説明

圧力調理器および圧力調理器の保温時制御方法

【課題】保温処理中の蓋体の閉塞力の低減を図るとともに、調理物の変質を防止する。
【解決手段】保温処理中に内鍋10の上端開口を閉塞する蓋体23の開閉状態を蓋状態検出手段(揺動部材98、フォトインタラプタ104)により監視し、蓋状態検出手段によって蓋体23の開放を検出すると、弁制御手段(マイコン109)が調圧弁64の駆動手段(ステッピングモータ45)を動作させ、調圧弁64の弁体71を閉塞位置に向けて移動させた押圧状態を解除することにより、弁体71を付勢部材85の付勢力で開放位置へ移動させ、排気通路の一部を構成する通気孔66を開放する一方、蓋状態検出手段によって蓋体23の閉塞を検出すると、弁制御手段が調圧弁64の駆動手段を動作させ、弁体71を付勢部材85の付勢力に抗して開放位置から閉塞位置へ向けて移動させ、その状態を維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力調理器および圧力調理器の保温時制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
調理器の一例である炊飯器は、内鍋を収容する本体と、前記本体に開閉可能に取り付けられた蓋体とを備えている。そして、本体の内部に配設した加熱手段によって前記内鍋を加熱することにより、内鍋内にセットした調理物である飯米を炊飯し、引き続いて炊き上げた米飯を保温するものである。そのうち、圧力炊飯器は、前記蓋体内に設けた排気通路内に通気孔が設けられ、この通気孔を弁体で閉塞することにより、内鍋内を大気圧より高い圧力に加圧可能としている。
【0003】
特許文献1には、内鍋の内圧を多段階に変更可能とした圧力炊飯器が記載されている。この圧力炊飯器は、蓋体に着脱可能に配設する内蓋に、調圧弁とリリーフ弁とが配設されている。調圧弁は、通気孔の中心に向けて直交方向に移動可能に配設した弁体を備え、該弁体を駆動手段によって下向きに押圧することにより、通気孔に対する閉塞力を調整可能としている。これにより、内鍋内を加圧可能な圧力を多段階に変更できる。リリーフ弁は、通気孔を転動可能な球状部材により閉塞するものである。これにより、内鍋内が予め設定した設定圧力を超える異常圧力まで加圧された場合、蒸気の圧力で球状部材を通気孔上から離反させ、排気通路から圧力を逃がすものである。
【0004】
この圧力炊飯器は、炊飯処理で調圧弁およびリリーフ弁によって調圧する際には、内鍋の上端開口を確実に密閉することが重要である。そのため、蓋体には、内鍋の上端開口の内周壁に密着するように蓋パッキンが配設されている。しかし、炊飯処理から保温処理に移行した直後は、内鍋内の温度が予め設定した保温時の温調温度より高く、パッキンが膨張しているうえ、蒸気の放出量も多い。そのため、保温処理に移行した直後に、蓋体を開いた後、閉塞する際には大きな閉じ力が必要になる。
【0005】
また、保温処理では、内鍋と外部とを連通させた排気通路から、内鍋内の温度や水分が放出される。そこで、特許文献1では、保温処理にて調圧弁およびリリーフ弁の各通気孔を閉塞する構成としている。そして、ユーザによる蓋体の開放意思を検出すると、調圧弁およびリリーフ弁を開状態とし、内鍋の内圧を大気圧と平衡させることにより、蓋体を開放可能とする。また、蓋体が閉塞されると、再び調圧弁およびリリーフ弁は通気孔を閉塞状態とする構成としている。
【0006】
この特許文献1に記載の圧力炊飯器は、蓋体を閉塞する際には調圧弁およびリリーフ弁が開放状態となっているため、排気通路の開口面積が大きい。そのため、蓋体を閉塞する際に必要な力を低減することが可能である。しかし、調圧弁およびリリーフ弁の内部には、炊飯時の排気により「おねば」を含む結露水が溜まっている。その結果、蓋体を開放可能とするために調圧弁およびリリーフ弁を開放したときに、その結露水が内鍋内に滴下し、保温中の米飯に付着する。この場合、その結露水が付着した米飯が白化するという問題がある。なお、飯米以外の食材を調理する調理器であっても、結露水が調理物に付着するという問題は同様に生じるものである。そして、調理物に結露水が付着した場合には、味や食感に影響を及ぼすことがあるのも同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−220444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来の問題に鑑みてなされたもので、保温処理中の蓋体の閉塞力の低減を図るとともに、調理物の変質を防止できる圧力調理器およびその保温時制御方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明の圧力調理器は、内鍋を収容する本体と、前記内鍋内の調理物を加熱する加熱手段と、前記本体に回動可能に取り付けられ前記内鍋の上端開口を閉塞する蓋体と、前記蓋体内に設けられ前記内鍋内と外部とを連通する排気通路と、前記排気通路中に設けられ、該排気通路の一部を構成する通気孔を有する弁座と、該弁座の通気孔に圧接した閉塞位置および通気孔から離反した開放位置にかけて移動可能な弁体と、該弁体を開放位置に向けて付勢する付勢部材とを有し、前記弁体で通気孔を閉塞することにより前記内鍋内と外部とを遮断して内鍋内を大気圧より高い圧力に加圧可能とする調圧弁と、前記弁体を付勢部材の付勢力に抗して開放位置から閉塞位置に移動させる駆動手段と、前記内鍋または内鍋内の温度を検出する鍋温度検出手段と、前記蓋体の開閉状態を検出する蓋状態検出手段と、前記鍋温度検出手段の検出値に基づいて前記加熱手段および調圧弁を制御して調理処理を実行し、続いて保温処理を実行する加熱制御手段と、前記加熱制御手段による保温処理中に、前記蓋状態検出手段により蓋体の開放を検出すると前記調圧弁の弁体を開放位置に移動させ、前記蓋状態検出手段により蓋体の閉塞を検出すると前記調圧弁の弁体を開放位置から閉塞位置へ向けて移動させ、その状態を維持する弁制御手段と、を備えた構成としている。
【0010】
また、この圧力調理器の保温時制御方法は、加熱制御手段が鍋温度検出手段の検出値に基づいて加熱手段を制御することにより内鍋内の調理物を加熱して調理処理を実行した後、続いて前記内鍋内の調理物を加熱して保温処理を実行する圧力調理器の保温時制御方法であって、保温処理中に前記内鍋の上端開口を閉塞する蓋体の開閉状態を蓋状態検出手段により監視し、前記蓋状態検出手段によって蓋体の開放を検出すると、弁制御手段が調圧弁の駆動手段を動作させ、該調圧弁の弁体を閉塞位置に向けて移動させた押圧状態を解除することにより、該弁体を付勢部材の付勢力で開放位置へ移動させ、排気通路の一部を構成する通気孔を開放する一方、前記蓋状態検出手段によって蓋体の閉塞を検出すると、前記弁制御手段が前記調圧弁の駆動手段を動作させ、該調圧弁の弁体を前記付勢部材の付勢力に抗して開放位置から閉塞位置へ向けて移動させ、その状態を維持するものである。
【0011】
ここで、「弁体を閉塞位置へ向けて移動する」とは、弁体で通気孔を閉塞するまで移動させる構成、および、弁体が通気孔に対して所定の隙間をもって位置するまで移動させる構成の両方を含む。そして、所定の隙間をもって位置する状態とは、開放位置で通気孔を流動可能な流量をRとすると、弁体が近傍に位置することによる排気抵抗により流量がR未満となる状態を意図している。
【0012】
このように構成した圧力調理器は、保温処理中に、蓋体の開放を検出すると調圧弁を開放状態とするため、蓋体を閉塞する際の排気通路の開口面積を増大できる。その結果、蓋体を閉塞するのに必要な力を低減できる。また、調圧弁は、回動可能な蓋体が開放すると開放されるため、調圧弁内に溜まった「おねば」または「食材の汁」を含む結露水は、蓋体の傾斜に沿って排気通路内を流動する。その結果、内鍋内への滴下を防止できるため、調理物の変質を防止できるとともに、衛生を確保できる。さらに、調圧弁は、蓋体の閉塞を検出すると弁体が開放位置から閉塞位置へ向けて移動され、その状態が維持されるため、内鍋内の温度および蒸気が必要以上に放出されることを防止できる。その結果、調理物の乾燥を防ぎ、良好な保温状態を維持できるとともに、無駄な電力消費を防止できる。
