説明

固形バルサルタン組成物

本発明は、医薬品有効成分としてバルサルタンを含む、安定な固形医薬品組成物に関する。任意に、この組成物は、1つまたは複数の更なる医薬品有効成分を含む。本発明は、前記組成物の調製方法並びにアンジオテンシン受容体媒介症状、特に高血圧及び関連疾患の治療または予防における前記組成物の使用に更に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品有効成分としてバルサルタンを含む、安定な固形医薬品組成物に関する。任意に、この組成物は、1つまたは複数の更なる医薬品有効成分を含む。本発明は、前記組成物の調製方法並びにアンジオテンシン受容体媒介症状、特に高血圧及び関連疾患の治療または予防における前記組成物の使用に更に関する。
【背景技術】
【0002】
バルサルタンは、非ペプチド性の、AT1受容体サブタイプに作用する、経口活性の特異的アンジオテンシンII拮抗薬である。これは、商標名Diovan(登録商標)の下に市販され、年齢、性別、または人種に関係なく高血圧の治療のために適用される。これはまた、鬱血性心不全、(安定性または不安定性)狭心症、心筋梗塞症、アテローム性動脈硬化症、糖尿病性ネフロパシー腎症、糖尿病性心筋症、腎不全、末梢血管疾患、左心室肥大、認知機能障害、アルツハイマー病、脳卒中、頭痛、及び慢性心不全の治療において有効であることが知られ、良好な耐容性を示す。ヒドロクロロチアジド(HCTZ)及びアムロジピンもまた高血圧の治療のために知られている。
【0003】
バルサルタンは、化学名でN-(l-オキソペンチル)-N-[[2'-(lH-テトラゾール-5-イル)-[l,l'-ビフェニル]-4-イル]メチル]-L-バリンと表記される。その実験式は、C24H29N5O3であり、その分子量は435.5であり、その構造式は下記の通りである。
【化1】

バルサルタンを含む若干の固形医薬品組成物及びその調製方法が既知である。
【0004】
EP0914119及びEP1410797には、固形経口投薬形態及びバルサルタンを含む固形経口投薬形態の調製方法がそれぞれ開示されている。投薬形態は、この固形経口投薬形態全質量に基づいて35質量%以下で存在するバルサルタンを含む。この方法には、活性剤(例えばバルサルタン)及び賦形剤を粉砕する工程、この混合物に圧縮力をかけて圧縮物(comprimate)を形成する工程、この圧縮物を顆粒に加工する工程、及びこの顆粒を打錠して固形経口投薬形態とする工程を含む、乾式造粒技術が含まれる。
【0005】
WO00/38676には、バルサルタン(20乃至65%)、微晶質セルロース(31乃至65%)、及びクロスポビドン(2乃至13%)を含む固形経口投薬形態が開示されている。更に、バルサルタンと微晶質セルロースとを、2.5:1乃至0.3:1の質量比で含む固形経口投薬形態がその特許請求の範囲に記載されている。こうした投薬形態の調製方法もまた、乾式造粒、すなわち水を使わないものである。
【0006】
WO01/97805には、バルサルタンまたは医薬品として許容される塩もしくはその水和物と崩壊剤とを5.1:1乃至0.5:1の質量比で含む組成物が、その特許請求の範囲に記載されている。こうした組成物の調製のために示唆される方法もまた、乾式造粒、すなわち水を使わないものである。
【0007】
上記開示はいずれも、従来技術によるバルサルタン組成物中には水の非存在が重要であることを示す、乾式造粒技術に関する。しかしながら、乾式造粒の使用は、バルサルタンを含む組成物の調製における使用に好ましい使用方法ではない。第一に、ローラー圧縮機が必要であるが、これは、その使用により高度に粉塵の発生を引き起こしうることから好ましい選択ではない。この粉塵は高濃度で医薬品有効成分を含みうるため、当然ながら、工場労働者の安全性に影響すると共に、著しい濃度のバルサルタンが粉塵中に失われるのであれば製造コストにも影響を及ぼす。更にまた、ローラー圧縮は比較的に遅い方法であり、従って医薬品組成物の製造のための別の既知の方法ほど経済的でない。更にまた、この圧縮方法によって引き起こされる温度上昇は、薬剤安定性に不利に影響しうる。
【0008】
湿式造粒の利点には、粉末の凝集性及び圧縮性の向上;湿式造粒によって得られる顆粒は通常およそ同量の成分を含むため、固形投薬形態の含量均一性の向上;打錠しようとする材料の異なる成分の、密度などの異なる物理特性による分離の回避;ほぼ球状の顆粒を造粒することによる粒径及び形状の最適化;並びに粉塵及び空中浮遊汚染物質の大幅削減が含まれる。
【0009】
WO06/66961には、湿式造粒によって調製され、その中でバルサルタンが規定の粒径を有する、バルサルタン組成物が開示されている。例示実施態様はいずれも、ラクトース一水和物を希釈剤または充填剤として含んでいる。ラクトースは、通常使用される賦形剤であるが、数多くの欠点を有する。ラクトースと第一級アミン基を有する化合物との間にはマイラード縮合反応が起こりがちであり、褐色の反応生成物を生じる。この反応は、結晶性物質を用いた場合よりも無定形物質を用いた場合の方がいっそう容易に起こる。「褐色化」反応は、塩基によって触媒され、従ってアルカリ性滑剤が使用された場合には促進されうる。ラクトースはアミノ酸類、アミノフィリン、アンフェタミン類、及びリシノプリルと不適合性である。バルサルタンは、L-バリン(アミノ酸)部分を有し、従って不適合反応が起こる可能性が高い。ラクトースを使用することの更なる欠点は、高湿度の条件下でカビの繁殖が起こりうること、及びラクトースもまた貯蔵に際して褐色に着色することである。ラクトースがしばしば質量%で高い割合を占めることから、錠剤の着色は患者による服薬不履行をもたらしうる。更に、ラクトースは、酵素ラクターゼが欠乏する人に起こる不耐性を引き起こすことが知られている。この欠乏の結果として、ラクトースは消化されず、腹部痙攣、下痢、膨満、及び鼓腸などの臨床症状を引き起こしうる。更にまた、無水ラクトースは吸湿性であるため、バルサルタン一水和物が乾燥している場合でさえも、水分を吸収して再度一水和物に変換されうる。バルサルタンの一水和物形態は、約5%の水分含量を有する。
