説明

圧縮機制御装置

【課題】従来の圧縮機制御装置では、電源電圧が変動すると、電流検出手段で検出した電流値とこの電流値をAD変換したデータ表にズレが発生するため、正確な電流制御が不可能になるという課題を有していた。
【解決手段】電圧検出手段3によって検出した電圧に対応した電流検出手段5で検出した電流値とこの電流値をAD変換したデータとの対応表を記憶している電流値記憶手段6を設けたことで、検出した電流値とデータ表に生じるずれを補正し、より精度の良い制御を行うことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧縮機制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は図3に示すように、ダイオードブリッジ4の交流入力ラインに流れる電流を、電流検出手段5を用いて検出した電流値で圧縮機1の制御を行う。その制御は、図4に示すような前記電流検出手段5で検出した電流値とこの電流値をAD変換したデータ表を用いている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平4−55648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の圧縮機制御装置では、定格の電源電圧のときの前記電流検出手段で検出した電流値とこの電流値をAD変換したデータとの対応表をもとに前記圧縮機制御装置を制御しているため、電源電圧が変動すると前記電流検出手段で検出した電流値とこの電流値をAD変換したデータ表にズレが発生するため、正確な電流制御が不可能になるという課題を有していた。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、正確な電流制御が可能な圧縮機制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の圧縮機制御装置は電圧検出手段によって検出した電圧に対応した前記電流検出手段で検出した電流値とこの電流値をAD変換したデータとの対応表を記憶している電流値記憶手段を設けたものである。
【0006】
これによって、電源電圧が変動したときに前記電流検出手段で検出した電流値とこの電流値をAD変換したデータ表に生じるズレを補正し、正確な電流制御を可能とすることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の圧縮機制御装置は、電源電圧が変動したときに前記電圧検出手段によって検出した電圧に対応した前記電流検出手段で検出した電流値とこの電流値をAD変換したデータとの対応表を用いることにより、正確な電流制御を可能とすることができるため、過電流での圧縮機の損傷を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、電動機を駆動源とする圧縮機において、前記圧縮機を駆動するインバータ駆動手段と、前記インバータ駆動手段に供給される電圧を検出する電圧検出手段と、電源電圧を整流して前記インバータ駆動手段に供給される電圧を供給するダイオードブリッジと、前記ダイオードブリッジの交流入力ラインに流れる電流を検出する電流検出手段と、前記電圧検出手段によって検出した電圧に対応した前記電流検出手段で検出した電流値とこの電流値をAD変換したデータとの対応表を記憶している電流値記憶手段とを備えたことを特徴とした圧縮機制御装置とすることで、電源電圧が変動したときに前記電圧検出手段によって検出した電圧に対応した前記電流検出手段で検出した電流値とこの電流値をAD変換したデータとの対応表を用いることが可能となる。
【0009】
第2の発明は、前記電流値記憶手段において前記電圧検出手段によって検出した電圧に対応した前記電流検出手段で検出した電流値とこの電流値をAD変換したデータとの対応表を用いて圧縮機を動作させることを特徴とした請求項1記載の圧縮機制御装置とすることで、電源電圧が変動したときに前記電圧検出手段によって検出した電圧に対応した前記電流検出手段で検出した電流値とこの電流値をAD変換したデータとの対応表を用いることが可能となり、正確な電流制御が可能となる。
【0010】
第3の発明は、前記圧縮機始動前に、前記電圧検出手段で電圧を検出することを特徴とした請求項1記載の圧縮機制御装置とすることで、電源電圧が変動したときに前記電流検出手段で検出した電流値とこの電流値をAD変換したデータ表を用いることにより、正確に電流値を検出することが可能となる。
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態により構成された圧縮機制御装置を示す図である。
