説明

土地造成方法及び土壌改良装置

【課題】土地に存在する土壌を廃棄することなく、その土壌を改良して再利用することによりその土地の土壌を改良し、その土地を造成する方法に関し、またその土地造成方法を実施するにあたりその造成土地に隣接乃至近辺に設置することによりその土地に存在する土壌を遠隔地に搬出し、また改良された土壌を遠隔地から搬入することなくその造成土地の土壌を改良し再利用可能にすることのできる土壌改良装置の提供。
【解決手段】造成地から造成土壌を剥離し、前記剥離した造成土壌とフッ素樹脂とを前記造成地で又は造成地近傍で混合・混練して改良し、改良された改良土壌を前記造成地に埋め戻すことを特徴とする土地造成方法、及び造成土壌を秤量する計量器と、前記計量器で計量された造成土壌とフッ素樹脂とを加熱混練する混練器とを備えて成ることを特徴とする土壌改良装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、土地造成方法及び土壌改良装置に関し、更に詳しくは、土地に存在する土壌を廃棄することなく、その土壌を改良して再利用することによりその土地の土壌を改良し、その土地を造成する方法に関し、またその土地造成方法を実施するにあたりその造成土地に隣接乃至近辺に設置することによりその土地に存在する土壌を遠隔地に搬出し、また改良された土壌を遠隔地から搬入することなくその造成土地の土壌を改良し再利用可能にすることのできる土壌改良装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、学校の校庭、競技場のグラウンド、野球場、公園、家庭用庭、園庭、競技場ダート、モータスポーツ用ダート、駐車場、歩道、建設現場等における仮設道路等の、特定の目的に向けて施工された造成土地においては、一定の地面特性が要求される。その地面特性の一つに、水はけが良いこと、完全に乾燥せずに一定の湿り気があること、空気を内包することによりクッション性が良好であること、土壌面から土壌微粒子が飛散しないこと等を挙げることができる。
【0003】
これらの地面特性を改良するために、前記造成土地における表面土を剥離して除去し、その造成土地の目的に応じて改良された改良土壌が、表面土の除去された跡地に供給されてその土地の再造成がなされる。この場合、この再造成においては前記造成土地から剥離された表面土を通常は遠隔地である他の残土処理場に搬出していている。現今においては、この残土処理場の確保が、環境保全の観点から困難になりつつある。また、残土を遠隔地の残土処理場に搬出するために例えばダンプカー等を使用しなければならないので、交通安全上の問題、交通事故等の市民安全上の問題等が誘発される。また、再土地造成のために改良された土壌を遠隔地で製造し、此を再土地造成場に搬入することから、改良された土壌を製造するための土壌の確保を必要とし、その土壌の確保のために環境破壊を引き起こすと言う問題、また、改良された土壌を例えばダンプカー等で再造成土地に例えばダンプカーで搬入することによる前述したような問題を誘起する。
【0004】
ところで、「発塵性粉体及びそれに対し少量のポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末を高速混合ミキサー中でせん断作用及び圧縮作用下に発熱させつつ混合し、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末をフィブリル化させることを特徴とする発塵性粉体の防塵処理方法。」(特許文献1参照)、および「発塵性粉体をフィブリル化性ポリテトラフルオロエチレン樹脂のフィブリルにて捕捉して防塵処理するに当り、水和反応により反応熱を発する物質にフィブリル化性ポリテトラフルオロエチレン樹脂及び水を混合して撹拌し、水和反応熱により混合物の温度を上昇させると共に、上記ポリテトラフルオロエチレン樹脂を混合撹拌時の圧縮一剪断作用によりフィブリル化しておき、残熱を有する間に処理すべき発塵性粉体を少なくとも2回以上に分割して添加し混合撹拌することを特徴とする発塵性粉体の防塵処理方法。」が提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平10−102047号公報
【特許文献2】特開平9−328340号公報
【0006】
これらの特許文献に記載された発明は、防塵処理方法であって、上記問題点を解消する土壌改良方法ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、透水性、保水性、クッション性の良好な、しかも流亡性の小さな地面に再造成される必要な土地の造成方法を提供すること、及びそのような土地造成方法を実施するのに好適な土壌改良装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、造成地から造成土壌を剥離し、前記剥離した造成土壌とフッ素樹脂とを前記造成地で又は造成地近傍で混合・混練して改良し、改良された改良土壌を前記造成地に埋め戻すことを特徴とする土地造成方法であり、