【0013】
この圧力調理器では、前記蓋体の排気通路に、該排気通路の一部を構成する第2通気孔を有する第2弁座と、該第2弁座の第2通気孔を開閉する球状部材とを有し、前記球状部材で第2通気孔を閉塞することにより前記内鍋内を調圧弁より高い圧力に加圧可能なリリーフ弁と、前記球状部材を第2通気孔上から離反させる第2駆動手段とを更に設け、前記弁制御手段は、前記リリーフ弁の球状部材および前記調圧弁の弁体で各通気孔を閉塞することにより前記内鍋内と外部とを遮断して内鍋内を大気圧より高い圧力に加圧可能とするとともに、保温処理中には前記リリーフ弁の第2通気孔を開放状態に維持することが好ましい。このようにすれば、保温処理中には、リリーフ弁の通気孔を介して内鍋と外部とが連通した状態をなすため、この保温処理中にユーザが蓋体の開放操作をすると、迅速に蓋体を開放させることができる。
【0014】
また、前記弁制御手段は、保温処理中に前記鍋温度検出手段による検出温度が予め設定した設定温度より高い場合には前記調圧弁の弁体を開放位置に移動させ、検出温度が設定温度まで低下した場合には前記調圧弁の弁体を開放位置から閉塞位置へ向けて移動させ、その状態を維持することが好ましい。なお、「設定温度」は、調理物の保温処理で温調する温調設定温度であることが好ましい。このようにすれば、調理した高温の調理物を設定温度まで迅速に低下させることができるとともに、不要な蒸気を放出させることができる。そのため、結露を防止できるとともに調理物の変質を抑制できるため、保温性能を向上できる。
【0015】
さらに、前記弁制御手段は、操作パネルの操作により保温処理が停止されると、前記調圧弁の弁体を開放位置に移動させ、通気孔を開放状態とすることが好ましい。このようにすれば、調理処理および保温処理を何ら実行していない待機モードでの蓋体の閉塞作業性も向上できる。
この場合、前記弁制御手段は、前記操作パネルの操作を検出した後、前記鍋温度検出手段による検出温度が予め設定した開放温度より高い場合には前記蓋体の開閉に応じた調圧弁の開閉制御を継続し、開放温度以下に低下した場合には前記調圧弁の弁体を開放位置に移動させることが好ましい。このようにすれば、内鍋内に調理物が残っている状態で、保温処理が停止された場合の過剰な温度低下を抑制できる。
【0016】
また、前記調圧弁は、前記蓋体に着脱可能に装着する内蓋に配設されるとともに、前記弁座の上部を囲繞するとともに前記弁体を移動可能に収容するカバーを備え、該カバーに異物除去用の清浄用孔を設けることが好ましい。このようにすれば、調理中または保温中に調圧弁を開放可能とすることに伴って調圧弁内には異物が混入する可能性が生じるが、異物が混入した場合にはその異物を内蓋の清浄時に除去できる。その結果、異物混入に伴う調圧弁の作動不良を防止できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の圧力調理器では、保温処理中に蓋体の開放を検出すると調圧弁を開放状態とするため、蓋体を閉塞する際に必要な力を低減できる。また、調圧弁内に溜まった結露水は、蓋体の傾斜に沿って排気通路内を流動されるため、調理物に付着することに伴う変質を防止できるとともに、衛生を確保できる。さらに、蓋体の閉塞を検出すると弁体が開放位置から閉塞位置へ向けて移動されることにより、内鍋内の温度および蒸気の放出を防止できるため、調理物の乾燥を防ぎ、良好な保温状態を維持できるとともに、無駄な電力消費を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態の炊飯器を示す断面図である。
【図2】炊飯器を他の部分で破断した断面図である。
【図3】蓋体の構成を示す斜視図である。
【図4】蓋体の構成を示す平面図である。
【図5】(A),(B),(C)は調圧弁の動作状態を示す部分断面図である。
【図6】内蓋の構成を示す斜視図である。
【図7】内蓋に装着する調圧弁の分解斜視図である。
【図8】図2の要部断面図である。
【図9】図2の蓋状態検出手段の構成を示す分解斜視図である。
【図10】(A),(B),(C),(D)は揺動部材の作動状態と蓋状態検出手段の検出状態の関係を示す側面図である。
【図11】(A),(B)は蓋体の開放に伴う蓋状態検出手段の作動状態を示す断面図である。
【図12】(A),(B)は移動部材の移動に伴う蓋状態検出手段の作動状態を示す断面図である。
【図13】(A)は炊飯器の構成を示すブロック図、(B)はソレノイドの駆動状態とフォトインタラプタの検出状態との関係によるマイコンの判断を示す図表である。
【図14】マイコンによる炊飯処理を示すフローチャートである。
【図15】マイコンによる保温処理を示すフローチャートである。
【図16】マイコンによる制御の変形例であり、保温処理の後に実行する弁制御工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0020】
図1および図2は、本発明の実施形態に係る圧力調理器の一例である圧力炊飯器を示す。この圧力炊飯器は、電磁誘導加熱される内鍋10を着脱可能に収容する本体11と、該本体11に回動可能に取り付けた蓋体23とを備えている。この炊飯器は、制御手段であるマイコン109により、予め設定されたプログラムに従って炊飯(調理)処理を実行した後、引き続いて第1保温処理を実行する。そして、本実施形態の炊飯器は、保温処理中に蓋体23の開閉状態を検出し、蓋体23の開放を検出すると圧力投入手段である調圧弁64を開放状態とし、蓋体23の閉塞を検出すると調圧弁64を閉塞状態とする構成としている。
【0021】
本体11は、筒形状をなす胴体12と、該胴体12の下端開口を閉塞する底体13と、胴体12の上端開口を覆うように取り付けた肩体14とからなる外装体を備えている。この肩体14は、その略中央に内鍋10を着脱可能に配置するための開口部15を備え、この開口部15の正面側(図1中左側)に、蓋体23の閉塞状態を維持するための孔からなる係合受部16が設けられている。また、肩体14の開口部15には、筒状をなす内胴17と、非導電性材料からなる受け皿状の保護枠18とが配設されている。この保護枠18の下部外周面には、第1加熱手段である誘導加熱コイル19がフェライトコア20を介して配設されている。また、内胴17の外周部には、第2加熱手段である胴ヒータ21が配設されている。さらに、保護枠18には、該保護枠18を貫通して内部の内鍋10を介して飯米および米飯の温度を検出するための第1鍋温度検出手段である内鍋用温度センサ22(サーミスタ)が配設されている。
【0022】
蓋体23は、肩体14の背部に形成されたヒンジ受部に開閉(回動)可能に取り付けられ、本体11の上端開口を閉塞するものである。この蓋体23は、本体11の外装体と共に外表面材を構成する上板24と、該上板24の底を閉塞する下板29と、該下板29の下面に着脱可能に装着される内蓋60とを備えている。そして、この蓋体23の内部には、内鍋10内と外部とを連通する排気通路が設けられ、この排気通路に内鍋10内を大気圧より高い圧力に昇圧するための圧力投入手段として、調圧弁64とリリーフ弁86が設けられている。
【0023】
上板24には、その前部に蓋体23を開放操作するための操作部材25が配設されている。この操作部材25は、外装体の表面に露出されるロック解除操作部26を備え、その内面に、後述するロック部材35をロック解除方向に回転させるための押圧部27が設けられている。この操作部材25は、図示しないキックバネによって上向きに付勢されている。また、上板24の背部には、排気通路の出口を構成する蒸気口ユニット28が着脱可能に配設されている。
【0024】
