説明

圧縮機の制御方法及び装置、並びに炭化水素流の冷却方法

圧縮機供給流(10)が通される1台以上の第1圧縮機(12)を制御する方法及び装置。1台以上の絞り弁(32)を、インライン第1再循環弁(24)を備えた圧縮機再循環ライン(22)の下流に設け、該圧縮機再循環ラインを第1圧縮機(12)又は各第1圧縮機(12)の周囲に設ける。時には圧縮機供給流(10)の少なくとも一部に対しバイパスライン(60)により第1圧縮機(12)又は各第1圧縮機(12)及び1台以上の絞り弁を選択的にバイパスさせる。圧縮機供給流(10)の圧力(P1)、圧縮機供給流(10)の流量(F1)、第1圧縮流(20)の圧力(P2)及び第1圧縮流(20)の流量(F2)からなる群のうち少なくとも1つの圧力及び少なくとも1つの流量の測定値を用いて、絞り弁(32)の1台以上を自動的に制御する。こうして制御される第1圧縮機は初期炭化水素流(100)の冷却方法に使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機を制御する方法及び装置に関する。別の態様において、本発明は、炭化水素流を冷却する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然ガスは、各種炭化水素化合物の源であるだけでなく有用な燃料源でもある。多くの理由で、天然ガス流の源で又はその源の近くで液化天然ガス(LNG)工場において天然ガスを液化することが望ましいことが多い。例として、天然ガスはガス状形態でよりも液体として容易に貯蔵して長距離輸送することができる。なぜなら、液体は体積が小さく高圧で貯蔵される必要がないからである。
【0003】
天然ガスは通常、メタンを主に含む。メタンに加えて、天然ガスは通常、エタン、プロパン、ブタン、C5+炭化水素などの重質炭化水素及び芳香族炭化水素を多少含む。これら及びその他の一般的な又は既知の重質炭化水素及び不純物は、メタンを液化する通常の既知の方法、特にメタンを液化する最も効率的な方法を妨げる、又は遅らせる。全てとはいえないとしても殆どの既知又は提案の炭化水素液化方法、特に天然ガス液化方法は、液化工程の前に少なくとも殆どの重質炭化水素及び不純物のレベルをできるだけ減少させることに基づいている。
【0004】
メタン及び普通はエタンよりも重い炭化水素は通常、天然ガス流から天然ガス液体(NGL)として凝縮されて回収され、NGL回収と一般に呼ばれる。通常、生成物蒸気自体として又は液化用に、例えば冷媒の成分として、貴重な炭化水素生成物を得るのにNGLを分別する。
【0005】
NGL回収は一般に、1台以上の圧縮機によって圧縮又は再圧縮されることが多い(天然ガス流はNGL分離塔の上流で既に減圧されていることもある)、メタンに富んだ塔頂流とNGLを含む塔底流とに天然ガス流を分離するNGL分離塔を備える。
【0006】
ガス流用の圧縮機は、多くの状況、システム及び構成で使用されている。通常、「サージ」を回避するために、圧縮機の周囲に蒸気の再循環(recycle,recirculation)ラインがある。通常、サージは、圧縮機への低過ぎる流れと関連があり、流れの急激な脈動を引き起こすことがある。
【0007】
米国特許第4,464,720号明細書には、アルゴリズムを利用して所望のオリフィス差圧を計算し、計算結果を実際の差圧と比較するサージ制御システムが開示されている。遠心圧縮機の吸引側と放出側の両方で圧力及び温度を測定し、実際の差圧が所望の差圧と実質的に等しくなるように、その測定値が制御システムに入る。遠心圧縮機に入るガスの吸引温度を測定して使用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、サージ制御システムを用いても、破損が生じることがあり、圧縮機が故障することがある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1態様において、本発明は、
(a)圧縮機供給(feed)流を供給する工程と、
(b)圧縮機供給流を1台以上の第1圧縮機に通す工程であって、第1圧縮機又は各第1圧縮機は第1入口及び第1出口を有し1つ以上の第1圧縮流を供給する工程と、
(c)圧縮機供給流の圧力、圧縮機供給流の流量、第1圧縮流の圧力及び第1圧縮流の流量からなる群のうち少なくとも1つの圧力及び少なくとも1つの流量を測定して、少なくとも2つの測定値を与える工程と、
(d)第1圧縮機又は各第1圧縮機の周囲にインライン第1再循環弁を備える第1圧縮機再循環ラインを設ける工程と、
(e)圧縮機再循環ラインの下流の少なくとも1台の絞り弁に第1圧縮流又は各第1圧縮流を通して、制御流を供給する工程と、
(f)圧縮機供給流又は各圧縮機供給流の一部に対し、第1バイパスラインにより第1圧縮機又は各第1圧縮機及び少なくとも1台の絞り弁(32)を選択的にバイパスさせる工程と、
(g)工程(c)の測定値を用いて絞り弁のうち少なくとも1台を自動的に制御する工程と、
を少なくとも含む、1台以上の第1圧縮機を制御する方法を提供する。
【0010】
第2の態様において、本発明は、
(i)初期炭化水素流を分離器に通して安定化凝縮物流及び混合炭化水素流を供給する工程と、
(ii)混合炭化水素流を圧縮機供給流としての軽質塔頂流と重質塔底流とに分離する工程と、
(iii)圧縮機供給流を1台以上の第1圧縮機及び少なくとも1台の絞り弁に通し、上述の発明の第1態様の方法に記載の方法を用いて1台以上の第1圧縮機を制御し、1つ以上の制御流を供給する工程と、
(iv)制御流又は各制御流を1台以上の第2圧縮機に通して1つ以上の第2圧縮流を供給する工程と、
(v)1つ以上の第2圧縮流の少なくとも一部を冷却し、好ましくは液化して、冷却された、好ましくは液化された炭化水素流を供給する工程と、
を少なくとも含む、好ましくは天然ガスを含有する初期炭化水素流を冷却する方法を提供する。
【0011】
更に、本発明は、