請求項1は、前記フッ素樹脂がポリテトラフルオロエチレンである前記請求項1に記載の土地造成方法であり、
請求項3は、前記フッ素樹脂は、前記造成土壌と前記フッ素樹脂との合計に対して0.03〜0.60質量%の割合で含有されてなる前記請求項1又は2に記載の土地造成方法であり、
請求項4は、前記フッ素樹脂と混合される造成土壌は、粒径が0.001〜10mmである土壌粒子を含有する前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の土地造成方法であり、
請求項5は、前記混練は、50〜200℃で行われる前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の土地造成方法であり、
請求項6は、造成土壌を秤量する計量器と、前記計量器で計量された造成土壌とフッ素樹脂とを加熱混練する混練器とを備えて成ることを特徴とする土壌改良装置である。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、既存の造成地における表面土壌を透水性、保水性の良好な地面に改良することのできる土地造成方法を提供することができる。
【0010】
この発明に係る土地造成方法においては、再造成の必要な造成地から剥離した土壌を、その造成地近傍で、所謂現場でフッ素樹脂で改良するので、造成地から剥離した土壌を遠隔地に搬送し、且つ廃棄する必要が全くなくなる。したがって造成地から剥離した土壌を搬送する際の交通事情の悪化、搬送により生じる一切の問題点が解消される。特に、造成地から搬送された土壌を例えば海洋河川に投棄することによる生じる環境破壊が防止される。また、この発明に係る土地造成方法によると、遠隔の地で改良された改良土壌を、再造成の必要な造成地から土壌を剥離してなる跡地に、交通機関を利用して搬送する必要がない。したがって、別異の場所で改良することにより別途に製造された改良土壌を前記跡地に搬送することにより生じる交通事情の悪化等を完全に払拭することができる。
【0011】
この発明においては、再造成の必要な造成地の近傍で、前記造成地から剥離した土壌にフッ素樹脂を混合・混練して改良し、得られた改良土壌を前記造成地の跡地に埋め戻すのであるから、従来におけるように跡地に埋め戻すための他の土壌を消費することがなく、したがって、従来におけるように再造成地のために別の土地の土壌を使用することがなくなるので、別の土地の土壌を採取することによる環境破壊が防止される。しかもこの発明においては、再造成地から剥離した土壌をその再造成地近傍で改良するのであるから、再造成地での現場施工となって、効率的な造成作業を実現することができる。
【0012】
この発明においては、再造成地から剥離した土壌とフッ素樹脂とを混合・混練して改良しているので、かくして得られた改良土壌を再造成地に埋め戻して成るその再造成地においては、透水性、保水性、クッション性の良好な地面を形成することができる。
【0013】
この発明によると、造成地近傍に設置することができ、透水性、保水性、クッション性の良好な地面を形成することのできる改良土壌を容易に製造することのできる、構造の簡単な土壌改良装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
この発明の一例である土地造成方法は、先ず、造成地から造成土壌を剥離する工程を含む。
【0015】
前記造成地として、所定の目的を達成することができるように造成された土地を挙げることができる。ここで、所定の目的として、例えば公園乃至園庭としての用途の実現、スポーツの実演、実行に適した用途の実現、家庭的乃至個人的用途の実現、公共目的としての用途の実現等を挙げることができる。これらの目的を達成することの出来るように造成された土地として、例えば学校の校庭、競技場のグラウンド、野球場、公園、家庭用庭、園庭、競技場ダート、モータスポーツ用ダート、駐車場、歩道、建設現場等における仮設道路等を挙げることができる。
【0016】
造成地から剥離される造成土壌は、その造成地の使用目的に合致するように改良されるべき土壌であり、多くの造成土壌が達成すべき改良点の一つは、微粒土壌の飛散防止である。
【0017】
造成地から造成土壌を剥離する方法としては特に制限がなく、一般的な土木工事作業車例えばブルドーザ等を挙げることができる。造成土壌を剥離する方法として人手による作業、つまりスコップによる土地表面はつり作業を採用することもできる。
【0018】
造成土壌を造成地から剥離するその土壌の深さとしては、その土壌改良目的に応じて適宜に決定することができ、通常の場合、2〜15cm程度を挙げることができる。
【0019】