図3および図4に示すように、下板29は、肩体14の上側の凹状の窪み形状と対応する形状をなす。この下板29の上面には、金属製の補強板30が配設されている。下板29の背部には、肩体14のヒンジ受部に軸によって回動可能に軸着されるヒンジ接続部31が設けられている。また、下板29の背部には、蒸気口ユニット28の下部に位置するように、該蒸気口ユニット28を着脱可能に接続する被接続部32が設けられている。さらに、図1および図2に示すように、下板29の底には、金属製のヒータカバー33を介して第3加熱手段である蓋ヒータ34が配設されている。
【0025】
この下板29の前部には、図3および図4に示すように、ロック部材35が回動可能に取り付けられている。このロック部材35は、蓋体23を本体11に対して閉塞した状態に維持するためのもので、金属板を屈曲加工することにより形成されている。このロック部材35には、その両側面に下板29に対して軸着するための軸部36が設けられている。また、ロック部材35の下端縁両側には、肩体14の係合受部16に着脱可能に係合し、肩体14の樹脂壁を挟んで内鍋10のフランジ部に係止する一対の係合爪部37がL字形状をなすように設けられている。さらに、ロック部材35には、上端中央に背面(ヒンジ接続部31)側上向きに傾斜して延び、操作部材25の押圧部27が当接する受部38が設けられている。なお、このロック部材35は、図示しない付勢手段であるキックバネによって図1に示す係合位置に付勢されている。
【0026】
また、下板29には、内蓋60に配設された調圧弁64を収容する第1収容部39が設けられている。この第1収容部39は、図1および図5に示すように、上下端を開口した筒状のもので、その上端開口には第1パッキン40が配設され、下端開口にはヒータカバー33との間をシールする第1シール部材41が配設されている。また、図3および図4に示すように、この第1収容部39の横には、内蓋60に配設されたリリーフ弁86を収容する第2収容部42が設けられている。この第2収容部42は、図2に示すように、下端開口のドーム形状のもので、その側壁前部には駆動用開口部が設けられ、この駆動用開口部が第2パッキン43により閉塞されている。また、第2収容部42の下端開口には、ヒータカバー33との間をシールする第2シール部材44が配設されている。
【0027】
そして、図3および図4に示すように、下板29には、第1収容部39の背面側に調圧弁64の駆動手段であるステッピングモータ45が配設されている。このステッピングモータ45には、その出力軸に駆動歯車46が配設されている。また、このステッピングモータ45の正面側には、その駆動力を調圧弁64に伝える押下部材47が回動可能に配設されている。この押下部材47は、図5に示すように、駆動歯車46と噛み合う歯車部48を備えている。また、軸着部49を挟んで歯車部48の反対側には、第1収容部39の第1パッキン40上にかけて延びる作動部50が設けられている。なお、第1パッキン40の中心には、樹脂製の受部材51が配設され、この受部材51を介して作動部50が調圧弁64を押し下げるように構成している。
【0028】
また、図3および図4に示すように、下板29には、第2収容部42の正面側にリリーフ弁86の駆動手段であるソレノイド52が配設されている。このソレノイド52は、2ポジションソレノイドであり、通電の有無により進退するロッドを備えている。このソレノイド52は、通電によりロッドが図中左向きに後退する一方、通電が遮断されることによりスプリングの付勢力で図1中右向きに進出するように構成されている。そして、ソレノイド52のロッドの先端には、第2パッキン43を介して第2収容部42内に位置するリリーフ弁86の球状部材90を押圧する押圧部材53が配設されている。この押圧部材53には、ソレノイド52の駆動力を利用して蓋体23を開放不可能にロックする移動部材54が配設されている。この移動部材54は、矩形状の枠体からなり、ロッドが後退することにより押圧部材53を介してロック部材35の側に移動する一方、ロッドが進出することによりロック部材35から離反するように移動する。この移動部材54におけるロック部材35の側の端部は、ロック部材35の移動領域に進退可能なロック部55を構成する。このロック部55は、図12(A)に示すように、ロック部材35の係合爪部37が本体11の係合受部16に正常な係合代で係合している状態では、ロック部材35の受部38の下部に進入したロック位置まで移動可能である。また、図12(B)に示すように、係合爪部37と係合受部16との係合代が不足した異常係合状態では、ロック部材35の受部38に当接することにより、受部38の下部に進入できないハーフロック位置で停止する。
【0029】
さらに、下板29には、図1、図3および図4に示すように、第1収容部39の正面側に内鍋10内の圧力を検出する圧力検出手段である差圧式の圧力センサ56が配設されている。この圧力センサ56は、下板29に設けた連通部57を介して内鍋10内と連通する。なお、この連通部57の下端開口には、内蓋60との間をシールする第3シール部材58が配設されている。また、下板29には、第2の鍋温度検出手段である蓋体用温度センサ59(図13(A)参照)が配設されている。
【0030】
内蓋60は、図1および図6に示すように、ヒータカバー33の下部に着脱可能に配設されるもので、金属製の内蓋本体61と蓋パッキン62とを備えている。蓋パッキン62は、内鍋10の上端開口の内周壁に密着してシールするもので、外周部に樹脂枠63を配設することにより、内蓋本体61に対して離脱不可能に装着されている。この内蓋60の内蓋本体61には、第1収容部39内に配置される調圧弁64と、下板29の第2収容部42内に配置されるリリーフ弁86とが一体的に配設されている。
【0031】
調圧弁64は、図5および図7に示すように、第1弁座65と、弁体71と、弁体71を下向きに付勢する加圧用付勢機構と、弁体71を囲繞する第1カバー79と、弁体71を上向きに付勢する開放用付勢部材85とを備えている。そして、ステッピングモータ45の駆動により、弁体71を開放用付勢部材85の付勢力に抗して開放位置から閉塞位置に移動されると、内鍋10内と外部とを遮断して内鍋10内を大気圧より高い圧力に加圧可能とするものである。
【0032】
第1弁座65は、内蓋本体61に対して内鍋10内に位置する下面側に配設されるもので、その中心には排気通路の一部(第1の入口)となる第1通気孔66が設けられている。この第1通気孔66の周囲には、円筒状に突出する装着部67が設けられている。この装着部67は、内蓋本体61を貫通して第1カバー79に係止する係止爪68を備えている。この係止爪68の下部外周には、シール部材69を配設するための凹溝が設けられている。また、装着部67の内周部には、開放用付勢部材85を位置決めする位置決め段部70が設けられている。
【0033】
弁体71は、第1通気孔66を閉塞するもので逆円錐形状のものである。この弁体71は、開放用付勢部材85の付勢力により、図5(A)に示すように、第1弁座65の第1通気孔66から離反した開放位置に移動される。また、ステッピングモータ45の駆動により、図5(B),(C)に示すように、押下部材47、受部材加圧用付勢機構を介して第1弁座65の第1通気孔66に圧接した閉塞位置に軸方向に沿って移動される。この弁体71には、軸方向に沿って延びる係着軸72が設けられ、この係着軸72の上端に係止部73が設けられている。また、弁体71の上面には、該弁体71を下向きに付勢するための加圧用付勢部材78を位置決めするための位置決め凸部74が周方向に所定間隔をもって設けられている。
【0034】
