説明

圧縮機入口案内翼用の翼形部形状

【課題】製品を提供する。
【解決手段】本製品は、表Aに記載のX、Y及びZのデカルト座標値に実質的に合致する基準輪郭を有する。X及びYは、滑らかな連続円弧で結ぶと、インチ単位で表す各距離Zにおける翼形部輪郭断面を定めるインチ単位で表す距離である。Z距離における輪郭断面を互いに滑らかに結ぶと完全な入口案内翼翼形部形状を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンのベーン用の翼形部に関する。具体的には、本発明は、入口案内翼(IGV)用の圧縮機翼形部輪郭に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンでは、ガスタービンの流路セクションの各段において多くのシステム要件を満たして、設計目標を満たすようにしなければならない。タービン高温ガス通路は、圧縮機翼形部IGVが設計目標並びに所望の効率、信頼性及び負荷要件を満たすことを必要とする。例えば、本発明を限定するものではないが、圧縮機のIGVは、熱的及び機械的作動要件を達成しなければならない。さらに、本発明を限定するものではないが、例えば圧縮機のIGVは、その特定段における熱的及び機械的作動要件を達成しなければならない。
【0003】
設計目標及び所望の要件を満たすための従前の努力では、翼形部上に皮膜が設けられてきたが、それらの皮膜は、設計目標及び所望の要件を満たすのに十分なほど又は永続的なほどロバストなものとすることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7572105号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、設計目標及び所望の要件を満たす輪郭を備えた、特にIGV用の翼形部構成を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態では、製品は、翼形部形状を有するIGV翼形部を含み、翼形部は、表Aに記載のX、Y及びZのデカルト座標値に実質的に合致する基準輪郭を有する。X及びYは、滑らかな連続円弧で結ぶと、インチ単位で表す各距離Zにおける翼形部輪郭断面を形成する距離である。Z距離おける輪郭断面を互いに滑らかに結ぶと完全な翼形部形状を形成する。
【0007】
本発明による別の実施形態では、圧縮機のIGVは、表Aに記載のX、Y及びZのデカルト座標値に実質的に合致する皮膜のない基準翼形部輪郭を有する翼形部を含む。X及びYは、滑らかな連続円弧で結ぶと、インチで表した各Z距離における翼形部輪郭断面を定めるインチ単位で表す距離である。Z距離における輪郭断面を互いに滑らかに結ぶと完全な翼形部形状を形成する。X及びY距離は、拡大又は縮小した翼形部を得るために、定数の関数として拡大縮小可能である。
【0008】
本発明のさらに別の実施形態では、圧縮機用のIGVは、該IGVを有する圧縮機ホイールを含む。各IGVは、翼形部形状を有する。翼形部は、表Aに記載のX、Y及びZのデカルト座標値に実質的に合致する基準輪郭を含む。X及びYは、滑らかな連続円弧で結ぶと、インチ単位で表す各距離Zにおける翼形部輪郭断面を定めるインチ単位で表す距離である。Z距離における輪郭断面を互いに滑らかに結ぶと完全なIGV翼形部形状を形成する。
【0009】
本発明のなおさらに別の実施形態では、圧縮機は、IGVを有する圧縮機ホイールを含み、各IGVは、表Aに記載のX、Y及びZのデカルト座標値に実質的に合致する皮膜のない基準翼形部輪郭を有する翼形部を含む。X及びYは、滑らかな連続円弧で結ぶと、インチ単位で表す各距離Zにおける翼形部輪郭断面を形成する距離である。Z距離における輪郭断面を互いに滑らかに結ぶと完全なIGV翼形部形状を形成する。X、Y及びZ距離は、拡大又は縮小したIGV翼形部を得るために、定数の関数として拡大縮小可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る入口案内翼を使用することができるガスタービンの概略側面図。