【0010】
医薬品の安定性は、特定の容器の中における特有の製剤もしくは組成物の性能として、その物理的、化学的、微生物学的、治療上の、及び毒物学的な規格内にあるように、且つ表示された効力レベルの少なくとも約90%を維持するように定義して良い。従って、例えば、有効期限は、医薬品が推奨条件下で貯蔵された場合に依然として安定である期間として定義される。この安定性の定義には、閉鎖された容器系中での貯蔵後の、特有の製剤もしくは組成物の溶解性の維持が含まれる。実際、医薬品規制調和国際会議(ICH)によって発行された厳しい基準がある。ICH基準は、医薬生成物の安全性が、下記の条件化で決定されることを要求している。
【0011】
【表1】

【0012】
然るに、貯蔵試験の目的は、薬剤製品の品質が様々な環境要因、例えば温度及び湿度の影響下で、経時的にいかに変化するかについて証拠を提供し、且つ前記薬剤製品について貯蔵寿命及び推奨貯蔵条件を確立することである。実際、医薬品を市場に出す承認を得るためには、溶解性並びにその結果としての該製品の様々なバッチの生体利用効率において、実証可能な一貫性がなければならない。
【0013】
発明者は、所定の条件下では、市販の組成物を含むバルサルタンの組成物は、要求される溶解一貫性を示さないことがしばしばである。
【0014】
US2005/0209288には、(S)-アムロジピンを含む組成物が記載されており、バルサルタンを含む実施態様もある。更に、無水組成物に関する実施態様もある。しかしながら、これらの組成物が解消しようとする問題は、製剤中の湿分によって引き起こされる有効成分の分解である。製剤が、世界中の取締規制機関に要求される貯蔵試験の範囲に亘る、一貫した溶解動態を有することを示す記載は皆無である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】EP0914119
【特許文献2】EP1410797
【特許文献3】WO00/38676
【特許文献4】WO01/97805
【特許文献5】WO06/66961
【特許文献6】US2005/0209288
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
然るに、湿式造粒によって調製されるという利点を有するバルサルタンを含む固形医薬品組成物を提供する必要性がある。更に、長期貯蔵条件の典型であるICH基準によって要求される促進貯蔵条件下で試験した場合に一貫した溶解動態を示すような組成物を提供することが望ましい。
【0017】
湿式造粒によって調製されるという利点を有するが、ラクトースを含まず、ラクトースを含む組成物の前述の欠点を有しない組成物を提供することもまた有利である。更にまた、長期貯蔵の条件下で貯蔵されるかまたは促進貯蔵条件に曝された場合に一貫した溶解動態を示すような組成物を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0018】
かくして、以上で明らかにした従来技術の組成物に付随する問題を解消した、湿式造粒によって調製される顆粒を含む固形医薬品組成物が提供される。本発明による第一の態様は、コアを含む固形医薬品組成物であって、前記コアは湿式造粒によって調製される顆粒を含み、前記顆粒はバルサルタンまたは医薬品として許容されるその塩及び少なくとも1つの医薬品として許容される賦形剤を含んでおり、コアが3%以下の湿分含量を有する固形医薬品組成物をもたらす。好ましくは、湿分含量は2%以下、更に好ましくは1%以下、理想的には湿分含量は実質的にゼロである。
【0019】
3%以下の湿分含量を有する組成物は、長期貯蔵条件下または40℃で相対湿度75%の促進貯蔵条件下で非常に安定であることが、発明者によって見出された。例えば、本発明による組成物が40℃±2℃及び相対湿度75%±5%で3ヶ月間、更には4、5、6カ月もしくはそれ以上に亘って貯蔵された場合、この組成物の溶解性は実質的に不変であり、例えばこの溶解性は30%以上変化せず、好ましくは20%以上変化せず、好ましくは10%以上変化せず、好ましくは5%以上変化しない。
【0020】
更なる実施態様では、顆粒が顆粒外マトリックス内に存在し、前記マトリックスは医薬品として許容される1つまたは複数の賦形剤を含む。好ましくは、顆粒は顆粒外マトリックスで被覆されており、被覆された顆粒は医薬品組成物のコア中に含まれている。好ましい実施態様では、顆粒外マトリックスはバルサルタンまたは医薬品として許容されるその塩をさらに含む。
【0021】
別の実施態様では、本発明の如何なる態様による組成物も提供され、ここで賦形剤は、結合剤、充填剤、希釈剤、滑剤、及び崩壊剤を含む群から選択される。賦形剤成分は、顆粒組成物中に且つ/又は顆粒外マトリックス中に存在してよい。好ましい実施態様における顆粒またはマトリックスは、以下の賦形剤リストのあらゆる組み合わせを含む:微晶質セルロース102、コロイド状無水シリカ、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、クロスポビドン、微晶質セルロース101、及びポビドンK-30。顆粒の特に好ましい実施態様には、バルサルタン、微晶質セルロース101、クロスポビドン、及びポビドンK-30が含まれる。顆粒外マトリックスの特に好ましい実施態様には、微晶質セルロース102、コロイド状無水シリカ、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、及びクロスポビドンが含まれる。特に好ましい実施態様では、組成物は、全組成物の10質量%未満の、好ましくは5質量%未満の、好ましくは3質量%未満の、好ましくは2質量%未満の、更に好ましくは1質量%未満のラクトースを含み、最も好ましくはこの組成物はラクトースを全く含まない。前述の通り、ラクトースは、一般的にラクトース一水和物として、充填剤として使用されるが、その使用は多数の不利な続発症、例えば該組成物の褐色化またはラクトース不耐性の個人に対する該組成物の不適合性等をもたらしうる。
【0022】
好ましくは、本発明による固形医薬品組成物は経口投与に適当である。