加圧用付勢機構は、ステッピングモータ45の駆動により押下部材47を介して弁体71を下向きに移動させるもので、作動受部材75と加圧用付勢部材78とを備えている。作動受部材75は、略円錐筒状をなし、その内部には弁体71の係着軸72を相対的に移動可能に係着する円筒状の係着部76が設けられている。また、作動受部材75の下側外周部には、上方向の移動を停止するためのストッパ片77が突設されている。加圧用付勢部材78は、作動受部材75の係着部76と弁体71の係着軸72の外周部に位置するように配設され、弁体71を作動受部材75に対して所定の付勢力で下向きに付勢することにより、その付勢力で第1通気孔66を閉塞するものである。
【0035】
第1カバー79は、第1弁座65の上部を囲繞するように、弁体71より大きい内径の円錐筒状をなす。この第1カバー79の上端には、ストッパ片77の外径より小さい内径をなすように縮径部80が設けられている。また、第1カバー79の下端には、第1弁座65の係止爪68を係止する係止フランジ部81が設けられている。この係止フランジ部81の上部には、係止爪68と対応する係止孔が設けられている。また、係止フランジ部81の上部には、係止孔間に位置するように、周方向に所定間隔をもって異物除去用の清浄用孔82が設けられている。そして、本実施形態では、この清浄用孔82の形成位置に、係止フランジ部81を分断するスリット83が設けられている。そして、この係止フランジ部81の内径より小さい内径をなすC字ワッシャ84を第1カバー79の外周部に嵌合することにより、第1弁座65を介して内蓋本体61に対して離脱不可能に装着する構成としている。
【0036】
開放用付勢部材85は、第1弁座65の位置決め段部70と作動受部材75のストッパ片77との間に配設される。この開放用付勢部材85は、ステッピングモータ45の駆動により、押下部材47、受部材を介して作動受部材75が下向きに移動されることにより、弾性的に収縮される。また、ステッピングモータ45による作動受部材75の移動(押圧)が解除されることにより、作動受部材75を上向きに移動させることにより、該作動受部材75を介して弁体71を閉塞位置から開放位置へ移動させる。
【0037】
このように構成した調圧弁64は、ステッピングモータ45の駆動により弁体71が開放位置に移動されると、第1通気孔66を介して内鍋10内を大気圧と平衡させる。即ち、第1通気孔66は、内鍋10の内圧が大気圧と同等になるように排気可能な開口面積を有する。また、ステッピングモータ45の駆動により、内鍋10内を1.20atmまで加圧することが可能である。即ち、加圧用付勢部材78は、内鍋10内が1.20atmを越える圧力になると、蒸気の圧力で弁体71を介して収縮し、排気通路から圧力を逃がすことが可能なバネ力とされている。因みに、この調圧弁64による加圧可能な圧力は、ステッピングモータ45の駆動により押下部材47を介して作動受部材75を下向きに移動させる移動量を調節することにより、1.00〜1.20atmの範囲で変更可能である。
【0038】
リリーフ弁86は、図2および図6に示すように、第2弁座87と、球状部材90と、第2カバー91とを備えている。そして、ソレノイド52の駆動により、押圧部材53が進出されると、内鍋10内と外部とを遮断して内鍋10内を大気圧より高い圧力に加圧可能とするものである。
【0039】
第2弁座87は、第1弁座65と同様に、内蓋本体61に対して内鍋10内に位置する下面側に配設されるものである。この第2弁座87には、上端を閉塞した台形筒状をなし、内鍋本体を貫通して第2カバー91に係止する第2装着部88が設けられている。この第2装着部88の平坦な上端閉塞面中央には、排気通路の一部(第2の入口)となる第2通気孔89が設けられている。この第2通気孔89は、内鍋10内が沸騰状態で、該内鍋10の内圧が大気圧と同等になるように排気可能な開口面積を有する。
【0040】
球状部材90は、第2通気孔89を閉塞することにより、内鍋10内の空気を外部に排気するのを防止して、内鍋10内を加圧可能とする。また、押圧部材53により押圧されて第2通気孔89上から離反されると、内鍋10の内圧を大気圧に戻す(平衡)ものである。この球状部材90は、内鍋10内の圧力が1.30atmに昇圧すると、その蒸気の圧力で第2通気孔89上から離反するように転動する重量のものを使用している。
【0041】
第2カバー91は、球状部材90を収容した状態で第2弁座87の第2装着部88に組み付けることにより、第2弁座87を介して内蓋本体61に対して離脱不可能に装着するものである。この第2カバー91には、第2収容部42の第2パッキン43に対応し、ソレノイド52の押圧部材53を進退可能に挿通する挿通孔92が設けられている。
【0042】
なお、内蓋60を装着した蓋体23は、調圧弁64およびリリーフ弁86の内部、これらと収容部39,42との隙間から、内蓋本体61とヒータカバー33との隙間、および、蒸気口ユニット28内を経た経路が、内鍋10内と外部とを連通させる排気通路を構成する。
【0043】
また、本実施形態の蓋体23には、蓋体23の開閉状態を検出する蓋状態検出手段として、揺動部材98を配設し、この揺動部材98の可動位置を非接触式センサであるフォトインタラプタ104によって検出する構成としている。また、本実施形態では、この揺動部材98を揺動可能な状態で配設する保持部93を移動部材54に設けることにより、1個のフォトインタラプタ104で、ロック部材35の係合爪部37と本体11の係合受部16との係合状態を更に検出できるように構成している。
【0044】
保持部93は、図4および図9に示すように、移動部材54の側部に突設されており、一対の支持壁94A,94Bを備えている。これら支持壁94A,94Bの上部には第1装着孔95が設けられ、これらに別体のピン96を貫通させることにより、揺動部材98を揺動可能に装着する。また、支持壁94A,94Bには、第1装着孔95の上部に揺動部材98の回動を停止するストッパ部97が架設されている。
【0045】
揺動部材98は、ストッパ部97に対して所定間隔をもって下側に位置して延びる棒状の検知部99を備えている。この検知部99の先端には、移動部材54がロック部材35の受部38の下部に進入したロック位置で、フォトインタラプタ104の発光部105と受光部106との対向空間内の検出領域を除く位置に突出する突出部100が設けられている(図10(B)参照)。また、揺動部材98には、下向きに突出する釣合部101が設けられ、この釣合部101の上部に第1装着孔95に対応する第2装着孔102が設けられている。この釣合部101の下端には、別体の錘103が配設され、検知部99が水平方向に延びた状態で釣り合うように構成している。そして、この揺動部材98は、検知部99がストッパ部97に当接した状態で、検知部99がフォトインタラプタ104の対向空間内の検出領域を除く位置に一部が進入した状態を維持するように構成している(図10(C)参照)。
【0046】
フォトインタラプタ104は、揺動部材98の検知部99の近接および離反を非接触状態で検出するもので、発光素子を配設した発光部105と、受光素子を配設した受光部106とを備えている。これら発光部105と受光部106とは、略U字形状をなすガイド枠の対向壁部内に配設されている。このガイド枠は、対向空間内に揺動部材98を移動可能にガイドするものである。そのため、この対向空間は、その中の一部が検出領域を構成する。このフォトインタラプタ104は、検出領域に遮蔽物である検知部99が存在しない状態では、発光素子の光を受光素子が受光可能であり、検出領域に検知部99が進入した状態では、発光素子の光を受光素子が受光できない。そして、検知部99の検出状態を意味する受光状態または非受光状態を、所定の信号としてマイコン109に出力する。
【0047】