【図2】図1に示しかつ線2−2に沿って取った、本発明の実施形態に係る入口案内翼を使用することができるガスタービンの概略正面図。
【図3】本発明の実施形態に係る入口案内翼の概略斜視図。
【図4】本発明の実施形態に係る入口案内翼の側面図。
【図5】図4の入口案内翼の上面図。
【図6】図4の入口案内翼の下面図。
【図7】図4の入口案内翼の他の側面から見た、本発明の実施形態に係る入口案内翼の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態では、製品は、表Aに記載のX、Y及びZのデカルト座標値に実質的に合致する基準輪郭を有し、表Aにおいて、X及びYは、滑らかな連続円弧で結ぶと、インチ単位で表す各距離Zにおける翼形部輪郭断面を定めるインチ単位で表す距離であり、Z距離における輪郭断面を互いに滑らかに結ぶと完全なIGV翼形部形状を形成する。
【0012】
本発明の一実施形態では、ガスタービンの性能を高める該ガスタービンのIGV用の圧縮機翼形部形状を提供する。このIGV翼形部形状は、圧縮機の様々な段間の相互作用を向上させかつ空気力学的効率の向上をもたらすと同時に、段翼形部の熱的及び機械的応力を減少させる。
【0013】
本発明によって具現化したIGV翼形部輪郭は、必要な効率及び負荷要件を達成するために固有の点の軌跡によって定まり、それにより圧縮機性能の向上が得られる。これら固有の点の軌跡は、基準翼形部IGV輪郭を形成しかつ下記する表AのX、Y及びZデカルト座標によって特定される。表Aに示す座標値の点は、エンジン中心線に対するものでありかつベーン翼形部のその長さに沿った様々な断面における低温つまり常温IGVベーンについてのものである。正のX、Y及びZ方向は、それぞれタービンの排出端部に向かう軸方向、エンジンの回転方向における接線方向、及び固定ケースに向かう半径方向外向き方向である。X,Y及びZ座標は、距離寸法、例えばインチの単位で示され、かつ各Z位置において滑らかに結合されて滑らかな連続翼形部断面を形成する。X、Y平面内の各形成されたIGV翼形部セクションは、Z方向における隣接する翼形部セクションと滑らかに結合されて完全なIGV翼形部形状を形成する。
【0014】
当業者には公知のように、IGV翼形部は、使用時に次第に加熱されることが分かるであろう。従って、IGV翼形部輪郭は、機械的負荷及び温度の結果として変化することになる。それ故に、製造目的のための低温又は常温輪郭は、X、Y及びZ座標によって示されている。基準輪郭に沿ったかつあらゆる皮膜を備えた任意の表面の位置に対して垂直な方向におけるIGV基準輪郭から約±0.160インチの距離は、製造IGV翼形部輪郭が下記の表によって示した基準翼形部輪郭とは異なっている可能性があるので、このIGV翼形部に対する輪郭包絡面を定める。IGV翼形部形状は、この変動に対してロバストであり、IGVの機械的及び空気力学的機能に悪影響を与えることはない。
【0015】
本発明によって具現化したIGV翼形部は、同様のタービン設計に導入するために幾何学的に拡大又は縮小することができる。その結果、基準IGV翼形部輪郭のX、Y及びZ座標は、定数の関数とすることができる。つまり、X、Y及びZ座標値は、同一の定数又は数値により乗算又は除算して、本発明によって具現化したIGV翼形部セクション形状を維持しながら、IGV翼形部輪郭の「拡大」又は「縮小」バージョンを得ることができる。
【0016】
添付図を参照すると、本発明の実施形態に係る入口案内翼の実施例を開示している。説明の目的で、本発明の実施形態の完全な理解を得るために、多数の特定の細部を図面に示しかつ下記の詳細な説明に記載している。しかしながら、本発明の実施形態は、これらの特定の細部なしに実施することができることは解るであろう。その他の事例として、周知の構造及び装置は、図面を簡略化するために概略的に示している。
【0017】