この発明の一例である土地造成方法においては、前記造成地で、つまりその造成地の敷地内で又はその造成地近傍で、剥離した造成土壌とフッ素樹脂とが混合・混練される。
【0020】
混合・混練される造成土壌は造成地から剥離したままの土壌であっても良いが、好ましくは土壌を形成する土壌粒子の粒径を0.001〜10mmに調整しておくのが良い。
【0021】
また、造成地から剥離した前記造成土壌は、前記粒径を有する土壌粒子を、造成土壌に対して80〜100質量%の割合で含有してなることが好ましい。この範囲内であると、より一層、透水性、保水性、クッション性の良好な地面を形成することのできる人工土壌とすることができる。なお、造成地から剥離した造成土壌中に岩石、樹木の根等の異物が含まれているときには、これらを除去しておくことが望ましい。
【0022】
前記フッ素樹脂は、前記土壌粒子を結合する。フッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、六フッ化エチレン共重合体(FEP)、四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)、三フッ化塩化エチレン(PCTFE)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、アクリル変性ポリテトラフルオロエチレン等並びにフルオロシリコーン樹脂を挙げることができる。この中でも、前記フッ素樹脂がポリテトラフルオロエチレンであることが好ましい。
【0023】
前記フッ素樹脂は、前記造成土壌と前記フッ素樹脂との合計に対して0.03〜0.60質量%の割合で含有されてなることが好ましい。この範囲内であると、より一層、透水性、保水性、クッション性の良好な地面を形成することのできる人工土壌とすることができる。
【0024】
造成土壌とフッ素樹脂との混合・混練して改良土壌にするには、この発明の一例である土壌改良装置を使用するのが好適である。
【0025】
図1及び図2に示されるように、前記土壌改良装置1は、造成土壌計量器2とフッ素樹脂計量器3と、搬送手段の一例であるコンベアー4と、混合器5と加熱装置6とを備える。
【0026】
前記造成土壌計量器2は、造成土壌の重量を計量することができるように設計され、例えば風袋であり、且つ造成土壌を収容するとともに計量された造成土壌をコンベアー4に放出する底面開口部を備えた容器であるタンクと造成土壌を収容するタンク全体の重量を測定することのできるロードセル等とを組み合わせて設計することができる。
【0027】
この造成土壌計量器2は、この土壌改良装置1においては、地面に設置される。
【0028】
前記フッ素樹脂計量器3は、例えばフッ素樹脂とこれを溶解又は懸濁する溶媒とから成るフッ素樹脂含有液を計量することができるように、フッ素樹脂含有液を収容し、たとえば内壁に容積を示す目盛りを形成し、底面から混合器5にフッ素樹脂含有液を投入する投入口を備えて成る容器を採用することができる。
【0029】
造成土壌とフッ素樹脂とを混練する際には、溶媒を使用せずにフッ素樹脂自体と造成土壌と混合してもよく、一方、フッ素樹脂を溶媒に溶解乃至懸濁して溶液乃至懸濁液とし、このフッ素樹脂含有液と造成土壌とを混合するようにしてもよい。フッ素樹脂を溶媒に溶解乃至懸濁してフッ素樹脂含有液とする場合には、例えば、溶媒として、水を例に取ると、フッ素樹脂含有液はフッ素樹脂水溶液である。フッ素樹脂水溶液の濃度は、5〜300g/Lであることが好ましい。
【0030】
このフッ素樹脂計量器3は、この土壌改良装置1においては、作業足場7の上に設置される。
【0031】
前記混合器5は、前記作業足場7上に設置され、計量済みの造成土壌とフッ素樹脂含有液とを混合することができるように、たとえば撹拌器とその撹拌器を収容するタンクとタンクの底部に形成された開閉可能な排出口とを備えた構造に設計される。
【0032】
この混合器5の上部は開口されていて、その開口に、前記フッ素樹脂計量器3で計量されたフッ素樹脂含有液と前記コンベアー4で搬送されて来た計量済みの造成土壌とが、投入される。投入されたフッ素樹脂含有液と計量済みの造成土壌とは、この混合器5内で撹拌・混合され、混合器5の底部にある排出口から加熱器6に投入される。
【0033】
前記混合器5で混合される造成土壌とフッ素樹脂との混合割合は、フッ素樹脂がフッ素樹脂水溶液として混合されるときに、土壌1kgに対して、フッ素樹脂水溶液が30〜200gであることが好ましい。
【0034】
前記加熱器6は、混合器5で混合されたフッ素樹脂含有液と造成土壌との混合物を所定温度に混練処理する。加熱温度としては、50〜200℃を挙げることができる。この温度範囲内の温度に加熱すると、剪断作用下及び圧縮作用下に混練することにより造成土壌を構成する土壌粒子同士がフッ素樹脂により相互に結合されるものと推測される。
【0035】
