説明

圧力調整弁

【課題】安定的に開弁動作を行うことが可能な圧力調整弁を得る。
【解決手段】容器体14内は、ダイヤフラム24と弁座部材26とで構成された隔壁部材22により、流入側領域28と流出側領域30とに区画され、弁座開口32は板バネ片34により閉塞されている。流入口18からの流体流入で流入側領域28の内圧が高まると、第1コイルスプリング36の押圧力に抗して隔壁部材22が上方へと移動し、移動途中で、板バネ片34が接触部40に接触するため、さらに隔壁部材22が上方へと移動すると、板バネ片34は接触部40から押圧されて弁座開口32が開放される。隔壁部材22の変位の初期段階では、弁座開口32を開放せず、この変位の途中から弁座開口32を開放するので、弁座開口32の開弁動作を安定的に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力調整弁に関し、さらに詳しくは、流入される流体の圧力が所定値よりも大きくなると開弁されて流体の流出を許容することで圧力を調整する圧力調整弁に関する。
【背景技術】
【0002】
流入される流体の圧力に応じて開弁される圧力調整弁として、特許文献1には、ダイヤフラムを2点でリテーナに固定することで、開弁時にダイヤフラムがリテーナに追従するようにした構成のダイヤフラムバルブが記載されている。
【0003】
特許文献1に記載のような圧力調整弁は、ダイヤフラム自体が直接的に流路の開閉を行うようになっている。しかし、ダイヤフラムの挙動は、その初期において不安定になることがあるため、より安定的に開弁動作を行うことが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−152046号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、安定的に開弁動作を行うことが可能な圧力調整弁を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明では、流体の流入口及び流出口備えた流路部材と、前記流路部材の内部を、前記流入口を有する流入側領域と前記流出口を有する流出側領域とに区画すると共に、流入側領域と流出側領域の内圧変化に応じて変位する隔壁部材と、前記隔壁部材に形成され前記流入側領域と前記流出側領域とを連通可能とする連通孔と、前記流路部材の前記流出側領域に固定され、先端が前記連通孔に臨む開弁用固定部材と、前記流出側領域が拡大されるように前記隔壁部材を押圧する押圧手段と、前記連通孔を閉塞し、前記隔壁部材が前記押圧手段の押圧力に抗して前記流入側領域を拡大するように変位すると変位途中から前記開弁用固定部材に押されて連通孔を開放する開閉部材と、を有する。
【0007】
この圧力調整弁では、流路部材の内部が隔壁部材によって流入側領域と流出側領域とに区画され、隔壁部材には連通孔が形成されているが、通常は流出側領域が拡大されるように押圧手段が隔壁部材を押圧しているので、開閉部材は開弁用固定部材に押されることはなく、開閉部材によって連通孔は閉塞されている。
【0008】
流入口から流入側領域に流体が流入して流入側領域の圧力が上昇すると、隔壁部材は、押圧手段の押圧力に抗して、流入側領域を拡大する(流出側領域を縮小する)ように変位する。変位の初期では開閉部材は連通孔を閉塞した状態を維持しているが、変位途中からは、開弁用固定部材に押されて連通孔を開放する。これにより、流体が流入側領域から流出側領域へと流れ、さらに流出口から流出されて、圧力が調整される。
【0009】
このように、本発明では、隔壁部材の変位の途中から連通孔を開放する構造であり、隔壁部材の変位初期では連通孔を開放しない。すなわち、隔壁部材の挙動が初期において不安定であっても、連通孔の開放動作には影響しないことになるので、安定的に開弁動作(連通孔の開放)を行うことができるようになる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記開閉部材が、前記流路部材の前記流入側領域において、一端側が前記隔壁部材に取り付けられ他端側がばね力により前記連通孔を閉塞した位置に維持される板ばね片である。
【0011】
このように、板ばね片を隔壁部材に取り付ける簡単な構造で、開閉部材を構成できる。板ばね片自体の有するバネ力により連通孔を閉塞した状態を維持でき、連通孔の閉塞状態を維持するための部材を必要としないので、部品点数を少なくできる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記開閉部材が、前記流路部材の前記流入側領域において、前記連通孔を閉塞する閉塞位置と連通孔を開放する開放位置との間を移動可能な開閉部材本体と、前記流路部材に取り付けられ開閉部材本体を前記閉塞位置に付勢する付勢部材と、を有する。
