説明

固形粉末化粧料の製造方法

【課題】パール剤、ラメ剤等の光輝性粉体を多量配合し、優れた塗布面の光輝感を有するとともに、十分な耐衝撃性を有する固形粉末化粧料の製造方法を提供する。
【解決手段】化粧料基材と溶剤とを混合し、容器に充填した後、加圧成型し、該溶剤を除去する固形粉末化粧料の製造方法であって、
(a)化粧品基材に対して30〜90質量%の光輝性粉体及び
(b)化粧品基材に対して0.1〜5質量%の金属石ケン
を必須成分とし、且つ成型時に、周波数10〜40kHz、振幅10〜100μmの振動を付与して、加圧成型する固形粉末化粧料の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形粉末化粧料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アイシャドウやチークカラー等においては、きらきらした光輝感のある仕上がりを持つ化粧料が求められている。このような光輝感のある仕上がりを得るためには、パール剤やラメ剤等の光輝性粉体を多量に配合する必要がある。しかし、パール剤やラメ剤は成型性が悪く、化粧料に多量に配合すると耐衝撃性が著しく低下することから、パール剤やラメ剤を多量配合した固形粉末化粧料の耐衝撃性を向上させることが検討されている。
【0003】
十分な耐衝撃性を確保しながらパール剤やラメ剤を多量配合する方法として、60質量%以上のパール剤と、特定の極性を持つ液油及び固形油を組み合わせて配合する方法(特許文献1)、50〜80質量%の光輝性粉体と特定の崩壊指数を持つタルクを光輝性粉体の1/10〜6/10質量部組み合わせて配合する方法(特許文献2)、70質量%以上の板状粉体(パール剤)と、薄片状無水ケイ酸、炭化水素ワックス粉末を組み合わせて配合する方法(特許文献3)等が提案されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−215822号公報
【特許文献2】特開2004−238366号公報
【特許文献3】特開2004−217567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記のいずれの方法によっても、耐衝撃性を十分に持たせることは困難であるばかりか、多量の光輝性粉体と固形油やワックス粉末を同時に配合した固形粉末化粧料では、使用時にケーキングを起こす可能性があり、多量の光輝性粉体と一定量以上のタルクを配合した場合には、塗布時ののびが悪くなるばかりでなく、塗布面がマットになり、多量配合しているパール剤の質感を生かすことはできなかった。
したがって、パール剤やラメ剤を多量配合し、きらきらした光輝感のある仕上がりを持ちながら、ケーキング等の品質的問題を起こさず、また塗布時の延び広がりがよく、且つ耐衝撃性にも優れた固形粉末化粧料の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記実情に鑑み、鋭意研究を行った結果、化粧料基材と溶剤とを混合し、容器に充填した後、加圧成型し、該溶剤を除去する固形粉末化粧料において、特定量以上の光輝性顔料と特定量の金属石ケンを配合し、且つ成型時に、周波数10〜40kHz、振幅10〜100μmの振動を付与して、加圧成型することで、使用上十分な耐衝撃性を有しながらも、パール感やラメ感等の光輝感に優れた固形粉末化粧料が得られることを見出した。
【0007】
すなわち本発明は、化粧料基材と溶剤とを混合し、容器に充填した後、加圧成型し、該溶剤を除去する固形粉末化粧料の製造方法であって、
(a)化粧品基材に対して30〜90質量%の光輝性粉体及び
(b)化粧品基材に対して0.1〜5質量%の金属石ケン
を必須成分とし、且つ成型時に、周波数10〜40kHz、振幅10〜100μmの振動を付与して、加圧成型する固形粉末化粧料の製造方法にある。
【発明の効果】
【0008】