前記加熱器6は単なる加熱器であるよりも、剪断作用及び圧縮作用を造成土壌に及ぼすことのできる加熱混練器であるのが好ましい。このような加熱混練器としては、回転容器型混練機、固定容器型混練機、ロール型混練機等を挙げることができる。
【0036】
回転容器型混練機としては、ボールミル、コンクリートミキサー等を挙げることができる。
【0037】
固定容器型混練機としては、水平軸型混練機、垂直軸型混練機等を挙げることができる。水平軸型混練機としては、単軸型、複軸型、単複軸型等を挙げることができる。
【0038】
水平軸型混練機における単軸型としては、リボンミキサー、コニーダー、ボテーター等を挙げることができる。また、水平軸型混練機における複軸型としては、バンバリーミキサー、双腕型ニーダー、セルフクリーニング型ニーダー、パグミル、ギヤコンパウンダー、オーガー等を挙げることができる。さらに、水平軸型混練機における単複軸型としては、スクリュー押出し機、スクリュー型ニーダー、ピンミキサー、ロッドミキサー等を挙げることができる。
【0039】
垂直軸型混練機としては、単軸型、単複軸型等を挙げることができる。垂直軸型混練機における単軸型としては、クラッシャー、高速流動型ミキサー、ヘンシェルミキサー、シュギーミキサー等を挙げることができる。また、垂直軸型混練機における単複軸型としては、マラー、ワールミックス、アイリッヒミル等を挙げることができる。一方、ロール型混練機としては、ロールミル、テーパーロールミル等を挙げることができる。
【0040】
これら混練機の中でも、水平軸型混練機が好ましく、水平軸型混練機における複軸型混練機がより好ましく、セルフクリーニング型ニーダーが最も好ましい。
【0041】
加熱器6、好ましくは加熱混練器で加熱下に混練されることにより形成された改良土壌は、加熱器6、好ましくは加熱混練器の排出口から排出される。
【0042】
なお、図1及び図2において、8で示されるのは作業足場7と地面との間で作業員等が昇降するための階段(ステップ)であり、9で示されるのは加熱器6を移動させるのに便ならしめる車輪である。
【0043】
排出された改良土壌は、土壌粒子がフッ素樹脂で相互に結合し、しかも土壌粒子間に空隙が生じている。したがって、得られる好適な改良土壌は、その見かけ比重が通常の場合、1.00〜1.40である。得られる改良土壌の見かけ比重がこの範囲内であると、透水性、保水性の良好な再造成地を形成することのできる改良土壌とすることができる。
【0044】
また、良好な改良土壌は、透水係数が0.002〜0.01cm/sであり、飽和含水率が20〜30質量%であることが好ましい。この範囲内であると、より一層、透水性、保水性、クッション性の良好な地面を形成することのできる人工土壌とすることができる。
【0045】
ここで、透水係数の測定方法としては、JIS A−1218に規定された変水位透水試験法等を挙げることができる。また、飽和含水率の測定方法としては、以下に説明する方法等を挙げることができる。
【0046】
まず、測定対象の土を充填する容器の底に孔を形成する。孔が形成された底部に布織布を敷き詰める。布織布を敷き詰めた上方から一定量の土を容器に充填する。土が充填された容器に十分な水を上方から加え、土に含まれることのない水、すなわち飽和水以外の水を容器の底部より排出する。この際、土に水を加える前と、土に水を加えた後とのそれぞれの土の重さを測定する。そして、以下の式(1)に基づいて、飽和含水率が測定される。
【0047】
(土に水を加えた後の土の重さ−土に水を加える前の土の重さ)/土に水を加えた後の土の重さ×100 ・・・(1)
かくして得られた改良土壌は、造成地で土壌を剥離することにより形成されている窪み地に埋め戻される。
【0048】
この発明により製造された改良土壌は土壌粒子が相互にフッ素樹脂で結合されているので、空気を含んだ土壌であり、土壌粒子が風等により飛散することがない。したがって、この改良土壌が埋め戻されて形成された再造成地は、透水性、保水性、クッション性の良好な地面となる。
【実施例】
【0049】
(実施例1)
この実施例1に係る改良土壌を、図1に示す製造装置により製造した。具体的には、造成土壌計量器2により一般土壌を計量し、計量された一般土壌をコンベアー4にて混合器5に移送した。この一般土壌は、粒径が0.01〜2mmである、山土(黒土)50質量%と関東ローム土50質量%との混合土壌であった。なお、この発明において好適な一般土壌は、上記のように山土20〜80質量%と関東ローム土80〜20質量%の混合土壌である。フッ素樹脂軽量器3にて軽量された1030gのフッ素樹脂水溶液と前記一般土壌15kgとを混合器5で混合した。なお、フッ素樹脂水溶液は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を溶質とし、水を溶媒とする、濃度18g/Lの水溶液であった。混合器5で混合されたフッ素樹脂水溶液と一般土壌との混合土壌が加熱装置6に移送され、4分間、100℃で加熱混練された。これによって、改良土壌を得た。この改良土壌の嵩比重は1.28であった。