【0013】
したがって、付勢部材により、開閉部材本体を閉塞位置(すなわち連通孔を閉塞した状態)に、より確実に維持できるようになる。たとえば、流入側領域の圧力が低い場合でも、連通孔の閉塞状態を確実に維持できる。
【0014】
請求項4に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記開閉部材が、前記流路部材の前記流入側領域において、前記連通孔を閉塞する閉塞位置と連通孔を開放する開放位置との間を移動可能な開閉部材本体と、前記流路部材の前記流入側領域において、前記隔壁部材が前記流入側領域を拡大するように変位していない状態で前記開弁用固定部材の反対側から前記開閉部材本体に接触する位置に形成され、開閉部材本体を閉塞位置に維持する閉弁維持部材と、を有する。
【0015】
すなわち、この構造では、隔壁部材が流入側領域を拡大するように変位していない状態では、閉弁維持部材が開閉部材本体に接触することで、開閉部材本体が閉塞位置に確実に維持される。そして、隔壁部材が流入側領域を拡大するように変位すると、開閉部材本体が隔壁部材から離れて開放位置へ移動され、連通孔を開放する。
【0016】
このように、開閉部材本体を閉塞位置に維持するために、付勢手段の付勢力を受ける必要がない。すなわち、開閉部材本体には閉塞位置に維持するための付勢手段に付勢力が作用していないので、開弁時には短時間で一気に開弁することが可能で、開弁時の流量のばらつきを抑制できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は上記構成としたので、液化燃料の回収効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態の圧力調整弁の概略構造を示す断面図であり、(A)は閉弁状態、(B)は開弁する直前の状態、(C)は開弁状態をそれぞれ示す。
【図2】本発明の第1実施形態の圧力調整弁の概略構造を示す断面図であり、(A)は閉弁状態、(B)は開弁する直前の状態、(C)は開弁状態をそれぞれ示す。
【図3】本発明の第1実施形態の圧力調整弁の概略構造を示す断面図であり、(A)は閉弁状態、(B)は開弁する直前の状態、(C)は開弁状態をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1には、本発明の第1実施形態の圧力調整弁12が示されている。この圧力調整弁12は、断面が扁平U字状で、上方に向かって開放された流入側ハウジング14Aと、断面がU字状で、下方に向かって開放された流出側ハウジング14Bとで構成された容器体14を有している。流入側ハウジング14Aと上辺及び流出側ハウジング14Bの下辺からは接合用フランジ16A、16Bが延出されており、これら接合用フランジ16A、16Bの間に、後述するダイヤフラム24の外縁部分を挟持した状態で、流入側ハウジング14Aと流出側ハウジング14Bとが接合されて一体化されることで、全体として略円筒形状の容器体14が構成されている。
【0020】
流入側ハウジング14Aの下面中央には流体の流入口18が、流出側ハウジング14Bの上面中央には流体の流出口20がそれぞれ形成されている。これにより、容器体14としても、流体の流入口18及び流出口20が形成されていることになる。
【0021】
ダイヤフラム24は、可撓性を有する材料によって膜状に形成されており、中央には開口部分が形成されている。この開口部分には、弁座部材26が取り付けられており、ダイヤフラム24と弁座部材26とで、容器体14の内部を、流入口18を有する流入側領域28と、流出口20を有する流出側領域30とに区画している。すなわち、ダイヤフラム24と弁座部材26とで、本発明の隔壁部材22を構成している。ダイヤフラム24は可撓性を有しているので、流入側領域28と流出側領域30との相対的な圧力変動により、図1(A)〜(C)に示すように変位して、流入側領域28と流出側領域30とを拡縮する。
【0022】
さらに、弁座部材26の中央には、流入側領域28と流出側領域30とを連通可能とする弁座開口32が形成されている。弁座部材26の下面(流入側領域28側の面)には板バネ片34の一端側が取り付けられている。板バネ片34の他端側は、バネ力により弁座部材26に下面に密着し、弁座開口32を閉塞している。
【0023】
流出側領域30には、本発明の押圧部材である第1コイルスプリング36が配置されている。第1コイルスプリング36の上端は流出側ハウジング14Bの上面に、下端は弁座部材26の上面に固定されており、弁座部材26(隔壁部材22)を、下方すなわち流入側領域28が縮小される方向に押圧している。第1コイルスプリング36の押圧力は、流入側領域28に流入した流体の圧力が所定圧以上になると、この流体の圧力に抗されて弁座部材26(隔壁部材22)が上方に向かって移動する程度に設定されている。