第1圧縮機又は各第1圧縮機における第1入口と第1出口との間で圧縮機供給流を圧縮して、1つ以上の第1圧縮流を供給する1台以上の第1圧縮機と、
圧縮機供給流の圧力、圧縮機供給流の流量、第1圧縮流の圧力及び第1圧縮流の流量からなる群のうち少なくとも1つの圧力及び少なくとも1つの流量を測定して、少なくとも2つの測定値を与えることができる少なくとも2台の測定器と、
第1圧縮機又は各第1圧縮機の周囲にインライン第1再循環弁を備える圧縮機再循環ラインと、
第1圧縮流又は各第1圧縮流を受け取って制御流を供給する、圧縮機再循環ラインの下流の少なくとも1台の絞り弁と、
圧縮機供給流の一部に対し第1圧縮機又は各第1圧縮機及び少なくとも1台の絞り弁をバイパスさせる第1バイパスラインと、
工程(c)の測定値を用いて絞り弁のうち少なくとも1台を自動的に制御することと、
を少なくとも含む、1台以上の第1圧縮機を制御する装置を提供する。
【0012】
この装置は、天然ガス液化工場又は設備の一部を形成してもよい。
【0013】
本発明の実施形態及び例を、限定されない添付図面を参照してほんの一例としてここで説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態による圧縮機を制御する方法の概略図である。
【図2】本発明の第2の実施形態による圧縮機を制御する方法の概略図である。
【図3】図1及び図2に示す実施形態を含む初期炭化水素流を冷却する方法の概略図である。
【図4】サージライン、速度ライン及びチョークラインを示す、圧縮機用の容量に対するヘッド圧縮比の例示的な平面図(plot)である。
【図5】本発明の第3の実施形態による2台の並列圧縮機を制御する方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この説明のために、1つの参照番号を、ライン及びそのラインに通される流れに割り当て、1つの参照符号を、流れの圧力/流量及びその圧力/流量の測定器に割り当てる。
【0016】
圧縮機供給流の圧力及び第1圧縮流の圧力からなる群のうち少なくとも1つの圧力と、圧縮機供給流の流量及び第1圧縮流の流量からなる群のうち1つの流量との測定値を用いて圧縮機の下流に設けられた絞り弁を自動的に制御することにより、チョーキングが生じるのを防止することができることが分かっている。サージ以外に、「石壁」又はチョーキングが圧縮機に破損を与えることもある。従って、これによる圧縮機に対する故障及び/又は破損を減らす。
【0017】
低過ぎる圧力比での流れの容量が過剰になると、圧縮機のチョーキングが生じるので、圧縮機は、「チョーク」し、ガスの流れを圧縮することができない。これにより、圧縮機に破損を与える恐れがある高振動が生じる。
【0018】
本明細書に開示の、圧縮機の下流の絞り弁を自動的に制御して第1圧縮流の圧力を下げバイパスラインの圧力に対して第1圧縮流の圧力を自動的に調整する方法によって、チョーキングの問題を回避することができる。このように、チョーキングが生じる動作条件への移動を回避することができる。
【0019】
圧縮機のサージは、低い体積流量で圧縮機に生じる現象であり、従って所与の圧縮機の最小容量を限定する。圧縮機の動作中、システム抵抗が増加するにつれて、圧縮機によって生成されるヘッド又は圧縮比が増加してこの抵抗を乗り越える。システム圧力が増加するにつれて、圧縮機を通る流量が減り、これが圧縮機の最大ヘッド容量まで続く。最小流量の限界が、サージラインを形成する。サージラインの下では、背圧が、圧縮機が吐出できる圧力を超え、瞬間的な逆流状態を引き起こす。逆流の間、システム抵抗が減少し、背圧が降下して、圧縮機は、増加した流れを吐出できるようになる。圧縮機の下流での流れに対する抵抗が変わらない場合、ピークヘッド吐出に再度近づき、逆流が観測され、サージとして知られる循環状態が生成される。機械的破損を生じることがある振動、ノイズ、軸方向軸運動及び過熱のせいでサージ点を越えて圧縮機を動作させた場合、かなりの破損を圧縮機に与えることがある。
【0020】
本明細書に開示の方法によって、サージラインに近づいた場合に、インライン第1再循環弁を自動的に制御して開放し、第1圧縮機再循環ラインに沿って圧縮機供給流に戻される第1圧縮流の量を増加させるようにすることにより、サージの問題を回避することができる。
【0021】
本実施形態は、例えば、圧縮機供給流の流量及び圧力の増加及び起動に、又は何らかの上流圧力降下のために、炭化水素流を処理する構成又はシステムで圧縮機の統合及び制御を可能にする、下流での絞り弁の自動制御に基づいて圧縮機を制御する一層効率的な方法を提供する。圧縮機の制御の自動化は、圧縮機データを測定することによって、圧縮機が受け入れ可能な動作窓に対して、圧縮機が動作している現在の動作点の決定を可能にする。従って、制御器の自動化により、圧縮機の動作を変えて、圧縮機のサージ及びチョークなどの圧縮機問題の可能性を減らすことができる。
【0022】
従って、本明細書に記載のような下流の絞り弁の自動制御を用いた第1圧縮機の制御、及び装置は、第1圧縮機の起動に特に有用である。
【0023】
図面を参照すると、図1及び図2は、NGL回収システム1の一部として圧縮機供給流10を圧縮する第1圧縮機12を制御する方法の各種実施形態を示す。図3は、図1及び図2のNGL回収システム1を含む、初期の炭化水素流100を冷却する方法のための液化天然ガス工場2の簡略化された第1一般図を示す。
【0024】
初期炭化水素流は、任意の適当な炭化水素流であってもよく、例えば冷却可能な炭化水素含有のガス流でもよいが、それに限定されない。一例は、油層又は天然ガスから得られる天然ガス流である。代案として、フィッシャー・トロプシュ法などの合成源をも含む別の源から天然ガス流を得ることもできる。
【0025】
通常、そのような初期炭化水素流は、メタンをかなり含む。そのような初期炭化水素流は、好ましくは少なくとも50モル%のメタン、より好ましくは少なくとも80モル%のメタンを含む。