次に図面を参照すると、図1は、ガスタービン2の流路1を示している。ガスタービン2は、それに限定されないが、交互するロータ3及びステータ4の一部である翼形部のような複数の翼形部を備えた圧縮機を含み、各ロータ/ステータ対5は、圧縮機の段を構成する。翼形部は、空気流に対して運動エネルギーを与え、従って圧縮機にわたり所望の圧力上昇を含む所望の流れを生じさせる。各翼形部は、ブレードの全長にわたって変化する輪郭を有する。翼形部は、流体流れを方向転換させ、流体流れ速度(関連するそれぞれの翼形部フレーム内における)を低下させ、かつ流体流れの静圧の上昇をもたらす。本発明によって具現化したその周辺表面を含む翼形部の構成(周囲の翼形部とのその相互作用と共に)は、本発明の他の望ましい態様の中でも、段空気流効率、空気力学性の強化、円滑な段間層流、熱応力の減少、段間に空気流を効率的に流す段の相互関係の強化、及び機械応力の減少を可能にする。一般的に、上述のように、それに限定されないが、ロータ/ステータ翼形部のような複数列の翼形部段は、スタックされて所望の吐出対入口圧力比を達成する。翼形部は、多くの場合に「根元」、「基部」又は「ダブテール」として知られる適当な取付け構成によってホイール又はケースに固定することができる。
【0018】
本発明の望ましい態様の流体流れダイナミクス及び層流をもたらす本発明によって具現化した翼形部の構成及び周囲翼形部とのあらゆる相互作用は、様々な手段によって決定することができる。入口案内翼の下流の任意の翼形部の場合、直前の/上流の翼形部からの流体流れは、翼形部と交差し、本発明によって具現化した翼形部上での及び該翼形部の周りでの流れは、この翼形部の構成により高められる。具体的には、本発明によって具現化した翼形部からの流体ダイナミクス及び層流は、高められる。直前の/上流の1つ又は複数の翼形部からの円滑な移行流体流れ並びに隣接する/下流の1つ又は複数の翼形部への円滑な移行流体流れが生じる。さらに、本発明によって具現化した翼形部からの流れは、隣接する/下流の1つ又は複数の翼形部に進み、かつ本発明によって具現化した翼形部から離れる層流流体流れの強化により高められる。従って、本発明によって具現化した翼形部の構成は、本発明によって具現化した翼形部を含む装置内での乱流流体流れを防止するのを助ける。
【0019】
例えば本発明を限定するものではないが、翼形部構成(流体流れ相互作用を有する又は有しない状態の)は、コンピュータ流体ダイナミックス(CFD);伝統的な流体ダイナミックス解析;オイラー・ナビエ−ストークス方程式;伝達関数、アルゴリズムによる製造、つまり翼形部の手動位置決め、流れ試験(例えば、風洞における)及び修正;現場試験;モデル化、つまり翼形部、機械、装置又は製造プロセスを設計或いは開発するための科学的原理の適用;翼形部流れ試験及び修正;並びにこれらの組合せ、さらに他の設計プロセス及び手法によって決定することができる。これらの決定方法は、単なる例示に過ぎないものであり、何れにしても本発明を限定することを意図するものではない。
【0020】
上述のように、本発明によって具現化したその周辺表面を備えた翼形部構成(周囲の翼形部とのその相互作用と共に)は、同様の用途を有する他の同様の翼形部と比較して、本発明の他の望ましい態様の中でも、段空気流効率、空気力学性の強化、円滑な段間層流、熱応力の減少、段間に空気流を効率的に流す段の相互関係の強化、及び機械応力の減少を可能にする。さらに本発明を限定するものではないが、従来型である或いは強化した(本明細書での強化と同様に)他の翼形部と協働して、本発明によって具現化した翼形部は、従前の個々の翼形部の組と比較して効率の増大をもたらす。この効率の増大は、上述の利点に加えて、エネルギーを生成するのに必要な燃料を減少させた状態で出力を行ない、従って本質的にエミッションを低減する。言うまでもなく、その他のそのような利点は、本発明の技術的範囲内にある。
【0021】