本発明の方法で得られる固形粉末化粧料はパール剤、ラメ剤等の光輝性粉体を多量配合し、優れた塗布面の光輝感を有するとともに、十分な耐衝撃性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明で用いられる成分(a)の光輝性粉体としては、化粧品分野で通常用いられる各種の光輝性粉体が含まれる。例えば、雲母チタン、合成金雲母;酸化チタン被覆合成金雲母、酸化鉄又は黒酸化鉄被覆雲母チタン、酸化鉄被覆雲母等の被覆合成金雲母;コンジョウ被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン、酸化チタン/シリカ多層被覆雲母チタン等の被覆雲母チタン;酸化チタン被覆ガラス末、酸化チタン/酸化鉄被覆ガラス末、酸化鉄被覆ガラス末、銀被覆ガラス末、金被覆ガラス末等の被覆ガラス末;シリカ被覆アルミニウム末等の被覆アルミニウム末;酸化チタン/シリカ多層被覆シリカフレーク等の被覆シリカフレーク;ポリエチレンテレフタレート・エポキシ・アルミニウム積層末、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリウレタン−11・アルミニウム積層末等のポリマーやアルミニウム積層末;ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層末等のポリマー積層末等が挙げられる。このうち、母材が雲母、合成金雲母、シリカ、ガラス又はアルミニウムからなり、被覆層が金属、金属酸化物、金属錯体又は有機顔料である被覆光輝性粉体が好ましい。これらの光輝性粉体は、1種単独又は2種以上を混合して用いることができる。
【0010】
本発明で用いられる成分(a)の光輝性粉体は、市販品として入手可能であり、例えば雲母チタンとしては、ティミロンスーパーブルー、ティミロンスターライトブルー(以上、メルク社製)等、フラメンコゴールド、フラメンコスパークルゴールド、フラメンコサミットゴールド(以上、BASF社製)等、合成金雲母としては、PDM20L、PDM40L(以上、トピー工業社製)等、酸化チタン被覆合成金雲母としては、プロミネンスBF、プロミネンスBH(以上、日本光研工業社製)、ヘリオスR100S(トピー工業社製)等、酸化鉄又は黒酸化鉄被覆雲母チタンとしては、コロロナブライトゴールド(メルク社製)、クロイゾネゴールデンブロンズ(BASF社製)等、酸化鉄被覆雲母としてはコロロナボルドー(メルク社製)等、コンジョウ被覆雲母チタンとしては、コロロナダークブルー(メルク社製)等、カルミン被覆雲母チタンとしては、コロロナカルミンレッド(メルク社製)等、酸化チタン/シリカ多層被覆雲母チタンとしては、ティミロンスプレンディッドゴールド(メルク社製)等、銀被覆ガラス末として、メタシャインMC2080PS、ME2040PS、ME2025PS、ME2015PS(以上、日本板硝子社製)等、金被覆ガラス末としてメタシャインMC2080GP、MC2040GP(以上、日本板硝子社製)等、酸化チタン被覆ガラス末として、メタシャインMC1120RS、MC1080RS、MC1040RS(以上、日本板硝子社製)、酸化チタン/酸化鉄被覆ガラス末としては、メタシャインMC1080TY(日本板硝子社製)等、酸化鉄被覆ガラス末としては、メタシャインMC1080KR(日本板硝子社製)、シリカ被覆アルミニウム末としては、ブライトシルバーシー(エッカート社製)等、酸化チタン/シリカ多層被覆シリカフレークとしては、シローナマジックモーブ(メルク社製)等、DCグリッターシルバーC(001)(島貿易社製)等、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム積層末としては、アルミフレークNOシルバー(角八魚鱗箔社製)等、ポリエチレンテレフタレート・ポリウレタン−11・アルミニウム積層末としては、ダイヤモンドピースCO−20UCシルバー、ダイヤホログラムHG−S20UC(以上、ダイヤ工業社製)等、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層末としては、レインボーフレークII No.55−S、レインボーフレークII No.501−S(以上、ダイヤ工業社製)等、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層末としては、IF−4101(島貿易社製)等が挙げられる。