【0023】
本発明による更に別の実施態様では、バルサルタンは、1mg-500mg、好ましくは10mg-350mgの単位用量強度で存在する。好ましくは、バルサルタンは、20mg、40mg、60mg、80mg、120mg、160mg、240mg、及び320mgを含む群から選択される単位用量強度で存在する。
【0024】
別の実施態様では、本発明による組成物が提供され、ここでバルサルタンまたは医薬品として許容されるその塩は、全組成物に対して約10-90質量%、好ましくは約30-70質量%、最も好ましくは約40-60質量%の範囲で存在する。
【0025】
別の実施態様によれば、被覆された、本発明による組成物が提供される。本発明の被覆は、最大3%の湿分を含んで良く、且つ当業者に既知の如何なるタイプのものでも良い。特に好ましい実施態様では、被覆は、Opadry(登録商標)被覆である。
【0026】
好ましい一実施態様では、本発明による組成物は、1つまたは複数の医薬品有効成分を更に含む。好ましくは、一実施態様では、1つまたは複数の医薬品有効成分は高血圧の治療のための化合物である。好ましくは、1つまたは複数の有効成分が利尿薬であり、これは最も好ましくはヒドロクロロチアジド(HCTZ)または医薬品として許容されるその塩である。別の実施態様では、1つまたは複数の有効成分はカルシウムチャンネルブロッカーであり、好ましくは、カルシウムチャンネルブロッカーがアムロジピンまたは医薬品として許容されるその塩であり、最も好ましくは、塩が、ベシル酸塩、メシル酸塩、及びマレイン酸塩を含む群より選択される。
【0027】
本発明による第二の態様では、バルサルタンを含む固形医薬品組成物の安定性を改善する方法が提供され、前記方法は、
(a)本発明の第一の態様による固形医薬品組成物を調製する工程と、
(b) コアバルサルタン組成物のコア湿分含量が約3%を超えないように湿分含量の増大を回避する手段を提供する工程とを含む。
【0028】
好ましくは、前記手段は湿分不透過性容器であり、更に好ましくは、この容器は密閉ホイル、プラスチック、単位用量容器、ブリスターパック、及びストリップパックを含む群から選択され、最も好ましくは、この容器はブリスターパックであり、これは特に好ましい実施態様ではアルミニウムもしくはアルミニウムブリスターパックである。更に別の実施態様にはボトル及びバイアルまたは当業者に既知の別の容器が含まれても良い。別の実施態様には、湿分不透過性の薄膜被覆を提供する工程が含まれる。当業者であれば、重要な事項は、この手段が湿分不透過性であり、且つ、前述のICH基準の下での試験から明かなように長期間に亘る貯蔵にもその一貫性を維持するということであると認識するであろう。
【0029】
本発明による第三の態様では、本発明の第一の態様による固形医薬品組成物と、コアバルサルタン組成物のコア湿分含量が約3%を超えないように湿分含量の増大を回避する手段とを含むキットが提供される。
【0030】
発明者により、こうしたキットは、40℃及び相対湿度75%にて3または6ヶ月に亘る条件下での促進貯蔵試験の後にさえも溶解動態を維持する組成物を提供することが見いだされている。好ましくは、湿分回避手段には、湿分不透過性貯蔵容器が含まれる。好ましい実施態様では、容器は、密閉ホイル、プラスチック、単位用量容器、ブリスターパック、及びストリップパックを含む群から選択され、最も好ましくは、この容器はブリスターパックであり、これは特に好ましい実施態様ではアルミニウムもしくはアルミニウムブリスターパックである。更に別の実施態様にはボトル及びバイアルまたは当業者に既知の別の容器が含まれても良い。
【0031】
本発明による第四の態様では、本発明の第一の態様による固形医薬品組成物の製造方法が提供され、前記方法は、
(a)バルサルタンまたは医薬品として許容されるその塩を、1つまたは複数の医薬品賦形剤と混合する工程、
(b)工程(a)で得られる混合物から顆粒を形成する工程、
(c)工程(b)で得られる顆粒を、保持される湿分が3%以下になるまで乾燥させる工程、及び
(d)工程(c)で得られる顆粒を圧縮して固形投薬形態を形成する工程
を含む。
【0032】
好ましい実施態様では、湿分含量は2%以下であり、更に好ましくは1%以下であり、理想的には、湿分含量は実質的にゼロである。
【0033】
工程(b)において、顆粒は、好ましくは湿式造粒によって形成される。好ましい実施態様では、水が湿式増粒処理における液体として使用される。
【0034】
特に好ましい実施態様では、この方法は、顆粒外マトリックスを調製し、工程(c)で得られる乾燥顆粒をマトリックスに加える更なる工程を含む。
【0035】
第四の態様による方法の更なる実施態様によれば、工程(a)の過程で、1つまたは複数の更なる医薬品有効成分が加えられる。あるいは、こうした更なる医薬品有効成分は、顆粒外マトリックスを含む実施態様において前記マトリックスに加えることができる。好ましくは、一実施態様では、1つまたは複数の医薬品有効成分は高血圧の治療のための化合物である。好ましくは、1つまたは複数の有効成分が利尿薬であり、これは最も好ましくはヒドロクロロチアジド(HCTZ)または医薬品として許容されるその塩である。別の実施態様では、1つまたは複数の有効成分はカルシウムチャンネルブロッカーであり、好ましくは、カルシウムチャンネルブロッカーがアムロジピンまたは医薬品として許容されるその塩であり、最も好ましくは、塩が、ベシル酸塩、メシル酸塩、及びマレイン酸塩を含む群より選択される。
【0036】
第5の態様は、コアを含む固形医薬品組成物の長期間または加速貯蔵の間の安定性を改善する方法を提供し、ここで、前記コアは湿式造粒によって調製される顆粒を含み、前記顆粒はバルサルタンまたは医薬品として許容されるその塩及び少なくとも1つの医薬品として許容される賦形剤を含んでおり、この方法は、3%以下の湿分含量を有する前記組成物と、(i)25℃±2℃及び相対湿度60%±5%にて少なくとも6ヶ月間、好ましくは少なくとも12ヶ月、好ましくは少なくとも24ヶ月、更に好ましくは少なくとも36ヶ月、または(ii)40℃±2℃及び相対湿度75%±5%にて少なくとも3ヶ月間、好ましくは少なくとも6ヶ月、好ましくは少なくとも12ヶ月、更に好ましくは少なくとも24ヶ月の貯蔵の間に湿分含量が約3%を超えないように、この組成物の湿分含量の増大を回避する手段とを提供する工程を含む。好ましい実施態様では、湿分含量は2%以下であり、より好ましくは1%以下であり、理想的には湿分含量は実質的にゼロである。
