説明

圧密木炭およびその製造方法

【課題】形状の不定形さを抑制することができる圧密木炭およびその製造方法を提供する。
【解決手段】圧密木炭1の製造方法は、本体3を圧密加工するステップと、前記本体3を炭化処理するステップとを有する。炭化処理の際に前記本体3内に発生する熱分解ガスを外部へ排出する貫通穴2を形成するステップを、前記炭化処理するステップの前に有する。前記炭化処理の前に前記本体3を加熱前処理するステップを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧密木炭およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
木炭は炭化前後の体積減少率に対して重量減少率が大きく、原料である木材よりも低密度化するのに加え、炭化過程でひび割れや反り、ねじれなどの形状異常が生じることが多い。特に無垢材では、組織構造や年輪構造に起因して、木材の長手方向と幅方向とで変形量が異なる収縮異方性が反映され、寸法増加に伴い炭化後の形状の不定形さが増すことが報告されている。
【0003】
また、現状で、木炭の工業的な原料は、密度が高い広葉樹材で占められており、さらに、炭化後の形状の不定形さに関しては、材料強度や定形性が要求される利用分野が未だ発展途上のために注目度は低い。木炭の密度の低さと形状の不定形さは、単位体積当たりのエネルギー量や輸送・利用時の空間利用効率にとって負の要素となる。
【0004】
これに対し、近年、木炭の高密度化については、横圧縮加工した無垢材を原料とした取り組みが行われている(例えば、特許文献1)。また、原料には、資源量の豊富なスギ材が用いられ、スギ材の木炭利用の促進が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−283733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1では、圧密木炭の仕上がり密度や機械的性質において、未だ改善の余地がある。また、仕上がり密度の低下の要因のひとつとなる形状の不定形さの発生因子の解明や形状の不定形さを制御する手段についてはまだ検討されていない。
【0007】
そこで、本発明は、形状の不定形さを抑制することができる圧密木炭およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係る発明は、圧密加工された本体を炭化処理して形成された圧密木炭において、炭化処理の際に前記本体内に発生する熱分解ガスを外部へ排出する通路部を前記本体に設けたことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項2に係る発明は、前記通路部は、前記本体の厚さ方向に貫通する貫通穴であることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項3に係る発明は、前記通路部は、前記本体の表面に形成されたスリットであることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項4に係る発明は、本体を圧密加工するステップと、前記本体を炭化処理するステップとを有する圧密木炭の製造方法において、炭化処理の際に前記本体内に発生する熱分解ガスを外部へ排出する通路部を形成するステップを、前記炭化処理するステップの前に有することを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項5に係る発明は、前記炭化処理するステップの前に前記本体を加熱前処理するステップを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1および4によれば、通路部を通じて、壁孔に堆積した心材成分や熱分解ガスが外部へ放出され、これにより、本体内の圧力が低下し、形状安定性が向上するので、形状の不定形さを抑制することができる。
【0014】
本発明の請求項2によれば、通路部を貫通穴としたことにより、本体内に生成される熱分解ガスを効率的に外部へ放出することができる。
【0015】