【0011】
本発明で用いられる成分(a)の光輝性粉体の配合量は、化粧品基材に対して30〜90質量%であり、好ましくは50〜85質量%、特に好ましくは70〜85質量%である。充分な光輝感を演出するためには30質量%以上配合することが必要であり、一方、耐衝撃性を確保するためには、90質量%以下とすることが必要である。
【0012】
本発明で用いられる成分(b)の金属石ケンを構成する脂肪酸としては、飽和、不飽和、直鎖、分岐鎖のいずれでもよく、炭素数12〜18の脂肪酸が好ましく、炭素数14〜18の脂肪酸がより好ましい。また金属としては、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛等が挙げられるが、アルミニウムが特に好ましい。具体的にはミリスチン酸、パルミチン酸又はステアリン酸の金属塩が好ましく、ステアリン酸アルミニウム、ジステアリン酸アルミニウム、ジミリスチン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛等がより好ましく、特にステアリン酸アルミニウムを用いるのが、光輝性粉体を多量配合した固形粉末化粧料に十分な耐衝撃性を付与できるため好ましい。
【0013】
本発明で用いられる成分(b)の金属石ケンの配合量は、化粧料基材に対して0.1〜5質量%であり、特に1〜3質量%が好ましい。金属石ケンの配合量が0.1質量%以下では十分な耐衝撃性が得られず、5質量%以上では使用感が硬く、悪化する場合がある。
【0014】
化粧料基材との混合に用いる成分(c)の溶剤としては、揮発性炭化水素、揮発性シリコーン油、アルコール等が挙げられるが、好適なものとして揮発性炭化水素、特に軽質流動イソパラフィン及び/又はイソドデカンが挙げられ、これらを用いることで得られる固形粉末化粧料に十分な耐衝撃性を与えることができる。これらの溶剤は単独で用いてもよいし、任意の比率に混合して使用してもよい。
【0015】
本発明で用いられる軽質流動イソパラフィン及びイソドデカンは、市販品として入手可能であり、軽質流動イソパラフィンとしてはIPソルベント1620MU(出光興産社製)、イソドデカンとしてはマルカゾールR(丸善石油化学社製)等が挙げられる。
【0016】
本発明の固形粉末化粧料には、前記の必須成分の他に、通常化粧料に用いられる体質顔料や着色顔料を用いることができる。例えば、マイカ、タルク等の無機粉体もしくはその複合体、カオリン、ベントナイト等の粘土鉱物、ナイロン末、ポリメチルメタクリレート粉末、シリコーン粉末等の有機粉体もしくはその複合体、又はこれらの無機粉体と有機粉体との複合粉体等を用いることができる。
【0017】
これらの粉体は、本来表面が疎水性であるものや、表面を疎水化処理したものを使用でき、これらの疎水性又は疎水化処理粉体は、使用感がより優れるので好ましい。疎水化処理としては、例えばシリコーン油、金属石ケン、アルキルリン酸、アルキルリン酸のアルカリ金属塩又はアミン塩、N−モノ長鎖(炭素数8〜22)脂肪族アシル塩基性アミノ酸、パーフルオロアルキル基を有するフッ素化合物等の疎水化処理剤を用いて行うことができる。また粉体を疎水化処理する方法については特に制限はない。
【0018】
また本発明の固形粉末化粧料には、前記の必須成分や粉体の他に、油剤を配合することができる。該油剤の配合は、しっとり感や肌へのつきが向上するので好ましい。斯かる油剤としては、例えば、ワセリン、高級脂肪酸、高級アルコール等の固形・半固形油剤、流動パラフィン、エステル油、シリコーン油等の流動油剤、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン等のフッ素系油剤等が挙げられる。また、これらの油剤は、単独で用いても複数種類を用いてもよく、化粧料基材中に30質量%以下、特に20質量%以下、さらに15質量%以下の範囲で配合するのが好ましい。
【0019】