【0037】
好ましくは、前記手段は湿分不透過性容器であり、更に好ましくは、この容器は密閉ホイル、プラスチック、単位用量容器、ブリスターパック、及びストリップパックを含む群から選択され、最も好ましくは、この容器はブリスターパックであり、これは特に好ましい実施態様ではアルミニウムもしくはアルミニウムブリスターパックである。更に別の実施態様にはボトル及びバイアルまたは当業者に既知の別の容器が含まれても良い。別の実施態様には、湿分不透過性の薄膜被覆を提供する工程が含まれる。当業者であれば、重要な事項は、この手段が湿分不透過性であり、且つ、長期間に亘る貯蔵または促進貯蔵条件の間にもその一貫性を維持するということであると認識するであろう。実際に、湿分不透過性の薄膜被覆は、必要に応じて如何なる態様もしくは実施態様に適用されても良い。
【0038】
本発明の第六の態様は、前述のいずれかの態様による組成物またはキットを、これを必要とする患者に提供する工程を含む、アンジオテンシンII受容体媒介症状の治療または予防のための方法を提供する。好ましくは、この症状は、高血圧、鬱血性心不全、(安定性または不安定性)狭心症、心筋梗塞症、アテローム性動脈硬化症、糖尿病性ネフロパシー腎症、糖尿病性心筋症、腎不全、末梢血管疾患、左心室肥大、認知機能障害、アルツハイマー病、脳卒中、頭痛、及び慢性心不全を含む群から選択され、最も好ましくはこの症状は高血圧である。好ましくは、患者はヒトである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
安定性に言及する用語、例えば「安定な組成物」または「安定な製剤」は、懸かる組成物または製剤の溶解動態に関する。然るに、「安定な組成物」とは、この組成物が促進貯蔵試験条件におかれた場合でも、その溶解性、すなわち溶解の速度が著しく低減されない組成物を意味する。
【0040】
「コア」、「コア組成物」、及び「バルサルタンコア組成物」なる語は、全て交換可能に使用され、本明細書中では、本発明による未被覆の組成物を意味して使用される。コア組成物は、所定の実施態様で規定されているように更に被覆されうる。
【0041】
組成物中に存在する水のタイプを区別することは重要である。なぜなら、この区別が、本発明の様々な態様及び実施態様を規定する場合の重要な事項だからである。
【0042】
本明細書中で使用される「湿分含量」とは、組成物中に存在する非結合水の量に関する。こうした水は、バルサルタンなどの吸湿性物質が水蒸気の存在する雰囲気中におかれた場合に組成物中に存在しうる。あるいは本発明の場合では、水は湿式造粒技術によって導入することができる。湿分含量%は、組成物を加熱し、乾燥減量%(LoD)を測定すること等の、当業者に既知の技術によって決定することができる。
【0043】
本明細書中に使用される「水分含量」とは、組成物中に存在する水の全量に関する。これには、非結合水もしくは「湿分」が含まれるのみならず、バルサルタン、存在する全ての賦形剤及び/または存在しうる全ての被覆のうちいずれかの結晶構造の一部である結合水もまた含まれる。この結合水は、本発明による湿分含量制限に寄与しない。水分含量%は、カール・フィッシャー技術によって当業者により容易に決定されうる。更にまた、本発明による組成物の水分含量を算出する場合には、結果は常にこの組成物が3%超の水分含量を有することを示しうるが、湿分含量は、本発明による組成物に対して常に3%以下となる。
【0044】
本発明による一態様では、バルサルタン組成物の長期貯蔵の間の安定性を改善するための方法が提供され、この方法は、コアを含む固形医薬品組成物であって、前記コアは湿式造粒によって調製される顆粒を含み、前記顆粒はバルサルタンまたは医薬品として許容されるその塩及び少なくとも1つの医薬品として許容される賦形剤を含んでおり、コアが3%以下の湿分含量を有することを特徴とする固形医薬品組成物と、コアバルサルタン組成物のコア湿分含量が貯蔵中に約3%、好ましくは約2%、更に好ましくは約1%を超えないように湿分含量の増大を回避する手段とを提供する工程を含む。この回避は、既知の、または当業者には容易に理解されうる多数の手段のいずれによって達成されても良い。最も好ましくは、この組成物は湿分不透過性容器中に準備される。所定の実施態様では、この容器を、密閉ホイル、プラスチック、単位用量容器、ブリスターパック、及びストリップパックを含む群から選択してよい。最も好ましくは、この容器はブリスターパックであり、好ましくはアルミニウムもしくはアルミニウムブリスターパックである。当業者には、コア組成物の湿分含量の増大を回避する別の手段が本発明の範囲内であることが、容易に理解されよう。
【0045】
医薬品用途向けの組成物は、医薬品の販売許可申請において保健機関に提出される、必要な貯蔵試験情報の一部として、ICH基準の下で促進貯蔵条件にさらされねばならない。促進貯蔵試験研究は、正式な貯蔵研究の一部として、過剰貯蔵条件を使用することによって医薬品の化学分解の速度または物理的変化を増大させるように設計されている。これらの研究により得られるデータは、非促進貯蔵条件での長期的効果を評価するため、及び
配送の間に起こりうるものなどのラベル貯蔵条件に含まれない短期間の移動の影響を評価するために使用することができる。貯蔵試験の過程で、発明者は、従来技術によるかなりの組成物が、促進貯蔵条件にさらされた場合にはその後の溶解試験に合格しないことを見出した。実際に、市販品のDiovan(登録商標)でさえもが促進貯蔵条件に晒された後では溶解性の劇的な低下を示した。
【0046】