本発明の請求項3によれば、通路部をスリットとしたことにより、繊維の連続性が低下するので、より効率的に熱分解ガスを外部へ放出することができる。
【0016】
本発明の請求項5によれば、過熱前処理を行うことにより、本体の軟化と本体内の蒸気圧による壁孔壁の破壊が生じ、熱分解ガスの材外部への排出が円滑化するので、より確実に形状の不定形さを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の圧密木炭の全体構成を示す斜視図である。
【図2】変形例に係る圧密木炭の全体構成を示す斜視図である。
【図3】実施例に係る試験体の構成を示す斜視図であり、(a)通路部なしの試験体、(b)貫通穴を設けた試験体、(c)スリットを設けた試験体を示す図である。
【図4】圧密木炭のLR面およびLT面の形状写真である。
【図5】辺材木炭の収縮率と炭化処理前の試験体長さとの関係を示すグラフである。
【図6】心材木炭の収縮率と炭化処理前の試験体長さとの関係を示すグラフであり、(a)R方向、(b)T方向の結果である。
【図7】L方向中央部と、端部のR方向収縮率の差と、圧縮率との関係を示すグラフであり、(a)辺材木炭、(b)心材木炭の結果である。
【図8】加熱前処理を行った心材木炭のR方向収縮率と炭化処理前の試験体長さとの関係を示すグラフである。
【図9】通路部を形成した圧縮率70%の心材木炭の形状写真である。
【図10】通路部を形成した心材木炭のR方向収縮率と貫通穴又はスリットのピッチとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施形態)
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0019】
図1に示すように、圧密木炭1は、通路部としての貫通穴2が設けられた木材からなる本体3を炭化処理して形成される。この貫通穴2は、本体3の炭化処理の際に発生する熱分解ガスを外部へ排出する導通路となる。本体3は、直方体に形成されると共に、圧密加工されている。
【0020】
本実施形態の場合、貫通穴2は、本体3の厚さ方向に複数穿設されている。本図においては、貫通穴2は、千鳥状に配置されている。また、貫通穴2は、ピッチ間隔が狭い方が、熱分解ガスを効率的に外部へ排出することができるので好ましい。このピッチ間隔は、10mm程度が好ましい。
【0021】
次に、圧密木炭1の製造方法について説明する。まず、本体3に圧密加工を施す。圧密加工は、金属製治具を用いてT方向への伸長を抑制して横圧縮して行った。本実施形態の場合、油圧式ホットプレスによってR方向に圧縮し、所定時間、所定温度で加熱して行う。なお、圧密木炭において、T方向とは接線方向(図中T)、R方向とは放射方向(図中R)、L方向とは繊維方向(図中L)をいう。
【0022】
次いで、自然冷却した本体3に対し、加熱前処理を行う。加熱前処理は、高温乾燥機によって所定時間、所定温度、加熱して行う。このとき、本体3は、酸素との接触を遮断するため、アルミ箔で被覆するのが好ましい。次いで、本体3に貫通穴2を複数、所定ピッチで形成する。
【0023】
このようにして貫通穴2が形成された本体3に対し、炭化処理を行う。炭化処理は、高温乾燥機で1昼夜乾燥後、アルミ箔(図示しない)で本体3を複層に被覆し、二つ割型管状炉を用いて大気雰囲気下で本体3を炭化する。昇温スケジュールは、特に限定されるものではないが、例えば、目標温度600℃、昇温速度2℃/分とし、目標温度到達後に3時間保持した後、自然冷却して行うこともできる。このようにして、本体3を炭化処理することにより圧密木炭1を得ることができる。
【0024】
本発明に係る圧密木炭1は、貫通穴2が複数形成されていることにより、炭化処理の際に当該貫通穴2を通じて、壁孔に堆積した心材成分や熱分解ガスが外部へ放出される。これにより、本体3内の圧力が低下し、形状安定性が向上する。したがって、圧密木炭1は、形状の不定形さを抑制することができる。
【0025】
また、上記実施形態では、通路部としての貫通穴2を複数設けた場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、図2に示すように、圧密木炭5は、本体3の表面に通路部としてのスリット6を複数設けることとしてもよい。このスリット6は、本体3のL方向に略直交する方向を長手方向としてそれぞれ形成されている。また、スリット6は、本体3の相対向する表面にそれぞれ互い違いとなるように形成されている。
