用することができる。
【符号の説明】
【0108】
1:酸化剤側バーナ、3:単位セル、4:セル容器、6:燃料側バーナ、14:予混合室、15:予混合気、16:表面バーナ部、18:燃焼ガス、25:空気ヘッダー、26:空気室、27:同軸噴流ノズル、28:クラスタノズル部、31:冷却通路、32:パンチングボード、33:バーナ材、35:バーナ外枠。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料極、空気極、及び、固体のセラミックスで形成された電解質を含み、この電解質が前記燃料極と前記空気極とで挟み込まれた構成を有する複数個の単位セルを備えた固体酸化物形燃料電池発電システムに用いる固体酸化物形燃料電池昇温用バーナであって、バーナ用燃料とバーナ用空気とを混合して予混合気とするための予混合部と、この予混合気を燃焼させる燃焼面を構成するバーナ材とを含み、このバーナ材が、前記予混合気の流れ方向に積層された複数のセラミックス多孔体を含むことを特徴とする固体酸化物形燃料電池昇温用バーナ。
【請求項2】
さらに、前記予混合気を冷却するためのバーナ冷却手段を含み、前記複数のセラミックス多孔体は、第一のセラミックス多孔体及び第二のセラミックス多孔体を含む構成であり、前記第二のセラミックス多孔体が、前記第一のセラミックス多孔体から見て、前記予混合気の流れ方向の上流側に設置され、前記バーナ冷却手段が、前記第一のセラミックス多孔体及び/又は前記第二のセラミックス多孔体を支持し、かつ、冷却するための固体の伝熱部材を有することを特徴とする請求項1記載の固体酸化物形燃料電池昇温用バーナ。
【請求項3】
前記第一のセラミックス多孔体及び前記第二のセラミックス多孔体のそれぞれが、又は前記第一のセラミックス多孔体若しくは前記第二のセラミックス多孔体が、前記予混合気の流れ方向に対して垂直な方向に複数枚のセラミックス多孔体断片を並べた構成であることを特徴とする請求項1又は2に記載の固体酸化物形燃料電池昇温用バーナ。
【請求項4】
前記予混合気の流れ方向に積層された前記第一のセラミックス多孔体及び前記第二のセラミックス多孔体の局所的な通風抵抗の、前記予混合気の流れ方向に対して垂直な平面におけるばらつきが20%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池昇温用バーナ。
【請求項5】
前記予混合部が、中心部流路及び環状部流路を有する複数の同軸噴流ノズルで構成され、前記複数の同軸噴流ノズルが、前記予混合気の流れ方向に対して垂直な平面に配置されたクラスタノズルを形成していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池昇温用バーナ。
【請求項6】
前記中心部流路に前記バーナ用燃料を流し、前記環状部流路に前記バーナ用空気を流すことを特徴とする請求項5記載の固体酸化物形燃料電池昇温用バーナ。
【請求項7】
前記クラスタノズルと前記バーナ材との間に、前記バーナ用燃料と前記バーナ用空気との混合を促進するための混合促進部材を設置したことを特徴とする請求項5又は6に記載の固体酸化物形燃料電池昇温用バーナ。
【請求項8】
前記クラスタノズルが矩形状平板に設置され、前記クラスタノズルに供給する前記バーナ用空気のヘッダーが、前記矩形状平板の長尺側に接続されていることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池昇温用バーナ。
【請求項9】
燃料極、空気極、及び、固体のセラミックスで形成された電解質を含み、この電解質が前記燃料極と前記空気極とで挟み込まれた構成を有する複数個の単位セルを備えた固体酸化物形燃料電池発電システムであって、請求項1〜8のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池昇温用バーナを具備することを特徴とする固体酸化物形燃料電池発電システム。
【請求項1】
燃料極、空気極、及び、固体のセラミックスで形成された電解質を含み、この電解質が前記燃料極と前記空気極とで挟み込まれた構成を有する複数個の単位セルを備えた固体酸化物形燃料電池発電システムに用いる固体酸化物形燃料電池昇温用バーナであって、バーナ用燃料とバーナ用空気とを混合して予混合気とするための予混合部と、この予混合気を燃焼させる燃焼面を構成するバーナ材とを含み、このバーナ材が、前記予混合気の流れ方向に積層された複数のセラミックス多孔体を含むことを特徴とする固体酸化物形燃料電池昇温用バーナ。
【請求項2】
さらに、前記予混合気を冷却するためのバーナ冷却手段を含み、前記複数のセラミックス多孔体は、第一のセラミックス多孔体及び第二のセラミックス多孔体を含む構成であり、前記第二のセラミックス多孔体が、前記第一のセラミックス多孔体から見て、前記予混合気の流れ方向の上流側に設置され、前記バーナ冷却手段が、前記第一のセラミックス多孔体及び/又は前記第二のセラミックス多孔体を支持し、かつ、冷却するための固体の伝熱部材を有することを特徴とする請求項1記載の固体酸化物形燃料電池昇温用バーナ。
【請求項3】
前記第一のセラミックス多孔体及び前記第二のセラミックス多孔体のそれぞれが、又は前記第一のセラミックス多孔体若しくは前記第二のセラミックス多孔体が、前記予混合気の流れ方向に対して垂直な方向に複数枚のセラミックス多孔体断片を並べた構成であることを特徴とする請求項1又は2に記載の固体酸化物形燃料電池昇温用バーナ。
【請求項4】
前記予混合気の流れ方向に積層された前記第一のセラミックス多孔体及び前記第二のセラミックス多孔体の局所的な通風抵抗の、前記予混合気の流れ方向に対して垂直な平面におけるばらつきが20%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池昇温用バーナ。
【請求項5】
前記予混合部が、中心部流路及び環状部流路を有する複数の同軸噴流ノズルで構成され、前記複数の同軸噴流ノズルが、前記予混合気の流れ方向に対して垂直な平面に配置されたクラスタノズルを形成していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池昇温用バーナ。
【請求項6】
前記中心部流路に前記バーナ用燃料を流し、前記環状部流路に前記バーナ用空気を流すことを特徴とする請求項5記載の固体酸化物形燃料電池昇温用バーナ。
【請求項7】
前記クラスタノズルと前記バーナ材との間に、前記バーナ用燃料と前記バーナ用空気との混合を促進するための混合促進部材を設置したことを特徴とする請求項5又は6に記載の固体酸化物形燃料電池昇温用バーナ。
【請求項8】
前記クラスタノズルが矩形状平板に設置され、前記クラスタノズルに供給する前記バーナ用空気のヘッダーが、前記矩形状平板の長尺側に接続されていることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池昇温用バーナ。
【請求項9】
燃料極、空気極、及び、固体のセラミックスで形成された電解質を含み、この電解質が前記燃料極と前記空気極とで挟み込まれた構成を有する複数個の単位セルを備えた固体酸化物形燃料電池発電システムであって、請求項1〜8のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池昇温用バーナを具備することを特徴とする固体酸化物形燃料電池発電システム。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2010−231954(P2010−231954A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76567(P2009−76567)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 固体酸化物形燃料電池システム技術開発 コジェネレーションシステム開発 湿式円筒形20kW級システムの開発(継続研究)委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 固体酸化物形燃料電池システム技術開発 コジェネレーションシステム開発 湿式円筒形20kW級システムの開発(継続研究)委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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