本発明では化粧品基材と溶剤を混合し、金属製や樹脂製の皿状容器に充填した後、周波数10〜40kHz、振幅10〜100μmの振動を付与し、加圧成型した後、該溶剤を除去することにより固形粉末化粧料を製造する。
【0020】
化粧品基材は、粉砕した後に、溶剤と混合することが好ましい。化粧品基剤と溶剤を混合した混合物は、そのまま圧縮成型することができる。振動の付与は、混合物に約10g以上、好ましくは100g以上の加重がかけられた状態で行うことが好ましい。
振動の付与時間は、0.1〜2秒、特に0.5〜1.5秒が好ましく、振動の付与後、加圧された状態で0.1秒以上、好ましくは0.1〜5秒、特に0.5〜2秒保持されることが、耐衝撃性に優れるので好ましい。
また、加圧成型時に加えられる圧力は10kg/cm2以下、特に1〜5kg/cm2であるのが、使用時の塗布具へのとれや、肌へのつき、塗布時のしっとり感の点で好ましい。また従来の加圧成型方法と比して、加える圧力を低く設定することができるため、PET樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、又はポリカーボネート樹脂等の樹脂製の皿状容器を用いた場合でも、容器の破損等の問題が発生しにくい。
【0021】
また本発明において、溶剤を除去する際には、60〜100℃の温度で加熱乾燥することで、得られた固形粉末化粧料の耐衝撃性が向上する。さらに好ましくは70〜90℃の温度で加熱乾燥することで、得られた固形粉末化粧料の耐衝撃性が顕著に向上する。
【0022】
本発明の固形粉末化粧料には、さらに製品の性能や品質を向上させるための酸化防止剤、防菌防黴剤、紫外線吸収剤、香料等の各種添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合できる。
【実施例】
【0023】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、これらの実施例により本発明の技術範囲が限定されるものではない。尚、表中の数値は、特に指定がない限り、含有量(質量%)を示す。実施例に先立ち、各実施例で採用した評価方法を説明する。
【0024】
(1)官能評価試験方法
女性パネラー20名に試験品を肌に塗布してもらい、光輝感(きらきら感)について、評価してもらった。評価基準は以下の通りである。
(評価基準)
良いと答えた人数が17人以上 ;◎
良いと答えた人数が12〜16人;○
良いと答えた人数が8〜11人 ;△
良いと答えた人数が7人以下 ;×
【0025】
(2)耐衝撃性
固形粉末化粧料(金皿充填物)を50cmの高さから、厚み25mmのベニヤ板上に繰り返し落下させ、欠け、割れ、ひび等の異常が生じるまでの回数で評価した。評価基準は以下の通りである。
(評価基準)
◎:11回以上
○:7〜10回
△:5〜6回
×:4回以下
【0026】
実施例1〜8、比較例1〜3
下記表1に示す組成で固形粉末化粧料を調製し、前記試験を行った。結果を表1に併せて示す。尚、以下の実施例及び比較例にてシリコーンで被覆処理した粉体とは、メチルハイドロジェンポリシロキサン(KF−9901、信越化学工業社製)にて被覆焼き付け処理を行った粉体を意味する。
【0027】
【表1】

【0028】
*1:FZ−209(東レ・ダウコーニング社製)
*2:SP−500(東レ社製)
*3:メタシャインMC1120RS(日本板硝子社製)
*4:メタシャインMC2080PS(日本板硝子社製)
*5:ダイヤモンドピースCO−20UCシルバー(ダイヤ工業社製)
*6:メタシャインMC1080RS(日本板硝子社製)
*7:IPソルベント1620MU(出光興産社製)
*8:マルカゾールR(丸善石油化学社製)
【0029】
固形粉末化粧料(アイシャドウ)の調製方法
A:成分1〜3を混合、70℃で加熱し溶解する
B:成分4〜18を均一混合する
C:BにAを加えて均一分散し、粉砕後、化粧料基材を得た。
D:C100質量部に対し、溶剤19〜21を50質量部混合し、金皿に充填した後、表1に示す条件で振動を付与して加圧成型し、溶剤を表1に示す温度で加熱乾燥により除去することによって固形粉末化粧料を得た。
比較例3は、振動を付与せずに加圧成型した。