発明者はまた、本発明の所定の実施態様による薄膜被覆もまた本発明による組成物の湿分含量に寄与することを見出した。むろん当業者は、薄膜由来の湿分が薄膜からコア組成物に移動もしくは拡散することを認識するであろう。こうした移動の後にさえもコア組成物がやはり3%以下の湿分を含むことを条件として、こうした状況は依然として本発明の範囲内である。
【0047】
前述のUS2005/0209288には、(S)-アムロジピンを含み、幾つかの実施態様では更にバルサルタンを含む組成物が開示されている。無水組成物に関する実施態様もまた開示されている。これらの組成物が解消しようとする問題は、製剤中の湿分によって引き起こされる有効成分の分解である。こうした分解は、該組成物を汚染する不純物をもたらし、除去を必要とする。開示された製剤の溶解動態に対する湿分及び熱の影響については、明確な言及はない。
【0048】
実際、当業者が、ICH基準による40℃で相対湿度75%の促進貯蔵試験条件下の溶解試験に、常に不合格になるバルサルタン製剤の問題を提示された場合、如何なる従来技術によっても、本明細書及び特許請求の範囲に記載された発明をもたらす方針を追求する動機付けが与えられることはない。
【0049】
本発明による組成物は、固形投薬形態の調製に有用なあらゆる典型的な賦形剤を更に含んで良い。こうした賦形剤には、以下に限定されるものではないが、結合剤、希釈剤、滑剤、流動促進剤、安定化剤、充填剤、及び界面活性剤が含まれる。
【0050】
当業者は、これらの賦形剤の1つまたは複数を、通常の実験によって固形投薬形態の特に要求される特性を考慮して、不当な負担なしに利用することができる。選択される各賦形剤の量は、この技術的に通常の範囲内で様々であってよい。
【0051】
例えば、1つまたは複数の崩壊剤、例えばクロスポビドン、α化澱粉、グリコール酸澱粉ナトリウム、微晶質セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)、架橋CMC-Na、ポラクリリンカリウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、またはこれらの混合物が、顆粒の一部として存在して良く、且つ/または顆粒外マトリックス中に存在して良い。好ましくは、顆粒及び/または顆粒外マトリックス中の崩壊剤の全量は、組成物の約0-25質量%の範囲内であって良い。
【0052】
本発明による組成物は、1つまたは複数の結合剤、例えばポリビニルピロリドン(ポビドン)、微晶質セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、または別のセルロースエーテル、澱粉、α化澱粉、またはポリメタクリレート、或いはこれらの混合物を、顆粒及び/または顆粒外マトリックスの一部として更に含んで良い。特に好ましいのはポビドンK-30である。好ましくは、顆粒または顆粒外マトリックス中の結合剤の全量は、組成物の約0-20質量%、最も好ましくは約0-5質量%の範囲内である。
【0053】
本発明による医薬品組成物は、希釈剤を更に含んで良い。希釈剤は、以下に限定されるものではないが、微晶質セルロース、粉末セルロース、圧縮糖(compressible sugar)、果糖、デキストラン、別の糖類、例えばマンニトール、ソルビトール、ラクチトール、サッカロース、あるいはこれらの混合物、シリコン処理微晶質セルロース、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、あるいはこれらの混合物を含んで良い。錠剤化に使用される装置への錠剤の粘着性も低下させる、別の好ましい希釈剤は、シリカであり、好ましくはコロイド状またはフュームドシリカである。好ましくは、賦形剤は少なくとも1つの希釈剤を含み、これは好ましくは微晶質セルロースである。
【0054】
本発明による組成物は、滑剤、例えばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、水添植物油、水添蓖麻子油、フマル酸ステアリルナトリウム、マクロゴール類、またはこれらの混合物を更に含んで良い。好ましくは、滑剤は顆粒外マトリックス中に存在する。特に好ましい実施態様では、滑剤はステアリン酸マグネシウムである。別の実施態様では、滑剤は全組成物に対して約0-5質量%、最も好ましくは約1-3質量%、特に約2質量%の量で存在する。
【0055】
本発明によって製造される医薬品組成物または投薬形態中に使用される全ての賦形剤が、好ましくはUSP/NFにおける医薬品成分及びその組み合わせのための基準に見合うかまたはこれを上回ることが特徴である。USP/NFの目的は、治療分野の実務で使用される物質について、信頼できる基準及び企画を提供することである。
【0056】
本発明の医薬品組成物は、当業者には既知である通常の湿式造粒技術によって調製される。好ましい実施態様では、原料バルサルタンが、所望の最終組成物によって1つまたは複数の適当な賦形剤と混合される。賦形剤は、以上に列挙したものから選択して良い。所定の実施態様では、バルサルタンと賦形剤とが共に粉砕されて、有利な処理特性、例えばフロー特性を有する混合物がもたらされる。この方法は、
(a)バルサルタンを賦形剤と混合する工程、
(b)工程(a)で得られる混合物から顆粒を形成する工程、
(c)工程(b)で得られる顆粒を、保持される湿分が3%以下になるまで乾燥させる工程、及び
(d)工程(c)で得られる顆粒を圧縮して固形投薬形態を形成する工程
を含んでよい。
別の実施態様では、顆粒外マトリックスは、以上に列挙した1つまたは複数の賦形剤物質を含んで調製され、工程(c)で得られる乾燥顆粒は、混合物が工程(d)のように圧縮される前にマトリックスに加えられる。
【0057】