【0026】
この場合、圧密木炭5は、L方向に略直交する方向にスリット6を形成したことにより、繊維の連続性が低下するので、より効率的に熱分解ガスを外部へ放出することができる。したがって、圧密木炭5は、より確実に形状の不定形さを抑制することができる。
(実施例)
次に、本発明の実施例について、説明する。
(供試材料)
供試材料として、48年生の秋田県産のスギ(Cryptomeria japonica D.Don)の心材および辺材を区別した無欠点板目材を用いた。供試材料の平均全乾密度は0.35 g/cm3、含水率は13%であった。鋸断時の寸法は、32mm(放射方向、R)×32mm(接線方向、T)×210mm(繊維方向、L)とした。なお、全乾密度とは、木材を100℃の恒温器に入れ、重量変化がなくなるまで乾燥し、水分をなくした状態における密度をいう。
(本体の製造)
供試材料のL方向に沿った引張破壊を抑えるために、金属製治具を用いてT方向への伸長を抑制して横圧縮加工した。油圧式ホットプレスによって供試材料を0, 15, 30, 45, 60, 70%の圧縮率でR方向に圧縮し、105℃で6時間加熱後、自然冷却して取り出し、ドライングセット材を得た。木口両端の約15mmを切除した後、10, 20, 40, 80mm(L)に調製した連続試験体と、60mm(L)に3分割した連続試験体を得た。60mm(L)に3分割した連続試験体は、加熱前処理とスリット加工に供した。試験体の厚さRは、図3(a)に示すようにLT面のT方向中央部の試験体端部(ET1,ET2)と中央部(CT)の三点を計測した。同様に試験体幅Tは、LR面におけるR方向中央部の試験体端部(ER1,ER2)と中央部(CR)の三点を計測した。試験体数は1条件につき3〜4体とした。
(加熱前処理)
圧縮率0および70%、長さ60mmで作製した心材試験体を200, 240℃で恒温乾燥機によって4時間加熱した。心材試験体は、酸素との接触を遮断するためにアルミ箔で複層に被覆した。加熱前処理後は重量および各部位の寸法を測定し、重量減少率とR方向収縮率を求めた。
(通路部の形成)
圧縮率0および70%、長さ60mmで作製した心材試験体に、図3(b),(c)に示すように昇降盤および穿孔盤を用いて、表面に貫通穴を形成した試験体と、表面にスリットを形成した試験体とを作製した。貫通穴とスリットの間隔は10, 20, 30mmとした。貫通穴の径は5mm、スリットの幅は3.0mm、スリットの溝深さは試験体厚さの1/2とした。
(炭化処理)
作製した試験体を105℃の高温乾燥機で1昼夜乾燥後、アルミ箔で複層に被覆し、二つ割型管状炉((株)チノー製、内径寸法:φ435mm×795mm)を用いて空気雰囲気下で炭化した。昇温スケジュールは、目標温度600℃、昇温速度2℃/分とし、目標温度到達後に3時間保持した後、自然冷却した。炭化後の試験体は、白化や形状消失が見られない黒炭であったことから、アルミ箔による酸素遮断が有効に機能したことを確認した。炭化後の重量および寸法を測定し、密度、収率と線収縮率を算出した。また、R方向収縮率について、端部(E: ET1, ET2またはER1, ER2の平均値)と中央部(CTまたはCR)の差から、形状異常の度合いを評価した。試験体に割れが発生した場合は、割れ幅を含めた寸法を測定値とした。
(圧密木炭の密度)
表1に通路部を形成していない圧密木材の圧縮率と炭化処理後の厚さ、密度、収率の関係を示す。値は、10mm(L)の辺材試験体の結果である。得られた圧密木炭に、収縮の不均一性や割れなどの形状異常は生じなかった。圧密木炭の密度は、圧密加工された本体の圧縮率に比例して増加した。特に圧縮率70%では、炭化後の密度が0.81g/cm3となり、これはカシ材に代表される硬質木炭に比する値であった。
【0027】
【表1】

(試験体長さの影響)