【0026】
図3は、冷却され部分的に凝縮された初期炭化水素流110を供給するのに第1冷却段階104によって冷却される、天然ガスを含有する初期炭化水素流100を示す。
【0027】
第1冷却段階104は、当業界で既知の方法で並列に、直列に、又は並列及び直列に、1台以上の熱交換器を含んでもよい。第1冷却段階104への冷却の供給は、当業者に既知である。初期炭化水素流100の冷却は、プロパン冷媒回路(図示せず)を備える予冷段階などの液化工程の一部、又は別々の工程であってもよい。初期炭化水素流100の冷却は、初期炭化水素流100の温度を−0℃未満、例えば−10℃から−70℃の範囲に下げることを含んでもよい。
【0028】
当業界で既知の方法で周囲圧力を超える圧力で通常動作する凝縮安定化塔108などの分離器に、冷却された初期炭化水素流110を通すことができる。凝縮安定化塔108は、好ましくは温度が−0℃未満である塔頂混合炭化水素流8と安定化凝縮物流120とを供給する。塔頂流8は、冷却された初期炭化水素流110と比べてメタンに富んだ流れである。
【0029】
本明細書で使用の「混合炭化水素流」という用語は、エタン(C)、プロパン(C)、ブタン(C)及びC5+炭化水素を含む群から選択される少なくとも5モル%の1つ以上の炭化水素とメタン(C)とを含む流れに関する。通常、混合炭化水素流8中のメタンの比は、30〜50モル%であり、エタン及びプロパンがかなりの比、例えば各々が5〜10モル%を有する。
【0030】
「軽質」及び「重質」という用語は、互いに相対的に定義され、1台以上の気液分離器14からの塔頂流及び塔底流についてそれぞれ言及する。「軽質」及び「重質」の炭化水素流の組成は、気液分離器の設計及び動作条件だけでなく供給ガスの組成にも左右される。
【0031】
「重質炭化水素流」という用語は、軽質塔頂流よりも比較的高い含有量の重質炭化水素を含む流れに関する。例えば、重質炭化水素流は、エタン(C)及びより重い炭化水素を主に含むC2+炭化水素流であってもよい。エタンの相対量は、供給流中のエタンの相対量よりも高いが、C2+流はメタンを多少含んでもよい。同様に、C3+炭化水素流、C4+炭化水素流、又はC5+炭化水素流はそれぞれ、プロパン及びより重い炭化水素、ブタン及びより重い炭化水素、又はペンタン及びより重い炭化水素に比較的富んでいる。
【0032】
NGL回収では、メタンに富んだ流れを混合炭化水素流(例えば、燃料用として、又はLNG工場2で液化され追加のLNGとして供給される)から分離して、少なくとも重質流を、場合によりC流、C流、C流及びC5+流のうち1つ以上回収することが望ましい。
【0033】
図3では、混合炭化水素流8の少なくとも一部、通常全てが、NGL回収システム1に入る。NGL回収システム1は通常、比較的低い圧力で、例えば20〜35バール(bar)の範囲で、少なくとも軽質流と1つ以上の重質流とに混合炭化水素流8を分離する蒸留塔及び/又は洗浄塔などの1台以上の気液分離器を備える。適当な第1気液分離器14の例は、メタンに富んだ塔頂流と、底で又は底の近くでC2+炭化水素に富んだ1つ以上の液体流とを供給するように設計された「脱メタン化装置」である。しかし、混合炭化水素供給流の組成及び軽質塔頂流の所望の仕様によって、第1気液分離器14は、脱メタン化装置の代わりに、脱エタン化装置、脱プロパン化装置、又は脱ブタン化装置、又は洗浄塔であってもよい。
【0034】
通常、混合炭化水素流8は例えば40〜70バールの範囲で高圧の初期炭化水素流100から供給されるので、第1気液分離器14の前で混合炭化水素流8を膨張させる必要があるかもしれない。そのような膨張により、温度が下がることもある。図2及び図3に示すように、混合炭化水素流8は、1台以上の膨張器52を通り、低い温度と圧力の混合相(液体及び蒸気)炭化水素流9を供給し、それが適当な高さで第1気液分離器14に後で入ることができる。
【0035】
第1気液分離器14は液相と気相とを分離して、軽質塔頂流(本発明で後に使用される第1圧縮機流10)と重質塔底流50とを供給するように調節される。第1気液分離器14は、当業界で既知の方法でリボイラー及び第1リボイラー蒸気戻り流(図示せず)を含んでもよい。
【0036】
第1気液分離器14によって供給される流れの性質は、当業界で既知の方法で、分離器の大きさと種類、及びその動作条件とパラメータに応じて変わることがある。図1〜図3に示す構成の場合、軽質塔頂制御流30はメタンに富んでいることが望ましい。軽質塔頂流は、少量(10モル%未満)の重質炭化水素を含んでもよいが、好ましくは80モル%を超える、より好ましくは95モル%を超えるメタンである。重質塔底流50は、90モル%を超える、又は95モル%を超えるエタン及びより重い炭化水素であってもよく、その後分別してもよく、又はNGL流のために当業界で既知の方法で使用してもよい。
【0037】
軽質塔頂流は、少なくとも1台以上の第1圧縮機12によって後の使用のために、ここで圧縮(再圧縮)されることができる、圧縮機供給流10の1つの可能な源を供給する。
【0038】
図1は、
(a)圧縮機供給流10を供給する工程と、
(b)第1入口13及び第1出口16を有する第1圧縮機12に圧縮機供給流10を通して、第1圧縮流20を供給する工程と、
(c)圧縮機供給流10の圧力P1、圧縮機供給流10の流量F1、第1圧縮流20の圧力P2及び第1圧縮流20の流量F2を含む群のうち少なくとも1つの圧力及び少なくとも1つの流量を測定して、少なくとも2つの測定値を与える工程と、
(d)第1圧縮機12の周囲にインライン第1再循環弁24を備える圧縮機再循環ライン22を設ける工程と、
(e)圧縮機再循環ライン22の下流の少なくとも1台の絞り弁32に第1圧縮流20を通して、制御流30を供給する工程と、
(f)圧縮機供給流10の一部に対し、第1圧縮機及び絞り弁32を選択的にバイパスさせる第1バイパスライン60を設ける(provide)工程と、