本発明による組成物は、1つまたは複数の被覆を更に含んで良い。こうした被覆は、この技術分野における従来の手段を使用して適用される一般的な物質を含んで良い。薄膜被覆製剤は、通常、以下の成分を含む:ポリマー、可塑剤、着色剤/乳白剤、及び媒体。薄膜被覆懸濁物中には、少量の香料、界面活性剤、及びワックスを使用することができる。薄膜被覆に使用されるポリマーの大半が、セルロース誘導体、例えばセルロースエーテル類か、またはアクリルポリマー類及びコポリマー類である。時折使用されるのは、高分子量ポリエチレングリコール類、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、及びろう様物質である。典型的なセルロースエーテル類は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びメチルセルロースである。アクリルポリマー類には、様々な官能性を有する合成ポリマーの一群が含まれる。その幾つかを、薄膜の完全な崩壊/溶解を確実にするために水溶性セルロースエーテル及び澱粉などの物質を導入することによって、更に変性させて膨潤性及び透過性を改善することができる。被覆はまた、組成物からのバルサルタンの放出を制御するために使用しても良い。例えば、即時放出または修正放出、例えば遅延もしくは延長放出のための被覆が当業者には周知であり、これらは発明の才能を要さずに容易に使用しうる。
【実施例】
【0058】
(実施例1)
160mgのバルサルタン、55mgの微晶質セルロース101、50mgのクロスポビドン、及び10mgのポビドンK-30を流動床混合機/造粒機で均一化して顆粒を形成した。その後、顆粒を17mgの微晶質セルロース102、3mgのコロイド状無水シリカ、5mgのクロスカルメロースナトリウム、5mgのステアリン酸マグネシウム、及び15mgのクロスポビドンの混合物に加えた。混合物を、以下の組成を有する本発明の錠剤に打錠した。
【0059】
【表2】

80mgと40mgのバルサルタンを含む錠剤もまた上記方法によって製造したが、その賦形剤は相応に計量した。
【0060】
(比較例)
表1-4には、様々な組成物についての溶解試験の結果が示される。発明者が試験した組成物は、様々な供給源の、更には同一の供給源の様々なバッチの、バルサルタンを含むものであった。前記組成物は、様々な供給源及びバッチのバルサルタンを含んでおり、3ヶ月の促進貯蔵試験後の溶解不全は、粗悪な供給源または不良バッチによるのではなく、促進貯蔵条件については常に見られる現象であることを示している。更にまた、促進貯蔵試験条件での溶解不全の原因を決定しようとする場合、賦形剤もまた変化させた。
【0061】
表1−供給源1のバルサルタンの溶解試験の結果を示す−PVC-PVdC/Aluブリスターパックに実装された160mgの薄膜被覆錠剤を40℃/相対湿度75%で貯蔵した。錠剤のコア組成物は、実施例1に挙げた通りであった。
【表3】

【0062】
表2−表1のものと同一の供給源のバルサルタンの第二バッチの溶解試験の結果を示す−PVC-PVdC/Aluブリスターパックに実装された160mgの薄膜被覆錠剤を40℃/相対湿度75%で貯蔵した。コア組成物は、クロスポビドンの量が増大するように変更したものであった。
【表4】

【0063】
表3−供給源2のバルサルタンの溶解試験の結果を示す−PVC-PVdC/Aluブリスターパックに実装された160mgの被覆コア錠剤を40℃/相対湿度75%で貯蔵した。錠剤のコア組成物は、実施例1に挙げた通りであった。
【表5】

【0064】
表4−供給源3のバルサルタンの溶解試験の結果を示す−PVC-PVdC/Aluブリスターパックに実装された160mgの未被覆コア錠剤を40℃/相対湿度75%で貯蔵した。コア組成物は、外相中のセルロース及びクロスポビドンの割合が増大するように変更したものであった。
【表6】

【0065】
(実施例2)
以下の表5-8は、本発明による組成物の溶解試験の結果を示す。結果は、本発明によるコア組成物、すなわち実施例1に詳説されるコアを含み、且つ3%未満の湿分を含む組成物を、この組成物が湿分を吸収し得ない実装中に貯蔵した場合には、特定される条件下での貯蔵によっても溶解性に著しい影響が及ぶことはないことを示す。
【0066】
表5−Alu/Aluブリスターパックに実装され、40℃/相対湿度75%で貯蔵された160mgの薄膜被覆錠剤の溶解試験の結果を示す。錠剤の組成は、実施例1に挙げた通りであった。
【表7】

【0067】
表6−Alu/Aluブリスターパックに実装され、40℃/相対湿度75%で貯蔵された160mgの薄膜被覆錠剤の第二バッチの溶解試験の結果を示す。錠剤の組成は、実施例1に挙げた通りであった。
【表8】

【0068】
表7−Alu/Aluブリスターパックに実装され、40℃/相対湿度75%で貯蔵された80mgの薄膜被覆錠剤の溶解試験の結果を示す。錠剤の組成は、実施例1に挙げた通りであった。
【表9】

【0069】
表8−Alu/Aluブリスターパックに実装され、40℃/相対湿度75%で貯蔵された40mgの薄膜被覆錠剤の溶解試験の結果を示す。錠剤の組成は、実施例1に挙げた通りであった。
【表10】

【0070】
溶解試験は、当業者に既知の標準的パドル試験であり、pH6.8のリン酸緩衝液中においてパドルの回転速度50rpmにて行った。
【0071】
このように、上述の通り長期貯蔵を示すものであって、世界中の監督官庁によって要求される、促進貯蔵試験の後には、従来技術による製品は適切に溶解せず、このため保健機関の規制上の要求を満たさないことが推測される。また、実施例1に詳説される成分を含む本発明による製品が、促進貯蔵試験条件によって影響を受けないことが判る。従って、本発明による組成物は、促進貯蔵試験要求に合格し、保健機関の規制上の要求を満たし、廃棄の必要がないことから実用的及び経済的な両方の点で有利である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアを含む固形医薬品組成物であって、前記コアは湿式造粒によって調製される顆粒を含み、前記顆粒はバルサルタンまたは医薬品として許容されるその塩及び少なくとも1つの医薬品として許容される賦形剤を含んでおり、コアが3%以下の湿分含量を有することを特徴とする、固形医薬品組成物。
【請求項2】
湿分含量が2%以下である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
湿分含量が1%以下である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