【0030】
表1に示すように、本発明の実施例1〜8のものは、光輝感及び耐衝撃性において優れたものであった。
【0031】
以下の成分組成において固形粉末化粧料を調製し、上記の評価試験を行ったところ、何れも優れたもの[光輝感(◎)、耐衝撃性(◎)]であった。
【0032】
実施例9:アイシャドウ
(成分) (質量%)
1.メチルフェニルポリシロキサン*1 2.0
2.白色ワセリン 3.0
3.トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン 5.0
4.マイカ 残 部
5.ステアリン酸アルミニウム 3.0
6.シリコーン粉末*9 2.0
7.赤色202号 1.0
8.ステアロイルグルタミン酸アルミニウム(4%)被覆
赤色226号 0.5
9.ベンガラ 3.0
10.シリカ被覆アルミニウム末*10 10.0
11.酸化鉄被覆ガラス末*11 10.0
12.酸化チタン被覆ガラス末*12 20.0
13.銀被覆ガラス末*13 10.0
14.ポリエチレンテレフタレート・
ポリウレタン−11・アルミニウム積層末*14 10.0
15.シリコーン(5%)処理雲母チタン 20.0
16.トコフェロール 0.1
17.メチルパラベン 0.2
18.デヒドロ酢酸ナトリウム 0.1
計 100.0
19.揮発性溶剤(軽質流動イソパラフィン*7) 50質量部
*9:トスパール145A(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)
*10:ブライトシルバーシー(エッカート社製)
*11:メタシャインMC1080KR(日本板硝子社製)
*12:メタシャインMC1040RS(日本板硝子社製)
*13:メタシャインME2040PS(日本板硝子社製)
*14:ダイヤホログラムHG−S20UC(ダイヤ工業社製)
【0033】
(調製方法)
A:成分1〜3を混合、70℃で加熱し溶解する
B:成分4〜18を均一混合する
C:BにAを加えて均一分散し、粉砕後、化粧料基材を得た。
D:C100質量部に対し、揮発性溶剤19を50質量部混合し、PET樹脂製の中皿に充填した後、実施例1と同じ条件で振動を付与して加圧成型し、溶剤を70℃で加熱乾燥により除去することによって固形粉末化粧料を得た。
【0034】
実施例10:アイシャドウ
(成分) (質量%)
1.メチルフェニルポリシロキサン*1 2.0
2.白色ワセリン 3.0
3.トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン 5.0
4.マイカ 残 部
5.ステアリン酸アルミニウム 2.0
6.赤色202号 0.5
7.黄色4号アルミニウムレーキ 3.0
8.雲母チタン 30.0
9.シリカ被覆アルミニウム末*10 10.0
10.酸化チタン被覆ガラス末*12 20.0
11.銀被覆ガラス末*13 10.0
12.シリコーン(5%)処理雲母チタン 10.0
13.トコフェロール 0.1
14.メチルパラベン 0.2
15.デヒドロ酢酸ナトリウム 0.1
計 100.0
16.揮発性溶剤(イソドデカン*8) 50質量部
【0035】
(調製方法)
A:成分1〜3を混合、70℃で加熱し溶解する
B:成分4〜15を均一混合する
C:BにAを加えて均一分散し、粉砕後、化粧料基材を得た。
D:C100質量部に対し、揮発性溶剤16を50質量部混合し、金皿に充填した後、実施例1と同じ条件で振動を付与して加圧成型し、溶剤を80℃で加熱乾燥により除去することによって固形粉末化粧料を得た。
【0036】
実施例11:チークカラー
(成分) (質量%)
1.オクチルドデカノール 1.0
2.リンゴ酸ジイソステアリル 1.5
3.トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン 2.5
4.マイカ 残 部
5.ステアリン酸アルミニウム 3.0
6.ポリアクリル酸アルキル*15 5.0
7.ステアロイルグルタミン酸アルミニウム(4%)被覆
赤色226号 0.1
8.黄色4号アルミニウムレーキ 0.1