(g)工程(c)の測定値を用いて絞り弁32のうち少なくとも1台を自動的に制御する工程と、
を含む、本明細書に開示の方法の一実施形態を示す。
【0039】
低過ぎる圧力比で流れの容量が過剰になると、圧縮機のチョーキングが生じるので、圧縮機は、「チョーク」し、ガスの流れを圧縮することができない。これにより、圧縮機に破損を与える恐れがある高振動が生じる。圧縮機においてサージだけでなくチョーキングをも回避する問題については、米国特許第4,464,720号明細書に記載されていない。
【0040】
現在開示の実施形態における圧縮機供給流10及び/又は第1圧縮流20から行われる圧力及び流量測定の選択及び/又は組合せを使用して、第1圧縮機12の動作をそのチョークラインに対して決定する(detaermine)ことができる。
【0041】
圧縮機のチョークラインは、圧縮機の使用者に知られており、通常、圧縮機設計パラメータの一部である圧縮機の特性である。異なるガス条件(例えば、温度及び分子量)における圧縮機体積流入量に対するヘッドの比較に基づく圧縮機の特性曲線は、圧縮機の製造業者によって使用者に提供されるパラメータであり、そのパラメータは圧縮機のチョークラインの識別を使用者に与える。圧縮機の特性曲線の例示的な線図を、10%刻みで増加する、50〜110%の設計動作の場合の速度ラインに加えてサージライン及びチョークラインを示す図4で与える。
【0042】
従って、工程(c)の測定値を測定し、これらの測定値に応じて圧縮機の絞りを制御することによって、第1圧縮機12の動作をそのチョークラインに対して決定することによって、圧縮機のチョーキングを回避することができる。
【0043】
図1に戻って、絞り弁32の自動制御は、本明細書に記載の圧力及び/又は流量測定値の非使用者計算に基づいている。1つ以上の所定値に関して工程(c)によって与えられた測定値を計算して比較することができ、圧縮機供給流10の性質及び特性によって第1圧縮機12の吐出圧力を制御するように1つ以上の制御指示を絞り弁32に直接与えることができる、制御器「XC」として図1に表す、当業界で既知の1台以上の自動制御器を使用することによって、そのような制御を行うことができる。
【0044】
好ましくは、現在開示の方法は、場合により図1に示す制御器XCなどの同じ制御器によって、同じ理由で圧縮機再循環ライン22におけるインライン第1再循環弁24を自動的に制御する工程も含む。
【0045】
現在開示の方法及び装置は、圧力及び/又は流量測定値を測定する形態によって、又はそれらの性質や数に限定されない。例えば、圧縮機供給流又は第1圧縮流の流量の測定は直接流量測定に限定されないので、関連流量が得られる任意のパラメータを流量測定値として使用してもよい。その結果、実際の測定は、圧縮機供給流又は第1圧縮流の流量を計算するのに、その後で使用できる、オリフィス、ノズル又はベンチュリ間の圧力変化など、流量を間接測定するパラメータであってもよい。そのような直接及び間接流量測定方法は、当業界で既知である。流量測定値を使用して、圧縮機の動作をそのチョークラインに対して決定することができる。
【0046】
図1に示すP1及びP2など、任意の適当な圧力測定器を用いて、圧力値をとることができ、図1に示すF1及びF2など、任意の適当な流量測定器によって、流量測定を行うことができる。2台の流量測定器F1、F2及び2台の圧力測定器P1、P2が図1に示してあるが、本明細書に開示の方法は、1台の流量測定器及び1台の圧力測定器を用いて動作可能である。この実施形態の範囲には複数台の流量測定器又は圧力測定器の存在を含むが、図示の追加の流量及び圧力測定器は、これらの装置に別の可能な位置を与える。圧力及び流量測定器P1、F1、P2、F2及び制御器XCは、単に明確にする目的で図2及び図3に示されていない。
【0047】
好ましくは、本明細書で開示の方法の工程(c)は、
(i)圧縮機供給流10の圧力P1及び流量F1と、
(ii)圧縮機供給流10の圧力P1及び第1圧縮流20の流量F2と、
(iii)圧縮機供給流10の流量F1及び第1圧縮流20の圧力P2と、
(iv)第1圧縮流20の圧力P2及び流量F2と、
を含む群のうち少なくとも1つを測定する工程を含む。
【0048】
上記の任意の2つの値の比較を計算器に与え、当業界で既知の方法で、第1圧縮機12の動作のそのチョークラインに対する計算結果を得ることができる。
【0049】
図1は、制御器XCに破線の信号経路に沿って入る4つの測定値P1、F1、P2及びF2を示し、制御器XCは、測定値を計算して第1圧縮機の動作をその既知のチョークラインに対して算出し、絞り弁32及び場合によりインライン第1再循環弁24に制御信号を送信してそれらの動作、従って第1再循環流22及び第1圧縮継続流25(後述)の流量を制御し第1圧縮機12のチョーキングを回避する。
【0050】
特に1つ以上の炭化水素用の任意の圧縮機供給流、例えばエタン含有流に対して第1圧縮機12を制御する方法が、本明細書に開示されている。
【0051】
第1圧縮機12は、第1入口13及び第1出口16を有し、当業界で既知の方法で、圧縮機供給流10の少なくとも一部を圧縮して第1圧縮軽質流20を供給することができる。
【0052】
第1圧縮流20の少なくとも一部をとって圧縮機供給流10の経路に戻して再循環することができる第1圧縮機再循環ライン22が、第1圧縮機12の第1入口13と第1出口16との間にある。第1圧縮機再循環ライン22を圧縮機供給流10に追加する。第1圧縮継続流25と第1圧縮機再循環流22との間の第1圧縮流20を、当業界で既知の任意の適当な分割器又は流れスプリッタによって分割してもよい。第1圧縮流20の分割は、更に本明細書で後述するように圧縮継続流25及び第1再循環流22の各々に対して0〜100%の間のどこであってもよい。
【0053】