湿分含量が実質的にゼロである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
顆粒が顆粒外マトリックス内に存在し、前記マトリックスが医薬品として許容される1つまたは複数の賦形剤を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
顆粒外マトリックスが、バルサルタンまたは医薬品として許容されるその塩を更に含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
バルサルタンまたは医薬品として許容されるその塩が、全組成物の約10乃至90質量%存在する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
バルサルタンまたは医薬品として許容されるその塩が、全組成物の約30乃至70質量%存在する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
バルサルタンまたは医薬品として許容されるその塩が、全組成物の約40乃至60質量%存在する、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
被覆されている、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
賦形剤が、結合剤、充填剤、希釈剤、滑剤、及び崩壊剤を含む群から選択される、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
ラクトースを含まない、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
バルサルタンが、1mg乃至500mgの単位用量強度で存在する、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
バルサルタンが、20mg、40mg、60mg、80mg、120mg、160mg、240mg、及び320mgを含む群から選択される単位用量強度で存在する、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
1つまたは複数の更なる医薬品有効成分を含む、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
1つまたは複数の更なる医薬品有効成分が、高血圧の治療のための化合物である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
1つまたは複数の更なる医薬品有効成分が、利尿薬である、請求項15または16に記載の組成物。
【請求項18】
利尿薬が、ヒドロクロロチアジド(HCTZ)または医薬品として許容されるその塩である、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
1つまたは複数の更なる医薬品有効成分が、カルシウムチャンネルブロッカーである、請求項15または16に記載の組成物。
【請求項20】
カルシウムチャンネルブロッカーが、アムロジピンまたは医薬品として許容されるその塩である、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
塩が、ベシル酸塩、メシル酸塩、及びマレイン酸塩を含む群より選択される、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
40℃±2℃及び相対湿度75%±5%にて3ヶ月間に亘り貯蔵された場合、その溶解性が実質的に不変である、請求項1乃至21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
バルサルタンを含む固形医薬品組成物の安定性を改善する方法であって、
(a)請求項1乃至22のいずれか一項に記載の固形医薬品組成物を調製する工程、及び
(b) コアバルサルタン組成物のコア湿分含量が約3%を超えないように湿分含量の増大を回避する手段を提供する工程
を含む方法。
【請求項24】
手段が、湿分不透過性容器である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
容器が、密閉ホイル、プラスチック、単位用量容器、ブリスターパック、及びストリップパックを含む群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
容器がブリスターパックである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ブリスターパックがアルミニウムもしくはアルミニウムブリスターパックである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
請求項1乃至22のいずれか一項に記載の固形医薬品組成物と、コアバルサルタン組成物のコア湿分含量が約3%を超えないように湿分含量の増大を回避する手段とを含むキット。
【請求項29】
手段が、湿分不透過性容器である、請求項28に記載のキット。
【請求項30】
容器が、密閉ホイル、プラスチック、単位用量容器、ブリスターパック、及びストリップパックを含む群から選択される、請求項29に記載のキット。
【請求項31】
容器がブリスターパックである、請求項30に記載のキット。
【請求項32】
ブリスターパックがアルミニウムもしくはアルミニウムブリスターパックである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
請求項1乃至22のいずれか一項に記載の固形医薬品組成物の製造方法であって、
(a)バルサルタンまたは医薬品として許容されるその塩を、1つまたは複数の医薬品賦形剤と混合する工程、
(b)工程(a)で得られる混合物から顆粒を形成する工程、
(c)工程(b)で得られる顆粒を、保持される湿分が3%以下になるまで乾燥させる工程、及び