本図のように構成された圧縮機制御装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0013】
圧縮機1を駆動するインバータ駆動手段2と、前記インバータ駆動手段2に供給される電圧を検出する電圧検出手段3と、電源電圧7を整流して前記インバータ駆動手段2に供給される電圧を供給するダイオードブリッジ4と、前記ダイオードブリッジ4の交流入力ラインに流れる電流を検出する電流検出手段5と、前記電圧検出手段3によって検出した電圧に対応した前記電流検出手段5で検出した電流値とこの電流値をAD変換したデータとの対応表を記憶している電流値記憶手段6とを備えたことを特徴とした圧縮機制御装置である。
【0014】
本発明は、図2に示すように、電源電圧7が変動したときの前記電流検出手段5で検出した電流値とこの電流値をAD変換したデータとの対応のように、電源電圧7が変動したときに前記電圧検出手段3によって検出した電圧に対応した前記電流検出手段5で検出した電流値とこの電流値をAD変換したデータとの対応表を用いることができる。
【0015】
これによって、正確な電流制御を可能とすることができ、過電流での圧縮機3の損傷を回避することができる。
【0016】
(実施の形態2)
本実施の形態では、前記電流値記憶手段6において前記電圧検出手段3によって検出した電圧に対応した前記電流検出手段5で検出した電流値とこの電流値をAD変換したデータとの対応表を用いて圧縮機3を動作させることを特徴とした圧縮機制御装置である。
【0017】
電源電圧7が変動したときに前記電圧検出手段3によって検出した電圧に対応した前記電流検出手段5で検出した電流値とこの電流値をAD変換したデータとの対応表を用いることが可能となり、正確な電流制御が可能とすることができ、過電流での圧縮機3の損傷を回避することができる。
【0018】
(実施の形態3)
本実施の形態では、前記圧縮機3の始動前に、前記電圧検出手段3で電圧を検出することを特徴とした圧縮機制御装置である。
【0019】
前記圧縮機3の始動前に前記電圧検出手段3によって電源電圧7を検出することで、電
源電圧7に対応した前記電流検出手段5で検出した電流値とこの電流値をAD変換したデータとの対応表を用いる前記電流検出手段5で検出した電流値とこの電流値をAD変換したデータ表を用いることで、より正確な電流制御を可能とすることができ、過電流での圧縮機3の損傷を回避することができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
以上のように、本発明にかかる制御装置は、電源電圧が変動したときでも正確に電流値を検出することが可能となるので、圧縮機を駆動制御する制御装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態により構成された圧縮機制御装置を示す構成図
【図2】本発明の電源電圧に対応した電流検出手段で検出した電流値とこの電流値をAD変換したデータとの対応を示す特性図
【図3】従来の圧縮機制御装置を示す構成図
【図4】従来の電流検出手段で検出した電流値とこの電流値をAD変換したデータとの対応を示す特性図
【符号の説明】
【0022】
1 圧縮機
2 インバータ駆動手段
3 電圧検出手段
4 ダイオードブリッジ
5 電流検出手段
6 電流値記憶手段
7 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機を駆動源とする圧縮機において、前記圧縮機を駆動するインバータ駆動手段と、前記インバータ駆動手段に供給される電圧を検出する電圧検出手段と、電源電圧を整流して前記インバータ駆動手段に供給される電圧を供給するダイオードブリッジと、前記ダイオードブリッジの交流入力ラインに流れる電流を検出する電流検出手段と、前記電圧検出手段によって検出した電圧に対応した前記電流検出手段で検出した電流値とこの電流値をAD変換したデータとの対応表を記憶している電流値記憶手段とを備えたことを特徴とした圧縮機制御装置。
【請求項2】
前記電流値記憶手段に記憶している電流値を用いて圧縮機を動作させることを特徴とした請求項1記載の圧縮機制御装置。
【請求項3】
前記圧縮機が始動前に、前記電圧検出手段で電圧を検出することを特徴とした請求項1記載の圧縮機制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−144722(P2008−144722A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−335416(P2006−335416)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】