<流亡性>
この改良土壌を平たい容器(縦横30×30cm、高さ3cm)にすり切り状態にして収容し、更に容器内にある改良土壌の表面に厚さ10mmの合板を載置し、その上に荷重5kgのセメントブロックを乗せて3時間放置することにより、前記改良土壌の表面を固めた。このようにして改良土壌を収容した容器の重量を測定した。次いで、この容器を風雨の当たる屋外に90日間にわたって放置した。その後に、内部に改良土壌を収容した容器の重量を測定した。90日後における改良土壌収容の容器の重量減量率を算出した。この重量減量率を土壌流亡性の評価とした。
<透水性>
また、前記改良土壌の透水試験をJISA1218に従って行い透水係数を求めたところ、6.86×10−3cm/sであった。また前記した方法により求めた飽和含水率は、40質量%であった。
<発塵性>
神栄株式会社製の「埃センサ」(PPD-20D)にて前記改良土壌の発塵性を評価したところ、3分間で98CPMであった。
<クッション性>
クッション性を評価することを目的としてプロクターニードル試験を行った。前記改良土壌に、直径6.5mmの金属棒を、1/2インチの深さまで挿入し、その時の抵抗値を測定したところ、40lbsであった。
<泥濘性>
前記透水性を評価した前記改良土壌を24時間水に浸漬し、その後に改良土壌の表面から貫入棒(端面積:1/2in)を荷重5kgで慣入させ、そのときの貫入深さ(mm)を泥濘量とした。改良土壌の泥濘量は0.56mmであった。
(比較例)
前記実施例で用いたのと同じ一般土壌につき実施例1と同様に評価したところ、流亡性の評価として重量減少率は30質量%であり、透水性の評価として透水係数は1.54×10−3cm/sであり、発塵性の評価として3分間で3980CPMであり、クッション性の評価として80lbsであり、泥濘性の評価として1.53mmであった。
上記実施例及び比較例から、この発明に係る土地造成方法によると、造成地の土壌とフッ素樹脂とを混合・混練して改良することにより、流亡性、透水性、クッション性に優れ、発塵性の小さな、つまり埃の立たない、また雨によって泥濘化しない改良土壌を造成地に戻して土地造成することができるので、環境に対するダメージを与えることなく、造成地から土壌を搬出し、まあ剥離した土地に余所から土壌を搬入して埋め戻すために造成地近隣で生じる交通問題を起こすこともなく、優れた改良土壌による土地造成をすることのできる土地改良方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、この発明に係る土壌改良装置の一例を示す側面説明図である。
【図2】図2は、この発明に係る土壌改良装置の一例を示す平面説明図である。
【符号の説明】
【0051】
1 土壌改良装置
2 造成土壌計量器
3 フッ素樹脂計量器
4 コンベアー
5 混合器
6 加熱装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
造成地から造成土壌を剥離し、前記剥離した造成土壌とフッ素樹脂とを前記造成地で又は造成地近傍で混合・混練して改良し、改良された改良土壌を前記造成地に埋め戻すことを特徴とする土地造成方法。
【請求項2】
前記フッ素樹脂がポリテトラフルオロエチレンである前記請求項1に記載の土地造成方法。
【請求項3】
前記フッ素樹脂は、前記造成土壌と前記フッ素樹脂との合計に対して0.03〜0.60質量%の割合で含有されてなる前記請求項1又は2に記載の土地造成方法。
【請求項4】
前記フッ素樹脂と混合される造成土壌は、粒径が0.001〜10mmである土壌粒子を含有する前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の土地造成方法。
【請求項5】
前記混練は、50〜200℃で行われる前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の土地造成方法。
【請求項6】
造成土壌を秤量する計量器と、前記計量器で計量された造成土壌とフッ素樹脂とを加熱混練する混練器と、を備えて成ることを特徴とする土壌改良装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−146634(P2007−146634A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−294883(P2006−294883)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【出願人】(505322957)
【出願人】(505322968)
【出願人】(505323529)
【Fターム(参考)】