(d)工程(c)で得られる顆粒を圧縮して固形投薬形態を形成する工程
を含む、方法。
【請求項34】
湿分含量が2%以下である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
湿分含量が1%以下である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
湿分含量が実質的にゼロである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
顆粒外マトリックスを調製し、工程(c)で得られる乾燥顆粒を前記マトリックスに加える付加的工程を含む、請求項33乃至36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
バルサルタンまたは医薬品として許容されるその塩が、顆粒外マトリックスに加えられる、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
1つまたは複数の更なる医薬品有効成分が顆粒外マトリックスに加えられる、請求項37または38に記載の方法。
【請求項40】
1つまたは複数の更なる医薬品有効成分を、工程(a)の過程で加える、請求項33乃至39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
1つまたは複数の更なる医薬品有効成分が、高血圧の治療のための化合物である、請求項39または40に記載の方法。
【請求項42】
1つまたは複数の更なる医薬品有効成分が、利尿薬である、請求項39乃至41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
利尿薬が、ヒドロクロロチアジド(HCTZ)または医薬品として許容されるその塩である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
1つまたは複数の更なる医薬品有効成分が、カルシウムチャンネルブロッカーである、請求項39乃至41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
カルシウムチャンネルブロッカーが、アムロジピンまたは医薬品として許容されるその塩である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
塩が、ベシル酸塩、メシル酸塩、及びマレイン酸塩を含む群より選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
コアを含む固形医薬品組成物の長期間または加速貯蔵の間の安定性を改善する方法であって、前記コアは湿式造粒によって調製される顆粒を含み、前記顆粒はバルサルタンまたは医薬品として許容されるその塩及び少なくとも1つの医薬品として許容される賦形剤を含んでおり、3%以下の湿分含量を有する前記組成物、並びに (i)25℃±2℃及び相対湿度60%±5%にて少なくとも6ヶ月間、または(ii)40℃±2℃及び相対湿度75%±5%にて少なくとも3ヶ月間の貯蔵の間に湿分含量が約3%を超えないように、この組成物の湿分含量の増大を回避する手段を提供する工程を含む方法。
【請求項48】
湿分含量が2%以下である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
湿分含量が1%以下である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
湿分含量が実質的にゼロである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
手段が、湿分不透過性容器である、請求項47乃至50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
容器が、密閉ホイル、プラスチック、単位用量容器、ブリスターパック、及びストリップパックを含む群から選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
容器がブリスターパックである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
ブリスターパックがアルミニウムもしくはアルミニウムブリスターパックである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
請求項1乃至22のいずれか一項に記載の組成物または請求項28乃至32のいずれか一項に記載のキットを、これを必要とする患者に提供する工程を含む、アンジオテンシンII受容体媒介症状の治療または予防のための方法。
【請求項56】
症状が、高血圧、鬱血性心不全、(安定性または不安定性)狭心症、心筋梗塞症、アテローム性動脈硬化症、糖尿病性ネフロパシー腎症、糖尿病性心筋症、腎不全、末梢血管疾患、左心室肥大、認知機能障害、アルツハイマー病、脳卒中、頭痛、及び慢性心不全を含む群から選択される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
症状が高血圧である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
患者がヒトである、請求項55乃至57のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2010−535754(P2010−535754A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519530(P2010−519530)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【国際出願番号】PCT/GB2008/050687
【国際公開番号】WO2009/022169
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(508116469)ジェネリクス・(ユーケー)・リミテッド (34)
【Fターム(参考)】