9.ベンガラ 0.1
10.雲母チタン 20.0
11.酸化鉄被覆雲母チタン*16 20.0
12.酸化鉄被覆ガラス末*11 10.0
13.酸化チタン被覆ガラス末*12 20.0
14.トコフェロール 0.1
15.メチルパラベン 0.2
16.デヒドロ酢酸ナトリウム 0.1
計 100.0
17.揮発性溶剤(軽質流動イソパラフィン*7) 50質量部
*15:マイクロスフェアーS−102(松本油脂製薬社製)
*16:コロロナブライトゴールド(メルク社製)
【0037】
(調製方法)
A:成分1〜3を混合、70℃で加熱し溶解する
B:成分4〜15を均一混合する
C:BにAを加えて均一分散し、粉砕後、化粧料基材を得た。
D:C100質量部に対し、揮発性溶剤17を50質量部混合し、金皿に充填した後、実施例1と同じ条件で振動を付与して加圧成型し、溶剤を80℃で加熱乾燥により除去することによって固形粉末化粧料を得た。
【0038】
実施例12:フェースカラー
(成分) (質量%)
1.オクチルドデカノール 1.0
2.リンゴ酸ジイソステアリル 1.5
3.メチルフェニルポリシロキサン*1 2.5
4.マイカ 残 部
5.ステアリン酸アルミニウム 3.0
6.無水ケイ酸 5.0
7.雲母チタン 20.0
8.合成金雲母*17 20.0
9.酸化チタン被覆合成金雲母*18 30.0
10.トコフェロール 0.1
11.メチルパラベン 0.2
12.デヒドロ酢酸ナトリウム 0.1
計 100.0
13.揮発性溶剤(イソドデカン*8) 50質量部
*17:PDM20L(トピー工業社製)
*18:プロミネンスBF(日本光研工業社製)
【0039】
(調製方法)
A:成分1〜3を混合、70℃で加熱し溶解する
B:成分4〜12を均一混合する
C:BにAを加えて均一分散し、粉砕後、化粧料基材を得た。
D:C100質量部に対し、揮発性溶剤13を50質量部混合し、金皿に充填した後、実施例1と同じ条件で振動を付与して加圧成型し、溶剤を80℃で加熱乾燥により除去することによって固形粉末化粧料を得た。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の方法により、パール剤、ラメ剤等の光輝性粉体を多量配合し、優れた塗布面の光輝感を有するとともに、十分な耐衝撃性を有する固形粉末化粧料が提供され、具体的には、フェースカラー、チークカラー、アイシャドウ、アイブロウ、ファンデーション等のメイクアップ化粧料に適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料基材と溶剤とを混合し、容器に充填した後、加圧成型し、該溶剤を除去する固形粉末化粧料の製造方法であって、
(a)化粧品基材に対して30〜90質量%の光輝性粉体及び
(b)化粧品基材に対して0.1〜5質量%の金属石ケン
を必須成分とし、且つ成型時に、周波数10〜40kHz、振幅10〜100μmの振動を付与して、加圧成型する固形粉末化粧料の製造方法。
【請求項2】
成型時に加えられる圧力が、10kg/cm2以下である請求項1記載の固形粉末化粧料の製造方法。
【請求項3】
(c)化粧品基材との混合に用いる溶剤が、軽質流動イソパラフィン及び/又はイソドデカンを含むものである請求項1又は2記載の固形粉末化粧料の製造方法。
【請求項4】
溶剤の除去が、60〜100℃の加熱乾燥により、行われる請求項1〜3のいずれか1項に記載の固形粉末化粧料の製造方法。
【請求項5】
(b)金属石ケンが脂肪酸アルミニウムである請求項1〜4のいずれか1項に記載の固形粉末化粧料の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載の製造方法により得られる固形粉末化粧料。

【公開番号】特開2010−280626(P2010−280626A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−136150(P2009−136150)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】