第1圧縮機再循環ライン22は、第1圧縮機12の周囲の専用ラインである。第1圧縮機再循環ライン22は、冷却されないことが好ましく、従って冷却器を含まないことが好ましい。第1圧縮機再循環ライン22は、第1圧縮機再循環流22の圧力を変えて第1圧縮機12の吸引側用の圧縮機供給流10の意図する圧力に近づける、又は一致させるのに必要な1台以上の制御弁24のみを備えることがより好ましい。
【0054】
場合により、第1圧縮流20を供給する第1圧縮ライン20は、第1圧縮機12の入口13への再投入の前に少なくとも圧縮機再循環流22の温度を下げる、1台以上の水及び/又は空気冷却器などの1台以上の冷却器を備える。
【0055】
次いで、第1圧縮継続流25は絞り制御弁32を通って、制御流30を供給する。図2及び図3は、当業界で既知の方法で、制御流30用の第2入口43及び第2出口44を各々有する1台以上の第2圧縮機42に制御流30を通して第2圧縮流40を供給するという選択肢を示す。第2圧縮機42又は各第2圧縮機42は、第1圧縮機12とは別個の専用駆動装置又は駆動機構を一般に有する「昇圧」圧縮機と同一又は同様であってもよい。
【0056】
第2圧縮機42又は各第2圧縮機42の周囲に、更に詳しくは第2出口44と第2入口43との間に、第2圧縮機再循環ライン45があってもよく、最終圧縮流70と第2圧縮機再循環流45との間で、0〜100%の間のどこででも、当業界で既知の分割器又は流れスプリッタによって1つ以上の第2圧縮流40を分割することができる。最終圧縮流70は、一方向弁41を備えることができる。第2圧縮機再循環流45は、第2圧縮機再循環流45の温度を下げるように調節した、当業界で既知の、インライン冷却器などの1台以上の冷却器46、好ましくは1台以上の水及び/又は空気冷却器を備える。1台以上の冷却器46はその後に1台以上の制御弁47が続き、第2圧縮機42の第2入口43より前での主圧縮機流への再投入のために最終再循環流48を供給する。
【0057】
第2圧縮機再循環ライン45は、当業界で既知の方法で、第2圧縮機42の周囲でサージ防止制御を行う。第2圧縮機再循環ライン45は、第2圧縮機42の周囲の専用ラインである。特に1台以上の冷却器46は、第2圧縮機再循環ライン42に入る第2圧縮流40の一部(一部は通常、ゼロ又は最小であり、従って1台以上の冷却器46の運転費用(OPEX)を最小にする)を冷却するのに必要とするだけであることが注目される。
【0058】
図2及び図3は、専用の第2圧縮機再循環ライン45を有する第2圧縮機22及び専用の第1圧縮機再循環ライン22(専用又は外部の冷却を必要としない)を有する第1圧縮機12を用いた圧縮機供給流10の再圧縮の簡易構成を示す。従って、第1及び第2圧縮機再循環ライン22、45は、独立しており、独立して制御可能である。
【0059】
また、図1は、第2圧縮機42又は各第2圧縮機42に供給される制御流30を供給するために第1圧縮機12又は各第1圧縮機12の周囲で圧縮機供給流10の一部をとることができるように第1圧縮機12の周囲に一方向弁62を有する第1バイパスライン60を示す。NGL回収システム1の起動に、特に第1圧縮機12用の駆動力がない場合(例えば、その圧縮機12が膨張器52に機械的に連結され従って膨張器52によって駆動される場合)、第1バイパスライン60を使用してもよい。また、第1圧縮機12のうち1台以上が更に後述するように「トリップ」する場合、第1バイパスライン60は有効であろう。
【0060】
同様に、図2は、制御弁82を有する膨張器52の周囲に膨張器バイパスライン80を示す。このように、混合炭化水素流8の少なくとも一部、場合により、全部が膨張器バイパスライン80を通り、膨張器52又は各膨張器52を選択的にバイパスして、ラインの混合相炭化水素流9に供給されるか、或いは混合炭化水素流8は全く膨張器バイパスライン80を通らない。更に後述するように、膨張器52のうち1台以上のトリッピング中及び/又はNGL回収システム1の起動に、この構成が行われてもよい。
【0061】
図3に示すように、最終圧縮流70を、燃料ガス72として全部又は一部使用してもよく、又はガス網に通したり、後で冷却し、好ましくは液化してLNGなどの冷却炭化水素流を供給したりしてもよい。通常1台以上の熱交換器を備え液化炭化水素流130を供給する、第2の冷却段階112でライン71に沿った通路によって、冷却、好ましくは液化を行ってもよい。このような第2冷却段階用の適当な液化工程は、当業者に既知であり、本明細書では更に記載しない。
【0062】
また、図3は、第1気液分離器14の前の膨張器52を第1圧縮機12に機械的に連結する実施形態を示す。任意の既知の連結機構、一例として共用又は共通の駆動軸21によって、そのような機械的連結が行われてもよい。中を通るガスの膨張によって膨張器から供給された作業エネルギーの一部を使用して、機械的連結圧縮機を一部又は全部駆動するための、膨張器と圧縮機との機械的連結は当業界で既知である。
【0063】
このように、第1圧縮機12の動作及び性能は、更に後述するように膨張器52の動作及び性能と関連づけることができる。
【0064】
本明細書に開示の方法は、第1圧縮機12の起動に特に有利である。第1バイパスライン60を第1圧縮機12の周囲に設けて、圧縮機供給流10の一部に対し第1圧縮機12及び絞り弁32をバイパス可能にする。こうして、ライン25及び30中の圧力を調整することができる。
【0065】
このように、特に炭化水素加工工程又は処理の起動に、例えば第1気液分離器14によって供給された圧縮機供給流10の殆ど全部は、圧縮機供給流10の流量及び/又は圧力が増加しているとはいえ、第1バイパスライン60の下流に流れを供給するように第1バイパスライン60を通ることができる。絞り弁32は、(第1圧縮機12に入りその後一方向弁31を通る圧縮機供給流10の一部の増加に基づいて)供給が増加する制御流30と第1バイパス流60との間の圧力差を制御することによって、ラインの下流に対する第1圧縮機12の統合のための自動制御を行う。絞り弁32の動作により、第1圧縮機12が統合されて、分離器(例えば、図1に示す第1気液分離器14)から供給された圧縮機供給流10の圧力に影響を与えることなく、第1バイパス流60の減少と一致して進むことができる。