このフォトインタラプタ104は検出基板107に実装され、揺動部材98の検知部99と対応する高さに設置されている。ここで、受光部106の実質的な検出部は、対向面に設けた露出孔106aの内部に位置する。そのため、この露出孔106aの軸方向の同一形状領域が、検出領域を構成する。この露出孔106aは、図10(B)に示すように、移動部材54がロック位置にある状態で、揺動部材98の突出部100の上方に位置され、この突出部100では発光部105からの受光路を遮断しないように構成している。また、露出孔106aは、図10(C)に示すように、検知部99がストッパ部97に当接した第2可動位置で、検知部99の下端より下側に位置され、この第2可動位置で検知部99により受光路を遮断しない構成している。即ち、このフォトインタラプタ104は、蓋体23が閉じている状態で、かつ、移動部材54がアンロック位置およびハーフロック位置に移動した状態では、検知部99で受光路を遮断し、移動部材54がロック位置に移動した状態では突出部100が受光路下に位置し、検知部99で受光路を遮断しない位置に設置されている。なお、移動部材54がアンロック位置からハーフロック位置までの移動距離(間隔)をL1、アンロック位置からロック位置までの移動距離をL2とすると、これらはL1<L2である。そのため、その移動距離L1以下の領域が、フォトインタラプタ104の非検出領域となるように設置する。即ち、非検出領域とは、検知部99が受光路を遮断している状態になっているため、フォトインタラプタ104の受光部106が、発光部105の発光素子からの光を受光できない領域を意味する。これにより、移動部材54を介して揺動部材98が距離L1を越えて移動すると、検知部99が非検出領域から逸脱し、その状態を検出できるように構成している。
【0048】
この炊飯器には、肩体14の正面上部に、ユーザが炊飯条件を入力するためのスイッチと、その選択状態や動作状態を表示する液晶表示板とを有する操作パネル108が配設されている。また、外装体と保護枠18との間には制御基板(図示せず)が配設されている。そして、この炊飯器は、図13(A)に示すように、制御基板に実装した制御手段であるマイコン109により、予め設定したプログラムに従って制御が実行される。
【0049】
本実施形態では、操作パネル108に配設した炊飯スイッチの操作を検出すると、液晶表示板によって設定された炊飯条件に基づいて、炊飯プログラムに従って、飯米の予熱、昇温(中ぱっぱ)、沸騰維持、2度炊き、および、むらしの各工程からなる炊飯処理を実行した後、引き続いて、炊き上げた米飯を所定温度に保温する第1保温処理を実行する。また、予約を含む炊飯処理および第1保温処理も何ら実行していない待機モードで、操作パネル108の保温スイッチが操作されると、第1保温処理とは異なる第2保温処理を実行する。
【0050】
炊飯処理では、炊飯スイッチの受付直後、および、昇温工程の開始時に、ソレノイド52の駆動を伴って、フォトインタラプタ104からの信号に基づいて、蓋体23の開閉状態を検出(判断)した後、本体11の係合受部16およびロック部材35の係合爪部37の係合状態を検出(判断)する蓋状態検査工程を実行する。そして、蓋体23が閉塞状態であると判断し、かつ、係合受部16および係合爪部37が正常係合状態であると判断した場合には、炊飯処理を実行(続行)する。一方、蓋体23が開放状態であると判断した場合、および、係合受部16および係合爪部37が異常係合状態であると判断した場合には、ソレノイド52への通電を停止し、移動部材54をアンロック作動させて炊飯処理を停止する。
【0051】
また、炊飯処理では、マイコン109は誘導加熱コイル19、胴ヒータ21および蓋ヒータ34による加熱制御手段、そして、調圧弁64およびリリーフ弁86の弁制御手段の役割をなす。これら制御手段としてのマイコン109は、特に沸騰維持工程において、内鍋10内が設定された複数種の圧力をそれぞれ維持するように、温度センサ22,59および圧力センサ56の検出値に基づいて誘導加熱コイル19を制御するとともに、ステッピングモータ45を介して調圧弁64を制御する。具体的には、ソレノイド52に通電することによりリリーフ弁86の球状部材90を第2通気孔89上に転動させ、第2通気孔89を閉塞する。また、ステッピングモータ45を動作させることにより、弁体71を開放位置から閉塞位置に移動させ、第1通気孔66を閉塞する。これにより、内鍋10内が外部と遮断され、内鍋10内を加熱による蒸気で大気圧より高い圧力に加圧可能とする。なお、本実施形態では、調圧弁64の弁体71を第1通気孔66から離反した開放位置まで移動可能に構成している。一方、この圧力炊飯器では、リリーフ弁86を閉塞位置に移動している状態で、例えばリリーフ弁86の第2通気孔89に「おねば」が付着している等の意図しない原因で、内鍋10内が目標圧力より高い圧力に昇圧する場合がある。そこで、本実施形態では、圧力センサ56の検出値から過剰な加圧状態を検出した場合、弁体71を第1通気孔66に対して所定の隙間(0.5mm)をもって位置させる構成としている(図5(B)参照)。この所定の隙間をもって位置する状態は、弁体71を開放位置(図5(A)参照)とした状態での第1通気孔66を流動可能な流量をRとすると、弁体71が内部(近傍)に位置することによる排気抵抗により流量がR未満となる位置である。なお、過剰な圧力状態を検出することなく、予め閉塞状態の設定を所定の隙間をもった位置としてもよい。
【0052】
一方、第1保温処理では、マイコン109は、炊飯処理と同様に加熱制御手段の役割をなし、内鍋用温度センサ22の検出値に基づいて操作パネル108にてユーザが設定した温調設定温度になるように米飯を保温する。なお、本実施形態では、炊飯可能容量を2以上に区画(例えば満量、中量、少量の3区画)し、各容量区画毎に温調する温調設定温度(内鍋用温度センサ22の設定温度)が異なるように構成している。
【0053】
また、第1保温処理では、マイコン109は弁制御手段の役割をなし、リリーフ弁86は、ソレノイド52への通電を遮断することにより、球状部材90を第2通気孔89から離反させた開放状態を維持する。さらに、マイコン109は、フォトインタラプタ104からの信号に基づいて、蓋体23の開閉を検出(監視)する。そして、蓋体23の開放を検出すると、ステッピングモータ45を駆動することにより調圧弁64の開動作させ、調圧弁64の弁体71の押圧状態を解除することにより、該弁体71を開放用付勢部材85の付勢力で開放位置へ移動させる。これにより、排気通路の入口である第1通気孔66を開放状態とし、第2通気孔89とで排気通路の開口面積を増大させる。一方、蓋体23の閉塞を検出すると、ステッピングモータ45を駆動することにより調圧弁64を閉動作させ、調圧弁64の弁体71を開放用付勢部材85の付勢力に抗して開放位置から閉塞位置へ移動させる。これにより、第1通気孔66を閉塞状態とし、排気通路の開口面積を少なくする。
【0054】
そして、本実施形態では、第1保温処理での調圧弁64の開閉作動は、内鍋用温度センサ22による検出温度が予め設定した設定温度より高い場合には、調圧弁64の弁体71を開放位置に移動させた状態を維持し、検出温度が設定温度まで低下した場合には、前述のように、蓋体23の開閉に応じて調圧弁64も開閉する構成としている。なお、本実施形態では、設定温度をユーザが設定した温調設定温度としているが、この設定温度は温調設定温度以上の温度で希望に応じて変更が可能である。また、本実施形態では、蓋体23の閉塞を検出すると調圧弁64を閉塞位置に移動させる構成とているが、弁体71が第1通気孔66に対して所定の隙間をもって位置するまで移動させる構成としてもよい。この所定の隙間をもって位置する移動状態は、前記と同様に図5(B)に示す状態である。
【0055】
次に、マイコン109による蓋体23の開閉状態判断、および、係合受部16と係合爪部37の係合状態判断を含む、蓋状態検査工程について説明する。
【0056】
この蓋状態検査工程では、マイコン109は、ソレノイド52に対して通電を遮断したアンロック作動状態で、フォトインタラプタ104の信号に基づいて蓋体23の開閉状態を判断する。また、マイコン109は、ソレノイド52に対して通電を行ったロック作動状態で、フォトインタラプタ104の信号に基づいて係合受部16と係合爪部37の係合状態を判断する。