図4左列に通路部を形成していない圧縮率0および60%の辺材圧密木材から得た木炭(以下、辺材木炭)のLRおよびLT面の形状写真を示す。10〜80mm(L)はL方向の連続試験体である。圧密無しの試験体(圧縮率0%)は、LTとLR面で矩形状であり、収縮にばらつきが無かった。一方、圧縮率60%の試験体では、LT面では矩形状であるが、LR面では、試験体長さの増加とともに、L方向中央部がR方向に凸型に変形する不整な形状となった。凸型の変形量は木口面(RT面)ではT方向中央部が最大であった。
【0028】
図5に圧縮率の異なる辺材木炭のR方向収縮率に試験体長さが及ぼす影響を示す。20mm(L)は10mm(L)と同様の収縮率であり、密度も表1の値とほぼ等しかった。40mm(L)では、圧縮率70%の試験体でER1、ER2と比較してCRの収縮率が低下した。また、80mm(L)では、圧縮率45%以上の試験体でCRの値がER1、ER2の値より低下した。圧縮率60%以上の試験体の一部には、年輪に沿った割裂破壊が生じた。
【0029】
材料中央部が凸型に変形する現象は、一般に材料の膨張と考えられる。本実施例では、圧縮率に比例して形状異常が顕著となっているため、この不整形状は横圧縮加工の影響と判断される。横圧縮加工では、細胞壁の屈曲変形によって細胞配列が乱れ、細胞内腔が減少するため、スギ材の緻密化によって仮道管間の気体・液体通導性は阻害されると推測される。炭化過程で生じた熱分解ガスの生成量が材外部への放出量を上回った時、本体内部のガス圧が上昇し、本体を膨張させると考えられる。また、T方向の収縮率は、圧縮率、試験体長さおよび測定位置に因らず26〜29%であり、不整な変形が確認されなかった。このことから、辺材木炭中央部のR方向収縮率の低下とそれに伴う形状異常は、細胞内腔に堆積した熱分解ガスの膨圧による横圧縮の変形回復であることが示唆された。
(心材・辺材の影響)
図4右列に通路部を形成していない圧縮率0および60%の心材を圧密加工した本体から得た木炭(以下、心材木炭)のLRおよびLT面の形状写真を示す。圧縮無し試験体では、R方向のみでなくT方向にもL方向中央部が凸型になり、L方向と年輪に沿った無数の割裂が確認された。
【0030】
図6(a)に圧縮率の異なる心材木炭のR方向収縮率に試験体長さが及ぼす影響を示す。10mm(L)では、辺材木炭と同様の収縮率だが、20mm(L)以上の試験体でL方向中央部の凸型形状が確認された。特に80mm(L)では、圧縮率0, 45, 60, 70%でL方向中央部の収縮率がマイナスとなり、炭化前寸法からの膨張が生じた。さらに、端部の収縮率にも低下が生じ、本体内部の膨圧による影響が示唆された。辺材と心材で収縮と形状異常の程度に差が生じた理由は、(1)内腔に堆積する心材成分の存否と(2)仮道管長の長短、の2点が挙げられる。樹脂様の心材成分は、仮道管相互の通導性を阻害し、乾燥材への薬剤注入加工を困難にしていることは広く知られており、炭化過程においても熱分解ガスの通導阻害を引き起こしていると考えられる。また、本試験で用いた心材は20〜25年輪以下の部位に相当し、未成熟材を多く含む。スギの未成熟材および成熟材の仮道管長は、塩倉(木材学会誌28(2), 85-90 (1982))によるとそれぞれ1.2〜3.5mm、3.5〜4.2mm程度、朱ら(木材学会誌49(2), 138-145 (2003))によると1.5〜3.0mm、3.0mm〜3.6mm程度であった。このことから、未成熟材では成熟材と比較して仮道管長が短く、未成熟材が占める心材では、単位距離当たりの内腔の閉塞の度合いが増加すると考えられる。
【0031】
図7に辺材・心材木炭のL方向中央部(CT,CR)と端部(E: ET1, ET2またはER1, ER2の平均値)のR方向収縮率の差(C-E: 以下、収縮差)に試験体長さと圧縮率が及ぼす影響を示す。図7(b)の心材木炭では、圧縮無し(圧縮率0%)の試験体と比較して、圧縮率15%の試験体で、20, 40, 80mm(L)の収縮差が低下した。また、圧縮率30%では40mm(L)の収縮差が更に低下した。これは、横圧縮変形による閉塞壁孔の破壊によって、熱分解ガスの通導性が向上した効果に伴って、試験体内部圧力が低下し、L方向中央部の収縮率が増加したためと考えられる。圧縮率45%以上では、収縮差が増加する傾向にある。これは、図7(a)の辺材木炭と同様に細胞壁の屈曲変形に伴って、熱分解ガスの通導性が低下したことが原因と考えられる。以上のように、低圧縮率の木炭では、細胞壁の圧壊による形状異常の緩和効果があることを確認した。