再び図1を参照すると、ガスタービン2の入口8には、複数の入口案内翼(IGV)10が、ガスタービンの軸線周りに配置されて、ケーシング6及び内側バレルつまり中心構造体7間の流路の少なくとも一部にわたって延びる。IGV10は、入口自体の表面と協働してその速度及び方向を変化させることによって空気流を調整する。IGV10は、アクチュエータ9などを使用してそれらの回転配向を変化させることができるように取付けられ、かつガスタービン10の入口8及び残りの部分を通る空気流を変化させることによって該ガスタービン2を絞り制御するのを可能にすることができる。従って、下記に説明するように、IGV10は、ロータ及びステータブレード3、4とは異なる方法で取付けられる。
【0022】
図3、図4及び図7を参照すると、下記に説明するように、各IGV10は、その輪郭12がその長さに沿って変化する翼形部11を含む。翼形部の一端部には、そこから上部シャフト部分14が突出したハブ13が設けられる。上部シャフト部分14は、突出部15によりガスタービン2のケーシング又はハウジング6内に取付けられて、上部シャフト部分の長手方向軸線zの周りで回転するようになる。突出部の上端部16は、突出部15及び上部シャフト部分14の操作を可能にする平坦部分のような機構17を含む。アクチュエータ9が、突出部15の機構17と相互作用して、上部シャフト部分14及びIGV10の回転位置を変化させる。IGV10の他端部には、上部シャフト部分14と同軸になった下部シャフト部分18が設けられる。下部シャフト部分18は、その長手方向軸線zの周りで回転するように中心構造体7の入口部分内に取付けられる。
【0023】
特に図5及び図6において見ることができるように、各IGV10は、変動輪郭12を備えた翼形部11である。上部において、翼形部11は、下部においてよりもより厚くかつより長くなっており、迎え角はIGV10の長さに沿って変化している。図8は、図7に見られるIGV10の特定の断面A−A、B−B、N−N、及びBB−BBにおいて見られるような、実施形態のIGVの輪郭を示している。
【0024】
IGV10の翼形部形状又は輪郭12を形成するために、空間内における固有の点の組が、モデル化コンピュータソフトウェア適用における機械的及び空気力学的負荷並びに流れ条件の反復法などによる解析手法によって導き出された。より具体的には、IGV10の翼形部輪郭12を形成するために、空間内における固有の点の組が、ブレード上のそれぞれのスパン方向位置においてモデル化コンピュータソフトウェアを使用して導き出された。各スパン方向位置における局所的な流入流れ歪みが、考慮され、各輪郭が、全圧力降下を最少にし、剥離がない作動範囲対迎え角を広げて予測流入流れ歪みに整合させ、かつ強度、振動応力、及び製造の容易さのための機械的要件を満足させることを目標として導き出された。輪郭は、補間されて全ブレード表面が形成される。このプロセスは、専用コンピュータソフトウェア環境のようなコンピュータソフトウェア環境で実行される。組合せIGV及びエンジン入口の完全三次元コンピュータ解析及びスケールモデル試験を行なって、設計を確認した。固有の点の組は、3つの相互に垂直な軸x、y及びzのデカルト座標系を使用して記述している。実施例としての固有の点の組は、下記の表Aに記載しており、かつ例えば「CNC」機械又はその他の好適な装置などにより、或いは鋳造のような別の方法によってIGV10を製造するのを可能にするのに充分である。固有の点の組に従ってIGVを製造することにより、IGVからの流れ剥離の開始を従前のIGVよりも流れ条件を遅らせたIGVが得られる。その結果、流れ剥離によって生じる振動が大幅に低減し、信頼性が高まり、かつIGV及びガスタービンの他の構成部品上に作用する振動誘起応力が減少する。
【0025】