【0057】
具体的には、本体11に対して蓋体23を略水平方向に位置するように閉塞し、ソレノイド52を介して移動部材54をアンロック位置に移動させている状態では、揺動部材98は図8および図10(A)に示す状態をなす。この状態では、第1可動位置にある揺動部材98の検知部99がフォトインタラプタ104の検出領域に進入しているため、該フォトインタラプタ104はオフしている。そのため、マイコン109は、図13(B)に示すように、ソレノイド52を駆動していないオフ状態で、フォトインタラプタ104がオフしている状態を検出することにより、蓋体23を閉塞した状態を判断できる。
【0058】
また、ユーザが本体11に対して蓋体23の開放操作を行うと、蓋体23は、図11(A)に示す傾斜した状態を経て、図11(B)に示す略上向きに延びる位置まで回動する。そして、揺動部材98が保持部93のストッパ部97に当接するまでは、図11(A)に示すように、揺動部材98の検知部99は、水平方向に延びた状態を維持する。また、蓋体23の開放状態では、図10(C)および図11(B)に示すように、揺動部材98の検知部99がフォトインタラプタ104の検出領域から離反し、該フォトインタラプタ104はオン信号を出力する。そのため、マイコン109は、図13(B)に示すように、ソレノイド52を駆動していないオフ状態で、フォトインタラプタ104がオン信号を出力している状態を検出することにより、蓋体23を開放した状態を判断できる。
【0059】
さらに、本体11に対して蓋体23を閉塞し、係合爪部37と係合受部16とが正常係合状態である場合に、ソレノイド52をロック作動させると、移動部材54を介して揺動部材98は図10(B)および図12(A)に示す状態に位置する。この状態では、揺動部材98の検知部99がフォトインタラプタ104の検出領域から離反しているため、該フォトインタラプタ104はオン信号を出力する。そのため、マイコン109は、図13(B)に示すように、ソレノイド52を駆動しているオン状態で、フォトインタラプタ104がオン信号を出力している状態を検出することにより、係合爪部37と係合受部16とが正常係合状態であることを判断できる。
【0060】
そして、本体11に対して蓋体23を閉塞し、係合爪部37と係合受部16とが異常係合状態である場合に、ソレノイド52をロック作動させると、移動部材54を介して揺動部材98は図10(D)および図12(B)に示す状態に位置する。この状態では、揺動部材98の検知部99がフォトインタラプタ104の検出領域に進入している(検出領域から離脱した状態でない)ため、該フォトインタラプタ104はオフしている。そのため、マイコン109は、図13(B)に示すように、ソレノイド52を駆動しているオン状態で、フォトインタラプタ104がオフしている状態を検出することにより、係合爪部37と係合受部16とが異常係合状態であることを検出できる。
【0061】
このように、本実施形態の炊飯器は、1個のセンサ104で、蓋体23の開閉状態、および、係合爪部37と係合受部16との係合状態を判断できる。そのため、製品コストの増大を抑制できるとともに、大型化を防止できる。しかも、揺動部材98を配設する移動部材54は、リリーフ弁86を開閉作動させるソレノイド52を駆動手段として兼用しているため、部品点数の削減を図り、コストダウンを図ることができる。
【0062】
次に、マイコン109による制御について具体的に説明する。
【0063】
まず、ユーザが炊飯器を購入した状態では、マイコン109は、一次電池(図示せず)による3Vの電圧によるバックアップモードで動作している。この状態で、電源コードの接続により商用電源が投入されると、電源回路を介してゼロクロスパルスが入力されることにより、商用電源からの電圧で動作を開始する。そして、操作パネル108のスイッチが操作されるまで待機し、いずれかの操作を検出すると、その入力処理を実行する。
【0064】
そして、炊飯スイッチの操作を検出すると、マイコン109は、図14に示すように、まず、ステップS1で、第1蓋状態検査工程を実行する。この第1蓋状態検査工程は、前述のように、ソレノイド52への通電を遮断したアンロック作動状態で、フォトインタラプタ104からの信号により蓋体23の開閉状態を判断する。そして、蓋体23が開放状態であると判断した場合には、炊飯処理を終了するためのフラグを立て、蓋体23が閉塞状態であると判断した場合には、係合受部16と係合爪部37の係合状態を判断する。この係合状態判断は、ソレノイド52への通電(オン)を行ったロック作動状態として、フォトインタラプタ104からの信号により係合受部16と係合爪部37との係合状態を判断する。そして、異常係合状態であると判断した場合には、炊飯処理を終了するためのフラグを立て、正常係合状態であると判断した場合には、炊飯処理を継続するためのフラグを立てる。
【0065】
第1蓋状態検査工程が完了すると、ステップS2で、蓋体23の状態が正常であるか否かをフラグにより判断する。そして、蓋体23が閉塞され、かつ、係合受部16と係合爪部37とが正常係合状態である場合には、ステップS3に進む。また、蓋体23が開放されている場合、または、係合受部16と係合爪部37とが異常係合状態である場合には、ステップS11に進む。
【0066】
ステップS3では、誘導加熱コイル19に通電を開始し、内鍋10の温度が約50℃程度となるように温度調節して加熱する予熱工程を実行する。なお、この状態では、調圧弁64およびリリーフ弁86は開放状態とされる。
【0067】
そして、予め設定した時間が経過することにより予熱工程が終了すると、ステップS4で、第2蓋状態検査工程を実行する。この第2蓋状態検査工程は、第1蓋状態検査工程と略同一であり、蓋状態が正常であると判断した場合、即ち、蓋体23が閉塞され、正常係合状態である場合には、ソレノイド52への通電を遮断することなくステップS5に進み、蓋状態が異常であると判断した場合、即ち、蓋体23が開放され、または、異常係合状態である場合には、ソレノイド52への通電を遮断してステップS5に進む点でのみ、相違する。
【0068】
ステップS5では、フラグにより蓋状態が正常である場合にはステップS6,7に進み、蓋状態が異常である場合にはステップS11に進む。
【0069】
ステップS6,7では、昇温工程と容量判別工程とを並行処理する。ステップS6の昇温工程では、ステッピングモータ45の駆動により調圧弁64の弁体71が第1通気孔66を閉塞している。また、ソレノイド52が通電状態を維持され、球状部材90が第2通気孔89を閉塞している。この状態で、誘導加熱コイル19に対して100%(フルパワー)の電力で通電し、内鍋10内の飯米を含む水を沸騰させる。その結果、内鍋10内は徐々に昇圧し、大気圧より高い圧力状態となる。ステップS7の容量判別工程は、加熱中の内鍋10の温度の上昇勾配により、内鍋10内に収容された炊飯容量を判別する。
【0070】
昇温工程が終了すると、ステップS8で、蓋体用温度センサ59および圧力センサ56の入力値に基づいて誘導加熱コイル19および調圧弁64を制御して沸騰維持工程を実行する。なお、調圧弁64の制御は、弁体71が加圧用付勢部材78を介して第1通気孔66を閉塞する力を調節することによる調圧、および、弁体71を第1通気孔66から離反させることによる調圧の両方を含む。そして、判別した炊飯容量に基づいて予め設定した時間が経過することにより沸騰維持工程が終了すると、ステップS9で、誘導加熱コイル19に対する通電量を上げて炊き上げ工程を実行する。
【0071】
炊き上げ工程で、検出温度に基づいて内鍋10内のドライアップを検出すると、ステップS10でむらし工程を実行する。このむらし工程では、ステッピングモータ45の駆動により調圧弁64の弁体71を開放位置に移動させ、第1通気孔66を開放する。また、ソレノイド52への通電を遮断することにより球状部材90を転動させ、第2通気孔89を開放する。これにより、内鍋10内への圧力投入を解除する。そして、胴ヒータ21および蓋ヒータ34に通電を開始する一方、誘導加熱コイル19への通電は遮断する。