【0024】
さらに、流出側領域30には、本発明の開弁用固定部材である複数本の開弁用固定アーム38が固定されている。開弁用固定アーム38のそれぞれの上端は、流出口20を取り囲む位置で流出側ハウジング14Bの上面に固定されている。開弁用固定アーム38の下端は1箇所で結合されると共に、弁座開口32に臨んでおり、接触部40とされている。したがって、開弁用固定アーム38の間は、矢印F1で示すように流体が通過可能となっている。
【0025】
接触部40の位置は、流入側領域28に流体が流入していない状態、あるいは、流入していても流入側領域28の内圧が低いために、隔壁部材22が流入側領域28を拡大していない状態では、板バネ片34から離間する位置で(図1(A)参照)、且つ、流入側領域28の内圧が高くなって隔壁部材22が流入側領域28を拡大するように変位すると、この変位の途中で板バネ片34が接触する位置(図1(B)参照)とされている。
【0026】
なお、図面では、開弁用固定アーム38を2本のみ示しているが、開弁用固定アーム38の下端(接触部40)の位置を維持するためには、3本以上とすることが好ましい(この場合には三脚状の形状となる)。もちろん、接触部40の位置を維持可能であれば、開弁用固定アーム38は1本でもよい。
【0027】
次に、本実施形態の圧力調整弁12の作用を説明する。
【0028】
図1(A)に示すように、初期状態、すなわち流入口18に流体が流入していない場合、あるいは、流入していても流入側領域28の内圧が低い場合には、隔壁部材22は第1コイルスプリング36の付勢力を受けて下方に位置しており、板バネ片34は開弁用固定アーム38の接触部40から離間している。板バネ片34は自身のバネ力により、その他端側で弁座開口32を閉塞している。したがって、この状態では、流入側領域28から流出側領域30に流体が移動することはない。
【0029】
流入口18から流体が流入し、流入側領域28の内圧が徐々に高まると、第1コイルスプリング36の押圧力に抗して隔壁部材22が上方へと移動し、流入側領域28が拡大される(流出側領域30か縮小される)。そして、この移動途中で、図1(B)に示すように、板バネ片34が接触部40に接触する。
【0030】
その後、さらに流入側領域28の内圧が上昇して隔壁部材22が上方へと移動すると、板バネ片34は接触部40に接触しているので、この接触部40から押圧されて他端側が斜め下方へ変形し、弁座部材26から離間する。すなわち、弁座開口32が開放される。これにより、流入側領域28から流出側領域30への流体の移動が可能になり、流入側領域28における流体の圧力調整がなされる。
【0031】
このように、本実施形態の圧力調整弁12では、隔壁部材22が図1(A)に示す位置から変位する初期の段階では、弁座開口32を開放せず、この変位の途中(図1(B)に示す位置)から以降において、弁座開口32を開放する。隔壁部材22の変位の初期において、その挙動が不安定になっても、この段階では弁座開口32の開放動作を行わず、影響を及ぼさない。したがって、弁座開口32の開弁動作を安定的に行うことができる。
【0032】
しかも、本実施形態の圧力調整弁12では、隔壁部材22の中央に形成した弁座開口32を、隔壁部材22とは別の板バネ片34が開閉する構造であり、従来のように、隔壁部材22(ダイヤフラム)の挙動が直接的に流路を開閉する構造ではない。従来の構造では、ダイヤフラムの変位を確実に生じさせるためにはある程度の大きさがダイヤフラムに必要になるが、このようにダイヤフラムを大きくすると、ダイヤフラムが流路を開閉する際に、わずかな挙動の変化によって、流路の開放断面積が大きく変動してしまう。これに対し、隔壁部材22とは別の板バネ片34が流路(弁座開口32)を開閉する本実施形態の構造では、開弁時の流量に応じた最小の弁サイズ(弁座開口32の開口断面積)とすることが可能となるため、隔壁部材22の挙動(変位)に起因する開弁動作の不安定さを回避して、弁座開口32の開弁動作を安定的に行うことが可能になる。
【0033】
また、第1実施形態の圧力調整弁12では、弁座開口32は板バネ片34を弁座部材26に取り付ける簡単な構造で可能となっている。特に、板バネ片34の有するバネ力を有功に利用して弁座開口32を閉塞した状態を維持でき、閉塞状態を維持するために他の部材を必要としないので、部品点数の増加を招かない。
【0034】
図2(A)〜(C)には、本発明の第2実施形態の圧力調整弁52が示されている。第2実施形態では、第1実施形態と異なる構成要素、部材のみ説明し、第1実施形態と同一の部材については同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0035】