IGVを備えた圧縮機ベーンは、空気流に対して運動エネルギーを与え、従って所望の圧力上昇を生じさせる。IGVの直後に続いて、ロータ翼形部及びステータ翼形部の段が設けられる。ロータ及びステータ翼形部の両方は、空気流を方向転換させ、空気流速度(関連するそれぞれの翼形部フレーム内における)を低下させ、かつ空気流の静圧の上昇をもたらす。一般的に、複数列のロータ/ステータ段は、軸流圧縮機内でスタックされて、所望の吐出対入口圧力比を達成する。ロータ及びステータ翼形部は、多くの場合に「根元」、「基部」又は「ダブテール」(図2〜図5参照)として知られる適当な取付け構成によってロータホイール又はステータケースに固定することができる。
【0026】
本発明は、入口案内翼(IGV)翼形部形状に関する。入口案内翼(IGV)は、圧縮機の第一段、通常は第一ロータ段への流れを調整する。種々のパラメータにより、圧縮機内における各IGVの形状及び位置が定められる。それらのパラメータには、それに限定されないが、IGV輪郭の輪郭中心線、IGV輪郭の厚さ分布、輪郭中心線の乗数であるリフト係数、及び圧縮機の軸方向に対するIGVの角度であるスタッガ角度が含まれる。IGVパラメータを変化させることによって、複数のIGV輪郭及びスタッガ角度の組合せが、通常は空気である気体がIGVから流出する角度であるあらゆる任意のIGV排出条件において実施可能になる。
【0027】
IGV翼形部の翼形部形状を形成するために、空間内における固有の点の組又は軌跡が与えられる。この固有の点の組又は軌跡は、IGVをそのように形成することができる段要件を満たしている。この固有の点の軌跡は、段効率並びに熱的及び機械的応力の減少のための所望の要件を満たしている。この点の軌跡は、圧縮機を効率的、安全かつ円滑な方法で作動させるのを可能にする空気力学的負荷及び機械的負荷間での反復法によって得られる。
【0028】
本発明によって具現化した軌跡は、IGV翼形部輪郭を形成し、かつエンジンの回転軸線に対する点の組を含むことができる。例えば、点の組は、IGV翼形部輪郭を形成するように使用することができる。さらに、本発明によって具現化したベーン翼形部輪郭は、圧縮機のIGVを含むことができる。
【0029】
下記の表Aに示すX、Y及びZ値のデカルト座標系は、IGV翼形部のその長さに沿った様々な位置での輪郭を定める。X、Y及びZ座標の座標値は、インチで記載しているが、この値を適切に変換した場合には他の寸法の単位を使用することもできる。これらの値は、プラットフォームのフィレット領域を除外している。デカルト座標系は、直交関係のX、Y及びZ軸を有する。X軸は、回転軸線のような圧縮機ロータ中心線に平行に位置する。正のX座標値は、後方、例えば圧縮機の排出端部に向かう軸方向である。正のY座標軸は、ロータの回転の方向に接線方向に延びる。正のZ座標値は、圧縮機の固定ケーシングに向けて半径方向外向きに配向されている。
【0030】
表Aの値は、IGV翼形部の輪郭を決定するために小数点以下3桁まで作成しかつ示している。IGVの実際の輪郭においては考慮しなければならない一般的な製造公差及び皮膜が存在する。従って、示した輪郭の値は、基準IGV翼形部のためのものである。従って、あらゆる皮膜厚さを含む±値のような一般的な±製造公差が、X及びY値に加算されることを理解されたい。従って、IGV翼形部輪郭に沿った任意の表面位置に対して垂直な方向に約±0.160インチの距離は、ベーン翼形部設計及び圧縮機に対するIGV翼形部輪郭包絡面を定める。言い換えれば、IGV輪郭に沿った任意の表面位置に対して垂直な方向における約±0.160インチの距離は、基準の低温又は常温での実際のIGV翼形部表面上の測定点と本発明によって具現化した同一温度でのこれらの点の理想的な位置との間における変動の範囲を定める。本発明によって具現化したIGV翼形部設計は、この変動の範囲に対してロバストであり、機械的及び空気力学的機能に悪影響を与えることはない。
【0031】
下記の表Aに示す座標値は、例示的なIGVにおける基準輪郭包絡面を示している。
【0032】
【表1】

























