【0072】
予め設定した時間が経過することにより、むらし工程が終了すると炊飯処理を終了し、引き続いて第1保温処理に移行する。
【0073】
一方、第1および第2蓋状態検査工程にて、蓋体23の状態が異常であると判断した場合には、ステップS11で、炊飯処理の終了処理を実行した後、ステップS12で、圧電ブザーまたは液晶表示板によりユーザへ知らせる報知処理を実行する。
【0074】
次に、この炊飯処理に引き続いて実行する第1保温処理について説明する。なお、第2保温処理は、内鍋10内の保温量(炊飯容量)が分からないため、容量区画毎に異なる温調設定温度の中間温度で温調する点でのみ、第1保温処理と相違する。
【0075】
本実施形態の第1保温処理は、図15(A)に示すように、操作パネル108のとりけしスイッチが操作されるまで、ステップS23の温調工程とステップS24弁制御工程を実行するものである。
【0076】
具体的には、マイコン109は、まず、ステップS20で、保温量ランクを読み込む。この保温量ランクは、保温処理に移行した直後は、炊飯処理で判別した炊飯容量に基づいて、予め設定した温調設定温度に決定される。なお、この状態では、ステップS10により、調圧弁64およびリリーフ弁86の各通気孔66,89は、それぞれ開放状態となっている。
【0077】
ついで、ステップS21で、内鍋用温度センサ22の検出温度が設定した温調設定温度に降温するまで待機する。そして、温調設定温度まで降温すると、ステップS22で、ステッピングモータ45を駆動させ、調圧弁64の弁体71で第1通気孔66を閉塞する。
【0078】
その後、ステップS23の温調工程と、ステップS24〜S26の弁制御工程とを並行処理する。ステップS23の温調工程は、設定されたセンサ温度をしきい値として、誘導加熱コイル19、胴ヒータ21および蓋ヒータ34をオンオフ制御することにより、その温調設定温度になるように加熱制御するものである。弁制御工程では、まず、ステップS24で、フォトインタラプタ104の信号により蓋体23が開放されたか否かを検出する。そして、蓋体23の開放を検出した場合にはステップS25に進み、ステッピングモータ45を駆動させ、弁体71を開放位置に移動させることにより第1通気孔66を開放させる。また、既に開放されている場合には、その開放状態を維持する。一方、フォトインタラプタ104の信号により蓋体23の開放を検出できない場合、即ち、蓋体23が閉塞されている場合にはステップS26に進み、ステッピングモータ45を駆動させ、弁体71を閉塞位置に移動させることにより第1通気孔66を閉塞させる。また、既に閉塞されている場合には、その閉塞状態を維持する。
【0079】
ステップS23の温調工程およびステップS24〜S26の弁制御工程が終了すると、ステップS27で、操作パネル108のとりけしスイッチが操作されたか否かを検出する。そして、とりけしスイッチの操作を検出しない場合にはステップS23,S24に戻り、温調工程および弁制御工程を繰り返し実行する。また、とりけしスイッチの操作を検出した場合には、誘導加熱コイル19、胴ヒータ21および蓋ヒータ34による加熱を停止してステップS28に進み、ステッピングモータ45の駆動により調圧弁64の弁体71を開放位置に移動させ、第1通気孔66を開放状態として待機モードへ移行する。
【0080】
このように、本発明の圧力炊飯器は、保温処理中に、蓋体23の開放を検出すると調圧弁64を開放位置に移動させ、第1通気孔66を開放状態とするため、排気通路の開口面積を増大できる。その結果、蓋体23を閉塞する際に必要な力を低減できる。また、調圧弁64は、蓋体23が開放すると開放され、蓋体23が閉塞されると閉塞するため、調圧弁64内に溜まった「おねば」を含む結露水は、蓋体23の傾斜に沿って排気通路内を流動する。その結果、内鍋10内への滴下を防止できるため、米飯の白化(変質)を防止できるとともに、衛生を確保できる。さらに、調圧弁64は、蓋体23の閉塞を検出すると弁体71が開放位置から閉塞位置へ向けて移動され、その状態が維持されるため、内鍋10内の温度および蒸気が必要以上に放出されることを防止できる。その結果、米飯の乾燥を防ぎ、良好な保温状態を維持できるとともに、無駄な電力消費を防止できる。
【0081】
また、この圧力炊飯器は、第2の圧力投入手段としてリリーフ弁86を備え、このリリーフ弁86は保温処理中には第2通気孔89を開放した状態とされるため、この保温処理中にユーザが蓋体23の開放操作をすると、迅速に蓋体23を開放させることができる。しかも、調圧弁64は、炊飯処理にて炊き上げた米飯が設定温度まで低下するまでは、弁体71が開放位置に移動され、第1通気孔66を開放状態とするため、炊き上げた高温の米飯を迅速に降温させることができるとともに、不要な蒸気を放出させることができる。その結果、炊飯鍋10内での結露を防止できるとともに、米飯の変質(黄変)を抑制できるため、保温性能を向上できる。
【0082】
さらに、調圧弁64は、操作パネル108の操作により第1保温処理が停止されると、弁体71を開放位置に移動させて第1通気孔66を開放状態とするため、この待機モードでの蓋体23の閉塞作業性も向上できる。しかも、本実施形態では、調圧弁64は、着脱可能な内蓋60に装着している。そして、調圧弁64は、内蓋60を取り外した状態ではステッピングモータ45による押し下げが解除されるため、開放状態となる。この際、ステッピングモータ45が調圧弁64を閉塞状態とする作動状態で停止する場合、内蓋60を装着する際に開放用付勢部材85の付勢力に抗して装着する必要がある。しかし、本実施形態では、第1および第2保温処理が停止されると、調圧弁64を開放状態とするため、そのような開放用付勢部材85の付勢力に抗して内蓋60を装着する必要はない。よって、内蓋60の装着作業性もよい。
【0083】
また、本実施形態では、調圧弁64に第1カバー79に異物除去用の清浄用孔82を設けているため、内部に混入した異物を清浄除去できる。即ち、本実施形態では、調理中または保温中に調圧弁64の弁体71を第1通気孔66に対して開閉可能とすることに伴い、第1通気孔66から内鍋10内の飯米の破片や「おねば」などの異物が混入する可能性が生じるが、異物が混入した場合にはその異物を内蓋60の清浄時に除去できる。その結果、異物混入に伴う調圧弁64の作動不良を防止できる。
【0084】
なお、本発明の圧力炊飯器および圧力炊飯器の保温時制御方法は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0085】
例えば、前記実施形態では、第1保温処理の実行中に操作パネル108のとりけしスイッチの操作を検出した場合には、直ぐに調圧弁64を開放位置に移動させて待機モードへ移行する構成としたが、所定時間が経過するまで閉塞状態を保持してもよい。たとえば、内鍋10(米飯)が予め設定した開放温度に降下するまで待機し、開放温度以下になると調圧弁64を開放状態としてもよい。即ち、図15のステップS28の代わりに、弁制御工程を実行する構成とした点で、前記実施形態と相違している。なお、開放温度は、内鍋10内の温度による蓋パッキン62および空気の膨張で蓋体23の閉塞を阻害しない温度、または、米飯が残っていないとみなせる温度であり、約40℃に設定されている。
【0086】
具体的には、図16に示すように、弁制御工程では、マイコンは、まず、ステップS30で、フォトインタラプタ104の信号により蓋体23が開放されたか否かを検出する。そして、蓋体23の開放を検出した場合にはステップS31に進み、ステッピングモータ45を駆動させ、弁体71を開放位置に移動させることにより第1通気孔66を開放させる。また、既に開放されている場合には、その開放状態を維持する。一方、フォトインタラプタ104の信号により蓋体23の開放を検出できない場合にはステップS32に進み、ステッピングモータ45を駆動させ、弁体71を閉塞位置に移動させることにより第1通気孔66を閉塞させる。また、既に閉塞されている場合には、その閉塞状態を維持する。