【0066】
本明細書に開示の方法及び装置の特別な利点は、第1圧縮機12の起動中及び第1バイパスライン60の使用に絞り弁32及び/又はインライン再循環弁24の自動制御を制御器XCが行うことができるということである。
【0067】
従って、本開示の方法は、本明細書に記載のように第1圧縮機12を制御する方法を用いた第1圧縮機12の起動を制御する方法にまで及ぶ。
【0068】
本明細書に開示の方法及び装置のもう1つの特別な利点は、圧縮機供給流10又はその一部の源の圧力の突然又は劇的な降下を含む、圧縮機供給流10の圧力に影響を与える上流での何らかの圧力降下の結果として第1圧縮機12の制御を行うということである。
【0069】
この例は、後述するように機械的に相互連結された膨張器−圧縮機列などの関係又は関連した工程、装置、ユニット又はデバイスの「トリッピング」である。特に、多重流NGL回収システムにおいて、図5に示す例、1つの膨張器−第1圧縮機列のトリッピングは、トリップ列を再統合しながら工程の継続を維持するようにNGL回収システムによって圧縮機供給流10を含む各種流れの流量の通常急速な調整を必要とする。絞り弁32の自動制御により、1つ以上の圧縮機供給流の十分な再加圧を進行させながら第1圧縮機又は各第1圧縮機の下流での圧力を制御することによってトリップ列が主工程に戻り再統合できる。
【0070】
図5は、第1膨張器及び第1圧縮機列Aと、第2膨張器及び第1圧縮機列Bとを有することに基づく簡易な第2のNGL回収システム3を示す。
【0071】
図5では、例えば図3に示すように供給される混合炭化水素流8を、それぞれ共通の駆動軸21a及び21bによってそれぞれ第1圧縮機12a及び12bに機械的に連結されたそれぞれの膨張器52a及び52bに入る、少なくとも2つ、好ましくは2つ又は3つの部分−供給流8a及び8bに、流れスプリッタ11によって分割する。部分−供給流8a及び8bへの混合炭化水素流8の分割は、任意の比又は割合であってもよいが、膨張器52a及び52bが同じ容量を有する第2NGL回収システム3の通常及び従来の動作中は一般に同等である。膨張器52a及び52bの大きさ、種類、容量、数及びバランス、従って第1圧縮機12a及び12bの大きさ、容量、種類、数及びバランスは、NGL回収工程、動作及びパラメータの知識を有する当業者に既知である。
【0072】
各膨張器52a、52bは、混合相炭化水素流9a、9bをそれぞれ供給し、それらは上述のように1つの混合相炭化水素流9が第1気液分離器14に入るのに適当なT字型部品などの結合器によって結合可能である。場合により、混合相炭化水素流9a及び9bのうち1つは、混合相炭化水素流又は他の混合相炭化水素流の全部と結合することなく第1気液分離器14に直接入ってもよい。
【0073】
第1気液分離器14は、上述のように軽質塔頂流と重質塔底流50とを供給する。軽質塔頂流は、当業界で既知の方法で流れスプリッタ36によって分割され、それぞれ2台の第1圧縮機12a、12bにそれらの第1入口を通って入る少なくとも2つ、好ましくは2つ又は3つの部分−圧縮機供給流10a、10bを供給し、2つのそれぞれの第1圧縮流20a、20bを供給できる圧縮機供給流10を供給することができる。0〜100%の第1圧縮流20a、20bは、上述のように、再循環のための2つのそれぞれの第1圧縮機再循環ライン22a、22bに入り、それぞれの制御弁24a、24bを通って、2台の第1圧縮機12a、12bの吸引側に戻ってもよい。
【0074】
第1圧縮機再循環ライン22a、22bに入らない各第1圧縮流20a及び20bの一部は、それぞれの一方向弁31a、31b及び絞り制御弁32a、32bを通り結合器53によって結合される前に制御流30a、30bを供給して第2圧縮機42に入る結合第2圧縮機供給流34を供給し第2圧縮流40を供給することができる第1圧縮継続流25a、25bを供給する。上述のように、第2圧縮流40の0〜100%間の一部は、1台以上の制御弁47を備えることができる第2圧縮機再循環流45を供給することができる一方、一方向弁41に通すことができる最終圧縮流70は、上述のように、例えば燃料流、搬出流のうち1つ以上として、又はLNGなどの液化炭化水素流を供給するのに冷却、好ましくは液化用として、後で使用可能である。
【0075】
第1膨張器52a、機械的に連結された第1圧縮機12a及びそれらの関連ラインの組合せは、第1列Aを設ける一方、第2膨張器52b、機械的に連結された第1圧縮機12b及びそれらの関連ラインの組合せは、第2の列Bを設ける。
【0076】
このように、第2NGL回収システム3の使用者は、第2NGL回収システム3によって混合炭化水素流8の流れ、特に膨張器52a、52b及び第1圧縮機12a、12bを通る流れ及び動作に関して、より大きい選択肢及び柔軟性を有することができる。NGL回収システムの通常及び/又は従来の運転に運用上の利点を与えるだけでなく、この構成は更に2つの利点も与える。
【0077】
上述のように、万一多重列NGL回収システムの任意の列が偶然又は意図的に正常に運転できない場合、NGL回収の継続が残りの列の1つ以上によって可能である。特に、ある列が「トリップ」している場合、残りの列又は各残りの列は、混合炭化水素供給流の体積及び/又は質量が同じレベル又はかなりのレベルで続いていても、NGL回収の動作を継続することができる。
【0078】
膨張器−圧縮機列の「トリッピング」は、多くの理由で及び/又は多くの状況で生じることがある。一般的な例には、例えば圧縮機が必要とする動力よりも大きい動力を運転者が生成した場合の「過速度」、及び圧縮機が流量限界を越えて動作しており羽根角に対する流れ角が異常である場合の「振動」がある。
【0079】