本発明によって具現化したこの例示的な実施形態では、例えば圧縮機用のIGVには、非冷却型の多くの翼形部が設けられる。説明目的だけのために、スタッキング軸線に沿ってIGV及びプラットフォームの交差部を通るゼロ(0)点を設定する。
【0033】
さらに、本発明によって具現化したIGVは、第1の圧縮機ロータ段内へのスパウト角度を定める。本発明によって具現化したIGVによって定まるこのスパウト角度は、圧縮機がベース負荷において流れ要件及び比例出力要件を満たすのを可能にする重要な要因となる。
【0034】
上記の表Aに開示した例示的な1つ又は複数のIGV翼形部は、他の同様の圧縮機設計に使用するために幾何学的に拡大又は縮小することができることも解るであろう。従って、表Aに記載の座標値は、IGV翼形部輪郭形状を変化しない状態に維持しながら、この表Aを率に応じて拡大又は縮小することができる。表Aにおける座標の拡大縮小バージョンは、定数により乗算又は除算した表AのX、Y及びZ座標値によって表されることになる。
【0035】
具体的には、本発明によって具現化したように、表Aによって定まる翼形部は、それに限定されないが、例えばGeneral Electric製の「7FA+e」又は7FA・05型圧縮機のようなタービンの圧縮機に適用することができる。この圧縮機は、本発明によって具現化した翼形部のための意図した用途の単なる例示に過ぎない。さらに、本発明によって具現化した表AのIGV翼形部は、本発明によって具現化した翼形部の拡大縮小を示すGEのフレームFクラスタービン並びにGEのフレーム6及び9型タービンにおけるIGVとして使用することができると予想される。
【0036】
IGV翼形部は、空気流に対して運動エネルギーを与え、従って圧縮機にわたる所望の流れを生じさせることができる。IGV翼形部は、流体流れを方向転換させ、流体流れ速度(関連するそれぞれの翼形部フレーム内における)を低下させ、かつ流体流れの静圧の上昇をもたらす。本発明によって具現化したIGV翼形部のその周辺表面を含む構成(周囲の翼形部とのその相互作用と共に)は、本発明の他の望ましい態様の中でも、段空気流効率、空気力学性の強化、円滑な段間層流、熱応力の減少、段間に空気流を効率的に流す段の相互関係の強化、及び機械応力の減少を可能にする。一般的に、それに限定されないが、ロータ/ロータ翼形部のような複数列の翼形部段は、スタックされて所望の吐出対入口圧力比を達成する。翼形部は、多くの場合に「根元」、「基部」又は「ダブテール」として知られる適当な取付け構成によってホイール又はケースに固定することができる。
【0037】
本発明の望ましい態様の流体流れダイナミクス及び層流をもたらす本発明によって具現化したIGV翼形部の構成及び周囲の翼形部とのあらゆる相互作用は、様々な手段によって決定することができる。本発明によって具現化したIGV翼形部からの流体流れ、及び本発明によって具現化した後続の翼形部上での及び該翼形部の周りでの流れは、この翼形部の構成により高められる。具体的には、本発明によって具現化したIGV翼形部による流体ダイナミクッス及び層流は、高められる。あらゆる後続の又は下流の翼形部への滑らかな移行流体流れが生じる。さらに、本発明によって具現化したIGVからの流れは、隣接する/下流の1つ又は複数の翼形部に進み、かつ本発明によって具現化したIGV翼形部から離れる層流流体流れの強化により高められる。従って、本発明によって具現化したIGV翼形部の構成は、本発明によって具現化した翼形部を含む装置内での乱流流体流れを防止するのを助ける。
【0038】
例えば本発明を限定するものではないが、IGV翼形部構成(流体流れ相互作用を有する又は有しない状態の)は、コンピュータモデル化流体ダイナミックス(CFD);伝統的な流体ダイナミックス解析;オイラー・ナビエ−ストークス方程式;伝達関数、アルゴリズムによる製造、つまりIGVの手動位置決め、流れ試験(例えば、風洞における)及び修正;現場試験;モデル化、つまり翼形部、機械、装置又は製造プロセスを設計或いは開発するための科学的原理の適用;IGV翼形部流れ試験及び修正;並びにこれらの組合せ、さらに他の設計プロセス及び手法によって決定することができる。これらの決定方法は、単なる例示に過ぎないものであり、何れにしても本発明を限定することを意図するものではない。