【0087】
その後、ステップS33で、内鍋用温度センサ22の検出温度が設定した開放温度以下になったか否かを判断する。そして、内鍋10の温度が開放温度より高い場合にはステップS30に戻り、蓋体23の開閉状態に応じた調圧弁64の開閉制御を継続する。また、内鍋10の温度が開放温度以下に低下した場合には、ステッピングモータ45の駆動により調圧弁64の弁体71を開放位置に移動させ、第1通気孔66を開放させて待機モードへ移行する。
【0088】
このように構成した圧力炊飯器は、前記実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。しかも、内鍋内に米飯が残っている状態で保温処理が停止された場合には、調圧弁64の閉塞により過剰な温度低下および乾燥を抑制できる。
【0089】
また、前記実施形態では、蓋体23の開閉を検出する蓋状態検出手段を揺動部材98とフォトインタラプタ104により構成したが、磁石とリードスイッチにより構成してもよく、マイクロスイッチにより構成してもよい。即ち、蓋体23の開放と閉塞を区別して検出できる構成であれば、いずれでも適用可能である。
【0090】
さらに、前記実施形態では、調圧弁64およびリリーフ弁86を着脱可能な内蓋60に配設し、排気通路の入口となるように構成したが、蓋体23の内部、即ち、排気通路の中間位置に設けてもよい。
【0091】
そして、本発明の調圧弁64およびその保温時制御方法を搭載可能な機器は圧力炊飯器に限られず、所定の食材を調理する調理器にも同様に適用可能であり、同様の作用および効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0092】
10…内鍋
11…本体
19…誘導加熱コイル(加熱手段)
21…胴ヒータ(加熱手段)
22…内鍋用温度センサ(鍋温度検出手段)
23…蓋体
34…蓋ヒータ(加熱手段)
45…ステッピングモータ(駆動手段)
47…押下部材
51…受部材
52…ソレノイド(駆動手段)
53…押圧部材
54…移動部材
56…圧力センサ(圧力検出手段)
59…蓋体用温度センサ(鍋温度検出手段)
60…内蓋
64…調圧弁
65…第1弁座
66…第1通気孔
71…弁体
75…作動受部材
78…加圧用付勢部材
79…第1カバー
82…清浄用孔
85…開放用付勢部材
86…リリーフ弁
87…第2弁座
89…第2通気孔
90…球状部材
91…第2カバー
98…揺動部材(蓋状態検出手段)
104…フォトインタラプタ(蓋状態検出手段)
109…マイコン(加熱制御手段、弁制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内鍋を収容する本体と、
前記内鍋内の調理物を加熱する加熱手段と、
前記本体に回動可能に取り付けられ前記内鍋の上端開口を閉塞する蓋体と、
前記蓋体内に設けられ前記内鍋内と外部とを連通する排気通路と、
前記排気通路中に設けられ、該排気通路の一部を構成する通気孔を有する弁座と、該弁座の通気孔に圧接した閉塞位置および通気孔から離反した開放位置にかけて移動可能な弁体と、該弁体を開放位置に向けて付勢する付勢部材とを有し、前記弁体で通気孔を閉塞することにより前記内鍋内と外部とを遮断して内鍋内を大気圧より高い圧力に加圧可能とする調圧弁と、
前記弁体を付勢部材の付勢力に抗して開放位置から閉塞位置に移動させる駆動手段と、
前記内鍋または内鍋内の温度を検出する鍋温度検出手段と、
前記蓋体の開閉状態を検出する蓋状態検出手段と、
前記鍋温度検出手段の検出値に基づいて前記加熱手段および調圧弁を制御して調理処理を実行し、続いて保温処理を実行する加熱制御手段と、
前記加熱制御手段による保温処理中に、前記蓋状態検出手段により蓋体の開放を検出すると前記調圧弁の弁体を開放位置に移動させ、前記蓋状態検出手段により蓋体の閉塞を検出すると前記調圧弁の弁体を開放位置から閉塞位置へ向けて移動させ、その状態を維持する弁制御手段と、
を備えることを特徴とする圧力調理器。
【請求項2】
前記蓋体の排気通路に、該排気通路の一部を構成する第2通気孔を有する第2弁座と、該第2弁座の第2通気孔を開閉する球状部材とを有し、前記球状部材で第2通気孔を閉塞することにより前記内鍋内を調圧弁より高い圧力に加圧可能なリリーフ弁と、
前記球状部材を第2通気孔上から離反させる第2駆動手段とを更に設け、
前記弁制御手段は、前記リリーフ弁の球状部材および前記調圧弁の弁体で各通気孔を閉塞することにより前記内鍋内と外部とを遮断して内鍋内を大気圧より高い圧力に加圧可能とするとともに、保温処理中には前記リリーフ弁の第2通気孔を開放状態に維持するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の圧力調理器。
【請求項3】
前記弁制御手段は、保温処理中に前記鍋温度検出手段による検出温度が予め設定した設定温度より高い場合には前記調圧弁の弁体を開放位置に移動させ、検出温度が設定温度まで低下した場合には前記調圧弁の弁体を開放位置から閉塞位置へ向けて移動させ、その状態を維持するようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧力調理器。
【請求項4】
前記弁制御手段は、操作パネルの操作により保温処理が停止されると、前記調圧弁の弁体を開放位置に移動させ、通気孔を開放状態とすることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の圧力調理器。
【請求項5】
前記弁制御手段は、前記操作パネルの操作を検出した後、前記鍋温度検出手段による検出温度が予め設定した開放温度より高い場合には前記蓋体の開閉に応じた調圧弁の開閉制御を継続し、開放温度以下に低下した場合には前記調圧弁の弁体を開放位置に移動させることを特徴とする請求項4に記載の圧力調理器。
【請求項6】
前記調圧弁は、前記蓋体に着脱可能に装着する内蓋に配設されるとともに、前記弁座の上部を囲繞するとともに前記弁体を移動可能に収容するカバーを備え、該カバーに異物除去用の清浄用孔を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の圧力調理器。
【請求項7】
加熱制御手段が鍋温度検出手段の検出値に基づいて加熱手段を制御することにより内鍋内の調理物を加熱して調理処理を実行した後、続いて前記内鍋内の調理物を加熱して保温処理を実行する圧力調理器の保温時制御方法であって、
保温処理中に前記内鍋の上端開口を閉塞する蓋体の開閉状態を蓋状態検出手段により監視し、
前記蓋状態検出手段によって蓋体の開放を検出すると、弁制御手段が調圧弁の駆動手段を動作させ、該調圧弁の弁体を閉塞位置に向けて移動させた押圧状態を解除することにより、該弁体を付勢部材の付勢力で開放位置へ移動させ、排気通路の一部を構成する通気孔を開放する一方、
前記蓋状態検出手段によって蓋体の閉塞を検出すると、前記弁制御手段が前記調圧弁の駆動手段を動作させ、該調圧弁の弁体を前記付勢部材の付勢力に抗して開放位置から閉塞位置へ向けて移動させ、その状態を維持する
ことを特徴とする圧力調理器の保温時制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−273711(P2010−273711A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126398(P2009−126398)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000002473)象印マホービン株式会社 (440)
【Fターム(参考)】