第2実施形態の圧力調整弁52では。第1実施形態の板バネ片34に代えて、開閉板54と第2コイルスプリング56とが設けられている。
【0036】
開閉板54は、弁座開口32を閉塞するのに十分な大きさを有する板状の部材であり、流入側領域28において弁座部材26の下面側に配置されている。また、第2コイルスプリング56は、開閉板54と流入側ハウジング14Aの下面との間に配置されており、その上端が開閉板54に、下端が流入側ハウジング14Aの下面に固定されている。開閉板54は実質的に第2コイルスプリング56によって支持されており、弁座部材26に密着して弁座開口32を閉塞した位置(閉塞位置)と、弁座開口32から離間して弁座開口32を開放した位置(開放位置)との間を移動可能とされ、さらに、第2コイルスプリング56によって、閉塞位置に向かって付勢されている。
【0037】
このような構造とされた第2実施形態の圧力調整弁52においても、図2(A)に示すように、隔壁部材22が流入側領域28を拡大する動作の初期では、開閉板54は弁座開口32を閉塞しており、隔壁部材22が流入側領域28を拡大する動作の途中で、図2(B)に示すように開閉板54が開弁用固定アーム38の接触部40に接触し、以降の動作において、接触部40に押圧された(厳密には上方への移動を阻止された開閉板54が)弁座部材26から離間して、弁座開口32を開放する。すなわち、第2実施形態の圧力調整弁52においても、隔壁部材22の変位の初期段階では弁座開口32を開放せず、この変位の途中から以降において、弁座開口32を開放するので、弁座開口32の開弁動作を安定的に行うことができる。
【0038】
しかも、第2実施形態の圧力調整弁52においても、隔壁部材22とは別の開閉板54が流路(弁座開口32)を開閉する構造であり、開弁時の流量に応じた最小の弁座開口32の開口断面積とすることが可能となるため、弁座開口32の開弁動作を安定的に行うことが可能になる。
【0039】
さらに、第2実施形態の圧力調整弁52では、開閉板54とは別体の第2コイルスプリング56を用いて、積極的に開閉板54を弁座部材26に付勢している。したがって、たとえば流入側領域28の圧力が低い場合等であっても、確実に開閉板54を弁座部材26に密着させて閉塞位置に維持し、弁座開口32を閉塞した状態に維持できる。
【0040】
図3(A)〜(C)には、本発明の第3実施形態の圧力調整弁72が示されている。第3実施形態では、第1実施形態又は第2実施形態と異なる養成要素、部材のみ説明し、第1実施形態又は第2実施形態と同一の部材については同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0041】
第3実施形態の圧力調整弁72では、第2実施形態と同様の開閉板54を供えているが、第2コイルスプリング56は設けられておらず、これに代えて、保持枠74及び複数の閉弁用固定アーム78が備えられている。
【0042】
保持枠74は、弁座部材26の下面において、開閉板54の周囲から延出されると共に、開閉板54からは所定間隔を開けて配置されている。この保持枠74により、開閉板54は弁座部材26から脱落することなく、弁座部材26の下面に密着して弁座開口32を閉塞した閉塞位置(図3(A)及び(B)参照)と、弁座部材26の下面から離間して弁座開口32を開放した開放位置(図3(C)参照)との間を移動可能となっている。保持枠74の中央には、保持枠開口76が形成されている。
【0043】
複数の閉弁用固定アーム78は、それぞれの下端が流入口18を取り囲む位置で流入側ハウジング14Aの下面に固定されている。閉弁用固定アーム78の上端は1箇所で結合されると共に、保持枠開口76を貫通して開閉板54に対向しており、支持部80とされている。したがって、閉弁用固定アーム78の間も、開弁用固定アーム38の間と同様に、矢印F2で示すように流体が移動可能となっている。
【0044】
支持部80の位置は、流入側領域28に流体が流入していない状態、あるいは、流入していても流入側領域28の内圧が低いために、隔壁部材22が流入側領域28を拡大していない状態では、第1コイルスプリング36の付勢力を、弁座部材26を介して間接的に受けている開閉板54を下方から接触して支持する位置(図3(A)参照)とされている。
【0045】
なお、第3実施形態の閉弁用固定アーム78も、第1実施形態の開弁用固定アーム38と同様に、その上端(支持部80)の位置を安定的に維持するためには、3本以上(略三脚状の形状)とすることが好ましい。もちろん、支持部80の維持を維持可能であれば、閉弁用固定アーム78は1本でもよい。
【0046】