【0039】
上述のように、本発明によって具現化したその周辺表面を備えたIGV翼形部構成(周囲の翼形部とのその相互作用と共に)は、同様の用途を有する他の同様の翼形部と比較して、本発明の他の望ましい態様の中でも、空気流効率、空気力学性の強化、円滑な段間層流、熱応力の減少、段間にIGV空気流を効率的に流す段の相互関係の強化、及び機械応力の減少を可能にする。言うまでもなく、他のそのような利点は、本発明の技術的範囲内にある。
【0040】
本明細書では様々な実施形態を説明しているが、当業者がこれらの実施形態における要素の様々な組合せ、変更又は改良を行なうことができ、それらが本発明の技術的範囲内にあることは、本明細書から分かるであろう。
【符号の説明】
【0041】
1 流路
2 ガスタービン
3 ロータ
4 ステータ
5 ロータ/ステータ対
6 ケーシング
7 内側バレル、中心構造体
8 入口
9 アクチュエータ
10 入口案内翼
12 輪郭
13 ハブ
14 上部シャフト部分
15 突出部
16 上端部
17 機構
18 下部シャフト部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表Aに記載のX、Y及びZのデカルト座標値に実質的に合致する基準輪郭を有する製品であって、表Aにおいて、X及びYは、滑らかな連続円弧で結ぶと、インチ単位で表す各距離Zにおける翼形部輪郭断面を定めるインチ単位で表す距離であり、前記Z距離における前記輪郭断面を互いに滑らかに結ぶと完全な入口案内翼翼形部形状を形成する、製品。
【請求項2】
前記入口案内翼翼形部形状が翼形部を含む、請求項1記載の製品。
【請求項3】
前記翼形部形状が、製品の任意の表面位置に垂直な方向に±0.160インチ以内の包絡面内に位置する、請求項2記載の製品。
【請求項4】
複数のブレードを有する圧縮機ホイールを含む圧縮機であって、
前記ブレードの各々が、複数のステータベーンと協働し、
当該圧縮機が、翼形部形状を有する入口案内翼を含んでいて、前記翼形部形状が、表Aに記載のX、Y及びZのデカルト座標値に実質的に合致する基準輪郭を有し、表Aにおいて、X及びYは、滑らかな連続円弧で結ぶと、インチ単位で表す各距離Zにおける翼形部輪郭断面を定めるインチ単位で表す距離であり、前記Z距離における前記輪郭断面を互いに滑らかに結ぶと完全な入口案内翼翼形部形状を形成する、圧縮機。
【請求項5】
複数のブレードを有する圧縮機ホイールを含む圧縮機であって、
前記ブレードの各々が、複数のステータベーンと協働し、
当該圧縮機が、表Aに記載のX、Y及びZのデカルト座標値に実質的に合致する皮膜のない基準翼形部輪郭を有する翼形部を備えた入口案内翼を含んでいて、表Aにおいて、X及びYは、滑らかな連続円弧で結ぶと、インチ単位で表す各距離Zにおける翼形部輪郭断面を定めるインチ単位で表す距離であり、前記Z距離における前記輪郭断面を互いに滑らかに結ぶと完全な入口案内翼翼形部形状を形成し、前記X及びY距離が、拡大又は縮小した入口案内翼翼形部を得るために同一の定数又は数値の関数として拡大縮小可能である、圧縮機。
【請求項6】
前記翼形部形状が、翼形部の任意の表面位置に垂直な方向に±0.160インチ以内の包絡面内に位置する、請求項5記載の圧縮機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−52540(P2012−52540A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184202(P2011−184202)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】