図5に示す第2NGL回収システム3の第2の特別な利点は、NGL回収の起動にある。2つ以上の列を設けることによって、異なる時刻に、場合により他の各列と異なる起動パラメータを用いて、各列を別々に起動することができる。従って、使用者は、全NGL回収システム3の全部の及び通常の動作の前に全ての列の起動に対してより大きい選択肢及び制御を有する。
【0080】
例として、NGL回収システムの起動時に、混合炭化水素流8は通常、膨張器バイパス流80に通して、第1膨張器52a、52bで膨張させることなく、膨これらの張器をバイパスさせ、混合相炭化水素流9を供給する。この場合、混合炭化水素流8内の圧力は、既に低レベルである可能性があるので、第1膨張器52a、52bでの膨張は不必要であり、又は混合相炭化水素流9内で圧力が低過ぎることになるからである。これにより、膨張が行われない場合よりも高圧の圧縮機供給流10が第1圧縮機12a、12bに供給される。
【0081】
同様に、圧縮機供給流10は、特にこれらの第1圧縮機12a、12bに動力が供給されていない場合、又は同様にバイパスされている第1膨張器52a、52bによって第1圧縮機が駆動されていない場合、第1バイパスライン60及び一方向弁62を通り、第1圧縮機12a、12bをバイパスすることができる。
【0082】
本明細書に開示の方法及び装置の特別な利点は、各バイパス流及び各部分−流の圧力及び流量制御によって、混合相炭化水素流9の流量及び/又は圧力が起動に増加するにつれて、多重列NGL回収システムの1つ以上の列を、制御手順として別々に起動して通常動作まで持ってくることができるということである。従って、第1圧縮継続流25a、25bの経路における2台の絞り制御弁32a、32bは、第1バイパス流60の流量の減少を計算に入れ、第1圧縮機12a、12bへの各圧縮機供給流10a、10bの投入の制御を可能にする。2台の絞り制御弁32a、32bは、第1圧縮機12a、12bの各々の放出で、特に起動中及び列の任意のトリッピングに続いて最も普通に起こり得る各第1圧縮機12a、12bの石壁の近くで、圧力を制御することができる。
【0083】
このように、第1バイパスライン60内の流れの圧力は、一緒に又は独立して、各第1圧縮機12a、12bの起動を妨げない。この構成は、石壁領域で動作することなく第1圧縮機又は各第1圧縮機によって最大前方流を確保しようとする(従って、過熱がない)。
【0084】
多重列NGL回収システムのさらなる利点は、第1圧縮機12a、12b間の相互作用を減らすように、第1圧縮機12a、12bのうち1台以上を他の第1圧縮機又は各他の第1圧縮機から分離することができるということである。
【0085】
添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、本発明を多くの方法で改変できることを当業者は容易に理解するであろう。
【符号の説明】
【0086】
1 NGL(天然ガス液体)回収システム
2 液化天然ガス工場
8 塔頂流又は塔頂混合炭化水素流
9 混合相(液体及び蒸気)炭化水素流
10 圧縮機供給流、第1圧縮機流又は軽質塔頂流
12 第1圧縮機
13 第1入口
14 (第1)気液分離器
16 第1出口
20 第1圧縮流又はライン
21 駆動軸
22 第1圧縮機再循環ライン
24 インライン第1再循環弁
25 圧縮継続流
30 制御流
32 絞り弁又は絞り制御弁
40 第2圧縮流
41 一方向弁
42 第2圧縮機
43 第2入口
44 第2出口
45 第2の圧縮機再循環ライン又は圧縮機再循環流
46 冷却器
47 制御弁
48 最終再循環流
50 重質塔底流
52 膨張器
60 第1のバイパスライン又はバイパス流
62 一方向弁
70 最終圧縮流
72 燃料ガス
80 膨張器バイパスライン
82 制御弁
100 初期の炭化水素流
104 第1冷却段階
110 冷却された初期炭化水素流
112 第2冷却段階
108 凝縮安定化塔
圧縮機供給流10の流量
第1圧縮流20の流量
圧縮機供給流10の圧力
第1圧縮流20の圧力
【先行技術文献】
【特許文献】
【0087】
【特許文献1】米国特許第4,464,720号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)圧縮機供給流を供給する工程と、
(b)前記圧縮機供給流を1台以上の第1圧縮機に通す工程であって、前記第1圧縮機又は各第1圧縮機は第1入口及び第1出口を有し、1つ以上の第1圧縮流を供給する該工程と、
(c)前記圧縮機供給流の圧力(P1)、前記圧縮機供給流の流量(F1)、前記第1圧縮流の圧力(P2)及び前記第1圧縮流の流量(F2)からなる群のうち少なくとも1つの圧力及び少なくとも1つの流量を測定して、少なくとも2つの測定値を与える工程と、
(d)前記第1圧縮機又は各第1圧縮機の周囲に、インライン第1再循環弁を備える第1圧縮機再循環ラインを設ける工程と、
(e)前記圧縮機再循環ラインの下流の少なくとも1台の絞り弁に前記第1圧縮流又は各第1圧縮流を通して、制御流を供給する工程と、
(f)前記圧縮機供給流又は各圧縮機供給流の一部に対し、第1バイパスラインにより前記第1圧縮機又は各第1圧縮機及び前記少なくとも1台の絞り弁を選択的にバイパスさせる工程と、
(g)工程(c)の前記測定値を用いて前記絞り弁のうち少なくとも1台を自動的に制御する工程と、
を少なくとも含む、1台以上の第1圧縮機を制御する方法。
【請求項2】
工程(c)の前記測定値の使用は、前記第1圧縮機の動作をそのチョークラインに対して決定する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(h)工程(c)の前記測定値を用いて前記インライン第1再循環弁を自動的に制御する工程を更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程(c)の前記測定値の使用は、前記第1圧縮機の動作をそのサージラインに対して決定する工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1バイパスラインにおける第1バイパス流を前記制御流と選択的に結合する工程を更に含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