このような構成とされた第3実施形態の圧力調整弁72においても、図3(A)に示すように、隔壁部材22が流入側領域28を拡大する動作の初期では、開閉板54は支持部80に支持されて(換言すれば支持部80と弁座部材26の間に挟まれて)弁座開口32を閉塞している。そして、流入側領域28の内圧が上昇して隔壁部材22が流入側領域28を拡大した場合でも、開閉板54は流入側領域28の内圧を受けて、弁座部材26に密着した状態を維持して上昇する。すなわち、開閉板54は、図3(B)に示すように、開弁用固定アーム38の接触部40に接触するまでは、弁座開口32を閉塞した状態を維持する。
【0047】
この状態から、さらに隔壁部材22が上昇すると、それ以降は、接触部40に押圧された(厳密には上方への移動を阻止された開閉板54が)弁座部材26から離間して、弁座開口32を開放する。すなわち、第3実施形態の圧力調整弁72においても、隔壁部材22の変位の初期段階では弁座開口32を開放せず、この変位の途中から以降において、弁座開口32を開放するので、弁座開口32の開弁動作を安定的に行うことができる。
【0048】
しかも、第3実施形態の開閉板54は、接触部40に接触した後は、第1コイルスプリング36や第2コイルスプリング56のバネ力を受けない。これにより、開閉板54が弁座開口32を開放した状態(開放位置にある状態)をより確実に維持できるようになる。たとえば、開閉板54が接触部40に接触した後は、弁座開口32を極めて短かい時間で一気に開放するような構造とすることも可能となる。
【0049】
なお、上記では、本発明の流路部材として容器体14を挙げたが、流路部材としては容器の形状とされている必要はなく、配管等で構成される流路の一部として、流体の流入口と流出口とを備えた構造であればよい。
【符号の説明】
【0050】
12 圧力調整弁
14 容器体(流路部材)
14A 流入側ハウジング
14B 流出側ハウジング
16A、16A 接合用フランジ
18 流入口
20 流出口
22 隔壁部材
24 ダイヤフラム
26 弁座部材
28 流入側領域
30 流出側領域
32 弁座開口(連通孔)
34 板バネ片(開閉部材)
36 第1コイルスプリング(押圧手段)
38 開弁用固定アーム(開弁用固定部材)
40 接触部
52 圧力調整弁
54 開閉板(開閉部材本体)
56 第2コイルスプリング(付勢部材)
72 圧力調整弁
74 保持枠
76 保持枠開口
78 閉弁用固定アーム(閉弁維持部材)
80 支持部U 扁平

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流入口及び流出口備えた流路部材と、
前記流路部材の内部を、前記流入口を有する流入側領域と前記流出口を有する流出側領域とに区画すると共に、流入側領域と流出側領域の内圧変化に応じて変位する隔壁部材と、
前記隔壁部材に形成され前記流入側領域と前記流出側領域とを連通可能とする連通孔と、
前記流路部材の前記流出側領域に固定され、先端が前記連通孔に臨む開弁用固定部材と、
前記流出側領域が拡大されるように前記隔壁部材を押圧する押圧手段と、
前記連通孔を閉塞し、前記隔壁部材が前記押圧手段の押圧力に抗して前記流入側領域を拡大するように変位すると変位途中から前記開弁用固定部材に押されて連通孔を開放する開閉部材と、
を有する圧力調整弁。
【請求項2】
前記開閉部材が、
前記流路部材の前記流入側領域において、一端側が前記隔壁部材に取り付けられ他端側がばね力により前記連通孔を閉塞した位置に維持される板ばね片である請求項1に記載の圧力調整弁。
【請求項3】
前記開閉部材が、
前記流路部材の前記流入側領域において、前記連通孔を閉塞する閉塞位置と連通孔を開放する開放位置との間を移動可能な開閉部材本体と、
前記流路部材に取り付けられ開閉部材本体を前記閉塞位置に付勢する付勢部材と、
を有する請求項1に記載の圧力調整弁。
【請求項4】
前記開閉部材が、
前記流路部材の前記流入側領域において、前記連通孔を閉塞する閉塞位置と連通孔を開放する開放位置との間を移動可能な開閉部材本体と、
前記流路部材の前記流入側領域において、前記隔壁部材が前記流入側領域を拡大するように変位していない状態で前記開弁用固定部材の反対側から前記開閉部材本体に接触する位置に形成され、開閉部材本体を閉塞位置に維持する閉弁維持部材と、
を有する圧力調整弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−265957(P2010−265957A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116594(P2009−116594)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】