【0032】
図6(b)に心材木炭のT方向収縮率に試験体長さが及ぼす影響を示す。L方向中央部のみの収縮率の低下(凸型形状)は、圧縮率に比例して緩和された。これは、横圧縮変形の回復の方がT方向への膨張より細胞壁の変形が容易であること、横圧縮後の細胞壁の損傷に伴って熱分解ガス通導性が向上したことによるものと考えられる。
(加熱前処理の形状制御効果)
図8に通路部を形成していない圧縮率0および70%の心材木炭のR方向収縮率に加熱前処理が及ぼす影響を示す。加熱前処理無しをコントロールとした。試験体長さは40, 80mm(L)である。コントロールと比較して、加熱前処理試験体でL方向中央部と端部の収縮率の差が減少し、その差は熱処理温度が高いほど減少した。このことから、加熱前処理による形状異常の抑制効果が確認された。木材を熱処理することによって、樹脂様の心材成分の軟化と材内蒸気圧による壁孔壁の破壊が生じ、熱分解ガスの材外部への排出が円滑化したことが要因と考えられる。また、加熱前処理による重量減少率が、200℃処理で辺材7.4%に対し、心材で12.6%、240℃ではそれぞれ14.4%、20.5%であったことから、心材成分の揮発やヘミセルロース分解の進行による細胞壁の空隙増加も寄与していると推測される。
(通路部の形状制御効果)
図9に通路部としての貫通穴およびスリット加工を施した圧縮率70%の心材木炭の形状写真を示す(試験体B,試験体C)。なお、試験体B,Cにおける貫通穴及びスリット加工のピッチは、10mmである。比較として、加工無しの心材木炭(試験体A)を示す。写真から、貫通穴またはスリットを試験体表面に形成することにより、圧密木炭の形状異常は改善されることが確認された。図10に貫通穴およびスリット加工のピッチ間隔と試験体のR方向の収縮率の関係を示す。圧縮無しおよび圧縮率70%の試験体双方で、ピッチ間隔の減少に伴い、L方向中央部と端部の収縮差は減少し、10mm間隔で形状異常はほぼ消失した。10mmは仮道管3〜6個分に相当し、スギ心材のガス通導性の低さを示している。また、試験体C(スリット)は、試験体B(貫通穴)より形状安定効果が高かった。これは、試験体B(貫通穴)は、貫通穴の配置によって、試験体C(スリット)と比較して、L方向の細胞の連続性が高くなったことによるものと考えられる。
【符号の説明】
【0033】
1 圧密木炭
2 通路部
3 本体
5 圧密木炭
6 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧密加工された本体を炭化処理して形成された圧密木炭において、
炭化処理の際に前記本体内に発生する熱分解ガスを外部へ排出する通路部を前記本体に設けたことを特徴とする圧密木炭。
【請求項2】
前記通路部は、前記本体の厚さ方向に貫通する貫通穴であることを特徴とする請求項1記載の圧密木炭。
【請求項3】
前記通路部は、前記本体の表面に形成されたスリットであることを特徴とする請求項1記載の圧密木炭。
【請求項4】
本体を圧密加工するステップと、
前記本体を炭化処理するステップと
を有する圧密木炭の製造方法において、
炭化処理の際に前記本体内に発生する熱分解ガスを外部へ排出する通路部を形成するステップを、前記炭化処理するステップの前に有することを特徴とする圧密木炭の製造方法。
【請求項5】
前記炭化処理するステップの前に前記本体を加熱前処理するステップを有することを特徴とする請求項4記載の圧密木炭の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図10】
image rotate

【図4】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−111580(P2011−111580A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271400(P2009−271400)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】