制御器(XC)を用いて工程(c)の前記測定値と工程(f)の前記制御とを連係させる工程を更に含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
(i)前記圧縮機供給流の前記圧力(P1)及び前記流量(F1)と、
(ii)前記圧縮機供給流の前記圧力(P1)及び前記第1圧縮流の前記流量(F2)と、
(iii)前記圧縮機供給流の前記流量(F1)及び前記第1圧縮流の前記圧力(P2)と、
(iv)前記第1圧縮流の前記圧力(P2)及び前記流量(F2)と、
からなる群のうち少なくとも1つを測定する工程を更に含む、請求項1〜6のいずれか一項以上に記載の方法。
【請求項8】
(j)前記制御流又は各制御流を1台以上の第2圧縮機に通して1つ以上の第2圧縮流を供給する工程と、
(k)第2圧縮機再循環ライン、インライン第2再循環弁を設け、場合により1台以上の第2圧縮機再循環冷却器を備える工程と、
を更に含む、請求項1〜7のいずれか一項以上に記載の方法。
【請求項9】
前記圧縮機供給流が、前記圧縮機供給流である軽質塔頂流と重質塔底流とに分離される混合炭化水素流から供給され、前記混合炭化水素流が、1台以上の膨張器で膨張されてその分離の上流に混合相炭化水素流を供給すると共に、前記1台以上の膨張器のうち少なくとも1台と前記1台以上の第1圧縮機のうち少なくとも1台とが1つ以上の共通駆動軸によって機械的に相互接続される、請求項1〜8のいずれか一項以上に記載の方法。
【請求項10】
前記圧縮機供給流が、2つ以上の部分−供給流に分割されて2台以上の第1圧縮機に通され、2つ以上の第1圧縮流を供給すると共に、2台以上の絞り弁に通され、2つ以上の制御流を供給し、
工程(b)、(e)及び(g)が、各部分−供給流、各第1圧縮流及び各絞り弁で実施される、
請求項1〜9のいずれか一項以上に記載の方法。
【請求項11】
前記2つ以上の制御流が結合されて結合第2圧縮機供給流を供給し、該結合供給流が第2圧縮機に通される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記混合炭化水素流を少なくとも2つの部分−流に分割する工程を含み、前記混合炭化水素流を膨張させる工程は、膨張器によって当該部分−流の各々を膨張させる工程とそれらの流出物を結合して前記混合相炭化水素流を供給する工程とを含む、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第2圧縮流のうち前記1つ以上の少なくとも一部を更に冷却し、好ましくは液化して、冷却された、好ましくは液化された炭化水素流、好ましくはLNGを供給する工程を更に含む、請求項8〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
(i)初期炭化水素流を分離器に通して安定化凝縮物流及び混合炭化水素流を供給する工程と、
(ii)前記混合炭化水素流を圧縮機供給流としての軽質塔頂流と重質塔底流とに分離する工程と、
(iii)前記圧縮機供給流を1台以上の第1圧縮機及び少なくとも1台の絞り弁に通し、請求項1〜13の一項以上に記載の方法を用いて前記1台以上の第1圧縮機を制御して、1つ以上の制御流を供給する工程と、
(iv)前記制御流又は各制御流を1台以上の第2圧縮機に通して1つ以上の第2圧縮流を供給する工程と、
(v)前記1つ以上の第2圧縮流の少なくとも一部を冷却し、好ましくは液化して、冷却された、好ましくは液化された炭化水素流を供給する工程と、
を少なくとも含む、好ましくは天然ガスを含有する初期炭化水素流を冷却する方法。
【請求項15】
第1圧縮機又は各第1圧縮機における第1入口と第1出口との間で圧縮機供給流を圧縮して、1つ以上の第1圧縮流を供給する1台以上の第1圧縮機と、
前記圧縮機供給流の圧力(P1)、前記圧縮機供給流の流量(F1)、前記第1圧縮流の圧力(P2)及び前記第1圧縮流の流量(F2)からなる群のうち少なくとも1つの圧力及び少なくとも1つの流量を測定して、少なくとも2つの測定値を与えることができる少なくとも2台の測定器と、
前記第1圧縮機又は各第1圧縮機の周囲にインライン第1再循環弁を備える圧縮機再循環ラインと、
前記第1圧縮流又は各第1圧縮流を受け取って制御流を供給する、前記圧縮機再循環ラインの下流の少なくとも1台の絞り弁と、
前記圧縮機供給流の一部に対し前記第1圧縮機又は各第1圧縮機及び前記少なくとも1台の絞り弁をバイパスさせる第1バイパスラインと、
を少なくとも含む、1台以上の第1圧縮機を制御する装置であって、前記絞り弁のうち少なくとも1台を工程(c)の前記測定値を用いて自動的に制御する該装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−504723(P2012−504723A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520412(P2011−520412)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/058317
【国際公開番号】WO2010/012559
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(390023685)シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ (411)
【氏名又は名称原語表記】SHELL INTERNATIONALE RESEARCH MAATSCHAPPIJ BESLOTEN VENNOOTSHAP
【Fターム(参考)】